幼馴染「クリスマスの予定は?」 男「あるわけない」(99)

クリスマス前 商店街

カップル「♪」キャッキャッ

カップル「♪」ウフフ

男「……」

男「」カベドンッ

モブ「!?」ビクッ

男(…クリスマス前に街を歩いてもいいことねーな)

男「…帰るか」

男(高校入って最初のクリスマス。…きっと今までと何も変わらない)

数日前 教室

クラスメートa「幼ちゃんは、クリスマスは例の彼氏と過ごすんでしょ」

幼「そんな、恥ずかしいよ」カアッ

幼「…えへへ、まあね」ニコッ

クラスメートa「ラブラブでうらやましいな~」

クラスメートa「ノロケ話ばっかしないでよ~」

幼「無理かも~。だってうれしいんだもん」ニパー

男「……」

男(…彼氏だと)

男「バカなっ!!」

クラスメートb「!」ビクッ

男「…あっ、スンマセン」ペコッ

男(幼に彼氏?)

男(そんなの聞いたことねーぞ)

男(例の彼氏っていうことは、前からつきあってるのか?)

男(そんな様子、全くなかったぞ)

男(幼かわいいからいてもおかしくないけどさ)

男(…なんかすごい悔しいな)

男(…もう今年のクリスマスは、お互いの家族で過ごすこともないのか)

男(毎年、恒例だったのに…)

男(…寂しいな)

現在

男(今年も何も変わらない…)

男(…いや、変わらないでいて欲しかった)

男「……」トボトボ

……

男「…ただいま」ガチャ

男「まあ誰もいないんだけども…。今日はみんな出払ってるしな」

男「ふふっ」

男「」

ガサッ

男「…誰かいる?」

男「まさか、…俺の部屋からか?」

男「父さんのゴルフクラブを持って、と…」スッ

男「泥棒め、ホールインワンしてくれるわ…」ククッ

男「……」

男「…やっぱ誰もいないで。こわいから」

男(…扉を開けて)ガチャ

男(いざ…)

男「にゃー!!」ブン

?「きゃああっ!!」

男「…えっ?」

男「…幼?」ピタリ

幼「…いきなり何するのぉ?こわいじゃない」

幼「ゴルフクラブなんて振り回さないでよ、あぶないなぁ、もうっ!」

男「…悪い、泥棒かと思ってさ」

男「…で、なんでいるの?」

幼「最近テストとかで忙しくて、男と遊べてなかったから寂しくなっちゃって…」

幼「遊びにきたの。…だめ?」

男「…だめじゃないけど」

男(…幼の上目使いかわいいな、くそぅ)

幼「だめじゃないならいいよね。やったー!男、遊ぼー!!」

男「…うん」

男「…ところで、どうやって家に入ってんだ」

男「カギかかってたよな」

幼「えへへ、窓からヒサシを伝ってね。お隣さんっていいよね」ニコッ

男「…またかよ。いつもいつも、あぶないぞ」

幼「慣れてるし、落ちる隙間なんてないもんね~」

男「隙間じゃなくても落ちるかもしれないし、滑って転べば危ないぞ」

男「気をつけないと」

幼「……」

幼「私を心配してくれるんだね」ニコッ

男「…産まれたときからつきあいだし」

男「おかしなことになられると、目覚めが悪いんだよ」

幼「えへへ、男ってば素直じゃないのに優しいんだから♪」

幼「そういうとこ、私、いいと思うよ」ニコ

男「……」カアッ

幼「男もお部屋のカギ、ちゃんとかけなきゃだめだよ」

男「幼が入ってくるから開けてあるんだよ。入れないで屋根の上で立ち止まってたら、あぶないだろ」

幼「ふふっ、ありがと」

幼「…私のためか、そっかぁ」ボソッ

幼「こうやってゆっくりお話するの久々だね」ニコ

幼「テスト勉強今回いっしょにしてないし。…教えあったほうが効率いいよ?」

男「…色々あってさ。…ゴメン」

幼「テスト終わったあともなんかよそよそしくて、あんまりお話できてないから私、ほんとさびしかったんだよ」

男「…うん、忙しくて」

男(…彼氏いるとか聞けば、よそよそしくもなるさ)

男(…俺のがさびしいわい)

男(接触少ないのはたったひと月ちょいだったのに、彼氏ができるなんて誰が思うかよ)

男「…しかし」ジロッ

男「俺の部屋でよくそこまでくつろげるもんだ」

男(マンガ散らばってるし、ベッドが乱れてる。…別にいいけど)

男(よくないよ!幼の匂いついちゃうよっ!ベッドからいい匂いしたら、夜寝れないよー!!)

