貴音「入院……ですか?」 (28)

貴音「はて……?あなた様?」


貴音「私の体は、病気なのでしょうか……?」


貴音「その病気とは、どのような……」


貴音「…………………」


貴音「その様子ですと、なかなか話しにくい病気なのですね…」


貴音「……わかりました、病気の事は聞きません」


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貴音「きっと、あなた様は私が不安にならないように気遣って、話さないのですよね?」


貴音「……もう、この話はいたしません」


貴音「あなた様に大切にされているのです、かまいませんよ」


貴音「それに、今、私、四条貴音は……」


貴音「もう私だけの物ではないのですから」


貴音「そうですよね……あなた様」





貴音「なんと……完全に個室なのですか」


貴音「本当に、よろしいのですか?」


貴音「私は、相部屋でもかまわないのですが……」


貴音「……私が、安眠妨害なく寝れるように、と」


貴音「ふふふ……あなた様のそのような心遣いに、私はいつも感謝しておりますよ」


貴音「あなた様……いつも、ありがとうございます」ペコッ






貴音「最近の病院食の味は、発展しておりますね……」モグモグ


貴音「……大丈夫です、もっと食べてもよいくらいです」


貴音「もっと沢山、栄養を取った方が……」


貴音「……おや?病室の外から話し声が……」







ガラガラッ…


貴音「……まぁ」


貴音「皆、お見舞いに来てくれたのですか」


貴音「真、感謝いたします」ペコッ

貴音「……えぇ、そこにあるお土産は食べてよいですよ、真美、亜美」


貴音「いいのですよ、律子嬢」


貴音「お土産は少しばかり勿体無く思い、手につけられないのですから」


貴音「亜美も真美も勉強の忙しい中、来ていただいてる事ですし…」


貴音「……皆、本当に多忙の中来ていただき、ありがとうございます」ペコッ


貴音「それで、765プロの方はどうなのですか?」


貴音「……なんと!また一つ、765プロの番組が増えるのですか!」


貴音「それはそれは……楽しみですね」


貴音「……え?そちらに置いてる本ですか?」


貴音「昔、私のぐらびあ撮影で撮った写真が記載されている雑誌です」

貴音「入院中は時間が空くので、自分が載っている未読の本を読もうかと思いまして……」


貴音「……そうですね」


貴音「入院前より、容姿が少し変化してしまいましたね」


貴音「えぇ……先程も栄養は摂取いたしました」


貴音「今は、栄養を取って病気に打ち勝つつもりでないといけませんので」


貴音「……私の体調、ですか?」


貴音「大丈夫ですよ、最近は健康そのものです」


貴音「少し前までは、血が大量に出る事もありましたが……」


貴音「今は、そのような事は………」ユラッ


貴音「うっ……………!」バッ
















ガラガラ…


貴音「……あなた様」


貴音「事務所の皆には、帰ってもらいましたか……」


貴音「せっかく来ていただいたの……悪い事をしてしまいました」


貴音「……吐いた所を見た後には、どのような顔をして会えばよいか判らないですね」


貴音「……あなた様」


貴音「どうか、よろしければまたいつか面会してもらえるように、皆にお願いしてもらえないでしょうか?」


貴音「………え?」


貴音「帰り際……皆、また来ると……?」


貴音「………ふふふ」


貴音「私は、果報者ですね……」









貴音「入院してから、そこそこ日が経ちましたね」


貴音「……あなた様」


貴音「もう病気の方は安心しろと医師は言っていたではありませんか」


貴音「ですから、その様な暗い顔をせずに……」


貴音「………また、再発するかもしれないと?」


貴音「……大丈夫です」


貴音「信じましょう、あなた様」


貴音「もう、病気を起こさない……と」

貴音「あなた様がそう、物憂げな顔をしていると……」


貴音「私も心配してしまいますよ?」


貴音「にっこりと、笑顔になってくださいまし……」ニコッ


貴音「……さて、月が顔を出す時間になりました」


貴音「明日も仕事があるのですよね?」


貴音「無理はせず、家宅にて休養をとってください」


貴音「はい……えぇ、私もゆっくり休みます」


貴音「……では、また」ペコッ










貴音「……窓から、あの方の帰る所が伺えますね」スッ


貴音「…………!」


貴音「……ふふふ」フリフリ


貴音「私の病室に向かい、手を振ってくれるとは……」フリフリ


貴音「………お行かれましたね」


貴音「……あなた様は、本当に優しいお方です」


貴音「……その優しさに、私は魅了されたのですね」


貴音「……………うっ!」ズキッ


貴音「……痛みが、出て……」ズキズキ


貴音「……はぁ、はぁ……」


貴音「………あなた、様……」









ガラガラガラガラ………


貴音「はぁ……はぁ……」


貴音「……あ、あなた様……」


貴音「すみません……先程、帰路につかせた所を……はぁ……はぁ……」


