矢澤にこ「闇金ウミジマさん?」 (32)

7のつく日

店員「じゃあ整理券配布しますんで並んでください」

にこ(29)「……」ゾロゾロ


にこ(十番目か。前のおじいさん二人はパチンコに行くとして)

女1「ねぇ今日ノリ打ちしない?」

女2「そうだね。私も今月厳しくてさー」

女1「最近の台って吸い込み激しいよね」

女2「うんうん。この前一回当てるのに五万もかかったよ」

女1「ハーデスならもっとかかるんだな、これが」

にこ(あの若い子二人は隣同士で座るのかな)

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にこ(ハーデスは無理ね。私も最初から選択肢にない)

女2「番長がいいかな」

女1「ジャグラーにしようよ。二人の内どっちかツモれば勝てるし」

女2「ジャグラーか……。好きじゃないけど」

にこ(朝からジャグラー!?あんたら何しにここに来たわけよ!そんな逃げ腰で勝負の神様が微笑んでくれるわけないじゃない)


女1「どうする?もうすぐ開店だよ」

女2「今日はジャグラーでいいよ」

にこ(ふっ、負け犬二人はジャグラーね。これで席がさらに二つ空いたわ)

店員「開店でーす」

にこ「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」ダダダ


にこ(勝つ!勝つ!絶対勝つ!今日と言う今日は絶対勝つ!)

にこ(なんせ家賃の支払い日が明日だからねっ!何が何でも勝たなくちゃいけないのよ!そうこれは聖戦)

にこ(負けられない戦いがここにはある!ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん!)


にこ「まず一番熱いだろう番長の角台は……げっ、携帯がある」

にこ「次は北斗の角台!あーもう携帯置いてる!」ガクッ

にこ「次……次は……角台じゃないと駄目なのに!あっ、新台の角台が空いてる!これに決めた」ポイッ

にこ「ともかく角台ゲット。ッケイ!今日の勝負貰ったわ」

女1「どのジャグラーにしようか」

女2「どれでもいいよー。ジャグラーなんて何でも同じだよ」

女1「微妙に違うんだけどね。じゃあ、適当に……」

にこ(ぷぷぷっ……適当に選んでやんの。こりゃ金をドブに捨てたようなものね)


にこ「おっと、こうしちゃ居られないわ!早く回さないと。今から修羅に入るわよ私」

にこ「ってこの新台何だっけ?」

にこ「……シンデレラブレイド2。はー見るからにクソ台だわ、これ」

2012年、おしりペンペンタイムでパチスロ界を席巻した「シンデレラブレイド」が、装いも 新たに新登場!おしりペンペン×40人態勢で挑む「シンデレラブレイド2」では、
シンデレラ姉妹が力を合わせて、武闘会にやってきた敵国の王女と闘うストーリー!32G間の周期……以下略


にこ「ふーん。尻を叩いて上乗せと。なかなか狂ってるわねこれ」ペチペチ

にこ「客に生き恥を晒せと」ペチペチ

にこ「……まぁ出れば文句は言わないけどさ。にしても何かこの声聞いた事あるような」


台『お稽古お稽古。仕上げです!』


にこ「うーん、この棒読みすごく懐かしい感じがするようなしないような……。気のせいよね」ペチペチ

~一時間後~

にこ「なかなか出ないわね」ポチポチ


~二時間後~

にこ「い、いい加減+100くらいの上乗せしてもいいのよ!」バシバシ


~三時間後~

にこ「出ろ!出ろ!頼むから出てよ!これ天井からの一撃なのよ!出なくちゃいけないはず!家賃どうするのよ!」ガンガン

台『+40。やったにゃん!』

にこ「ファッ!?+40ですって!900ゲームも回してこれだけ!ウソでしょ!?」

台『+40』

にこ「こ、これはベットボタン押したら+340とかになってるアレね、アレ。そ、そうに決まってる」カタカタ


にこはゆっくりとベットボタンを押した

パシッ

台『+40』ドーーーーン

にこ「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

~四時間後~

店員「ありがとうございましたー」ペコリ

にこ「……」トボトボ



にこ「万札全部スった……。これからどうしよう……」トボトボ

にこ「どこで間違った。角台は全部出てた。って事は私の作戦勝ちのはず」トボトボ

にこ「悪いのはあのクソ台のせいね!なんなのよ!あのゴミ台はバグって、ナビ消えたじゃない!」

にこ「上乗せもほとんど+1ばっかりでどうにもなんないし。どうやって出すのよあの台」

にこ「悪いのはヒキの弱い私か……。いやいや、あの台は誰が打っても無理」

にこ「……はぁ」トボトボ

にこ「明日があるさ明日がある♪若い僕には夢がある♪いつかきっといつかきっと♪わかってくれるだろう♪」

グウゥゥゥ

にこ「お腹すいて来ちゃった。この辺、ご飯食べる所ってあったけ」

にこ「牛丼かラーメンかマック」

にこ「牛丼は昨日食べた。ラーメン屋は若い店員の愛想が悪い。マックはクーポン券持って来てない」

にこ「むむむっ……」

にこ「困った。選択肢が無くなってしまったにこ。家に戻って自炊するのが一番安上がりかな」

にこ「あーダメ。家に戻るまで耐えられない」グウゥゥゥ

にこ「んっイオン?そうだ、イオンの中にも安い食べ物屋さんがあったはず!」

にこ「普段は全く選択肢に入らない所だけどこの際、もういいわ。フードコートで何か食べましょう」

イオンのフードコート

にこ「……」

ワーワー!キャーキャー!


