ほむら「ご、ゴッドイーター?」 (106)

 これはゴッドイーターと魔法少女まどか☆マギカのクロスオーバーものの二次創作です。
ですが、キュウべぇは冒頭のいくつか以外はほとんど出てこない(はず)です。
ゴッドイーターとしてのまどかたちを描いていくので、よろしくお願いします。
以下の成分が含まれます。
1、二次創作
1、更新速度不一定
1、キャラ崩壊
1、原作との不一致
1、そのほかいろいろとひどいもの
これでもいいという心の広い方がいらしてくだされば、御笑読ください。
楽しんでくれれば幸いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413700451

まどか「私の願いは……、ほむらちゃんにもう一度……、戦う力を……!」

ほむら『まどか、やめて……! 契約しないで! まどかぁぁぁ!!!』

ほむら「また、救えなかった……」

グレートヒェン:ゴゴゴ

キュウべぇ「これで僕たちのノルマは達成できた。後は、君たちの問題だ」

ほむら:くるっ、テクテクテク...

キュウべぇ「? 戦わないのかい?」

ほむら「私の戦場はここじゃない……、……?」がちゃがちゃ

キュウべぇ「どうしたんだい?」

ほむら「あれ? 動かない……! この……!! えいっ!」ガジャン!!!バキィッ!

ほむら「え…………?」

  シュン

???「螺旋の樹ができてはや6ヶ月がたとうとしていた。あの樹の中で、ジュリウスが戦ってくれている。
  私達もまた、戦うだけ。ジュリウスに恥じないように。これは私達がいつもどおりに任務に赴いている間に
  突然始まった物語」

???「ねぇ! いくよ~!」

???「いきますわよ、隊長」

???「いこうぜ、隊長」

???

 ん、やっと魔法が使えたみたいね。あれ? 雨でも降っているのかしら?それにしては
やけに静かだけど

???「……! h……ちゃ……!」

ほむら『声……?』

???「ほむらちゃん……! ほむらちゃぁん! ぅっぐ……、ぇっぐ……!」

???「まどか! 早く逃げないと!」

まどか「さやかちゃん! ほむらちゃんを置いてなんていけないよ!」

さやか「それはあたしだって一緒だよ! でも、ここであたしやあんたまでアラガミにやられたら、そうするのさ!
    そうなったら、何のためにほむらは……!」

まどか「でも、でもぉ……!」

ほむら『まどか? 私を呼んでいるの? なんで、私を? それになんで、泣いているの?』

アラガミ「がぁぁぁ!」

ほむら『!? この声、なに!? 今まで、聞いたことないわよ!? もしかして、敵!?』

アラガミ「がぁぁぁ!!」

――アラガミが、まどかたちに向かって飛び掛った!

まどか「きゃぁぁぁ!!」

さやか「ッ!」

ほむら『何しているのよ私! 動きなさいよ! まどかが危ないのよ! 動け! 動いてよぉぉぉ!』
   
バンッ! バンッ! バンッ!

アラガミ「がぎゃぁぁぁ!!」

???「まどかちゃん!? さやかちゃんも! 二人とも、大丈夫ですか!?」

まどか「アリサさん!」

さやか「た、助かった……」

アリサ「二人とも、怪我はないですか!?」

まどか「私たちは大丈夫です! でも、ほむらちゃんが!」

アリサ「! 頭から血が!」

さやか「あたしとまどかを、アラガミからかばって……!」

???「アリサ~! 大丈夫~!?」

アリサ「コウタ! ちょうどよかった! 負傷者が出たわ、今すぐ支部に連絡を!」

コウタ「わかった!」

まどか「ほむらちゃん、助かるよね……!」

コウタ「大丈夫! 俺たちが何とかするから!」

さやか「ほむら……」

ほむら「……」

   『え、どゆこと? え、アリサ? コウタ? 今までの時間軸にそんな人なんていなかったわよ!!
    一体どういうことなの……』トクン、トクン

   『!』

アリサ「さて、」クル

アラガミ「ぐるる……!」

アリサ「女の子を無理やり襲うなんて、ドン引きです。なので」

   「ここで倒されなさい!」

    アリサの剣撃が、紫の物理的閃光となってアラガミに襲い掛かる!
    ――ソニック・キャリバー!――

まどか「すごい……」

さやか「あれが、ブラッドアーツ……!」

アラガミ「ガギャァァァァ!!!」討伐完了!

アリサ「討伐完了です。さ、早く!」

――ほむら達はコウタが呼んだ対アラガミ仕様の救命装甲車に乗せられ、支部に運ばれた

病室

ほむら『ぅん……、体が少し軽くなった感じがする』

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「まどか、少し休んだほうがいいんじゃないの? もう2日も寝てないよ?」

まどか「……、そういうさやかちゃんだって」

さやか「あ、あはは……」

まどか「……」

さやか「……」

ほむら「ん……」

まどか「ほむらちゃん!」

さやか「ほむら!」

ほむら「ここは……。!?」

まどか「ほむらちゃぁん!!」ダキッ!

さやか「ほむらぁぁ!!」ダキッ!

ほむら「にゃ! まどか!? さやか!?」

まどか「ほむらじゃぁぁん!! よがっだよぉぉぉ!!」

さやか「ほむらぁぁ!! 心配させるんじゃないわよぉぉ!!」

ほむら「……ごめんなさい」

???「お目覚めみたいね」

まどか「アリサ、さん」目ゴシゴシ

ほむら「えっと……、あなた、誰?」

さやか「えッ!? ゴッドイーターのアリサさんじゃない! 
    それに何度か、きてくれたことだって、助けてくれたことだって!」

まどか「まさか……、ほむらちゃん、記憶が……!」

ほむら「……」

まどか「うそ……、うそだよね……」

さやか「ほむら……、ごめんね。あたし達のせいで……!」

まどか「ほむらちゃん……!」

ほむら「泣かないで、さやか、まどか。たとえ記憶が無くなっていたとしても、これだけは覚えてるわ」

まどか「え?」

ほむら「あなた達が、まどかとさやかが私の、一番の友達だって言うことは。これだけは、
    記憶が無くなったとしても、私の心が、魂が覚えてる」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「ほむら……」

アリサ「あら、妬いちゃうわね。まったく、あの人もこれくらいの器なら……」

   「自己紹介が遅れたわね。二人は覚えているけど、わたしはアリサ・イリーニチナ・アミエーラ。
    フェンリル極東支部の前第一部隊員で、フェンリル極東支部の独立支援部隊クレイドルの現隊員。
    改めてよろしくね、ほむらちゃん」

ほむら「暁美ほむら、です。よろしくお願いします」チラ
   『ソウルジェムがない!? 指輪がないなんて。それに、心臓の鼓動が……』トクン、トクン
   『人間に……、戻ったの……? それじゃ……、魔法はもう……』
   『でも、約束は守る。たとえ、普通の人間に戻ったとしても!』

廊下

コウタ「お~い、アリサ。例の子はおきた?」

アリサ「コウタ、ここは病室前ですよ?」

コウタ「おっと、ごめんごめん。お、目が覚めたみたいだね」

アリサ「でも、記憶をなくしちゃったみたいで」

コウタ「え、それって一大事じゃん!」

アリサ「普通ならね。でも、あの子はいってたわ。たとえ記憶をなくしてでも、私の心と魂が
    それを覚えてるって」

コウタ「うわ~お。すごいなそのこ」

???「お前ら、そこでなにやってんだ」

コウタ「ソーマじゃん! レトロオラクル細胞の研究は進んでいるのか?」

ソーマ「さっぱりだ。純血であるぶん、加工が難しい。キュウビの装備とかを作る際には、
    他のアラガミのオラクル細胞を微量含ませて作る。そうすることで、加工しやすくすることができる。
    でもその分、本来の力を発揮させることができなくなる。
    けれど、レトロオラクル細胞を加工する場合はそうはいかない。純血のままで加工しなくちゃならないからな」

アリサ「難しいんですね」

ソーマ「あぁ、榊博士とも協力してやっているんだが、どうもな……」

コウタ「まぁまぁ、肩の力を抜いて。力んでたんじゃ、うまくいかないって」

ソーマ「そうだな」
   「そうだ、あと、ゴッドイーター候補が3人見つかったそうだ」

アリサ「そうなんですか。で、誰なんですか?」

ソーマ「お前の知っているやつだ。ちょうどその病室にいる」

アリサ「それって、まさか!」

ソーマ「そうだ。暁美ほむら、鹿目まどか、美樹さやかの3人だ」


まどか「でもよかった。私達のことを覚えてて」

ほむら「え、えぇ……」
   『でも、なんで私のことを知っているのかしら』
   「えっと、ひとつ確認させてほしいのだけれど……」

さやか「ん? どうしたのさ、急に」
   
まどか「何でも聞いて、ほむらちゃん」

ほむら「なんで私の名前を?」

さやか「! なんでって……!」

まどか「さやかちゃん! ほむらちゃん、わたしとさやかちゃん、ほむらちゃんは昔からの
    幼馴染だよ。ずっと一緒に遊んだりしてたの」

ほむら「そう、ありがとう。少し記憶が混乱してて、整理したくて」

さやか「そうだったのかぁ。どなちゃってごめんね」

ほむら「いいわよ」
   『それにしても、少しさやかがしおらしくなった感じがするわね。それにしても、私と
    まどか、それにさやかが幼馴染だなんて。すこし、いいかも』

さやか「ほむら?」

ほむら「なんでもないわ。で、二つ目の質問。ここは?」

まどか「ここは極東支部付近にある、サテライト拠点って言うところのひとつ。エリア『見滝原』」

ほむら「サテライト拠点?」

まどか「本当は外部居住区に入る予定だったけど、入れなかった人たちが身を寄せ合っている場、っていえば
    いいかな? アリサさんをはじめとしたクレイドルの人たちのおかげで環境が改善されてきてるの」

ほむら「まえに私達を襲ってきたのは?」

まどか「アラガミ。人類の明確な敵。そして、アラガミを狩るのが、アリサさんたちゴッドイーター」

ほむら「ゴッド、イーター……」

ほむら「ご、ゴッドイーター?」

まどか「わたしも、あまり詳しく知らないんだけどね」

ほむら「そ、そうなの」

さやか「そういえば、まどかのところにも届いたんだよね。適正試験のお知らせ」

まどか「うん、ほむらちゃんのところには?」

ほむら「わたしは……」きょろきょろ

――ベッドの机の上にあるのを見つけた。

ほむら「届いてるわね」

まどか「アラガミと戦うのかぁ……。なんだか、怖くなってきちゃった」

さやか「大丈夫だって! いざって時は、あたしがまどかを守るからさ!」

まどか「さやかちゃん……」

ほむら「そういえばこの試験に拒否権は」

アリサ「ないわよ」

まどか「アリサさん!」

アリサ「適正試験に拒否権はないわ」

まどか「そうなんですか……」

アリサ「でも大丈夫よ。適合率は、選ばれればほぼ10割なんだから」

さやか「そ、そうなんですか……」

ほむら「大丈夫、私がいるから」

さやか「いや、そういう問題じゃないと思うけど」

まどか「ほむらちゃん、なんか、かっこよくなった気がする。こう、もえあがれぇ!って感じ」

さやか「頭うったのが原因?」

ほむら「失礼ね! ちゃんとしているわよ!」

アリサ「この様子なら、大丈夫そうね。当日は私も立ち会うから、がんばってね。試験は明日の正午だから」

さやか「はい!」

まどか「おねがいします!」

ほむら「よろしくお願いします」

アリサ『本当に、がんばってね……』

書き溜め書くのと同時並行で書いていくので、今のところはここまでです。
このやり方で書いていくので、更新は不一定です。

がんばります! アドバイス、ありがとうございます!

とりあえず、書き溜めがいいところで切れたのであげます。また書き溜めて、いい具合まで
たまったら投下します。

――翌日――
フェンリル極東支部のロビー

 まどかたちは緊張した趣で、極東支部に足を踏み入れた。今はロビーでアリサを待っていた。
極東支部のロビーで待ち合わせるというふうに決めたためだ。

まどか「な、なんか……緊張してきた」ドクン、ドクン

さやか「そ、そうだね……」ドクン、ドクン

ほむら「え、えぇ……」ドクン、ドクン

アリサ「こんにちわ、まどかちゃん、ほむらちゃん、さやかちゃん」

まどか「お、おはようございます!」

さやか「お、おひがらもよよよく!」

ほむら「え、あ……」

アリサ「まずは肩の力を抜きなさい。そうしたほうが成功率が上がるからね」
   「それと、もう二人新人さんが入るわ」

???「ここがフェンリル極東支部……」

???「マミ~、腹減ったぁ……」

マミ「佐倉さん、行儀よくしなさい!」

佐倉「へいへ~い」

まどか「マミさん! それに杏子ちゃんも!」

杏子「お、まどかたちじゃんか!」

マミ「あら、あなた達も?」

アリサ「知り合い?」

さやか「えぇ、近所に住んでいて、それで」

ほむら「あなた達までいるなんて、現実は小説よりも奇なりとはよくいうものね」

>17不快な思いをさせてすみません。どう書けばいいのかわからなくて。
とりあえず、いつもの様式に近い感じで書きました。

杏子「そういえば、ほむら。記憶がどうとかで混乱してるって聞いたぞ。大丈夫か?」

ほむら「えぇ、大丈夫よ。あなたは佐倉 杏子。がさつで口が悪いけど、そのおくには
    聖女のような優しさを秘めている聖職者の娘。って位には覚えているわ」

杏子「がさっつって、おい」

ほむら「冗談よ」

マミ「どうやら、問題はないようね。一応、」

ほむら「覚えているわよ、巴マミ」

アリサ「自己紹介は必要なさそうね。それじゃ試験についての説明を行うわ。」

まどかs「お、お願いします!」

アリサ「試験内容はいたって簡単なもので、あなた達のために調整された対アガガミ用兵装・神機と、
    神機を扱うための腕輪をはめるだけです」

まどかs(ほむ除く)「っ」ほっとした顔

ほむら『まどかやさやかたちの顔色に少し安堵の色が垣間見えた。複雑な試験じゃなかったことに対しての
    ものでしょうね。正直、私も助かったわ』

杏子「少し質問。もしうまくいかなかったら?」

アリサ「適合することができずに死んでしまうか、神機に埋め込まれているオラクル細胞に食われて
    アラガミ化します」

まどかs「!」

ほむら『一気に恐怖の色が……』

アリサ「……」

まどか「……、成功率は?」

アリサ「9割越ですが、1割ほど失敗のリスクがあります」

さやか「怖い……」ガクガク...

