魔法少女まどか☆マギカスペシャル 8MAGICAS (47)

・この作品は何かと共通点が多いと言われているまどマギ(おりマギ含む)と仮面ライダー龍騎(ストーリーのみ)のクロスオーバーもどき作品です

・具体的には仮面ライダー龍騎スペシャル13RIDERSをまどマギで再現してみようと思った作品です

・但し龍騎スペシャルは時間が短く結構駆け足なのである程度肉付けをしようとは思っています

・登場人物の性格改変やオリジナル設定も含まれる上に、まどマギと龍騎が原作という関係上登場人物がかなり死亡します

・上記の通り、読み手をかなり選ぶ作品になると思います

・まぁ、龍騎スペシャルの結末を知っている人ならオチが分かっちゃうと思いますがこのSSで少しでも楽しめたのなら幸いです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369496584

キュゥべえ「合わせ鏡が無限の世界を形作るように」

キュゥべえ「現実世界の運命も一つってわけじゃない」

キュゥべえ「同じなのは欲望だけさ」

キュゥべえ「そして誰もが欲望を背負い、そのために戦っている」

キュゥべえ「その欲望が背負いきれなくなった時、人間は魔法少女になる」

キュゥべえ「そう、魔法少女としての戦いが始まるのさ」

OP『ttp://www.youtube.com/watch?v=6gKyaTUf7ek

『織莉子の家』

織莉子はついさっきキュゥべえと魔法少女として契約した
しかし、顔色は非常に悪く、そんな彼女の精神状態を反映するかのようにソウルジェムは契約したばかりだというのに少し濁ってしまっている

織莉子「な、何なの…あれは」

彼女の魔法少女としての能力は『予知』である
その予知能力であるモノが映っていた、それが悪夢以外の何物でもなかった
巨大な魔女、そしてその傍に佇む黒髪の少女
これだけなら若干驚くだけだっただろう、しかし本番はここからだった
しばらくするとその魔女は虐殺を始めた
しかし、殺される人々は苦悶の表情ではなく、恍惚の表情を浮かべながら殺されていった
そのあまりにも異様すぎる光景は織莉子に生理的嫌悪を抱かせるのに十分すぎるものだった
また、その魔女があまりに危険すぎることも瞬時に把握した

織莉子「キュゥべえ…今日はもう帰ってくれないかしら、ちょっと一人で考え事をしたいの」

キュゥべえ「別に構わないよ。何か質問があったらテレパシーで話しかけてね」
そう言うとキュゥべえは窓から外に出ていった

織莉子「あんなモノを放っておいたら間違いなく世界は終わるわ」

織莉子「それだけは何とか避けないと…」

織莉子「だけど私一人ではあんな魔女を相手にすることは出来ない」

織莉子「まずは仲間を集める必要があるわね」

織莉子はソウルジェムを手に取ると予知能力を発動した

織莉子(思った通りの予知が出来ないのは難点だけど)

織莉子(もし予知に魔法少女が映ったら交渉して仲間に引き入れるのが賢明かもね)

織莉子(仮にまだ現時点で魔法少女じゃなかったらキュゥべえにリークして契約させればいい)

運よく織莉子には魔法少女のビジョンが流れ込んできた
その魔法少女は黒髪短髪で黒ずくめの少女だった

織莉子「この子は確か…」

そう呟くと織莉子は家の外に出ていった


『駅前の商店街』

キリカはある人物を探していた
彼女は非常に内気であり、俗にいうコミュ障だった
そのため赤の他人達とは相互不干渉の状態が続いていた
そんなある日、キリカは小銭を落としてしまった
いつものように小銭を拾おうとすると銀髪の少女が拾うのを手伝った
初対面の人間が自分を手伝ったことに彼女は不思議に思い、名前を聞いてみようと思った

キリカ「…ぁの」

織莉子「何かしら?」

キリカ「ぁっ…ぁりがとうござぃました」

織莉子「どういたしまして」

そのまま織莉子は笑顔を浮かべたまま去って行った

キリカ(結局名前聞けなかったな…)

その後キリカはキュゥべえと契約し、性格を改善してもらう代わりに魔法少女となった

キリカ(どこにいるんだろう、恩人。今ならちゃんと話出来ると思うけど)

するとキリカの視界に突然あの日あった銀髪の少女が入った
彼女の姿を見たキリカは走り出し人目を気にせずに彼女に抱き付いた

キリカ「やっと会えたね!恩人。私はずっと君に会いたかった」

『風見野』

ゆま「あ、あぁ…」

ゆまの眼前には結界と呼ばれる奇妙な空間が広がっていた
両親はすでに魔女に殺されていた
最も両親はゆまを虐待していたため、ゆま自身は両親が殺されても何の感想も抱かなかった
今ゆまにあるのは目の前の魔女に対する恐怖のみである

キュゥべえ「お困りのようだね」

ゆま「誰?」

キュゥべえ「僕の名前はキュゥべえ」

キュゥべえ「僕は君が生き延びるための力を与えることが出来る」

ゆま「どうやって?」

キュゥべえ「簡単さ、僕と契約して魔法少女になればいいだけのことだよ」

ゆま「魔法少女になればあれを倒せるの?」

キュゥべえ「あの程度の魔女なら簡単に倒せるね」

ゆま「じゃあ、わたし魔法少女になる!」

結界の陰でゆまの体内からソウルジェムが抽出される作業を見つめる2人の魔法少女がいた

織莉子「やっぱりあの子魔法少女の資質があったのね、キュゥべえにリークして正解だったわ」

キリカ「むぅ…」

織莉子「あら、嫉妬してるの?」

キリカ「だってぇ…」

織莉子「仕方ないわ、正直言って私達2人では例の魔女に勝てそうにないもの」

織莉子「だからあんな幼い子供を利用してでもやるしかないのよ…」

『1週間後』

さやかは今茫然自失の状態で見滝原の警察署の留置所の床に座っていた
茫然自失になっている理由として警察に逮捕されたというのもある
だが、最大の理由は彼女が魔法少女になった理由である恭介が仁美と交際を始めて失恋したからだ
失恋した彼女がその夜に街にてとあるホスト二人をボコボコにして全治一か月の怪我を負わせた
それが現在さやかが留置所にいる理由である
彼女の鬼気に押されたのかホスト2人は彼女の前で差別的発言をしたのがそもそもの原因だと泣きじゃくりながらあっさり自供した
さやかも魔法少女のことは伏せつつ初恋の相手に失恋したことも警察に話した
この証言を聞いた警察は『思春期なので過剰に苛立って突発的な犯行に及んだ』と判断した
加害者が未成年であること、突発的な犯行であること、被害者に落ち度があることを理由に
警察は事件が大した物ではないと判断し、公にしようとはせず穏便に闇に葬ろうと考えていた

