男「だから、俺の彼女になってくれって言ってるんだけど」
女「え、あの……私、ですか?」
男「お前以の他に誰がいるんだよ」
女「いえ、あの、その……」
男「……で、返事は?」
女「わ、私、そんなこと言われたの初めてで、どうしたらいいのか……」
男「俺と付き合ってみたいんならyes、嫌ならno。どっちでもいいからさっさと言ってくれ」
女「あの、じゃ、じゃあ……えと……い、yesでも、いいでしょう、か?」
男「……」
女「す、スイマセン、私なんかが……ご迷惑だったですよね」
男「なんで告られた側のお前が謝るんだよ」
男「じゃあ付き合うってことでいいんだな?」
女「///」コクリ
男「わかった。なら今からお前は俺の彼女ってことで」
女「は、はい!」
男「さて、付き合うことになってそうそう悪いんだけど、俺これから用事があるから。それじゃ」
女「はい。あ、あの! これから、よ、よろしくお願いしますっ!」
男「……ああ」
女(わ、わ、初めて告白されちゃった……! どうしよう)
女(で、でも、男くんみたいなかっこいい人が、どうして私なんかに?)
女(お話だって全然したことないのに、一体私のどこを気に入ってくれたんだろう……)
女(き、今日は用事があるからって帰っちゃったけど、明日はいろんなことを聞いてみよっと)
イジメ女1「おい、女、なにモタモタやってんだよ! さっさと掃除終わらせろよ」
イジメ女2「まだ終わってなかったの? 全く、あんたと掃除当番が一緒なんて最悪~。帰るの遅れちゃうじゃん」
女「ご、ごめんなさい……もう少しで終わりますから」
イジメ女1「ったく……ほら、黒板消し貸しな! 少しは手伝ってやるよ!」 パンパン
女「きゃっ!? や、止め、ごほっ……顔は、苦し、ごほっごほっ!」
イジメ女2「キャハハ! あんた白髪似合うじゃん。肌も美白になったし」
イジメ女1「じゃあ私たちトイレでもう一服してくるから、終わったら呼べよ」
女「ごほっ……は、はい」
女「………………ぐすっ」
――同時刻
友「はっはっは! よかったじゃん、振られなくってさ」
男「冗談じゃねえよ……ったく、断ってくれればそれで終わりだったってのに」
友「このイケメン野郎。遠回しに自慢すんなってよ」
男「……で、俺はこれからどうすりゃいいんだっけ?」
友「今まで通り罰ゲームは最大一週間持続だから、少なくてもそれまでは恋人だっこだな」
男「一週間もかよ……めんどくさいな」
訂正
>>1
×男「お前以の他に誰がいるんだよ」
○男「お前の他に誰がいるんだよ」
「お前以外に」と書いていたのの消し忘れです。失礼しました
友「お前な……先月1年のホモ野郎と付き合わされた俺の前で何贅沢言ってるんだよ」
友「あと2,3日長かったらアナル処女貫通されてたかもしれなかったんだぞ」
友「相手が女なだけマシだっての」
男「あの時はまさかホントにokするとは思わなかったよな。ははっ」
友「笑い事じゃなかったんだぞ、全く……だからお前もちゃんと恋人っぽくしろよ?」
友「バレたらまた別の罰ゲームだからな」
男「はいはい……あ~ダルい」
友「てかさ、付き合って初日なのに何一人で帰ろうとしてるんだよ」
友「たしか女は掃除当番だろ? 終わるまで待って一緒に帰れよ」
男「ええ~……」
友「使い用はいろいろあるだろうが。財布とかダッチワイフの代わりだったり、とかさ」
男「なるほど……そういや、今日はちょうど財布持ってきてないんだった」
男「さっすが、ゲイ験者は語るってやつだな」
友「この糞イケメン、早死しちまえばいいのに……じゃ、俺は先に帰らせてもらうぞ」
男「ああ、じゃあな」
――数分後
女「……はあ、後ろ髪に付いた粉、ちゃんと落ちたかなぁ」 トボトボ
?「おい、女」
女「……え?」
男「おっせえな。掃除当番なんか適当に済ましちまえばいいんだよ」
女「お、男くん!? な、なんでここに? えっと……用事は?」
男「あ~……あれはだな、終わらせてきた」
女「そ、そうなんですか。それで、あの……どうしたんです?」
男「あのな……彼女待ってたに決まってるだろ。ほら、行くぞ」
女「え? そ、それって、私と一緒に帰ってくれるってこと、ですか……?」
男「それ以外にどんな意味があるんだよ」
女「い、いえ、私、高校に入ってから他の人と一緒に帰るなんてこと全然なかったから……」
男「ふ~ん」
女「だから、その……」
男「……じゃあこれからは俺が一緒に帰ってやるよ」
女「!! う、嘘とかじゃあなくって、本当に……?」
男「なんで嘘つかないといけないんだよ。それに……お前は俺の彼女、だろ」
女「あ、あ、ありがとう、ございます……っ!」 ウルウル
男「お、おい!? なんで泣くんだよ」
女「すいません、ぐすっ……嬉しくって、つい……」 ポロポロ
男「そんなに泣くほどのことかよ……」
女「すいません、すいません……ぐすっ」 ポロポロ
男「ああもう、めんどくさい奴だな。ほら、ハンカチやるから目ぇ拭け。さっさと行くぞ」
女「ありがとう、ございます」 フキフキ
男「で、お前って家はどっちなんだ?」
男「こんなにボロボロ泣いといて、校門でたらはい、サヨナラとかはやめろよ」
女「そ、それは大丈夫です! えっと、家は○×の方なんです」
女「たしか、男くんの家もでしたよね?」
男「ああ。よし、じゃあさっさと帰るぞ」
女「は、はい!」 ニコッ
――帰り道
男「……」
女「……」 ドキドキ
男「……」
女「……」 ドキドキドキドキ
男「……なあ、女」
女「ひゃ、ひゃい!?」 ビクッ!
男「どんな声出してんだよ……まあいいや。今日体育あったしさ、腹減ってない?」
女「え? は、はい。もう夕方ですし、ご飯の時間帯ですから」
男「だろ? 俺もだいぶ空腹なんだよ。だからさ、マックで買い食いしていこうぜ?」
女「か、買い食い、ですか!?」
男「そんなに驚くことでもないだろ」
女「いえ、じ、実は私、買い食いってしたことがなくって……」
男「マジか……」
女「それに、マック? ですか? そういうところにも入ったことがないんです」
男「友達とか親とかとも一緒に行ったことがないのか。今時珍しい奴だな」
女「中学時代もいじめられてましたし、親は私が小さい頃に亡くなってしまって……」
男「……なんかスマン」
女「い、いえ! 謝るほどのことでは」
女「それに今はお婆ちゃんと妹と、三人で住んでるんですけど、とっても楽しいですから」
男「そうか」
女「はい。だ、だから気にしないでください」
男「わかった。まぁこんな暗い話ばっかりしてても面白くないし、とりあえずマックに入るか」
女「は、はい……!」
――マック内
店員「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか?」
女「え? あ、あの、えっと……」
店員「ただいまこちらの商品がお安くなっております。いかがでしょうか」
女「そ、そうなんです、か? じゃ、じゃあそれを……」
店員「ポテトやお飲み物もご一緒にどうでしょう。こちらのセットだととてもお得になっておりますが」
女「ああああの、えと、その、うぅ……」
店員「デザートとしてこちらの商品も大変人気なのですが、よろしかったらどうでしょう」
店員「……お客様? いかがなさいました? ご注文はどういたしますか?」
女「じ、じ、じゃあそれもお願いしますぅ……」 ヘナヘナ
店員「かしこまりました。では、ポテトのサイズとお飲み物は何がよろしいでしょうか」
女「うえぇぇん……もうやだぁ……」
――しばらくして
男「……また大量に買ってきたな」
女「うぅ……ぐすっ」
男「そんなに腹減ってたのか? 見かけによらず食いしん坊なんだな、お前って」
女「ち、ちがいます! それに……男くん、途中から見てたじゃないですか」
男「あら、気が付いてた? いやあ、トイレから戻ってきたら面白いことになってたんで、つい」
女「ひどいです……私、初めてだって言ったじゃないですか」
男「ははは。でもちゃんと買えたからよかったじゃないか」
女「他のお客さんからの視線が痛かったです……慣れてますけど」
男「それにしても悪いな、お金出してもらって。次からは忘れないようにするからさ」
女「いえ、いいんです」
女「お婆ちゃんから、もう高校生だからってことでお小遣いは貰っているんですけど、あまり使うことがなくって」
男「お金は使ってなんぼだぞ、ってもお前んち年金で三人生活なんだったな」
男「自分だけ贅沢は言ってられないってわけか」
女「はい……お金を使うのは、たまに嫌がらせされて使えなくなったノートとかを買い直すくらいで、」
女「余った分は生活費にあててるんです」
男(んだよ……財布の代わりに、なんて思ってたけどかなり貧乏じゃねえか)
男(友もこんなやつターゲットに選びやがって、全く……)
女「お、男くん……? どうかしましたか? あの……お料理が冷めないうちにいただきましょう?」
男「ああ」
男(ハンバーガーを『お料理』って……世間知らずなんだかバカなんだか)
女「……」 モグモグ
男「……」 パクパク
女「……」 モグモグモグモグ
男「……?」 パクパ・・・
女「……」 モグモグモグモグモグモグモグモグ!
男「……そんなに慌てて食うこともないだろ。喉に詰まっちまうぞ?」
女「あ、すいません……/// その、あ、あまりにも美味しかったもので」
男「いや、まあ……たしかに美味いけどさ……もしかしてハンバーガー自体食べるの初めて?」
女「は、はい。ハンバーグと野菜、チーズをパンで挟んでるだけなのに、すごいです……!」
男「普段家ではどんな料理食ってるんだよ。まぁ婆さんち住まいだから和食が多そうだなって察しはつくが」
女「そうですね、大体は和食です。だけど材料さえあれば割となんでも作りますよ」
男「……ん? 家ではお前が料理してんの?」
女「はい。お婆ちゃんにばっかり無理させられないと思って、昔から教わってたんです」
女「あとは、本やテレビとかを見て独学で」
男「……へえ、しっかりしてんな」
女「い、いえ! 住まわせてもらってる身ですしこれくらいは……」
女「それにお料理ってとっても楽しいですよ?」
男「ふ~ん。まあ俺はずっと食べる側の人間でいいや。めんどくさい事って苦手だし」
男「機会があったらお前の料理も食べさせてもらおうかな」
女「え? あ……じ、じゃあ、あの……」
男「ん?」
女「こ、今度の休みにでも、うちに食べに来てみますか? なんて……///」
男「……」
男(しまったぁ……墓穴掘っちまった!)