幼「男の部屋だからだもん」

幼「小さいときから来てるお部屋だよ。こんなに安心できる場所ないよ」ニコ

幼「…男の匂いするし、ホッするの」ボソッ

幼「それに男だって私のお部屋出入りしてるじゃん」

幼「なぜか最近来てくれないけど」

幼「ね~、どうして来てくれなかったの?どうしてなの?」

男「…それはっ!!」バッ

幼「それは?」

男「……」

男「…テストがやばくて」

男「…必死で赤点避けようと」

男「あと、委員会の用事で…」

男(…あれについて何か言ったら、決定打になってしまいそうだ)

男(今はまだ…)

幼「……まあいいけど」

幼「じゃあ、遊びましょっ!!」ニコッ

男「…で、何して遊ぶんだ?」

幼「…それはね」

幼「マリカーとスマブラとババヌキ」

男「なんでその三つなんだ?」

幼「好きだからだけど。だって楽しいもん」

男「まあいいか。やろっ」

幼「うん」

幼「」クスッ

幼「遊ぶ前に私から一つ提案があるの」

幼「いいかな?」

男「何?」

男(…また面倒くさいこと言い出しそうだな)

男(でも、そのおかげで退屈しないですむんだけどな)

男(……)

幼「スマブラ、マリカー、ババヌキをそれぞれ一回ずつして」

幼「三本勝負にします。先に二本取ったほうが勝ち」

幼「勝ったほうは一つ、相手に願い事ができます」

幼「いい?」

男「……」

男(…ほら、めんどい。しかも断るのはもっとめんどいんだよな)

男「いいよ」

男「俺が得意なやつばっかだしな」

男「完璧チョイスミスだろ。…ゲーム内容変えてもいいぞ?圧勝して、幼が怒りだしたらかなわないからな」ニコ

幼「もちろん変えないよ。勝算あるもん」ニコッ

男「…あとでクレームつけてもしらないぞ」

幼「さあ勝負!!」

幼「まずは何にする?男が選んで」

男「ふむ…」

男「スマブラがいいな。好きなんだよ」

幼「スマブラからかぁ…いいよ」

幼「どのスマブラ?」

男「64初代、懐かしいだろ?これ得意なんだ」

幼「男は本当に古いゲーム好きだよね」ニコッ

幼「いいよ、のぞむところだよっ!!」

ピコーン

幼「一発勝負だよ」

男「キャラはもちろんカービィ」カチャ

幼「カービィ強いもんね。私はプリン」カチャ

男「…プリンか、なんでだ?」(ピカチュウあたりかと…プリンって…)

幼「ふふっ」
男「残機は一、…宇宙船の面と」カチャ

幼「はーじめー!!」

……

男「本気で勝ちにいくからな」ニヤッ

男「…えっ」

男「おい!!」

男「…マジかよ」

……

幼「私の勝ちだね」ニコッ
幼「まずは一勝」
男「プリンがなんでこんな強いんだよ…」

幼「…練習したかいがあったね」ボソッ

男「…こんなに幼、強かったっけ」

幼「さあ、次の勝負だよ!!」

幼「また男が内容選んでいいよ」ニコッ

男「…ババヌキだ。ポーカーフェイスならぬ、冷静沈着な俺のババヌキフェイスを見せつけてやる!!」

男「これで一気に巻き返す!!」

幼「…冷静沈着ね」ニヤッ

幼「始めましょ」

……

男「……」

男「…えっ、また!?」

男「くぅっ!!」

男「…バカな」

幼「…男、わかりやすすぎだよ」

幼「私の勝ちだね」

男「…幼、ふくれっ面作戦よせよ。力抜けちまうから」

幼「でも、表情読めなかったでしょ」プクー

男「」クスッ

男(…幼のほっぺ、ふっくらしててかわいいな)

幼「男の表情は読みやすいよ、素直だね~」ニコッ

男「うっせ!」

幼「でも男ウソついたり、動揺するとき、鼻の頭さわるよね」

男「…んな、バカな」サワリサワリ

幼「ほらっ♪」

男「……」

幼「わっかりやすーい!かーわいい!!」

男「…幼のがかわいいよ」ボソ

幼「男は変わらないな~」ニコッ

男(…ほんとに何も変わらないのかな?)