さやか「まどかにも魔法少女になったことは内緒にしているのに」

さやか「恭介に『私は魔法少女になって人外になりました』なんて言えるわけないじゃない…」

そんなさやかの元にどこからともなくコンビニの袋を持った杏子がやってきた

杏子「よぉ、荒れてんなさやか」

さやか「からかいに来たの?そもそもどっから入ってきたのよ…」

杏子「まぁ、魔法を使ってちょいちょいとな」

さやか「そっか、あんた銀行強盗で生計立ててるもんね…」

杏子「バーロー、サツに聞かれたらどうすんだよ」

杏子「まぁいいや、元気なさそうだから飯を差し入れにきただけだよ」

杏子は袋からコンビニのおにぎりをいくつか取り出してさやかに差し出した

さやか「お腹すいてないからいらない…」

杏子「人の好意はちゃんと受け取れって…」

杏子「あと、ついでにこいつを没収された私物から失敬してきたんだよ」

杏子は懐からさやかのソウルジェムを取り出してさやかに見せつけた

さやか「返しなさいよ!」

さやかは必死にソウルジェムを奪い返そうと手を伸ばすが杏子は余裕でひらりと身をかわす

杏子「鉄格子越しとはいえ、変身してないあたしに触れることもできないなんて相当な重症だな」

杏子「こいつはあたしが預かるから魔女退治のことはしばらく完全に忘れて頭を冷やしな」

杏子「大丈夫だって、監視もかねてあんたの100m圏内から離れるつもりは無いからさ」

杏子「おまけで日常生活で溜まる穢れもあたしが浄化しといてやる」

さやか「だからと言って!」

杏子「ついでに言っておく、ちょっと酷な言い方かもしれないがあんたがこうなったのは自業自得だ」

杏子「魔法少女が魔女と戦うリスクがあることを承知であんたは他人のために願いを使った」

杏子「確かにキュゥべえは説明不足だったけどな」

杏子「それでも玉砕覚悟であいつに告白するとかやりようはまだあったはずだ」

杏子「だけどあんたはすぐに諦めて現状打破をしようともしなかった」

杏子「その結果、あんたにとって最悪の事態になった。違うか?」

さやか「…」

杏子「全く…」

杏子はそのまま留置所から姿を消した

杏子「とは言っても100mじゃあんま離れられないしどうしたもんかねぇ…」

織莉子「お困りのようね、佐倉杏子」

驚いた杏子が振り返るとそこにはアタッシュケースを持った織莉子が立っていた

杏子「てめぇ何物だ」

織莉子「予知通りの乱暴さね」

織莉子「私の名前は美国織莉子よ」

杏子「そのあんたが一体あたしに何の用さ」

織莉子「あなたと取引をしたいの」

杏子「取引?」

織莉子「今から11日後に強力な魔女が現れるわ」

杏子「何だ、ワルプルギスの夜でも来んのか?」

織莉子「いいえ、危険度は恐らくワルプルギスの夜よりも上よ」

杏子「はぁ!?そんな魔女いんのかよ」

織莉子「私の予知魔法では現れると示されているわ」

杏子「予知魔法なんてもんをあんたが本当に持っている証拠でもあんのか?」

織莉子「今ここで証明することは出来ないけど、そう言うと思ってあなたには依頼金を持ってきたわ」

織莉子は右手に持っていたアタッシュケースを開ける
アタッシュケースの中身は大量の札束だった
それを見た瞬間杏子の目の色が変わった

杏子「へぇ…」

織莉子「これすべてあなたへの前金よ」

織莉子(どうせこれ全部お父様の裏金だから未練はないしね)

織莉子「例の魔女を倒した時には成功報酬としてこれとほぼ同額の現金をつけるわ」

織莉子「それでも足りないならその青いソウルジェムを管理する係も私と仲間がローテーションでやってもいいわよ」

杏子「いや、このソウルジェムはあたしが持ってるよ」

杏子は踵を返してその場を去ろうとしたが、最後にニヤリと笑いながら織莉子の方を振り向いた

杏子「協力はするけどこいつを渡すほど信頼はしてねぇしな」

『見滝原市の路地』

ほむら(今のところまどかは契約していない)

ほむら(とりあえず順調と言っていいかしら?)

織莉子「こんにちは、暁美ほむら」

声の主が織莉子だと認識した瞬間にほむらは無意識に拳銃を取り出し織莉子に突きつけた

ほむら「何の用かしら?美国織莉子」

織莉子「あら、私も偉く嫌われたものね」

ほむら「あなたは知らないでしょうけど色々とあったのよ」

織莉子「まぁいいわ」

織莉子「今日はあなたに提案があるの」

ほむら「一応話だけは聞いてあげるわ」

織莉子「私達は今ある強力な魔女を倒すために手を組んでいるの」

織莉子「一応言っておくけどワルプルギスの夜じゃないわよ、あれよりももっと強力な魔女なの」

織莉子「だからあなたも私達の仲間にならない?」

ほむら(やっぱり、こいつが話している魔女はまどかが魔女化した魔女のことね)

ほむら(こいつを監視するためにも一応懐に入るのも一つの手か…)

ほむらは織莉子に突きつけていた拳銃を盾にしまった

ほむら「わかった、その提案を飲むわ」

ほむら「一応そちら側にどれだけ仲間がいるのか確認したいから、今はどの魔法少女が仲間にいるのか教えてくれるかしら」

織莉子「いいわよ、今仲間になっているのは呉キリカ、千歳ゆま、佐倉杏子の3人よ」

ほむら(そこそこいるわね、ひょっとしたらこの同盟でワルプルギスの夜を倒すことも可能かもしれない)

ほむら「それだけわかれば十分よ」

ほむら(だけど警戒するに越したことはないわね)

織莉子(数日前の予知により、魔女の正体は魔法少女のなれの果てだと分かった)

ほむら(こいつらにはワルプルギスの夜との戦いの時のみ役に立っていればいいもの)

織莉子(つまりあの例の魔女の正体は例の魔女が出現するまで生存している魔法少女のだれかだということになる)

ほむら(何ならワルプルギスの夜を倒した直後に美国織莉子と呉キリカを殺害する手もあるわね)

織莉子(現在私の元にいる魔法少女は全員私が介入する前は例の魔女が出現する日までに死亡することになっていた、だから彼女達は違う)

ほむら(残りの魔法少女にはワルプルギスの夜との戦闘中に死亡したと言えばいいでしょう)

織莉子(そして例の魔女は暁美ほむらの目の前に出現した、つまり暁美ほむらについていれば例の魔女になる魔法少女に繋がるかもしれない)

ほむら・織莉子((11日後までせいぜい利用させてもらうわよ!!)) 




作者です、
まだ13ライダーズ本編に入ってすらいませんが、ちょっと時間が遅くなってきたので申し訳ありませんが、続きは夜が明けてから投稿させてもらいます
文の量は明日で完結できる程度の量なのでご安心ください。

『1週間後』

まどか「はぁ〜やっと今日の授業終わったよ」

仁美「お疲れ様、一緒に帰りますか?」

まどか「ううん、今日もさやかちゃんを探しに行くよ」

仁美「そうですか…」

まどか「だから一緒に帰れないや、ごめんね仁美ちゃん」

仁美「構いませんわ、さやかさんは一体どこに行ってしまったのでしょうか…」

美樹さやかはしばらく前から行方不明になっている
勿論、真相は彼女が警察に留置されているからだ
しかし、中学校側は在校生が犯罪者になったと発覚するとイメージが悪くなると考え、事件を隠蔽しようと考えていた
そのため真相を知るのは中学校の校長を始めとした重役以外ではさやかの両親しかいない
だから真相をしらないまどかは放課後にさやかを探すのが最近の日課になっていた