女「ど、どうですか……?」
男「う、う~ん……」 ムズカシイ顔
女「……」
男「まぁ、休みの日に何も予定がなかったら、かな」
女「あの……やっぱり、いいです」
女「お付き合いし始めたばっかりなのに図々しかったですよね……すいません」
男(そう思うんなら最初から言うなよ……そんなに落ち込まれたらこっちが悪いことしてるみたいじゃねえか)
男(……実際に現在進行形でしてるんだけどさ)
女「私、友達もあまりいなかったので、人との距離の取り方がいまいちわからないんです……」
男「……」
女「ですから、私が気づかないうちに失礼なことを言ってしまったりして、」
女「不愉快に感じたりしたのなら遠慮なく言ってください」
男「……」
女「私、酷い物言いされるのには慣れてますし、」
女「はっきり言ってもらわないとわからないような人間ですから……」
男「…………わかった。じゃあ早速一つ言わせてもらう」
女「……はい」
男「お前、いちいち自分を卑下するのをやめろ」
女「すいません……お気に触っていたのなら謝ります」
男「目の前で、その……自分の彼女をバカにされるのはムカつくんだよ」
女「……え?」
男「たとえ彼女本人がそれを言ってたとしても、だ」
女「お、男くん……」
男(少し台詞がクサすぎたかな……)
女「優しいんですね、男くんって。ありがとうございます、元気でました!」
男「そんなんじゃねえよ……ほら、食い終わったんなら出るぞ」
女「は、はい!」
男「罰ゲームでした^^」
女「ええっ」
俺「女ちゃん俺と付き合おう」
女「無理」
終
――帰り道
女「今日はありがとうございました。初めてマックに連れて行ってくれたり、優しく忠告してくれたり」
男「別に礼を言うようなことでもないだろ」
女「いえ、今日は本当に……高校に入ってから一番楽しかった日ですから」 ニコッ
男「大げさなやつ……」
女「えっと、私の家あっちなのでここでお別れですね……」
男「あ、そうなの? じゃあまた明日な。さよならバイバイ」
女「は、はい。さようなら……」
男(あ~初日から疲れた……こんなのがあと6日も続くのかよ)
女「あ、あの!」
男「……ん? まだ何かあんの?」
女「わ、私、ふつつかものですが……こ、これからもよろしくお願いしますっ!」
男「……ああ」
女「そ、それでは、また明日 ///」
男「……」
――次の日の昼休み
イジメ女1「女! 今日も一緒に飯食おうぜ。な?」 ニヤニヤ
女「ぁ……その、き、今日は約束があって、ちょっと……」
イジメ女2「あんたが休み時間に約束ぅ? 真昼間っから何寝ぼけてんの? この学校にそんな物好きがいるわけ」
男「おい、女。何やってんだよ。早く行くぞ」
女「は、はい! すいません、呼ばれているので……失礼します」
イジメ女2「いるわけ……」
イジメ女1「……」
イジメ女2「いる、わけ……」
イジメ女1「………………どゆこと?」
イジメ女2「あの男くんが、なんで?」
イジメ女1「女のやつ、男の癇に触るようなことでもしちまったのか?」
イジメ女2「それで今からどこかで制裁を、ってこと?」
イジメ女1「それくらいしか考えられないしな。倉庫とかに連れて行かれてズッコンバッコンでもされるんじゃね?」 ケラケラケラ
イジメ女2「…………羨ましい」 ボソッ
イジメ女1「!?」
――屋上
男「……」 パクパク
女「……」 モグモグ
男「……」 パクパク
女「……」 モグモグ
男(会話が無い……無理に話す必要ないんだが、さすがに気まずい。何か共通の話題とかは……)
女「……すいません。せっかくお昼をご一緒させていただいたのに、ずっと黙ってばかりで」
男「……いや、俺も同じだからいちいち謝んな」
「それに、今まで関わり合いが無かったんだからすんなり会話できないのは当たり前だろ」
女「あ、それです!」
男「……何が?」
女「いえ、私と男くんって全く接点なんてなかったじゃないですか」
「それなのにどうして、その……私に告白、してくれたんですか?」
男「そ、そのことか。そりゃまあ……気になるよな」
男(罰ゲームでした、なんて言えるわけないし……適当に、だが不自然さの無いように答えないと!)
男「あ、あれだよ、一目惚れってやつだよ」
女「ひ、一目……惚れ、ですか ///」
男「ああ。それなら接点の有る無しなんて関係ないだろ」
「見た瞬間にビビっときちまったんだ。理解したか?」
女「///」 コクリ
男(ふぅ……咄嗟に考えたにしては上出来、かな)
「」の前にはちゃんと名前を書いてほしい
なんか気持ち悪い
人それぞれ
まぁ、俺は「」の前は何もないほうがいい
五行くらい連続だと
「いや、誰のセリフか分かってますから」って思ってしまう
ということで、俺の一意見はスルーでもしてくだせい
男「そういや、さっきから気になってたんだけどさ」
女「はい?」
男「お前ってやっぱり大食い? 弁当やたらと多くないか?」
女「ち、違います/// 大食いなんかじゃありません!」
女「お弁当が多いのは、イジメ女さん達が、その……お弁当箱に嫌がらせをしてきてもご飯に困らないよう、」
女「小分けにしていくつも持ってきてるんです」
男「ふ~ん、な、なるほどね」
男(ミスった……俺から雰囲気悪くしてどうすんだよ)
女「でも今日は男くんのおかげで、お弁当が一つもダメにならずにすみました。ありがとうございます」
男「……ただ昼飯に誘っただけなんだけどな」
女「そ、それでですね、あの……お礼って言うほどでもないんですけど、」
女「まだお腹に空きがあるんでしたら、私のお弁当を……め、召し上がってみませんか?」
男「……は?」
女「そ、その、男くんって帰りに割と買い食いしてるみたいだし、今日も体育あったし、」
女「お昼が購買のパンだけで足りるのかな、って思っちゃったりしちゃいまして……」
男「……」
女「それに、わ、私、こんなに食べきれないですし、残すのも勿体無いですし」 アセアセ
男「女、俺が言ったことなんか気にしなくっていいんだぞ?」
女「……はい?」
男「自分で作った弁当なんだし、食いたければ食えばいいだろ」
男「お前が大食いだろうとなんだろうと、俺は気にしないぞ?」
女「ちちち違いますよ/// 大食いから離れてください! 私が言いたいのは……」
男「言いたいのは?」
女「お、男くん、私の作った料理を食べてみたいって言ってたじゃないですか。そ、それで……」
男「……ああ、そういやそんなこと言ってたっけな」
女「私の味付けがお口に合うかとか、好きなオカズは何か、とかを知りたいな~なんて思っちゃいましてですね」 ゴニョゴニョ…
男「まぁ、実際パンだけじゃ足りなかったし、くれるってんならいただくけど」
女「食べてくれるんですか!? ありがとうございます」
女「こっちの箱はまだ中身に手をつけてませんので、どうぞ」
男「じゃあ遠慮なく。へぇ、煮物メインの弁当か」 パクッ
女「……」 ドキドキ
男「……」 モグモグ
女「ど、どうですか……?」
男「なかなか美味しいけど味付けが薄い」
男「婆さんと住んでるから仕方がないのかもしれんが、俺の好みとは少し違うな」
女「う……すいません」 シュン…
男「別に非難してるわけじゃない。味付けなんて人それぞれだし」
女「じゃ、じゃあ、そっちのきんぴらはどうですか?」
女「それは妹の好みに合わせて作ったんですけど……」
男「ほう、どれどれ」 パクッ
女「……」 ドキドキ
男「……」 モグモグ
女「……」 ドキドキドキドキ
男「お……おお、美味い! これ美味いぞ!」
女「ほ、本当ですか!? やったやった!」
男「お、おう、そんなにはしゃぐほど嬉しいものなのか、弁当褒められるのって……」
女「あ、すいません。つい…… ///」
支援
エロはある?
めっちゃ面白いから、
もう少しだけ更新スピードを上げてくれると
更に嬉しい
支援o(^▽^)o
男「しっかし、うちで出てくるきんぴらとも、店で食べるのとも違う味だ……」
男「具材はごぼうだけなのか?」
女「はい。最初はニンジンとかも入れてたんですけど、妹が『ごぼうの味の邪魔~!』なんて言うもんだから、」
女「今ではごぼうとゴマだけなんです」
男「お前の妹とは好みが合いそうだな」
男「よし、今度の休みに作る料理は妹さんの好きなメニューにしてくれ」
女「え? 今度の休み、私の料理を食べに来てくれるんですか……?」
男「あ、ああ。用事も特になかったし、大丈夫っぽい。構わないだろ?」
男(友のやつが『休みは二日とも一緒に過ごすってルールはお前が決めたじゃねぇか!』ってうるさいからな)
女「はい! 大丈夫です! えっと、お昼ご飯でいいですか?」
男「ああ……そういや、休みの日って婆さんと妹さんも家にいるのか?」
女「妹はわかりませんけど、お婆ちゃんはいますよ」
女「お客さんがうちに来るのは久しぶりだから喜んでくれると思います」
男(う~ん、少し気まずいな。まぁ飯食いに行くだけだし、大丈夫だろ)
男「っと、もうこんな時間か。休み時間が終わっちまう」
男「弁当ありがとな。きんぴら美味かったわ」
女「いえ、食べてもらえて……一品だけでも褒めてもらえて嬉しかったです」 ニコッ
男「……」 ズキン…
男「……早いとこ教室に戻ろうぜ」
女「は、はい! 少し待ってください」
男(なんだ? 今の感じ……俺、罪悪感でも感じてんのか……?)
女「お待たせしました。たしか次は移動教室でしたよね」
男(まさか、今更……ね)
――教室
イジメ女2「ちょっと女ぁ~! 少しいい?」
女「い、今……ですか? 次は移動教室だから早く行かないと……その……」 ビクビク
イジメ女2「そんなに時間とらせないって。少し……聞きたいことがあるだけだからさ」
女「聞きたいこと……ですか?」
イジメ女2「えっとさぁ、さっきの休み時間、男くんと一緒だったんでしょ?」
女「え? は、はい……」
イジメ女2「で、どうだったの?」
女「どうだったって……何が、ですか?」
イジメ女2「とぼけなくってもいいから! あの男くんにさ……食べて、もらったんでしょ……?」
女「え? あ……はい」
女(お弁当のこと、どうして知ってるんだろう)
イジメ女2(う、羨ましい……! 私の身体も、男くんに食べてもらいたいし!)
