サンタ「よしよし、靴下を吊して寝ているな」(11)

~クリスマスイブの夜~

サンタ「さて、まずはこの家から始めるとしようか」

サンタ「……ふう、窓に鍵がかかっておるのう」

サンタ「はあ!サンタマジック!」

がちゃり

サンタ「ふふふ、これで家に入り放題じゃよ」

トナカイ「あの、寒いんで早くして欲しいっす」

サンタ「わかっておるよ。そう急かすでない」

サンタ「おじゃましまーす……」カララ

子供「……すうすう……」

サンタ「よしよし、寝ておるの」

サンタ「おおっ!ちゃんと靴下を吊しておるな。いい子じゃのう」

サンタ「さて……」

サンタ「くんかくんかくんか!ぺろぺろぺろ!」

サンタ「すりすりすり!ずぞっ!ずぞぞぞ!」

サンタ「……ふう。やっぱり小さい子供の靴下はたまらんのう」

サンタ「こんな小さい子供の靴下を好きなように出来るこの日だけが生きがいじゃわい」

サンタ「おっとねちょねちょにしてしまったわい。仕方ないのう。これは持ち帰って楽しむことにしようかの」

サンタ「さて、いい靴下じゃったぞ。来年も君が履いた小さい靴下を吊すんじゃよ。メリークリスマス」

トナカイ「サンタさんまたやったんすか?」

サンタ「これがわしの生きがいなんじゃよ」

トナカイ「……百歩譲って眼を瞑りますから急いでくださいよ。そんなことしてる暇なんて無いんですよ!?」

サンタ「わかったわかった。めぼしい靴下は楽しまずに持ち帰ることにするわい」

トナカイ「全く……早くそりに乗ってください」

サンタ「そうじゃな。急ぐとしよう」

サンタ「ホーッホッホッホッ!メリークリスマス!」

トナカイ「煌めけ!我が赤鼻!」ピカー

サンタ「はいよー!」

しゃん!しゃん!しゃん!



サンタ「さて、この家は……なんじゃと!?」

トナカイ「どうしたんです?」

サンタ「トナカイよ、あれを見てみよ」

トナカイ「んーと、プレゼントが入るように大きい靴下を吊してますね」

サンタ「その通りじゃ!」

トナカイ「それがどうかしたんですか?」

サンタ「わしはな!子供達が履いていた靴下が好きなんじゃよ!あんなもの邪道じゃ!」

トナカイ「もうだめだこの変態ジジイ」

サンタ「仕方ないのう!」ガサゴソ

トナカイ「あ!なにタンスを漁ってるんですか!」

サンタ「知れたこと!タンスからわし好みの靴下を探しておるのじゃよ!」

トナカイ「あんたサンタだろ!?靴下取ってどうするんだよ!」

サンタ「靴下が無いと働かんぞ!いったいなんのためにプレゼントを配っていると思っとるんじゃ!」

トナカイ「子供達に笑顔を配るためだろ!?」

サンタ「違う!わしが少年少女の靴下を手に入れるためじゃよ!」

トナカイ「本当にこの人死なないかな」

サンタ「うひょー!お宝発見じゃわい!見よトナカイ、子供らしいキャラクター物じゃ」

トナカイ「とっととタンスに戻せ」

サンタ「いちいちうるさい奴じゃのう!」

トナカイ「子供の靴下を手に入れてはあはあしてるジジイを見たら誰だって止める。俺だって止める」

サンタ「まったく、うるさいトナカイじゃて」

トナカイ「ほらほら、タンス漁ってないで次行きましょう次」

サンタ「ああ!まだ靴下貰ってないのに!」

トナカイ「そんなの知りませんよ」

サンタ「待て、待ってくれ!」

トナカイ「待ちません」

サンタ「あああああああ!?」

トナカイ「レッドノーズライト!」ピカー

しゃん!しゃん!しゃん!



サンタ「しくしくしく、ううっ……ぐす」

トナカイ「いつまで泣いてるんすか」

サンタ「じゃって、じゃって……!」

トナカイ「靴下ごときでマジ泣きしないでください。着きましたよ」

サンタ「……わかったわい。それにしてもここボロッちいのう」

トナカイ「あまり裕福ではないみたいですね」

サンタ「……鍵もゆるゆるじゃ。サンタマジックをつかうまでもないの。おじゃまするぞ……」カララ

トナカイ「……一つの部屋に子供達が雑魚寝してますね」

サンタ「……そうじゃの」

トナカイ「靴下、ありますよ?」

サンタ「…………」

トナカイ「沢山繕ってあって、見た目がお世辞にもいいと言えない靴下が」

サンタ「……そうじゃの」

トナカイ「あなたのために用意したんでしょうね。靴下を」

サンタ「…………」スッ

トナカイ「……どうしたんですかサンタさん?」

サンタ「……わしはこの靴下だけでいい」

トナカイ「せっかく集めた靴下ですのに置いていっていいんですか?」

サンタ「いいんじゃ……靴下とプレゼントじゃよ。……メリークリスマス」

トナカイ「…………」

サンタ「何を呆けておるんじゃ、子供達が待っておる。急ぐぞい」

トナカイ「……はい!」

サンタ「いい返事じゃ」

サンタ「ホーッホッホッホッホッ!」

 クリスマスイブの夜。サンタさんは大忙し、世界中の子供達にプレゼントを配ります

 その時靴下を吊しておいてください。サンタさんは靴下が大好きなのですから……

しゃん!しゃん!しゃん!しゃん!

トナカイ「し、死ぬ……。ペース落としましょうよ……」

サンタ「いかんぞ!世界中の子供達がまっとるんじゃからな!」



おわり

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