ほむら「アリサさん、とっとと試験を始めましょ」

まどかs「!?」

杏子「ほむら、お前正気か!?」

マミ「失敗したら死んでしまうのよ!?」

ほむら「それならなおのこと、早く終わらせましょ。さっきアリサさんも言ってたじゃない。
    肩の力を抜いてリラックスすれば、成功率は上がるって。それに、怖いことは早く終わらせるに
    限るわ」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「……、やっぱりほむらには適わないや。昔っからそう。ここぞって時に、
    いつもあたし達を支えてくれてたっけ」

ほむら「そうね」
   『私も、あなた達に支えられたわ。いまさらこう思うのはどうかと思うけど』

アリサ「……、ほむらちゃんの言う通りね。では、試験会場に行くわよ」

 アリサさんの後ろをついていくと、6つの部屋があった。それぞれの部屋の前に適正試験会場と書かれた紙と、
適正候補者であるまどかたちの名前が記名されていた。

アリサ「それじゃ、それぞれ部屋に分かれて」

ほむら「ねぇ、みんな」

まどか「な、何? ほむらちゃん」

さやか「な、何だよ、ほむら」

杏子「そうだぜ、ほむら」

マミ「暁美さん、一体何を言おうって言うの? この状況で」

ほむら「がんばろう、一緒に」

アリサ「それでは、入室してください」

 声に従うままドアを開けて入室すると、目の前にベッドと、盾と銃と剣をひとつにしたような
武器が安置されている。

アナウンス1『候補者はベッドに横になってください』

ほむら「よっと……」

上りづらいッたらありゃしないわね。寝心地もいいとはいえないし。

アナウンス2『それじゃ、これから神機の適正試験を始めるわけだけど、最初に言っておくことがある』

アナウンスの声が変わった。なんか、若い感じがするけれど

アナウンス2『聞いたところじゃ、君達はいわゆる幼馴染だそうじゃないか。だから、試験中は
       お互いを思いあうといい。人の感情というのは、時として、思いがけない力を発揮する。
       そしてその力は、どんな困難や苦しみにも立ち向かえる力をくれる。お互いを思いあうことで、
       この力が生まれるだろう。そうすれば、またみんなに再び会うことができる。』

アナウンス2『僕のいいたいことはそれだけだ。それじゃ、腕輪に腕を横たわらせて、神機を握って。
       試験、開始!』

 アナウンスとともに、適正試験が始まった。ドリルのようなものが天井から勢い良く落ちてきて、
そして――

ほむら「あぐぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!!!!! あぐぅ、ぅ……がぁああああ!!!」

 常識を大きく外れた激痛が体中を駆け巡る。さらに右手からやってきた大きな違和感が、体中を覆っていくような
錯覚に襲われた。何か違うものに変わっていくみたいな、そんな感覚に。痛い。痛い、痛い。泣きたい、逃げたい。
そんな感情が、私の心を覆いかける。
でも、私は逃げない! 

ほむら『まどかだってきっと同じ思いをしている中で戦っている! なのに、私が逃げてどうするの!』

                         

まどか「きゃぁぁぁ嗚呼ああああ!!! くぅ、ぅ、ん! っはぁあ! あ、あ、あ!あぁぁあ嗚呼ああ!!!」

 痛い、つらい。もういやだ、逃げたい! そんな思いが私の心を埋め尽くそうとしている。
怖い、死にたくない、助けて! 恐怖が心を蝕んでいく。それでも、私は折れないでいられる。
ほむらちゃんが言ってくれた。一緒にがんばろうって!

まどか『ほむらちゃんだって怖かったはずなのに、私を励ましてくれた! だからあたしだって、こんな苦痛に
    負けらない!』

                         

さやか「ああああああああ!!!くはっ、っつぁああ!! ああああああああああああああ!!!!!!」

 何かが体の中に流れてくる。体が何か別のものになっていくような感覚がする。怖い怖い怖い!
いやだ、死にたくない! まどか、ほむら! 杏子! マミさん!

ほむら『がんばろう、一緒に』

そうだ、病弱なほむらだって今あたしが感じていることと一緒のことを感じて、それと戦っているんだ。
まどかだってそうだ! 怖がりで泣き虫なまどかも、今この瞬間も耐えているんだ!
なのに、あたしがここで折れたら、二人に顔を合わせられない!

                          
杏子「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!! ッくぅぅうう嗚呼ああああ!!! あああああっく……! ぅ……ぅあああ!!」

 全身を嫌悪感が包んでいくのを肌で感じる。親父もお袋も、こんな感じだったんだろうな。でも、
それを乗り越えてアラガミと戦い続けながら、あたしを産んでくれた。だからまどかやさやか、ほむらにマミさん、そして
モモに出会うことができた。ここがあたしの居場所で、守りたい場所。それを守るためならどんな苦痛だって乗り越えてみせる!
みんなと一緒にいるために、たった一人の家族のために!


マミ「うぐぅああああああああああ!!!! っはぁ! っつぁ、うぐぅぅぅ……! っくぅぅ……ぅ……!!

 パパもママも、アラガミと戦って死んだ。アラガミをじかに見たときの戦慄も覚えてる。その戦慄が、
体中を駆け巡る。背筋が凍り、体がまったく別の何かに浸食されるような嫌悪感と苦痛、それに伴う死への恐怖。
それらが心身を蝕んでいく。それが自分でもわかる。でも、恐怖や苦痛だけが、自分を包んでいるわけでは
ない。パパとママが、鹿目さんたちがくれたぬくもりも自分を包んでくれている。そしてそのぬくもりが
自分のとびそうになる意識をつなぎとめてくれる! 年長さんとして、示しをつけないとね!

ほむら『がうぅぁぁぁああああ!!!!』

まどか『うぅぅ……、うぅぅああああああ!!!』

さやか『ぐぅぅうぅうううううう!!!』

杏子『あ、あがぁぁぁああああ!!!』

マミ『くっはぁ、くぅぅぅぅぅぅ!!!!』

アリサ「みんな、がんばって……!」

 まどかたちが適正試験に望んでいる中、アリサは部屋を一望して見下ろすことができる一室にいた。
そこで極東支部の支部長代理である榊博士と、神機の整備班担当であるリッカが、机の上にあるモニターを
注視していた。

リッカ「榊博士、神機の適合率が……! 信じられない値に!」

榊「そうだね、最低適合率が85%以上だなんてね。しかも100%が三人も」

トントン、ガチャ。バタン

ソーマ「遅れてすまない。適合試験はどうだ」

榊「順調だよ。しかし、さすがはゴッドイーターチルドレン、といったところかな」

 ゴッドイーターチルドレン(以下GEチルドレン)とは、ゴッドイーターを親にもつ、生まれながらにして
オラクル細胞を持つ子供の事を指す。

リッカ「しかも、彼女達全員がGEチルドレンなんてね。びっくりだよ」

 彼らが見守る中、まどかたちは地面を転げまわっていた。その顔は苦悶の極みに達した表情をしていた。
そしてしばらくした後――

榊「全員無事のようだね。おめでとう、これで適合試験は終了だ。これで君達は、

     「荒ぶる神を狩るもの、ゴッドイーターだ」

とりあえず、今回はここで終わりです。ありがとうございました。

しばらくした後―――

 適正試験を無事乗り越えた私たちは、簡単な身体チェックを受けた後、それぞれに割り振られた個室に別れて
休むことにした。それにしても、今までの私の家の中よりも豪華なきがする……。
私の部屋はいつも、畳が何畳があってのちゃぶ台ひとつだったから(コミック版相当)、そう感じているだけなのだろうけど。

ほむら『……、とりあえず先延ばしにしていたことをしましょう。まずここまですごしてきて、
    インキュベーターの姿を見かけていない。それにソウルジェムが消えたことも、人間に戻れた
    とはいえやっぱり気がかり。どうにかしなければ』
   「それ以上に、わたしの手に負えるのかしら」

トントン、ほむらちゃん、はいっていい?

ほむら『この声は、まどか? 何の用かしら』
   「いいわよ」

まどか「おじゃましまぁす」

ほむら「どうしたの、まどか?」

まどか「ちょっとほむらちゃんが心配になっちゃって……、きちゃった」

ほむら「大丈夫よ。ゆっくり思い出していくつもりだから」
   『それ以上にここでの思い出が……』

まどか「そうなんだ。そうだよね……」

ほむら「まどか……」

……、ものすごく、心苦しいわ……。

まどか「あ、そういえば、ほむらちゃんは武器って何にしたの?」

ほむら「武器?」

今日はひとつ

必要になったらつけます。
あと気になっていたんですが、酉ってなんですか?
ageやsage、sagaはわかるので、なんだろうなと思いまして

ありがとうございます!

 私は今、まどかに連れられてターミナルを閲覧している。

まどか「まず、近接武器は5つあって……」

 まどかの息遣いがはっきりとわかる。まどかのにおいが鼻をくすぐる。
あれ? まどかってこんなに魅力的だったかしら? なんていうか、私の中では頼もしさの象徴なの
だけれど……。だめだめ! 友達によこしまな感情を抱いちゃ! 相手は鹿目さんなのよ!?
意識しだしたら、心臓が! 人間に戻っちゃったみたいだし、ここでの私も病弱設定のようだし!
大丈夫なのかしら、私!! はぁ………………。
…………、何度も顔を振っては、まどか相手にあんなことやこんなことを想像してしまう私がいる。
はぁ、なんでなのかしら……。

まどか「最後に……」

ほむら「はぁ……」

まどか「どうしたの? ほむらちゃん」

ほむら「いえ、なんでもないわ……」

まどか「そう? 気分が悪くなったらいってね?」

ほむら「えぇ、そうするわね」

まどか「それにしても、とても不思議な気分。あのほむらちゃんに、お世話するようなことがあるだなんて」

ほむら「わたしだって万能ではないわ。できないことだらけよ」

まどか「ほむらちゃん……。そんなこと、ないと思うけどなぁ」

ほむら「今の私になれたのは、あなたが勇気をくれたから。前の私は、泣き虫の意気地なしだったから」

まどか「えへへ、そういってくれると……、なんか照れちゃう」

かわいいなぁ、鹿目さん。

ほむら「はぁ……」

コンコン、入っていいかしら?

まどか「あ、マミさんだ」

ほむら「えぇ、どうぞ」

マミ「おじゃまするわ」

まどか「何か用ですか?」

マミ「えぇ、至急ロビーに集まってってアリサさんが言っていたわ」

まどか「アリサさんが?」

マミ「えぇ、だからすぐ用意してロビーに」

ほむら「わかりました」

まどか「わかりました。すぐに部屋に戻って準備しなくちゃ!」

ほむら「……」

 まどかとマミが私の部屋を確認した後、一応自室ターミナルで検索を掛けてみた。「インキュベーター」
「キュウべぇ」「魔法少女」のキーワードで。単発も、複合してのも。でも、

―――「魔法少女」に関する一切の情報は報告されていません―――

―――「キュウべぇ」に関する一切の情報は報告されていません―――

―――「インキュベーター」に関する一切の情報は報告されていません―――

―――「インキュベーター」「キュウべぇ」に関する一切の情報は報告されていません―――

―――「キュウべぇ」「魔法少女」に関する一切の情報は報告されていません―――

―――「魔法少女」「インキュベーター」に関する一切の情報は報告されていません―――

―――「魔法少女」「インキュベーター」「キュウべぇ」に関する一切の情報は報告されていません―――

一切の的中がなかった。

ほむら「……、やっぱりいないのね、魔法少女。それに、インキュベーター」

 念のためにターミナルで検索を掛けてみたけれど、一切の情報がなかった。
安堵でいっぱいだった。少なくとも人間でないものに、魔女になって暴れまわるなんてことには、
ならなくてすみそうだから。なにより、みんなにそんなことをさせたくない。

ほむら「……、いまさら、おこがましいかも知れないけれど」

ロビー

マミ「みんなを連れてきたわ」

まどか「はぁはぁ、お待たせみんな!」

ほむら「遅れてごめんなさい」

 その後まどか、マミと合流し、ロビーへ向かった。走ったからすごく疲れたわ。

さやか「おそいぞ、二人とも!」

杏子「なにちんたらやってるんだ? おいてくぞ?」

アリサ「これでみんな集合完了ね」

さやか「ところで、みんなで集まって一体何をするんですか?」

アリサ「そうね、本題に入る前にまずは、適正試験の突破おめでとう。これからもよろしくね、みんな」

みんな「い、いえ! こちらこそ!」

アリサ「いいわよ。それじゃ本題に入るけど、適正試験の突破によってあなたたちははれてゴッドイーターに
    なったわ。でも、いきなり実戦にでるのは非常に危険。みんなもまだ、神機についてのことや
    扱いについて何も知らなさ過ぎるしね。なので、」

ほむら「なので?」

アリサ「実際に神機を扱って、戦う練習をするの。まずは個人個人でやって、そのあとに
    集団で戦う練習をしましょ。それと、先生は私だからね」

まどか「アリサさんが、先生ですか?」

アリサ「そうよ。正直言ってあなた達には戦場には出てほしくなかった。適正なんて、あってほしくなかった。
    けれどあなた達は選ばれてしまった。荒ぶる神を狩り・喰らうもの、ゴッドイーターに」

まどか「う……」

さやか「な、なんというか……」

マミ&杏子「……」

アリサ「みんなのせいじゃないって言うのは良くわかるわ。私自身も良くわかってるし、理解してる。だからせめて、
    私のこれまでの経験で培ってきたものを、できうる限りあなた達に渡したい。だから、無理をいって
    変わりに私が教官を勤めることにしたの」

