まどか「それはひょっとして」さやか「ギャグで言っているのか!?」 (180)

注意

・魔法少女まどか☆マギカのキャラと魁!!クロマティ高校の世界観を合わせた何か

・キャラ崩壊上等

・おりこ☆マギカとかずみ☆マギカのキャラも出ます


前作 まどか「魁!!見滝原中学校」
まどか「魁!!見滝原中学校」 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432478504

第1話


悪魔ほむら(私は摂理を乱しこの世界を蹂躙する存在)

悪魔ほむら(希望よりも熱く絶望よりも深い愛で神様を貶め力を奪った悪魔)

悪魔ほむら「そんな存在に身を堕としたとしても、私は望んだ世界を手に入れるのよ」

さやか「それはムリな話だね。この世界はあんたの思い通りにはならない」

悪魔ほむら「美樹さやか! それは一体どういうことなの?」

さやか「ある並行世界の見滝原中を中心に凄い歪みがあるんだ。あの歪みがある限り周りの並行世界は毎日が因果の学級崩壊さ」

悪魔ほむら「並行世界の見滝原中……? でもそんなに凄い歪みなら魔獣が黙ってないでしょう?」

さやか「あまり大きな声じゃ言えないけど魔獣はあの世界を恐れて逃げ回っている」

悪魔ほむら「なんですって!? あの魔獣が……」

悪魔ほむら「一体どんな世界だって言うの?」

さやか「行けば分かる」

悪魔ほむら(行けば分かる?)

悪魔ほむら(でも魔獣はいないと言うし、円環の理が干渉してるから魔女も使い魔もいないはず)

悪魔ほむら(行けば分かる歪みなんて……)



 見滝原中学校 教室


薔薇の魔女の使い魔アントニー「……」

悪魔ほむら「いた!」

悪魔ほむら(いやいや、一旦冷静になって考えてみましょう)

悪魔ほむら(円環の理によって魔女は生まれる前に消滅した。だから魔女も使い魔もいない。これは宇宙の法則にも匹敵する絶対的な真理よ)

悪魔ほむら(……うん、さっきのは気のせいね。間違いないわ。気を取り直してもう一度見てみましょう)


アントニー「…………」

悪魔ほむら「…………」

悪魔ほむら(やっぱりどー見ても使い魔じゃないの!)


アントニー「…………」

まどか「フレディくん、そこは私の席だよ!」

さやか「ってゆーか。そもそもフレディはうちのクラスじゃないでしょ!」

悪魔ほむら(しかもなんか馴染んでる!)


アントニー×10「…………」

悪魔ほむら(増えてる!!)

悪魔ほむら(これって円環の理、改変失敗したんじゃないの?)

悪魔ほむら(私のせいなの? もしかして取り返しのつかないことしちゃったんじゃ……)

まどか「あれ。そんなとこでどうしたの、ほむらちゃん?」

さやか「ちょっとあんた、そんな薄い服着てたら風邪ひくよ」

まどか「酷い汗だよ!? 良かったらこのタオルで拭いて」

悪魔ほむら「ありがとう……あら、とてもいい肌触りね」

さやか「少しは落ち着いた?」

悪魔ほむら「ええ」

まどか「あっ……! ごめんね、ほむらちゃん。それタオルじゃなかった」

悪魔ほむら「何を言ってるのよ。こんなふわふわで吸水性バツグンの布がタオルでなくて一体なん……」

薄く引き延ばされたアントニー「」

悪魔ほむら「…………」

 叛逆後世界


さやか「で、どうだった?」

悪魔ほむら「うーん。何て言ったらいいのかしら……とにかく早く忘れたい」

※汗を拭いたと思ったらルミナスしてました。

第2話


さやか「ふーんふふふんふーふーん」

さやか「ふーんふふふんふーん」

さやか「っていう曲なんだけど、恭介知らない?」

上条「……いや」

さやか「それで続きは」

さやか「ふーんふふーふふーんふーん」

上条「もういい!」

さやか「何の曲か分かったの?」

上条「違う!」

上条「なんでさやかは毎日のように僕に鼻歌を聴かせるんだ。嫌がらせのつもりなのか?」

さやか「だって恭介、音楽好きだから」

上条「もう聞きたくなんかないんだよ! 曲名も分からない下手な鼻歌なんて!」

さやか「分かった。……じゃあ曲名が分かったらまた歌いに来るね!」

上条「だからもう来なくていいって!」

 教室


さやか「ふーんふふふんふーふーん」

さやか「ふーんふふふんふーん」

さやか「って曲なんだけど知ってる?」

ほむら「さあ……」

仁美「でもどこかで聴いたことがある気がするのですが……」

さやか「困ったなぁ。恭介もすごく気にしてたし、なんとか突き止めたいんだけど」

まどか「分かったよ、さやかちゃん!」

さやか「まどか、それホント!? これは一体何ていう曲なの?」

まどか「あ、曲名は分からないんだ。でもその曲は知ってるよ」

さやか「それじゃ意味ないじゃん!」

まどか「でも確かボーカルは女の人だったような……」

ほむら「それは重要な手がかりになるわね。さやか、何か思い出さない?」

さやか「あ、いや。あたしのふーんふふふんふーふーんはクラシックだよ。ボーカルなんてないから」

まどか「そっか。ごめんね、それじゃあ私のかん違いだったみたい」

まどか「……ちょっと待って! じゃあ私のふーふふふふふふーンふーは何て曲なの?」

一同「…………」

仁美「ここで私たちが話し合っていても話が進みませんわ」

まどか「クラスのみんなにも聞いてみよう。知ってる人が居るかもしれないよ」

さやか「ふーんふふふんふーふーん」

不良「確かに聴いたことはある。けどなんだったけなぁ……」

不良「あ~クソッ! なんとしても曲名を思い出さなきゃオレたちもすっきりしないぞ」

中沢「もうどっちでも良いなんて言ってる場合じゃない。ちょっと他の奴らにも聞いてくる」

まどか「ありがとう、みんな!」



「ふーんふふーんふーんふふーん、ふーんふふーんふふーん」

「違うだろ! そういう遠き山に日が落ちるような感じじゃなくてもっとこう……」

「ふっふっふーんふっふっふーふふっふっふーん、だろうが!」

「あ!? だからそんな情熱的な大陸っぽいやつじゃねーよ! 転がすぞ!」

「ふーんふーんふーふーふーん、ふふふーふんふーふふふんふんふーふーふーん」

「リボンで簀巻きにして紅茶に沈めんぞコラ!」

さやか「うーむ。解決するどころか名前が分からない曲がどんどん増えていく」

ほむら「これどう収集つけるの?」

仁美「バラバラに歌っていてはまとまるものもまとまりませんわ」

まどか「だったら全員で一斉に歌ってみたらどうかな? それぞれ担当の楽器を決めてさ」

ほむら「そこまで本格的にやるなら指導者が必要かもしれないわね」

さやか「指導者かぁ……」

 病室

仁美「ヒューヒュヒューヒュヒューヒュー」

中沢「ぽろんぽろん」

仁美「ヒューヒュヒューヒュヒュー」

ほむら「ツツツツツツツツツツツツ」

まどか「ぱしーん」

さやか「キィーキキキィキーキィー」

さやか「キィーキキキィキィー」

ほむら「ツツツツツツツツツツツツ」

まどか「ぱしーん」

全員「ふーん ふ ふーふ ふーん ふーん!」

全員「ふーん ふ ふーふ ふーん!!」



さやか「っていう感じなんだけど専門家の立場からなにかアドバイスはない?」

上条「まずは全員病室から出てけ」

※病院ではお静かに。

今日はここまで

第3話


さやか「大変だよまどか! また現れたんだよ、凄いワルが!」

まどか「もういいよ、さやかちゃん。この学校にはフレディくんを始めとするそうそうたるメンバーが揃ってるからもう何が出てきても驚かないよ」

さやか「ふっ、そんなセリフは奴を見てから言いなよ」

まどか「はいはい。見ればいいんでしょ見れば」


メカずみ「よっこいしょ」


まどか「…………」

さやか「どう思う?」

まどか「う~ん、どう思うって聞かれても……」

女子生徒「メカずみちゃん。ちょっといい?」

メカずみ「どうしたの?」


まどさや(メ、メカずみ~~!?)


女子生徒「メカずみちゃんってたくさん食べてるのに太らないよね」

メカずみ「そういえば生まれたときから体重変わってないかも」


まどさや(生まれたときから!?)


女子生徒「いいなあ。肌も毛穴なんて全然ないし。ちょっと触ってみていい?」

メカずみ「えー」

女子生徒「いいじゃん、ちょっとくらい。うわー、肌が研磨したみたいにつるつるしてるー」

メカずみ「……それ、わたしじゃなくてドラム缶だよ」

女子生徒「なっ……!」


まどさや(全く区別が付かない!)

メカずみ「許さーん!」

不良「ぐえっ!」

メカずみ「バカ! あれほど体に良くないことはしちゃダメって言ったでしょ!」

不良「ご、ごめんメカずみ……オレ、どうしても我慢できなかったんだよ……」

メカずみ「別にあなたがどうなったってかまわない。……けどね」

メカずみ「あなたが生きるために食べてきたたくさんの命や育ててくれたお母さんの苦労を考えたことある? それを無駄にしてもいいの?」

不良「ううっ……オレが悪かったよ…………」


まどさや(いいこと言ってる!)


不良「こんな俺たちのために親身になってくれるなんて、メカずみはホントにいい奴だよな」

不良「やっぱりメカずみにはかなわねぇな」

メカずみ「ちょっとやめてよ。わたしはみんなのことを家族<ファミリー>だと思ってる。ファミリーとして当然のことをしただけだから」


まどさや(ファミリー?)


メカずみ「わたしの目が黒いうちはみんなを絶対に不幸になんかさせないよ」


まどさや(カッコイイこと言ってる! でも黒目どこ!?)

不良「メカずみ、ひとつ頼みがあるんだが」

メカずみ「うん。わたしに出来ることなら何でも言ってよ」

不良「実は今日、どうしても録画したい番組があるんが操作が分からなくて……」

メカずみ「あ、それはムリ。わたし、機械オンチだから」


まどさや(機械オンチ?)


メカずみ「そりゃあわたしだってみんなの頼みだったら何でも聞いてあげたいよ」

メカずみ「でも機械だけはダメなの」


まどさや(……そんなワケないでしょ!!)


不良「悪い。何となくお前は機械に強そうな気がしてな」

メカずみ「それは単なる先入観だよ」

不良「そうか……けどボタン1つで大抵のことはできるこの時代で機械に弱い俺たちって損してるよな」

メカずみ「でもわたしは機械に頼りすぎてデジタル化された世界って好きじゃないんだよね」

メカずみ「このままじゃわたしたち機械に支配されちゃうよ!」


まどさや(それはひょっとしてギャグで言っているの!?)

女子生徒「ねえ、メカずみちゃん。ちょっと話があるの」

メカずみ「何?」

女子生徒「私、初めてあなたを見たときから気になって気になってしょうがないことがあるんだけど……」


まどさや(ついにツッコむの!?)