イジメ女2「……で、男くんはさ……な、なんて?」
女「一応、美味しかったって言ってもらえました」
女「それで、今度の休みの日にも、うちに来て食べてくれるって」
イジメ女2「!? ふ、ふ~ん。よかったじゃん」
イジメ女2(や、休みの日まで!?)
イジメ女2(こいつの身体、どんだけ気に入られてんだよ! まじムカつく……)
女「あ、あの……もしかしてですけど……」
イジメ女2「な、なによ」
女「えと……イジメ女2さんも、男くんに、その……食べてもらいたいんですか?」
イジメ女2「!? な、なに意味わかんないこと言ってるわけ!?」
イジメ女2「んなわけないじゃん! も、もう私行くから!」
女「あ…………行っちゃった」
女(男くんは私の……か、彼氏だから、できればお弁当作ってくるのはやめて欲しいって)
女(思い切って言おうとしたけど……私って意気地ないなぁ……)
――移動教室の途中
友「おい、男。土日はちゃんと女と過ごすんだろうな」
男「……ああ。一応な」
友「そうかそうか。よし、なら特別に女ちゃんについての情報を提供してやろうか?」
男「急になんだよ……てか、情報って?」
友「いや、性格は大人しいし、顔も可愛い、悪い噂も何にも聞かない女が、」
友「なんで虐められてるのか興味くらいあるだろ?」
男「まあ、多少は」
友「というわけで調べてきた」
男「お前って、つくづく暇な奴だな」
友「いいから聞けっての。えっと、虐め自体は小学生のときからあったらしい」
男「そんなに早くからか!?」
友「まぁ虐めって言っても、男子が気になる女子をからかったり、ちょっかいをだしたり、」
友「ってレベルのものだったらしいんだけどさ」
男「なんだ……」 ホッ
友「で、問題は中学に上がってからだ。妬みってやつだな。他の女子たちが、男子に人気の女に」
友「目をつけちまったらしくて、親がいない & 貧乏ってことをネタにして陰湿な虐めが始まっちまったと」
男「……」
友「中学三年間はずっと虐めの対象。運の悪いことに、虐めてたメンバーの一人がここに入学だったから高校でも虐めは継続」
友「そいつは去年退学になったらしいけど」
男「……」
友「で、退学になったそいつの後釜に座ってんのがイジメ女達ってわけだ」
友「すごいよな。女には特に悪いところがないんだぜ? 世の中って不公平だよな~」
男「……虐める側にも、虐められる側にも問題があるってのが俺の考えだ」
男「聞き集めた情報だけが全てってわけじゃないだろ」
友「そうか? じゃあ、実際に女と付き合ってて、虐めの対象になっちまうような問題とか行動ってあんの?」
男「まだたった二日だけだし、今のところは……ない、けどさ」
友「だろ? あったとしても些細なもんで、きっと気にするほどのもんじゃないって」
友「だからさ、たぶん女には不幸を呼び寄せちまうような才能があるんだよ」
友「現にお前の罰ゲームのターゲットになっちゃってるくらいだし」 ケラケラケラ
男「それはお前が決めたんじゃねえか」
友「サイコロ使って決めたんだから完全なランダムだったって。お前も見てだろ」
男「……」
友「さて、俺の話はこれだけだ。どうだ? この話を聞いて少しは女に対しての見方が変わったりしたか?」
男「……変わらねえよ。どうせ一週間だけの付き合い、たかが罰ゲームなんだからな」
友「はっはっは! やっぱり女には才能あるって。可愛そうだねぇ」
友「お前にフラれた後、俺が身体で優しく慰めてあげようかな~なんて」
男「……」 イラッ
男「馬鹿なこと言ってんなよ。先に行っちまうからな」
友「お、おい! ちょっと待てよ」
訂正です
>>118
× 友「~。お前も見てだろ」
○ 友「~。お前も見てただろ」
今日はここまでとさせていただきます。今回は説明文ばっかりですみませんでした……
――放課後
イジメ女2「女のやつ、男くんと一緒に下校してるし……」
イジメ女1「ふ~ん……」
イジメ女2「ん? どうしたの?」
イジメ女1「いやさ、あんたってそんなに男のこと好いてたんだな。気づかなかったわ」
イジメ女2「だってさ、顔がよくて、チョイ悪風で、かなりイケてんじゃん」
イジメ女2「話してるだけでも濡れてくるっての」
イジメ女1「……」
イジメ女2「女は一体どうやって男くんに取り入ったんだろうなぁ」 ハア…
――マック内
男「悪いな、また奢ってもらっちゃって。今日こそは財布持ってきたと思ったんだけどさ」
女「い、いえ、気にしないでください。…………あれ?」
女「そういえば男くん、お昼は購買のパンでしたよね。財布がなかったのにどうやって買ったんです?」
男「!」 ギクッ!
女「?」
男「あ、あれは、その……ち、ちょうど友から金が返ってきてさ。ついこの前貸してたやつ」
男「それをそのまま昼飯代にあてたんだよ」
女「そうだったんですか。お昼はいつも購買で?」
男「ああ。……いや! たまに弁当だ! 昨日も財布忘れてたんだからパン買えるわけねぇし!」
男(こ、こいつ……俺を疑ってんのか? やべ、話をそらさないと!)
女「でしたら、あの……もしよかったらなんですけど、こ、今度からお弁当」 ドキドキ
男「そ、そんなことより! 日曜はどうする?」
女「作っ……て…………」
女(うぅ……そんなことって言われた) シュン…
女「って……え? 日、曜……?」
男「ちょうど割引券持ってるし、映画でも見に行くか?」
女「あれ? ……えっと、食事は明日、土曜日じゃないん、ですか? それに映画って……」
男「あ、言ってなかったか? 日曜も遊びに行くぞ」
男「それで、割引券持ってるんだが使わないと勿体無いからとりあえず映画な」
女「は……はい! 私、見に行きたいです、映画!」
男「今何の映画やってるかは、また後で調べるとして……」
女(映画館なんて初めてだ、私。恋愛映画とか見てみたいな……///)
男「まずは土曜のことだな。とりあえずお前んちの場所教えてくれ」
女「ひゃい!? ば、場所ですか? ええええっと、少し複雑な道を通るので説明しづらいんですけど……」
女「あ、今地図を書きますね」
男「いや、当日にどこかで待ち合わせしたほうが楽だ。お前んちの近くになんか目立つものないのか?」
女「えっと、○×スーパーから歩いて5分ほどの距離に私の家があるので、そこでいいですか?」
男「ああ、あそこか。じゃあ……そうだな、、11時半集合ってことで」
女「はい!」
女(時間を決めて待ち合わせ……なんか、ドキドキする) ドキドキ
男「あとは何かあった時のために携帯の番号も交換しとくか。ほら、携帯出せよ」
女「あ……」
男「どうした?」
女「あの、私……携帯電話って持っていないんです」
男「なんと……」
女「す、スミマセン……」
男「いや、別に謝ることじゃないんだけどさ。家計とかも大変なんだろうし」
女「はい……それに、電話をしてくれる友達もいないですから」
男「ああ、なるほど。お前の場合それもあるのか」
女「うぅ……」 シュン…
男「じ、じゃあとりあえず家の番号教えてくれよ。えっと……」 カキカキ
男「これが俺の番号」 スッ
女「は、はい。えっと、私の家の番号は○○○です」
男「……よし、登録しといた。電話なら俺がしてやるからそんなに落ち込むなよ」
女「! あ、ありがとうございます!」
男「ははは、相変わらず浮き沈みが激しいな」
女「え、えへへ……///」
男「さて、そろそろ帰るか」
女「そうですね。明日のメニューも考えとかないといけないですし」
男「じゃあまた明日な。料理期待しとくぞ」
女「はい! 頑張ります。では、また明日」
女(また明日、って言い合っちゃった……えへへ、私、顔が真っ赤かも///)
――帰宅後、しばらくして
電話『ムゲンダイナーユーメノーアトノー♪』
男「電話……女から? 今更明日は中止とか言うんじゃないだろうな」
男「ま、それはそれで構わないんだけど」 ピッ
女『あ、あの、もしもし! 女というものですけど!』
男「……そんなに大きな声出さなくっても聞こえてるぞ」
女『す、スミマセン……えと、その声、男くんでしょうか?』
男「俺の携帯に電話してるんだから俺以外の人物が出るわけ無いだろ、まったく……」
女『そ、それもそうですね。あの……今、お時間大丈夫ですか? もし迷惑だったのなら、またかけ直しますけど……』
男「いや、大丈夫だ。ちょうど暇だったところだし。一体何の用だ?」
女『えっと、明日のことについてなんですけど』
男「もしかして、急な用事が出来て中止になっちゃったとか?」
女『い、いえ、それは大丈夫ですので安心してください』
男(むぅ……ま、ただで美味い飯が食えるんだし、いいか)
男「……? じゃあ何だ? 明日のことって」
女『あ、明日のメニューを考えてて思ったんですけど、男くんって食べられないものとかってありますか?』
女『もしアレルギー持ちだったりしたら大変だと思って電話をしたんです』
男「おお、そんなことのためにわざわざ電話してくれたのか」
女『……やっぱり、ご迷惑でしたか?』
男「いや、むしろ助かった。俺昔っからさ、半熟の卵だけは気持ち悪くって食べられないんだよ」
男「できれば、明日は出さないでもらえるか?」
女『半熟の卵、ですか? ……ふふっ』
男「……変だったか? どうしてもあの生々しさと風味が苦手なんだけど」
女『あ、スミマセン、違うんです。実は、うちの妹も苦手なんですよ、半熟の卵』
男「! あれがダメな人って俺だけじゃなかったんだな、やっぱり」
女『はい。あ、卵といえば、妹は甘い卵焼きも苦手って言うんですけど、もしかしてもしかすると……男くんもだったりします?』
男「俺とお前んちの妹さん、味覚が同じすぎるだろ。俺も甘いやつは好きじゃないんだよ」
女『すごい偶然ですね。ふふふ』
男「ここまでくると、明日の妹さん好みのメニューはかなり期待できるな」
女『よし! 期待に添えるように頑張りますねっ!』
男「あ、そういや、結局明日、妹さんや婆さんは?」
女『お婆ちゃんはいるそうです。でも妹は出かける用事があるみたいでいないんですよ』
男「ふ~ん、なるほどわかった」
男(どっちもいない方が気が楽だったんだけどなぁ)
男「さて、結構長い時間しゃべっちまったな」
女『あ、スミマセン。私ったら……そろそろ切りますね』
男「ああ。どうせやることなかったし、いい暇つぶしになったよ。ありがとな」
女『そう言ってもらえると、勇気を出して電話をしてみた甲斐があります』
女『それでは男くん、おやすみなさい』
男「ああ、またな」 ピッ
男(…………俺にしては久々の長電話だったな)
――女宅
女(いっぱいお話しちゃったな/// よし、今から明日の下準備しとかなくっちゃ!)