マミ「アリサさん……」

 場の雰囲気がよどみだしてきた。居づらい。そのとき―――

さやか「私達のためにありがとうございます、アリサさん!」

アリサ「さやかちゃん……」

さやか「あのアリサさんに教えてもらえるなって……!」

杏子「そうだな」

アリサ「ほめても何も出ないわよ?」

杏子「だって、アリサさん自らが先生してくれるとは思ってなかったから……」

ほむら「アリサさん、よろしくお願いします」ペコリとお辞儀

まどか「う、うまくできるかどうかわかりませんが、よ、よろしくお願いします!」

マミ「御教導御鞭撻のほど、よろしくお願いします」

アリサ「そ、そんなにかしこまらなくてもいいのよ!? いつも通りでいいから!」

さやか「ご、ごめんなさい。いつも先頭に立って、私たちのためにがんばってくれるアリサさんが
    先生だと思うと」

杏子「さ、さやかと同じだ」

まどか「なんというか……」

マミ「自然とそうなってしまう、と、いいますか……」

ほむら「……」

アリサ「大丈夫よ。かしこまらなかったからって、如何こうするつもりはないから安心して。
    …………、ほんとにかしこまらなくていいからね?」

ほむら「わかりました」

さやか「アリサさんがそういうなら……」

杏子「そうだな……」

まどか「うん……」

マミ「えぇ」

みんな「それじゃ、よろしくお願いします!」

アリサ「いっておくけれど、容赦はしないわよ?」

こうして、神機を実際に使用しての訓練が始まったわ。

 さっそく訓練室に向かう私達。そういえば、武器選んでなかったような……。

アリサ「ここね、訓練室。ここで神機の訓練をおこなうの」

まどか「そういえば、神機はどこに?」

ほむら「まどか、あそこ」

 訓練室の隣に私達の神機が立て掛けられていた。武器選んでなかったけれど、大丈夫かしら。

アリサ「あ、ほむらちゃん」

ほむら「は、はい!」

アリサ「ほむらちゃんの武器はこっちで選んでおいたから」

ほむら「は、はい……」

さやか「あ、杏子!」

杏子「先いって準備体操始めてるからな~!」

マミ「もう」

まどか「あ、マミさんはブーストハンマーなんですね」

マミ「そういう鹿目さんだって、バスターソードじゃないの。思ってたより意外ね」

ほむら「あたしの武器は……」

 自分の神機の前に立つ。あ、ターミナルのやつと同じ画面。えぇ、と。

[暁美ほむら]
・剣種:ショートソード
・銃種:スナイパー
・盾種:バックラー
・制御ユニット:プロトタイプ
・強化パーツ1:なし
・強化パーツ2:なし

ほむら「……、使ってみればわかるわよね」

 自業自得とはいえ、なんか頼りなさそうね。

まどか「あ、ほむらちゃんの剣! さやかちゃんのとおそろいだね!」

ほむら「え、そうなの?」

 美樹さんの武器と一緒か……。なんか、なんともいえない。

まどか「うん。でも、ロングソードとショートソードの両方で悩んでいるっていってたから、
    今日の訓練で決めると思う」

アリサ「二人とも! はじめるわよ!」

まどか&ほむら「はい! すぐ行きます!」

とりあえず、ここまで

訓練室――――

アリサ「それじゃ、訓練を始めるわよ」

みんな「よろしくお願いします!」

アリサ「まずは、みんなで思い思いに体を動かしましょう」

まどか「おもいおもいに、ですか?」

さやか「そんなことをして一体どうするんですか?」

杏子「見当はつくがな」

まどか「え?」

ほむら「実際に持ちながら動いて感覚になれる、っていったところかしら」

アリサ「ほむらちゃんのそのとおりです」

杏子「よっし、そうと決まりゃ!」
  「それじゃあたしいっちば~ん!」

さやか「あ、ずるいぞ杏子!」

マミ「あぁ! 勝手に動いちゃ!」

アリサ「いいですよ、そもそもそれが目的なんですから」

ほむら「それなら、お言葉に甘えて」

まどか「よし、がんばるぞぉ! ほむらちゃん、一緒にどう?」

マミ「私も体を動かすとしましょうか」

杏子「チャージスピア、だっけ? 先端に重心が偏ってるなぁ。もう少し短めに
   持ってみるか」

さやか「もう、杏子! あんまり勝手にうごんじゃないわよ!」

杏子「わーってるって! ほっ!」バックフリップ

さやか「宙返り!?」

杏子「お、やってみるもんだな。説明見たときから気になってて、ためしにやってみたんだが、
   案外うまくいくもんだな」

まどか「ねぇ杏子ちゃん、もう一回やって!」

杏子「しゃぁねぇな、もう一回だぞ? ほっ、はっ、とぉっ!」

まどか「今度は3連続! すごいよ杏子ちゃん!」

ほむら『まどかが釘付けに……! 負けてられない! でも、どんな攻撃があるか知らないし……』
   「と、とにかく……、やってみましょう。えいっ!」

 思いっきり振りかぶって直角に近い角度でふったら、空中に飛ばされるような感覚が!
なんとか抑えられたけれど、何だったのかしら。いまの。

マミ「それにしても、体が軽いわね。えいっ!」ぴょん

さやか「マミさん、すごいジャンプ力!」

杏子「あたしも、っと!」ぴょん

さやか「あたしもやってみよっと!」ぴょん

まどか「私だって負けないよ!」ぴょん

ほむら「みんな、すごい……」

マミ「ほら、暁美さんもやってみなさい」

ほむら「え、えぇ……。えいやっ!」ぴょん

 できた! それにしてもすごいジャンプ力。さっきのやつとあわせたら、すごいことになりそう。
それにしても、まだいけいそうな気がする。

ほむら「とぉ!」

 今度は前にステップした! しかも空中で!

まどか「すごい、ほむらちゃん!」

さやか「あたしも! あれ?」

杏子「あたしだって! できない……」

マミ「どういうことなのかしら……?」

アリサ「今のはエリアルステップ。ショートソードを使う人だけができる、空中でのステップよ。
    アラガミに空中で近づいたり、回避に使ったりと、いろいろと使い方があるわよ」

まどか「……? なんだろう」

ほむら「どうしたの? まどか」

まどか「ちょっと、力があふれてきて。こういう大きな剣とかって、よく漫画とかで溜めたりできるよね」

さやか「いや、さすがにないっしょ」

アリサ「できるわよ? 両手で剣を担ぐ体勢になって力を溜めれば、チャージクラッシュって言うバスター専用の
    特殊技ができるわ」

まどか「そうなんですか!?」

杏子「ちょっと試してみなって」

まどか「え、えぇ!?」

さやか「できるかもしれないじゃない!」

まどか「う、うん……」キュィィィィ....

 まどかが力を溜める体制になった。剣先は床に近いところでとまってる。溜めだしてすぐに、
刀身を包むように赤紫のオーラがまといだした! さらにそのオーラが、刀身のリーチを伸ばしていく!

まどか「えぇぇぇぇぇぇい!」

ボゴォォォン!!!

 とてつもなく巨大な轟音が鳴り響く。耳が痛いわ……。
それにしても……、すごいわね

杏子「す、すげぇ」

さやか「すごいよまどか!」

まどか「で、できた……!」

杏子「あたしも、溜めてみてッと!」

 今度は杏子がまどかの真似をしだしたわ。槍を構えて、力を蓄えているように見える。
まねでうまくいくわけが、って! 刃先に黒いオーラが帯びだして、刀身が広がった!?
いったいどうなってるの!?

杏子「はぁぁぁぁあ!!!!」

 構えを解かないまま、杏子は前に向かって飛び出した……。しかも、かなりの距離を“飛んで”。

さやか「やるじゃん杏子!」

アリサ「今のはチャージグライドね。バスターと同じで、溜めることで発動できる特殊技よ。
    一番の特徴は、発動直後の攻撃の間も刀身が開きっぱなしになっている所ね」

杏子「そ、そうなのか!? 試してみるか!」

さやか「私にはどんなのがあるんですか!? アリサさん!」

アリサ「さやかちゃんの今の武器であるロングソードには、ゼロスタンスっていう特殊な構えがあって、
    攻撃後の隙を無理なくキャンセルできるわ。それだけでなく、攻撃などで消耗したスタミナが
    すこしだけ元に戻るっていう効果もある。それに、インパルスエッジっていう特殊攻撃もあるわ。
    これはゼロスタンスを行ったときにだけ使えるわ」

さやか「へぇ~! ほ~! つまりはさやかちゃん向きの武器ってことですね!」

杏子「確かにお似合いだよな! むだに体力あるからなこいつ! ターミナルであったけど、
   セルフ全力攻撃って所だな!」

さやか「ちょ、なにいってるのさ杏子! 体力馬鹿なのはあんたでしょ!?」

杏子「よ~し、買ったぜそのけんか!」

 てんやわんやてんやわんやがやがやばこばこ…………

マミ「相変わらずね、あのふたり」

ほむら「喧嘩するほど仲がいいってことでしょ」

 それより、あれを試してみましょう。

 もう一度、あの構えをとる。剣を下から上へと振り上げる感じで……

ほむら「……、えい!」

 振りまわすと同時にジャンプしたら、今度は疲れなくジャンプできたわ!

アリサ「ほむらちゃんがしたのはライジングエッジね。これもショートの人にしかできない技よ。
    一番の特徴は空中へのコンボに、攻撃を中断せず隙なくつなげられるって所ね」

マミ「? このボタンは一体……」ポチ

 巴マミの武器であるハンマーから火が噴いた!?

マミ「あわ輪わっわあわあああ!!!?」ぶんぶん

 しかも、思いっきりもて余してるかんじね。

マミ「とめてぇぇぇぇぇ!!!!」

アリサ「攻撃をやめれば自然にとまるわ!」

マミ「ああああああ!!! っく!」

 巴さんが攻撃をやめると同時に、吹いていた火も止まった。どうなっているのかしら、本当に

アリサ「今のはブーストラッシュ。武器に近いほうの腕近くにボタンがあるでしょ? それを押せば、
    ブーストハンマーのブースターが点火されてさっきみたいになるわ。これは攻撃を
    やめると同時に自然にとまるわ。それに、点火した後行動せずにいても自然にとまるから、
    気をつけてね? ハンマーにはこのブースターを利用した攻撃が3種類あるわ。まずは、さっきのぶん回し攻撃。
    これはブーストラッシュ。あとブースターの出力を利用した横殴り攻撃であるブーストドライブと、
    ブースターの威力を上乗せした振りかぶって繰り出す一撃、ブーストインパクトがあるわ。どれも
    スタミナを使う攻撃だから、考えて使ってね」

マミ「き、気おつけます」

 その後、アリサさんから神機の扱いについていろんなことを教えてもらった。アラガミを神機で喰らって
パワーアップする神機連結開放モード、通称:バースト化。喰らうことで得た、アラガミの弾丸アラガミバレット。
そのアラガミバレットを純粋な力に変えて仲間に打ち込み、更なるパワーアップをするリンクバースト。
万が一味方の体力が尽きてしまった場合に自分の体力を分け与えるリンクエイド。
そして、一番おどろいたのが……。

ほむら「このボタン、ですか?」

アリサ「えぇ、押してみて」

ほむら「では、」ぽち

 スナイパーを神機ごと立てることで現れたボタンを押すと、周りに薄く白っぽい壁のようなものが
現れたわ。

ほむら「これは?」

アリサ「それはステルスシールド。これを展開しているときは、アラガミに見つかることはまずないわ」

ほむら「そうなんですか!?」

アリサ「でも、移動以外の何かしらの行動をすればすぐに解除されるし、敵に見つかっているときには
    使えないわ」

まどか「それでもすごいよ!」

さやか「あ、まどかはアサルトかぁ」

まどか「さやかちゃんはショットガンなんだ」

さやか「ガンガン前にでてアラガミやっつけたるから!」

杏子「ですぎて力尽きんなよ?」

さやか「わかってますぅ~」

ほむら「あなたたち二人はブラストなのね」

マミ「えぇ、物量で攻めるって嫌いじゃないわ」

杏子「(憧れのマミさんとおそろいにしたかったから)適当にこれにした」

アリサ「ブラストはオラクルをリザーブして溜めることができるわ。ためしにやってみて?」

杏子「ここのボタンを押せばいいんだよな」

マミ「あ、縦の線が一本増えて、横の線が一本増えたわ」

アリサ「それがリザーブが成功した証よ。縦横合計最大で10本溜めれるわ。強化パーツで
    拡張もできるわよ?」

杏子「そ、そうなのか……」

マミ「まさに物量で攻める……」

アリサ「アサルトは、数で翻弄するタイプの銃ね。戦場を縦横無尽に駆け回って敵を翻弄、撹乱する。
    うまい人が使えば、それこそブラストにも劣るとも負けない物量を発揮するわ」

まどか「い、意外にすごいんですね。この、アサルトって。使いやすいって書いてあったから選んだんですけど、
    使いこなせるかなぁ」

アリサ「それは、まどかちゃんしだいね。あと言い忘れてたことがあるわ。バスターは攻撃した直後に
    シールドを展開することができるわ。そしてそれを利用したカウンター技、パリングアッパーって
    いうのがあるから、余裕があれば使ってみてね」

まどか「は、はい!」

アリサ「それと、パリングアッパーとチャージクラッシュもスタミナを使う攻撃だから、注意して使ってね」

まどか「わ、わかりました!」

アリサ「それじゃ、第一訓練はこれでおわりね。今度は人工の練習用アラガミで実際に戦う感覚を
    つかんでみましょう」

みんな「はい!」

今日はここまで

あと、明日はすこし息ぬいてくるので、更新しません。ちょっとした歓迎会にでるので。

 訓練の後、私たちは少しの間休憩の時間をとっていた。

さやか「う~ん……」

まどか「どうしたの? さやかちゃん」

さやか「いや、ほむらの使ってるショートソードをみてて、ちょっと興味わいてきてさ」

まどか「それなら、ほむらちゃんに聞いてみれば? すこしは判ることもあるかも」

さやか「そうしてみるよ。ありがと、まどか」

まどか「うんん、いいよ。あ、ほむらちゃん!」

ほむら「あら、どうしたの? まどか。それと、ジュース買ってきたけれどいるかしら?」

さやか「あ、オレンジジュース! 高かったんじゃないの!?」

ほむら「すこし値は張ったけれど、たまにはいいかなと思って」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん!」

杏子「あ、オレンジジュースじゃねぇか!」

マミ「まさか飲めるとは思っていなかったわ!」

ほむら「あなたたちもいるかしら、杏子、マミ」

マミ「いただくわ!」

杏子「お、サンキュっ!」

ほむら「あなたたちも、はい」トクトク

さやか「お、もういいよ」

まどか「それじゃ、いただきます」

ほむら「みんなに渡ったようね。それじゃ、乾杯」

さやか「んく、んく、んく……。ぷはぁ!」

まどか「甘酸っぱくておいしいよ!」

マミ「おいしい……!」

杏子「オレンジジュース飲んだのって、何年ぶりだ?」

 何年ぶりって……。でも、食糧事情があまりよく無いそうだし。しかたがないのかも……。

まどか「アリサさんにも分けてあげたかったね」

さやか「うん、ブラッドの隊長さん(以下B隊長♀)って人からミッションの誘いがあって、ついていったみたいだし」

杏子「ま、そのおかげで休憩が取れるわけだけれど」

贖罪の街―――

アリサ「はぁ!」

B隊長♀「たぁ!」

 アリサの神機:アベンジャーがオウガテイルののど笛を切り裂き、
隊長の神機:ブリタン二クス極がコクーンメイデンの群れをなぎ倒していく。
アリサが剣を振るえば、紫の閃光とともに三日月状の刃が飛び、隊長がスキップしながら
攻撃するたびに、青白い衝撃波がコクーンメイデンを一掃していく。
そして最後の一体が倒された。

アリサ「これで終わりですね」

B隊長♀「いつもありがとうございます、アリサさん」

アリサ「いいえ、お互い様ですよ」

B隊長♀「そういえば、最近新人さんの教育係をしているって聞いたんだけど……。
   ……、さそったら不味かったかな?」

アリサ「いや! そんなことは無いですよ。あの子達は飲み込み早いし、努力家なので訓練中は
    いつも動き回ってて。まだ戦闘訓練もまだなのにですよ? だから、ちょうどいいタイミングで
    誘いがかかってよかったですよ。休憩時間もとれましたし」

B隊長♀「そ、そうなんだ……。そういってもらえると助かるよ」

アリサ「それならよかったです。えっと、オウガテイル6体とコクーンメイデン6体の討伐完了。
    総時間は10分ジャスト」

B隊長♀「それじゃ、かえりますか」

アリサ「そうですね」

さらに10分後―――

アリサ「ただいま、みんな」

まどか「アリサさん! おかえりなさい!」

さやか「早かったですね!」

アリサ「思いのほか相手が弱かったからね。さ、訓練再開よ」

まどか「えい、えい!」ブンブン

人工アラガミ(以下:人工A)「がぁぁぁぁぁあああああ!!」

アリサ「ただ闇雲に剣を振ってもだめよ! 怖くても、ちゃんと相手を見るの!」

まどか「は、はい!」

 訓練第2段階が始まった。訓練は人工Aを相手にして擬似的な戦闘を行うというもの。
私や杏子は難なく倒せたけれど、まどかやさやか、マミは苦戦しているようね。

さやか「えい! やぁ!」
   『ロングソードより短いから、相手に近づかなくちゃあたんない! でも、怖い!』

 さやかはロングソードから、私の武器タイプであるショートソードに鞍替えしたようだけれど、
近づくのが怖くて距離をとることを優先してしまっているから、攻撃を当てたのはほんの数回しかない。
まどかは目を瞑ってしまっていて、完全に素振り状態。マミは攻撃を当てつつ回避する、がちゃんとできてはいるけれど、
すこし武器に振り回されている印象を受けるわ。

まどか「えい!」

人工A「ぐぅぅぅ...!」

初めてあたった!さらにもう一回攻撃して、最後に跳び切りを!