女子生徒「正直私はこの現実を認めたくなかったし、なんとなくメカずみちゃんには言いづらかった。きっとクラスの皆もそうだと思う」

女子生徒「だけどもし私の思ってることが正しければこれは大事件だよ。これ以上うやむやにすることはできないわ」

女子生徒「だけどこれを言ったらあなたは傷つくかもしれない……」

メカずみ「もう、そんなに大事なことなら早く言ってよ。わたしは何言われたって気にしないから」

女子生徒「そう……? なら1回しか言わないからよく聞いてね」


まどさや(やった! やっとツッコんでくれる!!)


女子生徒「メカずみちゃん……」

女子生徒「あなた、全裸よ」

メカずみ「きゃっ」


まどさや(確かに大事件だ! けど違う!!)

※ちょっとHなシーンで大きなお友達人気を狙いました。

第4話


見滝原市にも勝るとも劣らない悪の巣窟、あすなろ市。
その魔境に今、新たなる悪の傍若無人グループが誕生しようとしていた。
その名もプレイアデス聖団。

ミチル「プレイアデスは夜空に輝く星座の七姉妹だよ! 私たち7人にピッタリの名前でしょ」

ミチル「じゃあ早速点呼を取るよ」

ミチル「1」

サキ「2」

みらい「3」

海香「4」

カオル「5」

里美「6」

ニコ「7」

カンナ「8」

一同「…………」

一同「8人いるよ……」

サキ「なんてことだ! ミチルがせっかくカッコいいグループ名をつけたのに、まさかこんな悲劇が起きようとは!」

海香「契約前に数えたときは7人だと思ったのだけど……」

ニコ「嘆いていても始まるまいよ。対応策を考えようじゃないか」

里美「ミチルちゃん。8人用の新しい名前は何かない?」

ミチル「全然思いつかな~~い!」

みらい「じゃあどうすんの? 8人なのにプレイアデス聖団なんて堂々と名乗るの?」

海香「それはちょっと……」

みらい「だったら誰かを外して7人にするっての?」

カンナ「あの……じゃあ私が抜けるので」

みらい「ちょっ、ボクはそんなつもりで言ったんじゃないよ!」

里美「そうよ。そんな寂しいこといわないで」

カンナ「いえ、さっきはつい勢いで点呼したけど、本当は私ただの通りすがりなので……というかそもそもなんで私ここにいるんだろう?」

ミチル「通りすがりで私の家に上がり込めるわけないでしょ? 私たちに気を遣わせないようにそんな嘘ついたんでしょうけど、私の目は誤魔化せないよ」

ニコ「カンナ、君は誰かに望まれてここにいる。誰も追い出そうなんてしないさ」

カオル「そうだよ! だから自分を犠牲にプレイアデス聖団の名前を守るなんで考えちゃ駄目だ!」

海香「そうね。絆を深めるために付けた名前のせいで誰かを仲間はずれにするなんて本末転倒もいいとこよ」

カンナ「いや、だから……」

サキ「カンナとか言ったな。聖団を抜ける必要は無い。なぜなら私はこの問題の完璧な対応策を思いついたからだ」

ミチル「サキ、それホント!? 一体それはどんな方法なの?」

サキ「簡単なことだ。ここにいる全員がプレイアデス聖団が8人であることを忘れればいい」

一同「…………」

里美「え? それで問題解決するの?」

サキ「実際さっき点呼をして8人いることが発覚するまでは何の問題も無かっただろ」

カオル「確かにそうだけと、ホントにそれでいいのか!?」

海香「えっと……ともかくサキは私の魔法でみんなの記憶からプレイアデスの人数を消し去ることを提案してるのね」

サキ「思い違いをするな! 今試されているのは聖団の絆だ。この件に関しては自力で忘れなければ意味がない!」

海香「……いや、自力で忘れるのは無理でしょ?」

サキ「もっと自分たちを信じろ。お前達なんて英単語なら1日あれば余裕で忘れられるだろ? プレイアデスの人数だって頑張れば忘れることが出来るはずだ」

カオル「うーん。そう言われるとそんな気がしてきた……」

サキ「だろ?」

みらい「分かった。サキの期待に応えるためにも頑張るよ」

サキ「うむ。というわけで、明日のプレイアデス定例会議までに各々忘れてくるように。以上、解散」

ミチル「いつの間にかサキがリーダーみたいになってる……」

 翌日

サキ「さてみんな。私たちは昨日プレイアデス聖団が8人いる問題について話し合ったが、そのことは覚えているだろうか」

海香「……ええ」

サキ「よろしい」

サキ「で、ここからが本番だ。その場で私はプレイアデス聖団が8人いることを忘れるように言ったわけだが、皆ちゃんと忘れてきただろうか」

ミチル「もちろん。ばっちり忘れたよ!」

里美「……ってミチルちゃん。それ覚えてるってことじゃないの?」

ミチル「あっ、確かに言われてみればそーだね」

一同「……」

カオル「っていうかサキ。何考えてるんだよ! いちいちそれ確認してたら忘れたくても忘れられないじゃないか!」

サキ「なっ、私のせいだと言うのか!?」

ニコ「どっちにしろ簡単に忘れられることじゃないね」

サキ「ったくしょうがない奴らだな。ここは荒療治が必要のようだ」

海香「どうするの?」

サキ「プレイアデス聖団の人数なんかどうでもよくなるようなインパクトのある出来事を経験すればいいんだよ」

カンナ「でもそんな都合良くイベントが起こる?」

サキ「そう言うだろうと思って私は妙に物知りなこいつを連れてきた。おい、QB。何か衝撃的な話はないのか?」

QB「じゃあこんなのはどうかな? 実は僕は契約の際、君たちの魂を抜き取って、ソウルジェムに変えてたんだ」

QB「つまり君たち魔法少女の身体は、今となっては外付けのハードウェアでしかないんだ」

一同「……………………」

一同「はぁぁああああああ!?」

ミチル「ちょっとQB! 聞いてないよ!!」

QB「聞かれなかったからね」

みらい「ふざけるな! 小学生かお前は!」

海香「そうよ! そういう大事なことは事前に相談するのが社会人としての常識でしょ!」

QB「ならついでに言うと、魔法少女はソウルジェムが濁りきると魔女になるんだ」

一同「はぁぁぁぁあああああああああ!!!?」

QB「それと聖カンナ。君はこれまで普通に十数年生きてきたと思っているかもしれないけど、実際はニコの願いによって昨日生み出された存在だ」

カンナ「ちょっと何なの? それどういうことよ!!?」

サキ「うーむ。予想以上に衝撃的な事実に私もかなり困惑している」

カオル「衝撃的過ぎるだろ!!」

サキ「各自心の整理をする時間が必要だろう。よって今日のプレイアデス定例会議はここまで。解散!」

 翌日

サキ「お前達、昨日のQBの鬼畜発言については覚えているか?」

みらい「当たり前だ! あいつ今度会ったら転がしてやる!!」

ニコ「奴さん前から動物っぽいと思っていたが、マジの鬼畜だったようだね」

カンナ「私はQBよりお前を許さない! 絶対にだ!!」

サキ「どうやらみんな昨日発覚した事実で頭が一杯のようだな」

里美「それはそうよ! 今は他のことを考えてる余裕なんてないわ」

サキ「ふむ。ということは、プレイアデス聖団が実は8人ということは無事忘れたわけだな」

一同「………………」

カオル「なんでそれを言うんだよ! せっかく忘れかけてたのにさ!」

海香「ああもう! サキのせいで始めからやり直しよ!」

カンナ「余計なこと言わないでよ!」

サキ「ったく何でもかんでも人のせいにしやがって。教えてやるよ。なぜお前らがプレイアデス聖団の人数が忘れられないか」

サキ「それはお前達の居場所がここしかないからだ」

カンナ「はぁ?」

サキ「居場所がないから組織の人数だとか細かいことを忘れられないんだ」

ニコ「一理あるが、そりゃどうすることも出来ない」

サキ「諦めてどうする? 居場所がなければ作ればいいだろ」

サキ「というわけでお前達、次回までに新しい友達を作ってこい」

みらい「なんでだよ!?」

サキ「居場所さえあればここでの出来事を軽く受け止めることができる。加えて友達がたくさんいれば聖団の人数など気にならなくなる」

サキ「完璧な解決法じゃないか」

海香「でもサキが自信満々に言う事って当てにならないのよね」

サキ「何を言っているんだ!? 私はお前達のために言っているんだぞ? 私を信じろ!」

 一ヶ月後


サキ「ここのところみんな友達作りに忙しくて、今日久しぶりに顔を合わせたわけだが、まずは一人ずつ近況でも聞こうじゃないか」

ミチル「わたしはすごく美味しいレストランを見つけて思わず強引に弟子入りしちゃった。そこのシェフは立花さんっていうんだけど、いろんな料理を教えてもらったよ」

みらい「ボクは見滝原で偶然すごく気が合う子と出会ったんだ。鹿目まどかっていうぬいぐるみが好きな子で今度ボクの友達を紹介する約束をしたんだよ」

カオル「あたしは久しぶりにあたしを怪我させちゃった子に会いに行った。まだお互い負い目はあるけど、これからいい友達になれそうな気がする」

海香「私の小説を改変して自分の著作にしたアイドルに会いに行ったわ。彼女も大人達の言われるがままの自分でいることに悩んでいるみたい。メアド交換して今もときどきメールしてるわ」

里美「私はいっぱい友達(ネコ)とお話ししたよ。みんなは人間よりもずっと寿命が短いけれど、それを不幸だなんて思ってなかった。ただ、今を一生懸命に生きてるの」

カンナ「私はメカずみっていう、すごくシンパシーを感じる子と友達になったわ。その子と話してると不思議と自分の悩みが小さく感じるのよね」

ニコ「私はカンナと両親に会いに行ったよ。私のこと、カンナのこと、魔法のこと、全部話して、生まれて初めてこっぴどく怒られたよ。信じてもらえるとは思ってなかったから驚いた」

サキ「みなそれぞれ充実した生活を送っているようだな。私も自分のことのように嬉しい」

ニコ「友達を作る目標は達成できずじまいだったが」

サキ「それは些細なことだ。自分の居場所があり、自分をしっかり持つことが大事なんだ」

ミチル「確かにサキのおかげで充実した生活を送ることが出来た。それはすごく感謝してるよ」

ミチル「でもそもそもわたしたち、なんでこんなことしてたんだっけ?」

里美「えっと……確か絆がどうとかいう話じゃなかった、サキちゃん?」

サキ「そんな気もするが正直あまり覚えていない」

海香「まあ、でもいいじゃない。過ぎたことをあれこれ考えたって過去を変えられるわけじゃない」

カオル「そうだよ。大切なのは今を全力で生きること」

サキ「そう、その通りだ。ようやく分かってくれたようだな。回りくどくなったが、私が言いたかったことは正にそれなんだ」

みらい「やっぱりそうだったんだ。ありがとう、サキ!」

サキ「本当に良かった。よし、この話はこれで終わりにしよう」

サキ「で、話は変わるけど」

サキ「みんなプレイアデス聖団が8人ってこと、ちゃんと忘れたか?」

一同「だからそれは言うなよ!!」

※絶望しなさそーな人達だ。

第5話


見滝原の隣、風見野の頂点に立つ魔法少女、佐倉杏子。
彼女はケンカが強いだけではなく、実は「お笑い」にもとてもうるさい少女であった。
しかし、そんな彼女のお笑い人生を狂わす事件が今まさに起きようとしているとは誰も知る由がなかった。


