るう子「じゃあ私おつかい行ってくるねー」イオナ(……) (160)

イオナ(るうのルリグになってからもうしばらく経つのに、るうは一向に話しかけてくれない)

イオナ(私からはたびたび話しかけてはいるけど、ほとんど返事をしてくれない)

イオナ(まれに返事をしてくれても、ただそれだけ。たいてい会話になんかならないし、少し話が続いたときも、微妙にお互いの言葉がかみ合わない)


イオナ(……)


イオナ(一体なぜ……? これではまるで、私がるうに嫌われているみたい……)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413799118

イオナ(分からないのはそれだけじゃない)

イオナ(るうがあの日以来バトルを避けていること……)

イオナ(私と同じで、るうもバトルの中でしか喜びを感じられないはずなのに)


イオナ(それと、るうのルリグだった“タマ”)

イオナ(彼女はどうして“全てのルリグを開放する”なんて願いに同意しようとしたの……? そんなのできるはずがない)


イオナ(でもそれより、一番の謎はるうが私と話したがらないこと)

イオナ(これは捨て置けない……。セレクターとルリグのコミュニケーションはとても重要)

イオナ(どうにかしないと……)

ピピピピピピピピピ!! 

るう子「ん……うぅ…」ムクリ

るう子「ふあぁあ。……朝かあ」

イオナ「おはよう、るう。よく眠れた?」

るう子(……)

るう子「さて、朝の準備しなきゃ……」


イオナ「今日はセレクターバトルのように爽やかで気持ちのいい朝ね。もっとも机の引き出しからは外なんて見えないのだけれど……」


るう子「……うん、今日提出の課題はちゃんと鞄に入ってる」ガサガサ

イオナ「今の私には分かるのよ。どうしてだと思う?」


るう子(……)

るう子「……よし、着替え終わったし朝ごはん食べに行こっと」

イオナ「今の私は気温や湿度にとても敏感。なんたって紙のカードだから」


  「るうちゃーん。起きてるー?」

るう子「うん! 今行くよ、おばあちゃん!」ガチャ


バタン…


イオナ「……」


イオナ「完全にシカトするのね」ボソ


イオナ(今のは何がいけなかったんだろう)

イオナ(いつもよりたくさん話しかけてみたのに、何も反応されなかった)

イオナ(るうが起きる1時間前から考えておいた渾身の浦添ジョークも効果が無かった)

イオナ(というか微妙にしかめっ面してたし、むしろ逆効果だったというの?)

イオナ(いや、違う……)

イオナ(私としたことが忘れていた。るうは朝が苦手)

イオナ(目覚めてすぐの眠たいときに、あれこれ話しかけられて機嫌を悪くしたのね)

イオナ(私の配慮がなってなかった。反省しないといけない)


イオナ(……でもそういえば、最近のるうは朝すぐ起きられるようになってきてる)

イオナ(起きて着替えて、部屋を出るまでの早さが短くなってきてる)

イオナ(私が小湊家の一員になった最初の頃は、お婆さんやお兄さんがるうの部屋まで起こしに来ることも何度かあった)

イオナ(でも最近は全然ない。もはや飛び出すような勢いで着替えを済まして部屋を出ていく)

イオナ(これは、私が朝積極的に声をかけ始めてからのこと……)

イオナ(言うなれば、私がるうのお婆さんやお兄さんの役割を代わりにこなしているといって過言じゃない)

イオナ(会話こそ滅多にないけれど、るうと私の繋がりは強まっている)

イオナ(中々お喋りできないのは単に照れてるだけなのかも。フフフ……可愛らしいわ……)

イオナ(そのうちるうも応えてくれるはず。これからも積極的に話しかけていこう)


トン…トン…トン…

イオナ(ん、これはるうの可愛いおみ足が階段を踏みなでる音)

ガチャ

イオナ(入ってきた。もう学校に行く時間か)

ガラガラ

イオナ「今日も私と一緒に学校行くんだね、るう」フフフ

るう子「……」

イオナ「ねえ、朝ごはんいつも何食べてるの?」

るう子「……」スッ

イオナ「いつも通り鞄に大事にしまってくれるのも嬉しいけど、一衣みたいに首からぶら下げるのも素敵だと思わない? ねえ、るう?」

るう子「……」スタスタ

ばあちゃん「あら、るうちゃんもう行くのね」

るう子「うん、いってきます! おばあちゃん!」

ばあちゃん「はい、いってらっしゃい」ニコニコ

イオナ「いってきます、お婆様」

るう子「……」イラッ

――通学路――

イオナ「…それでウリスがすかさず“クソッタレさん”って――」

るう子「……」スタスタ

イオナ「まあ、あの子、決め台詞みたいに言うところが――」

るう子(どう反応すればいいの……)スタスタ

イオナ「さすがに“燃やすよ”は私も言い過ぎた気も――」

るう子「……」スタスタ

イオナ「るうはそんなこと言わないよね。私はるうが優しいの、知ってるから」


るう子(ここの道、こんなに長かったっけ……)スタスタ

イオナ「そうだ、るう。今日Seven t○enの発売日だから、ちょっとそこの本屋寄ってくれない? どうしても見ておきたくて」

るう子「……」ピタ

イオナ「お願い、るう」

るう子(行かないと逆にめんどくさいかな……)