まどか「本当にさやかちゃんどうしちゃったんだろう…」

しょんぼりしながら街中を探していると突然周りの景色が変化し結界が形成され始めた

まどか「え?何が起こっているの!?」

結界が完成すると使い魔達が現れてまどかを襲おうとした
まどかは怯えて目をつぶった

魔法少女「危ない!」

突然結界内に響いた声と共に見知らぬ魔法少女がまどかを襲おうとした使い魔を倒した

魔法少女「君、大丈夫?」

まどか「あ、ありがとう、あなたは一体…」

魔法少女「私は魔法少女、今のような怪物と戦う戦士だよ」

まどか「魔法少女…」

魔法少女「っと、いよいよ親玉の魔女が出てきたね」

2人の目の前に魔女が現れた
その魔女は鋭利な刃物のような物を大量に射出して攻撃をしてきた

魔法少女「チッ!伏せて」

魔法少女はまどかを押し倒して魔女の攻撃から庇った

魔法少女「少しの間我慢しt」

その瞬間いきなりその魔法少女の力が抜けてしまった

まどか「魔法少女さん…?」

魔女の攻撃が止んだ後に魔法少女に話しかけたり、体を揺さぶっても全く反応しなかった

キュゥべえ「どうやらさっきの魔女の攻撃でソウルジェムが破壊されてしまったようだね」

驚いたまどかの背後にいきなりキュゥべえが現れたが、まどかは混乱しており小動物がしゃべっていることに関して考えが及ばずキュゥべえが言ったことの質問をした

まどか「どういうこと?」

キュゥべえ「ソウルジェムは魔法少女の魔力の根源であり命そのものだからね」

キュゥべえ「破壊されると生命活動が停止してしまうわけさ」

まどか「じゃああの魔法少女さん死んじゃったの?」

キュゥべえ「そういうことになるね」
 
まどか「そんな…」

キュゥべえ「君たちが魔女と呼ぶ怪物はこの街で多くの人間を殺害している」

キュゥべえ「だからさっきみたいに魔法少女が死んでいくのもありきたりのことなのさ」

まどか「もし…私が魔法少女になったらその魔女に襲われる人達を助けられるのかな?」

キュゥべえ「もちろんさ!見たところ君には十分すぎる資質が備わっているようだしね」

まどか「わかった、じゃあ私魔法少女になる…えっと」

キュゥべえ「僕の名前はキュゥべえ、じゃあ君を魔法少女にするね」

するとキュゥべえは触手状の耳を使ってまどかからソウルジェムを抽出し、まどかに渡した

キュゥべえ「これで君も魔法少女の仲間入りさ」

まどか「これで私も戦える、変身!」

魔法少女になったまどかは魔法で弓を作り出して魔女を撃ち貫いた
撃たれた魔女はうめき声をあげながらグリーフシードを残して消滅した

キュゥべえ「あの魔女を一撃で倒すなんて、僕の見込み通りだよまどか」

まどか「そう言われると照れるな」

キュゥべえ「あと、あの黒い球体を拾うのを忘れないでね」

キュゥべえ「あれはグリーフシードと言ってソウルジェムを浄化するのに必要なんだ」

キュゥべえ「使い方はグリーフシードをソウルジェムにくっつけるだけで大丈夫だよ」

まどか「ちょっと待っててね、拾ってくるから」

まどかはグリーフシードを拾うと、傍に倒れていた魔法少女の服の腰のあたりに紙が挟まっているのを見つけた
何気なく気になったまどかは紙を見てみた

まどか(ごめんなさい魔法少女さん、ちょっと見させてもらいます)

まどか(えっと『見滝原市魔法少女一覧』?)

まどか(内容は『美国織莉子、呉キリカ、千歳ゆま、巴マミ、暁美ほむら、佐倉杏子、美樹さやか』…さやかちゃん!?それにほむらちゃんも魔法少女!?)

唖然としていると物を落とした音がしたのでまどかは慌てて紙を隠して顔を上げた
そこには目を丸くして唖然とした表情のほむらがいた、キュゥべえはいつの間にかいなくなっていた

ほむら「なん…で、契約なんてしたのよ」

すると怒りの形相になってまどかに詰め寄り、まどかの胸ぐらを掴んだ

ほむら「答えなさい鹿目まどか!何で魔法少女なんかになった!」

まどか「だって…魔女に襲われている人が…いる…から…って」

震えた声で言ったその答えを聞いたほむらは舌打ちをして服を放した

ほむら(迂闊だった!美国織莉子の監視に力を入れすぎてインキュベーターの方まで手が回らなかった!)

ほむら(一応ここにいたインキュベーターは時間停止を使って始末したが、後の祭りね…)

まどか「あの…ほむらちゃ…」

ほむら「今日はもう私の視界から消えなさい、不愉快だわ!」

そう吐き捨てるとほむらは踵を返しその場を去って行った

ほむら(まどかが契約してしまった以上、美国織莉子の目を避けつつまどかを魔女化させずにワルプルギスの夜を倒さなくてはならない)

ほむら(あまりにも不利な条件だけど、強力な魔法少女達が同盟を組んで魔女と戦おうとしている)

ほむら(だから、この時間軸を簡単に放棄するわけにはいかないわ)

ほむら(出来る限りのことをするしかないか…) 

『次の日』

まどか《このままソウルジェムの反応を追っていけばさやかちゃんに会えるんだよね、キュゥべえ》

キュゥべえ《確実じゃないけど、ソウルジェムを使って魔法少女の反応を追っていけばいずれさやかに会えるとは思うよ》

まどか《でも昨日はどうして急にいなくなっちゃったのキュゥべえ?》

キュゥべえ《それは僕にもわからないんだ》

キュゥべえ《君がグリーフシードに歩み寄るところまでは覚えているんだけど》

キュゥべえ《気が付いたらいきなり違う場所に飛ばされていたんだ》

まどか《そうなんだ》

このやり取りを終えて、まどかはキュゥべえとのテレパシーを切ってさやかを探すことに専念することにした
しかし、昨日のほむらの怒号がまどかに重くのしかかっていた

ほむら『答えなさい鹿目まどか!何で魔法少女なんかになった!』

まどか(何でいきなりあんなこと言ったんだろうほむらちゃん…)

まどか(怒っていたように見えるけどどこか悲しそうだったな…)

しょんぼりしながら歩いていると突然ソウルジェムの反応が強くなった

まどか「ここって警察署?」

不審に思いながらも、まどかは警察署の中に入って行った
もし情報が無くても失踪願を出すことは出来るだろうとまどかは考えていた

まどか「すいません、ちょっと聞きたいんですけど」

受付「はい、何でしょうか?」

まどか「美樹さやかさんってこちらにいますか?」

受付「美樹さやかさんですね…少々お待ちください」

そういうと受付は席を立って奥にいる偉そうな警察官に話しにいった
数分後話がまとまったのか、受付と話していた警察官がまどかの傍まで来た

警察官「お待たせしました、案内しますので付いてきてください」

警察官はまどかをさやかがいる留置所まで連れていった

警察官「我々にも色々と事情がありますのでここであったことは他言無用でお願いします、では」

そういい終えると警察官はお辞儀をして出ていった
鉄格子の中のさやかがまどかの姿を見つけると立ち上がり鉄格子の傍まで足を引きずりながら歩み寄った
久しぶりに会ったさやかは非常に病んでいるような様子であった
目はまるで死んだ魚のような目になっており、姿勢も常時猫背だった
前に会った時とは180度違う印象にまどかは戸惑ってしまった

まどか「ひ、久しぶりだねさやかちゃん」

さやか「おっどろいた、ここが分かったんだ」

まどか「こ、これを使って探したから」

そう言いながらまどかは自身のソウルジェムを取り出した

さやか「キャハハ、そっかぁまどかもとうとう人外の仲間入りかぁ」

まどか「い、一体何があったのさやかちゃん?」

さやか「う〜ん、ちょっと信じたものに裏切られてイライラしてるって感じカナ?」

さやか「そうだ、あんた魔法少女になったんでしょ?」

さやか「だったら少しくらいいたぶっても問題ないよねぇ!?」

まどか「ヒッ!」

杏子「よしとけよ、今のこいつに何言っても聞かねぇって」

まどかとさやかが声のした方に向くとさやかのソウルジェムを持っている杏子が立っていた

杏子「そのソウルジェムを見るにあんたも魔法少女か」

杏子「ったく、ここのトイレを借りていたらいきなりソウルジェムが反応したから何事かと思ったよ」

杏子「そんであんたがここに来たのは、今自由に動けないさやかを倒すためか?」

まどか「違います!この子は私の友達だから話しに来たんです」

杏子「そうかいそうかい」

杏子「さやか、せっかく友達が会いに来たんだからまとも話でもしたらどうだい?」

さやか「…」

さやかは2人の話に耳を貸さずに杏子の持っているさやかのソウルジェムを凝視している

杏子「?…まさかこいつ!」

危険を感じて杏子がさやかのソウルジェムを手放した瞬間
さやかのソウルジェムから剣が召喚され、鉄格子の隙間を通り壁に突き刺さった
まどかはさやかのソウルジェムを拾おうとするが、先にさやかが拾ってしまった
さやかは拾った方とは逆の腕で傍にいたまどかの首を絞めた