にこ「なにこれ……今日は祝日だけど家族連ればっか……」

ワーワー!キャーキャー!

にこ「動物園?ガンダムエクバ置いてるゲーセンかしら」

子供「ひなだお!」クイクイ

にこ「は?」

子供「ひなだお!ひなだお!」クイクイ

にこ「しっしっ!この席は私が取ってるの!あっち行けクソガキ!」

子供「うーうー!」

?「あのーすいません。子供が迷惑かけたみたいで」

にこ「えっ……あ、あっ……そうですね。この子の親御さん?」

?「はい。空いてる席を探してたものですから。ここ空いてますか?お連れさん来られます?」

にこ「い、いや……一人で来ましたけど……。どうぞ……」カタッ

テーブルを整理するついでに帽子を外すにこ


?「えっ……あっ!あーーーー!」

にこ「私の顔に何かついてますか?オムライス食べてたからケチャップとか」

?「ちっちちちちち、違います!あ、あ、あああーーーーーー!!!!!!!」

にこ(変な人。なんかぽっちゃりしてるし。豚ね豚)

?「私!私です!にっこにっこにー♪あなたのハートににこにこにー♪笑顔届ける矢澤にこにこー♪にこに ー!」

にこ「……え」ビクッ

?「じゃなかった!花陽!旧姓小泉花陽」

にこ「花陽?音ノ木坂学院に通ってた」

花陽「そうだよ!一緒にスクールアイドルやったよね」

にこ「あーーーーーーー!」



タッタッタ

凛「かよちーん!ごめんごめん、ラーメン探してたら迷ってさー。およよ?」

にこ「って事はあんたはもしやーーーーー!!!!!!!」ガタッ

にこ「しかし偶然ってあるものね」

花陽「そうだね。久しぶりに会えてうれしいよ」

子供「ひなだお!」

凛「こらっ!ちゃんと自己紹介しなさい!」

子供「星空ひなだお!好きな物はとラーメンとおいたん先生。嫌いな物は焼きおにぎりです」

にこ「星空ねぇ。さっき花陽は旧姓って言ってたけど」

花陽「えへへ」凛「実は私達」

にこ「結婚したのね。おめでとう。けど女同士でどうやって子供が……」

凛「万能細胞STAP細胞のおかげにゃ!」

花陽「今は一般家庭でも保険を使ってSTAP細胞で子供が作れるようになったよ」

にこ「へぇーいつの間にかSTAP細胞で同性同士でも子供が作れる時代になってたかぁ。少子化対策やってたのねこの国。意外意外」

今日はここで終わります。にこが29歳で凛が27歳になるのかな

にこ「にしても。結婚したのなら知らせてくれれば良かったのに」

花陽「結婚式の招待状送ったよー。携帯も繋がらないし」

凛「フェイスブックでも呼びかけたにゃ!でも全然連絡ないし、見てる様子もないし」

にこ「ん?そうなの?ごめんねー。前の携帯電話、無くしちゃってね。新しい携帯に変えたのよ」

花陽「携帯変えたなら教えて欲しかったよぉ」

にこ「ごめんごめん。いつかメール送らなきゃとか思ってたけど、つい忘れてて。で、フェイスブック?あーあー、一応やってた」パカッ


にこ「久しぶりにログインしたら新着がいっぱいある!全然、気付いて無かった!」

凛「もー、凛も日記とか書かないけどたまにはチェックしてるよ。にこちゃんもたまにはチェックしてみてよね」

にこ「そうねぇ」ポチポチ

にこ(フェイスブックとか私には合わないのよねぇ。なんで辞めたっけ?あー……、真姫ちゃんの人生順調ですアピールがウザ過ぎて見るの辞めたんだっけかな)

にこ「へぇー……花陽は日記とかよく書いてるのね」ポチポチ

花陽「う、うん。子育てとかご飯の事とか中心に」

にこ「なるほどなるほど」ポチポチ

にこ(なんか普通の日記ね。昔の花陽は好きなアイドルの事についてとかツラツラと書き殴ってた気がするけど)