――――

るう子「……」ペラペラペラペラ

イオナ「あ、そこのページ……いや3枚くらい戻って……」

るう子(結局言うこときいちゃった……)ペラ ペラ

イオナ「よし、ウリスはちゃんと読モやってる」

るう子(写ってるの伊緒奈さん…じゃなくてウリス……。なんか笑顔が不気味)

イオナ「相変わらず性格の歪みがそのまま滲み出たように邪悪な表情ね。私の顔でこんな表情してほしくないよね、るう」

るう子(イオナさんも大概だと思う……)

――駅――

るう子「はぁ……はぁ……!」タッタッタッタ

イオナ「もっと急いでるう。電車行っちゃうよ」

るう子(誰のせいで……!)タッタッタッタ


プルルルルルルル

アナウンス『列車が発車します。閉まりますドアにご注意ください』

るう子「はあ……はあ……。間に合った…はぁ……」

イオナ『プシュー』

ドア「よかったね、るう」

イオナ「でも、もう少し時間には気を配るべきだよ。朝の時間はすぐに過ぎちゃうから」

るう子「イオナさんが寄り道したがるからでしょ! はあ…はあ……。もう…!」ムカッ

イオナ(怒ったるう子も可愛い)

イオナ(ん…? 怒る……るう子……)

るう子「朝から汗かいちゃったよ……」

イオナ(……小湊るう子……怒るう子)


イオナ「フ……フフフフ…」

るう子(なんか笑ってる……)

キェェェェェェアァァァァァァドアガシャァベッタァァァァァァァ!!!


ガタンゴトン…ガタンゴトン……

るう子「あ! 一衣だ。おはよう一衣!」

一衣「あ、るう子。おはよう」ニコ

るう子「同じ車両乗ってたんだね」

ユヅキ「私もいるぞるう子!」

るう子「うん、おはようユヅキ」

ユヅキ「おはよーるう子」

ユヅキ(とイオナ……)


イオナ(……)


一衣「ねえねえ、昨日のテレビ観た? ○○が出てたよねー」

るう子「えー! お兄ちゃんにリモコン取られて観れなかったよー…」

一衣「あははは」

ユヅキ「そういえばるう子のとこはお兄ちゃんいたなー」ハハハ

ワイワイ キャッキャ


イオナ(こいつらはるうを惑わす)

イオナ(るうの本当の気持ちを知らずに、るうをセレクターバトルから遠ざけようとしている)


イオナ(でもなにより嫌なのが、るうと私の話す時間を奪うこと……!)

イオナ(……とはいえ、るうはこいつらと話している時でも楽しそうにしてるから、私は黙ってあげている)


アナウンス『まもなくー○○に着きます。左側のドアが…開きます』

るう子「あ、もう駅着いちゃうね」

イオナ(……)

>>28
完全にミスです……
カードでさえ喋る世界なんだからドアくらい喋るものだと、どうか納得してください…


――学校――

教師「したがって、この三角形の面積を二等分する直線の式を求めるにはまず――」


るう子(うーん……。分かんないよう……)

イオナ(……ペンが進んでいない。るうは相変わらず数学が苦手みたい)


教師「二直線がy軸で交わることからxには0を代入し――」

るう子(ここをこうして…いや違う……。あれ、それともこっち…?)ムムム…

イオナ「るう」

るう子(あ、ここに補助線引けば……だめだ解けないよ……)

イオナ「るうってば」

るう子「(気が散る……)……なんなのイオナさん」ボソ

イオナ「私に問題を見せれば教えられる。私を利用するといい」

るう子「そんなのズルだよ」ボソ

イオナ「ねえ、るう。普段眼鏡をかけている人は、視力検査のときに眼鏡を外せとは言われない」

イオナ「なぜなら常に使用していて、もはや眼鏡が身体の一部だと考えられるから」

イオナ「つまりね、別に私が代わりに問題を解いても、るうが自力で解くのと何も変わ」

るう子(ちょっと前のページの解説から見直そうかな、うん)

イオナ「あくまで自力で頑張るんだ。やっぱりるうは優しいね。そこまで私に気を遣わなくてもいいのに」

るうこ(ああもう気が散る)


教師「それじゃあ小湊。今の問題解けたら答えてくれ」

るう子「え? は、はい……」


るう子(どうしよう、結局わかんない……)アセアセ

イオナ「私が助けてあげる」

るう子(だ、だめ……!)