まどか「あうっ!」

さやか「アハハ、油断してあたしのソウルジェムを無防備に見せるなんてホントバカね!」

さやか「あたしだって少しくらい学習してんのよ!」

杏子「てめぇ!」

さやかはまどかの拘束を解き、そのまま杏子に向けて突き飛ばした
杏子とまどかの体制が崩れたのを確認するとさやかはソウルジェムを胸の辺りまで持ってきた

さやか「変身!」

魔法少女に変身したさやかは壁に刺さった剣を抜くと鉄格子を蹴破った
その途端警察署内に警報が鳴り響いたが、さやかは構わずに出口に向かって歩いて行った

杏子「チッ、厄介なことになったな…」

杏子「おい、倒れてんじゃねぇ!サツに見つかる前にとっととズラかるぞ!」

多くの出来事がいっぺんに起こって頭が混乱したまどかは杏子の肩につかまりながら警察署から脱出するので精一杯だった

『見滝原の公園』

何とかまどかを連れて公園まで逃げてきた杏子はまどかの調子が戻るまで待つことにした
そして、まどかの調子が戻ったのを見計らって杏子はさやかの身に起こったことをまどかに話した

まどか「さやかちゃんの身にそんなことが…」

杏子「ああ、少しは同情するけどな」

杏子「だけどあいつの場合は自分でどうにかしようとしなかったあいつ自身の責任さ」

まどか「どうしてそんなこと言うの」

杏子「あん?」

まどか「さやかちゃんは上条君のために頑張っていたのに、こんなのあんまりだよ…」

杏子「あんたはまだ魔法少女になってから1日しか経っていないからそんなこと言えるのさ」

杏子「魔法少女ってのは実際は自分で自分をフォローしないとやっていけないもんなのさ」

杏子「他人のために自分を犠牲にして頑張るなんて、もっての外なんだよ」

まどか「そんな…自分のためだけに他の人を犠牲にするなんてこんなの絶対おかしいよ!」

杏子「はいはい、勝手に言ってろ」

杏子「ま、あんたみたいな他の魔法少女がどう考えていようがあたしには基本的に関係ないけどな」

杏子「精々獲物を横取りされないように頑張んな」

杏子は手をひらひらと振りながら公園から去って行った
まどかは唖然としてその場から動くことが出来なかった

ほむら「こんな所にいたのね」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「これからどうするつもり」

まどか「さやかちゃんを止めに行こうと思っているんだけど…」

ほむら「あなたはどこまで愚かなの?美樹さやかはもう手遅れよ」

まどか「だけどあんな事を聞いたら放っておけないよ!」

ほむら「あなたは昨日出会った魔法少女を覚えているかしら?」

まどか「え?うん」

ほむら「彼女は将来の夢がジャーナリスト志望の少女だった」

ほむら「だから魔法少女になった後も好奇心でこの街にいる魔法少女について調べることに心血を注いでいた」

ほむら「だけどそれが美国織莉子にバレた」

ほむら「そのため彼女の仲間に狙われることとなり、あなたを助けた時にはもう限界だった」

ほむら「要するに彼女は首を突っ込みすぎて命を落としたってことよ」

ほむら「だからあなたも命を落とす前にこの件から手を引きなさい」

そう言うとほむらはまどかの前から姿を消した

まどか(そんなことを言われても私は諦めない)

まどか(一人じゃダメでも他の人と一緒なら…) 

『次の日』

まどか「大きい家だな、ここで間違ってないよね」

その日まどかは織莉子の家の前に立っていた
さやかを止めるための仲間を集めるためである
昨日のほむらの話から判断して織莉子は魔法少女の親玉みたいなものだとまどかは推測した
だから、織莉子に話を通せば手早く済むとまどかは考えたのだ
あまりの家の大きさに緊張していたが、まどかは意を決して呼び鈴を鳴らした

織莉子「はーい、どなたかしら?」

まどか「あの、美国織莉子さんですか?」

織莉子「ええそうよ、ご用件は何かしら?」

まどか「ええと、話があるんだけどこれを見れば分かってもらえるかな?」

まどかはポケットからソウルジェムを取り出して織莉子に見せた

織莉子「…紅茶を入れるわ、遠慮しないで中に上がってちょうだい」

『織莉子の家のリビング』

織莉子「おまたせ、砂糖はいくつ入れる?」

まどか「あ、結構です」

織莉子「分かったわ、それで話ってなに?」

まどか「私の友達を助けてほしいの」

まどかは魔法少女になってからのことをすべて織莉子に話した
話を聞いているあいだ織莉子は紅茶に口をつけているだけだったが
まどかの話が終わると織莉子はカップをソーサーに置いた

織莉子「なるほど、話は理解出来たわ」

まどか「それじゃあ」

織莉子「だけど協力は出来ないわ」

まどか「え?何でですか!?」

織莉子「仮に私が協力して、美樹さやかの問題を解決したとしましょう」

織莉子「そしたらもう二度と同じような問題は発生しないと保障出来ますか?」

織莉子「この程度の問題は世の中には正直言って有り触れています」

織莉子「でなければ魔法少女の存在意義は皆無に近いでしょう」

織莉子「あなたはこの世のすべての問題に対して真剣に向き合えるとでもいうのですか?」

まどか「それは…」

織莉子「分かったのならお引き取り願います」

まどか「はい…」

織莉子「最後に一言だけ言っておきます」

織莉子「この世界に生きている人間は皆魔法少女と言っても過言ではないのです」

しょぼくれながらまどかが家から離れていくのを見守りながら織莉子は考え事をしていた

織莉子(本当は彼らの欲望を受け止められない限り、世界中の人々を真の意味で救うことは出来ないのでしょう)

織莉子(だから私の例の魔女を倒して成そうとしている救世も真の意味では救世ではないのかもしれない)

織莉子(でも、もう賽は投げられたから後戻りはできないわ)

織莉子(それにしても鹿目まどか…予知だと例の魔女が出現する日まで生存している)

織莉子(マークしておく必要はあるわね…) 

『見滝原公園』

マミ「いきなり呼び出して何の用かしら?暁美さん」

ほむら「突然呼び出したことは詫びるわ、だけど重要な話なの」

ほむら「今から5日後にワルプルギスの夜が現れる」

ほむら「単刀直入に言うわ、私はあなたと組みたい」

マミ「最近ずっと一人で魔女退治をしてたから歓迎するわ…と言いたいところだけど」

マミ「お断りよ」

ほむら「何故かしら?」

マミ「あなた今、佐倉さんがいるグループに所属してるでしょ」

ほむら「よく知ってるわね」

マミ「何で今更私と一緒に別の同盟を組もうとするの?」

マミ「2重スパイにでも憧れているのかしら?」

ほむら「そんなつもりは毛頭ないわ」

ほむら「ただ美国織莉子の同盟では実行できないことが見つかっただけよ」

マミ「実行できないことね…具体的には?」

ほむら「それは言えないわ」

マミ「ワルプルギスの夜を始めとする魔女相手なら、佐倉さんのいる同盟の方が有効打を与えられると思うわ」

マミ「つまり、私との同盟の目的は戦闘ではない」

マミ「あと考えられる目的としては、何か特定の人物を防衛するためとか?」

ほむら「!」

マミ「図星のようね」

ほむら「あなたにしては妙に感が鋭いわね」

マミ「一応私は正義の魔法少女だもの」

マミ「このくらいのことは選択肢に入っているわ」

すると2人の後ろで物音がしたので2人が振り向くと、そこにはまどかがいた

ほむら「鹿目まどか、あなたまさか盗み聞ぎしてたの?」

まどか「え?私今来たばっかりだよ」

ほむら「だったら今すぐこの場から去りなさい」

その時3人のソウルジェムに魔女の反応が現れた

ほむら「結界!この近くね」

マミ「行きましょう、暁美さん」

まどか「ま、待ってよ2人とも」

3人が走り出してしばらくするとグリーフシードを見つけた

マミ「ここから結界に入れるわね」

ほむら「そのようね」

ほむら・マミ「「変身!」」

まどか「え、えっと…変身!」

3人が結界に入ったころ、偶然織莉子も公園の辺りでキリカと散歩していた

織莉子(この反応はまさか…)

