海未「私とことりと鈴と」 (33)
ガチャ
ことり「あっ、海未ちゃん」
海未「ことり、お疲れ様です」
ことり「お疲れさま~。書類の整理は終わったよ♪」
海未「ありがとうございます」
海未「……で、穂乃果は何処へ?」
ことり「あっ、えっと、その~…」
ことり「と、突然お昼寝から飛び起きて……」
海未「飛び起きて?」
ことり「おっきなお饅頭が穂むらを潰す夢を見たって言って、正夢かどうか確かめに行っちゃった……」
海未「……ははっ」
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ことり「う、海未ちゃん怒ってる…?」
海未「いえ、余りの下らなさに笑いが零れただけです」
ことり「あはは……」
海未「帰ってきたら説教です。全く……」
海未「仕方ありません。しばらくは二人で作業していましょう」
ことり「あ、だったらことり飲み物買ってくるねっ。海未ちゃん何がいい?」
海未「すみません。ではコーラを」
ことり「はーい♪行ってきまーす」
ガチャ
ガチャ
ことり「海未ちゃん!?コーラって本気なのぉ!?」 ハァハァ
海未「良かった、気付いてくれましたか……」
ことり「すごく自然に言うからそのまま買って来ちゃうところだったよ~」
海未「ふふっ、すみませんつい……」
ことり「はい、アイスで良かったよね?」
海未「はい、ありがとうございます」 スッ
海未「あつっ!」
ことり「えっ!?」
海未「こ、ことり……これ、ホットです」
ことり「え、ええっ?本当に…?」
海未「はい、触ってみてください」ピトッ
ことり「やぁんっ!?冷たいっ!」
海未「……ふふっ」
ことり「あっ、もう海未ちゃ~ん!」
海未「ことり、買って来た貴女が熱いか冷たいか分からないっておかしいですよ?」クスクス
ことり「そ、それはそうだけどぉ~…」グスン
海未「ふふふ……」
ことり「…海未ちゃん、どうしたの?」
海未「えっ?」
ことり「今日は何時もより元気だよね」
ことり「ことり微かにいじめられてるような……」 ウルウル
海未「い、いじめているだなんてとんでもない!」
ことり「じゃあ、何かあった?」
海未「……ふぅ、やはりおかしいですよかね」
海未「私がこんな風にひょうげた事をするのは」
ことり「えっ?」
×おかしいですよかね
◯おかしいですよね
海未「最近、μ'sの皆さんを見ててふと思うのですよ」
海未「どうして穂乃果には、人を元気にする事が出来るのか」
海未「どうして花陽には周りを落ち着かせる力があるのか……と」
ことり「海未ちゃん?」
海未「絵里や希には、全てを受け入れる包容力をもっていますし」
海未「真姫には音楽の才能、にこや凛のいざと言う時に出せる爆発力は尊敬します」
海未「そういった一人ひとりの個性が、μ'sを輝かせているのです」
海未「……しかし、私には突出した個性はありません」
海未「どれもこれもが皆、凡人の域で止まっている事に、……最近気がつきました」
ことり「……」
ことり「……海未ちゃん」
海未「今までの自分を振り返ってみたのです」
海未「練習の指揮は絵里に劣りますし、作詞なんてその気になれば誰だって出来ます」
海未「歌もダンスも、自信を持ってアピールする事などとても……」
ことり「海未ちゃん、でもそれって」
海未「分かっています」
海未「隣の芝生は青く見えるだけ……そう言いたいのでしょう?」
ことり「あ、あの……」
海未「でも、実際に青いのですよ、μ'sのメンバーは」
海未「欠点を補えるほどの魅力を、他の皆さんは持っています」
海未「私には……それが無いのです」
ことり「…だからさっき、いつもと違う事をことりに?」
海未「……すみません、ことりを実験台の様に扱ってしまって」
海未「これではただの嫌がらせですよね……ごめんなさい」
海未「…ふぅ」
ことり「…ねぇ、海未ちゃん」
ことり「海未ちゃんはこんな歌、知ってる?」
