ちひろ「菜々さんって、なんか都電似合いますよね」
菜々「……どういう意味ですかねそれ……」
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ちひろ「いや、こう……普通の電車より、ちっちゃくて可愛いなあ、みたいな?」
菜々「まあ、いいですけど……ナナ、乗ったの初めてですよ」
みく「あ、ちひろチャンナナチャン、こっちにゃあ!」
智絵里「おはようございます……菜々ちゃん、ちひろさん」ペコリ
ちひろ「あら、早いですね二人とも……それじゃ、行きましょうか」
菜々「お好み焼きかあ……食べるの、久しぶりですね」
智絵里「プロデューサーさんも……来れたらよかったのにな……」
ちひろ「仕方ありませんよ。三人とも売れっ子ですから、プロデューサーさん達も忙しいんです」
ちひろ「今日は私が全部持ちますから、またライブに向けて頑張ってくださいね?」
ちひろ(『俺が休んで一緒に行く』って喧嘩になったから代わりに私が来た、ってことは黙っておきましょう……)
みく「……ちひろチャン? 駅から降りてすぐって言ってなかったにゃあ?」
ちひろ「あ。通り過ぎちゃいました、さっきの白い建物です」
みく「もー、しっかりしてね? ちひろチャンが一番オトナなんだから」
菜々「そ、そうですね、しっかりしてほしいですね……」
智絵里「……?」
菜々「へえ……お城みたいな雰囲気ですね」
智絵里「わ、わ……ほんとに、わたしと同じ名前のお店……」
ちひろ「ネットだと、智絵里ちゃんのファンの間で密かに聖地扱いされてるみたいですよ?」
菜々「聖地て……智絵里ちゃん、お店とは無関係なんじゃ……」
ちひろ「それは私に言われても……名前が一緒なんて珍しいですし、あやかりたいんじゃないですか?」
ちひろ「帰りに智絵里ちゃんと、ついでに二人の色紙でも置けば、無関係でもなくなりますし」
みく「え……ついではひどくない? ってゆーか、早く入るにゃあ……お腹すいたー」
店員「いらっしゃいませー」
ちひろ「四人です」
店員「奥の席へどうぞー」
智絵里「わたし、鉄板でお好み焼き焼くの……はじめてです……」
みく「大丈夫にゃあ! みくは子どもの頃からよく作ってたから、教えてあげるね♪」
菜々「ちひろさん、メニューどうぞ……どうします?」
ちひろ「んー……とりあえず、生で」
菜々「あ、ズルい」
ちひろ「保護者特権ですよー。今日は我慢してくださいね、菜々さん」
菜々「うぅ……今度、またウチで宅飲み付き合ってくださいね……カルピスでいいです」
みく「なになに、飲み物? みくはコーラがいいにゃ!」
智絵里「あ……わたしはオレンジジュースで……」
ちひろ「さーて、どうしましょうかね。とりあえず、お好み焼きのちえり天と……」
智絵里「え……あ、わたしじゃなくて、お店の名前……」
菜々「鉄板焼きとか、もんじゃ焼きもあるみたいですね」
ちひろ「それじゃあ、そっちの……ちえりの……」
菜々「もんじゃ……」
ちひろ・菜々((アカン))
みく「……? ちひろチャン、なんでフリーズしてるにゃ?」
ちひろ「あっ……いえ、その。私も菜々さんももんじゃ焼きは焼けないので、お好み焼きに専念しようって話を」
みく「それじゃあ、豚玉と、チーズ辺りでいいんじゃない?」
菜々「一度に頼んでも焼き切れませんし、その辺注文しちゃいますか」
店員「それでは、鉄板火付けますね。火傷しないように気をつけてください」
ちひろ「先に飲み物もきましたし、乾杯しておきますか」
菜々「……そもそも今回のこれ、なんの集まりなんですっけ」
ちひろ「この間のクイズ番組の慰労ですよ。三人が制服姿で共演して、最後にアタポン歌った」
智絵里「みくちゃんが大活躍してたの、ですよね……わたし、あんまり目立てなくて……」