妹「ねぇねぇ、お姉ちゃん」
女「ひゃぁい!?」
妹「そんなに驚くことないでしょ……」
女「い、妹がいきなり声かけるからだよ。それで、どうかしたの?」
妹「お姉ちゃん、今男の人と電話してたでしょ。なんの電話?」
女「え? あ、あのね……その……///」
妹「お姉ちゃんは何かと騙されやすいんだから気をつけないとダメだよ?」
妹「この前の怪しい宗教勧誘のときだって、私が帰ってこなかったらどうなっていたか……」
女「も、もうその話は忘れてよぅ」 アセアセ
妹「まったく……で、なんの電話だったの?」
女「う、うん。えっとね、明日、うちにお昼を食べに来てくれるの」
妹「? 誰が?」
女「私の……か、彼氏さん……が……///」
妹「………………それマジ!?」
女「ま、マジ……です///」
妹「ちょっとちょっと、いつの間に!?」
妹「へぇ~、あのお姉ちゃんがねぇ~。へぇ~」 ニヤニヤ
女「まだお付き合いをはじめて2日しか経ってないんだし、そんなに騒がないでよぅ」 アセアセ
妹「それでそれで? 相手の人はカッコイイの? 勉強はできる? 告白はどっちから?」
妹「き、キキキキスとかは、も、もうしちゃった!?」
女「へ、変なこと聞かないでってば、もう! ///」
妹「あはは、お姉ちゃんったら顔真っ赤~」
妹(いや~、驚いちゃった。お姉ちゃんに彼氏か~……)
妹(たしか電話で『男くん』って呼んでたよね。……! いいこと考えちゃった!)
――次の日
男「女のやつ、遅いな。待ち合わせを10時半に早めようって電話してきたのはあいつの方なのに……」
男「……」
男「……もう11時か」
男(もしかして……来る途中に何かあったんじゃないのか?)
男(女の性格からして、遅れるんなら必ず連絡をいれてくるだろうし)
?「あの~」
男(事故……!? それとも、いつもオドオドしてるようなやつだから)
男(不良にからまれてるとか……おおいに考えられる)
?「もしも~し。……聞いてますか?」
男(ああもう! こんなことなら地図書いててもらえばよかった)
?「あの~! 無視しないでくださ~い!」
男「うおっ!? な、なんだ?」
?「やっと気づいた。さっきから何回も呼んでるのに無視するんだもん」
男「……誰だ、お前」
?「え~っと、あなたが男さんですか?」
男「質問を質問で返すなよ……まぁいいや」
男「確かに俺は男って名前だけど、なんで名前を知ってる? お前の名前は?」
?「ふむふむ」 ジーッ
男「……」
?「ほうほう」 ジロジロ
男「……」 イライラ
男(このガキ、一体なんなんだ……おちょくってんのか?)
?「うへぇ~……顔はいいし体格もバッチリ。性格の方はおいおいわかるとして……」 ブツブツ
男「なぁ、お前。いい加減に」
?「それじゃあ判定をくだしま~す!」
男「!?」 ビクッ
?「男さん!」
男「お、おう」
?「あなたは第一次審査合格です! はい、拍手。ぱちぱちぱち」
男「は? あ……ありが、とう……?」
おかえり
支援
?「いや~、あのお姉ちゃんがこんな高レベルの彼氏を作っちゃうなんて……」
?「鼻高々だけど、ちょっと嫉妬しちゃうかも」
男「……『お姉ちゃんが』って……もしかしてお前、女の妹……か?」
?「お! 察しがいいですね。そうです」
妹「私、妹の『妹』っていいます。これからよろしくお願いしますね、お姉ちゃんの彼氏さん」
男「あ、ああ。よろしく……」
男(こいつが女の妹!? にわかには信じがたい……)
妹「それじゃあ男さん、早く行きましょうか。私が家まで案内しま~す」
男「おいおい待て待て」
妹「? ……どうしたんです?」
男「あのさ、さも当然のように行こうとしてるけど、女はどうしたんだ?」
妹「お、お姉ちゃん……ですか?」 ギクリ
男「ああ。あいつはここには来ないのか?」
妹「え~っとですね……来るんだけど今はまだ来ないっていうか、」
妹「来る前に私たちが先に家に着いちゃうかも、っていうか……その~……」
男「何が何だかさっぱりわからん……」
妹「あ、あはは……」
男「女なら代わりのやつを寄越すにしても、連絡のひとつくらい入れてくるはず」
男(わざわざ電話でアレルギー持ちかどうか聞いてくるような奴だし)
男「でも俺の携帯には未だに着信はない。……お前、事情を全部知ってるんだろ? 説明してくれ」
妹「あの……怒らないで聞いてくれますか?」
男「……それはこちらが判断することだ」
妹「少し性格が悪いっぽいかも。早くも二次審査通過のピンチ」
男「お前が事情を話す前に怒ってしまうかもしれない」 イライラ
妹「は、話しますから鎮めて鎮めて!」
妹「あのですね……単刀直入に言うと、今日の約束の時間を勝手に早めちゃったの、私なんです」
男「……? いや、なんで俺と女の待ち合わせ時間にお前が口を挟む必要があるんだ?」
男「それに、時間変更の電話をしてきたときも女はお前について一言も話さなかったぞ」
妹「……こほん」
男「?」
妹「『明日の待ち合わせ、10時半に早めてもらっても構わないでしょうか?』」
男「おおう!? お、女の声にそっくり!?」
妹「これ、私の特技なの。で、これを使ってお姉ちゃんには内緒で時間を早めるよう、」
妹「男さんに電話をしたんです。どんな人がお姉ちゃんの彼氏なのか知っておきたくって……」
男「はぁ……なるほどね」
妹「でもお姉ちゃんの彼氏が男さんみたいな人でよかったな~(棒読み)」
妹「かっこいいし優しいし。心配する必要はなかったみたいだな~(棒読み)」
男「……」
妹「さてと、疑問も解決したことですし、行きましょうか」
男「待て、まだだ。」
妹「くっ」
男「女が来ないのと、待ち合わせ時間が早まった理由はわかったが、」
男「なんでお前が指定した10時半に遅れたのか。それをまだ聞いてないぞ」
妹「あ~、それは……ですね。あの~……え、えと、その……」
妹「! 男さんの心がどれだけ広いか、約束の時間にあえて遅れることによって試していたんです!」
妹「……なんてのは、どうですか……?」
男「…………ようするに、理由もなく遅刻したんだな?」
妹「あ、あはは……」
男「……ふん!」 ゴツン!
妹「いった~い! そんなに強くゲンコツすることないじゃないですか!」
男「うるさい。それで許してやるから早く行くぞ。ほら、案内はどうした」
妹「うう~……帰ったらお姉ちゃんに言いつけてやる」 ブツブツ
男「もとはといえば全部お前が悪いんだっての……」
――女宅
女「お料理はこれで……よし。さてと、約束の時間に遅れないように、もう行かなくっちゃ。」
女「妹はさっき大急ぎで出て行ったけど、間に合ったのかな……」 オクツ、ハキハキ
――あ、もうつきましたよ。ここです、ここ~
女「……あれ? この声、妹……?」
妹「ただいま~。お姉ちゃん、お客様連れてきたよ~」
男「……お邪魔します」
女「……え? え? お、男くん!? な、なんで!?」
妹「あははは。なんて顔してんのお姉ちゃん。ドッキリ大成功!」
男「タチの悪い妹だな、お前」
女「え、えっとえっと……何がどうなってるの……? 説明してよ妹~!」
――数分後
妹「がくがくじかじか。と、いうことなの」
男「こら! 自分に都合がいいように改変するな。正しくはかくかくしかじか、だろ」
妹「ちょ、ちょっと! それじゃ私が全部悪いみたいじゃないですか」
男「事実、その通りだろうが……」
女「もう、妹! あとでお仕置きだからね! ……ご迷惑かけちゃって本当にごめんね、男くん」
男「……」
女「……男くん?」
男「いや、お前って家にいるときは雰囲気が全然違うんだな。学校にいる時とはまるで別人だぞ」
女「え? そ、そうでしたか? すみません……///」
男「別に謝ることじゃないっての」
妹「なになに? 学校でのお姉ちゃんってどんな感じなの?」
男「ん? えっと、な……」
女「……」
男「おしとやかで、物静かで……あと、感情の浮き沈みが激しくって」
妹「ふむふむ」
女「男くん……」
女(気を使ってくださって、ありがとうございます)
男「そしてなにより……」
妹「なにより?」
男「大食いだ。弁当の量もだがな、この前行ったマックでもかなりの量を」
女「お、男くん! それは違うって何度も言ってるじゃないですかぁ!」
妹「あはははは。二人とも仲いいんだね~」
女「もう! 私、お料理の仕上げをしてきますから二人はそこで適当にくつろいでてください!」 ムスッ
男「……」
妹「……」
男「……お前のせいで女が拗ねちゃったじゃないか」
妹「ええ!? 明らかにお兄ちゃんがおちょくったせいじゃないですか」
男「人のせいにするな。あのドッキリはさすがに…………って、ちょっと待て」
妹「……なに? お兄ちゃん」
男「それだよ、それ。なんだ、お兄ちゃんて」
妹「お兄ちゃんはお兄ちゃんですよ。お姉ちゃんと男さんは付き合ってるんだから、」
妹「いつかは私のお兄ちゃんになるじゃないですか」
男「……………………お、おう」
妹「なんです? そのやる気のない返事は」
男「い、いや、俺たちまだ学生だし、将来なにがどうなるかなんてわからないしさ」
妹「男さん……もしかして、いつかお姉ちゃんと別れるつもりでいるの……?」
男「いや、そんなことは言ってないだろ。まだ遠い未来のことを語るのは早いし、おかしいって言ってるだけだよ」
妹「で、でも! それって」
?「それくらいにしときんしゃい」
男「!?」
男(いつの間に後ろに!?)
