姫「退屈で仕方ないの!もう限界!」
狩人「そんな理由で狩りについて来られても困ります」
姫「それだけじゃなくてわたしもお父様みたいに狩りをしてみたいの!」
狩人「たしかに国王様は狩りをなさることもありますが、今回は狩りの内容が違うのです。姫様を連れていくことはできません」
姫「な、なんで!?」
狩人「王様が趣味として行うものと違い、今回の獲物は民から苦情があったために狩りに行くのです。危険度は増しますし、何日で終わるかもわかりません」
姫「す、数日くらいなら大丈夫だもん」
狩人「それに当然、獲物は山の中です。国王様がプレゼントしてくれたそのドレスが汚れてしまいますよ」
姫「あ、それなら大丈夫!ちょっと扉の外で待ってて!」
狩人「?はい」
姫「もう入ってきていいわよ」
ガチャ
狩人「一体なにを……あ」
姫「ふふん、どう見ても普通の村娘でしょ?これなら汚れたりしても大丈夫!」
狩人「……いつの間にそんな服を?」
姫「え!?えーっと……前にお父様と視察に行った時に……」
狩人「……その時姫様は食べ物の露店に寄りたいとばかり言っていたはずですが」
姫「えっ!?そうだったかなー、あはは……」
狩人「…………」
姫「うー……」
狩人「…………」
姫「ごめんなさい……侍女に頼んで買ってきてもらいました……」
狩人「はあ……」
狩人「ということは、もともと機会を見つけて抜け出すつもりだったのですね」
姫「はい……抜けだすつもりでした」
狩人「まったく……侍女もとめてくれればいいものを」
姫「そこはまあ……ちょっとお金を多めに渡しました」
狩人「買収したのですか……」
姫「ねえ、どうしてもだめ?」
狩人「だめです」
姫「どうしても……?」
狩人「どうしてもです」
姫「う……」ウルウル
狩人「……はあ」
狩人「山は冷えますから、防寒具も身につけてください」
姫「え?それって……」
狩人「私も準備にかかりますから、誰かがこの部屋を訪れた時のためにもとのドレスを着ていてください……準備が終わったら迎えにきます」
姫「!うん!」
バタン
狩人「まあ王様にもたまには連れ出してやれと言われてますし……一人で抜けだされたら困るので本人には言いませんが」
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