キリカ「どうしたの織莉子?」

織莉子「ごめんなさい、ちょっと先に帰ってくれるかしら」

キリカ「えぇ!?そんな〜」

織莉子「お詫びに今日は美味しいケーキを買って帰るわ」

キリカ「本当!?約束だよ」

織莉子「勿論よ」

ウキウキ気分で家に戻っていったキリカを見守った織莉子は公園のグリーフシードの所に向かった

織莉子「さてと…変身!」

『魔女結界内部』

まどか、ほむら、マミの3人は結界の中で魔女と使い魔と戦っていた
戦っている最中に次第にマミが2人から離れた位置の使い魔と戦うようになっていた
この位置ならまどかとほむらに気づかれないだろうと思った織莉子はマミが周りの使い魔をすべて倒したのを確認すると背後から攻撃した

マミ「っく!誰!?」

織莉子「いきなりの無礼を失礼するわ」

織莉子「私の名前は美国織莉子よ」

マミ「その美国さんが何しに来たのかしら?」

織莉子「そうね、予知によるとあなたケーキが好きみたいだけど」

織莉子「私に美味しい洋菓子屋さんを教えてくれないかしら?」

マミ「あなた、ふざけてるの?」

織莉子「冗談よ」

織莉子「予知によると巴マミ、あなたは例の魔女が現れる日まで生存している」

織莉子「つまりあなたは例の魔女になる候補の一人ってわけよ」

マミ「余計意味が分からないわね」

マミ「要するに私を倒しに来たって訳かしら?」

織莉子「要約するとそうなるわね」

織莉子が言い終わった瞬間にマミはマスケット銃を何丁も召喚して一斉に掃射した
しかし、織莉子はピンポイントにエネルギー球を展開しすべて防いだ

マミ「へぇ、それが予知能力ってやつ?」

織莉子「見たい内容は指定出来ないけど意外と便利よ」

織莉子は大量のエネルギー球を出してオールレンジ攻撃を展開した
マミも負けじと撃ち落とそうとするが間に合わずにいくつか被弾する

マミ「クッ!手ごわいわね」

織莉子「それでも私の攻撃を9割近く撃ち落とすなんて、さすがはベテラン魔法少女と言ったところかしら?」

マミ「敵に褒められても嬉しくないわね」

織莉子「でも早くこの戦いを終わらせた方がいいと思うわ」

織莉子「残りの二人はちょっと苦戦してるみたいだもの」

マミは本来は魔女との戦闘中だということをハッと思い出して素早く後ろに振り向いた

 

織莉子「嘘よ」

織莉子はエネルギー球を射出してマミのソウルジェムに命中させ破壊した
マミはバランスを崩し仰向けに倒れ、そして事切れた

織莉子「まず一人」

織莉子はまどかとほむらに見つからないうちに結界の外に出ていった
その後魔女を倒したほむらはマミの死体を見つけ駆け付けた
まどかもほむらについていく形で駆け出した

ほむら「巴マミ!」

ほむら(ソウルジェムが的確に破壊されている…)

ほむら(偶然使い魔が破壊したとでもいうの?)

ほむら(いや…まさか織莉子の同盟の誰かか?)

まどか「ほむらちゃん、この人…」

ほむら「もう死んでるわ」

魔女を倒したことで結界が解除され結界に残されたマミの死体もそのまま消滅した
それを確認するとほむらは何事も無かったかのように歩き出した

まどか「ちょ、ちょっと待ってよほむらちゃん」

まどか「ほむらちゃんはあの魔法少女と友達なんじゃなかったの!?」

まどか「友達が死んじゃって何でそんな態度が出来るの!?」

ほむら「鹿目まどか、あなたは魔法少女のことを何も分かっていない」

ほむら「魔法少女というのは常に死と隣り合わせなのよ」

ほむら「私はこれまでに多くの魔法少女の死を見てきた」

ほむら「だからこれしきの事で動揺してられないのよ」

まどか「そうだとしてもこんなのって…」
  

『次の日』

キリカ「キミのことは織莉子から聞いてるよ、私のいない時に織莉子と会っていたそうじゃないか」

キリカ「正直ちょっと嫉妬したけど、後で織莉子が超あまあま甘口のケーキを買ってくれたから許したんだ」

キリカ「それで何しに来たんだい?」

まどか「えっと、ちょっとお願いがあって…」

キリカ「簡潔に頼むよ、キミ如きの情報はあんまり海馬に入れたくないんでね」

まどか「あ、さやかちゃんを助けてほしいの」

キリカ「ふむ、そのさやかというのはキミにとっての何なんだい?」

まどか「さやかちゃんは私の友達なんだ」

まどか「だけど今さやかちゃんは大変なことになっているの」

まどか「だからキリカちゃんにも手伝ってもらいたくて」

それを聞いた途端キリカは傍にあったテーブルを両手で全力で叩き、彼女自身も鬼のような形相に変わった

キリカ「友達のことで手伝ってほしいだって!?」

キリカ「キミは気でも狂っているのかい!?」

まどか「え、えぇ!?」

キリカ「友達っていうのはコインの表裏みたいに一心同体の存在だ」

キリカ「それに無理やり別のコインをつっつけるなんて正気の沙汰じゃない」

キリカ「そんなのコインじゃなくてただのガラクタだ」

キリカ「私はそんなガラクタは愛せないし、愛するつもりは毛頭ない」

キリカ「私はもし織莉子が別の友達を持ったら喜んで命を断とう!」

キリカ「私にとっての織莉子は現在世界に存在する言語で表現するのは不可能だ」

キリカ「いや、未来永劫愛なんてものを代理表現するモノなんて出現しないかもしれない」

キリカ「もしそんなのが出たらそれは間違いなく私達とは違う次元に存在する生命体とは違う物体かもしれないんだ」

キリカ「だからキミには協力できない」

キリカ「これから織莉子にあう予定の4258.5928742秒後までにキミの記憶を脳髄と心臓から完全に抹消するから今すぐ消えてくれ!」

まどか「う、うん…」

キリカの気迫に押されたまどかは反論することも出来ずにただその場を去ることしか出来なかった
 

『見滝原公園』

まどか「どうして誰も話を聞いてくれないんだろう…」

まどか「このままじゃ私何も信じられなくなっちゃうよ…」

ゆま「どうしたのお姉ちゃん、具合が悪いの?」

まどか「え?」

ゆま「わたしゆまっていうの、お姉ちゃんはなんていうの?」

まどか「私は鹿目まどかだよ、心配してくれてありがとうゆまちゃん」

ゆま「まどかって言うんだね、まどかは綺麗な宝石を持っているんだね」

まどか「あ、うん」

ゆま「ゆまも同じものを持っているよ」

まどかがこそこそソウルジェムを隠そうとすると、ゆまはポケットから自分のソウルジェムを取り出した

まどか「それじゃあゆまちゃんも魔法少女なの?」

ゆま「そうだよ、ところでまどかはどうして落ち込んでいたの?」

まどか「それは…」

まどかはゆまに魔法少女になってからのことをすべて話した
ゆまがまどかと同じ魔法少女だと分かったからというのもある
それとは別に、まどか自身が幼い女の子に縋り付くほど精神的に疲弊していたのがゆまにすべて話した一番の理由であろう