妹「あ、お婆ちゃん。でも……」
婆「その子の言う通り、世の中何があるかなんてわからんて」
妹「む~……」
婆「ただな、もし、いつの日かお前さんが女と別れることがあったとしても、」
婆「女と付きおうたっちゅう経験、思い出、それだけ忘れんでおいてくれればそれでええて」
男「……」
妹「……」
婆「ほれ、もうお昼ご飯ができとるってよ。妹、運ぶ手伝いをしてきんしゃい」
妹「は~い…………ねえ、お兄ちゃん」
男「……なんだ?」
妹「質問。今のところお姉ちゃんと別れるって気持ちはないんだよね?」
男「…………ああ」
妹「わかった。その言葉聞けたし、今回のところは引き下がることにする」
男「……」
男「助け舟を出してくれてありがとうございました。俺……じゃなくって、自分は」
男「女さんとお付き合いさせていただいている、男っていいます」
婆「女から話は聞いとるよ。……妹が失礼なことを言って悪かったねえ」
男「いえ……」
婆「でも、あの子の気持ちも察しておくれ。あれには親がいないから、出会った人々と」
婆「離れるのがただただ淋しいんだよ」
男「……」
婆「あたしには若いもんの考えなんてわからんし、口出しする気もない」
婆「だからあんた達の好きなように交際をしんしゃい」
婆「でもな、この年寄りから一つだけお願いがある……付きおうとる間だけでも女を大切にしてやってくださいな」
男「……はい」
婆「よし。じゃあ、暗い話はおしまいおしまい。ほれ、料理が運ばれてきたよ」
男「……」
男(付き合ってる間だけでも、か……)
まーたイケメン(笑)主人公がマンセーされてしまうのか
>>211
イケメン設定の主人公が好まれることは少ないだろう、と自分でも思っていましたが、
イケメンでないと話が進まない(進めることもできるが不自然)ため、今回はイケメンにしてみました
不愉快な思いをされた方々には、深くお詫びを申し上げます
――数分後
男・妹・婆「「「いただきます」」」
女「はい。どうぞ召し上がれ」
男「おお! これはなかなか美味そうだな」
妹「今日のご飯、私の好物料理ばっかりだ……!」
女「今日のメニューはね、男くんのご希望なんだよ。妹の好物を作ってくれって頼まれてたの」
妹「!」
女「だから、ちゃんと男くんにお礼を言うんだよ?」
妹「…………ホントに男さんが頼んでたの?」
男「まあ……一応な」
妹「わ~い、ありがと! お兄ちゃん、さっきは変なこと言ってごめんなさいっ」 ギュッ
男「くっつくなよ……別にお前のために頼んだ訳じゃないんだし」
男(もともと、今日こいつはいない予定だったらしいしな。……ま、いいか)
女「すっかり仲良しさんなんですね。でも妹、そのお兄ちゃんっていうの、なあに?」
妹「だって、かくかくしかじか~でしょ?」
女「///」
婆「まったくこの子は……さっき話をしてやったばっかりだっていうのに」
男「鯖味噌うまうま」 パクパク
女「えへへ」 パクパク
妹「うまうま」 パクパク
婆「うまうま」 パクパク
男「うまうま」 ヒョイパク
妹「!?」
妹「ちょっ!? 何食べてるんですか! それ私のですよ。半分残してたんですから!」
男「このでかい皿の上でどれがお前のか、なんてわかるわけないだろ」
男「一度に全部食べないのが悪いんだよ」 パクパク
妹「む~! ……なら、その春巻きもらった!」 ヒョイパク
男「おいこら! それは俺の取り皿に乗ってたやつだろうが」
妹「ごめんなさ~い。この広いテーブルの上でどれがお兄ちゃんのか、なんて」
妹「私にはわからなくって。でもね、一度に全部食べないのが悪いんですよ~?」
男「こ、こいつ……!」 イラッ
女「ほ、他にもお料理はいっぱいありますから、仲良く食べましょう? ねっ?」 アタフタ
妹「は~い。……なんてね、唐揚げももらいっ!」 バッ!
男「おっと、させるか!」 ガキン!
妹「……箸を箸で受け止めるなんて、お行儀が悪いよ、お兄ちゃん」
男「そう思うんだったらおとなしく箸を退け」
妹「む~……!」
男「ぐむむ……!」
女「い、妹も男くんもやめてください」 アタフタ
妹「お兄ちゃんが私の唐揚げ返してくれないのがいけないんだもん」
男「だから! どう見ても俺の取り皿の上にあるだろ。なにが『私の唐揚げ』だ!」
女「か、唐揚げならもう一つ残ってるじゃないですか。それを一人一つずつ食べれば」
婆「うまうま」 ヒョイパク
女「……あ」
妹「……」
男「……」
女「……」
妹「……正真正銘、これが最後の唐揚げってわけだね」
男「みたいだな」
女「うう……お婆ちゃんったら」
男(しかし、このままでは埒があかないな。なにか手はないか……)
男「! そうだ、女。こいつと俺の手が塞がってるうちに、俺に唐揚げを食べさせてくれ!」
女「え? は、はい。って……えぇ!?」
妹「ちょっと、汚いですよお兄ちゃん! それに行儀悪い!」
男「それをお前にだけは言われたくないな」
女(これって……男くんに『あ~ん』してあげるってこと、だよね……///)
男「女、早く!」
女「は、はい! ……それではいきますね。あ、あ~んってしてください///」
男「あ~……むっ」 パクッ モグモグ
妹「あ~! ホントにした、ホントに食べた! 信じらんない!」
男「美味い美味い」 モグモグ
女「あ~んってしちゃった……。それに、私のお箸使っちゃったから、か、間接キス……///」
妹「お姉ちゃんの裏切り者! お兄ちゃんのいやしんぼ~!」
婆「うまうま」 パクパク
――食後
女「機嫌直してよ? ねっ?」
妹「ふん!」
男「……まだ唐揚げのこと根に持ってんのか? 小さいやつだな」
妹「どうせ心も身長も胸も、お姉ちゃんより小さいですよ~だ!」
女「む、むむむ胸は関係ないでしょ!」
妹「ふんだ!」
男「こいつは重症だな」
婆「食後の和菓子うまうま」 パクパク
女「もう、お婆ちゃんったら。一人で先に食べちゃだめだよ」
女「今お茶を入れ直すからみんな揃って食べようよ」
妹「………………ねえ、バカお兄ちゃん」
男「なんだよチビ妹」
妹「……和菓子くれたら許してやらないことも……ない」
男「こ、こいつ……」
男「あのな、さっきの唐揚げに関してだが、あれは俺が純然たる勝負に勝って手に入れたものだろ」
妹「純然たる勝負~?」
男「ああ、そうだ。そして、途中まで俺とお前は全くの互角だった」
男「だから俺はやむ無く強行手段をとることにしたんだ」
妹「……ふむ」
男「その結果、どんな手段であれ唐揚げを手に……じゃないか。口にしたのは俺だ」
男「だが考えてみろ。俺のとった方法は、その気になればお前だって使えてたはずだろ?」
妹「……まぁ、確かに」
男「俺はとれる手をとって勝った。お前はとらなかったから負けた。それだけだ」
妹「む~……」
男「わかったか? よって勝者が敗者に謝る理由などない」
男「ましてや和菓子を献上する理由もな」
妹「……」
女「お茶が入りましたよ。いただきましょう」
妹「……なら」
男「ん?」
妹「和菓子を賭けて、私と勝負してよ!」
男「ほほ……。ついさっき、不意打ちを仕掛けて負けたのにも関わらず、」
男「俺に向かってくるか。しかも真正面から」
妹「どう? 受けてくれる?」
男「いいぞ、受けてたとうか。勝負の方法はそっちが決めてもいい」
男「でもな、手加減なんてしないし、さっきみたいに手段も選ばないからな」
妹「そんなのあったりまえだよ! 今は和菓子より、負けて悔しがるお兄ちゃんのほうが見てみたいしね」
女「……?」
婆「お茶うまうま」 ズズズッ
勝負の内容も決めてないんで、今日はここまでにします
突然ですが質問があります
男「付き合ってくんない?」
イジメ女2「もちオッケー」
みたいな書き方は読んでる側からしたら読みづらいでしょうか?
男 「付き合ってくんない?」
イジメ女2「もちオッケー」
↑のような書き方をしている方もいるみたいなので、少し気になりました。
もし読みづらかったというのならば、2つめの書き方に統一していこうと思うのですが
訂正です
>>238
× 男「ほほ……。」
○ 男「ほほう……。」
お答えくださった皆様方、ありがとうございます
これまでと同じで、>>240の1つ目の書き方で書いていきたいと思います
男「………………また懐かしいものを」
妹「怖じ気付いたんならやめてもいいよ? 不戦勝で和菓子は私のものになるけどね」
男「やらないなんて言ってない。しっかし……どうやって戦ったらいいのやら」
妹「さて、準備も出来たし始めましょうか……ジェンガを!!」
――数分後
男「厳しいか……!? いや、いける!」 バッ!
妹「やるね、お兄ちゃん。でも……」 スッ…
男「なっ!?」
妹「ふぅ……。さあ、お兄ちゃんの番だよ。そろそろ危なくなってきたんじゃない?」
男「まだまだ。俺にだって余裕はある」
男「……どうだ!?」 バッ!
妹「セーフ……みたいだね」
女「手に汗握りますね。見てる私もドキドキです」 ドキドキ
男(さすがにやばくなってきた。妹のやつはまだ余裕あるっぽいし)
男(かと言ってこれ……細工のしようがないんだよな)
妹「よっ……と。はい、次だよ」
男「一か八かだな……」
妹「……一番下に手をつけるつもり? やめといたほうがいいよ。ただでさえ私が一つとってるんだから」
男「確かにこれは危険な道だ。でも、これをとれれば事実上俺の勝ちはほぼ確定だろ?」
妹「とれたら、の話だけどね」
男「まぁ見てろ。たしかとった木を上に乗せて10秒耐えられればオーケーなルールだったな」
男(キツそうだが……時間をかけて少しずつ重心を移動させていけば……)
――数分後
男「……」
妹「……」
女「頑張ってください、男くん!」
妹(すっごい集中力……もしかしたらとっちゃうかもしれない)
妹(これも時間制限を付けなかった私の落ち度なの……!?)
男「……」
女(こんなに真面目な顔をしてるところ、初めて見た……。やっぱりかっこいいなあ……///)
妹(勝ちへの執着心が私とは段違いだ……って、あれ……?)
男(よし……いけそうだ!)