みく「今日は湿っぽいのは無しにゃ、智絵里チャン! ライブに向けて頑張る会ってことにしよ?」
ちひろ「それじゃあ、お仕事お疲れ様でした、そしてライブに向けて体力つけてください、ということで」
「「「「かんぱーい!」」」」
みく「それじゃあ、智絵里チャンにはみくのをお手本に豚玉を作ってもらうにゃあ!」
智絵里「は、はい……頑張りますっ」
みく「まず最初に、ネコミミをつけるにゃ。これにより集中力が高まるにゃ」
智絵里「ね、ネコミミを……つけました」
ちひろ(いや、そのりくつはおかし……くもないんですよね、みくちゃんの場合)
みく「豚肉を脇によけてから、卵を溶きほぐしながら生地をかき混ぜるにゃあ」
智絵里「かき混ぜる、にゃ……あ……その、あう……恥ずかしい……」
菜々(かわいい)
ちひろ(かわいいですねえ)
みく(かわいいにゃあ)
みく「生地の中に空気を入れたら、アツアツの鉄板の上にゆっくり生地を落とす」ジュー…
智絵里「よい、しょ……」ジュー…
みく「薄すぎず、厚すぎないサイズにまーるく整えて、豚肉を上に乗せたら、じっくり待つにゃあ」ジュゥ…
ちひろ「大阪出身だけあって、さすがに手慣れてますね」
菜々「はぁ……鉄板で何かが焼ける音って、なんでこんなに食欲わくんですかね……?」
みく「焦ってコテでいじっても、生焼けになったり空中分解する原因になるだけにゃ。時には待つのも必要にゃ」
智絵里「じー……」
菜々(そういえばみくちゃんって、たこ焼きは食べれるんですか?)ボソボソ
ちひろ(さぁ……? 一応、今日もシーフード系は頼まないようにしておきますか)ボソボソ
ちひろ「なんだかもう、鉄板を真剣に見つめる智絵里ちゃん見てたらお腹いっぱいになってきました」
菜々「ちひろさん、それ多分ビールのせいですよね?」
みく「そろそろかな? 円のはしっこが乾燥し始めたら、コテをそっと生地の下に入れるにゃ」ススッ
智絵里「はい……!」
みく「初心者にありがちなミスが、ここで高く持ち上げたり、慎重にゆっくり返そうとすることにゃ」
みく「ダンスと一緒、静と動の区切りを意識して、低空で手首を使って一気に……!」ヒョイッ
菜々「おおー……」パチパチ
みく「ま、返しに失敗したら食べれないわけじゃないし、気楽にいくにゃあ」
智絵里「はい……いきます……せーの……っ」ヒュッ、ジュー…
智絵里「で、できました……えへへ、いぇいっ」
ちひろ(天使ですね……)グビッ
菜々「ちひろさん、酔っても今日はナナ介抱しませんよ……?」
みく「前川家だと、裏も焼いたらもう一回ひっくり返して、豚肉の上からソースをかけるのがオススメにゃ」ヒョイッ
みく「家だとお店ほど火力が出ないから、焼き時間とかはちょっと違ってくるけど」
菜々「なるほど……」メモメモ
ちひろ「それじゃ、私が智絵里ちゃんにソースとかマヨネーズとかかけちゃっていいですかね?」
智絵里「え……わたしじゃなくて、お好み焼きの方になら……」
菜々「ちひろさん、セクハラしすぎると智絵里ちゃんのプロデューサーに怒られますよ……?」
ちひろ「いいんですよ、あの人には背中を押した貸しがありますから」アオノリファサー
智絵里「みくちゃん、かつおぶしはかけても大丈夫……?」
みく「あー……みくが食べる分だけ、かけないでもらえると嬉しいにゃ」
みく「大阪のお店だと、網の目みたいにコテで分けることが多いんだけど……」
みく「ちょうど四人だし、ケーキみたいに四等分でいいと思うにゃ」グッグッ
菜々「あ、じゃあお皿配りますね」
ちひろ「私、菜々さんのそういう細かい気配りできるとこ、好きです」
菜々「ナナも、智絵里ちゃんに浮気する前のちひろさんは好きでした」
智絵里「……菜々ちゃんとちひろさん、仲良しなんですね」