イオナ「一回くらいならどうってことないから」

るう子(でもなんか……)

イオナ「……周りのセレクターだってみんなやってるから大丈夫だよ」

るう子(……じゃあ、今回だけ。今回だけなんだから……)

……スッ

イオナ「ありがと、るう」


イオナ(……)


イオナ「わからない」

るう子(えっ)

教師「そろそろいいか? 小湊」

るう子「あ、えっと……!」

イオナ「ルリグになる前、WIXOSSにハマりすぎて授業をろくに聞かなかったせいかは知らないけど、私に解ける問題じゃない」


るう子「すみません、分かりません……」カアア


――昼休み 食堂――

るう子(今日はラーメンにしよ)

イオナ(…さっきの失敗からまったく口をきいてくれなくなった)

イオナ(まあ普段から無視されてるけどより徹底した感じになったのが少しツラい)

イオナ(……それにしても、相変わらずるうは学校の中でほとんど誰とも喋らないのね)

るう子「いただきます」

イオナ(“お友達”だった遊月はルリグになって、今は中身がハナヨサンとかいうのになってるし)

イオナ(まあ彼女に限って言えば学校中で腫れもの扱いされてるから余計に話しづらいのか)

イオナ(哀れな夢幻少女ね。弟以外で周りから相手にされないなんて)


るう子(ここでこうやって食べてるときだっけ、遊月と花代さんに初めて会ったの)

るう子(あの頃はここにタマが……)

るう子(そういえば結局ルリグって食べることはできないのかな?においもどうなんだろう)

るう子(今度ユヅキに訊いてみよ)ズルズル…

イオナ(この匂いはラーメンか。“敗者のニオイ”とかウリスが気持ち悪いこと言ってたけど、においは分かるもんなんだね)


――――

るう子「ごちそうさま」

イオナ(…なんだか私もお腹が空いてきたような気がしてきた)

イオナ(もちろん気のせいだけど)

イオナ(でも、暇つぶしに食事でもしてみたいわね)


イオナ(……)

イオナ(なに下らないことを考えてるのかしら)

イオナ(“食事がしたい”だなんて)

イオナ(日和ったわ……。私が求めているのは、バトルだけ)

イオナ(そしてそれはるうも同じ)

イオナ(忘れるところだった。早くるうを導いてあげないと)


――午後の授業 情報――

教師「“アドレス”とは元々英語で“住所”を意味することから、WEBサイトの場所を特定するにはURLという――」

るう子(うぅ……パソコンの授業は苦手だよ……)カチカチ

るう子(あ、あれ? たくさんクリックしたら動かなくなっちゃった)カチカチ

るう子(ど、どうすれば…)カチカチカチカチカチカチカチカチカチ

PC「ブオーーーーーン…」


イオナ「るう……とりあえずクリック止めた方がいい」

るう子(…言う通りにしたら動きだした)


イオナ(今どきここまでパソコンに疎いのも珍しいわね……)

イオナ(でもこれがまた良いんだけど)


教師「えーそれでは実際に以下のURLを打ち込んでみてください」


るう子(難しすぎるよ…)カチャ…カチャ…


イオナ(……ん?)

イオナ(そういえばるうは、今どきの女子中学生らしからず、携帯を持っていない)


るう子「なんでキーボードってアルファベットがバラバラになってんだろ…」ブツブツ…


イオナ(そして見ての通り、パソコンもまともに扱えない)

るう子(これじゃわざと打ち込みにくいように作ってあるみたい…)ムムム…

イオナ(なら一体どうやって、『浦添イオナ ファンの集い』の情報を手に入れたの…?)


イオナ(他の生徒たちの間で話題になっていたのを小耳にはさんだとか、そのあたりかしら)

イオナ(詳しく教えてくれる友人なんて居ないはずだから、その後自分で調べたとか……?)

イオナ(それとも一衣や遊月やらから教えられたか…)

るう子(斜めの線どうやって出せば……うーん…)カチャカチャ


イオナ(なんにせよ、あんな痛々しいツイートしておいてるうに知られてなかったら、余計に恥ずかしいわね……実際投稿するだけで恥ずかしかったのに……)

イオナ(……なにが“選択をする者に告げる”よ)

イオナ(あの文章打ち込むとき、ウリスがすごい笑ってきたの思い出した……)

――
――――
――――――

~回想~

伊緒奈(浦添、イオナ、ファンの、集い…)

伊緒奈(せんたく、を……せまられしもの、に……と)フリップ入力

ウリス「随分痛々しい文章を書くのねぇ? あなたの趣味?」ニヤニヤ

伊緒奈「黙ってなさい」

伊緒奈(せんたくを、こばまぬもの、に……と)

ウリス「選択をwwwwwwwwwwww迫られしwwwwwwwwww者wwwwwwww」

伊緒奈「ほんと黙ってなさい」

ウリス「ウフフフフフフフwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

伊緒奈「燃やされたいの?」

ウリス「できないくせに」フフフ

――――――
――――
――


イオナ(思い出して腹立ってきた……)


イオナ(……いや、でも。もしかしたら私もウリスみたいに積極的になっていいのかもしれない)

イオナ(カードを破棄できないのはるうも同じはず)

イオナ(るうにもっと介入したいわ)

イオナ(……でも、いきなり過ぎてるうを驚かせてしまうかも)

イオナ(最悪嫌がられる可能性も……)

イオナ(ああでも、そういうるうも見たいわ)

イオナ(『タマに会うためには我慢しなきゃ…!』と悩ましげな表情でカードの私をやぶるにやぶれず苦悶するるうの姿……ふふふ)

イオナ(いやいや、駄目よイオナ……! それは今まで築いてきたるうとの信頼を壊す行為……!)