ゆま「そっか、まどかは大変だったんだね」

まどか「うん、ごめんねこんな話して」

ゆま「そんなことないよ、ゆまも大変だったから」

まどか「なんだかゆまちゃんと話してると安心するな」

ゆま「そうだ、ゆまがお気に入りの場所にまどかを連れてってあげる」

まどか「それってどういうところかな?」

ゆま「ついてからのお楽しみだよっ!」

『ほむらの家』

ピンポーン

ほむら「誰かしら」

杏子「よう」

ほむらは無言でドアを閉めようとするが杏子達は無理やりドアをこじ開けて中に入った

杏子「そうカリカリすんなって、仲間だろうが」

ほむら「何しに来たのかしら?」

杏子「ん、ちょっとメシをタカりにな」

ほむら「食材は全く残っていないわよ」

ほむら「そもそもあなた美国織莉子から大金を貰っているんだから外食すればいいじゃない」

杏子「冗談が通じないやっちゃなぁ」

杏子「あんたは鹿目まどかって魔法少女を知ってるかい?」

その言葉を聞いたほむらは一瞬動きを止めた

ほむら「…知ってるわ」

杏子「何だか知らないけどチョロチョロと動き回っているからそろそろ鬱陶しくなってきてさぁ」

杏子「あたし達の方から釘を刺しておこうと思っているのさ」

織莉子「私も事情は言えないけど彼女をマークしているわ」

織莉子「そろそろ行動を起こしてもいいんじゃないかしら?」

ほむら(こいつ…まどかの魔女についてかなり核心に近づいてきているわね)

ほむら「鹿目まどかの件は私一人でカタをつけるわ」

ほむら「分かったらすぐに出ていきなさい」

織莉子「妙にイラついてるわね暁美ほむら」

織莉子「巴マミが死んで焦っているの?」

織莉子「それとも他に理由があるのかしら?」

織莉子「例えば鹿目まどかを守りたいとか?」

ほむら「そんなわけないでしょう!」

キリカ「その必死さは私が織莉子を庇う時を思い出すんだよねぇ」

キリカ「私のアイデンティティ盗まれてるみたいでムカつくから解体してやろうか?」

織莉子「やめなさいキリカ」

ほむら「私は私のやり方でやる…私は」

杏子「あーあー、まどろこしいんだよお前は」

杏子「そんなポリシーあたし達にとってはどうでもいいんだよね」

杏子「いいから、あたし達の作戦に参加すんのかしねぇのかはっきりしろって」

ほむら「…」
 

『見滝原のとあるファミレス』

まどか「ここがゆまちゃんのお気に入りの場所?」

ゆま「そうだよ、ゆまがこの街に来た時に初めてお姉ちゃん達がここでご馳走してくれたの」

まどか「お姉ちゃん達?」

その瞬間二人のソウルジェムが反応を示した
よく見るとファミレスの壁に孵化直前のグリーフシードが刺さっていた

まどか「グリーフシード!ゆまちゃんはここで待ってて」

ゆま「やだ!ゆまも戦う」

まどか「でも…」

ゆま「ゆまは役立たずじゃないもん!誰かの役に立てるもん!」

その気迫にまどかはやや押されてしまった

まどか「分かった…ゆまちゃんも魔法少女だもんね」

まどか「でも、無茶だけは絶対にしないって私と約束出来る?」

ゆま「うん、約束する!」

二人はグリーフシードの方を向くとソウルジェムを取り出した

まどか・ゆま「「変身!」」
 

『魔女結界内部』

まどか「使い魔はいないみたいだね、一気に倒すよゆまちゃん」

ゆま「分かった!」

二人が魔女と戦おうとした瞬間、まどかはエネルギー球による妨害を受けた

織莉子「やはり、ここに来てくれましたね鹿目まどか」

まどか「織莉子ちゃん!?今は目の前に魔女がいるんだよ」

まどか「何で魔女と戦わないの!?」

織莉子「ご心配なく、あの魔女は私が解放したようなものですから」

まどか「え、どういうこと?」

織莉子「壁に刺さっていたグリーフシードは私がソウルジェムの浄化に使ったものです」

織莉子「まぁ、許容範囲以上使わせてもらいましたが」

ゆま「ねぇ、織莉子は何でここにいるの?」

まどか「織莉子…まさかさっきゆまちゃんが言っていたお姉ちゃんって!?」

織莉子「そう、私のことです」

織莉子「風見野で千歳ゆまを仲間にした後、このファミレスで食事を共にしました」

織莉子「そして、今日彼女にあるお願いをしました」

織莉子「『見滝原公園で落ち込んでいる女子中学生を慰めてほしい』と」

まどか「じゃあ、ゆまちゃんはあなたの差し金ってこと!?」

織莉子「結果的にはそうなりますね」

織莉子「一応言っておきますが、千歳ゆま本人はあなたを騙したという自覚はありませんよ」

まどか「仲間を騙して利用してまで…あなたは一体なにをしに来たの!?」

キリカ「キミは本当に物わかりが遅いんだね、織莉子はキミを消しに来たんだよ」

キリカは魔法で爪を作り出してまどかに切りかかった
その様子を見ていたゆまが唖然としている隙に魔女が触手を使いゆまを縛りつけた

ゆま「あう!」

まどか「ゆまちゃん!」

キリカ「よそ見すんなって!」

さやか「へぇ…面白そうなことしてるじゃん」

尋常じゃない殺気を感じた全員は声のした方を向いた

さやか「あたしも仲間に入れなよ」

さやかが織莉子達に近づこうとするが、魔女がさやかの進路を塞いだ

さやか「ったく、イライラすんのよアンタ!」

さやかは魔法を使って自らの速度を極端に上げ一瞬で魔女の後ろに回り込んだ
そして手に持っていた剣で魔女を一刀両断した

ゆま「あっ…」

その時運悪く魔女に拘束されていたゆまのソウルジェムまで攻撃が届いてしまい
ゆまのソウルジェムごと一刀両断されてしまった

さやか「あれ?こいつ死んじゃった?」

さやか「まぁどうせあたしの同じ人外だから別にいいか」

さやかが再び織莉子に近寄ろうとすると投槍の攻撃を受けた

さやか「今度はあんたってわけ」

杏子「まぁな」

杏子は投げた槍を拾うとさやかとの戦闘を開始した
さやかと杏子の戦いを横目に織莉子とキリカはまどかとの戦いを再開した
いきなり色々なことが起こりすぎて混乱したまどかはまともに抵抗出来ずに
息がピッタリの二人の連携攻撃に成すがままにやられていた