 マミホーム

マミ「どうぞ召し上がれ」←前作から髪が伸びて元通りになったマミさん

まどか「マミさん、このケーキとってもおいしいです」

ほむら「それにこの紅茶を飲むととても心が落ち着くわ」

さやか「まるで実家にいるような安心感だね」

まどか「さやかちゃんはくつろぎすぎだよ」

仁美「ふう……クリーミーなレアチーズとオレンジソースの程良い酸味と香りがアールグレイを引き立てていますわ」

杏子「そんな難しいこと考えなくてもうまいもんはうまいでいいじゃん」

マミ「ふふ、確かに美味しくて楽しいお茶会が一番ね」

さやか「そうそう、楽しいのが一番。あ、楽しいと言えば……マミさん、テレビ点けていい?」

杏子「何か見たい番組でもあるのか?」

ほのぼの爆笑コメディ ベベタン


ゆま「ベベタン、ベベタン。尊敬してる人っている?」←ネコ耳

なぎさ「ベベタンに聞く前に自分の尊敬する人を言うのが礼儀です」←モコモコのかぶりもの

ゆま「事務所的には一応パパってことになってるよ」

なぎさ「ありきたり過ぎます。それならいっそ悪魔とかにした方がまだマシなのです」

ゆま「いくらなんでもそれはないよ~」

なぎさ「でも悪魔がこの世界に来た影響でなんだかんだあってなぎさは人間に戻れたのです」

ゆま「ちなみになぎさっていうのはベベタンの中の人の名前だよ」

なぎさ「なぎ……ベベタンはメタネタが嫌いなのです」

ゆま「せっかくフォローしてあげたのに~。もう! ベベタンのいじわる~~~!」



杏子「……………………」

杏子(つまらねえ……)

杏子(こんなつまらねえ番組作って金もらってる奴がいるのか。ある意味犯罪だぞ)

杏子(こんな番組を見て笑う奴の気が知れん)


さやか「あははははははは! おもしろ~い、超ウケル~~!」

杏子「ふん!」

さやか「ああっ!? あたしのケーキがいつの間にかなくなってる!」


杏子(さやか! お前も芸人候補ならもっと笑いを見る目を養え!)

杏子(こんな番組を見せられるこっちの身にもなってみろ。これじゃせっかくの楽しいお茶会がお通夜になっちまうじゃねーか)


マミ「やっぱりベベタンは最高よね!」

ほむら「私も毎週欠かさず録画して見てるわ」

仁美「私BD全巻揃えましたわ」

まどか「わたしなんてぬいぐるみまで買っちゃったよ!」


杏子(…………)

杏子(……もしかしてあたしの感性がおかしいのか?)

杏子(いや、そんなはずはねえ! そんなはずはないが、もしかしたら何かしらの見落としがあったのかも知れん)

杏子(……とにかくもう一度、今度はよく注意して見てみよう)

なぎさ「そんなことよりお前の父ちゃんのどこが悪魔より尊敬できるのか説明を求めます」

ゆま「私のパパは小学生くらいの心を忘れずに大人になったの」

なぎさ「確かにそれは素晴らしいのです。でもそれでは悪魔には勝てません」

ゆま「どうして?」

なぎさ「なぜならその悪魔は中学生なのです」

ゆま「そっか。これはベベタンに一本取られたね」



杏子「……………………」

杏子(つまんねえ上にワケわかんねえ!!)

杏子(改めてみてもやっぱり全然面白くねえ)

杏子(しかしつまらんの一言で片付けてしまうのは素人のやることだ)

杏子(落ち着け! 考えろ! この番組の隠れた面白さの秘密を……!)


マミ「いつ見てもベベタンはカワイイわね……」


杏子(カワイイ…………は!?)

杏子(そうか!! 分かったぞ!! この番組の人気の秘密が!!)

杏子(要は幼女とかぶりものというカワイイ同士の組み合わせが受けたワケだ)

杏子(つまりこの番組がお笑いとして優れているわけではなく、視聴者は単にカワイイから見ているだけに過ぎん)

杏子(そう考えるとこんな番組なんか、もう何も怖くない!)

杏子(気を取り直して続きを見てやろうじゃないか!)

おじさん「え~~、じゃ、この番組で一番の人気コーナー! フリートークの時間です」

おじさん「何かしゃべることある?」

オヤジ「いや、別にねえな……」


杏子「……………………」



 その夜

杏子「誰だよあのおっさん達……」

※いや知らないよ……。

第6話


全国のワルどもが集まる悪の巣窟、見滝原中学校。
暁美ほむら等の活躍によりワルプルギスの夜が倒されてからも、その荒廃は止まることを知らなかった。
そして混迷を極める見滝原中に新たなる脅威が迫ろうとしていた。


マミ「……魔法少女狩りですって?」

杏子「ああ、あくまで噂なんだがな」

さやか「まあ、例えそんな奴らが来てもマミさんに返り討ちにされるのがオチだね」

まどか「駄目だよさやかちゃん。私はどんな相手であろうと暴力を用いて解決することには反対だよ!」

ほむら「そうね。戦わずに済むならそれに越したことはないわ」

マミ「でもどうやって衝突を回避すればいいのかしら」

杏子「いっそ変装でもするか?」

さやか「変装と言えばサングラスだね! さっそく買いに行かなきゃ」

まどか「さやかちゃん、サングラスは校則違反だよ」

杏子「あの学校でいまさら校則違反もないだろ……っていうか校則に反しないでどう変装すんだよ」

まどか「うーん。髪型を変えてみるとか?」

ほむら「でもそれだと変装としては弱くない?」

マミ「それでも何もしないよりはマシよ。髪型だけで敵の目を誤魔化せるとは思わないけれど、こういった小さな積み重ねが大事だと私は思うわ」

さやか「そうだね。それじゃあ、とりあえず明日はみんな新しい髪型にして登校しよう」

 翌日

マミ(ストレートヘア)「鹿目さん、おはよう」

まどか(センター分け)「あ、おはようございます先輩」

マミ(……先輩?)

マミ(ストレートヘア)「鹿目さん。いつもの可愛らしいツインテールもいいけど、その髪型もアリね。なんだか大人っぽく見えるわ」

まどか(センター分け)「えへへ、ありがとうございます。とっても嬉しいです!」

まどか(センター分け)「でも先輩の方がずっと大人っぽいし素敵だし……」

マミ(先輩……)

マミ(ストレートヘア)「鹿目さん、1つ聞いてもいいかしら?」

まどか(センター分け)「はい。何ですか?」

マミ(ストレートヘア)「私の名前って言える?」

まどか(センター分け)「……………………」

マミ(ストレートヘア)「……………………」

マミ(ストレートヘア)「またこのパターンなの!?」

まどか(センター分け)「ごめんなさい……」

マミ(ストレートヘア)「あ……謝らなくていいのよ。人の印象って髪型ひとつで大きく変わるものだもの」

マミ(ストレートヘア)「でもこの調子だと他の子たちのことも分かるか心配ね」

ほむら(オールバック)「おはよう、まどか」

まどか(センター分け)「ほむらちゃん。おはよう。その髪型とおでこのほくろカッコイイね!」

杏子(アフロ)「よう。あたしはここの生徒じゃねえからコレつけてもいいだろ?」

まどか(センター分け)「杏子ちゃん、そのサングラス似合ってるよ!」

さやか(モヒカン)「…………」

まどか(センター分け)「さやかちゃん。その髪型は何て言うか、すごくさやかちゃんらしいよ!」

さやか(モヒカン)「そう? コレ失敗したかなぁって思ってたけど、まどかにそんな風に言われてなんだか自信が付いたよ」


マミ(ストレートヘア)「……おはよう、みんな」

ほむ杏さや「……あ、おはようございます。どこかでお会いしましたか?」


マミ(ストレートヘア)「なんで私だけ分からないのよ!!」

マミ(ストレートヘア)「もういいわ。髪型元に戻すから」

マミ(縦ロール)「はい。これで私のことが分かるでしょう?」

まどほむ杏さや「?」

マミ(縦ロール)「嘘でしょ!? 原因は髪型じゃなかったの? 本当に私が誰か分からないの?」

まどほむ杏さや「ごめんなさい」

マミ(縦ロール)「ああもう! だったらもう一回言うわよ! 私の名前は――」

まどか(センター分け)「待ってください!!」

マミ(縦ロール)「なんでよ!?」

まどか(センター分け)「私たちにチャンスをください! あなたの名前を思い出すチャンスを」

マミ(縦ロール)「え?」

さやか(モヒカン)「そうだよ。このままじゃあたしたち、仲間の名前を忘れた薄情者だ」

ほむら(オールバック)「このまま引き下がる訳にはいかないわ」

杏子(アフロ)「あたしらを信じて少しだけ待っていてくれ」

マミ(縦ロール)「……分かったわ。ただし5分だけよ?」

まどか(センター分け)「ありがとうございます!」

 5分後

まどほむ杏さや「ごめんなさい」

マミ(縦ロール)「……………………」

マミ(縦ロール)「私の存在って何? みんなにとって私はどうでもいい人間だったの?」

まどか(センター分け)「そ、それは違います!」

マミ(縦ロール)「憐れみなら要らないわ……」

まどか(センター分け)「そんなんじゃありません! だって今日先輩とお話しして私思ったもん!」

まどか(センター分け)「あぁ、優しくて繊細で素敵な人だな。私もいつかこんな風になりたいなって」

まどか(センター分け)「だからどうでもいい人間だとか、これっぽっちも思ってないですし、そういう風に言って欲しくはありません!」

マミ(縦ロール)「鹿目さん……」

マミ(縦ロール)「そうね。私は少し自分の名前に拘りすぎていたのかもしれない」

まどか(センター分け)「私にとって先輩がどんな名前かなんて重要じゃありません。大切なのは心です! 魂です!!」


まどか(センター分け)「そうですよね、マミさん?」

QB(チョココロネ装備)「うん、魂以外は換えの利くハードウェアに過ぎないからね」

マミ(縦ロール)「……………………」



 ベンチ

マミ(縦ロール)「乗っ取られた……」

※コロネドマミ、爆誕。

第7話


さやか「大変だ! 恭介が白女の奴らに捕まった!」

ほむら「なんですって!?」

仁美「白女といえば数多くの悪徳政治家を輩出してきたエリートの不良校ですわ」

さやか「とにかくすぐに助けに行かなきゃ!」

ほむら「でも白女には美国織莉子という強力な敵がいるわ。戦えばきっと多くの血が流れるでしょう」

まどか「確かに危険な戦いになるかもしれない。だけど何も心配することはないよ!」

まどか「だってうちにはマミさんがいるんだから!」

さやか「おおっ! そうだった! お願いします、マミさん!!」

QB(チョココロネ装備)「…………」

QB(これはまずいことになった。プレイアデス聖団から逃げるためにマミに変装したのはいいけれど、まさかこんな事態になるなんて……)

QB(とりあえずこの連中を何とか言いくるめなければ。僕は素質のある子以外には姿を見せないほど人見知りだけどそんなことを言っていられる状況じゃない!)