まどか『怖くても、相手を見る! そうしなくちゃ、戦えない!』
   「はぁぁああ!!」

人工A 「がぁあ嗚呼ああ!!!」

 人工Aが倒れた! いまよまどか!

まどか「はぁぁぁぁあああ......」キュィィィィィ.....

 あの構え……! 刀身が伸びていく!

まどか「く、くらぇぇぇぇえええええ!」

 まどかのチャージクラッシュを受けて、人工Aが倒された!

アリサ「人工AのHP0を確認っと、まどかちゃん! お疲れ様、訓練は終わりよ」

まどか「や、やっと終わった……」

ほむら「まどか、おつかれさま」

まどか「何分だった?」

アリサ「3分21秒よ。すこし遅いわね」

まどか「うえぇぇ……」

アリサ「あ、マミちゃんも終わったようね」

マミ「何とか使えそうだわ。あと、何分でしたか?」

アリサ「マミちゃんはまどかちゃんのより5秒後ね」

マミ「もっと努力しないとね」

さやか「アリサさん! 一度リタイアしていいですか!?」


アリサ「いいけれど、どうしたの?」

さやか「ロングソードにかえてやり直してみたいんです。ショートだと相手に近づかないとだめなんで、怖い、です」

アリサ「……、わかったわ。それじゃ、武器を変えて少し休憩、再度やりましょう。」

さやか「ありがとうございます!」

数分後・・・。

アリサ「それじゃ、再開します」

さやか「お願いします」

 訓練室の一角の床が開き、そこから訓練用の人工Aが現れる。

さやか「ふぅ……。はぁっ!」

 ゼロスタンスの構えを取り、すべるようにして剣を振るう。その一撃は届かなかったが、
再度すべるようにして剣を振るうと、その一撃があたった。

さやか「やった!」

人工A「ガああ!!!」

さやか「おっと! あぶないあぶない」

 人工Aの尻尾を振るっての攻撃を、さやかは寸前のところでステップし回避した。
そしてゼロスタンスで息を整え、再度向かう。

さやか「いくわよ! はっ、いてっ!」

 人工Aが、尻尾から棘を飛ばしてきた!? 正面からの攻撃ばかりじゃだめってことか。
それなら!

さやか「はっと、狙えるものなら狙ってみなさいよ!」

 さやかが一度距離をとって、蛇行しながら接近していく。考えたわね!
そしてジャンプして、体全体を縦に回転させての回転切りを放った後、着地と同時にしとめた。
いいしめね。

さやか「やっぱり、ロングのほうがいいや。決めた! 私、ショートソードじゃなくて、
    ロングソードを使う!」

ほむら『ロングソードに変えてから、見違えるように動きがよくなってる。タイムだって3分切ってるし、
    もう少しがんばれば、私を追い抜いちゃうんじゃないかしら』

杏子「意外にやるな、さやか」

さやか「ふっふ~ん、なめてもらっちゃぁ~困るね。なんてったって、さやかちゃんだもん!」

杏子「ショートのときは4分近くかかってたのになぁ」

さやか「う、うっさい!」

アリサ「とりあえず、第二段階も終わりね。正直こんなに早く終わるなんて思わなかったわ。
    今日はここまで。明日は訓練の最終段階、前線での実践訓練よ。だから、ゆっくりと
    体を休ませてね」

みんな「は、はい!」

 その後、私たちは解散し、明日に備えることにした。私は今、ターミナルで武器の扱いについての
動画を見て再確認している。今回の訓練で動いてみて、重心移動で違和感を感じた。
ライジングエッジを使用したとき、どうも神機に引っ張られているように感じた。あの後
整備班のリッカさんからも、『ほむらちゃん、だっけ? ほむらちゃんのライジングエッジ、重心移動のタイミングが
若干遅いように見えたよ』と指摘された。さすがは神機を整備するする人だと思う。

ほむら「うーん……、やっぱり実際に体で覚えたほうが言いようね。見ても判らないわ」

……、バレットエディットでもして気を紛らわせましょう。

 コンコン、

ほむら『誰かしら』

さやか&まどか「お邪魔しまぁす(するわよぉ)!」

 まどかとさやかが、一緒に手をつないで私の部屋にやってきた!? しかも、枕も
持ってるし、………。一緒に、寝たい、とか……?
いやいやいやいやそんなこt、

まどか「一緒に寝てもいい? ほむらちゃん」

さやか「一緒に寝てもいいよね、ほむら?」

 まさか予想通りになるとは。思わず手が止まった。そして、小さなブザーがぶーぶーと
鳴り響く。画面を見るとそこには、

『現在のバレットは破棄されました』

ほむら「あぁ……!」
   『手が滑ってしまった! 苦労してここまでこぎつけたのに……! くすん』
  

ほむら「……」ズゥゥゥゥゥン

まどか「ご、ごめんねほむらちゃん……」

さやか「わ、悪かったって……」

 目の前のゴッドイーターをやった経験のある視聴者さんも経験ぐらいあるわよね?
苦労して作り上げたバレットを寸前のところで間違えて破棄しちゃったこと……。
とても心にくるわね。

ほむら「いいわ……、気にしてないから……。はは……、ははは……」

さやか「目が虚ろになってるよぉ、ほむら」
   「気にしてるじゃない。後、ほんとにごめん……」

まどか「本当にごめんね……」

 ものすごくショック。この空気がさらに数分続いてさらにショックが深まっていく。
美樹さん、せりふ借りるわね。私って、ほんと馬鹿……。

ほむら「はぁ、もういいわよ……、後で何とでもなるから……」

まどか&さやか「「ほんとうにごめんなさいっっっ!!!」」

ほむら「で、何のようなの? ふたりとも」

まどか「えっとね、明日実際にアラガミと戦うわけだよね……、怖くなっちゃって」

さやか「あたしも怖くなっちゃってさ。少し気を紛らわせようと私が廊下に出たら、」

まどか「ばったりさやかちゃんとあって、それで……」

さやか「せっかくだし、ほむらのところで一緒に寝るかってなってね。小さいころに良く一緒に
    寝泊りしていたし」

ほむら「そうなの。それなら、せっかくだしいいわよ」

まどか「ありがとう。あったかぁい」

さやか「ほんと、ほむらはあったかいわぁ」

ほむら「そうかしら……」
   『右にまどか、左にさやか。完全にはさまれてしまったわ、身動きが取れない』

さやか「そして、相変わらず手は冷たいと」

まどか「ほむらちゃんは体も心もあったかいね!」

ほむら「あ、ありがとう……」

さやか「……。それにしても……、なっちゃったんだよね、ゴッドイーターに」

まどか「…………」

ほむら「なってしまった今となっては仕方がないわ。適性があったわけだし……」

まどか「みんなに話してなかったけれど、訓練が始まる前にゴッドイーターになったこと、
    パパやママに伝えたんだ……」

ほむら「どうだったの……?」

まどか「泣いてたよ……、大声で……。ごめんな、ごめんなって……」

ほむら「そう……」

さやか「……」
   「あたしの親もそうだったよ……」

まどか「ほむらちゃん、さやかちゃん。私、怖いよ……」ブルブル

ほむら「……、私も怖いわよ」プルプル
   『アラガミ。今までの時間軸にはいなかった、魔女とは違う完全に未知の敵。それを相手取るのだから、
    怖くないわけがない』

さやか「まどか、そりゃ怖いって。あたしもほむらも、いまでもこんなに震えているんだよ……」プルプル

まどか「そうだよね……」プルプル

ほむら「でもまどか、これだけはいえるわ」

まどか「え……?」

ほむら「絶対なんて無責任なことはいえないけれど、いざって時は私たちが守るから」

さやか「ほむらの言うとおりだよ、まどか。あたしたちもいるんだからさ、一人で怖がる必要なんて
    ない。今までだって、ひとりの苦しみをみんなで分かち合って生きてきたんだからさ。
    今もそれはかわらないよ」

まどか「さやかちゃん……、ほむらちゃん……。ありがとう、ふたりとも。なんか、不安がなくなってきた気がする」

さやか「よ~し、それなら久しぶりに語り合うとしましょうか!」

ほむら「何についてよ、もう」

まどか「ははは、それならあの話にしない?」

さやか「お、それいいね! なら、」

ほむら「語るのもいいけれど、明日に備えて早く寝なさい」

そして夜は更けていく。

――マミの部屋

マミ『パパ、ママ……』

 目の前にあるのは写真たて。今ではもう叶わない光景を移した写真立て。
GEの証である腕輪をしたパパに肩車をしてもらい、うれしそうに笑う私。ママはパパに寄り添って
幸せそうに笑っている。もう、来ないのよね。この場所は。あれ、何でなのかしら。
突然、口の中が、しょっぱくなってきた……。

マミ「なんでかなぁ……、水滴が……、おちて……。ぅ……、ぅうう……!」

マミ「あぁぁぁああああ……!!! うぁぁぁあああああんぁあああああ!!!」

―――杏子の部屋

あああああぁぁぁぁん!、ぅああああああああんんぁ!!!!

杏子「…………」zzz?
  『マミさん……』

モモ「zzz」

 隣では特別に居住が許されたモモが寝ている。ここで一緒に暮らしたほうがいいと思い、
榊ってやつにお願いして一緒に暮らしている。許可が出て、本当によかった。
でも………、それどころじゃない。隣ではマミさんが泣いているし、それに自分は今、
思い出したくないものを思い出し、見たくないものを見ている。

――お前のためなんだ、ついてこい!―――

――離してください! あなた!―――

――アラガミを信奉するカルト教団だった、なんて……―――

――〔首に迫る父親の両手。やさしく暖かい父の手が、いまではとても冷たく、怖い〕――

――やめて、やめて! お父さん、やめて!!―――

――お姉ちゃん! おねぇちゃん!!――

――お父さん……――

――〔首吊り自殺した父親〕〔燃え盛る自分の家だった教会〕――

――悪魔の子……――

――アラガミの子……――

――出て行け! この街から出て行け!―――

――――

―――

――


杏子『またか……』

モモ「ぅぅん………」

杏子「モモ……?」

モモ「やめて…………、お父さん……」

杏子「…………、くそっ………!」

今回はここまでです。ありがとうございました。


――翌日

 顔が痛い。脇腹が痛い。特に左側が痛い。景色がちょっとずつ明けていく。
目に入るのは、ハワイのような海岸の景色を写しどったポスター。

ほむら「ん……、はぁ~む……ん」

 眠いわ。結局寝たの2時だし、今の時間6:40だし。……、心臓の鼓動が本当に
人間に戻ったのだと思い知らせる。魔法少女のころにはなかった、仮初ではない本当の命のぬくもりがある。
けれど、それと引き換えに得たのはゴッドイーターとなって、アラガミという未知の敵と
戦うこと。結局は人間であるか否かの違いでしかないのかもしれない。

ほむら「……、寝相が悪いわね。まったく……」

 けれど、今の世界がもう愛おしく感じる。人としてまどかと、さやかと、マミさんと、杏子と
いられるこの世界が。さんざんみんなを見殺しにし、手に掛けてきた私には、とてももったいなくて
眩しい世界。……、ごめんなさい、みんな。

まどか「んにゃ……、おはぉ……。ほむらちゃ……」

ほむら「おはよう、まどか」

さやか「ぐぅぁ……。むにゃむにゃ……」

ほむら「さやか、もう朝よ、おきなさい」

さやか「ぅぅん……、もう5分……」

ほむら「おきなさいさやか、おきなさい! おきなさいって!!」

まどか「もう、さやかちゃん……。ほむらちゃん、変わって?」

ほむら「えぇ」

 まどかがカーテンを思いっきり広げて朝日を招きいれ、布団に手を掛ける。
そしてそれを勢い良くめくりあげた。

まどか「おっきろろぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!!」

さやか「うぅん……! んぁ、おはお……、まどかぁ、ほむあ……。はぁぁぁ……、ん」

ほむら「髪の毛がぐしゃぐしゃよ、といて来たら」

さやか「そーする」テクテク

まどか「そういえば、訓練って9時からだったよね」

ほむら「そうね、早く服を着替えて、ラウンジに朝食を食べに行きましょ」

まどか「そうだね!」

 今日もまどかの笑顔が眩しいわ。

 ラウンジに3人で談笑しながら歩いていく。ラウンジに入るとマミと杏子が
私たちより先に朝食をとっていた。

杏子「大丈夫か? 目ぇ真っ赤だぞ」

マミ「大丈夫よ……」

まどか「杏子ちゃぁん! マミさぁん!」

マミ「あ、おはよう」

まどか「おはようございます、マミさん、杏子ちゃん!」

杏子「おはよ、まどか」

ムツミ「あ、おはようございます!」

まどか「あ、えっと、おはよう! えっと」

ムツミ「あ、あたしの名前はムツミ! ここで料理作ってます!」

コウタ「お、ムツミちゃん! ジュースひとつもらえる?」

ムツミ「はぁい!」

まどか「あ、コウタさん! おはようございます」

コウタ「おはよ、今日実践訓練なんだって?」

<マミさん、杏子、おはよう!