花陽「コメントとか遠慮なくしてね」

にこ「気が向いたらね。ん?同窓会……」ポチッ

凛「あー今年の年明けにみんなで集まったにゃ。ミューズのみんな」

花陽「もちろんにこちゃんもフェイスブックで誘ったけど、連絡無かったし……。後、希ちゃんが連絡取れなかったからにこちゃんと希ちゃんを除いた七人でプチ同窓会したよ」

にこ「年明けか……。ガロで大勝ちしたような記憶がある。でも行けば良かった」

花陽「また集まる時は連絡するね!」

凛「みんな元気だったにゃ。希ちゃんとにこちゃんをとっても心配してたよ」

にこ「仕事で忙しくなければ次は参加する。あっ、これ新しいアドレス」ピピッ

花陽「ありがとう。登録しておくね」

にこ「で、ミューズのみんなは変わって無かった?流石にアラサーともなると変化もあるでしょう」

凛「にこちゃんは変わらないねー。まだまだ学生さんって感じ」

にこ「ふふーん。今だに居酒屋で年齢確認されたり、お巡りさんに補導されかかったりするのよ」

花陽「若く見えるっていいよね。私なんか子供産んでからあれよあれよと言う間に太って……」

にこ「正直、最初見た時は花陽って気が付かなかったわ。かなり太ったわね」

花陽「ううっ……面目ない」

凛「太ったかよちんも可愛いにゃー」

花陽「り、りんちゃん///」

にこ(よく見ると凛の肌も荒れてるし、ほうれい線もうっすら見える。やっぱり時の流れを感じるわ)

凛「凛はまぁ、仕事柄痩せる事はあっても太る事はあんまりないと言うか」

にこ「仕事?何の仕事してるの?」

凛「佐倉急便にゃ」

にこ「げげっ!?佐倉急便ってあの佐倉よね?ブラックで有名な……」

凛「うーん。まぁ……ネットでの評判はよくないって聞くよね……。その佐倉急便だよ」

花陽「凛ちゃんはもう五年も続けてるよ」

子供「ママはいつも帰りが遅い!」

花陽「ついでに給料も安いね」

にこ「なんでそんな所で働いてんのよ。給料安くて仕事もキツいんでしょ?やる意味ないわよ」

凛「仕事は確かにキツイ事も多いけどさ。凛は辞める気なんて全くないよ」

にこ「はぁ?なんでよ。あっ!ちょっと待って、デザート頼むわね」

花陽「私が買って来るよ」

にこ「そう?悪いわね。チョコパフェお願い」

花陽「うん、わかった。凛ちゃんは何かいる?」

凛「凛は水でいいよ。ひな、好きなの買っておいで」

子供「わーい!」

花陽と子供が席を立つ



にこ「で、辞めない理由って何よ?上司にでも脅されてんの?」

凛「上司はいい人ばっかりだよ。凛よりもたくさん働いてるにゃ。辞めない理由の一番はやっぱり子供かな」

にこ「子供ねー。無計画に作るからよ」

凛「もう凛は自分だけのために働いてるんじゃないからね。かよちんとひなのために働いてる。仕事辞めたら次の仕事見つかるまで無収入だよ」

にこ「うーん。まぁ何とかなるんじゃない?」

凛「何ともならないよ。凛は資格もないし、学歴だって高卒にゃ。今の会社だってやっと正社員で受かった会社なんだし」

にこ「せ、正社員ね。そ、そうなんだー」

凛「にこちゃんも正社員で働いてるんじゃないの?」

にこ「えー!あっ、あ、あー、いやー……今はたまたま正社員じゃないと言うか」

凛「もしかしてフリーター!?その年で」

にこ「た、たまたま仕事辞めた所よ!ハローワークにだって通ってるし」

凛「前職何してたの?」

にこ「あ、IT関連とでも言うか……」

凛「働いてた期間は?ってか凛と同じで高卒だったよね?確か音ノ木坂学院を卒業した後は本物のアイドル目指すって言ってたけど」

にこ「……そんな事もあったわね。前の仕事は半年くらい」

凛「半年で正社員辞めたの?」

にこ「は、派遣」

凛「……高校卒業してから正社員で働いた事あるにゃ?」

にこ「……ない」

凛「……そっか」


ガタン!

にこ「ご、ごめん!用事思い出した!花陽とお幸せに!」

凛「えっ……あー、そう」

にこ「すごく急ぐ用事だから!悪いけどこれで失礼するわね!」

凛「……うん」

しばらくして

花陽「おまたせー。チョコパフェ買って来たよー」

子供「ひなだお!」

凛「にこちゃんもう帰ったよ」

花陽「え!?なんで?」

凛「なんか用事思い出したってさ。本当なのかは知らないけど」

花陽「せっかくチョコパフェ買って来たのに」

凛「凛が代わりに食べるよ。にこちゃんってさ……フリーターらしいよ」パクッ

花陽「フリーター?私達より二つ上だから、29歳でフリーターなの?」

凛「そうそう。専業主婦ってわけでもなさそうだし。そもそも結婚もしてないと思うけど」ハフハフ

花陽「フリーターか(察し)」

凛「フリーターならまだマシなんだけどねー。凛は仕事柄、よくアマゾンの商品を家まで届けるにゃ」

花陽「うん、そうだね」

凛「だから、彼女らの事はよーく見てるよ。顔見れば何となくわかるんだよね……ニートって」

今日は終わります。ではまた

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