男(幼の様子はいつも通りだ)

男(変わらないでほしいな…)

幼「……」

幼「…男、やっといつも通りになったね」

幼「楽しそうになってくれてうれしいな」

幼「なんか様子がおかしかったから、心配だったんだよ」

男「…そんなこと、ないよ」

男「幼は優しいな…」

幼「男はやっぱりちょっとへんだね」ニコッ

幼「3セット勝負だけど、2セットで終わっちゃったなぁ」

幼「…マリカーも練習してたのに」ボソ

幼「男はチョロいね」ニコッ

男「ふん」

幼「さて、約束だしね」

幼「何お願いしようかな~?」

男「…変な願い事はやめてくれ。あとムリそうなのも」

幼「えへへ、契約はゼッタイだよ」

幼「うんうんそうだなぁ…」(腕組みして)

幼「」ニコッ

幼「クリスマスイブに1日恋人になってもらおっ!!」

男「はいーっ!?」

幼「なんで杉下右京さんみたいにおどろくの?」

男「…ええと」

男「あのさ…」

男「…幼さあ」

幼「なぁに?私と過ごすのいや?」

幼「男とクリスマスイブ、楽しく過ごしたいのに…だめ?」

男「…いやじゃないよ」

男(…いやなんて思うかよ)

男「…彼氏」

幼「…ん?」

男「彼氏と過ごすんじゃないのか?」

幼「…ふぇ…」

男「クラスメートさんと話してたの聞いたんだ、いるのか?」

男「彼氏ってどんなヤツなんだ?全然見たことないんだけど、俺の知らない人か?」

幼「…彼氏と過ごす」

幼「ああっ!!」ポン

幼「…なるほど」クスッ
幼「もちろんいないよ。クラスメートちゃんの勘違いだよ」

幼「なんかよくわからない勘違いしててね、否定するの大変だから合わせちゃったの」

幼「だからいないんだよ」ニコッ

幼「…全くの勘違いでもないけどね」ボソ

男「…そうかよかったー」ホッ

男(やべえ、泣きそう)

男「…じゃなくて」

男「幼に彼氏なんて十年早いぜ!!」

男「恋なんて大人な気持ちわかんねえだろっ!!」ニヤッ

男(…われながらテンションがおかしいな。大丈夫か俺…)

幼「…失礼だよ、男ー」ブスッ

幼「…恋ならずっとしてるもん。幼稚園入る前から…」ボソ

男「1日恋人か…デートすればいいんだな…」

男「いいぜ、うけてたつ!幼に負けてたまるか!!」グッ

幼「…これは別に勝負じゃないんだけど」

幼「決まりだねっ!!イブの朝9時、駅前広場で待ち合わせだよ!!」ニコッ

男「いっしょに出発しないのか?隣なのに待ち合わせか?」

幼「いいの、恋人同士なんだよ…仮だけど。待ち合わせはロマンなの!!」

男「そういうもんか…」

幼「そういうものなのっ!!」

男「おう」

男「…でもなんで1日恋人なんだ、遊びに行くだけじゃダメなのか?」

幼「ダメっ!!クリスマスひとりみはさびしいもん」

幼「クリスマスは大事な人と過ごす日なのっ!!イブもだけど」

幼「だから仮でも恋人がいるの!!」

男「うん」

幼「さびしい男といっしょに過ごしてあげるんだから、感謝だよ」ニコッ

男「…さびしいのはお互い様だろ」

幼「…私は全然さびしくないもん」ボソ

見てる方、ありがとう
よいクリスマスを

男「そろそろ飯の時間だな…」

幼「じゃあ、私ご飯作ってあげようか?男もひさびさに食べたいでしょ?私の料理」

男「うん、頼むよ」

幼「キッチン借りるね」ニコッ

幼「」タタッ

……

男「…幼とデートか」

男「やったー!!」

男「やったやった!!」(喜びダンス)