まどか「はい、緊張……、しちゃってます……」

<あら、おはよう美樹さん
<おはよぉ、さやか

コウタ「そっか、最初は誰だってそうだよ。俺だってそうだったんだから」

まどか「そうなんですか?」

<マミさん、目大丈夫ですか?
<大丈夫よ、心配掛けてごめんなさいね
<……。

コウタ「今日は俺もついていくから大丈夫!」

まどか「そうなんですか!? ありがとうございます!」

ほむら「まどか、隣いいかしら」

まどか「あ、いいよ! 座って座って」

まどか「それでどうしたの、ほむらちゃん」

ほむら「ちょっと、緊張してきて……」

まどか「わたしでいいなら付き合うよ」

ほむら「ありがとう。ねぇ、今日の訓練のペア、まどかとらしいわね」

まどか「うん。コウタさんが就いてくれるって、この紙にも書いてあるし」

 まどかが取り出したのは、今日行われる前線での実践訓練でのペアを書いた用紙。
第一陣はさやかと杏子、マミの3人ペアでアリサが教官に就き、第2陣はまどかとわたしのペアで、
アサルトをつかうというコウタって人が教官として就いてきてくれるようだ。あれ、もう一人書いてある

まどか「あ、ちなみに私の隣にいるのがコウタさんだよ」

コウタ「お、ほむらちゃんじゃん! もう大丈夫なの?」

ほむら「は、はい。大丈夫ですコウタさん……」

コウタ「はは、そんなに硬くなんなって! これでも極東支部の第一部隊隊長なんだからさ!」

 いや、いきなり現れたら驚くわよ。それに、わたしはあなたと面識がないのよ?
でももうあるのよね。それに、悪い人じゃなさそうだし。

???「隊長、口元が緩んでるよ。やめてよね、恥ずかしいから……」

コウタ「ゆ、ゆるんでねぇって! それよりエリナ、勉強になったか?」

エリナ「うん! 先輩とソーマさんと久しぶりにミッションにいって、いろんなことを学べたよ!
    たまにはいいことするわね、隊長」

コウタ「いいじゃんか、偶にはさ。それに、自分の部下を育てるのも隊長の役目だからな」

エリナ「最後のは余計な気がするなぁ……」

まどか「あ、エリナちゃん! 久しぶり!」

エリナ「あ、まどか! 今日はよろしくね、隊長足を引っ張らないように見張りながら
    がんばるからさ」

まどか「うん、よろしくね、エリナ先輩!」

エリナ「ちょ、エリナでいいって!」

ほむら「えっと、この人は?」

まどか「あ、そういえば紹介してなかったね。彼女はエリナ・フォン・フォーゲルバイデちゃん!」

エリナ「エリナでいいわよ」

ほむら「私は暁美ほむら。エリナって言ったかしら、今日はよろしく」

 それにしても、幼さが抜けてない感じがするわね。なんていうか、まどかと
似ているような気がするわね。

エリナ「ちょっと言い方が引っかかるけど、よろしく」

 用紙に書かれていた名前、エリナ・フォン・フォーゲルバイデ。彼女がやってきてから会話が
一気に弾み、目の前の女の子ムツミが作ってくれた朝ごはんを食べながら和気藹々と会話を楽しんでいた。
まどかに聞くと同い年で、ゴッドイーターとしては先輩という。まぁ、当然でしょうね。
あと、支部の精鋭である第一部隊、それも激戦区と名高い極東支部の第一部隊の隊員だそうだ。

ほむら「そういえば、ほかに仲間がいるの?」

エリナ「ユミールっていう馬鹿がいるわ。ブーストハンマーが武器でいつも口がうるさいのよ」

まどか「はは、そうなんだ……」

ほむら「そういえば今日は実際にアラガミと戦うってきいたのだけれど、何と戦うのかしら」

 用紙に目を落としながら質問をする。用紙の訓練内容の欄には、実際にアラガミと戦うとしか
書かれてなくて、相手がかかれていない。仕事が穴だらけのような気がしてならない。

コウタ「実際の数とかはいえないけれど、オウガテイルっていう敵を相手に戦うんだ。
    前に君たちに襲い掛かってきたアラガミさ」

まどか「あ、あれと……?」

エリナ「大丈夫大丈夫! あんなの雑魚だから! たしかにゴッドイーターになるまえのまどかたちにとっては
    充分すぎるほどに脅威だけど、ゴッドイーターになれば雑魚同然だから!
    それに、いざって時はわたしたちが援護するからさ!」

コウタ「そうそう、大船に乗ったつもりでな!」

エリナ「隊長が言うとなんか頼りないなぁ」

コウタ「な、お子様のエリナに言われたくないね!」

エリナ「お子様ですってぇ!?」

まどか「まぁまぁふたりとも……」

ほむら「そうね、周りの迷惑だわ」

コウタ「うっ……!」

エリナ「っく……!」

ほむら「それにもう時間が近いわ」

 訓練開始まであと20分をきっていた。早くしないと遅刻してしまう。

ロビー ――――

アリサ「あ、来ましたね」

さやか「おっそーい! もう準備できてるよ!」

コウタ「ゴメンゴメン! ちょっとお話してたんだけど、はずんじゃって」

エリナ「は、はは……、ごめんなさい」

ほむら「ぅ……」

マミ「まぁ、気持ちはわかるわね」

まどか「あはは……」

アリサ「それじゃ、説明を始めるわね」

 訓練の内容は、贖罪の街とよばれる場所の2箇所でオウガテイルと呼ばれるアラガミを狩る。
ただそれだけの内容だ。でも、初めての実戦。緊張しないわけがない。
怖い、すごく怖い……。

ほむら「……! まどか……?」

まどか「一緒にがんばろう、ほむらちゃん」

アリサ「そして2箇所で同時に行います。まずコウタチームは贖罪の街のE,F、K、Jの4エリアで訓練開始です。
    私たちアリサチームはN,M,L,D,Cの5エリアで訓練を開始します。それでは、私たちから出撃します」

コウタ「おうし、わかった」

さやか「それじゃ行ってくるね」

マミ「緊張するわね」

杏子「おおぅ……」

アリサ「それじゃ、行ってくるわ」

コウタ「おう、あとで追いかけるから」

エリナ「それじゃ、私たちも行きましょ」

ほむら「そうね」

コウタ「よし、1分後に俺たちも行くぞ」

まどか「あ、ちょっと待っていてください」

コウタ&エリナ&ほむら「?」

 アリサさんたちが出撃ゲートから出て行ったあと、私たちもゲートから出撃した。
私たちは今、対アラガミ加工が施された装甲車で現場に向かっている。
シートの掛け心地はお世辞にもいいとは言えず、車のゆれがダイレクトに伝わってくる所為で
おしりが痛いわ……。

コウタ「やっぱりなれないな……」ゴトゴト

エリナ「私はもうなれちゃったわ」ゴトゴト

まどか「おしりいたい……」ゴトゴト

ほむら「そうね、おしりが痛い……」ゴトゴト

エリナ「それにしても、まどかバスター使うんだ。なんか意外」

まどか「ははは、なんていうか一撃必殺ってかんじでいいなって」

ほむら「……」
   『たしかにまどかが魔法少女になったときの技も、全部が一撃必殺級のものだったわね』

エリナ「あと、何なの? その服装」

まどか「あはは、ちょっといいのがあったから、ママに買ってもらったんだ」

ほむら「そ、そうなの」

 まどかの今の服装は、まどかが魔法少女になったときの服装と完全に一致している。
なんでこれがあるのよ……。

エリナ「あと、まどか。また間違えたよ? あたしの名前!」

まどか「え? フォン、であって……、あ! デアだ! エリナ・デア・フォーゲルバイデだった!」

ほむら「どうしたのよ、いきなり」

エリナ「なんでもない。またまどかがあたしの名前を間違えただけだから」

ほむら「そ、そうなの……」
   『今気づいたのかな?』

pipipi...

コウタ「ん?」

アリサ『もう少しで到着するわ』

コウタ「りょーかい」

まどか「? どうしたんですか? コウタさん」

コウタ「もうすぐで到着するんだって。それじゃ、みんな準備はいい?」

ほむら「神機は」

コウタ「それなら足元のレバーを引いてみ?」

 足元を見ると確かにレバーがあった。確か私たちの神機は、ここに来る前に車の外に積んだはず。
なのになんでレバーを引くのだろうか。とりあえず、引いてみましょう。

ガコン! ウィーン、ガシャン!

ほむら「え……」

まどか「え……?」

 車の天井が猛々しい音とともに開き、私たちの神機が降りてきた……。
しかも、ちょうど目の前にくるようになっているし。それに、目的地にもう到着したし。

コウタ「よし、それじゃ、いくよ!」

エリナ「先にでるね」

まどか「き、気おつけてね」

 先にコウタさんとエリナが降りて、周囲の安全を確認する。
コウタさんが手を振った。どうやら安全が確認されたようだ。

ほむら「いくわよ、まどか」

まどか「う、うん……」

コウタ「よし、全員降りたな。アリサに連絡してっと」

pipipi...

コウタ「あ、アリサ? うん、こっちは位置についたよ。うん、うん、わかった」

エリナ「隊長、アリサさんはなんて」

コウタ「まどかちゃんたちをお願い、だって」

エリナ「言われなくても判ってるわよ。まどかとは、友達なんだから」

 ちょうどそのころ、アリサの班は

アリサ「全員そろいましたね。それじゃ、訓練を始める前にひとつ、言っておくことがあります」

さやか「言っておくこと、ですか……?」

アリサ「そうよ」

まどか「?」

ほむら「伝えたいこと?」

コウタ「うん。俺がまだ新人だったころに、戦い方を教えてくれた人が言っていたことなんだ」

―――

アリサ「私が大切に思っている人の一人が昔、教えてくれたことなんです」

杏子「一体、何をいったんだ?」

アリサ「『命令は3つある』」

―――

コウタ「『死ぬな、死にそうになったら隠れろ』」

―――

アリサ「『そんで隠れろ』」

―――

コウタ「『運がよければ不意をついてぶっ殺せ』」

まどか「ぶ、物騒ですね……」

エリナ「それに、初めて聞いたときにも言ったと思うけど、それじゃ命令が4つじゃん」

ほむら「エリナのいうとおりね」

コウタ「そーなんだよなぁ。でも、これからなんだ、本題は」

―――

アリサ「これは、私たちのリーダーがその人に向かっていったことなんです」

―――

コウタ「この言葉はな、俺の親友がその人に向かっていったことなんだ」

―――

アリサ&コウタ「「『生きることから、逃げるな―――』」」

マミ「生きることから、逃げるな……」

杏子「……」

アリサ「あなたたちが本格的に戦うようになったら、死を目の前にする事だって数多くある。
    そんなときに、この言葉を思い出して。そして、生き残って」

―――

ほむら「生きることから逃げるな、ね……」

 その言葉が、私の胸に突き刺さる。かつて私がまだ魔法少女だったころに、まどかを救うと、
そうまどかと約束した。それをする前にも、まどかのために戦い、多くのものを犠牲にしてきた。
楽しかった思い出、みんなといる時間、みんなといれる場所、みんなの信頼。そして、まどかの命。
あまりに重すぎる十字架が、私の背中にのしかかっている。だからなのかしら。この言葉を、
今の自分が思うべきことなんじゃないかって感じるのは……。

コウタ「まぁ、今言ったことを守って、がんばろうよ!」

まどか「は、はい!」

ほむら「えぇ」

pipipi...

コウタ「ん? どうしたの、ヒバリちゃん?」

ヒバリ『目標アラガミの反応をキャッチ、任務を開始してください』

 ヒバリの警告および開始の合図が、コウタとアリサの受信機に伝えられた。
それと同時に、二人の表情が真剣になる。自然と、纏うオーラが圧倒的なものに変わる。

エリナ「隊長、来たんですね」

コウタ「あぁ。目標が来たそうだ、さっそく始めよう!」

まどか「わ、分りました!」

ほむら「了解したわ」

―――

アリサ「来たようね。それじゃ、はじめますよ」

さやか「き、緊張してきたぁ……!」

杏子「死なないようにがんばろうぜ」

マミ「そうね……」

アリサ「それでは、」

―――

コウタ「それじゃ、」

―――

コウタ&アリサ「任務開始!」

※先にコウタチームから書きます。


 私は今、まどかと建物の影に隠れている。私たちが隠れているところのすぐ前に大きな
通路が横たわっており、それをはさむように向かい側にはコウタさんとエリナがいる。そしていま、
合図を待っている。

まどか「ま、まだなのかな……」

ほむら「まだよ」

――

エリナ「コウタ隊長、そろそろ頃合じゃないの?」

コウタ「まって、もうすこしで……」

 奥の部屋にいる2体のオウガテイルが後ろを向いた。あとは、通路にいる奴が振り向けば……。

コウタ「もうすこしだって、向こうに伝えて」

エリナ「わかった」

――

ほむら『待機の合図……、まだのようね』

まどか「ねぇ、もういっても……」

ほむら「駄目。合図がまだよ」

まどか『うぅ、早く終わらせたいよぉ』

――

コウタ「お、振り向いた! エリナ、合図!」

エリナ「うん!」手で合図

――

ほむら『人差し指と中指を立てて振った。合図ね!』
   「まどか、合図よ」

まどか「う、うん……!」ギュ

ほむら「いくわよ!」

 コウタはもちろん、まどかは神機を銃形態に変えて、エリナと私は剣状態のまま
アラガミに向かって突撃する。

コウタ「まどかちゃん! ここでストップ、射撃いくよ!!」

まどか「は、はい……!」

 赤と青の筋がオウガテイルに向かっていき、その筋がオウガテイルと接した直後、
それぞれの色と同じ色をした小さな爆発を起こす。

エリナ「いくよ、ほむら!」

ほむら「えぇ!」

エリナ「はぁぁぁぁ!!!」

ほむら「くらいなさい!」

 エリナは走りながらジャンプし、アラガミに空中からの一撃をお見舞いする。
私はアラガミから少し距離あるところでスキップをし、そのままの勢いをのせての一撃をはなつ。
私とエリナの一撃をうけたアラガミは大きくのけぞり、さらなるチャンスが生まれた。

ほむら「もう一撃、二撃! もっていきなさい!」ズバズバ

オウガT「がぁぁぁ!!」
    「ぐぁ!」ブンッ!

ほむら「! あうっ!」

 オウガテイルが振るってきた尻尾を腕にうけた! 痛い! それに、
攻撃の体勢を崩された!

オウガT2「がぅぁぁぁ!」

オウガT3「ぐるぁぁぁ!」

エリナ「奥の二体もこっちに気づいた! コウタ隊長!」

コウタ「判ってる! まどかちゃん、剣形態にしてほむらちゃんたちの援護に!」

まどか「わかりました! ほむらちゃん!」

ほむら「まどか!」

 奥にいた2体がこっちに気づいたようね。おっと、また尻尾攻撃。油断もすきもないわね。

まどか「大丈夫? ほむらちゃん」

ほむら「えぇ、大丈夫よ」

エリナ「くるよ、備えて!」

 奥の二体が合流した。乱戦になるわね。それに、こんな縦長の空間内で乱戦なんて、
被害が大きくなるだけだわ。何とかして分断できれば……。……、よし。

 ほむらはその場でジャンプ、エリアルステップを行ってオウガテイルたちのど真ん中へ向かう。
その後、再びジャンプとエリアルステップを繰り返し、オウガテイル3体をはさむように陣取った。
しかしその際、攻撃を一度喰らってしまったが。

ほむら「エリナ、まどか! 私が一体ひきつけるから、各個撃破でいきましょ!」

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」バスターぶん回し

エリナ「判ったわ、コウタ隊長!」

コウタ「うっし、無茶だけはすんなよ! おっと」

 オウガテイルの飛ばした棘を連続で交わしている。あの速さの攻撃を連続でかわしきるなんて……。
正直、おちゃらけた人だと思っていたけれど、案外頼りになる人なのね。そんなことより……。

ほむら「こっちを見なさい!」パぁン!

ヒバリ『スタングレネード、効果発動! 体勢を立て直し、攻勢にでてください!』……残数あと7/8

 ちょうど2体の目をつぶせた。うまくいったわね。あとは、オウガテイルを一体ひきつける
だけ!

 ほむらは神機を銃形態に変えて、オウガテイルに向けて後ろに走りながら銃を放つ。
赤や青、紫の弾道はちょうどオウガテイルを捉える。それによってオウガテイルをひきつけることに
成功、奥の部屋の手前側までおびき寄せることに成功した。

ほむら「いくわよ!」ザシュッ!

オウガテイル「がぁぁぁ!!」

ほむら「まだまだぁ!」シュバッ!

ほむら「もう一撃!」シュオッ!

 ほむらの怒涛の攻撃のラッシュにより、オウガテイルはその攻勢に耐え切れず、少し離れた
所にまで吹っ飛ばされてしまう。そしてほむらはライジングエッジの攻撃をコンボの最後に
使ったため、今は空中にいる。

ほむら「これでとどめ!」ザッシュッ!

オウガテイル「がぁぁぁ...」シュウ...

