シャワー(シャーー……)
俺(ボケー…)
俺「暇だ…」
クロエ「タケシー?」
俺「あー?」
クロエ「シャンプー無いデース」
俺「あそー」
クロエ「あそー、じゃなくて」
クロエ「シャンプー無いんデスケドー」
俺「棚にある俺のシャンプーつかっていいぞー」
どこですかー?
右の棚の方にないかー?
クロエ「……もしかして、この『毛髪力』ってやつデスカ」
俺「それそれ」
クロエ「あれは使ったらハゲそうでイヤ」
俺「あァ!?名前読めねーのかお前は!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414833148
クロエ「他のないデスカー」
俺「俺の毛髪力使いたくないなら
ボディーソープでも使えばいいよ(適当)」
クロエ「あ、なるほど」
………
………
俺「えっ!?もしかしてほんとに使ってる!?」
俺「待て!今のは冗談だ!
やるなよ!ぜったいやるなよ!」
クロエ「えっ!」
俺「おまっ、お前まさかほんとに…っ」
クロエ「タケシー!」
俺「どうしたー!」
クロエ「お湯でないよー?」
俺「えっ」
……
…
クロエ「大家さんなんて言ってマシタ?」
俺「業者さん呼ぶから、直してもらうまでは我慢してくれだってさ」
クロエ「つまり…業者サンくるまでこのまま?」
俺「まぁ、当然そうなるわな」
クロエ「おうまいがー…業者サン来るまでお風呂入れないデスカー…」
俺「場合によっては当分冷水シャワーかも」
クロエ「ぎゃー!」
ばたっ
クロエ「………」(しーん)
俺「クロエが」
俺「死んだ」
クロエ「死んでまセーン…」
俺「なぁ、クロエ」
クロエ「ハイー…」
俺「今からすげーどうでもいいこと言っていいか?」
クロエ「どうぞー…」
俺「さっきクロエさ、オーマイガーって言ってたじゃん?」
俺「フランス人が日本語発音で英文のオーマイガーって言うのって、
なんかすげーレアな感じしね?」
クロエ「……ほんとにどうでもいいデスネそれ…」
クロエ「お風呂はいりたいデス…」
俺「そんなに風呂入りたいのか」
クロエ「入りたい…」
俺「ふむ」
クロエ「はぁ…」
俺「………」
俺「それじゃあ入りに行こうか」
(ピョコン!)
クロエ「え?えっ!はいれるデスカ!?」
俺「入れる、つーか入りに行くんだけどな」
俺「健康ランド行こうぜ」
クロエ「けんこーランド!」
俺「知ってる?」
クロエ「知ってマース!
昔しんちゃんの映画で見マシタ!」
俺「あー…あったなぁ、そんな映画。
おかまの人がたくさん出てくるヤツな」
クロエ「それそれ」
クロエ「健康ランド行ったことナイデス!行ってみたいデース!」
俺「クロエは今日講義ないんだっけ」
クロエ「ないデス!」
俺「ここから結構離れてるんだけど大丈夫?」
クロエ「どれくらいかかりマスカ?」
俺「たぶん40分くらい」
クロエ「問題ナシデス!」
俺「よし」
俺「じゃあ、行こうか」
クロエ「ハイ!」
俺「じゃーとりあえず、各自行く準備しよう」
クロエ「ナニ準備したらいいデスカ??」
俺「帰りの着替えと…あとは、時間潰せそうなもの」
クロエ「時間潰せソーなモノ…」
俺「本とかゲームとか。
向こうに長い時間いると思うからさ」
クロエ「ハーイ」
俺「準備できたかー?」
クロエ「できマシタヨ~」
トットットッ…
俺「……おぉ、めちゃくちゃオシャレしてるね」
クロエ「頑張りマシタ!」
俺「かわいい」ナデナデ
クロエ「えへへ」
俺(…まぁ、オシャレしても
着いたらすぐに館内着に着替えなきゃいけないんだけどな…)ナデナデ
クロエ「タケシの服は…」
俺「ん?」
クロエ「……めちゃくちゃラフデスネ」
俺「まぁ、健康ランドだし」
クロエ「もっと気合入れてクダサイヨー!」
俺「必要?」
クロエ「当たり前デス!必要デース!」
俺「仕方ない…ちょっと待ってろ」
ガタンゴドン…ガタンゴドン…
クロエ「電車で行くデスネ~」
俺「うん。だいたい30分くらい乗りっぱなし」
クロエ「おぉ、結構かかりマスネ」
俺「片田舎にある健康ランドだからなー」
クロエ「じゃあのんびり行きマショ~」
俺「うむ」
ガタンゴドン…ガタンゴドン…
俺「おぉ…景色がだんだん淋しくなっていく…」
クロエ「タケシ、タケシ」
俺「ん?なんだ」
クロエ「これって」
俺「うん」
クロエ「デートになるんデスカネ」
俺「………」
クロエ「………」
俺「いや、ならんだろ」
クロエ「えっ、ならないんデスカ」
俺「行き先は所詮健康ランドだしなぁ。
デートというには枯れすぎてる気がする」
クロエ「でも、ディズニーランドに男女で行くのはデートですよネ?」
俺「へ?ディズニーランド?