まどか「うぅ…」

キリカ「それじゃあ、そろそろ君には故人になってもらおうかな?」

織莉子「待ちなさい、キリカ」

キリカ「えぇ、何でさ」

織莉子「ちょっと考えがあるの」

織莉子「暁美ほむら、あなたがトドメを刺しなさい」

ほむら「!」

織莉子「あなたも魔法少女ならこの程度は出来るわよね?」

ほむら「…当然よ」

ほむらは盾から拳銃を取り出すとまどかの元に歩いた

まどか「ほむ…らちゃん?」

ほむらは無言のまま、まどかのソウルジェムに照準を合わせて拳銃を構える

ほむら「…っく」

いつかのループでまどかに引導を渡した時のことをほむらはフラッシュバックし、拳銃を地面に落とした

ほむら「やっぱり…出来ないよ、こんなの…」

涙交じりで呟くほむらの様子を見て織莉子はほくそ笑んだ

織莉子「思った通りね、戻るわよキリカ」

キリカ「えぇ!?何でさ」

織莉子「今後の対策を話すためよ、佐倉杏子には後でテレパシーで呼んでおくわ」

織莉子「覚えておきなさい暁美ほむら、次会ったときは私達とは敵同士よ」

織莉子とキリカは結界から去り、その場には倒れたままのまどかと泣きじゃくるほむらのみが残された
 

『見滝原の路地裏』

結界から出た杏子とさやかは未だに戦い続けていた
あまりにも決着が付かないので杏子は戦闘態勢を解いた

杏子「このままじゃ埒があかねぇな」

杏子「そういやあんた、あたし達の仲間になりたいんだって?」

さやか「まぁね、色々な魔法少女がたむろしてたからさ」

杏子「あたしはあんたを入れてやってもいいけどな」

さやか「へぇ、事あるごとに突っかかってきたあんたがどういう風の吹き回しよ」

杏子「何、あんたがさっきあたし達の仲間を一人葬ってくれたからその穴埋めをしてほしいのさ」

さやか「要するにあたしを体よく使いたいってわけ?笑わせないで!」

杏子「早とちりすんなよ、本題はここからだ」

杏子「あんた正義の味方に憧れているんだろ?」

杏子「ひょっとしたら世界を救うヒーローになれるかもしれないぜ」

さやか「へぇ…」

杏子は織莉子達が世界を滅ぼす力を持つ魔女を倒そうとしていることを話した
杏子が話をしている間、さやかは不気味なほどにやけたままであった

さやか「そいつは最っ高ね!」

杏子「だろ?丁度織莉子に呼ばれているからお前も来いよ」

さやか「勿論よ、こんなとこで燻ってるよりずっと面白そうじゃないの!」

『織莉子の家』

杏子「てなわけで新しく仲間になった美樹さやかだ」

さやか「ふぅ〜ん、マミさんの家よりは豪華じゃない」

織莉子「歓迎するわ、美樹さやか」

キリカ「私は織莉子だけでいいけど例の魔女を倒すまでは我慢するよ」

さやか「だったらさぁ、今ここでやる?」

織莉子「やめなさい、二人とも」

キリカ「分かったよ織莉子」

さやか「チッ!」

さやかは不満を表すかのように体を後ろに投げ出す形で乱暴に椅子に座った

織莉子「まず最初に、暁美ほむらが私達を裏切ったわ」

杏子「テレパシーで聞いたよ、さらに仲間が抜けるとね」

さやか「あのフザけた転校生が裏切り者か、相変わらずムカつく女ね」

織莉子「そして、私の予知では例の魔女が出現するのは明日になっている」

織莉子「だけど出現ポイントまでは予知しきれなかったわ」

織莉子「その代わり、手掛かりは持っている」

杏子「勿体ぶらずにさっさと言えって」

織莉子「ごめんなさいね、私の予知には例の魔女が出現する場に暁美ほむらがいたわ」

杏子「つまり明日ほむらを尾行していれば例の魔女に会えるってわけか?」

織莉子「そういうことよ」

さやか「ねぇ、あいつが抵抗したらちょっとくらいやっちゃってもいいよねぇ」

織莉子「殺さない程度ならね」

さやか「あの散々イライラさせてくれた転校生をあたしの手でいたぶれるなんてあんた最高よ!」

キリカ「言っとくけど織莉子は渡さないよ」

さやか「はいはい、分かってるって」

織莉子(例の魔女が出現した時、予知の中の暁美ほむらは悲しげな表情をしていた)

織莉子(つまり例の魔女になる魔法少女は暁美ほむらと親密な魔法少女の可能性が高い)

織莉子(だから今回の戦いで暁美ほむらに鹿目まどかにトドメを任せるという形でカマをかけてみた)

織莉子(そして、今回暁美ほむらはトドメをさせなかった)

織莉子(つまり、例の魔女の正体は鹿目まどかが魔女になった姿でほぼ間違いない)

織莉子(だけど魔法少女の時に始末しようとすることがバレたらキュゥべえが黙っていないでしょうね)

織莉子(だからこのことは私の心だけに留めておくのが最善か)

織莉子(何にせよ、明日ですべてが決まるわ…)

『次の日』

まどかはほむらと一緒に河川敷の橋の下にいた
ほむらが織莉子達が追って来る可能性があると考えたからだ

ほむら「ごめんなさい…私は昨日あなたを殺そうとしてしまった」

まどか「ううん、謝るのは私のほう」

ほむら「え?」

まどか「私最初はほむらちゃんのこと冷たくてひどい人だと思っていた」

まどか「だけど昨日私を守ろうとしてくれた」

まどか「本当は優しい人なんだね」

ほむら「そんなことないわ…」

ほむら「私はあなたを守るために幾つもの人たちを犠牲にしてきたわ」

ほむら「だから私はあなたの思うような人じゃないのよ、まどか…」

まどか「だったらこれから皆を大切にすればいいんじゃないかな」

ほむら「これから…」

まどか「そうだよ、私だって間違ったことをしちゃった時はあるもん」

まどか「その時はこれから良いことをしてその分を挽回しようと心の中で決めているもん」

まどか「大丈夫だよ、私も一緒にいるから」

ほむら「ありがとう、まどか…」

その瞬間、草が踏み分けられる音がした

キリカ「見ぃ〜つけた」

ほむら「呉キリカ!」

まどか「逃げよう!ほむらちゃん」

『見滝原の広場』

この場所は普段は多くの人が行きかっているが、ワルプルギスの夜が接近し避難勧告が出ているため今は人っ子一人いない
まどかとほむらは行く当てもなく走り続けていた、後ろからはキリカが追いかけている

杏子「よう、どこに行くつもりだ?」

ほむら「佐倉杏子!」

杏子「この同盟に入るときに言われたよな『裏切ったら命の保証はないって』」

二人は右に逃げようとするがそこには織莉子が待ち受けていた

織莉子「いつまで逃げているつもりですか?」

さやか「あ〜、言っとくけどあんたら全方向囲まれてるからね」

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「ごめんねぇまどか、こいつらと一緒にいれば正義の味方になれるみたいだし」

さやか「何より、あの転校生を叩きのめしたかったしさぁ!」

ほむら「あなたって人は…変身!」

織莉子「臨戦態勢ってわけですね…変身!」

キリカ「分かってるよ織莉子、変身!」

杏子「やってやろうじゃん、変身!」

さやか「あんたをズタズタにしてやるわ、変身!」

織莉子「さぁ、あなたはどうしますか鹿目まどか?」

織莉子「私達と戦いますか?それとも逃げますか?」

まどか「私はバカだから今でも何が正しいのか分からない…」

まどか「でも今はほむらちゃんと一緒に戦いたい…変身!」

最初に動き出したのはさやかだった
さやかは剣を2本持ち一目散にほむらに切りかかった
ほむらは時間を止めて距離を取り拳銃2丁をフルオートで一斉発射した

さやか「魔法を使えばこの程度痛くも痒くもないのよッ!」

さやかは被弾した傍から魔法で傷を塞いでいく
杏子はその陰から束縛魔法を使いほむらを拘束した

杏子「束縛魔法を使えるのはマミだけじゃないんだぜ!」

ほむら「クッ!」

その様子を見たまどかは杏子に弓を射って妨害した

まどか「ほむらちゃんを放して」

杏子「チッ!おい誰かこいつを相手しろ!」

キリカ「私に命令するのは織莉子だけだ!」

キリカはまどかの頭上から強襲したが、ひらりと避ける

キリカ「私の遅延魔法使っても避けるなんて非常識だよ!」

まどか「これで!」

まどかは弓をいっぺんに10本近く射出して攻撃した
キリカは矢に重点的に遅延魔法を使いすべて回避した
その様子を見ていた織莉子は強力なエネルギー球を作り出した

織莉子「さて、そろそろ終わりにしましょうか…」

織莉子はまどかのソウルジェムを狙ってエネルギー球を射出した

ほむら「まどかぁっ!!!」

まどかが狙われていることを理解したほむらは時間を停止した
そして盾から爆弾を無理やりひねり出し爆発させ束縛魔法を強引に解除する
怪我はしたが、魔法で後でいくらでも修復は出来る
そして、まどかに前から抱き付き時間停止を解除した
その直後まどかのソウルジェムを破壊するはずだったエネルギー球がほむらの胸部を心臓ごと抉り取った