妹「ああ~~~~っ!!」
女「!?」
男「!?」 ビクッ!
ジェンガ「どんがらがっしゃ~ん!」
男「お……おいこら! なに大声出してんだよ!」
妹「だ、だってお婆ちゃんが!」
男「婆さん……?」
婆「うまうまうまうま…………ごちそうさん」 パクパク…ゴクン
女「お婆ちゃん! みんなの分の和菓子食べちゃったんですか!?」
男「なに!?」
妹「うわ~ん! そんな~。お兄ちゃんがジェンガ倒したから私の勝ちだったのに~!」
男「おいおい待て待て! お前はお前でわけのわからないことを言ってるんじゃない!」
妹「だって、よくよく考えたら大声はダメだなんて取り決め、してなかったじゃないですか」
男「ジェンガのルール自体を崩しちまったら、それはもう反則だろ」
婆「………………あとは若い者たちに任せて、あたしゃ退散しようかね」
女「な、なにを任せるんですか。行かないでくださいよお婆ちゃん~!」
――数分後
妹「はぁ……結局、何のためのジェンガだったんだろ」
男「まったくだな……」
女「すみません、男くん……」
男「謝るな。俺はご馳走になった側なんだから」
妹「あ、そうだ。ねぇねぇ、お兄ちゃんに聞きたいんだけどさ」
男「あ?」
妹「さっき、なんで和菓子なんかのためにあんな本気になってたの? 和菓子好きなの?」
男「……別に和菓子が欲しかったわけじゃないぞ」
男「それに、勝負を挑まれたんだから本気でやらないと相手に失礼だろ」
妹「まぁ、たしかに。でも、勝ちたいって気持ちはわかりますけど、」
妹「ジェンガなんかにすっごい集中力だったし……男の人ってみんなそうなの?」
男「男がみんなそうなのかは知らん。ただ俺は昔っから勝負事に関してはそうだったらしいな」
男「自覚はなかったけど」
女「? 自覚がなかった、といいますと?」
男「だってさ、当たり前だと思ってたんだよ。どんな勝負にも本気で取り組むのって」
男「なのに周りは遊び半分のやつらが多くってさ。負けるよりは勝つ方がいいに決まってるだろうに」
妹「う~ん、なんか納得かも」
男「でな、最近はそんな俺の性格を知ってか、友のやつがやたらと競いたがってくるんだよ」
男「負けたら辛い罰ゲームってルールで。だからますます勝敗にはシビアになってるのかも」
妹「へぇ~……ちなみに、辛い罰ゲームって、たとえば?」
男「た、たとえば……か!?」 ギクッ!
妹「うん」
女「たしかに、男くんがシビアになってしまうくらいの罰ゲームが一体なんなのか……私も気になります」
男「う……ま、まぁ……いろいろ、だよ」
女&妹「「いろいろ?」」
男「その、ほら……金、とか……?」
女「男くん、お金のやりとりはいけませんよ!」
妹「お兄ちゃん、お金のやりとりはいけないよ!」
男「お、おお……なんか重みのある言葉……」
――数時間後
男「スマンな、昼飯食ったあとも長々と居座っちまって」
女「いえ、久々に家が賑やかで楽しかったです」
妹「またジェンガとかトランプとかやろうね~」
男「おう。でもそれまでに少しは鍛えておけよ? お前も女も、俺に全然勝てなかったしな」
妹「ジェンガのあれは私の勝ちだってば。トランプは……練習しとく」
女「特に神経衰弱だね。妹ったら、たった3組しか取れてなかったんだもん。もっと暗記力をつけようね」
男「ははは。……よし、じゃあそろそろ行くわ。今日はありがとな」
女「はい。またいらしてくださいね。いつでも大歓迎です」
妹「おさらば~い」
男「おう。女、また明日な」
女「はい」 ニコッ
妹(…………ん? また明日?)
――次の日
男「なかなか面白かったな、あの映画」
女「はい! 特に中盤の、主人公とヒロインが駆け落ちするシーンなんかはドキドキが止まりませんでした」
女「私もあんな恋愛を体験してみたいです……」
男「へぇ、意外とロマンチストなんだな」
女「い、意外……でしたか……?」
男「なんとなく女は現実主義者かと思ってた。相手の職とか収入を気にしそうかなって」
女「い、今までそんな風に思っていたんですか!? なんかショックです……」
男「ははは。本気にすんなよ。冗談に決まってるだろ、冗談に」
女「私のおうちは裕福ではありませんし、あんまり冗談に聞こえませんよ~」
妹「そんなことよりさ、最後の方のアクション凄かったよね~!」
妹「主人公のお爺ちゃんがヒロインをさらって、垂直の壁を駆け上がっていくシーンは手に汗握っちゃった」
男「……」
女「……繰り返しになりますけど、本当にすみません、男くん。妹がついてきちゃって」
女「それに、映画の代金まで出していただいて」
妹「いいんだよお姉ちゃん。こういうとき、普通は彼氏が払うものなんだから」
妹「それに、昨日タダでご飯を食べさせてあげたばっかりなんだし、少しくらいはワガママ言ったほうがいいよ」
男「全部お前のワガママじゃねえか。お前は俺の彼女じゃないし、昨日の飯だって作ってくれたのは女だぞ」
妹「まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしない。で、次はどこに行く予定なの?」
女「もう、この子ったら……」
男「そういや、映画観賞以外に目的を決めてなかったな。どこか行きたいところとかはないか?」
男「この辺にはいろいろと遊べるような場所があるけど」
男(俺はゲーセンにしかいかないから、そこしか案内できないけどな)
女「行きたいところですか? う~ん…………あ! ならそこの水族館に」
妹「はいはいは~い! 私、あの遊園地に行きたい!」
男「遊園地だぁ!? また金のかかるところをチョイスしやがって」
妹「せっかくのデートでケチケチしない! 男が下がっちゃいますよ?」
男「だから、お前とのデートじゃないんだっての」
女「…………うぅ」 シュン…
女(でも、遊園地かぁ……男くんと観覧車とかに乗ってみたいかも)
男(さてと、結局どこに行こうかな……)
――遊園地のジェットコースター
男「ひゃっほ~う!」
妹「速い速い速~い!」
女「ひぃやぁぁああああ!!??」
――フリーフォール
男「ひっさしぶりだな~!」
妹「これ怖いね~! あはははは」
女「おおお下ろしてくださいぃぃいい!!??」
――おばけ屋敷
妹「何これ何これ~。あはは、おっかし~!」
男「へぇ、よくできてんなぁ……」
女「も、もうダメ……です……は、早く外へ……」
おばけ「おばけ参上!」
女「っひゃぁぁああ!!?? もうやだぁぁああ!!」
――しばらくして
男「お、おい、女……大丈夫か?」
女「は、はひ……なんとか……」
妹「ごめんなさい、お姉ちゃん……」
妹「お兄ちゃんとのデートについてきただけじゃなくって、こんなに振り回しちゃって……」
男「俺も、まさか気絶までするとは思わなかった。考えなしでスマン」
女「ううん……気にしないでください。これでも私、一応は楽しんでいるんですから」
男「ホントかよ……あんま無理すんなよ?」
妹「そうだよ……あ、そうだ。私飲み物買ってくるね」
男「ああ、頼む。ほら金」
妹「ありがと~。じゃあちょっと行ってくるね」 タッタッタ…
女「……すみません。入場料や乗り物代だけじゃなくって、飲み物まで」
男「……いいんだよ。今日は俺が誘ったんだし。昨日飯を食わせてもらったんだからおあいこだろ」
女「でも、金額が違いすぎますよ。なんだか男くんに悪いです」
男「細かいことを気にする奴だな……。う~ん、それなら……そうだ、じゃあ明日弁当作ってきてくれよ」
女「お、お弁当ですか……?」
男「ああ。今までのマック代と昨日の飯代。それに弁当代も合わせれば金額は同じくらいだろ」
女「そう、でしょうか? どう考えても男くんへの負担の方が大きいような」
男「手間賃込なら同じくらいなんだよ。それでも不服って言うなら、追加で条件を出そう」
男「……弁当は美味しくないと許さんからな」
女「!」
男「味付けはもちろん妹の好みで、だ」
女「……はいっ! それでは明日のお昼、楽しみにしていてくださいね」
男「おう。頼んだぞ」
――しばらくして 観覧車
男「はぁ……今日は疲れたな」
女「ふふっ、結局あの後も妹に連れ回されましたもんね」
男「あいつは加減というものを知らんらしい」
女「でも、私とっても楽しかったです。それに、あんなに大声を出したのは初めてかもしれません」
男「ははは。でもな、誰にだって向き不向きはあるんだから、次からはあんまり無理すんなよ?」
女「はい、そうします。心臓に悪いですしね」
男「……次は水族館にでも行くか。あそこなら静かだし、お前も行きたがってたしな」
女「あ……ちゃんと聞いていてくれてたんですね」
男「妹のやつがいたから今日は遊園地にしたけどな」
男「あいつを連れて水族館に行ったら騒がしくって周りの客にも魚にも迷惑かけちまいそうだし」
女「ふふっ、それ聞いたら妹怒っちゃいますよ。でも……そうですね、次は男くんと2人っきりで行ってみたいです……」
男「そうだな。……! あそこに見えるのって妹じゃないか? あの手ぇ振ってるやつ」
女「あ、本当だ。えへへ、お~い」
男「……」
男(水族館に行くなんて言っちまったけど、女とこうしていられるのもあと3日なんだよな)
男(最終日、俺はこいつに何て言って別れたらいいんだろ……)
男(……こんなこと考えるなんて俺らしくないな。すっかり情が移っちまったのかもしれん)
男(所詮は遊び、所詮は罰ゲーム……だったはずだろ)
今日は終わりです。進行遅くってスミマセン
最近やたらと忙しくって……
しかし、書き始めたからには絶対に物語を完結させるつもりですので
――次の日の昼休み
友「お~い男。久しぶりに一緒に飯食わね? 例の話も聞きたいし」
男「あ? ……別にお前に話すような面白いことはなかったよ。あと、今日は先約があるから、飯はまた今度な」
友「先約?」
女「男く~ん、お待たせしました」
友「ああ、なるほどね」
女「あ、友くん。すみません、男くんに用事でしたか?」
友「いや、ちょっと世間話なんかをしてただけだから気にしないで」
友「……お、もしやそれは手作り弁当? しかも2つも。まさか」
女「はい。……1つは男くんの……なんです///」
男「そんなことはいいから、行くぞ! ……じゃあな友」
女「は、はい。では友くん、失礼します」
友「はいはい、楽しんでこいよ~」
友「……いや~、手作り弁当を持ってこさせるとは、男もやるねぇ」
友「今日を含めてあと3日……これからどんなふうに別れていくのか楽しみだな」
イジメ女1「……おい!」
友「はい?」
イジメ女2「ねぇちょっと、今の話……も少し詳しく聞かせて欲しいんだけどぉ」
友「……へ?」
――そして放課後
男「スマン。今日が掃除当番だってこと忘れてた。……先に帰っとくか?」
女「いえ、先週私が掃除当番だったときも男くんは待っててくれましたし、私も待っておきます」
男「悪いな。すぐに済ませるから、図書室あたりで時間潰しといてくれ」
女「はい。そうしておきますね」
――廊下
女「……」 トコトコ
イジメ女1「あ、見つけた見つけた」
女「!?」 ビクッ
イジメ女2「ねぇ女ぁ~、今からちょっといい?」 ニヤニヤ
女「え……あ、あの……私、掃除当番の男くんと一緒に下校する約束がありまして、」
女「その……あんまり遅くなってしまうようならまた後日にしてもらっても……よろしいですか?」
イジメ女1「へぇ~。あんたがあの男と、ねぇ~」ニヤニヤ
イジメ女2「大丈夫大丈夫。用事ってのはその男くんについてのことだからさ」 ニヤニヤ
女「……?」 ビクビク
――空き教室
女「えっと、ここで何を……?」
イジメ女1「あんた、先週から男と付き合ってるんだって?」
女「え? は、はい……」
イジメ女2「へぇ~。だから最近はお昼が一緒なんだぁ」 ニヤニヤ
イジメ女1「じゃあさ、もうデートとかにも行っちゃったりしてんの?」 ニヤニヤ
女「は、はい。昨日は映画を見に行って、そのあと遊園地にも」
イジメ女2「あんたも貧乏なのに頑張るねぇ~。そうまでして気に入られたいわけ?」
女「え……?」
イジメ女1「普段は大した額を持ち歩かないくせに、そういう時には財布の口が軽いんだな」
女「い、いえ、その……入場料や乗り物代は男くんが代わりに払ってくれたんです」
イジメ女2「…………は?」
女「私は断ったんですけど、前の日にご馳走した昼食のお礼と言って」
イジメ女2「おいおいおいおい、しょうもない嘘つかないでくんない?」 グイッ!