男「…彼氏ってなんだったんだろう」

キッチン

幼「…えへへ」カチャカチャ

幼「おとことデート♪」

幼「ふふっ」

幼「何着てこうかな~」ニコニコ

幼「賭けゲーム申し込んだのは正解だったね。おかげで自然に誘えたよ~」

幼「男の好きなゲーム練習しててよかった」

幼「明日が楽しみ~」

幼「…おっと、ご飯作るのに集中しなきゃね」

幼「えへへっ」

クリスマスイブ
男の部屋

男「ずいぶん早く目が覚めたな…」

男「…デートかぁ、幼と」

男「しょっちゅう二人で出かけてるのに、こんなに意識したのは初めてだ…」

男「朝シャンして、丁寧に支度しよう」

男「……」

男「この箱も持って行こう。うまくいけば渡せるかも…」パッ

駅前広場

男「幼ー!」

幼「ふふっ、さすがは男。早いね」ニコッ

幼「まったく私を待たせないね」

幼「待ったー?今来たとこー?のくだりができないや」

男「…なんだその寸劇?」

男「なんか早く目が覚めてさ」

男「…ところでスーツ着て来いってなんでだ?一応着てみたけど」

男「幼もブレザー、…スーツか?だし」

幼「ナイショ…似合ってるよ、男のスーツ」クスッ

男「…ありがとう、幼もかわいいよ」

幼「…うん、ありがと」カアッ

男「…下のブラウスおしゃれだよな」

幼「…男のネクタイもいいよ」

男「……」カアッ

幼「……」カアッ

男「行くか」

幼「うん」ニコッ

男「…っていってもどこに行くんだ?そろそろ教えてくれよ」

幼「○○パークだよ。水族館と遊園地がいっしょになってるの。一度行ってみたくて」

幼「…いい?勝手に決めちゃってごめんね」

男「いいよ、楽しそうじゃん。俺も行ってみたいよ」

男「行こう」

幼「…うん」

幼「」ギュッ

男「…幼?」

男(腕にしがみつかれた…やわらかい、あったかい)

幼「…男、私さむいの。…あっためて」

幼「あっためて」(上目遣い)

男「…うん」カアッ

幼「」ニコッ

幼「このまま行こう…ね?」ギュッ

男(…死にそう、血が全部頭にのぼってるみたい。胸が痛い、ドキドキして心臓が飛び出しそう)

男「……」カアッ

幼「……」チラッ

幼「…やりすぎちゃった、恥ずかしいよぉ」ボソ

幼「えへへっ、あたたかいね」

男「ああ、あったかいな」

幼「…男は優しいなぁ」

男「うん?」

幼「歩調合わせてくれてる」

幼「さりげなく気遣いできるよね…男は。そういうところ大好き」ニコッ

男「!?」

幼「!」ハッ

幼「ちがうよ!男の気遣いが好きって意味だもん!!」

幼「やさしさに感謝なのっ!!」

幼「…好きってのは、ちがわないけど、ちがうのぉ」

男「」クスッ

幼「…今日の私ダメダメだ~、気持ちが隠せないよぉ」ボソ

男「…かわいいなぁ、ちきしょー」ボソ

○○パーク

男「ついたな」

幼「そうだね」ニコッ

幼「まず水族館から行こうかな…遊園地は夜イルミネーションが見られるんだよ」

幼「だから遊園地は、あとにまわしたほうがいいと思うの」

男「水族館からか…行くのひさびさだな」

幼「ね~!楽しみ~!!」

水族館

幼「見て男!!この魚おっきい!!」

男「はしゃぎすぎだよ、幼…」

男「…ジンベエザメ、か」

幼「しんべえザメ?」

男「それじゃ忍たまだ…ジンベエザメな」

幼「うわー!こっちはおでこ出っ張ってる~!」

男「…幼稚園で来たときと変わらないぞ、幼」

幼「失礼な~!!こんなに私、キレイになったのに!!」

幼「男は違いがわかってないねっ!!」

男「…そういうことじゃなくて」

男「…確かにキレイになったな…」ボソ

クリスマスネタ増えたなあ

幼「あっ、カニー!」

男「うまそうだな、タラバか?」

幼「男は俗だね~」クスッ

幼「光るクラゲのイリュージョンかぁ…きれい」

幼「……」ウットリ

男「……」

男(…結局、幼に彼氏はいなかった。俺は心から安堵した)