まどか「マミさんが先陣を切ってくれたら怖いものなしだよ」

ほむら「巴マミ、やはりリーダーはあなたしかいないわ」

QB「いや、ちょっと待ってくれないか? まずは僕の話を聞いてよ!」

QB「君たちももう14だ。年齢的にはまだ第二次成長期だけど、そろそろ自立した大人になってもいいんじゃないか?」

さやか「マミさん、突然何を言い出すんですか?」

QB「もうケンカって年でもないよね。ここはひとつ大人になってはどうだい?」

まどか「分かりました。ではケンカではなく話し合いで上条くんを助けに行きましょう。もちろんマミさんをリーダーとして!」

QB「…………」

QB(さすがは鹿目まどか。僕の勧誘を断り続けているだけあって一筋縄ではいかない相手だ)

QB(だけど僕だってここで引き下がる訳にはいかない!)

QB「君たちは僕をリーダーにしたいようだけど、考え直した方が身のためだよ」

まどか「急に何を言い出すんですか? 私たちのリーダーはマミさん以外にありえません!」

さやか「そうだよ! 一番年上だし!」

QB「確かに僕は君たちより少しだけ年上だ。この中で明治の時代を知っているのは僕だけだろう」

ほむら「あなた何歳なの!?」

QB「だけどそんなものリーダーの資質とは何の関係もない」

QB「今からその証拠を見せてあげるよ」

QB「さっきから会話についてこれずにポツンと立っている志筑仁美。ちょっとこっちに来てくれないか」

仁美「…………」

QB「こっちに来られないならせめて返事をしてくれないか」

仁美「…………」

QB「僕と契約して魔法少女になってくれないか」

仁美「…………」


さやか「ああっ!? マミさんが仁美に完全無視された!!」

仁美「えっ?」

まどか「あり得ないほどの徹底スルーっぷりだよ!」

ほむら「というよりむしろ存在に気付いていない!?」

まどか「どちらにしても仁美ちゃんにとってマミさんは人間的魅力0ということなんだね!」

仁美「さっきから何の話ですか!?」

QB「これで僕の言いたいことが分かったかい?」

さやか「ぐぬぬ。確かに人が付いていかなかったらリーダーとは呼べないね……」

QB「分かったら僕をリーダーにするのは諦めることだね」

ほむら「だったらあなたは一体誰がリーダーに相応しいっていうのよ?」

QB「本当にリーダーに相応しいのは人間的魅力に溢れる奴だ。それもこいつのためだったら何だってしてやりたいと思わせるような、だ」

QB「こんなワルばかりの学校で本当にそんな奴がいると思うかい?」

さやか「そう言われてみると一人もいないような気がしてきた」

まどか「さやかちゃん。諦めるのはまだ早いよ!」

QB「無駄だよ。この学校ではみんな毎日ケンカばかりしているから心が獣のように荒みきっている。そして人間的魅力は真っ当で穏やかな人間の心を持つ者にしか身につかない」

まどか「結論を出すのはクラスのみんなで話し合ったあとでも遅くありません!」

 翌日

まどかの提案により、「こいつのためなら何でもしてやりたいと思える相手はいるか。またその相手は誰か」というお題でクラス全員での投票が行われた。


まどか「集計が終わりました」

QB「どうせそんな相手はいないって回答が最多得票なんだろう?」

まどか「いいえ、最多得票の人は別にいます」

QB「ほう……こんな野獣たちの中にも人間的魅力を持った奴がいるとはね」

まどか「発表します……」

まどか「最多得票は、エイミーです!」

エイミー「ニャー」

QB「……………………」

 白女

上条「結局昨日は誰も来なかったなあ。僕を連れ出した2人組ももう飽きて帰っちゃったよ……」

※一応ご飯は差し入れられてます

第8話


魔法少女狩りに端を発した見滝原中と白女の抗争は激化の一方をたどっていった。
そのことに胸を痛めた鹿目まどか等はその暴力の連鎖の終結を願い奔走し、ついには両校の会談にまで漕ぎ着けたのだった。
しかし白女側の代表、美国織莉子の真の目的が鹿目まどかを転がすことであると知る者はいない。


店員「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」

織莉子「いえ、5人で待ち合わせをしているのですが」

店員「でしたらこちらの席です。どうぞ」

キリカ「それでどうする、織莉子? きみが望むなら見滝原の奴らなんか私が一瞬で切り刻んであげるよ」

織莉子「待ちなさいキリカ。そう言って毎回警官に職質されて魔法少女狩りが失敗してるのを忘れたのかしら? その前に鹿目まどかの情報を引き出すのが先決よ」

キリカ「織莉子がそう言うなら従うよ」

織莉子(たしか見滝原中学校はこの話し合いに学校のトップ3が来るということだったわね)

織莉子(ワルの総本山、見滝原中学校を束ねる3人の指導者。どんな人間なのかしら?)


エイミー「……」

メカずみ「……」

QB(チョココロネ装備)「……」


織莉子(一人も人間がいない……!)

織莉子(ああ、どうやら席を間違えてしまったようね)

織莉子(……って、あれ?)

織莉子(他には誰もいない……!)

織莉子(ということは……本当に相手はコレらなの? いえ、いくら魔境と呼ばれる見滝原中とはいえ、流石にコレはあり得るはずが……)

QB「待っていたよ。僕たちが見滝原中の代表だ」

織莉子(希望が断たれた……)

エイミー「……」

メカずみ「……」

QB(チョココロネ装備)「……」

織莉子(これが見滝原のトップ3……いくらなんでも濃すぎる)

織莉子(何かもう鹿目まどかとかどうでも良くなってくるわ……)

織莉子(けれどここで雰囲気に呑まれてはいけない。とにかく落ち着いて相手を観察しましょう)

織莉子(まずは真ん中の黒いのから)

エイミー「ニャー」

織莉子(か、かわいい……!)

織莉子(まるでネコのような、というかむしろネコというか…………ネコでしょ!!)

織莉子(本当にこの子がトップ3で大丈夫? その下の人達にとっては人間の沽券に関わるはずよ……)

織莉子(まあいいでしょう。次、窓側の白いの)

QB「……」

織莉子(姿形はネコとよく似ている気がする……)

織莉子(ただどういう訳かこちらはひっぱたきたくなるほど癇に障るッ!)

織莉子(最初に転がす相手はコレで決定ね)

織莉子(最後は、通路側の円柱形)

メカずみ「……」

織莉子(どうしてドラム缶に魔女っぽい露出度の高い服を着せているのかしら?)

織莉子(全く狙いが分からないわ……)

織莉子(いずれにしても、私の為すべきことは変わらない。すべての行動は鹿目まどかを転がし救世を成し遂げるためにある)

トップ3「…………」

織莉子(とはいえ流石はあの見滝原中のトップ3。この状況でこの落ち着きようは賞賛に値するわ)

織莉子(これは有用な情報を引き出すのも存外骨が折れるかもしれないわね)



 数時間後

エイミー「Zzz」

メカずみ(バッテリー切れ)「……」

チョココロネ「……」


織莉子「って閉店まで何もしゃべらないし!」

 数日後 見滝原中学校

織莉子「やはり話し合いなどで解決しようとしたのが誤りでした」

キリカ「ついにここを襲撃するんだね」

織莉子「ええ、私たち二人だけでもやり方によっては十分目的を果たせるはずよ」

キリカ「なら捕らえた使い魔たちの出番だ」

織莉子「そう、いくら人間離れしたワルが潜むこの学校の生徒でも、使い魔に勝てるのはごく限られた人間のみ」

キリカ「だから数体の使い魔でも一斉に暴れれば学校はパニックになること必至さ」

織莉子「ええ、いくら見滝原中といっても使い魔が登校してるわけでもないものね!」


アントニー×10「……」

まどか「おーいフレディくんたち-、こっちだよー!」

さやか「あははは、ここまでおいでー!」



 ベンチ

おりキリ「普通に馴染んでるよ……」

※救世、無理。

>>77
×激化の一方をたどっていった。
○激化の一途をたどっていった。


9話は……今日中にできたらいいな

今回はクロマティというよりラブのな



第9話


 1年前

杏子父(私は違いの分かる宗教家として風見野の教会の神父を任されている。ちなみに教会の人気はあまりない)

杏子父「それにしても特に最近は教会に来る信者の数が減ってきた」

杏子父「このままでは母さんに毎月500円だったお小遣いを200円位にされてしまう。一体どうしたものか……」

杏子「父さん。それについてはあたしにアイデアがあるんだけど」

杏子父「なんだね我が娘よ。言ってみたまえ」

杏子「ここはひとつ、話にギャグを入れてみたらどうかな」

杏子父「ギャグ……」

杏子父「いや、さすがにそれはマズイんじゃ……ほら、私の話ってただでさえ教義と違うこと言ってるし、この上さらにギャグってのはちょっと…………」

杏子「父さん。それは逆だよ!」

杏子父「逆?」

杏子「考えてみてよ。元々教義と違うんだからこれ以上何をしても教義と違うことには変わりはないんだ。だったら良いものはどんどん取り入れるべきだよ」

杏子父「……ふむ。もっともな意見ではある。でもギャグはな~」

杏子「大丈夫。あたしも一緒にギャグ考えるからさ。絶対ドッカンドッカン受けるって!!」

杏子父「そう? まあ、そこまで言うのならためしにやってみようじゃないか」

 翌週

杏子「見事に信者が減っちゃったね」

杏子父「減っちゃったねじゃないよ! 絶対受けるって言うからやったのに、これはどういうことなのかね?」

杏子「うーん。いけると思ったんだけど……」

杏子「まあ、素人にはギャグは難しいと分かっただけでも良しとしようよ」

杏子父「全然良くない! 杏子は知らないだろうが私は地獄を味わったのだよ?」

杏子父「思い出すだけでもおぞましい。想像してみなさい……荘厳な教会で信者たちが全員真顔でこちらを見ている状況で延々とギャグを繰り返すも静寂に包まれるその恐怖を」

杏子「そ、それは……」

杏子父「とにかくもう二度とあんなことは出来ん。というかよく一週間も続けられたなと自分でも思う」

杏子「うん、それはすごいよ。さすが父さんだね!」

杏子父「う、うむ」

杏子「でもギャグが駄目となると、それに替わるもの…………ストーリーものとか?」

杏子父「いやマンガじゃないんだから……」

杏子「だけどストーリー仕立てにすることで興味を持ってもらえるし話も分かりやすくなるよ。そもそも聖書だって物語の要素はあるし」

杏子父「なるほど。言われてみればその通りだ」

杏子父「しかし限られた短い時間の中にうまくストーリーが収まりきるだろうか」

杏子「時間内に収まらなかったら次回に続くでいいじゃん」

杏子「そうすれば続きが気になって次回も教会に来てくれるはずさ」

杏子父「なるほど!」

 翌週

杏子父「また信者が減ってしまった……」

杏子「思ったんだけど、うちは元々信者が少ないんだから、今いる信者の確保よりも新規獲得に注力すべきだよね」

杏子「なのに連続したストーリーとかやっちゃったら、新規の人にはとっつきにくいんじゃないかな」

杏子父「そうだよ! 駄目じゃん!!」

杏子「大丈夫。あたしにいいアイデアがあるよ」

杏子父「本当かね。これまでの結果が散々だったからどうも信用できんのだが……」

杏子「この方法は大きなインパクトで新規獲得しつつも既存の信者たちにも満足いただける内容になっているんだよ」

杏子父「そんな方法が……それで、私は何をすればいいのだね?」

杏子「そのためには父さんはこう言えばいいんだ」

杏子父「ふむふむ……なるほど!」

 翌日

杏子父「みなさん、聞いてください! 私の話は……」

杏子父「今日で最終回です!!!」



 数日後

「おい、聞いたか?」

「風見野の教会ついに閉鎖するんだって」

杏子「え、ウソ!?」

※あいつは魔女だ by杏子父

次回は多分1週間後、2話同時更新

第10話


夜空に輝く星座の七姉妹であるはずなのに8人であったという問題に直面したプレイアデス聖団。
しかし彼女たちはその危機を努力と友情と頭の悪さによってついに克服したのであった。