 ほむらがくりだした空中からの突き攻撃をうけ、オウガテイルの一体が絶命する。
着地したほむらは捕食形態に神機を変えて、オウガテイルを喰らった。

ほむら「ふぅ、やっと一体……。いたっ!」

 不意に後方からオウガテイルの棘を受け、ほむらはひざを突く。
後ろを振り向くと、オウガテイルがもうすぐ其処にまで迫っていた。

ほむら「! う、このままじゃ……! っく……!」

ヒバリ『ブラッド2、バイタル危険域です! すぐに回復してください!』
(ほむら=ブラッド2)

ほむら「回復錠、回復錠……!」
   「あっ……」

 ほむらは腰にあるウエストポーチから回復錠を取り出して服用し、自身の回復を図ろうとした。
が、誤って回復錠を落としてしまう。

ほむら「しまった……! きゃぁぁぁ!!!」

 オウガテイルの飛び掛りと尻尾攻撃をうけ、後方に思いっきり吹っ飛ばされる。
瞬間的に尻尾攻撃をガードできたため、力尽きるようなことはなかった。
しかし、ほむらはすでに虫の息の状態にまで追い詰められていた。

 弱りきったほむらに、オウガテイルが飛び掛る。それは攻撃とまではいかないものの、
オウガテイルとほむらとの間にできた距離を一気につめるには、あまりにも充分すぎた。

オウガテイル2「がぁぁ!!」

ほむら「っく……!」

 オウガテイルがほむらに噛み付こうとするが、なんとか間一髪のところでガードに
成功する。しかし、ほとんど死に体。力が残っているわけがなかった。オウガテイルは
自身の頭を元の位置に戻すのと同時に、ほむらの神機を取り上げることに成功し、手の届かないところに
まで投げ飛ばした。

ほむら「え…………」

 武器が……、奪われた……。このままじゃ、私……、死ぬ。いやだ、いやだいやだいやだ!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
まだ死にたくない!!!! せっかく、魔法少女のない世界に来たのに!!!いや、来ないで……!!
近づかないでぇ……!!! こっち来ないでぇぇ……!!!! 何でもするから、何でもするからぁぁぁ!!!
いや、いやあああああぁぁぁ!!!

 ほむらの必死の思いに反し、オウガテイルはにじり寄ってくる。そしてとても器用に棘を飛ばして、
ほむらの四肢を地面についつける。しかも上肢は両掌が重なり合って縫い付けられている。
ここで力尽きたらどれほど幸運だったろうか。オウガテイルは相手を力尽きさせない、絶妙な
力加減で棘を飛ばし、ほむらの四肢を縫いつけたのだ。そしてそのまま、本能のままにほむらを踊り喰う。
生きたままほむらを食おうとしている。

ほむら「う、うぅぅ……」

 ほむらは感じていた。自分の股がとても湿ってきていることに。しかし、そんなことはどうでも
よかった。自身はいま、目の前の獰猛な獣に生きたまま食べられようとしている。それによる恐怖が
ほむらを蝕んでいく。そして、目の前に死の影が迫ってくる。オウガテイルの牙が、のどが、舌が
迫ってくる。

ほむら『いや! 離して、離してぇぇぇ!!!! いやぁぁぁぁ!!!!!』

 そのまま影は暁美ほむらを飲み込―――

今日はここまで

 爆ぜた。いきなり景色が爆ぜた。何度も聞こえる着弾の音が耳を劈く。ドン、ドン、またなった。
その後に聞こえるのは、聞きなれた声、救いを知らせる音。――――ほむらちゃん!

まどか「ほむらちゃん! 大丈夫!?」

エリナ「ごめん、遅くなった!」

 まどかとエリナが銃形態でオウガテイルめがけ、射撃しながら向かってくる。
赤青紫と、いろんな色を吹きながら走る。

まどか「ほむらちゃんから離れろぉっぉぉぉ!!!」ズバン!

 まどかは走りながらアサルトを剣状態にかえて、バスターの横なぎの一撃をオウガテイルの
どてっぱらにぶち込んで、ほむらから引き離す。

まどか「ほむらちゃん! 大丈夫、ほむらちゃん!」

ほむら「まどか……、まどかぁ……」

まどか「エリナちゃん! コウタさん! ほむらちゃんの無事を確認! 回復させ、下がります!」

コウタ「わかった! OPたまるまでもう少しだから、たまったら急いで向かう! エリナ、それまで
    現場を維持!」

エリナ「了解! さて、先輩の力をまた見せてあげるンだから!」

 オウガテイルと対峙するエリナ。神機を構え、オウガテイルに向かって走り出す!
棘が、尻尾が、強靭な顎がエリナを捕らえようとするが、それらすべてを身軽によけていく。そして
オウガテイルに至近距離で近づいたとき、エリナは前面へのバックフリップを行ったのだ。
空中で身をひねって翻し、ちょうどオウガテイルをはさむように陣取った。

エリナ「はぁぁぁ.....、はぁぁ!!」ドスドスドス!!

 エリナは怒涛の勢いで突きを繰り出していく。そして突きが繰り出されると同時に、それに
追従するように無数の赤い槍がオウガテイルに突き立てられていく!

―――ブラッドアーツ『ガトリングスパイク』

 ちぇ、しとめ損なった……。でもまぁ、後輩(まどかたち)に華を持たせるのも
先輩の役目よね。

エリナ「まどか! 〆お願い! コウタ隊長、いいですよね!」

まどか「えぇぇ!? わ、私!?」

コウタ『おう、いいぜ! 間に合いそうにないからね』

まどか「こ、コウタさんまで!?」

エリナ「まどか、はやく!」

まどか「う、うぅ……。わ、わかりました!」

 横たわったオウガテイルに歩み寄り、神機を構えて力をこめていく。
刀身に赤紫のオーラが集結、刀身のリーチが倍にまで増加する。そしてそれを、
オウガテイルにぶち込む。

まどか「く、くらぇぇぇぇ!!!」

オウガテイル2「がぁぁ....」

エリナ「コウタ隊長、最後のオウガテイルの討伐を確認しました。

コウタ「わかった。これで俺たちの任務は完了だな」

まどか「だいじょうぶ? ほむらちゃん……」

ほむら「え、えぇ……。手の傷も、治りだしてるし」

エリナ「おつかれ、まどか、ほむら。もう休憩していいから」

まどか「うん、ありがとうエリナちゃん」

コウタ『アリサはうまくやれてるかって、心配ないか』

まどか『さやかちゃん、杏子ちゃん、マミさん、アリサさん……。大丈夫かな』

さやか「はぁ!」

杏子「くらぇっ!」

マミ「ふんっ!」

 さやかのロングソードがオウガテイルの胴を切り裂き、杏子のチャージスピアがオウガテイルの脳天を穿ち、
マミのブーストハンマーがオウガテイルの尾を叩き潰す。各々の振るう武器がオウガテイルの体力を蝕み、
力を奪うことに成功していく。同時刻にほむらたちが戦闘を開始してからすぐに、彼女たちはオウガテイルの
1体を討伐した。

アリサ「これで1体目ですね」

杏子「意外に弱かったな」

さやか「杏子ぉ~、前に出すぎ~!」

杏子「さやかだってあたしと一緒にまえでてたじゃん」

マミ「二人とも、回復がおろそかになっていたわよ? 私とアリサさんがどれだけ回復弾うったとおもってる?」

さやか&杏子「「ごめんなさい……」」

アリサ「うふふ。それでは2体目を探して討伐しましょう」

3人「はい!」

 アリサチームは、さやかと杏子ペアとマミとアリサの2班に分かれて探索を行うことにした。
そして見つけた班から攻撃を開始するということだ。

アリサ「それじゃ、回復柱を使うから、回復してから行動開始してください」

 そして探索が始まった。

さやか班―――

さやか「うー……、見当たんないなぁ……」

杏子「そういえばここどこだっけか?」

さやか「えっと……、エリアNからMに続く道だね。ここまで探したけれどぜんぜん見当たらない」

杏子「ぅ……、ん?」

さやか「どうしたの、杏子?」

杏子「し! 静かに……」

 杏子は耳を済ませる。きんきん、ざん、シュっ。金属と生物がぶつかり合う音と、土煙が舞う音を
その耳は捕らえた。あきらかに戦闘を行っている音だ。さらに杏子の耳は、土が盛り上がるような、
そんな微妙な音を足元で捉えた。

杏子「さやか、よけろ!」

さやか「え?」

 地面が隆起し、その中からアラガミが現れる。目的の相手であるオウガテイルだ。
現れた場所はちょうど杏子とさやかを分断する位置。さやかは曲がり角近く、杏子はエリアNに近い位置にいる。

杏子「おいでなすったか!」

さやか「あたしたちのちから、見せてあげる!」

オウガテイル「がぐぁあああ!」

―――アリサ班

アリサ「はぁぁぁ!」タユン

マミ「でやぁぁあ!!」タユン

オウガテイル「がぎゃぁぁぁ!!」

 ……、ほむらがみたら血涙を流して膝を屈するような光景が、今ここにある。
アリサが剣を振るうほど、マミが槌をぶん回すほど、両者の胸が大きく揺れる。揺れて揺れて
揺れて揺れて揺れて揺れまくる。正直、作者である私がこの場にいたら、顔を真っ赤にして
両手で顔を覆い隠し、転げまわっているだろう。いや、確実に回っている。

オウガテイル「がぁぁぁ...」

マミ「アリサさん! ロケット弾いきます!」

アリサ「判りました!」

 マミが銃形態に変形させると同時に、アリサは後ろに下がる。打ち出されたロケット弾は
吸い込まれるようにオウガテイルへと向かい、着弾と同時に大爆発を起こしてオウガテイルを倒した。

アリサ「ふぅ、捕食は済ませましたか?」

マミ「はい。アリサさんのおかげで、とっても戦いやすかったです」

アリサ「そういってもらえるとうれしいわね」

マミ「美樹さんと佐倉さんはうまくやっているかしら……」

―――再びさやか班

さやか「はぁぁ!」ザシュっ!

杏子「くらぇ!」ドス!

 さやかはゼロスタンスの姿勢からの攻撃を、杏子はチャージグライドでの突貫攻撃を
オウガテイルに向けて放つ。足運びをうまく行い、オウガテイルの攻撃を皮一枚でよけては、
何度も自分たちの剣を届かせる。

オウガテイル「がぁぁぁ!!」脱兎

杏子「逃げやがった!」

さやか「にがさない!」

 さやかは剣から銃形態に変形させ、距離を一気につめてショットガンをぶっ放し、
オウガテイルを横倒れにする。

杏子「ナイスさやか!」

 そしてそこにすかさず、杏子がスピアを突き立てる。はぁはぁ、肩で息をしながら
オウガテイルは立ち上がり、なおも逃げようとするが遅かった。すでにさやかはゼロスタンスの、
杏子はチャージグライドの用意を済ませていた。

さやか「たおれろぉぉぉ!!!!」

杏子「くだばれぇぇぇぇ!!!!」

オウガテイル「がぁぁ....」

 苦戦などは一切せず、アリサチームも討伐任務を終了させた。
しかし……。

アリサ「あ、さやかちゃんに杏子ちゃん! おつかれさまです!」

さやか「アリサさん! マミさん! お疲れ様でした!」

杏子「マミ、苦戦しなかったか?」ニタニタ

マミ「しなかったわよ。佐倉さんこそ、前に出すぎて力尽きたんじゃないの?」ニマニマ

杏子「す、するかよ!」

アリサ「あ、コウターー!」

コウタ:ノシ

まどか「さやかちゃ~ん! みんなーー!!」

さやか「お、まどかにほむら! お疲れ!!」

エリナ「ほむら、大丈夫?」

ほむら「えぇ、おかげで傷も治ったわ」

さやか「ほむら、どうしたのその傷! 大丈夫なの!?」

ほむら「えぇ、ついさっき治ったわ」

さやか「治ったならいいけど……、あまり無茶するんじゃないわよ?」

ほむら「えぇ、心配掛けてごめんなさい」

コウタ「とりあえず、これで訓練は終了だな」

アリサ「そうですね。みんな、本当にお疲れ様です」

 訓練が完了し、場が和やかな空気に包まれる。と、そのとき、コウタとアリサの通信機の
ベルが鳴った。

コウタ「あ、ヒバリちゃん? どうしたの?」

ヒバリ『大変ですコウタ隊長、アリサさん! 大型アラガミの反応を複数確認! 出現ポイントは、
    今皆さんがいるポイントです!』

コウタ「何だって!?」

アリサ「何ですって!? コウタ、回収まであとどれだけかかる!?」

コウタ「回収ポイントは今いるエリアDで、回収車が来るのにあと1分はかかる!」

アリサ「っう……、ヒバリさん、あとどれくらいで出現しますか!?」

ヒバリ『出現まで、あと30秒! このままでは、囲まれる危険があります!』

まどか「あ、あの……、なにかあったんですか?」

エリナ「たぶん、想定外のアラガミの反応が出たんだと思う。あのあわてようを見れば、たぶんそう」

コウタ「……仕方ない、アリサ! 俺とここで迎え撃つぞ! エリナ、まどかちゃんたちを守りつつ
    回収車がくるまで持ちこたえて! ヒバリちゃん、アラガミの種類は!?」

ヒバリ『少し待っていてください。えっと…………、ヴァジュラとサリエルです!』

アリサ「ヴァジュラ、サリエル……!」

エリナ「コウタ隊長」

コウタ「エリナ、どうしたんだ?」

エリナ「私はまどかたちをカバーしつつ回収車が来るまで粘り、回収車が到着し次第隊長たちも離脱
    して撤収する、でいいですか」

コウタ「うん、そうだよ。だから頼んだよ、エリナ」

エリナ「はい!」

 エリナがまどかたちを連れてBエリアの長通路に向かっていくのと同時に、
ヒバリの通信が入る。

ヒバリ『気をつけてください、来ます!」

 コウタたちの正面に聳え立つビルの中腹に開いた穴から、赤い6つの鬣を持つ
獅子のような姿をしたアラガミ『ヴァジュラ』が現れた。対してアリサの後方にある
建物の間にできた獣道からは、ドレスを着飾った女性が中を舞っているかのように思わせる
青緑の体色をしたアラガミ『サリエル』が現れる。
 しかし、ヴァジュラにはほかのヴァジュラにはない特徴があった。左目がつぶれている、
“独眼のヴァジュラ”だ。

コウタ「でたな……」

アリサ「残り25秒、耐え切りますよ」

コウタ「言われなくたって分ってるよ。それじゃ、いくよ!」

 エリナを殿にして、まどかたちはエリアBをダッシュで駆け抜けていた。
わき目も振らず、ただひたすらに。

エリナ「みんな! はやく!」

マミ「まって、鹿目さんと美樹さんがまだ!」

まどか「はぁはぁはぁ……」

さやか「ま、まってください……」

エリナ「肩貸すから、はやく!」

まどか「ご、ごめんね……」

ほむら「まどか、つかまって」

マミ「美樹さん、まだいける?」肩貸し

さやか「あ、あたりまえです、って……」

杏子「へたんなよ、この程度で」

さやか「あんたも疲れたって顔してるじゃない」

杏子「そ、そんなわけあるかって!」

エリナ「さ、いくよ!」

コウタ「うぐっ!」

ヴァジュラ「ぶぐぁぁぁ!!」

エリナ「コウタ隊長!」

コウタ「俺たちは大丈夫! だから走れ!」

 コウタとヴァジュラがエリアBの端まで迫ってきて、つい振り向いてしまったエリナ一行。
普通ならすぐに逃げに転じるが、ただ一人だけ、ヴァジュラの姿を見つめてしまったものがいた。

さやか「マミさん……?」

杏子「マミさん! なにしてんだ!」

マミ「ご、ごめんなさい!」

 あのアラガミ、独眼だった……。あのときにパパがつけた、左目に傷のあるヴァジュラ……。
あのときに……、パパとママを……!