ディズニーランドなら…まぁ、一般的にはそういう認識だろうな」
クロエ「健康ランドとディズニーランド。
同じランド同士似たようなモノ!
だから健康ランドも立派なデートデス!」
俺「いやその理屈はおかしい」
クロエ「えー」
俺「健康ランドは家族連れとか、お爺ちゃんお婆ちゃんがいくような場所だし、
恋人が行くような場所じゃないよ」
クロエ「え?恋人行ってるじゃないデスカ」
俺「えっ」
クロエ「おとーサンおかーサン、お爺ちゃんお婆ちゃん、
どちらも恋人同士!」
クロエ「これも立派なデートの場所デスヨ!」
俺「むっ、確かに」
クロエ「じゃあ今日はデートデスネ!」
俺「………」
クロエ「デート~デート~♪」
クロエ(ニコニコ)
俺「…そうだな。
クロエがデートって言うなら、これも立派なデートだ」
クロエ「ハイ!」
~駅到着~
クロエ「ここから歩くデスカ?」
俺「10分くらいな。歩ける?」
クロエ「全然歩けマス!」
俺「住宅地向けに作られたような施設だから、
駅から少し離れてるんだ。ごめんな」
クロエ「?タケシなんで謝るデスカ?」
クロエ「それより早く行きマショー!健康ランドが待ってマス!」
俺「おう」
……
…
俺「お、見えてきた」
クロエ「あの四角いやつデスカ?」
俺「うむ」
クロエ「なんていうか…一言で言うナレバ…ボロい!」
俺「実際ボロいぞ。たしか80年代くらいに作られた建物だからな」
クロエ「ボロっ!
タケシ!早くいきマショウ!」
俺「おう」
~エントランス~
クロエ「めちゃくちゃ広いですネ~健康ランド」
俺「この前行った銭湯とは全然違うだろ?」
クロエ「ハイ!全然違いマ…おぉっ!?」
俺「どうした」
クロエ「上にシャンデリアみたいなのぶら下がってマスヨ!?」
俺「ヨーロッパ風の施設を目指した結果が、このシャンデリアらしい。」
クロエ「ヨーロッパ風…
でもヨーロッパの受付には、
たぬきの像なんて置いてアリマセンヨ?」
信楽焼たぬき(てやんでいっ!)
俺「……なんともコメントし辛いけど、
他所の文化を自由に解釈しちゃうのがうちの国なんだ。
許してやってくれ」
クロエ「ハ~」
俺「ちなみに、
お店によく信楽焼のたぬきが置かれてるのは、
タヌキを他抜きと書いて、『他を抜く』の洒落から
縁起物として置いてるらしい」
クロエ「へぇ~
試験の前にカフェオレを飲んで、
『勝て!オレ!』って願掛けするようなものデスネ」
俺「その通りなんだけど…同列にしたくない例えだなぁ」
クロエ「ヨーロッパ風…ツッコミどころは満載デスケド、
でも絨毯はヨーロッパっぽいデスネ」
床(トスッ)
俺「あ!待て!土足で入るな!」
クロエ「へ?」
俺「靴は脱いで入るんだ」
クロエ「ヨーロッパ風なのに靴脱ぐんですか?」
俺「和洋折衷というやつだよ」
クロエ「オー!これがあのワヨーセッチュー!」
俺「うむ。日本と西洋の融合だ」
クロエ「日本と西洋の融合…
ふふっ、健康ランドってなんだかワタシたちみたいデスネ」
俺「……そ、そうか?よくわからんが…」
クロエ「運命的なものを感じマス!」
俺「そうか」
クロエ「おっ。タケシタケシ!」
俺「今度はどうした」
クロエ「みんな変な格好してマスヨ?」
俺「あれはハワイの衣装、ムームーとアロハだ。
健康ランド専用の衣装みたいなもんだよ」
クロエ「えっ…ここハワイもいるデスカ」
俺「うん。だから、和洋折衷というよりは和洋米折衷になるのかな」
俺「ついでに言うと、
ここはタイ式マッサージもあるから和洋米泰折衷になる」
クロエ「オー…」
俺「最初はお風呂入ろうか」
クロエ「ハーイ」
俺「受付のお姉さんにカバンと鍵バンドもらったよな」
クロエ「もらった!」
俺「鍵バンドに数字書いてあるだろ?」
クロエ「1235って書いてアリマスネ」
俺「じゃー、女湯にいったらまず、
1235のロッカーを探して鍵を開けて、中に荷物を入れます」
クロエ「ハイ!」
俺「お風呂からあがったら、カバンの中のムームーに着替えましょう。
携帯とか貴重品も一緒に持ち歩いた方がいいかもな」
クロエ「ムームー!」
俺「んで、着替え終わったら大広間にてきとーに集合!