海未「えっ?」
ことり「私が両手を広げても~♪」チュン
ことり「お空はちっとも飛べないが~♪」チュン
海未「こ、ことり……?」
ことり「ほら、海未ちゃん」
海未「……」
海未「…空飛ぶ鳥は私のように」
ことり「じめんーを早くは走れない~♪」チュン
海未「ことり、これは…」
ことり「うん。そういうこと」
ことり「海未ちゃん、さっき自分以外のみんなが才能あるって言ったよね?」
海未「はい……事実です」
ことり「ことりからしたら、海未ちゃんの方が才能あるって思うけどなぁ~」
海未「……何故ですか?」
ことり「だって、何でも普通に出来るんだよ?」
ことり「どんな事でも不得意無くこなせるのってぇ……とってもすごいって思うの」
海未「ですが、それではただの没個性で……!」
ことり「も~!そんな考え方したら落ち込んじゃうからだめ」
ことり「何でも普通に出来る事だって才能なの」
ことり「それに、海未ちゃんは普通に出来るまでの努力をちゃんとやってる」
ことり「ことりには分かるよ?海未ちゃんが一生懸命頑張ってること」
海未「……ことり」
ことり「ことりは海未ちゃんみたいに、全部は頑張れない」
ことり「でも、ことりにしかできない事で、海未ちゃんやみんなを助ける事ができちゃう」
ことり「みんな、みんなそうやって誰かの為になってるんだと思うよ?」
ことり「海未ちゃんも、その一人なの♪」
海未「……」
ことり「はい海未ちゃん、この詩の最後のフレーズは?」
海未「え、えっと…」
海未「……みんな違って、みんないい」
ことり「はい♪よく出来ました~♪」
海未「……ことり、あなたはずるいです」
海未「その詩の言葉だけでは私は絶対納得出来ない」
海未「でも、貴女がそれを代弁すると、私は何故が素直に受け取ってしまいます……」
ことり「えへへ……海未ちゃん、可愛いね」
海未「か、可愛くなどありません!」
ことり「だって、本当に可愛いんだもん」
海未「や、やめて下さい…恥ずかしいです」
ことり「海未ちゃん」
ことり「自分に自身が持てなくても、ことりは別にいいって思うの」
海未「えっ?」
ことり「何か一つでもみんなの為になるものがあれば、それで十分だよ」
ことり「あまり肩肘を張らないで、もっとリラックスしてもいいんだよ?」
ことり「ことりは、いつもの海未ちゃんが、一番好きだから」
海未「……」
ことり「ねっ♪」
海未「……ことり」
ことり「なーに?」
海未「やっぱりあなたはずるいです」
海未「……でも」
海未「ありがとう、ございます」
ことり「…えへへ~♪」 ギュッ
海未「ちょ、ちょっとことり…何をするんですか……」
ことり「海未ちゃんって本当に可愛いっ」
海未「も、もう……」
ことり「あ、そう言えば……」
ことり「どうしてさっき、ことりの事だけ何も言ってくれなかったの?」
海未「そ、それは…その」
ことり「じーっ…」
海未「め、面と向かってを言うのは…少し恥ずかしくて」
ことり「あ、じゃあことりにも良い所あるんだね?よかった~」
ことり「ことりだけ何もないんだって思ってちょっと悲しかったんだよぉ?」
海未「そ、そんな事有り得ません!ことりには数え切れないほどあります!」
ことり「本当?」
海未「本当です!」
ことり「じゃあ、1つ目は?」
海未「え…絵が可愛い」
ことり「二つ目」
海未「い、衣装のデザインが素敵です」
ことり「三つ目♪」
海未「み、みんなを……癒してくれます」
ことり「四つ目~」
海未「え、えっと…か、可愛い所です!」
ことり「やん♪じゃあ五つ目」
海未「こ、ことり!もう勘弁して下さい!」
ことり「いーやっ♪全部言ってくれるまで離さないからねっ」
海未「そ、そんなぁ……」
ことり「えへへ♪」
~おわり~
コ ニ シ キ の う た
じゃあの
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