マミ「……とき、……を……」

さやか「ど、どうしたんですか?」

杏子「マミ!」

マミ「!」

杏子「今は逃げることだけを考えろ! それ以外のことは後回しだ!」

マミ「そ……、そうね……!」

今回はここまで

おまけ
まどかたちの装備タイプ

まどか
剣:バスター
銃:アサルト
盾:タワー
制御:プロトタイプ
強化P1:なし
強化P2:なし

さやか
剣:ロング
銃:ショットガン
盾:シールド
制御:プロトタイプ
強化P1:なし
強化P2:なし

ほむら
・剣種:ショートソード
・銃種:スナイパー
・盾種:バックラー
・制御ユニット:プロトタイプ
・強化パーツ1:なし
・強化パーツ2:なし

杏子
・剣:チャージスピア
・銃:ブラスト
・盾:バックラー
・制御:プロトタイプ
・強化P1:なし
・強化P2:なし


マミ
・剣:ブーストハンマー
・銃:ブラスト
・盾:タワー
・制御:プロトタイプ
・強化P1:なし
・強化P2:なし

 最後にいまゴッドイーター2周回プレイ中。マルドゥークの爪がでねぇ……(号泣)

コウタ「うぉ! くらえっ!」ドンドン

アリサ「どこを狙っているんですか?」

 コウタがヴァジュラの電撃弾を走って避けながら狙い撃ち、アリサは
サリエルのレーザーの雨あられの中を走りぬいていく。しかし、体のあちこちにかすり傷がある。

ヴァジュラ「がぁぁぁぁ!!!」雷槌!

コウタ「……っつぅぅ、アリサ! あとどれくらい!?」

アリサ「!、時間! 引き上げるよ!」

コウタ「OKぇ~、そりゃ!」パッ!

ヴァジュラ「が、ガァァァ!!!」

サリエル「……!」

アリサ「今のうちに!」

コウタ「判ってるって! それと、ダメ押しのもう一発!」パッ!

―――

まどか「はぁ、はぁ……」

エリナ「まどか、もうすぐで迎えがつくから、がんばって!」

さやか「はぁ、はぁ、この音!」

 ブロロロ... 遠くから何かが走ってくる音がする。車輪が大地を蹴り、何かが疾走してくる
小さな何かを振りながらこっちに向かってくる。

杏子「なんだ?」

ほむら「あれは……、車!?」

マミ「一体誰が……」

????「エリナぁぁぁ! 無事かぁぁぁぁぁ!???!!!!?」

エリナ「この声、まさか……!!」

????「新人の諸君も無事かぁぁぁぁ!?!!!???」

エリナ「エミール!」

エミール「遅くなってすまない。任務から帰ってきたところで、君たちを迎えにいくようにMs.ヒバリから
     言われたのでね。迎えに来たよ、って傷だらけではないか!? さ、早く回収車に!」

アリサ「回収車です、コウタ!」

コウタ「やっとかってエミール!? お前が運転してきたのか!」

エミール「これは、コウタ隊長。お迎えが遅くなってしまい、まことに申し訳ない。
     この埋め合わせはk「よし、早く支部に戻るぞ!」って、口を挟まないでいただきたい!」

コウタ「今はそれどころじゃない! 来た!」

ヴァジュラ「がぁぁぁ!!」

サリエル「ぁぁ………」ふよふよ、クルクル

アリサ「時間を稼ぎます!」パッ!

 アリサがスタングレネードを使ってアラガミの目をくらませ、その間に回収車に乗り込む
まどかたち。車の中で怒号とすすり泣きの声、懇願の声が耳をうつ。

マミ「……」ガクガクブルブル

杏子「マミさん、気をしっかり持って! 弱気になるんじゃねぇ!」

さやか「アリサさん! 早く乗って!!」

エリナ「ちょっと、まだエンジンつかないの!?」

エミール「ちょ、ちょっと待ちたまえ!」

ほむら「うっ、傷に……響くっ……!」

まどか「大丈夫、ほむらちゃん……?」

アリサ「お待たせ!」

エミール「ついた! 隊長!」

コウタ「今乗ってる! 出せ!」

エミール「了解!」

 エミールの運転する車で、ようやく一行は帰路につくことができた。
しかしこれは、ほんの始まりに過ぎない。

―――――めっちゃながいプロローグ 完

やっとこさ導入部分がおわったぁ……

 そよ風。肌を優しくなでる、柔らかな風。荒廃したビル群の合間から除かせる朝日が、神々しく
輝く中で、肌をなでる風がとても愛おしく感じます。かつて、ビルと呼ばれた建造物の建造群は、
人知を超えたもの(アラガミ)たちによって食べ尽くされ、大きな穴をあけられています。

pipipi...

???「まどか、全員配置についたわ」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」

 私が今立っているのは、比較的小さなビルの屋上です。鉄柵の外で風に当たりながら、
みんなが街中の指定された場所に行くのをまっていたのですが、おわったようです。

まどか「ヒバリさん、任務を開始します」

ヒバリ『わかりました、まどかさん。皆さんもお気をつけて』

さやか『わかってますって! まどかだってそうでしょ?』

ほむら『さやか、油断しないの。あなた、2回目の訓練のときにオウガテイル3体に突っ込んで返り討ちにあったそうじゃない』

さやか『そんな昔のことはわすれましたぁー!』

まどか「あははは。それじゃみんな、ミッションを始めるよ! 目的はドレッドパック8体を2箇所、合計16体一斉討伐!
    ミッションスタート!」

 そして私は、ビルの屋上から足を一歩踏み出しました。あの訓練から5日後、わたしはみんなの隊長に
なってしまいました。
 あの実戦訓練があった翌日にアイテムを持ち込んでの訓練を行いました。その結果、私が一番の成績を
修めてしまって、それで隊長になってしまいました。ちなみに戦闘での指揮は、ほむらちゃんと共同して
おこなっています。相手との戦い方についてはほむらちゃんが一番の成績だったので、いざっていう時には、
ほむらちゃんの指示に従うようにみんなにも言ってあります。
 あと、最下位の成績はさやかちゃんです。相手はオウガテイル3体で、みんなと一緒だったのですが、
正面から突撃していって滅多切りにしたあと、オウガテイルの連携攻撃を何度も受けて、回復するまもなく
ミッション失敗し、回収されました。

 何はともあれあの訓練から5日後、今私たちはドレッドパック8体と戦っています。
ん? 無線機がなってる。

pipipi...

さやか『まどかぁ、こちらさやかチーム。8体全部倒したよ~』

まどか「わかったよ! それじゃ、さやかちゃんのチームは早く杏子ちゃんのチームの援護にいって!」

さやか『りょーかい、りょーかい! まかせといてね、まどか隊長♪』

まどか「も、もう……、からかわないでってばぁ」

 あいかわらず二人は早いなぁ。まだ1,2分しかたっていないのに……。
私も負けていられない!

―――

さやか「ぽちっと。それじゃぁ向かうとしますか! ほむら~! 杏子たちのところにいくよぉ~!」

ほむら「捕食っと。わかったわ。私は回復してから向かうから、さやかは先に行ってて」

さやか「おっけー! じゃぁ、先いってるねぇ~!」

―――

杏子「ふぅ~、これで3体目! 素材が大量だぁー!」

マミ「佐倉さん、まだアラガミを全部倒してないんだから無駄口をたたかないで!」

杏子「へいへい、っていうか……、マミさん。最近一体何におびえてんだ?」

マミ「……! 無駄口をたたかないでっていってるでしょ!? 私はお、怯えてなんかいないし、
   焦ってなんていないわよ!」

杏子「…………」

さやか「杏子ぉー! マぁミさーーん!! どうですかぁぁぁ!?」左手ブンブン

杏子「さやかか。そっちは終わったみたいだなぁぁ!!」左手ブンブン

さやか「こっちは終わったよー、ほむらが援護してくれたからさ」

<マミ「……」ぶんぶん

杏子「そっか、あしひっぱてないだろうな」

さやか「そ、そんなわけないじゃん! それより、やるよ! ってうぁ!」

杏子「な、何だ!?」

 さやかと杏子が振り返り、いざドレッドパックと戦おうとしたそのとき、二人の
体の合間を縫って何かが横切っていった。そしてそれがドレッドパックの一体を討った。

―――

ほむら「残り3体……」パスッ

―――

まどか「早く行かないと、また討伐数がビリになってしまうよぉ~」タッタッタ

 私は絶賛迷子中です。みんなが戦っている音は聞こえるけど、どこから聞こえるのかが
判らないです……。みんなどこ~……?

―――――
――――
―――
――


ほむら「ラスト一体……」パスッ

―――

まどか「はぁはぁ、やっとついたってまたかぁ……」

 やっとみんなのいるところに来たけれど、そのときにはもう全部終わってました。
うぅぅ……、みんなにもうしわけないよぉ……。

さやか「あ、まどか! 終わったよぉー!」

まどか「う、うん……。ごめんねみんな、わたしが隊長なのに……」

マミ「大丈夫よ。私たちが負けるわけがないわ」

まどか「ぅぅ……」

 マミさんの雰囲気がいつものとは違う。いつもはおっとりとしたお姉さんみたいな雰囲気だったのに、
あの訓練の日以来から空気が変わってしまったみたいです。

杏子「マミ、まどかが怖がってるぞぉ~?」

マミ「え、あ、あら! ごめんなさい」

まどか「い、いえ……。そ、そういえばほむらちゃんは?」

マミ「暁美さんなら、今はあの建物の中よ」

 マミさんの指差す方向には、壁に穴の開いた建物があり、奥が見通せるようになっていた。
そしてそこには、私の見慣れた姿をした女の子がいました。

ほむら「おつかれさま、まどか」

まどか「ううん、それはこっちのせりふだよ。私はほとんど戦っていないから……」

ほむら「まどか……」

さやか「そういえばまどかの神機についてるナビって、今日が修理完了の日だったっけ?」

まどか「うん、そうだよ? これでやっと地図が判らないなんてことにはならないですむよぉ……」

 少しだけ談笑したあと、やってきた回収車にのって支部に戻り、神機のナビゲーション機能っていうのを
修理しきりました。これでもう迷子にならずにすみそうです。それにしても5日前からマミさんはあの調子……。
正直、心配でたまりません。


――
―――ラウンジ

さやか「あ、まどかぁー!」

まどか「さやかちゃん! やっと神機の修理がおわったよぉ」

さやか「そーかそーか、これでまどかの迷子も無くなるわけだ!」

まどか「うぅ、ごめんなさい……」

さやか「いいっていいって! ん?」

まどか「どうしたの? さやかちゃん」

さやか「杏子が一人でうつむいてる……。めずらしい……」

杏子「……、はぁ……」

さやか「杏子、どうしたの?」

杏子「さやかか……」

まどか「どうしたの杏子ちゃん? 悩みがあるなら聞くよ?」

杏子「ありがとな二人とも。……、どうしたらマミの奴を元気付けれるかって思ってさ……、
   いい案が思いつかなくて……」

さやか「……、あんたも気にしてるんだね……」

杏子「あったりめぇだ。マミは……、あたしとモモの命の恩人なんだからな……」

 ちなみにモモは、杏子の実の妹である。

ほむら「あら、3人とも奇遇ね。何しているのかしら?」

まどか「マミさんをどうやったら元気付けられるのかって、話してたんだぁ」

ほむら「そうなの。それなら私も協力させてくれないかしら?」
   『もう……、友達が苦しんだりするところはもう見たくないから……』

杏子「……、みんなになら、話してもいいかもな……」

まどか「え? 何を?」

杏子「ここじゃ話しづらい。場所かえっぞ」

――杏子の部屋

まどか&さやか&ほむら「「「おじゃまします(~す)」」」

さやか「で、なんについて話すって?」

杏子「マミの過去についてだ」

3人「!?」

ほむら「それは、本当なの?」

杏子「あぁ。だから、このことは他言無用で頼む」

ほむら「わかったわ」

まどか「うん、わかったよ」

さやか「絶対言わない」

 一通り見渡したのち、杏子は重いその口を一言一言言葉をつむぐために動かし始める。
巴マミの過去を語るために。

マミ「!? ……、はぁはぁ……はぁ……」
  「なんで、あのときのことを……。もう、思い出したくないのにぃ……!」

 悪夢を見てベッドから飛び上がる私。気づけば涙さえ流していた。
私はあの後部屋に戻り、ベッドに寝付いた後の記憶があいまいです。けれど、昔のいやな記憶を
夢見ていたということは覚えてる。私のパパはゴッドイーターで、それで……
―――
――


パパー! パパ起きてぇー!

マミ(ロリ)「パパ、朝だよ! おきて!」

マミパパ「う、う~ん……、もう少し寝かせてくれ……」

マミママ「あなた、現場の人たちが来てるわよ?」

(以降、マミ=Mとします。パパ、ママ限定で)

Mパパ「そうか! それなら急がなくっちゃな!」

マミ「またおしごと……?」

Mパパ「あぁ、でも今日は壁作りだ。会いたくなったらいつでも来なさい」

マミ「ほんと!? やったぁぁ!!」

Mママ「マミちゃん? 会いに行くのはいいけれど、邪魔しちゃ駄目よ?」

マミ「はぁぁい!」

 私が昔住んでいたのは、外部居住区の出入り口付近にある防護壁建設のための拠点、通称『寮』とよばれっていたところで、
私のパパはGEの仕事の傍ら、防護壁建設のための仕事もしていた。決して裕福とはいえなかったけれど、
やさしくて強いパパと厳しくもあたたく包んでくれるママと一緒で、とっても幸せだった。けれど……、

 私の人生を狂わせたその日、私はいつものようにパパの仕事場に遊びに行った。ママに持たされた
パパと私の弁当をもって、いつものように遊びに行った。

トントン、カンカン、ダダダッ!

マミ「パパぁ! きたよ~!」

<トントン、カンカン、ダダダッ!

Mパパ「おお、マミ! よく来たな!」

<トントン、カンカン、ダダダッ!

作業員1「マミちゃん、相変わらずパパっ子だな!」

<トントン、カンカン、ダダダッ!

マミ「だって、パパ大好きなんだもん!」

<カンカン、ジジジ、ダダダッ!

作業員2「パパ大好きなんだもん、だってよ! 妬けちまうぜ!」

<ドンドン、カンカン、トトトッ!

作業員3「よ、色男!」

<トントン、カンカン、ダダダッ!

Mパパ「からかうな、そんなことより作業しろ! 工期が遅れてるんだからな!」

<トトト、カンカン、ダダダッ!

作業員s「おう!」

トントン、カンカン、ダダダッ!

