殺し屋「依頼か?」 王「魔王を倒してくれぇ!」 (10)

殺し屋「じゃあ……」

王「…」ゴクン

殺し屋「1億Gだ。いいな?」

王「1億だと!?ふざけているのか!」

殺し屋「こっちは命かけて特A級の犯罪者である魔王を倒しに行くんだ!それに…1億なんぞお前には大した金じゃない」

殺し屋「それにお前……資産は一兆円越してるって聞くじゃねぇか」

王「…」

王「わかった。一億だそう」

殺し屋「明日、王宮に行く。それまでに現金で用意しとけ」

王「分かった…」

殺し屋「アンタ、話がわかるじゃねぇか」

王「わしも…国が惜しいからな」

殺し屋「大した野郎だぜ」

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ー次の日 王宮

大臣「陛下!黒服の男が門の前に現れました。何でも…金を受け取りに来たとか」

王「通してやれ」

大臣「承知致しました……通せ!」

門番A「ハッ!」

ギイィ

殺し屋「よぉ…金は用意出来たか?」

大臣「貴様……陛下に向かって何て」スッ

王「大臣…よいのじゃ。これで1億じゃ!受け取れぇい」スッ

殺し屋「……」ガチャッ

殺し屋「………」

殺し屋「確かに1億あるようだな」

王「あともう1つお前に言いたいことがある」

殺し屋「?」

王「我が王国きっての精鋭、勇者パーティじゃ」

勇者「こんにちは」

魔法使い・戦士「…」

王「お前を入れてちょうど4人になる……これでも勇者パーティじゃ。お供させてもよろしいかの?」

殺し屋「…いいだろう」

王「ではこの国を……頼むぞ」

殺し屋「金は受け取った。俺は純粋に任務を遂行するまでだ……」タッタッ

勇者「では、陛下。これで失礼します」

王「頼むぞ…」


ギィィィィ  ガチャァン

大臣「本当にこれで…大丈夫なのでしょうか」

王「我々に残された道はもう無い……彼に…彼等に全てを託そう」

ー城下町

勇者♂「殺し屋さん…これからどうするのですか?」

殺し屋「まずは俺の隠れ家に行く。ついてこい…あとさん付けしなくていい」

勇者「はい…」

魔法使い♀(勇者様に何て…)

戦士♂「…」

ーーーーーーーーー

殺し屋「ここが俺の隠れ家だ」ギィィ

殺し屋「入れ」

勇者(うわぁ…何か黒い物?がいっぱいある……)

殺し屋「そこの椅子にでもかけてろ」

勇・戦・魔「…」コク

ー5分後

殺し屋「荷造りは終わった。お前らも既に終わっているんだよな?」

魔法使い「はい。アナタと違って我々は優秀ですから」

戦士「おい…」

殺し屋「そうか…優秀なのか……ではこれからも頼むぞ」

魔法使い「…」ゾクッ

魔法使い(何?この気迫……心臓が…押し潰れそう……)

勇者「顔色が悪いけど大丈夫?魔法使い」

魔法使い「し、心配いりませんわ//」
ポッ

殺し屋(…若いっていいな)「おら、行くぞ」

勇者「はい!」

ー草原

殺し屋「今回は城下町から20km離れた西の港町、『ウエストポート』へ行く…なるべく無駄な戦闘は避ける、いいな?」

勇者「わかりました」

戦士(勇者の奴…こんな奴に頭下げやがって)

殺し屋「む…?前にオークがいる。気付かれないように行けよ」

魔法使い「きゃ、きゃあぁぁぁ」ズテーン

オーク「ん?女!?うまそうだな…」

殺し屋「アイツ……」

魔法使い「黙れ!この汚らわしい魔物めっ」

オーク「あぁ?何ていったぁ?女…死ねや」

オークが襲いかかって来た!

殺し屋「アイツ…」

オークの攻撃!

魔法使いはひらりと身をかわした!

魔法使い「死ね!」

魔法使いの攻撃!魔法使いはメラミを唱えた!

猛火がオークを襲う!

ドォォォン

オークを倒した!

経験値と100Gを獲得した!

魔法使い「見た?これが私の実力よ」

殺し屋「ふ~ん」

魔法使い「何よ!」

殺し屋「俺は殺し屋をしてきて十数年……沢山の人を殺してきた。お前程の魔法使いなんぞ目が腐るほど見てきた」

魔法使い「……」

殺し屋「だがお前は才能がある……」

殺し屋「せいぜいその才能を宝の持ち腐れにしないんだな」

勇者「殺し屋さん……」

魔法使い「何よ…」ボソッ



殺し屋達が歩くこと半日……

ー夕方

殺し屋「着いたぞ。ここが西の港町『ウエストポート』だ」

勇者「活気溢れるいい町ですね」

魔法使い「ここに何か用があるのですか?」

殺し屋「ここに昔の相棒がいて…な」

殺し屋「それにここには闘技場がある」

戦士「闘技場?」ビクッ

殺し屋「ハッハッ。やっぱり闘技場に興味があるか」

戦士「はい」

殺し屋「ここでお前らの実力を確める」

勇者パーティ「…」ゴクン

殺し屋「ここは世界有数の闘技場。世界中から強者達が集まってくる……お前らの実力が城下町1止まりなのか、世界の“頂点まで届く実力なのか」

殺し屋「それを知るいい機会だろう」

殺し屋「闘技大会は明後日始まる」

殺し屋「それまでにエントリーしとくんだな。宿は展望台近くの一等室だ。俺はじゃあ行くぞ」スタスタ

勇者パーティ「…」

勇者「行っちゃったね」

戦士「なぁ…勇者」

勇者「なんだい?戦士」

戦士「なんでお前は見ず知らずのあの男にそんなへこへこ出来るんだ?」

勇者「それは…」

勇者「戦士は闘技場って言葉に反応してたけど、闘技場には詳しいのかな?」

戦士「俺は戦士だぜ?闘技場一……言い方を変えれば世界一を目指してた」

勇者「結果は?」

戦士「………」

勇者「殺し屋さんはね……元闘技場チャンピオンなんだ」

魔法使い・戦士「チャンピオン!?」

勇者「うん、闘技場には魔法部門・格闘部門があるけど殺し屋さんは両方の部門で前人未到の5連覇を成し遂げたんだ」

戦士「もしかしてあの男の正体って……」

勇者「うん…『白い稲妻』の異名を持つ十数年前に活躍したチャンピオンさ」

魔法使い「あの人がそんなに凄い人だったなんて…」

勇者「だから、何で殺し屋になったのかは知らないけど、僕はあの人について行く」

戦士「わかった……」

魔法使い「……」

勇者「さ、もう日が落ちてしまうよ!エントリーしに行こう!」

戦士「そうだな…」

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