という感じでおっけー?」
クロエ「オーヒロマ?オーヒロマってナニです?」
俺「畳が敷かれてて、横長の座卓がたくさん並んでるとこだ。
小さいステージもあって結構広いらしいぞ」
クロエ「了解デース~」
~風呂~
俺「入浴だぜ」
~着替え場~
俺「着替えだぜ」
……
…
~大広間~
俺「お。いたいた」
俺「クロエー」
クロエ「あ、タケシー!こっちこっちー!」
俺「お、隅っこの机か。
ナイスポジショニングだ、クロエ」
クロエ「おかえり~」モグモグ
俺「ただいま。で、なに食ってんの?」
クロエ「みかん!オバちゃんがくれたデス!」
俺「オバちゃん…?」
クロエ「オバちゃーん!手をフリフリ」
お婆ちゃん(ニコニコ)
俺「あっ、どうもすみせん…」ペコリ
お婆ちゃん(ニコニコ)
クロエ「タケシも食べル?美味しいヨ?」
俺「いただこう」
俺「いい風呂だったなー」
クロエ「デスネ~」
俺「温泉から引いてるらしいぞ。アルカリ性なんとかかんとか」
クロエ「へ~。だからクロエのお肌スベスベになったデスネ~」
俺「どれどれ」
すりすり
俺「おぉ、めっちゃスベスベ」
クロエ「タケシもスベスベデスヨ?」
俺「マジか」
クロエ「マジマジ」
すりすり
すりすり
……
…
ぐぅ~
俺「…ハラヘッタな
メニューとってくれ。なんか頼もうぜ」
クロエ「どぞどぞ」
俺「俺はー…唐翌揚げ定食にするかな」
クロエ「タケシ唐翌揚げにするデスカ?」
俺「うん」
クロエ「じゃあクロエは餃子定食!」
俺「唐翌揚げと餃子……」
クロエ「?タケシどうシマシタ?」
俺「いや…デートのお昼にしては
あまりに茶色すぎるなぁ、と思って」
クロエ「いいじゃナイデスカ。安上がりで」
俺「どうせならイタリアンとかもっとデートっぽい場所にも行きたかったなぁ…」
クロエ「お風呂の修理にお金払わないとダカラ、
あんまり無駄遣いデキマセン。これくらいの方が丁度いいデスヨ」
俺「ふむ…それもそうか」
クロエ「それにワタシ、フランス人。」
ワタシからしたら、イタリアの料理より日本の料理の方が新鮮で楽しい!
ワタシはこっちの方が好きですヨ?」
俺「そうか…ならよかった」
店員「餃子定食と唐翌揚げ定食お持ちしましたー」
クロエ「ハーイ」
俺「きたきた」
クロエ「それじゃ、いただきマース」
俺「いただきます」
………
……
…
クロエ「唐翌揚げおいしい?」
俺「そこそこに、ほどよく、まぁまぁ、無難においしい」
クロエ「逆に気になる評価デスネ…」
俺「クロエの餃子はどう?」
クロエ「うーん」
俺「なんだ。不味いのか」
クロエ「イエ、そうではないんデスケド…
とにかく食べてみてくだサイ」
俺「ん
クロエ「あーん」
モグモグ
俺「お?この味は…」
モグモグ
俺「なんか懐かしい味だな。
懐かしいというか、覚えのある味というか…」
クロエ「オー!クロエも同じコト思いマシタ!」
モグモグ
クロエ「ココ来たの初めてのハズなのに、
不思議と食べたコトがある気がするんデスヨネ」
俺「すごく馴染みのある味だ…
この味は…そうまるで、」
クロエ「あ!」
クロエ「これ日清食品の冷凍餃子の味デスヨ!」
俺「あぁそれだ!日清食品のやつだ!