ほむら「…あぁ!」

織莉子「そんな!?」

奇襲が失敗した織莉子は体制を立て直すために後ずさろうとした

ほむら「逃がさない…あなただけは!」

織莉子の予知の欠点は見える予知がランダムだということだ
そのため彼女は奇襲が失敗する予知を見ることが出来なかった
そして、これが直接彼女の死因となった
再び時間を停止したほむらは盾から対物ライフルを取り出し織莉子に向けて全弾発射した
ほむらが時間停止を解除した次の瞬間、織莉子は物言わぬ肉塊に成り果て肉片とソウルジェムの破片が飛び散った

ほむら「はぁ、はぁ…」

キリカ「え?一体何g」

キリカは織莉子の死を完全に認識する前に使い魔の鉤爪状の触手に背中をソウルジェムごと貫かれた
触手が刺さったままキリカはまるで人形を弄ばれるかのように使い魔に手繰り寄せられそのまま捕食された
周りを見ると多くの使い魔が現れている最中だった

杏子「おい、何が起こっているんだ、ここは結界じゃないんだぞ!?」

ほむら「奴が…来たのよ…ワルプルギスの夜が…」

ほむら「あいつは…結界を…必要と…しない」

杏子「何だと!?」

ほむら「あなた…達じゃ…敵わないわ…」

ほむら「早く…逃げなさい…」

杏子「確かに分が悪すぎるな、引くぞさやか!」

さやか「だけどあたしは正義の味方に!」

杏子「死んだら元も子もないだろ!」

杏子「今は生き延びることだけ考えろ!」

さやか「…チッ!次に会ったら覚えてなさい!」

杏子とさやかはその場を逃げ出して姿を消した

ほむら「まどか…お願いが…あるの…」

まどか「何…ほむらちゃん」

ほむら「お願い…あなたも…逃げて…あれには…勝てない」

まどかの実力ならワルプルギスの夜は倒せるだろう
しかし、まどかは魔力を使い果たして間違いなく魔女になってしまう
まどかを生き残らせるためにほむらは嘘をついているのだ

まどか「でもほむらちゃん、血がこんなに…」

ほむら「魔法を…使えば…治せるわ…グリーフシードも…まだある…」

ほむら「それに…奴も…避難所…までは…来ないから…人々は…大丈夫…」

ほむら「だから…私の…ことは…いいから…逃げて…まどか」

まどか「私は…」

A.街を守るためにワルプルギスの夜と戦う
B.ほむらの忠告を聞きワルプルギスの夜から逃げる

《Aルート》

まどか「ごめん…私ワルプルギスの夜と戦う」

ほむら「なん…で…?」

まどか「ほむらちゃんは住民は大丈夫って言ったよね?」

まどか「でもそれだけじゃ駄目だと思う」

まどか「私達の通う学校、いつも遊ぶ公園、色んな曲を売っているCD屋さん、そして何より私の帰る家」

まどか「私だけじゃない、この街に住むすべての人がこの街に大事な場所があるんだよ」

まどか「だから私はそれを守りたい、ひょっとしたらこれが私の魔法少女としての願いだったのかもしれないな」

ほむら「でも…あなたじゃ…勝てない…」

まどか「もし勝てなくても被害を抑えることは出来るかもしれない」

まどか「だから私行くね」

ほむら「だめ…行かないで…まどかあぁぁぁぁ!!!!!!」

まどかとワルプルギスの夜との戦いはまどかの勝利で終わった
だが、まどかのソウルジェムは限界に近づいていた

まどか「やったよ…ほむらちゃん…」

まどか「私…ワルプルギスの夜に…勝てたんだよ」

まどか「でも…もう…何も…見えない…聞こえない…感じない…」

まどか「ほむらちゃん…どこに…いるの…?」

まどか「ほむらちゃん…会いたいよぉ…」

パキンッ...













≪その日世界の滅亡が始まった≫













《Bルート》

まどか「分かった…ほむらちゃんの言うとおりにするよ」

ほむら「あり…がとう…」

まどか「ほむらちゃんも必ず逃げて」

ほむら「だい…じょうぶ…よ…」

まどか達はその場から逃げ出した
ほむら以外の魔法少女がいなくなったのを確認するとほむらは時間を停止してこの場を去った

『数日後』

見滝原市はワルプルギスの夜による被害により復興までに時間がかかると判断され
多くの住民が疎開に近い形で引っ越すことになり、鹿目家も遠い地方に引っ越した

女子生徒「それじゃあ鹿目さん、また明日」

まどか「うん、また明日」

まどか(あれから私の日常はいつも通りになった)

まどか(ほむらちゃん達がどうなったのかは分かっていない)

まどか(でも、何か違和感が残ったまま…)

まどか(一体何が…)

「…ってよ」

まどか「えっ?」

まどかは声のした方に走り出した
そこには少女がキュゥべえに勧誘されている光景があった

まどか「何で…?」

まどかは怖くなり逃げ出した
だが逃げ出した先でもキュゥべえが勧誘を行っていた

まどか「ヒッ!」

さらにまどかは逃げ出した、だがそこにもキュゥべえがいた
もっとまどかは逃げ出した、だがそこにもキュゥべえがいた

まどか「戦いは…終わったのに…」

茫然とするまどかには織莉子の言葉がフラッシュバックしていた

織莉子『最後に一言だけ言っておきます』

織莉子『この世界に生きている人間は皆魔法少女と言っても過言ではないのです』

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僕と契約して魔法少女になってよ!僕と契約して魔法少女になってよ!僕と契約して魔法少女になってよ!
僕と契約して魔法少女になってよ!僕と契約して魔法少女になってよ!僕と契約して魔法少女になってよ!
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僕と契約して魔法少女になってよ!僕と契約して魔法少女になってよ!僕と契約して魔法少女になってよ!
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まどか「嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」










キュゥべえ「この結末は悲劇なのか…」

キュゥべえ「それともこれでよかったのか」

キュゥべえ「物語はまだ序章にすぎない」

キュゥべえ「答えはもう一つのまどか☆マギカの物語が教えてくれるだろう」

魔法少女まどか☆マギカスペシャル 8MAGICAS『完』

To be continued...魔法少女まどか☆マギカ TV or movie series

これで『魔法少女まどか☆マギカスペシャル 8MAGICAS』はおしまいです
おまけで魔法少女達の配役を書いておきます

鹿目まどか ⇒ 城戸真司
暁美ほむら ⇒ 秋山蓮
巴マミ   ⇒ 手塚海之
美樹さやか ⇒ 浅倉威
佐倉杏子  ⇒ 北岡秀一
美国織莉子 ⇒ 高見沢逸郎(善人度120%増)

呉キリカ  ⇒ 芝浦淳(キ○ガイ度300%増)
千歳ゆま  ⇒ 須藤雅史(善人度200%増)

こんな読み手を選ぶようなSSを最後まで読んでくれて本当にありがとうございました

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