ミチル「今日のプレイアデス定例会議だけど、たまには外でご飯食べながらにしない?」

カオル「お、いいね」


店員「いらっしゃいませ。えっと……」

店員「8名様ですか?」

プレイアデス聖団「だからそれを言うなよ!!」

ミチル「団結を深めるために注文はみんな一緒のだからね」

サキ「……注文も決まったところで、気を取り直してプレイアデス定例会議を始める」

サキ「今日の議題は我々プレイアデス聖団のあすなろでの評判についてだ」

サキ「実を言うと最近我々は非常にキレやすい集団として避けられたいるみたいなんだ」

みらい「誰がそんな根も葉もないこと言ってるんだよ」

里美「私たち滅多に怒ったり怒鳴ったりしないのにね~」

店員「店長オススメ日替わり定食、8人前お待たせしました」

プレイアデス聖団「だからそれを言うなよ!!」

店員「ひっ!? 失礼しました!」


海香「いずれにせよ、その評判の悪さについてはなんとかしなきゃいけないわね」

カンナ「なんとかって……地道に慈善事業でもするつもり?」

ニコ「うんにゃ、それより見た目を変えようじゃないか。世間が見るのは結局見た目だぞ」

カオル「たしかに見た目だけでワルだと思われることってあるよな」

海香「逆にキッチリ校則通りの服装をするだけでもしっかりした学生だって印象を周りに与えられるわよね」

ミチル「ってことはわたしたちも常にキッチリ魔法少女姿でいれば評判が良くなるってことだね!」

サキ「うむ。その通りだ」

カオル「いやいや。それ周りから見たらただのコスプレだから!」

ニコ「そりゃ別の意味で評判になるね」

みらい「それにカオルとかはまだいいけど、ボクや里美があんな格好で町をうろつくのはマズイでしょ」

里美「私やだな~。前にも勝手に写真撮られたこともあるし」

みらい「うわっ、それ萌えオタって奴? 最悪!」

カンナ「ああいうのって集団になるとホント質悪いよね」

サキ「……まあ、中にはマナーの悪い輩もいるが全員がそうでもないだろう」

カオル「マナーはともかく、いい年した大人が空想上の小さな女の子にハァハァするのはちょっとなー」

ミチル「そういうのロリコンって言うんだよね?」

サキ「それは違うぞ。あれは欲情というよりむしろ妹や娘を愛でるような感覚というか……」

海香「サキ、さっきから妙に萌えオタを擁護するわね。まさかあなた萌えに……」

サキ「私は断じて妹萌えなどではない!!」

カオル「そこまでは言ってねえよ!」

カンナ「あのさ……私は萌えが妹や娘を愛でるのと一緒だっていうの、全然納得できないんだけど」

カンナ「だって本当の家族なら妹や娘の成長を一番に願うはずでしょ? たとえそのために苦労をたくさんするとしても」

カンナ「なのにそういう苦労もせず、成長しない作り物の女の子を見て悦に浸って家族に対する感情と一緒って、家族バカにしてるの?」

ニコ「君の言葉はココロにくるね……」

ミチル「サキ……これはカンナにごめんなさいしなきゃだね」

サキ「待て、私は間違っていない。萌えキャラだって成長はしているぞ」

ミチル「往生際が悪いなー。そういう物語の中で数年経る作品もあるけど、それは極一部のことでしょ」

サキ「そういう意味じゃなくてだな。まあ、まずは話を聞け」

サキ「いいか。萌えブームに火が付いた頃の人気キャラと言えば、”ほえー”が口癖の小学生を始めとする純粋で素直な子供っぽいキャラだ」

サキ「次いでブームとなったのは”うるさいうるさいうるさい”が口癖の少女を始めとするツンデレキャラだ」

カオル「え? だから?」

サキ「素直な子供が成長して反抗期になってるだろうが!」

ニコ「なるほど。萌えキャラ単体ではなく萌えブーム全体として見れば確かに成長してますな」

カンナ「え……いや、う~ん。その発想はなかったけど、なんか違うような……」

みらい「サキ、だったら今人気の百合はどうなるの? いろんな性格のキャラがいるし、年齢関係ないでしょ?」

サキ「百合は間違いなく結婚適齢期だな」

海香「結婚適齢期…………全然ピンと来ないのだけれど。そもそも結婚適齢期って性格にどんな特徴があるのかしら」

サキ「いや別に性格はどうでもいいんだよ。百合は誰を好きになるかが問題なんだから」

カンナ「はい?」

サキ「まあいい。一から説明してやるからよく聞けよ」

サキ「まず男と女のカップルだと視聴者は大抵男に感情移入するだろ? 見てるの大抵男なんだから」

サキ「すると男キャラに向けられる女キャラの好意が、あたかも視聴者である自分に向けられてるような感覚になる」

海香「まあ、感情移入が過ぎるとそうかもね」

サキ「だが百合カップルの場合はそれができない。出来るのは外から彼女たちの幸せを見守ることだけだ」

カオル「え? だから?」

サキ「自分を慕っていた子供が別の誰かと幸せになるんだぞ? 娘の結婚と同じだろうが!」

カンナ「ええと、そういう見方もアリなのかな……? いえ、だとしてもそれで萌えキャラが妹や娘と同じっていうのは…………」

カンナ「だってあの手の人たちはいろんな作品のキャラに節操なく萌えとか言うし、作品中の女の子は作り物だし……」

サキ「節操なくと言うが、妹や娘が増えることに何の問題がある? それに誰が作り物だと言おうとそこに注がれる愛情は本物だ」

カンナ「う~ん……そう言われるとなんだかそんな気が…………」

サキ「そうだ。私を信じて間違いはない!」

里美「ねえサキちゃん。今までの話を聞いて思ったんだけど、サキちゃんなら次の萌えは何が流行るのか分かっちゃうんじゃない?」

カオル「幼少、反抗期、結婚と続いてるから、その次は……」

サキ「断言しよう。次に来るのは萌えの最終進化形、介護だ!」

ミチル「介護か……。やったね海香! 次の小説のテーマが決まったね!」

海香「え?」

サキ「うむ、それはいい! 私たちの語り合ったことが海香の本という形になる。最高じゃないか!」

海香「え、ええ、そうね。でもいきなり介護って言われてもどうしたらいいのか分からないわ」

サキ「老いて衰え回復する見込みのない父親を介護する娘。記憶の混濁した父は娘に辛く当たり、当の娘もまたボケの兆しを見せる」

サキ「そういう介護のイメージを小説に反映させるのだ」

みらい「すごいシリアス展開だ!」

サキ「しかし萌えの王道はあくまでハッピーエンド。好まれるのは鬱展開なしの明るく楽しいほのぼのストーリーだ」

里美「そうだよね~。私もそれが一番だと思う」

サキ「スパイスとしてアクションシーンも入れるといいだろう」

カオル「やっぱり燃える要素は欲しいね」

サキ「そしてなにより女の子を可愛く描くこと」

ミチル「あっ、それすごい重要!」

サキ「以上のことに気をつけて書けば大ヒット間違いなしだ」

海香「ええ、ありがとう。必ずいい小説を書き上げてみせるわ!」



 どこかの屋上

海香「ってどんな話よ……」

※シリアスもほのぼのもアクションも女の子もほぼ皆無の『魁!!クロマティ高校』好評発売中!

第11話


上条(なんでいつもさやか達は勉強会だのお茶会だのとかどうでもいいイベントで病室に押しかけてくるんだ)

上条(さんざん迷惑だって言ってるのに全く聞く耳なんて持ちやしない)

上条(何なんだよ全く! 僕はただ病室で静かに過ごしたいだけなのに!)

上条「あああ!! 一体どうしたらこの思いをさやかに伝えることができるんだ!?」

看護婦「恭介くん……やっぱりそうだったのね」

上条「あ、看護婦さん……」

看護婦「こういうときは手紙がいいわ。仲が良すぎると口で言っても冗談と受け取られるかもしれないもの」

上条「はあ……」

看護婦「それじゃ、頑張ってね!」

上条(何か激しく勘違いされた気がするけど手紙というのはいい考えかもしれない)

上条(この怒りと悲しみを全て手紙にぶつけてやるんだ!)

 翌日

上条「さやか、これを読んでみてくれ」

さやか「手紙……それも便箋1枚に収まりきらないなんて。そんな長い文章読み切れないよ」

上条「いいから読んでくれよ!」

さやか「まあ、恭介がそこまでいうなら頑張ってみる」


さやか「…………」

さやか「………………」

さやか「読み終わったよ。あたしは普段活字を読まないけど、これは最後までスラスラ読めた」

上条「それで、最後まで読んで何か僕に言うことはないか?」

さやか「恭介……これすっごく面白いよ!」

上条「は?」

さやか「特に主人公の心情描写が秀逸だね。行き場のない怒りと抑えようのない悲哀がよく伝わってくる」

上条「いや、これただの手紙なんだけど……小説か何かと勘違いしてない?」

さやか「いやぁ、まさか恭介にこんな隠れた才能があったなんて…………ちょっとまどか呼んできていい? あの子本とか好きだからこういうの喜ぶよきっと!」

上条「ちょっ、待っ!」

まどか「……………………」

まどか「確かに私もとっても面白いと思うよ」

上条「やっぱりその感想なんだ……」

まどか「でも残念だけどこれは未完成品だね。このままだと読む人に作者の言いたいことが伝わらないよ」

上条「な! けど言われてみれば、実際さやかに僕の言いたいことが1ミリも伝わってないのも事実…………鹿目さん、一体この手紙には何が足りないんだい!?」

まどか「主人公に対してヒロインの心理描写がちょっと薄いかな。これだとヒロインがどうしてこんな迷惑行動を取るのか読者にはさっぱり理解できないよ」

さやか「あ、それはあたしも思った!」

上条「ヒロイン……さやかのことを言ってるなら知りたいのは僕の方だよ!」

まどか「うん、主人公である僕がヒロインのさやかの気持ちが分からないのはいいよ。だけど読者にはちゃんと分かるようにしなくちゃ」

上条「だからこれ小説じゃなくてただの手紙なんだってば!」

上条「それにさっきも言ったけど僕にはさやかの気持ちなんて分からないんだから書きようがないよ!」

まどか「何言ってるの上条くん! そんな無責任な態度じゃ、読む人に何かを訴える事なんて絶対に出来ないよ! 作者ならちゃんとさやかの気持ちを考えてあげてよ!!」

上条「ご、ごめん……」

上条(何故だ……何故僕はさやかに抗議の手紙を書いたのに逆にさやかの気持ちを考えろと怒られているんだ?)