イオナ(この願いは冒涜……!)


るう子(なんか静かだなあ)

(お詫び)

1週間以上も更新しなかったのは、大量に書き溜めしていたとかではなく
単に大学の方でいろいろあったり(公安警察が入ってきたとかではないです)
多忙に伴って体調を壊して高熱下痢人間と化していたからです。申し訳ございません
明後日あたりからまたちゃんと定期的に投下できそうです。どうか気長にお付き合いください
アニメのイオナさんどんどん可愛くなってますね


――下校中 電車内――

ガタンゴトン、ガタンゴトン


るう子(……)読書中

イオナ(暇ね)

イオナ(バトル以外でルリグの状態で出来ることって少ないものね……)

イオナ(るうは読書中だし、今は話しかけたら迷惑がられてしまう)

イオナ(少し気になるのが、るうの読んでる本が一衣から借りたものだということ)

イオナ(“オススメの本を教える友人ポジション”は見事奪われてしまったわ……)

イオナ(読書なら私も負けていないのだけれど……けっこう読んでたし。やたら暇だったから)

イオナ(やたら暇だったのは友人が少ないからとかじゃないわ。モデルの仕事は待ち時間が多いものだからね。本当よ)

イオナ(……。まるで言い訳みたいなことを考えてしまったわ……)

イオナ(別に友人なんてどうでもいいものなのに)

るう子(……)ペラ



ガタンゴトン、ガタンゴトン


イオナ(暇、ね……)


アナウンス『○○駅です。右側のドアが開きます』

プシュー

るう子「……」スタスタ

イオナ(私の求めていたものって……)

イオナ(いや、待ち続けていればいずれ機が来るはず。ウリスには私の願いを叶える義務がある)

イオナ(ただ、ウリスがどんな方法を取るのかは……)

るう子(……)スッ

イオナ(なんにせよ早くバトルが……って、いきなりるうに取りだされたわ…?)

イオナ(何か用なのかし)

イオナ(え、え…ちょっと!?)ビターン!


ピンポーン!

改札機『もう一度、やり直してください』


るう子「あれ? あっ(定期券と間違えちゃった…)」

イオナ「る、るう…(定期券と間違えられた…)」ガーン

るう子「ご、ごめんなさい! イオナさん!」アセアセ

イオナ「いいのよ、別に……。それより後ろ、混んでるよ…」

るう子「あ、すみませんっ!」ペコペコ


スタスタスタ

るう子(さっきのでイオナさん怒らせちゃったかな……)チラッ


イオナ(エラーとはいえ、IC読み取り機に反応されるとは思わなかったわ)

イオナ(意外にも磁気を持つタイプだったのね、私)

イオナ(るうが電話越しでユヅキと話すときがあるけど、機械はルリグを感知するのかしら)

イオナ(あ……。 IC定期券『IOCA』、なんてね)フフフ


るう子(なぜか笑ってるし怒ってないのかも)ホッ


――休日――

るう子「えぇっと……。ニンジンと、ジャガイモと……」

イオナ(その罰則は、おつかい)

ばあちゃん「ああ、ジャガイモは5個入りの2袋ね?」

るう子「もう、ばあちゃんひどい! こんなときにカレー作りだめしなくても!」

ばあちゃん「あら。買い出しの荷物が軽かったら、ペナルティにならないもの」

イオナ(ペナルティ……。やはりおばあさまはバトルの本質を解ってる人ね)

イオナ(是非戦いたかったわ。セレクター同士じゃないから私を使えば良かったのに、どうして……)

るう子「うぅーん……」

電話『プルルルルルル!』

るう子「ん?」

プルルル

るう子「はい、小湊で」

ユヅキ『るう子! 見た!?』

るう子「ユヅキ?」

イオナ(……ウザいのが)


ユヅキ『今月号のLonLon、昌が出てたんだよ!』

るう子「昌さんが?」

イオナ(昌が……?)

ユヅキ『傷跡もなくなっててさ……』

一衣『また、セレクターになったのかな……。それで願いがかなったとか……』

イオナ(うちの会社の化粧品ならあの傷も隠せるかしら)

るう子「そっか……。……よかった」

イオナ(よかった!?)

ユヅキ『全っっ然よくないよ!』

るう子「ぅえぇっ!?」

イオナ(やだ…るう…優しすぎ……)キュン


一衣『あの…昌さん、またセレクターを探してるみたいで……』

るう子「セレクターを!?」

ばあちゃん「?」


るう子「…! え、あの……ごめん、今、ちょっと…また明日会おうねっ!」

るう子「うんっ、じゃあ!」

イオナ(まさか…そういうことね……)


ばあちゃん「遊月ちゃん?」

るう子「え? うん……。じゃあ私おつかい行ってくるねー」タッタッタ…

イオナ(……)

>>1で明記すべきだった事柄ですが、1話と2話の間隙を縫う形で話を進めてました。
スレタイはそういう意味合いでしたが、遅筆のせいか現時点でもう5話まで放送されちゃってますね…)

おつおつ
あと、アキラッキーは晶って字だよ

>>77
ご指摘本当に感謝します!
自分でもどこか違和感は感じてたのにどうしても気がつかなかったので助かりました!

