11月のある日の、夜23時すぎ。
後輩に呼び出された私こと星井美希は、人気のない山道を歩いていた。
「翼~、まだなの~?」
「もう少し……あっ、つきましたよ先輩!」
先に頂上へと駆け上がった翼が手招きする。手が示すままに歩いてたどり着いたのは、屋根のあるベンチとテーブルだった。
周りに障害物は何もなく、街のすべてが見おろせる。
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「どうですか美希先輩! ここの景色最高でしょ?」
「……うん。そうだね。すごく綺麗」
「でしょでしょ? ここ、ジュリアーノに教えてもらったんです。あと、ここにはもう一つ楽しみ方があるんですよ! 汚れないようにシートを引いてっと……さあ美希先輩! 寝転がってください!」
「なんか、今日の翼強引だね。今度はな――」
そこまでいいかけて、思わず息を呑んだ。
だって目の前には、100万なんて軽く超える数の星の海が、いっぱいに広がっていたから。
「えっへへ~、どうですか? すごいでしょ? これは麗花ちゃんが気づいたんですよ~」
「うん。すごくキラキラしてて、綺麗だよ」
「美希先輩! 時間確認してもらってもいいですな?」
時間? 携帯を開き、待受に表示された時計を確認し……
「あ」
翼の今日の行動、その意味に気づいてしまった。
「美希先輩! お誕生日おめでとうございます!
プレゼントはこの星空です!」
寝転がった私をのぞき込みながら、翼が今日のネタバレをする。そのさまがあまりにも可愛かったから、私は起き上がって、翼を引きずり倒した。
「ひゃっ!? み、美希先輩?」
「ありがとね翼。翼が後輩でよかった」
驚く翼の耳元でそんなことをささやく。
その瞬間、翼が私を抱きしめてきた。
「美希先輩! あの、私、先輩に憧れてアイドル始めて、先輩と一緒にユニット組めたの本当に嬉しくて、周りの人は翼は美希みたいだっていうけど私的には全然そんなことなくて、先輩はずっと先輩で、あの」
わかってる。翼が私を好きなことなんてとっくに知ってる。
だから、私は意地悪をするようにこういうのだ。
「翼。また一緒にユニット組もうね? その時は、翼が自分でユニットを組みたいって言って? 早く、翼の意見が聞かれるくらいのアイドルになって。美希、待ってるから」
だって彼女は、昔の私にあまりにも似ていて。
こういう風に言えば頑張れるって、誰よりも私自身が知っているから。
おわり!
美希誕生日おめでとう!
つばみきおいしい!ムシャァ
乙でした
星井美希(15) Vi
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伊吹翼(14) Vi
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