ちひろ「飲み友達ですからね」
みく「えっ」
菜々「んん゛っ」
ちひろ「あ……さて、食べましょうか」
智絵里「……えっ?」
菜々「えーと、うん、はい! ウサミン星ではこう、ね! ニンジンジュースを飲む儀式があるんです!」
みく「な、なるほど……?」
菜々「さあ、冷めちゃう前に食べましょう! はむっ、ハフッハフッ……」
智絵里「い、いただきます……あむっ……」
菜々「うぅ、おいしいです……女子高生と食べるお好み焼き、おいしい……」
みく「そこまで!? ナナチャン、クラスメートと食べたりしないの?」
菜々「い、いやあ……アイドルのレッスンに時間割いてたら、なかなか外食することもなくて……」
ちひろ「女子高生といえば……みくちゃんのプロデューサーさん、最近電車通勤になりましたよね?」
みく「う゛っ」
ちひろ「あ、やっぱりみくちゃん関連ですか……定期がどうとか急に聞いてくるから、何事かと思いましたけど」
智絵里「ひょっとして、朝みくちゃんと同じ電車に乗ってる、とか……?」
みく「た、たまたまね。みくの制服姿見られちゃって……痴漢多くて大変って話したら、毎朝みくの後ろで護衛するとか言い出して……」
菜々「うわあ……愛されてますねえ……」
智絵里「朝も仕事中も一緒って……いいな……」
みく「ち、智絵里チャンのとこほどじゃないにゃあ! みくのお願い、あんまりちゃんと聞いてくれないモン」
みく「なんか気づいたら、智絵里チャンうさ耳派になっちゃったし……」
菜々「かわいかったですねえ、うさちえり」
智絵里「ありがとうございます……菜々ちゃんに教えてもらった、うさぎさんのお店にも行ったんですよ?」
みく「のあにゃんも最近あんまり一緒に仕事できてないし……みくのネコ仲間はPチャンとあーにゃんだけかにゃあ……」
ちひろ(……)モグモグ
智絵里「あ、あのっ……わたしは、ねこさんも好き、ですよ……? にゃ、にゃーん……」
菜々「ナナはウサミン星人なので、ネコミミはちょっと無理ですけど……ネコとウサギで、仲良く頑張りましょうね♪」
みく「智絵里チャン……ナナチャン……」
菜々「うーん、でも、三人でまたユニットを組むとなると……ウサギ2とネコ1だと、バランスが……」
ちひろ「私にいい考えがあります」
みく「ちひろチャン!?」
菜々(ダメなやつですよねそれ!?)
ちひろ「菜々さんはうさぎ。みくちゃんはねこ。智絵里ちゃんは……天使。これです」
智絵里「えぇ……!?」
菜々「そこはもっと、こう……いろいろあったじゃないですか。犬とか、ひつじとか……」
ちひろ「だって、天使じゃないですか」
菜々「いや、それはそうですけど」
みく「って、ちひろチャン食べすぎにゃあ!?」
ちひろ「そ、そんなこと無いですよ……皆さんが小食なだけです」
菜々「まあまあ……代金はちひろさん持ちですし、追加でいろいろ頼みましょう」
智絵里「わたし……この、きのこの盛り合わせを……」
菜々「あ、鉄板焼きもいっちゃいます? じゃあついでに焼きそばとかも……」
みく「みくはソーセージで!」
ちひろ「え……えぇ……」
ちひろ(その後、私は三人とそれぞれのプロデューサーさんとの惚気話を聞きながら)
ちひろ(お好み焼きをつまみに、やけに甘いビールを飲み続けたのでした)
ちひろ(はぁ……あと二ヶ月でクリスマス……つら……コスプレしよ……)
オチが思いつかなかったので終わりです
レスもらってる通り、作中登場する「お好み焼き ちえり」は実在する店舗です。たぶん智絵里ちゃんは無関係ですが
あ、ちえりのもんじゃはとってもおいしかったです(マジキチスマイル
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