ついでに>>47の最後のイオナのセリフは、
「夢幻少女」ではなく「夢限少女」が正しい表記です。すみません


――帰り道――

るう子(意外と荷物少なめで済んだなあ)テクテク

ブオーン…

宣伝車『そんな顔してると“HAPPY”は逃げちゃうよ?』ブーン…

るう子「!」

るう子「イオナさん…!?」

イオナ「ウリスだよ(私はここなのに…)」

るう子「イオナ…」スッ

イオナ「ウリスは夢限少女。あの子には私の願いを叶えなければならない使命がある」


るう子「イオナの願い…? 私のルリグになるってことじゃなかったの……?」

イオナ「それだけじゃ未完成……(るうが今呼び捨てで…呼び捨てで!)」

イオナ「私の願いは、強いセレクターのルリグになって――」


「別の強いセレクターとぉ、バトルすること?」


るう子「あっ」クル

イオナ「……」イラッ

るう子「晶さん!?」

晶「久しぶりじゃなーい! るうるうもぉ……」

晶「イオナもねぇ?」

イオナ(せっかく呼び捨てで呼んでくれた余韻が台無しね……)


――THE 工事現場――

るう子「バトルを!?」

晶「そーう! またデッキが手に入ったの~♪」

晶「セレクターとしての資格を取り戻したってワケ♪」スッ

晶「ほら? ご挨拶は?」


ミルルン「ハーイwwwwwwミルルンデースwwwwwwwwwwヨロペコルンルーンwwwwwwwwwwwwww」

イオナ(なんだこいつ)


るう子「ど、どうしてもう一度バトルを……?」

晶「う、うぅ……」グスッ…

るう子「!?」

晶「あきらっきーは……。もう、あんらっきーになっちゃったの……」

るう子(え?)

晶「メイクでごまかしても、この傷はもう一生消えないし……」

晶「コソコソ隠れるようにして生きても……うぅ……」グス…

ミルルン「カワイソーアキラwwwwwwwwwwシクwwwwシクwwwwwwwwwwwwwwww」

イオナ(なんだこいつら)


るう子「あ、あの…」

晶「でも! るうるうがバトルしてくれたら、私もう一度頑張れるような気がしてるんだ!」パァァ

晶「お願い! るうるう、私と闘って?」

イオナ(もっとまともな口実を考える気はないのかしら……)

イオナ(でも、るうなら…)


るう子「…………」

るう子「わかったよ……」

晶「あはっ♪ やったー!」

ミルルン「アキラッキーwwwwwwwwwwwwwwww」

イオナ(お前が言うのかよ)


るう子(イオナも、晶さんも、本心が分からない……)

るう子(でも……!)

晶「うふ♪」

イオナ(……)


  『オープン!!』

今のところ微ヤンデレズな結末をぼんやりと考えています
あんまりこう、尋ねるというのは野暮かもしれませんが、けっこう抵抗ある人もいたりしますか?
別段こだわりは無いので、オチなしほのぼのENDを考えるのもいいかなと思ってます


――バトルフィールド――


晶「へーえ、ちゃんとルリグやれてるじゃなーい? イオナ『ちゃん』?」

イオナ(初陣がこいつとは、あまり喜ばしくないわね)

晶「ルリグになるのが願いだったなんて、随分ゆがんでるのねぇ~?」

――先手 青

晶「そういうヘンタイ女は……」

晶「あきらっきーが更生してやるよぉ!!!」

晶「ミルルン!?!! グロォ!!!!」

グオォン…!

るう子「っ……」ゴクリ…


――その頃――

ユヅキ「るう子、大丈夫かなあ?」

一衣「ん?」

ユヅキ「ほら、晶、バトルってなると見境ないじゃん?」

ユヅキ「タマがいないのに、もしバトルになったら……」

一衣「タマって、どんな女の子だったんだろう……?」

ユヅキ「…え?」

一衣「ルリグになる前のタマって、普通の女の子だったわけでしょ?」

ユヅキ「ああ、そっか、そうだね。……ちょっと、想像つかない」

ユヅキ「最初は、にゃーって鳴いてたし……ネコだったりして」ハハハ

一衣「でも、るう子の大切な友達……」

ユヅキ「うん…」


一衣「あとさ……」

ユヅキ「うん?」

一衣「るう子とイオナさんって、普段どんな感じなんだろう……?」

ユヅキ(あー……。そこ触れちゃうか……)


ユヅキ「あの二人は……。案外よろしくやってたりして、あはは……」

ユヅキ「……ごめん、やっぱ想像つかない」

ユヅキ(ていうか想像したくない……)