男(幼に彼氏ができたと聞いたとき、心に穴が空いたような気がしたんだ)

男(こうやっていつまでもいっしょに楽しくいられるものだと思ってたから)

男(当たり前の大切なものがあることに、なくしかけてやっと気づけたんだ)

男(それが変わってしまわないように、つかまえておかなきゃいけないんだ)

幼「キレ~」ニコッ

男「」ギュッ

幼「…男、どうしたの?私の手そんなに強く掴んじゃって…」

男「…ごめん」バッ

幼「……」

幼「…いいよ、離さないで。しっかり掴んで」

幼「つかまえてて、ね」ニコッ

男「もちろん」

幼「さっ、行こっ!!」

幼「時間なくなっちゃうよ、予定詰まってるんだから!」タタッ

男「おうっ!!」タタッ

遊園地

幼「私たちがよく行く遊園地とは違うところだから、すごく楽しみだね」

男「地元の遊園地は毎年二人で、何回か行くよな」

幼「今度からここにも来ようね」

男「うん」

幼「じゃあ、まわろ~!!」

男「おーっ!!」

男(…今度があるんだな)ニコッ

イブが終わってしまった
お休みなさい
サンタさん来ないかな~

コーヒーカップ

幼「まわしてまわしてー!!」クルクル

男「幼っ!!やり過ぎ…よせ…うっ」

幼「あっははー!!」クルクル

お化け屋敷

男「」ガクガク

幼「男震えてる~。そんなに怖いのぉ?」ニヤッ

幼「大丈夫だよー、私がついてるよっ!」

男「…幼がコーヒーカップを回し過ぎたからだよ、方向感覚がめちゃくちゃだ…」

男「…幼のが震えてじゃん」

幼「震えてないっ!!怖くないもん!!」

幼「」ブルブル

男「」ニコッ

ジェットコースター
ゴゴゴゴ

幼「」ギュッ

男「俺よりバーを掴めよ…」

ゴーッ

幼「…ふぇ、ひゃっ!!はわっ!!」

幼「…やっ!うぅっ…ふぁっ!!」

男「…隣ですごいリアクションの多い人がいると、冷静になっちゃうな」

幼「ひゃう~っ!!」

男(幼見てるほうが楽しいな)ニコッ

男(…もっと見てたいな、ずっと幼を…)