女「きゃっ!」
イジメ女1「男のやつがあんたなんかに自分から支払ってあげるわけないだろ?」
イジメ女2「男くんが仕方なく付き合ってあげてるからって、調子に乗ってお前がねだったんでしょ? なぁ?」
女「そ、そんなことしていません! それに男くんも、」
女「代わりにお弁当を作ってきてくれればそれでいいって言ってくれました」
イジメ女2「そんなんで釣り合うわけないっしょ?」
イジメ女2「くっそ! 偶然罰ゲームの対象に選ばれただけのくせに恋人面しやがってさぁ」
女「偶然……ばつ、ゲーム……?」
イジメ女1「あ~あ、もうばらしちゃうのかよ。つまんね」
イジメ女2「だってこいつがあんまウザくってさぁ」
イジメ女2「先に現実わからせて黙らせてやりたかったんだよねぇ」
女「あ、あの……一体なんの話を……?」
イジメ女2「はぁ? まだ理解してないの? そのポンコツ頭は」 ニヤニヤ
イジメ女1「さっき言った通りだよ。男があんたなんかと付き合ってたのはあくまでも演技」
イジメ女1「友のやつとしょうもない勝負をして負けた、その罰ゲームなんだよ」 ニヤニヤ
女「…………………………え?」
今日はここまでです
――教室
男「はあ、やっと終わった」
友「お~い男、もう終わったか?」
男「友? どうしたんだよ、わざわざ待ってたりして。スマンが帰りも先約入ってるぞ」
友「あ~……えっと、その事なんだけどな……」
男「……?」
友「先に謝っとくぞ。スマン」
――――
友「ってわけで、イジメ女達にホントのこと話ちまったんだ。悪い悪い」
友「そのかわり、まだ1週間経ってないけど罰ゲームは終了でいいから」
男「……」
友「でさでさ、面白いのはここからなんだよ。あいつらホントのこと知って、
友「放課後空き教室に女連れ込んで何かやらかしちまう気らしい」
男「……!」
友「登校拒否レベルのことまでしちゃうって言ってたかな」」
友「だからさ、俺たちも便乗しに行こうぜ。こんな美味しいチャンスめったにないし」
友「まあ、お前はもうヤっちまって満足してるのかもしれないけど」
男「…………まだヤってねえよ。……体の関係作っちまったらめんどくさいし」
友「おいおいマジかよ!? ……だったら尚更行こうぜ?」
友「どうせ登校拒否になるんならナニをヤったって気にしなくてもいいじゃん」
男「……スマン、今日は気分が乗らないんだ。……俺はよしとく」
友「つまんないやつだなあ。まぁいいや」
友「場所は東棟3階にある空き教室だから、気が向いたらこいよ~」
男「……ああ」
――帰り道
男「……」 トボトボ
男(なんか気が重い……罰ゲームが終わって喜ぶべきはずなのに)
男(予期せぬ形で急に終わったのがスッキリしないんだろうか。……いや、本当に……本当にそれだけか?)
男「……はぁ」
?「おや? そこで辛気臭いため息をついているのは男くんじゃないかい?」
男「? あんたは……女の婆さん!? なんでこんなところに?」
婆「いやなに、実はここの饅頭が絶品でな。こうして時々足を運んでいるんだよ」
男「元気な婆さんだな……。あの家からここまで割と距離あるぞ」
婆「で、そういうあんたはどうしたんだい? 見たところ一人だけど、女とは一緒じゃないのかい?」
男「!」 ギクリ
男「……別に、いつも一緒に帰ってたわけじゃない。それに……」
婆「……なにかあったんだね?」
男「……」
婆「男くん、あたしゃ言ったはずだよ。せめて付き合っているあいだだけでも女を幸せにしてやってくれ、と」
婆「……たとえ、付き合い始めた理由が良からぬものであったとしてもだ」
男「!?」
婆「その顔……やっぱり図星かい? この前初めて会ってみた時からなんとなくそうじゃあないかとは思っていたよ」
婆「……でもそんなことはどうでもいいんだよ。若いうちはいろいろあるんだろうしね」
婆「問題は付き合い始めじゃあなくって、終わりの方」
婆「相手を傷つけない別れ方なんかはそうそうないだろうけど、それでもちゃんと、けじめってのは必要さね」
男「婆さん……」
婆「まぁ、別れないっていうのが最良なんだろうけれどもさ」
男「……」
婆「あんたのその顔……迷ってるんだろう? なら行動しんしゃい!」
婆「何もしないで後悔するのと、行動した結果を悔やむのとでは、天と地ほどの差だよ」
男「…………婆さん、なんかありがとう!」 タッタッタッ…
婆「……やっぱり若いねえ、羨ましいのう」
店員「お待たせしました。当店特製の饅頭です」
婆「おお、来た来た! ……うまうまうまうま」 パクパク
――
男「はぁはぁ!」 タッタッタッ
?「あれ? 男お兄ちゃん? お~い」
男「? ……妹か」
妹「なになに? どうしたの? そっちはお姉ちゃん達の学校の方向だよね。なにか忘れ物?」
男「……まぁ、そんなとこだ。急いでるからもう行くぞ」
妹「う、うん。……ずいぶんと息切れしてるけど、そんなに急いで取りに戻らないといけない物なの?」
男「ああ。なくしたくないものなんでな。早く行ってやらないと……!」
妹「!」
男「今度また土産持って遊びに行ってやるから、それまでに腕を磨いておけよ。じゃあな!」
妹「……うん! お兄ちゃん、頑張れ~!」
妹友「おまたせ~。……妹ちゃん、今の男の人、誰?」
妹「ん? んっふっふ~。今の人はね、」
妹「私のお姉ちゃんの、自慢の彼氏さんだよ!」
今日はここまでです。オヤスミなさい
――空き教室
イジメ女2「相変わらず中身の少ない財布……。もちっと持ってきてよ」
イジメ女1「まったくだよ」 ヒョイヒョイ
女「ぐすっ……」 ポロポロ
イジメ女1「……お? 見ろよこれ。こいつ、男とプリクラなんかとってやんの」 ケラケラ
イジメ女2「はあ? ふざけやがって……。こんなのはハサミでこうしてぇ」 チョキチョキ
女「やめて、ください……」 ポロポロ
イジメ女2「よし切れた! 男くんのプリクラget~!」
女「うぅ……」
イジメ女2「……あぁもう! さっきからメソメソと……ウザイよあんた!」 バシッ!
女「きゃっ!?」
友「おいおい、顔はやめろよ。……傷にはなってないな。ったく、暴力の前に俺にヤらせてくれる約束だろうが」
イジメ女1「わかってるよ、猿野郎。イジメ女2~、とりあえずこいつにヤらせて、ボコるのはその後でいいんじゃない?」
イジメ女2「……そうだね。一発犯されちゃったらこいつも涙流す余裕なんてなくなるだろうし」
友「よ~し、やっと出番かよ」
女「……」 ビクビク…
友「そんなに怯えることないって。まずは……そうだな、こいつをちょっと舐めてもらうだけだからさ」 ポロン
女「ひっ!?」 ビクッ!?
イジメ女1「お粗末なもんぶら下げちゃってまあ……」
友「ほっとけ! ……ほら女、口あけて。早く早く」 グイグイ
女「い……やぁ……」
ドア「ガラガラッ!」
友「っ!?」
イジメ女1「!?」
イジメ女2「!?」
女「……!」
友「って、お前かよ。ビックリさせやがって……。やっぱりお前も最後に楽しんどきたかったのか? 男」
男「はぁはぁ……」
イジメ女1「ああ……なんだそういうことね。一体何しに来たのかと思ったよ」
女「……お、男……くん」 ビクビク…
男「……」
友「でも悪いな、俺が先にヤらせてもらうぞ。お前遅れてきたんだからそれくらいはいいだろ?」
男「……」
女「う……うぅ……」 ポロポロ
友「……男?」
男「……なぁ友……俺、今日財布持ってくんの忘れちまったんだよね」
友「……? ああ……それが、どうした?」
男「でさ、今日もまた体育あったし、めっちゃ腹減ってんだよ」
男「この前までよく買い食いしてたからなおのことだ。正直、家に着くまで保つかわからん」
イジメ女1「なんだこいつ……ようするに何が言いたいわけ?」
男「だから……!」
友「!?」
男「そいつが……女がいないと、帰りにマック寄れないじゃねえかってことだよ!!」 バキッ!