道理で食べたことが…っ!」
店員「………」じーっ
俺「……っ」
クロエ「……ッ」
俺「おい!声がでけーよ!」ボソボソ
クロエ「タケシこそ!大きすぎマスヨ!」ボソボソ
お婆ちゃん(ニコニコ)
モグモグ
クロエ「まぁ、でも普通に美味しいデスヨこれ」
俺「うむ。さすが日清さんだ
もう一つくれ」
クロエ「ヤです」
俺「唐翌揚げあげるから」
クロエ「イイデスヨ!」
俺「わかりやすい奴だな…。ほれ」
トン←皿に置く音
クロエ「………」
俺「ん?どうした?」
クロエ「クロエには、あーんってしてくれないデスカ?」
俺「……し、しない」
クロエ「ワタシはあーんってしたのに…タケシはしてくれないデスネ…」
俺「わ、わかったよ。ほれ。あ、あーん」
クロエ「あー…」
クロエ「あーっ」
クロエ「あーーー」
俺「………」
クロエ「もー!はやくしてくださいヨー!
お口疲れちゃいマス!」
俺「お、男からするのはなんか抵抗あるんだよ。こういうの」
クロエ「あーんで照れるテ。今更デスヨ」
俺「しかしだな…」
クロエ「タケシが今履いてるパンツ、ワタシが洗ったパンツですし、
パソコンの新しいフォルダ(24)に何が入ってるかも、ワタシ知ってますし、
クローゼットの一番奥には…っモグッ」
俺「そ、それ以上喋るんじゃねぇ!」
モグモグ
お婆ちゃん(ニコニコ)じーっ
お爺ちゃん(ニコニコ)じーっ
クロエ「ん~っ、唐翌揚げおいシ~
俺「ん…?」
クロエ「?タケシどしマシタ?」
俺「い、いや…なんでもない」
俺「クロエ、餃子くれ」
クロエ「ん」
俺「なんか雑だな…ん」
モグモグ
クロエ「タケシー唐翌揚げくだサイ」
俺「ほれ」
クロエ「ん」
モグモグ
クロエ「もいっこ」
俺「ほれ」
クロエ「ん」
モグモグ
クロエ「もいっこ」
俺「……ほれ」
クロエ「ん」
モグモグ
クロエ「もいっこ」
俺「………」
クロエ「タケシ?聞こえナカタ?
もいっこくだサーイ」
俺「フランスには遠慮って言葉がないのか」
クロエ「ありマスヨ?ありますケド」
俺「うん」
クロエ「ワタシ唐翌揚げ大好きなんですヨネ」
俺「はぁ」
クロエ「唐翌揚げを前にするとおかわりせずには居られなくナルデスヨ」
俺「ならなんで唐翌揚げ定食を頼まなかったんだよ」
クロエ「タケシが頼むならタケシからもらおーって思テ」
俺「とりあえず、ほれ」
クロエ「オーからあげ~♪ありがとタケシ~」
モグモグ
俺「あげるのは全然構わないんだけどさ、」
モグモグ
俺「そんなにパクパク食べてると
そのうちブクブクに太っちゃうぞ?」
クロエ「むっ…タケシはわかってマセンネー」
クロエ「女の子は少しふくよかな方が可愛いんデスヨ?」
モグモグ
俺「少しふくよかならな。」
モグモグ
俺「でもただの[ピザ]はちょっと嫌だ」
モグモッ…!
クロエ「………」
カタッ…←箸を置く音
お?