一衣「だよね……。なんかもう想像するだけで気まずくなる……」

ユヅキ「う、うん……(イオナ本人は満足なのか……? あれで)」

一衣「だからさ、ユヅキ」

ユヅキ「なに?」


一衣「今度本人に聞いてみてよ」

ユヅキ「えぇ!? やだよ! そんなこと聞いたらるう子嫌がるかもしれないじゃん……」

一衣「ううん、ルリグ同士なら話しやすいかと思って」

ユヅキ「イオナの方に!? 尚更やだよ!」

一衣「でもイオナさんなら嫌がりもせずあれこれ答えてくれそうだし……」

ユヅキ「ま、まあ……るう子が居なくてイオナだけのときになら……」

一衣「うん、楽しみにしてるね」


ユヅキ(到底楽しい話になるとは思えないけど……)


――――

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ド

イオナ「くっ……」ハア…ハア…

晶「よええええええええええええええ!!」ケラケラ

ミルルン「~♪」

るう子「っ……バベルを召喚!」

イオナ「るう子、それ本気?」

るう子「イオナ?」

イオナ「私の能力は強制攻撃。このターンではパワーの高いシグニを召喚した方が得策なはず」

るう子「……」

晶「ちょい、ちょい、ちょい、ちょい!!」

晶「なにルリグが指示出ししてんだよォ!??」

るう子「う……」

晶「うふふ……」


るう子(るうは、本気出してないの……? そんなつもりない…!)

るう子(手なんて……抜いてるつもり、全然ないのに……。でも……!)


るう子(タマ…――)

るう子「スペル! 『スラッシュ・ミラクル』!」

晶「来た! スペル!」グッ

晶「ミルルン? アンチスペル!」

ミルルン「ミーwwwwwwルルンwwwwwwwwwwww」キラン☆


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

イオナ「うあぁああっ!!!」

るう子「イオナ!!」


――シュウウウウウウン……

――現実――

るう子・晶「!?」ハッ


「ちょっとー!」


作業員「お嬢ちゃんたち! 立入禁止って書いてあったでしょ! さっさと降りた降りた」

るう子「あ、すみませーん!」

晶「チッ……」


晶「あーあ。まーた途中で邪魔が入ったかぁ……残念♪」

るう子「あの、晶さん…」

晶「イオナ……超哀れじゃなーい!?」

晶「わざわざルリグになったのに、こんなヘタレのセレクターに仕えることになるなんて?」

イオナ(人のるう子に失礼ね)

晶「一度の戦いじゃ済まされないよぉ? 何度でも何度でも、どこまでも堕としてあげるから……」

晶「てめーら二人ともよォ……!」

晶「フンッ…」クル

ミルルン「バイバイルーンwwwwwwwwwwwwwwwwww」


イオナ「るう子」

るう子「本気……出してないわけじゃないっ!」

イオナ「!」

るう子「でも……」

るう子「……でも、楽しくないんだもん!」

るう子「友達と……タマと一緒じゃないから楽しくないんだもんっ!」


イオナ「……」

イオナ「……ともだち」ポツリ


――るう子 自室――

ばあちゃん「るうちゃーん、ご飯できたわよー。降りてらっしゃい」

るう子「うん、すぐ行くよばあちゃん」スッ

ペタン

イオナ「……」(机の上)

ガチャ

パタン

イオナ(るうは行ってしまった……)


イオナ(…さっきのるう子の言葉……)


イオナ(……友達)

イオナ(……)

イオナ(分からない……。友達と一緒じゃないからバトルが楽しくないだなんて……)

イオナ(バトルそのものを楽しんでいるわけじゃないっていうの?)

イオナ(そんなのおかしい)

イオナ(るうは私と同じ。バトルの中でしか生を感じられない)

イオナ(だからこそ私はるう子の元に行きたいと願った)

イオナ(何度も何度も、ルリグとしてセレクターとして戦い続けた私が、やっと辿り着いた場所)

イオナ(ここでなら退屈しない。退屈させない)

イオナ(バトルを純粋に楽しむのが本来のるう子の姿……。)

イオナ(どうにかしないと)

この辺りから病んでルート入ります
終わったらほのぼのルートに移る予定でいます

まただいぶ時間を空けてしまってすみません
どうにもまとまった時間が取りづらくって……
どうせまたとんでもなく遅い執筆ペースになると思うので先に謝ります
とはいえ後はそこまで長くなりませんが