貴音「………あの後、痛みが出て来てしまい……はぁ……はぁ……」


貴音「今、手術室に運ば……うぅっ!」ズキッ


貴音「……あ、あなた様……はぁ……はぁ……」


貴音「手を……握って……欲しい、です」


貴音「………はぁ……はぁ……」ギュッ


貴音「………あなた様の……温もり……想いが……」


貴音「………伝わって……来ます……はぁ……はぁ……」


貴音「………あなた……様……」


貴音「……私は……もう……大丈夫……です……」


貴音「……どうか……あまり……心配せずに……待ってください……」


貴音「………あなた………様……」






ガラガラガラガラ………


バタンッ





P「………」


P「貴音……」







響「はぁ……はぁ……」タタタ


響「……あ!プロデューサー!」


P「……………響か」


響「貴音は!?」


P「……今、中に……」


響「そ、そう……」


P「……………」


響「貴音……大丈夫、だよね?」


響「病気はもう大丈夫ってお医者さんに言われたし、大丈夫だよね!」


P「………あぁ、大丈夫……」


P「………なんて、言える確信なんてない……」


響「……え?」


P「こんな経験……初めてだから何にもわからないんだ……」


P「くそっ……こういう時は、俺がしっかりしてないといけないのに……!」


P「……不安で不安で、仕方ないんだ」


響「プロデューサー……」

響「……誰だって、きっとそうだよ」


響「しかも、病気と重なったら尚更そうなるよ」


響「だから、自分を責めるのはやめてよ、プロデューサー」


P「………………」


P「………そういう、もんなのかな……」


響「そうだよ、きっと」


P「……そうだな」


P「今は、貴音の無事を祈るしかないな」


響「……うん」


















オギャー……オギャー……


P&響「!!」




数時間後


律子「本当、最初に貴音が切迫流産になった時は心配したわよ」


あずさ「性器出血したりして、大変だったでしょ?」


貴音「えぇ、妊娠した後も出ていて……」


貴音「しかし、本当に流産にならなくて安堵いたしました」


亜美「前にお見舞いに行った時、出血の話からつわりが来た時は超ビビったよ〜!」


真美「吐血したかと思ったもんね〜!」


貴音「少々、病食を食べ過ぎたらしく……」


響「も〜!病院では自重してよね!」


真「でも、あのポッコリしたお腹が見事になくなったね」


春香「やっぱり、妊娠線とかついたんですか……?」


貴音「見てみますか?」チラッ


雪歩「あ……本当だぁ///」カァァ…


伊織「……何で赤くなってんのよ」


小鳥「うぅ……なんて羨ましい傷跡なの……!」グスッ

千早「それより四条さん、本当におめでとう」


やよい「ご出産、おめでとうございます!」


貴音「祝福の言葉、真、感謝いたします」ペコッ


美希「貴音が引退してから、どれくらい経ったの?」


律子「そうね……もう何年も経ったわよね」


響「プロデューサーに聞けばわかるよね」


響「ねぇ、プロデューサー?貴音と結婚してから……」クルッ


響「……あ、あれ?」


春香「プロデューサーさん、いないね……」


千早「どこに行ったのかしら……?」




ガラガラッ


P「いやぁ〜、悪い悪い、遅くなって」

あずさ「あ、プロデューサーさん…」


亜美「兄ちゃん、どこ行ってたの?」


P「いやな、家に置いてたベビー用品をな……」


雪歩「も、もう取って来たんですか……?」


真美「兄ちゃん……気が早すぎるっしょ……」


P「え?そ、そうか……?」


小鳥「出来るだけ、貴音ちゃんの側に居てあげてくださいよ?」


P「そ、そうですね……すみません……」


伊織「……さっ、そろそろ私達も帰るわよ」


P「え?もう帰るのか?」


伊織「生まれた子は、切迫流産の影響が無いか検査中でしょ?」


伊織「また後日、見に来させてもらうわ」


伊織「さっ、行くわよ」スタスタ


やよい「貴音さん、また来ますねー!」スタスタ








ガラガラ…



P「……皆、行っちゃったな」


貴音「……きっと、気を利かせてくれたのでしょう」


貴音「私は、良き仲間を持ちました」


P「あぁ……そうだな」


P「……貴音」


貴音「はい?」


P「お疲れ様」なでなで


P「よく頑張ってくれたな、本当にありがとな」なでなで


貴音「……私一人では、きっと頑張りきれなかったと思います」


貴音「皆がいて、そして……」


貴音「あなた様が、いてくれたから……です」


P「貴音……」



貴音「……しかし、私はまだあなた様の温もりを感じ取りたいようです」


貴音「どうか、また温もりをくれませんか?」スッ


P「……あぁ、いつだっていいさ」ギュッ


P「また、貴音が不安になった時は手を握るさ」


貴音「……ふふふ」


貴音「では、共に手を手をとりあい……」


貴音「幸せな家庭を、築き上げていきましょう……」


貴音「……あなた様///」






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