クロエ「もしクロエが太ったら…
タケシはどうしますか…?」
ウルウル…
俺「どうするって…うーん」
クロエ「もしクロエが[ピザ]になったら…
タケシも一緒に[ピザ]になってくれマスカ…?」
ウルウル…
俺「痩せるって選択肢はないのか…」
ウルウル…
俺「上目遣いで可愛くそんなこと聞かれても
非常に回答に困るんだが…」
クロエ「あ、今の可愛かったデスカ?」ケロッ
俺「……言葉じりをとるんじゃない」
クロエ「でも、可愛かった?」
俺「………」
俺「可愛かった」
クロエ「うふふーっ、よしよーし~
タケシは素直ないい子デスネ~♪」ナデナデ
ナデナデ←されるがまま
俺「………」
俺(子供扱いされるのは、正直嫌いじゃないから困る…)
クロエ「いい子なタケシには餃子をあげマスヨ~!」
俺「………」
俺「いらない。これ以上食べたら[ピザ]になりそうだし」
クロエ「えーっ、
一緒に太りマショーヨー」
俺「あ、さっきの質問に今答えるよ。
我が家の[ピザ]は一人で十分。一人で[ピザ]れ」
クロエ「ひどい!」
俺「まぁ、それに
もし万が一クロエが歩けないくらいの[ピザ]になったら
介護人が必要になるからな。」
俺「その時は、健常な俺がずっと[ピザ]クロエを介護してやろう」
クロエ「………」
俺「…どうした急に俯いて」
クロエ「タケシは…
[ピザ]なワタシでもソバにいてくれるデスネ…」ポッ
俺「今の台詞でときめいちゃイカンだろー…」
クロエ「タケシ、タクアンあげます」
俺「いらない」
クロエ「あーん」
俺「いらんて」
クロエ「あーん」
俺「………」
俺「ん」
お婆ちゃん(ニコニコ)
パリポリ
俺「うむ」
俺「タクアンの味だ」
クロエ「もいっこ、あーん」
俺「………」
クロエ「あーん」
俺「…もしかしてクロエ、タクアン嫌いなの?」
クロエ「…実はあんまり」
俺「食ってやるからそこ置いとけ」
クロエ「あーんで食べたらいいじゃないデスカ」
俺「いや…だってさ」
お婆ちゃん(ニコニコ)
お爺ちゃん(ニコニコ)
俺「そんなことしたら、
あのお婆ちゃんがまた余計にニコニコしちゃう気がする…」
クロエ「……あのお婆ちゃん、
さっきからずーっと、こっち見ながらニコニコしてマスネ」
俺「なんだろう…俺たち何かしたんだろうか」
クロエ「…あれ?いつの間にかお爺ちゃんが一人増えてまセン?」
俺「え?」
お婆ちゃん(ニコニコ)
お婆ちゃん(ニコニコ)
お爺ちゃん(ニコニコ)
お婆ちゃん(ニコニコ)
俺「おぉっ…増えてる!増えてるよ!」
クロエ「次に目を離したら6人くらいに増えてそうデス…!」ブルブル
クロエ「ワタシたち何か悪いことシタデショウカ…」(ボソッ
俺「わ、わからん…
とりあえずこのタクアンくったら別のとこ行こう」(ボソッ
クロエ「ハ、ハイ」
………
……
…
お婆ちゃんA「ワシも昔はあんなことしたのう…若いってええのう…」
お婆ちゃんB「あの金髪の娘…わしの若い頃にそっくりじゃわい…」
お婆ちゃんC「あたしにもあんな頃があったねぇ…」
お婆ちゃんD「そういえばこの前孫が嫁に行ってねぇ…」
お婆ちゃんC「あらそうなのかい?うちはまだでねぇ…
早く孫の晴れ姿をみせてくれないかねぇ…」
お孫ちゃんE「じーじー、飴玉たべゆ?」
お爺ちゃん(うちの孫もいつか恋人ができて結婚するのかのう…)
~廊下~
クロエ「食べましたネ~」
俺「俺の唐翌揚げはほとんどクロエに食べられたから、
クロエは実質2人前分くらい食べてた気がする
」
クロエ「えーそんなには食べてないデスヨー
……ってあれ?エレベーターのるデスカ?」
俺「二階にも色々あるみたい。行ってみようぜ」
クロエ「ハイ!」
~エレベーター~
ウィーン…
俺「………」
クロエ「………」
俺「………」
俺(二人きり、か)
俺(じーっ)
クロエ「?どうかしマシタカ?」
ぎゅっ
クロエ「お」
俺「………」
クロエ「…ふふっ」
ぎゅーっ
俺「おぉ、クロエの手いつもよりスベスベしてる」
クロエ「温泉効果デスネ。
タケシもスベスベです」
俺「そうか」
ウィーン…
クロエ「あ。タケシタケシ」
俺「おう。どうした」
ヒョコッ
クロエ「ちゅーしたいデス」
俺「………」
クロエ「ちゅーしてもいいデスカ?」
ぎゅっ…
俺「……いきなりだな」
ぐいっ、ぐいっ
クロエ「んっ、んーっ!」
クロエ「タ、タケシっ、
届かないから少し屈んでくだサイっ!」
俺「…しないぞ」
クロエ「えっ!どうしてデスカ!」
俺「にんにく臭い女とはキスしない」
クロエ「うっ!!」
クロエ「…お昼はワタシ餃子でしたからネ。
そう言われてしまうとワタシもあんまり…」
クロエ「……と見せかけテ!」
グイッ!