まどか「私こそごめんね。きついこと言っちゃって。でも上条くんならこの作品をもっといいものに仕上げることが出来るって信じてるから」

さやか「じゃあ次来るまでに完成させといてね」

上条「あ、ああ……分かった」

 数日後

さやか「…………」

まどか「…………」

上条「……で、今回は?」

さやか「うん、前回より断然良くなってるよ! ヒロインのさやかも不器用なだけで根はいい子だって分かって、他人とは思えないほど感情移入しちゃうよ」

まどか「これなら合格点だね!」

上条「それは良かった。ところで僕がこの手紙を通してどうしても伝えたかったことがあるんだけど」

まどか「大丈夫。分かってるよ、上条くん」

上条「え?」

まどか「この手紙からは上条くんの強い思いが伝わってくるよ。そして同時にそれはこの短い文章の中では全てを伝えきれないこともよく分かる」

上条「そう、そうなんだよ! 言いたいことは山ほどあるんだ!」

まどか「やっぱり上条くんもそう思ってたんだね。読み切りじゃ足りないから連載にしたいって!」

上条「え、連載……?」

さやか「やったあ! 続きが読めるんだ!」

上条「いやちょっと待ってくれ! そういうことじゃなくて……」

さやか「そうと決まったらクラスのみんなに知らせなきゃ! 連載日にはみんなでここに来るから待っててね!」

上条「いや、それはやめてくれないか……」

その後、上条の手紙は着実にファンを増やし、その評判の高さは学内にまで広がった。
そしてそれに比例するように上条の病室も賑わってきたのであった。


まどか「主人公とヒロインの恋の行方はどうなるんだろう」

さやか「それよりこのヒロインって萌えだよね? かつてないほどの萌えだよね?」

仁美「さやかさんが言ったとおり本当に面白いですわ!」

ほむら「警察との銃撃戦は素晴らしい臨場感ね。そのときの主人公の恐怖が伝わってくるわ」

上条(なんでこんなことになってしまったんだ……。僕はただ病室で静かに過ごしたかっただけなのに)

中沢「お前の手紙、いつも楽しみにしてるぞ」

早乙女「頑張ってね、上条君! 先生も応援してるからね」

上条「ありがとうございます」

上条(すごいプレッシャーがかかる……)

上条(最初はただ勢いで書き殴っただけだったけど、こうして人気が出てくると責任を感じできた)

上条(でもみんなの期待を裏切るわけにはいかない)

しかしそんな上条も連載を続けるごとに自分の手紙への愛着が深まっていき、いつしか手紙を書くことは彼の生活の一部へと変貌していった。


上条「今回の出来はかなり自信がある。これならきっとみんなにも喜んでもらえるはずだ」

上条「………」

上条「それにしてもみんな遅いな。いつもなら僕の新作手紙を公開する日は病室を埋め尽くすほどの人で溢れかえるのに…」

さやか「恭介……」

まどか「上条くん……」

上条「やあ、さやかに鹿目さん。今日は二人が一番乗りだよ」

さやか「恭介、今日はちょっと残念な話があるんだ」

上条「え……?」

まどか「実は……上条くんの手紙のことなんだけど、打ち切りが決まったの」

上条「なっ!? どうしてそんな急に……」

まどか「その、なんていうか、上条くんの手紙に盗作疑惑が発覚したの」

上条「盗作だって!? 僕はそんなこと断じてしてないぞ!」

さやか「もちろんあたしだって信じてるよ!」

まどか「だけどそれ以上にとにかく内容がこの御崎海香先生の『病室と手紙ときみのはなうた』とそっくりなの」

上条「実際に本持ってきたんだ……それってそんなに似てるのかい?」

まどか「うん、この本は病室を舞台に不機嫌なツッコミ役の主人公とボケ役の介護系ヒロインの心のすれ違いを描いた笑いありバトルありのドタバタラブコメディでね」

まどか「特にこのヒロインが人気で、これは萌えの最終進化形なんじゃないかとネットでも評判になる程の話題作なんだけど」

まどか「キャラの造形やらストーリーの構成やらもういろんなところが完全一致と言ってもいいくらい似てるの」

上条「そうか……完全一致か…………」

まどか「たぶん上条くんがどこかでこの話を聞いて、それが記憶の片隅に残っていたからこんなことが起こったんだと思う」

さやか「ごめん。あたしたちじゃ、みんなにそう言ってパクリ作家の汚名を被るのを防ぐのが精一杯だった」

まどか「私も自分の力不足を痛感してるよ。上条くんがあんなに頑張ってたのに、私は打ち切りを止めることが出来なかった」

上条「いやいいんだ。僕たちは全力を尽くした。だから僕は思い残すことはないし、君たちも何も気に病むことはないよ」

さやか「恭介……」

まどか「上条くん……」

上条「だけど僕の手紙に似てる本っていうのがどれだけ似てるのかはちょっと気になるかな」

まどか「だったらこれを読んで。昨日発売の新作だったけどもう読んじゃったから上条くんに貸してあげるよ」

上条「ありがとう。へぇ、昨日発売の新作か~なるほど、昨日発売ね~」



 その夜

上条「じゃ、別に盗作じゃないじゃん……」

※上条の作家デビュー、終了。

なんとか明日には最終話を完成させる予定です
もうしばらくお待ちください

最終話


この物語の主人公である鹿目まどかはどこにでもいるごく平凡な14歳の少女である。
だか彼女が通う見滝原中学校はワルのテーマパークとして日本中から恐れられている魔境であった。
そんな劣悪な環境にまどかは戸惑いつつも徐々に適応していった。
しかし全国最凶と目される同校に最大の危機が迫っていることを知る者は、まどかを始め誰もいないのであった。


QB(チョココロネなし)「美国織莉子と呉キリカ。彼女たちの狙いがようやく分かった」

まどか「本当なのQB? それとなんだか久しぶりだね」

QB「そんな暢気なことをいっている場合じゃないよ! 彼女たちの狙いはまどかを転がすことだったんだ!」

QB「だけど君が奇跡を願えばそれを防ぐことは容易い。だから僕と契約して魔法少女になってよ!」

まどか「QB。何度も言ってるけど、QBはただの人間なんだからそんな奇跡とか魔法とか扱えるわけないでしょ」

QB「だから僕はただの人間じゃないんだってば!」

まどか「はあ……自分が特別な存在だと思いたいのは分かるけど、もう中学生なんだからいい加減現実を見なきゃ駄目だよ」

QB「いやだから……」

ほむら「そうよ。まどかは契約する必要なんてないわ」

ほむら「なぜなら私はこの数日、美国織莉子対策として各種爆弾を徹夜で作りまくったもの。まどかが心配することなんて何もないわ」

まどか「さすがほむらちゃんはしっかり現実を見てるね! どう、QB? これが常識的な人の行動だよ」

QB「いや常識のある人ならまず警察を頼ると思うよ」

ほむら「とにかくそういうことだから変なことは考えないで安心して登校しなさい」

まどか「ありがとうほむらちゃん! でもそんな大量の爆弾なんてどこにあるの?」

ほむら「小さいものは盾に収納したし、盾に入りきらない大きいものは、ええと……あれ、どこだったかしら?」

さやか「おーい、まどかー! 大変だよ!! 校舎に大量の爆弾が仕掛けられてる!!」

ほむら「あ……」

ほむら(しまった! 爆弾学校に放置したままだった!!)

ほむら(こうなったら何とか誤魔化してバレないように……いえ、それじゃ駄目よ。みんなを安心させるにはちゃんと正直に話して誤解を解かなきゃいけないわ!)

まどか「大変だよほむらちゃん!! ワルとかケンカとかってレベルを遙かに超えて大変だよ!!」

ほむら「そ、そうね……えっと……」

さやか「一体誰がこんな酷いことを!? 犯人見つけたらそいつの家にフレディを全軍送り込んでやらなきゃ気が済まないね!」

まどか「私も今度ばかりはその意見には賛成だよ! こんな卑劣な犯行をする人を野放しにすることなんてできない! ほむらちゃんはどう思う?」

ほむら「ええ、本当に許せないわね犯人の奴!!」

ほむら「…………」

ほむら(どうしよう……もう私がやったって言い出せない雰囲気になっちゃたよこれ……)

織莉子「見つけたわ。鹿目まどか!」

ほむら「!?」

キリカ「初めまして、でいいのかな? そしてじゃあね、ばいばい散ね」

まどか「あっ、はい。初めまして、さようなら」

ほむら「美国織莉子に呉キリカ!」

キリカ「あれ、君は初めましてじゃなかったんだね。でも、ま、織莉子に関係ない情報だし、またすぐに忘れるけどね」

ほむら(くっ……まさかこのタイミングでこいつらが現れるとは……)

ほむら(この忙しいときに……)

ほむら(でもこうなったら仕方がない。一か八かやるしかないわ!)

ほむら「犯人はあなた達ね!」

キリカ「ん?」

まどか「えっ?」

さやか「何だってー!?」

織莉子「犯人? そうですね。そういうことになるのでしょうね」

ほむら(フフ……計画通り!!)

ほむら(あえて漠然とした決めつけを自信満々に言い放つことによって、何かそれっぽい心当たりがありそうなこいつらが肯定的なこと言って、何となくこいつらが爆弾魔みたいな空気を作り出す緻密な作戦が成功したわ!)