ピタッ

男「終わりか」

幼「もっかい!!」

男「…まじかよ」

観覧車

男「…暗くなってきたな。イルミネーションがついてる」

幼「きれいだね…観覧車から見てると星空みたい」

男「なっ。幼の田舎の星空みたい」

幼「あれすごいよね。こぼれ落ちてきそうだもん。またいっしょに行こうね」
男「ああ、連れて行ってくれ」

幼「もちろん」

幼「…今日さ、いっぱい手つないだね」

男「うん」

幼「…小一の遠足で遊園地行ったこと、覚えてる?」

男「…あれ、大変だったよな」

小一時代

幼「…おとこぉ、こわいよぉ…」ギュッ

幼「…ここ、どこかな?おうち帰りたいよぉ…」グス

男「…駅前だな、何駅だろう?」

男「遠足の帰りにみんなとはぐれて、電車間違えちゃうなんてな…」

男「…大丈夫だぞ、俺がついてるからな」ナデナデ

幼「…うん」

男「絶対はぐれないように手をつなごうな」

幼「」ギュウッ

……

男「…だめだ、どこだかわかんない」

男「大きな駅だから、駅の中でも迷子になってる」

男「…話を聞けそうなやさしそうな人がいないや」

男「…どうしよう」グス

幼「…ふぇ」グス

幼「…おとこぉ」

幼「泣かないでぇ。男が泣いてると、わたしもかなしいよぉ」グス

男「…うん」

男「泣かないよ」グス

男「幼も泣くなよ…」

幼「わたし泣いてないもん!」

幼「男がいるからぜんぜんこころぼそくないもん!!」

男「俺だって泣いてない!!」

男「幼ほっといて泣いたりしない!!」

幼「わたしもっ!!」

男「俺だって!!」

幼「」クスッ

男「」クスッ

男「ふふっ」

幼「えへへっ」

男「…いつも通りになっちゃったな」

幼「なんか悲しくなくなったね♪」

男「うん」

男「手ぇつないで行こう」ニコッ

幼「うん、早く帰ろ」ニコッ

男「ふたりでいればさみしくなんてないよな」

幼「そうだよ、ふたりでいるんだもん。こころづよいよ」

男「うん、ずっといっしょにいようね」

幼「うん。わたし、男の手ずっと離さないよ」ニコッ

男「俺だって」

男「俺が幼のそばでずっと守ってやる!」

幼「わたしも男守るー!」

幼「行こっ!!」

男「おうっ!!」

……

幼「…約束だよ。離れないでね」

幼「かわらないでそばにいてね、男」ニコッ
男「うんっ!!」

……

現在 観覧車

男「…変わらないでそばにいる」

男「…約束したよな」

幼「…よくできました」ニコッ

幼「忘れてたら許さなかったよ」

男「忘れるわけないだろ…俺は幼がずっと…」

幼「…しっ」

幼「もう下につくよ」

男「…ああ」

ガタン

幼「…来て」

……

男「ここは…」

幼「ヤドリギの下」

幼「告白するのにいい場所…」クスッ

男「……」

男「…俺」

男「幼が好きなんだ」

男「ずっと前から」

男「…だから、付き合ってくれないか?」

幼「……」

幼「…彼氏って誰のことだと思う?」クスッ

男「……」

幼「…男のことだよ」

幼「みんな私たちのこと、付き合ってると思ってるんだよ」

幼「…遅いよ」

男「ごめん」

幼「…許さない」

幼「…幸せにしてくれなきゃ、許さない」

幼「…私も男が大好きだから」ニコッ

幼「」チュッ

男「」カアッ

幼「…ヤドリギの下でキスすると幸せになれるんだよ」

男「……」カアッ

男「…これ」

男「これ、プレゼント…」スッ

幼「男、顔真っ赤。…プレゼントありがと」クスッ

幼「…腕時計だね、素敵…大事にするね」カサッ

男「会えない間、バイトしてたんだ」

男「しゃれたプレゼント渡して、クリスマスに告白したくて…」

幼「えへへ、その気持ちがうれしいなぁ」

幼「…私たち似たもの同士みたい」

幼「私もそうだよ。短期バイトしてこれを用意したの…開けてみて」

男「うん、ありがとう」

男「あっ」カサッ

幼「腕時計だよ…どこまでも私たちそっくりみたい」ニコッ

男「…永遠に大切にするね。もうずっとこの時計使うよ」ギュッ

幼「大げさだなぁ…そんなに喜んでくれたら、こっちまでうれしくなっちゃうよ」ニコッ

幼「…じゃ行きましょ」

男「…どこへ?」

幼「ディナー予約してあるの、高い所じゃないけど」

男「だからスーツか」

幼「そうだよ。クリスマスなんだから、ばっちり決めなきゃ」ニコッ

幼「手をつないで行きましょう。あのときみたいに、いつものように」スッ

男「ああっ」ギュッ

男「」グイッ

幼「?」

男「」チュッ

幼「…ふぇ」

男「やられっぱなしじゃないんだぜ」ニコ
幼「…ま、負けず嫌いすぎだよ、男…」カアッ

幼「…次は私も負けないよ」プクー

男「あはは」

チラチラ

男「雪か…」

幼「ホワイトクリスマスだね」ニコッ

幼「行こう」ギュッ

男「うん」ギュッ

男(変わらないようで、変わってしまった俺たちの関係)

男(…でも、いっしょにいられることにかわりはない)

幼「明日はいつも通り家族でパーティーだよ!!」

男「わかってる」ニコッ

男(違うようで同じようなクリスマスが続く)


おわり

お付き合いありがとうございます

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