俺「は?ちょっ!……んっ!?」
クロエ「ん…」
………
………
俺「お、お前なぁ…」
クロエ「えへへーっ、今日3回目のちゅ~♪」
俺「せめてさぁ…
もっと色気のある迫り方をしようよ…」
クロエ「ふふっ。タケシタケシ!」
俺「なんだ…」
クロエ「キスってどんな味デシタ?レモンの味?マスカットの味??」
俺「あァ!?決まってんだろ!
韮と醤油とニンニクの味だよ!」
クロエ「あはは。やっぱり」
俺「やっぱりーっ♪じゃないよ全く…
ロマンの欠片も何もねぇ…」
俺「キスってのはさぁ、もっとこう、ふいに会話が止まって無言の中で、
さりげなくするとかさぁ…」
ちゅっ
クロエ「こんな感じ?」
俺「…不意打ちもやめてくれ」
クロエ「一度ちゅーすると何度もしたくなりますね…んっ…」
俺「っ、お前はキツツキか…。…っ」
クロエ「そこはもっと情緒溢れる感じで、
鹿威し(ししおどし)と言ってホシーデス。ん…チュッ…」
俺「これのどこが情緒がっ……っ、あるって…っ、言う…っ、
…おいちょっとは喋らせろっ」
クロエ「えへへ…チュッ…ん。…チュッ
ターケシーっ♪…チュッ…タケシ~♪」
ぎゅーっ
クロエ「はぁ…んっ…タケシ好きー…♪
…大好きデースっ…チュッ…タケシー…タケシ…っ。あっ、ん…ひゃんっ」
俺「ま、まて!本気で発情すんな!そろそろ二階つくぞ!」
クロエ「えー…」
俺「我慢してくれ」
クロエ「タ、タケシ…」
くいっ、くいっ
俺「なんだ」
クロエ「……い、一緒にトイレ行こ?」
俺「………」
俺「一人で行け」
クロエ「ひどい…」
エレベーター『チーン、二階デス』
~
~2階~
トイレの前
俺(ひ、人まだいるか?)
クロエ(あともうちょっと…もうちょっとー…
あ!タケシ!今です!今なら誰もイマセン!)
俺(よ、よし!)
コソコソ…
……
…
俺「なんかドッと疲れた…」
クロエ「そデスカ?」(ツヤツヤ)
俺「まぁいいんだけどさ…おっ」
クロエ「?」
俺「おぉ!」
クロエ「?タケシどしマシタ?」
俺「クロエ見てみろ!映画館があるぞ!」
クロエ「お?……おおっ!映画館もあるデスカここ!」
俺「お風呂と食い物屋だけじゃなく映画館まで完備してるとはっ!
健康ランド、至れり尽くせりじゃないか…!」
クロエ「まさに娯楽の楽園…!
タケシ!ワタシ、妖怪ウォッチの映画見たいデース!」
俺「も、もしかしたらやってるかもしれん!
とにかく入ってみよう!」
クロエ「ハイ!」
ワクワク!ワクワク!
………
……
…
俺「………」
クロエ「………」
俺「寅さんしかやってなかったね…」
クロエ「ハイ…」
俺「今日は寅さん一挙放送の日だったんだってさ」
クロエ「明日は一日中釣りバカ日誌らしいデスヨ」
俺「渋すぎる…」
クロエ「ふわぁ…なんか眠くなってきました…」
俺「そうね…」
~レストルーム~
クロエ「ここがレストルーム…」
クロエ「この部屋だけやたら綺麗デスネ」
俺「つい最近ここだけ改装したらしいよ」
クロエ「へー」
俺「とりあえず、あのイスに座ってみようぜ」
クロエ「ハイ」
……
…
クロエ「リクライニングチェアに個別テレビ付き…」
俺「しかもラジオも聞けるしdvdも見れる…」
クロエ「タケシ…」
俺「あぁ…」
クロエ「ここは天国デスヨ…!!」
俺「あぁ…全くもってその通りだ…」
俺「ただあえて問題をあげるとすれば」
クロエ「?」
俺「イスとイスの距離が遠い」
クロエ「ちょっとお話しづらいデスヨネ」
俺「そうだな。まぁ、もともとお喋りするような場所じゃないし
仕方ないっちゃ仕方ないんだけど……ん?」
TRRRR
俺「あ、すまん。電話きた
ちょっと席を外…」
じーっ←液晶に表示された名前を見る
俺「………」
俺「…もしもし」
クロエ「やっほー!」
俺「やっほー」
クロエ「これならお喋りできマスヨ!」
俺「目の前で顔合わせながら電話してるのってすごいアホな絵面だな…」
クロエ「そデスカ?」
俺「話するなら素直に大広間いこうぜ。
あそこなら近いし」
クロエ「お話したいデスケド…