さやか「なんで? なんでこんなことをするんだよ!?」

織莉子「鹿目まどかはいずれ私の世界を滅ぼす……そういう未来を識(み)たからよ」

まどか「はあ……あのですね、テレビとかでもたまに予知とか予言とか言う人いますけど、ああいったものはウソか思い込みによる勘違いなんですよ」

キリカ「お、お前織莉子になんてことを……!」

まどか「ウソだと思うなら1つ実験をしてみましょう」

織莉子「実験ですって?」

まどか「眠っているときに見る夢は楽しいことがあった日には楽しい夢、嫌なことがあった日には怖い夢を見たりしますよね?」

織莉子「……そういう傾向はあるかもしれないわね」

まどか「もし予知が脳の思い込みによるものだとしたら、夢と同じように、楽しい気分なら楽しい予知、嫌な気分なら嫌な予知を見るのではないでしょうか」

まどか「ちなみに、その世界が滅ぶ予知を見たのはどんな気分の時でしたか?」

織莉子「はっ……! そういえばあの時は最低な気分でした!」

まどか「でしょう?」

キリカ「なんか織莉子が丸め込まれてる……すごく可愛い……」

まどか「では今度は楽しいことを思い浮かべてください」

織莉子「楽しいこと? だったらキリカとの生活はいつもとても楽しくて……」

キリカ「お、織莉子……」

まどか「ではその気持ちのまま予知をしてみてください」

織莉子「コホン、まだ自由に好きな時刻を予知できるわけではありませんが…………あっ!!」

織莉子「予知が変わりました! 今度は世界は滅亡していません!!」

まどか「これでハッキリしましたね。あなたが予知だと思っていたものの正体が」

織莉子「ええ、私の予知はただの思い込みだったのですね!」

ほむら「チッ! 思い込みでこちらはとんでもない迷惑だったのよ。そこんとこ分かってる?」

織莉子「ほ、本当にこのたびは大変お騒がせいたしました!!」

さやか「おう、次からは気をつけろよ?」

織莉子「はい!! では私たちはこれで失礼します!! キリカ、行きましょう!」

キリカ「むー。待ってよ織莉子ー」

さやか「……まったく人騒がせな連中だったね」

まどか「でも今回のことで私は1つ学んだよ」

ほむら「何かしら?」

まどか「思い込み……ううん、思いの力はすごいってことだよ!」

さやか「たしかに思い込みで世界滅亡の幻を見るなんて相当だよね」

まどか「逆に言えば気の持ちよう次第で世界は希望に満ちあふれたものに見えるってことでしょ」

まどか「そうした希望の思いがほんの少しでも本当に世界を良くしたら、それはとっても素敵だなって」

ほむら「まどからしいわね」

さやか「でもそういうのも嫌いじゃないよ」

まどか「決めたよ! 私はもう絶望なんてしない! どんな困難があっても希望を捨てずに乗り越えてみせる!」



「大変だ!! 学校に隕石が落ちて校舎が爆発したぞ!!!」



まどか「それは無理だよ……」

※爆発オチぃ?

こんなSSですがこれにて終了です

実は織莉子さんたちは間接的にまどかの契約阻止してますが
説明がメンドクサ……じゃなくてテンポが悪くなるので省略しました

それからおまけの番外編とか要ります?

コメントありがとうございます
正直ネタ切れ寸前ですが番外編スタートです
といっても今日は小ネタ1レスのみ


メカ沢「」テクテク

メカずみ「」テクテク


 ゴツン


メカ沢「いったーい!」

メカずみ「いや悪い悪い。ちょっと考え事しててよ。立てるか?」

メカ沢「う、うん……ん?」

メカずみ「んんん??」

メカ沢・メカずみ「た、大変だ!」

メカ沢「わたしたち」 メカずみ「オレたち」

メカ沢・メカずみ「体が入れ替わってる!!」


まどさや中沢(どっちでもいい!!)

こんな感じで番外編は本編との整合性は無視した話も混ぜていこうかなと考えています

もし番外編で出して欲しいキャラやシチュ、その他要望があればコメントを下さい
私の力量でどれだけ反映できるか分かりませんが

次回は土曜日の予定です

各キャラがクロ高でどのポジションかまとめてみました


まどか……神山
さやか……林田
ほむら……北斗
マミさん……前作8話まで高橋さん、以降北斗の子分、番外編のみ竹ノ内
杏子……お笑い番長山口

なぎさ……プータン
QB……神山に振り回されるモブ、今作7話からはマスクド竹ノ内
仁美……神山に振り回されるモブ
エイミー……ゴリラ+バンチョーちゃん
上条……前田

中沢……中沢
杏子の父……のなー
ショウさん……ダブリの平井
かずみ(メカずみ)……メカ沢
プレイアデス聖団+カンナ……四天王

織莉子・キリカ……バース高とかのクロマティと敵対する勢力
ゆま……プータンの相棒

今回は>>77から始まる第8話の初期案を形にしたものです
なので織莉子とキリカはまだまどかを狙ってます


番外編 その1


織莉子「あら、私たちに何か用でも?」

ほむら「忠告よ。鹿目まどかを付け狙うのは止めなさい」

キリカ「へぇ、どうして君はそれを知っているんだ?」

ほむら「言う必要は無いわ」

キリカ「ふーん……ま、どっちにしても答えは1つさ。その件に関する全ての要求を拒否する!!」

ほむら「なら仕方がないわね。覚悟しなさい!」

ほむら(ワルプルギスの夜さえ越えた私が今更こんなところで負けるわけがないわ。開幕時間停止よ!)

織莉子「邪魔立てをするつもりですか?」

ほむら(……あれ? 時間止まらないわね)

ほむら「…………」

ほむら(しまった! そういえばもう時間停止使えないんだった……)

ほむら(どうしよう……このまま戦ってもハッキリ言って勝ち目はないわ)

ほむら(……よし、こうなったらいつも通り適当なこと言って誤魔化すしかない!)

キリカ「へぇ、一人で私たちに勝てるとでも?」

ほむら「お、落ち着きなさい! 私は戦いに来たのではないわ!」

織莉子「では先程の威勢は何だったのかしら?」

ほむら「あ、あれは……そう、忠告だと言ったはずよ! 鹿目まどかはあなた達の手に負える相手ではないわ!」

キリカ「鹿目まどかは魔法少女でもないただの一般人だろう?」

ほむら「そこがあなた達の浅はかなところよ。鹿目まどかは既に何周か前に巴マミを転がしている」

織莉子「何ですって!? あの巴マミが数週間も前に!」

キリカ「でも昨日見かけたような……」

ほむら「そこがまどかの恐ろしいところよ! 例え目の前で無事だと確認しても、既に転がされた後という可能性がある!」

織莉子「???」

キリカ「ん???」

ほむら「と、とにかく鹿目まどかは危険よ! あの子をどうこうしようだなんて考えが甘い! 甘すぎるわ!」

 レパ・マチュカ

織莉子「あの魔法少女には止められたけれど、このまま引き下がる訳にはいかないわ」

キリカ「ああ、もちろんさ」

織莉子「まずは今後の方針をこの店で食事でもしながら話しましょう」

店員「すみません。ただいま満席でして……」

キリカ「なんだと? この店、織莉子を待たせるだなんて!」

店員「ご相席でよろしければすぐに席をご用意できますが」

キリカ「んー、仕方ないか。で、どこなの?」

店員「こちらになります」

まどか「どうも」

キリカ「な!?」

織莉子「鹿目まどか!!」

キリカ「早速出たな! 今すぐケリをつけてやる!」

織莉子「待ちなさい。そうやってすぐに冷静さを失うのはキリカの悪い癖よ」

織莉子「それに見てみなさい。彼女の堂々とした態度を」

まどか「…………」

キリカ「たしかに黙々とパフェを食べてる……私たちよりもパフェで頭が一杯って感じだ」

織莉子「これはある意味私たちへの挑戦よ。どちらが器の大きい人間か、先に動いた方が負け……分かるわね、キリカ」

キリカ「ご、ごめんよ織莉子ー。許しておくれよー」

織莉子「ふふ、怒っているわけではないわ。まあ、私たちも落ち着いて食べましょう」

店員「バケツパフェ2人分お待たせしました」

キリカ「おー、パフェがバケツ一杯に! 甘いかなー?」パク

織莉子「ふふ、このボリュームなら一人で食べきれるように、ちゃんと甘さを控えめに抑えられてるはずよ」パク

織莉子「……………………!?」

織莉子(メチャクチャ甘い!!)

キリカ「ん? どうしたんだい、織莉子。顔色が悪いよ」

織莉子「いえ、別に……」

織莉子(何コレ? 尋常じゃなく甘いわ! 落ち着いて食べましょうとか言ってしまったけど、こんな甘いもの食べられないわよ!)

織莉子(けれどこの雰囲気で「このパフェ甘すぎない?」なんて言えるわけがない! そんなことは私のプライドが許さないわ!)

織莉子(それにこの二人は余裕の表情で食べている)

織莉子(……甘いと思ったのはきっと私の気のせいね。最初に甘さ控えめだと思い込んでいたから甘く感じただけなのよ)パク

織莉子(いや、やっぱり甘いって!!)

キリカ「私は目的を果たすならあまり時間をかけないほうがいいと思うよ」

キリカ「時間をかければその分契約のリスクが高まる」

織莉子「ええ、そうね……」

織莉子(ダメだわ……パフェが甘くて話に集中できない)

織莉子(というか鹿目まどかとかどうでも良くなってきたわ。それほどにパフェが甘い)

織莉子(でもちょっと待って……いくらなんでも私だけ甘いってことは無い。この二人は何らかの方法で食べやすくしているに違いないわ)

織莉子(一体どこにその秘密が……)

織莉子(ん? 二人がパフェにかけているのは…………おそらく色的にカラメルソースとイチゴソース。そういえばパフェと一緒に運ばれてきたわね)

織莉子(そうか! カラメルソースの苦みとイチゴソースの酸味で甘さを緩和しているのよ!)

織莉子(そうと分かれば恐れることはない! 今すぐあなた達を追撃していくわ!)パク

織莉子(……って甘い上に温い!)

織莉子(よく考えたら両方ともほぼ糖分なんだから甘いことには変わりはない。あまりの甘さに冷静な判断力が失われてる……)

まどか「あ! さやかちゃん、仁美ちゃん。こっちだよ!」

さやか「おーい、まどかー……あ、どうも」

仁美「失礼しますね」

織莉子(援軍!?)

まどか「私先に食べちゃってたけど良かったの?」

さやか「だからそうメールしたじゃん」パク

仁美「どうせ一人で食べきれませんもの」パク

織莉子(な!? 3人で1つのパフェを食べるですって!?)

織莉子(謀られた!! まんまと敵の術中に嵌まった!!)

織莉子(もう戦況は覆せはしない。ダメだわ……甘さと絶望感でノドが渇ききっている……水が欲しい…………)

織莉子(というかこの店も水くらい出しなさい!)

キリカ「織莉子。もしかしてノドが渇いた?」

織莉子「!?」

キリカ「それなら心配は要らないよ。私がさっき店員に言っておいたからね」

織莉子(さすがはキリカ! 私が甘さに悶えている間に次の手を打っていたとは)

店員「注文の品、お待たせしました」

織莉子(ってジュースだよ!!)



 翌日

織莉子「たしかに甘すぎたわ」

ほむら「え……あ、そう……?」

※女子中学生たちが織りなす最高に甘々なストーリーを書きました

番外編 その2


上条(これが、僕の手紙とそっくりだという例の本か……)

上条(早速読んでみよう)


上条(……うん、なかなか面白いな)

上条(……………………)



上条(結局一晩で読んでしまった)

上条(さすがにベストセラー作家の人気作品なだけあって、僕はすぐにこの物語の世界に引き込まれた)

上条(特にラストバトルの後、炎上する病院を背に主人公とヒロインが鼻歌を歌うシーンは素晴らしかった)

上条(今までに読んだどの小説もこれほどの感動は味わったことはない。この本は手紙の連載を打ち切られて荒んだ僕の心を癒やしてくれた)

上条(僕はこの小説に出会えて本当に良かったし、この出会いのきっかけとなったさやかと鹿目さんには感謝している)

上条(ただ……ひとつだけどうしても気になることがあった)



上条(これ僕の手紙と全っ然似てないぞ!!)