――――

 パパや作業員さんたちが壁作りに打ち込んでいる間、私はいつも遊びに来たときに
遊び場にしていた近くの砂場で遊んでいた。しばらくしてお昼時になったそのとき、
血気迫った声とともにママが走ってきた。

Mママ「あなたぁ~!!」

Mパパ「お、Mママか! ここに来るなんて珍しいな。何かあったんか?」

Mママ「はぁはぁ、早くみんな避難して!」

作業員2「どうかしたんすか?」

Mママ「あ、アラガミがっ! アラガミが、ここに向かってきてるって!」

Mパパ「何だって!?」

――――

 骨を踏みしだく音、肉を噛み千切る音、骨を噛み砕く音、皮を切り裂く音。
水分の中を稲妻が走り行く音、断末魔のかなでる協奏曲。鉄筋をくみ上げた
建物の中にある現世の地獄。獅子面をした、雷を操る悪魔が作り上げた地獄。
逃げ惑う作業員たちを背後から襲い、肉を裂き、骨を砕く。血をすすり、皮を破る。
腸を貪り、骸の山を築く。

Mパパ「っく……、ヴァジュラなのに……! 神機さえあれば! お前たちは早く逃げろ!」

Mママ「え、えぇ!」

マミ「ねぇパパは? パパはどうするの!? ねぇ!」

Mママ「早く逃げるわよ!」

マミ「パパも一緒じゃなきゃ嫌! パパ、一緒に逃げようよ!」

Mパパ「マミ、逃げるんだ! 早く!」

マミ「いや! いっしょじゃなきゃいやぁ!」

Mパパ「言うことを聞け!!! マミ!!!!!」

マミ「……!?」

Mママ「行くわよ!」

マミ「いや……! パパ、パパぁぁぁぁ!!!」

 ママに担がれて逃げる私。その後すこしして、パパが二つになった。息ができなかった……。
絶句、憎悪、自己嫌悪、悲哀。それが渦巻いていたのを今も覚えてる。

 どれだけ時間がたったのだろう。気がつけば私の顔の前に、ママの顔があった。
周りを見てみると、何かに隠されているように見えた。

Mママ「マミ、ここにかくれているのよ」

マミ「ママは……? ママは一緒にいてくれるよね……?」

Mママ「……」

ヴァジュラ「グルルルゥゥ……」ドスン、ドスン

マミ「嫌だよぉ……、一緒にいて! ねぇ!」

Mマミ「生きてね、マミ……!」

 ママがアラガミに向かって走っていくのを、私はただ見ているしかできなかった。走っていく途中で
鉄棒をひろい殴りかっかるママ。けれど、聞いている様子はない。振り上げられた大きな手でのなぎ払いで、
ママは吹き飛ばされ、そのあと目の前で……。

ヴァジュラ「がふっ、がふがふっ! ぐちゅ、がぶ!」

マミ『ママぁ……、ママぁ……!』

びちゃっ!

〔ママだった肉の塊〕

マミ『ママぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!』

―――――その日私は、天涯孤独の身になった

―――――
――――
―――
――


杏子「……ってことがあったんだ……」

まどか「……」

さやか「……」

ほむら「……ッ」

 杏子ちゃんの口から語られたマミさんの過去。聞いている途中から、涙がほっぺたを伝っていっている
感触しか感じなかったです。あまりにも重いマミさんの過去、表現できる言葉が見当たらないです。

さやか「杏子はなんで、そのことを……?」

杏子「……、私の過去も、言うべきなんだろうな……」

ほむら「……」

 ここは魔法少女という存在がいない世界。以前の世界までのマミの両親は交通事故で、すでに両親を
なくしていた。そしてこの世界ではアラガミという怪物によって殺されている。死因は違えども、すでに
両親をなくしていたのね。なら、杏子も家庭がらみのことで……。妹が生き残っているらしいから天涯孤独って
わけではなさそうだけれど……、一体何があったのだろう。

杏子「……、私の実家があったのは、エリア見滝原の隣にあるサテライト拠点・エリア風見野にある教会で、暮らしは決して
   豊かとはいえなかった」

ほむら「? そういえばサテライト拠点ってここ最近できたものなんじゃなかったのかしら」

杏子「エリア風見野は、もともと外部居住区の拡張のために作られた居住区を利用して
   作られたサテライト拠点なんだ。そして私たちはサテライト拠点建造前からその居住区に住んでいたのさ。
   もっとも、サテライトとしての風見野には住んでいないけどな」

まどか「防護壁は、あったの?」

杏子「防護壁建造と平行して居住地が建造されていったから、防護壁はないに等しかったね。今でも思い出せるよ。
   いつアラガミに襲われるか判らない恐怖の中で暮らしていた、あのときのこと……」

さやか「そういえば杏子のお母さんってGEじゃなかったっけ?」

杏子「そうなんだけれど、居住区建設の護衛のために派遣されたんだと。お袋からはそう聞いた」




さやか「……、私たちとおんなじだね。そういえばほむら、記憶はどうなの?」

ほむら「……、ごめんなさい」

まどか「いいよ、ゆっくり思い出せばいいから」

さやか「そーだぞ。急いで思い出しても、ろくなことになんないだろうからさ!」

ほむら「そうね、ありがとう二人とも」

杏子「……、そういえば私たちとおんなじって」

さやか「私たちも、杏子と似たような境遇でさ……。まどかとほむらのご両親はGEで私のお母さんもGEなんだけれど、こっちも防護壁の建造の護衛で、ね……」

杏子「そっか、悪いこと聞いちまったな」

まどか「え! いや、謝らなくってもいいよ」

杏子「う、ご、ごめん……。って、また謝っちまった」

ほむら「で、何があったのかしら……」

杏子「そうだな、あれは、およそ3年半前のことだよ」

―――
――


杏子(11)『あれ?お父さん?』

杏子父『……、何故だ、何故こんな年端のいかない子供たちを……』

モモ『またやってるね、お父さん……』

杏子『うん、そっとしておこうか……』

杏子母『あなた、任務いってくるわね』がちゃ

杏子父『あぁ……』

杏子母『杏子、モモ、いいこにしてるのよ?』

杏子『任せといてよ!』

モモ『うん!』

 あたしの親父は優しすぎる人だった。毎日アラガミとGEの戦いを知らせる新聞を見ては、なんで年端の行かない
子供たちや若者がこんな怪物と戦わなくちゃいけないんだって、嘆いてるひとだった。お袋がGEだったことも
あるんだろうけどな。その日はいつものようにお袋が任務に行っていたときのことなんだ。

トントン、トントン

杏子『どちらさまですか?』

怪しい来客『これはこれは……。我らが主の血族よ……』

杏子父『誰だ。新興宗教やセールスはお断りだが……?』

怪しい来客『……、あなたが神に仕える神父であることを見込んでお話があります』

杏子父『……、なんだ』

怪しい来客『我らが主に仕える神父になっていただきたい』

杏子父『……、こ……』

怪しい来客『おっと、断るなんていう選択肢はありません。必ずあなたは私たちの元に来ますよ? 
      今のあなたと同じ考えを持つものは、誰一人の例外なく私たちの同志ですから。それでは、ごきげんよう……』

モモ『何だったの? お姉ちゃん』

杏子『わ、分かんないわよ。何なの? 今の人。……、お父さん?』

杏子父『……、同志』

杏子『お父さん?』

杏子父『あ、あぁ……、すまん』

 その日から、親父は徐々に変わっていいいちまった。親父は次第にそのあやしげな集まりにのめりこんで
いってしまって、私たち家族を省みなくなってしまったんだ。そして……!

杏子母『あなた! やめてください! 離して下さい! あなた!!』

杏子父『うるさい! ……、お前のためなんだ、着いてこい!』

モモ『お母さんが……!』

杏子『後つけよ』

モモ『うん……』

―――

 後をつけてみると居住区の外にある広場に来ていた。そこには黒フードをかぶった人たちと、宙吊りにされた
裸の女性。その手にはGEの腕輪があった。その顔には見覚えがあった。いつも見ていたその顔があった。

杏子&モモ『『お母さん!』』

怪しい来客『これより儀式を行う! 今の世界には神が跳梁跋扈しているが、これは悪の存在ではない!
      穢れきったこの世界を浄化するためなのだ。汚れた存在の私たちを楽園へと導くために、
      この大地が使わされた御子たちなのだ! さぁ、その御子の一員である主に身をささげ、殉教する
      時は今ぞ! この儀式での死は殉教につながり、苦しみのない楽園への導きを受ける!
      さぁ、われらが主をここへ!』

 縄を持った黒ローブの人たちが、中に浮かんでいるドレスを着込んだような姿をした女性のアラガミを連れてきた。
その存在がアラガミだって、すぐにわかった。
 その後、黒いローブをまとった人たちが、アラガミに食べられていくのを見た。ひとり、またひとりと食べられていく
たびに、拍手があがる。ひとり、またひとりと減っていって拍手が減り、最後はお母さんが食べられた。この少し後、
GEの人たちがやってきてアラガミを追い払ってくれた。

―――――

 そのことがあって以来、親父は酒におぼれた。仕事をなげうち、私たちに暴力を振るってばかりだった。
そして最後は……!

――――ッ!

――――ッ!!

モモ『……、ン? お姉ちゃん……?』

モモ『!? お姉ちゃん!』

杏子『ぉお……、や……、ぁ……!』

杏子パパ『ぅぅ……ぅぅ……』

杏子『お、おと……! ぁ、ぅ……、ぁ…………』

モモ『お父さん! やめて! お父さん!!』

 親父に首を絞められていた私を、妹のモモが助けてくれた。そのままだったら死んでいたかもな。
その後何とか家から飛び出して逃げ出したんだ。そのことから少しした後、実家が火事になって全焼したって聞いた。
けれど、これからが地獄だった。

杏子「私たちはその日からさらに食うに事欠くようになった。残飯漁りは日常茶飯事、生ごみを口にするなんてのも、
   そう珍しいことじゃなかった」

3人「! ………」

杏子「近所の人たちに恵んでほしいなんていおうものなら、よくてさっき言った生ごみ、最悪糞尿をぶっ掛けられて
   門前払いさ。私の親父がカルト宗教を言いまわったせいで、街のみんながアラガミに食われたって……。
   私たちも、『アラガミの仔だ』『化け物の仔だ』って罵声を浴び続ける毎日さ」

さやか「ひどい……」

まどか「そんなの、あんまりだよぉ……」えぐえぐ

杏子「あぁ、ひどい毎日だったさ。そんな日がずっと続いて、最後には毎日石礫と罵詈雑言の雨あられにさらされてさ。
   …………、強姦まがいに遭いかけたのもあったから風見野を出る決意をしたのさ」

ほむら「見滝原と風見野の距離って、たしか……」

杏子「だいたい300M。当時はまだサテライト拠点にはなっていないからもっとあった。それに防護壁の守りも
   なかったから、まさに命がけさ」

まどか「……」

杏子「まぁ、私の五感を極限まで研ぎ澄ませたのもあるけれど、神懸りなほどに運がよかったからか、
   アラガミに遭遇せずに住んだんだけれどな。でもそのときすでに私たちは虫の息さ。そのとき、いつ死ぬとも知れない
   恐怖の中にいた私たちを助けてくれたのがマミだった」

―――マミの部屋

マミ「……」ベッドの上
  『仇、見つかったのに……。戦うのが怖い、怖い……!』

 ベッドの上でうずくまるマミ。独眼のヴァジュラのことを思うかべるたびに、幼いころに目にした
惨劇がよみがえる。そのたびに恐怖が身を打ち、背筋を凍らせる。鳥肌を立たせ、戦う意志を挫いていく。
そんなとき、ベッド横の小さなタンスにある本棚に目が留まる。

マミ「これ……、小さいときに好きだった本だ。懐かしい……」

マミ「これって確か、魔法少女になった女の子が困っている人を助けていく、って話だったっけ」

 読み進めていけばいくほど、のめりこんでいく。しかし、のめりこんでいくほどに涙があふれる。
幼いころの惨劇が脳内で再生されるほかに、もうパパとママのぬくもりを感じられない、感じることが
できないことに悔しさと悲しみがあふれてくる。気づくころには本はもう読み終わっていた。

マミ「……、パパ、ママぁ……」

ゴトッ、ぺら、トス

マミ「?」

ほんの隙間から、紙が一枚滑り落ちてきた。

『マミへ』

マミ「これ、パパとママの手紙だ……!」

――ラウンジ・少し前

エリナ「あれ? まどかたち、何はなしてるんだろう」

エリナ「まどか、何はなしてたの?」

――マミの部屋

マミ「……、ママぁ……、パパァ……、うぅ、うぅぅぅ……!」

 マミの両親の手紙。そこに書かれていたのは、自分たちが死んでしまった後に残されるマミの身のことを
案じるものだった。マミの父親と母親がどうやって自分の死を感じ、このような手紙を残したのか。それは
マミには判らない。しかし、マミにとってこの手紙は、自分の折れ掛けの心を立ち直らせるには充分だった。

マミ「パパ、ママ、私、がんばってみる……。自分ひとりで背負うんじゃなく、みんなで支えあって生きるよ。
   でも、そのためのけじめをつけたい。だからお願い、パパ、ママ、私に力を貸して……」

 手紙を懐に、決意を胸にしまい、マミはみんなのいるラウンジへ足を運び始める。自分の今までと決別するために、
自分の両親の敵をとるために。そして何より、自分自身が変わるために。

マミ「……いってきます!」

マミパパ『……、マミならできる』

マミママ『……、気をつけてね』

マミパパ&マミママ『行ってらっしゃい、マミ』

――ラウンジ

ほむら「そんなことを私たちに話してどうするつもり?」

杏子「あたしマミさんの力になりたいんだ……。助けられた借りを返したいんだ。だから……!」

 席を離れ、まどかたちの前で直立する杏子。そしてそのまま勢いよく、その腰をまげて頭を下げた。

杏子「頼む!! マミさんの力になってくれ! こんなことしかいえないけど、今のマミさんには
   まどかたちが必要なんだ! もしただじゃ駄目ってならこのカラダをくれてやるから! だから……、
   だから……!」

??「佐倉さんって、そんなにも他人思いだったのね。知らなかったわ」

さやか&まどか「マミさん!」

杏子「もう大丈夫なのか?」

マミ「えぇ、心配かけてごめんなさい。でももう大丈夫! わたし、もう一人じゃないってやっと気づいたから」

杏子「そっか……、そっか……、よかった」

マミ「佐倉さん」

杏子「な、なんだよぉぉ!? ちょ、マミ!?」

マミ「ありがとう。こんなにも思ってくれて、ありがとう」

 マミの腕の中に取り込まれた杏子が、その顔を赤らめ、そしてやがてその顔は苦しみに染まることになる。
抱きしめる強さが増していったために、特に胸が。

杏子「いたたたた痛い! 痛いって!」

マミ「あ、ごめんなさい! つ、っつい……」

杏子「まったく。まぁ、復活したんならいいっか」

マミ「自分で言うのもあれだけどね。それと、」
  「私からも、お願いするわ。みんな、私に力を貸してくれないかしら」

ほむら「巴マミのお願いなら、拒否する理由がないわね」

さやか「あたしたちでいいなら、どこまでもお供しますよ!」

まどか「もちろんです!」

マミ「みんな……。本当にありがとう!」

アナウンス『警報! アナグラから60kmの贖罪の街に、独眼のヴァジュラとサリエルを確認! くりかえす……』

杏子「どうやら、お出ましのようだぜ」

マミ「それじゃ、いくとしましょう!」

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