でも今テレビで半沢ナオキの再放送が…」
俺「大広間でもやってるよきっと」
携帯(ピッ)
大広間
俺「お、半沢直樹やってるじゃん」
クロエ「ハイ……ふわぁ…」
俺「なんだ眠いのか」
クロエ「はい…なんか急に……ふわぁ…」
クロエ「タケシー…タケマクラ貸してくだサーイ…」
俺「ここで膝枕はしたくないな…」
お婆ちゃん(ニコニコ)
俺「視線が非常に気になる…」
クロエ「ぐぅ…」
コテン
俺「あ、こら。ここで寝るな。寝るなら仮眠室で寝ろ」
クロエ「どこにあるデスカー…それー…」
俺「レストルームの横だ」
クロエ「ハーイ…」
……
…
俺「行ってしまった」
俺「…本でも読むか」
~大広間~
ペラっ…
俺(……ふっ)
俺(俺ほどニーチェの本が似合う男はいないぜ…)
ペラっ…
ペラっ…
俺「………」
俺「ニーチェ飽きた」
俺「暇だな…」
俺「そういえば二階にゲームコーナーがあるんだっけか…」
クロエ「タケシ~」
俺「お」
クロエ「おはよー」
俺「おはよう」
クロエ「よく眠れマシタ~」←目をコシコシ
俺「クロエ」
クロエ「ハイ?」
俺「ゲームコーナー行こうぜ」
クロエ「へ?ゲームコーナー?」
~廊下~
クロエ「ゲームですカ」
トコトコ
クロエ「ワタシ、ゲームセンターってあんまり好きじゃナイデス。
音がうるさくてちょっと苦手デス」
トコトコ
俺「大丈夫だ。
これから行く所はゲームコーナーであってゲームセンターではないからな」
クロエ「その二つは違うデスカ?」
俺「まぁ見てみればわかる」
俺「こういう慰安所のゲームコーナーというのはな、
この場所独特の楽しみ方というものがあるのだよ」
クロエ「はぁ」
俺「お、着いた着いた」
俺「ここがゲームコーナーだ」
クロエ「……なんかボロいデスネ」
俺「年季がこもってると言え」
~ゲームコーナー~
クロエ「なんか全体的にボロいデスネ…あとタバコくさい…」
俺「この閉鎖的な雰囲気こそが、健康ランドのゲームコーナーの魅力なんだよ」
クロエ「魅力デスカ…?それ」
……
…
俺「さてと、それじゃあまずは…」
クロエ「ワタシ、戦うゲームとかやったことないデスヨ?」
俺「安心しろ。ゲームはしない」
クロエ「えっ」
俺「遊んじゃったらくつろいでるとは言えないからな。
健康ランドは遊ぶ場所じゃなくてくつろぐための場所なんだから、
俺たちも全力でくつろがないといけない」
クロエ「はぁ」
俺「健康ランドのゲームコーナーでの正しい過ごし方……」
俺「まずは、空いてる筐体のイスに座る」
ストンっ
俺「そして筐体の上に好きな飲み物を置く」
ぐんぐんグルト(コトッ…)
クロエ「…それ、見る人が見たら怒りマスヨ?」
俺「ばれなきゃいいんだよ。
それにあんまり人来てないみたいだし大丈夫だろ」
クロエ「タケシ怒られてもワタシ知らん顔しますカラネ…」
俺「そして次にすることは、」
俺「片手に携帯をもってポチポチいじる」
はぁ
俺「以上だ」
クロエ「……ゲームしないんデスカ?」
俺「しない」
俺「さっきも言ったが、
遊びだしたらそれはもうくつろいでるとは言えないからな」
クロエ「ふわぁ…ふぇ?アーそうなんデスカー」
俺「ゲームで遊びはしないが、でもたまに見たりはする。」
俺「例えば、クレーンゲームをするちびっ子たちの背中をぼけーっと眺めてみたり、
対戦ゲームのデモムービーをじっと見て、
『お、そろそろ二週目入ったな…』とか一人で呟いてみたり、」
俺「他にも、
腕相撲マシーンにお金も入れずになんとなく腕を合わせてみたり、
お菓子クレーンゲームの薄汚れた透明な球状のガラスをみて、
『なんか汚いなぁ…。中のお菓子は大丈夫かよ…』とか思いつつ、
あと一押しで取れそうなお菓子を見つけて
頭の中でお菓子を取る算段を練ったりしてみたりする」
俺「そんなことをしながら、ボケーっと携帯をいじって過ごす。」
俺「これが…ゲームコーナーの正しい過ごし方だ!」
クロエ「ふーん」
俺「ふーんて…もっと反応くれよ」
クロエ「あんまり響かないデス」
俺「えー…」
クロエ「あ!」
クロエ「卓球台ありマスヨ!