……ガチャ


るう子「……」

イオナ「あら、夕飯は終わり?」

るう子「……」ムスッ

イオナ「随分とご機嫌ね」

るう子「……」

イオナ「……ねえ、どうしてあんな嘘を吐いたの?」

るう子「……。嘘……?」


イオナ「言ったじゃない? 『タマと一緒じゃないから楽しくない』って」

るう子「嘘じゃないよ……!」

イオナ「いいえ嘘よ。そんなの建前。もっともらしい言い訳にタマを利用してるだけ」

るう子「違う…! 私はただ……」

イオナ「るうはバトルが嫌いなの?」

るう子「嫌いでは、ないけど……。でも」

イオナ「好きだと言ったら一衣やユヅキにうるさく言われそうだから?」

るう子「そ、そんなんじゃ」

イオナ「本当に?」

イオナ「あの二人にあれこれ言われなかったら、もっと気楽にバトルできるんじゃないの?」


るう子「一衣もユヅキも、るうのこと心配して言ってくれてるんだよ!」

イオナ「ええ、そうよ。あの二人はちゃんと“知ってる”から心配してる」


イオナ「あなたが『バトルがしたくて堪らない』ってことを」

るう子「そんなっ……違うよ! 大体なんでイオナさんにそんなことが分かるの!」

イオナ「なんでって、簡単なことよ。実際に見たもの」

イオナ「憶えてる? 撮影所で初めてあなたとバトルしたときのこと」

るう子「あの時のこと……?」

イオナ「最高だったでしょ? 気持ち良かったでしょ? あんなに楽しそうにセレクターバトルする人、初めて見た」

るう子(……)

イオナ「あなたとバトルした人なら誰でも気付くんじゃない? あなたが心底セレクターバトルを楽しんでるって」


  晶『嘘こくんじゃねーよ!! 私をけちょんけちょんにするのを、てめー楽しんでたんじゃねーのかよ!!』


るう子(……!)


るう子「る、るうは……。違うから!」

るう子「タマと一緒だったから! タマと一緒にいるのが楽しかったの!」

イオナ「タマと一緒じゃない今でも、一衣とユヅキがあなたがバトルしないか心配してるのはなぜ?」

るう子「え……」

イオナ「少なくともあの二人は、タマが居なくてもるうはバトルをしたがってると思ってる」

イオナ「そこにちゃんと気がついてる点では評価してやってもいいわね、あの二人。バトルから遠ざけようとしてるのはともかく……」


るう子「……勝手なこと言わないで」

るう子「バトルがしたくて堪らないのは、るうじゃなくてイオナさんだよ。イオナさんだけ」

イオナ「あらそう。だったら私を持ち歩かなければいいのに」

るう子「それはタマを見つける手掛かりになると思って……!」


イオナ「進展はあった? 結局、晶と一度バトルしただけじゃない。でも良かったね。あの子また挑んでくれそうだから」

るう子「もとはと言えばイオナさんがタマを追い出したせいでしょ!!」イラッ


バシンッ!!


イオナ「きゃっ!」ビクッ

イオナ「いきなり叩くなんて驚くじゃない……」

るう子(あっ……)


るう子「と、とにかくイオナさんが悪いんだから、もう黙っててよ!」

イオナ「……」

るう子「……るうはもう寝るから、今日はそこで大人しくしててね」

イオナ「……」


るう子(……)モヤモヤ

イオナ「……お風呂入った?」

るう子「…今から入る!」スクッ


ガチャ、

バタンッ!


イオナ(……)ポツン


――お風呂――


るう子「はぁ……」

るう子(今日のイオナさん、すごく嫌だな……)

るう子(るうはイオナさんとも仲良くできたらいいなって、最近思い始めたのに)

るう子(イオナさんは、るうのことをバトルに必要なセレクターとしてしか見てないの……?)


チャポン……


るう子「はぁ……」

るう子(とにかく、明日またちゃんと話そう)

るう子(そしたらきっとイオナさんも分かってくれるはず)


るう子(……)

るう子(そもそも、全部イオナさんが原因なのに、どうしてるうがこんなに気にしなくちゃいけないんだろう……)ムスッ


るう子(そういえば……、さっき勢いでイオナさんのカード叩いちゃったけど)

るう子(イオナさん、あんな驚いた顔するんだ)


チャプン……


るう子「……」


――翌朝――

るう子「……」

イオナ「……」

るう子(どうやって話を切り出そう……)

るう子(まず、えっと……タマを探すのを手伝ってくれるように……)

るう子(それから……)

イオナ「昨日は余計なことを言い過ぎたわ。ごめんなさい」


るう子「……えっ!?」

るう子「あっ、そんな! いいよイオナさん。るうはもう、気にしてないから」


るう子「私こそ、昨日は怒ってごめんね。色々言い過ぎちゃったし……」

るう子「本当はイオナさんと仲良くできたらなって思ったんだけどね……」

イオナ「それは嬉しいわ」


るう子(よかったあ……)ホッ

るう子「それじゃイオナさん、タマを探すのを……」


イオナ「本当に昨日は余計なことばかり言ってしまったわ」ボソッ


るう子「ん?」

イオナ「言葉なんて必要なかったはずなのに……」

イオナ「バトルさえあればいいの」

るう子「イオナ、さん……?」

イオナ「るう、早く私と一緒にセレクターバトルをしましょう」

イオナ「それだけで昨日の問答がどれほど無駄な時間だったか分かるわ」

イオナ「ねえるう、バトルを素直に楽しめないのは、タマへの引け目でしょう?」

るう子「なに言って……」

イオナ「いいわ、るう子。あなたの望む通り、これからは二人で仲良くタマを探しましょう」

イオナ「そのためにセレクターバトルをたくさんすればいいのよ」


イオナ「タマのためにバトルをするという名分があれば、きっとあなたは本来の在り方を取り戻せるはず」

るう子「……やめてよ」

イオナ「バトルの中でしか生きていると実感できない、生粋のセレクターとしての」

るう子「……」

イオナ「だから、さあ、早くバトルをすればいいの」

イオナ「ちょうど今日は日曜日。街へ対戦相手を探しに行きましょう」


るう子「……」


るう子「ふうん……」

るう子「言いたいことはそれだけ?」

イオナ「ええ……そうよ」

イオナ(いつもと雰囲気が……?)