友「ぐえっ!?」
イジメ女1「な!?」
イジメ女2「!?」
女「!?」
イジメ女1「ちょ、男! てめぇ何しやがんだ!」
男「うるさい! 黙って引っ込んでろ!」 ギロッ!
イジメ女1「ひっ!?」 ビクッ
男「……友、罰ゲームの内容を知った上で勝負に乗っていた俺も同罪だ」
男「明日お前も、俺のことを思いっきり殴っていい。でも……今はおとなしくやられといてくれ」
友「は、はぁ……? 意味……わかん、ね……」 ガクッ…
男「……」
イジメ女1「……」 ガクブル
男「おい、お前たち」
イジメ女1「!?」 ビクッ!
男「どうせ女から盗ったりしてんだろ? 金とかをさ。返せよ」
男「それと、今後一切こんなくだらないことするんじゃねぇ」
イジメ女1「……」 コクコク
イジメ女2「……」
男「わかったんならさっさと消えろ。さもないと……この場でひん剥いて犯すぞブスども!」
イジメ女1「ひぃっ!? か、金は返す、返すよ……。ほ、ほら、イジメ女2、さっさとここから」
イジメ女2「ね、ねぇ男くん……」
男「あ?」 ギロッ!
イジメ女2「わ、私ぃ……男くんにだったら、ちょっとくらい乱暴にされてもいいかなぁ……なんて///」
男「」
イジメ女1「」
イジメ女2「男くんが女の体を気に入ってるのは知ってるしぃ、別に私は3人でやっても」
男「こ、ここまで空気の読めないやつは初めてだぞ……。おい、そこまでにしないとてめぇ」
イジメ女2「お、男くんはやっぱり攻めがいいの? じ、実は私ぃ……受け」 ベタベタ
男「やめろっつってんだろうが!」 バキッ!
イジメ女2「ひでぶ!」
男「……ふん。……おい女、行くぞ」 スタスタ
女「……え? は、はい……」 スタ…スタ…
イジメ女1「………………………………ね、ねぇ……あんた大丈夫?」
イジメ女2「お、男くんって……激しい///」
イジメ女1(もうこいつとつるむのやめようかな……)
今日はここまでにして寝ます。おやすみなさいです
なぜドmなのにイジメる立場なんだ
支援
はやく次が読みたいです><
――帰り道
男「……」
女「……」
男「…………女、あのさ……」
女「はい」
男「本当に……本当にゴメン……。イジメ女達や友の言ってたことは……事実だ」
男「罰ゲームなんかでお前を騙していたことは本当に悪かったって思ってる」
女「……」
男「でも……でも! 俺は」
女「いいんです、男くん。それに私の方こそ、すみませんでした」
男「…………は? なんで、お前が謝るんだよ……?」
女「……私、この学校に入学した時から……いえ、もっと昔っから……ずっとイジメの対象だったんです」
女「なので、学校で楽しい思い出というものがほとんどありませんでした」
男「……」
女「どんなに酷いことをされても、家族に心配をかけたくなかったのでずっと耐え続けてきました」
女「でも……そんな辛い日々が続く中、ある日突然、男くんが……私に告白をしてくれました」
女「今まで変わることのなかった私の日常を……変えてくれたんです」
女「男くんといた時間は何もかも初めてのことばかりで、新鮮で……」
男「女……」
女「男くん。男くんは、私といてもつまらなかったり、嫌だと思っていたかもしれませんけど、」
女「私は……とても楽しかったですし、幸せでした。だから私が謝って、私がお礼を言う必要があるんです。
女「……罰ゲームだったなんて知らずに我が儘や迷惑をかけてしまってスミマセンでした」
女「そして……そして今まで、ありがとうございました」 ポロポロ
男「だから……お前が謝る必要なんかないんだって! いいか、俺の話を聞け」
女「あまり……ぐすっ……聞きたくないです……」
男「ダメだ、聞け。自分の中だけで勝手に終わらせないでくれ」
女「……」
男「確かに俺は罰ゲームでお前に告白した。最初は嫌だったし、めんどくさかったよ」
男「お前のことも財布の代わりくらいにしか思ってなかった」
女「うぅ……」 ポロポロ
男「でも……知らず知らずのうちに俺の気持ちは変わっていった」
男「お前と一緒にマックや家、遊園地に行って、その度に新しい一面を知って……少しずつ惹かれていった」
女「……え?」
男「いいか? 俺はお前に酷いことをしたし、こんなことを言う資格なんかないのかもしれない」
男「でも、もう嘘なんかつきたくないから言うぞ!」
女「……」
男「今度は本当に……罰ゲームなんかじゃなく、俺と付き合ってくれ!」
女「……っ!?」
男「……俺は正真正銘、本音を言った。お前の返事を聞かせてくれないか?」
女「……わ、私なんかで、いいんですか……? こんな私なんかで……」
男「ああ」
女「夢じゃないんです……よね? 本当に……?」
男「ああ!」
女「う…………うぅ……うえぇぇぇぇ~ん……ありがどうございまずぅ……」 ボロボロ
男「今までゴメンな……本当に、ゴメン」
――十数分後
女「すみません……私の涙で制服が……」
男「別にいいさ。俺たちの再出発の記念ってことで」
女「///」
男「……それよりさ、あんだけ大声で泣いたんだ。喉が渇いただろ。マックにでも寄ろうぜ? ……俺が奢るからさ」
女「い、いいんですか? …………あれ? でもたしか財布は忘れたって、空き教室で……」
男「ああ、あれはお前を助けるための口実だよ。……かっこよかっただろ?」
女「はい! とっても」 ニコッ
男「おお……そ、そんなにはっきり言われると、照れる……///」
女「えへへ……でも、本当に格好良かったんです」
男「も、もうよしてくれ。ほら行くぞ」
女「はい」
女「そういえば友くんは大丈夫でしょうか……。男くんのパンチで気絶してしまってましたけど」
男「ちょ……お前って相当なお人好しだな。もとはといえばあいつのせいで酷い目にあったっていうのに」
女「ですけど……」
男「別にいいんだよ。あいつは一度痛い目を見といたほうがよかったんだ。限度を知らないようなやつだし」
男「それに、あいつも明日俺を殴っていいんだからおあいこだ。文句は言えんだろ」
女「あ! そうです、私罰ゲームの対象にされたのに、その……男くんにまだ何も仕返しをしていません……よね?」
男「そう、だな……お前にも俺を殴る権利はあるよな……。お前のパンチじゃ大した痛みにはならないだろうけど、」
男「それでもお前の気が済むっていうのなら何発でも殴っても構わない」
女「いえ、一度だけでいいんです。……ちょっと目をつぶってもらってもいいですか?」
男「ああ……」
女「そ、それでは………………」
男「……」
男(やっぱり心の中では怒ってたのか……そりゃそうだよな)
男(……………………なかなかこない。『力』とか『気』でも溜めてんのか?)
男「…………女? どうしたん……んっ!?」
男(!? 唇に柔らかい感触!? これって……!)
女「え、えへへ……///」
男「お、おい……」
女「嫌……でしたか?」
男「ぜ、全然そんなことは! だ、だけどお前、こんなとこで」
妹「あ~~~っ! お姉ちゃんとお兄ちゃん、キキキキキキキスしてた~!?」
婆「こんな道の真ん中で……まったく、“はれんちぃ”じゃなぁ」
男「げ!?」
女「えぇ!? い、妹にお婆ちゃん!? どうしてこんなところに!?」
婆「かくかくしかじか」
妹「で、妹友ちゃんと別れた私と、ばったり出会っちゃって、二人で何か食べていこうかって話ししてたの。そしたら……」 ジッ…
女「えと……その……///」
男「べ、別に恋人同士なんだからいいだろ。悪いことってわけでもないんだし……」
妹「見せつけられた方は気分が良くないの! もう……。罰として、これからお兄ちゃんの奢りで夕食だね」
男「は!? な、なんだよそれ!」
妹「ねえねえ、私、マックってとこに入ってみたいんだけどさ~」
婆「たまには“じゃんくふぅど”も悪くないかもしれんなぁ」
女「み、みんな……いきなり出てきてそんな……」 アタフタ
男「ああ~もう! わかった、わかったよ! 奢ってやるよ。俺が全部。ったく、こいつらは……」
妹「わ~い。じゃあ早速、レッツゴー!」 タッタッタッ
女「男くん。あ、あの……私もお金を出しますから……」
男「そんなのいいって、気にすんな。それより、早く行かないとあいつらに置いていかれちまうぞ」
女「すみません。じゃあ今回はお言葉に甘えさせていただきます」
女「では……男くん、行きましょう」
男「ああ、女。………………ほら、手ぇ」 スッ
女「……はいっ!」 ギュッ!
婆「めでたしめでたし、じゃな」
――おわり
――おまけ
友「うぅ……いってぇ……。男のやつ、思いっきり殴りやがって……どのくらい気絶してたん……だ?」
?「ペロペロ……ピチャピチャ……ジュルッ」
友「……うぅっ!? ……な、なんだ? ……っな!? て、てめぇは……ホ、ホモ!?」
ホモ「あ、ふぇんふぁい、起きたんですか?」 チュパチュパ
友「お、おいこらお前……な、何咥えてやがる!」
ホモ「何って……ナニ……でふけど?」 レロレロ
友「ふ、ふざけんな……っ! ……な!? 腕が拘束されてる……!?」
ホモ「えへへ。僕の秘密のオナ場所で、無防備に寝てる先輩を見たとき……運命を感じちゃいました……///」
ホモ「やっぱり僕たちはこうなる運命だったんですよ。……それとも先輩、ここが僕のオナ場所だって知って……?……///」 ジュルルッ
友「あ、あっ……! ……は、はなしやが……れ! ……くっ……うぅ……ん」
ホモ「出そうなんですか? いいですよ……僕のお口の中で、いっぱい出してくださいっ!」 チュパチュパ
友「や、やめっ! ……ん……あぁ……うっ! うわあぁぁぁぁああああああ!!」
――この日を境に友は、度が過ぎた罰ゲームを決してしなくなったという……
これで終わりとさせていただきます。
亀進行で本当にスミマセン……
もし次にssを書く事があったとしたら、そのときも読んでいただけるとありがたいです。
では、読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
友ザマァwwwwww
いいですね。
妹さんの今後とか、見てみたいです。