上条(っていうか、ちょっと待てよ。つまり、こういうことか?)

上条(僕の手紙が打ち切りになったのは、全く似ていない上に発表が後の小説の盗作を疑われたからと、そういうことなんだな)

上条(ふむふむ。そうか、なるほど…………)

上条(って、完全に言いがかりだろ!!)

上条(打ち切りになる要素なんて全くないじゃないか! むしろすぐにでも連載を再開したって問題はないはずだ!)

上条(いや、でも下手に再開してまた病室が騒がしくなるのはなぁ……)

上条(だけどここで黙ってたらまた同じような理不尽が繰り返されるかもしれない。けど、う~ん……)

 翌日

さやか「お疲れ、恭介」

まどか「お疲れ様、上条くん」

上条「ありがとう」


上条(今日は僕の手紙連載終了のささやかな打ち上げを病室で催している)

上条(さやかと鹿目さんが僕のために一生懸命用意してくれたみたいだ)

上条(いつもはくだらない理由で病室に押しかけてきて迷惑していたけど、今日は別だ。僕のために集まってくれて本当に嬉しい)

上条(ただ……)

上条(連載を再開したいなんて、とても言い出せない雰囲気になってしまった……)

さやか「実は恭介にプレゼントを用意してきたんだ」

まどか「特別製の手作りケーキだよ。パパやマミさんに教わって作ったんだ」

上条「えっ、僕のためにわざわざこれを……?」

さやか「もしあたしが恭介だったら嬉しいかなって思ったから……迷惑じゃなかった?」

上条「そんなことないよ。ありがとう!」

まどか「ううん、お礼を言うのはこっちだよ」

まどか「自分がされて嬉しいことを人にする。自分がされて嫌なことは人にしない。それがどれだけ大切なことかを上条くんの手紙は私たちに教えてくれた」

上条「!」

上条(僕のしてきたことは無駄じゃなかった! 手紙の内容を全く理解してくれないと思っていたけれど、本当はちゃんと伝わっていたんだ!)

さやか「さあ食べて。まどかと心を込めて作ったケーキだよ」

上条「うん……でもなんだかこのケーキ、少ししょっぱい……というか、はっきり塩辛い……っていうか塩味じゃないか!!」

まどか「あ、それは私たちがもし上条くんの立場だったらって考えたんだけど」

さやか「あたしたち当分甘いものはいらないから塩味にしたんだ」

上条「……………………」



 屋上

上条「うーん、やっぱりあれって嫌がらせなのかな……」

※安心しろ。善意だ。

番外編 その3


ほむら「鹿目まどか、美樹さやか。現実の魔法少女は、子供向けアニメの魔法少女とは違うのよ。だからなろうだなんて思わないことね」

まどか「う、うん……でも具体的には現実とアニメでどこが違うの?」

ほむら「え?」

さやか「そうだよ。どこが違うのか教えてくれなきゃ判断のしようがないじゃん」

ほむら「そ、それもそうね。具体的には……えっと……」

ほむら「ほら、アニメだと変身した後、顔を隠しているわけでもないのに知り合いに会っても正体を気付かれないってことあるでしょう?」

ほむら「でも現実は知り合いに会ったら一発で見破られるわ」

まどさや「…………」

ほむら(って何言ってるのよ私! これ一番どうでもいい違いじゃない! こんなので二人が魔法少女に幻滅するわけが……)

まどか「そんな! クラスのみんなに内緒にできないなんて!」

さやか「奇跡も魔法もありゃしないよ!」

ほむら「うん……」

ほむら(なんだかよく分からないけどすごく効果があったわ)

ほむら「分かったら二人とも魔法少女にはならないで。いいわね」



メカずみ「残念だけどそれには賛同できないよ!」

まどか「メ、メカずみちゃん!?」

メカずみ「ごめん。3人の話が聞こえてつい」

さやか「それで、ほむらの話に賛同できないってどういうこと?」

メカずみ「それね。魔法少女を増やしたくないのは分かるけど、ウソを教えるのはダメだよ」

ほむら「な……私が話したことは全て真実よ。だいたいどうしてあなたにウソかどうかが分かるのよ」

メカずみ「分かるよ。だって、私も魔法少女だから!」


まどやさほむ(ま、魔法少女……!?)

メカずみ「っていきなり言われても信じられないか」

まどか「んと、そうじゃないけど、私のメカずみちゃんに対するイメージと正反対の単語が出てきたからびっくりしちゃって」

メカずみ「うん、それは自分でも分かってるんだ。たしかに毎日ワルたちと連んでるワルの私じゃ、夢と希望の魔法少女とは正反対だよね」

ほむら「多分まどかが言ってるのはそういう意味じゃないわ」

メカずみ「でもそんな私だって魔法少女としてみんなの笑顔を守るために日々駆けずり回ってる」

メカずみ「だからこそ言えるんだ。私は変身してるとき何度も知り合いに会ってるけど、誰にも正体を気付かれなかったよ」


まどさやほむ(誰も気付かない……!?)


メカずみ「だからほむらの言ってることは間違いだよ」

まどか「……ちょっと確認しておきたいんだけど、メカずみちゃんが変身したら顔は隠れるんだよね?」

メカずみ「全然隠れないよ」

さやか「じゃあさ、顔そのものが変わったり?」

メカずみ「そっくりこのままだって」

ほむら「それで誰にも気付かれないと?」

メカずみ「そうだよ」


まどさやほむ(んなワケないでしょ!!)

まどか「私は基本的には人を疑ったりしないけど今回ばかりはそうもいかないよ」

メカずみ「え?」

まどか「いくらなんでもメカずみちゃんが変身したところで正体が分からないなんてことはあり得ないから!」

メカずみ「そんなこと言っても実際そうなんだからしょうがないでしょ!」

さやか「だったらここで変身してみてよ! そしたらはっきりするから」

ほむら「そうね。それでどちらが嘘つきかが分かるわ」

メカずみ「あ、3人とも信じてないな! よーしわかった。今から変身するから見ててよ!
」ウィーンガシャンガシャン

まどさやほむ「なっ!?」

メカずみバイク「ブロロロロロ……」

まどさやほむ「…………」


まどさやほむ「こんな人知らないよ~~!!」

※変身というか変形。

番外編 その4


見滝原の魔法少女を取り仕切る少女、巴マミ。
彼女は魔女とのケンカは負け知らずであり、暁美ほむららと協力してワルプルギスの夜をも倒した武闘派魔法少女である。
しかし、そんな彼女にもひとつの大きな弱点があった。
それは彼女が乗り物に非常に酔いやすいということである。


マミ「この弱点は誰にも知られるわけにはいかないわ」

マミ「でも大丈夫よね。中学生が乗り物に乗る機会なんてそうそうあるわけでもないし」

さやか「大変だよマミさん! また恭介が魔女に捕まった!!」

まどか「結界は病院前にあります! すぐに助けに行きましょう!」

マミ「もちろんよ! でもその前に、病院までどうやって行くの? まさかタクシーじゃ……」

まどか「それが残念なことにタクシーは捕まらなかったんです」

マミ「よし!! それは残念ね!」

さやか「それにほむらや杏子とも連絡が取れないんです。あいつら今どこにいるのよ!」

まどか「その代わりに校門前に強力な魔法少女の友達を待たせています。今回は彼女と病院まで走ってください」

マミ「走るのね! わかったわ。任せて!」



 校門前

メカずみバイク「ブロロロロロ……」

まどか「魔法少女のメカずみちゃんです! さあ、早く乗って病院まで走ってください!!」

マミ「…………」

マミ「ちょっと待って。一旦落ち着かせて」

さやか「何言ってるんですか! 恭介の一大事なんですよ!?」

マミ「そうなんだけど、でもこれおかしいでしょ! あなたたち疑問に思わないの?」

まどか「その気持ちは分かりますが、疑問に思うのは魔女を倒した後でもできます! まずは上条くんの救助を優先しましょう!」

マミ「それはもっともだけど、えっと…………あ、そうだ! よく考えたら私免許持ってないじゃない! だから乗りたくても乗れないわ!」

まどか「マミさん……魔法少女の背中に乗るのに免許なんて要りませんよ」

マミ「魔法少女? コレの一体どこが魔法少女なのよ!?」

まどか「確かに私も最初からメカずみちゃんが魔法少女であることを信じたわけではありません」

まどか「でも実際にメカずみちゃんはものすごい魔法を操るすごい魔法少女なんです」

さやか「まどか、マミさんにもアレを見せてあげなよ」

マミ「な、何をするつもりなの?」

まどか「分身の魔法です。しかも最大13体に分身できます」

マミ「何ですって! まさか佐倉さんのロッソファンタズマと同じ魔法を使えるというの!?」

まどか「あ、もしもし。今校門前にいるからすぐ来てくれる?」

 数分後

メカずみβ×12「メカズミックス」

まどか「マミさん。これが分身の魔法です!」

マミ「ただの姉妹品でしょ!!」

さやか「ふっ、だったらこれをやるしかなさそうだね」

マミ「美樹さん、大根と包丁を持ってどうするつもり?」

さやか「マミさん見て。メカずみの背中をまな板代わりに大根が切れるよ」

まどか「体が異常に硬くなる魔法です」

マミ「…………」

さやか「あ!」

まどか「さやかちゃん、どうしたの?」

さやか「包丁の刃が欠けちゃった。まさかメカずみの魔法がここまでだったとは!」

まどか「さすがメカずみちゃん! こんなにメチャクチャ体が硬くなるなんて、これはやっぱり素質かな」

マミ「素材よ!!」

さやか「ここまでやってもまだ信じないなんて……マミさん意外に頑固だね」

マミ「当たり前じゃない! こんなのでこの子が魔法少女だなんて信じられるわけないでしょ!」

まどか「こうなったらメカずみちゃんの一番得意なあの魔法を見せるしかないよ」

マミ「一番得意な魔法?」

まどか「そういうわけでマミさん。メカずみちゃんの背中に乗ってください」

マミ「そういうわけってどういうわけよ! ちょっと待って! 無理矢理乗せないで! やめてー!!」

まどか「メカずみちゃん、今だよ! 超加速の魔法!」

メカずみ「ドドドドド ブロォォォォォォ!!!」

マミ「それただのアクセル全開じゃないのおおおおお!!!」


ガシャーン


まどさや「まさか!!」



さやか「ここの角を曲がったところで凄い音がしたよね!?」

まどか「マミさん! メカずみちゃん! 大丈夫?」

メ/カ/ず/み「」

まどさや「ああああ!!」

 翌日

さやか「いやあ、一時はどうなるかと思ったけどみんな無事で良かった!」

まどか「そうだね。マミさんは若干壁にめり込んでたけどほぼ無傷だし、上条くんはちょっと怪我したけど、どうせ病院送りだからあんまり関係ないもんね」

さやか「それより大変だったのはやっぱりメカずみだよ」

まどか「うん、あんなにバラバラになるなんて。でもすぐに直って良かったね、メカずみちゃん!」

ギーゼラ(バイク形態)「ブロロロロロ」

マミ「ソレ明らかに違うでしょ!!」

※成長期だからね。

今日はここまでです

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