るう子「るうはね。イオナさんと仲良くしたいって思ってたんだ…」

るう子「タマを探す手掛かりとか、抜きにしてね」

イオナ「……」

るう子「ホントだよ?」



るう子「……でもイオナさんは、そればっかりだね」

るう子「本当に自分のことしか考えてないんだ」

イオナ「あなたのことも考えて……言ってるのよ」

るう子「……」


るう子「はあ……」

るう子「……イオナさんは、悪い子だね」

イオナ「……」チラ


イオナ「……よく言われるわ」


るう子「ねえ、イオナさん」

るう子「一衣も晶さんもさ、一度は失ったけどまたルリグを手にしてセレクターに戻ったよね」

イオナ「急に何の話…?」

るう子「確認したいだけだよ」

イオナ「……? 何を?」キョトン

るう子「セレクターの素質がある少女なら――」


スッ


るう子「一度ルリグを失っても、また復帰できるってことをね」


ガシッ!

イオナ「!? ちょ、ちょっと…いきなり掴んで、どこへ持っていくの?」

るう子「……」スタスタ

イオナ「出かけるなら着替えないと、寒いわよ…?」


るう子「悪い子には……、お仕置きしなきゃいけないよね」スタスタ

イオナ(……!?)


――キッチン――

るう子「るうも心が痛むんだ…」

イオナ「ね、ねえ……るう子、怒らせたなら私――」

るう子「こんなお別れはすごく悲しいよね」


クイッ……

カチッ!


るう子「でも、タマとお別れした時はもっと悲しかったんだよ?」


ガスコンロ「ボッ!」


イオナ「――!!」

るう子「分かってよね、イオナさん」

更新遅れすぎてホントすみません……
言い訳もあれですが、本編見ながらちょくちょくたらたら書き変えてたらまるで進まなかっただけです…(ハップーエンドで良かった…)
一週間以内にこちらも〆たいところです


ジリジリ……

イオナ(死ぬことはない、白窓の部屋に戻るだけ……! でも…!)

イオナ(ここで終わってしまうの…!?)

イオナ(やっとるうと一緒になれたのに!?)

イオナ「る、るう子! 私を失ったらどうやってタマを探すの!?」

るう子「また別のルリグと一緒に探すよ」

イオナ「でも…!」

るう子「イオナさんがタマについて特別に何か知ってるなら、今教えてよ」

イオナ「お、教えるわ…! タマはきっと……繭のところに居るはず。他に考えられない…!」


イオナ「だから、ねえ、火を消して、るう……」

るう子「そっか。それでどうしたらタマに会える?」


ジリジリ……

イオナ「!? 火が近いわよ!」

るう子「教えてよ」

イオナ「え、えっとそれは……」

イオナ(そんなの、るうがルリグになるとか…)

イオナ(いや、でも、すでにタマがカードになってたら意味が無いし……現実で探すならしらみつぶしに当たるしか……!?)

イオナ「ルリグになれば白窓の部屋に行けるでしょう……! 今はそのくらいしか…」


ジリジリ……


るう子「他には…?」

イオナ「他に!?」

イオナ「え、えっと…タマがもう別のセレクターのもとに居るのを期待して、そのセレクターを探せばいいのよ……!」アセアセ…


るう子「……」

ピタッ

イオナ(火に近づけるのをやめてくれた……)ホッ


るう子「そっか、よかった…」

イオナ(こっちもよかった……)

るう子「どちらにせよ、あなたじゃなくて他のルリグとでもできることだね」スッ


イオナ「――!!」

イオナ「い、嫌! るう子お願い!! 私が悪かったから!! 謝るから!!」

るう子「そうだね。イオナさんが悪いんだから、こんなことしてるんだよ?」

るう子「……さよなら」

イオナ「……!!」


ばあちゃん「あら、るうちゃん。どうしたの?」

イオナ「!!」

るう子「あ、おばあちゃん」

ばあちゃん「お湯でも沸かすの?」

るう子「うん、紅茶飲もうかと思って……。ティーバッグどこにあったっけ?」

ばあちゃん「それならそこの戸棚に……。それよりるうちゃん、やかん置いてから火つけなきゃ危ないよ?」

るう子「あ! そうだった! ごめん、おばあちゃん。あはは…」カチッ

イオナ(……助かった……?)

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