タケシ、一緒に卓球やりマセンカ??」
俺「まーたベタなものを…。
俺はやらんぞ。くつろぎに来てるのになんで運動なんか…」
クロエ「ラケットと球借りてきました!」
俺「行動はやいな…」
クロエ「はいタケシ。ラケットどうぞデス」
俺「だから俺はやらないってさっきから…お?
…これってもしかしてシェイクハンド?」
クロエ「はい。そうデスケド」
俺「シェイクハンド…これじゃ余計に戦えないな。
違う種類のラケットを使うと変な癖がついちゃうからさ、
俺はツブ高ラバーの反転式ペンホルダーでしか
試合しないって決めてるんだよね」
クロエ「……まーたタケシがアニメで知った単語を得意気に話してマス」
俺「う、うるせー」
クロエ「ツブ高なんとかならここにアリマスヨ。
ハイ、どうぞ」
俺「おぉ!これだよこれ!
これじゃなきゃ俺戦えないんだわー。調子でないんだわー」
シュッ!シュッ!
クロエ(実はふつうのペンホルダーデスケド…
気付いてないみたいデスネ)
……
…
クロエ「先行はワタシからでイイですか?」
俺「おう。カットの鬼と言われた俺の実力を見せてやるぜ!」
クロエ「じゃ、行きますヨー」
俺「あ、待って。俺卓球初めてだから、
スピンとかそういうのはナシな」
俺「わかってると思うけど口だけだからな俺」
クロエ「ハイハイわかってマスヨー。
最初はゆっくり行きマスネー」
俺「おう、頼む」
……
…
俺「はぁはぁ…クロエも…なかなかやるじゃないか…」
クロエ「タケシ…」
俺「はぁはぁ…なんだァ…」
クロエ「弱いにも程がアリマス」
俺「ぐぬぬ…くそっ」
クロエ「うーん…
このままじゃ試合になりマセンネー…」
俺「子供の頃に稲中じゃなくてピンポンの漫画にハマっていれば、
俺ももう少しは卓球上手くなってた気がするんだがな…」
クロエ「どんな言い訳デスカそれ」
クロエ「あ、ハンデつけましょうカ」
俺「ハンデ?この俺が?」
クロエ「嫌なら今のままでいいですケド」
俺「この俺がハンデとか…ははっ!望むところだぜ!」
クロエ「望んじゃうんデスネ」
………
……
…
俺「おりゃ!」
クロエ「はっ!しまっ……」
スコーン
俺「よっしゃあああ!!勝ったあああ!!」
クロエ「く、くぅぅ…!タケシに負けタ…」
俺「ふぅー…これが勝者の高みか…
頂上とは案外虚しいものだな…」
クロエ「たった一勝で悟りすぎデスヨ!
しかも今の試合はハンデで
ワタシ利き腕使ってませんデシタシっ!」
俺「お?言い訳か?お?お?」
クロエ「むむむっ……!!
もっかい!もっかいヤリマスヨ!タケシ!」
俺「よかろう…
かかってくるが良い…有象無象よ…」
……
…
クロエ「やー」
俺「はぁ…はぁ…」
クロエ「いい運動になりましたネ~」
俺「はぁ…はぁ…はしゃぎ…すぎた…」
クロエ「汗かいちゃいマシタ」
俺「そうね…。またお風呂入ろうか」
クロエ「えっ。また入れるんデスカ?」
俺「ここの健康ランドは何度でも入れるよ」
クロエ「オォ!じゃあ入りたいです!」
俺「うむ」
そして時は流れて…
~電車~
……
…
クロエ「帰り際に見た寅さん面白かったデスネ~」
俺「予想外な面白さだったなー」
クロエ「そーナンデスヨ!
やっぱり何事も偏見で見るのはよくありまセンネっ。
寅さんがワタシの中でプチブームデス!」
俺「おぉ、そんなに気に入ったのか」
俺「じゃあ、今度の週末は
寅さんのはとバスツアーデートにでも行ってみる?」
クロエ「………」
クロエ「流石にそれは渋すぎてデートには向いてない気がシマス」
俺「それもそうか」
クロエ「でも!健康ランドはまた来たいデス!
クロエ「タケシ、また来ましょうネ」
俺「おう。また来ような」
クロエ「ハイ!」
………
……
…
おわり
このssはやりたいことをただダラダラと続ける妄想日記です。
優しく見守ってください
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