クロエ・ルメール「タケシー、遊びキマシター」俺「またきた」 (41)


冬休み

学生寮
In 俺の部屋

俺「こたつあったけぇ…」
クロエ「ポカポカデース…」

クロエ(ぐだぐたー)
俺(ぐだぐたーー)

クロエ「あ。タケシ、タケシー」

俺「どしたー」

クロエ「みかん取ってくだサーイ」

俺「ちょっと待ってろー」
俺「どっこいしょ、っと…」スクッ

クロエ「………」
クロエ「タケシー」

俺「なんだ」

クロエ「ソレ、やめた方がイイデスヨ?」

俺「それってどれだよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413462660

クロエ「立つ時と座る時に言ってる言葉デス」

俺「俺なにか言ってたか?」

クロエ「ドッコイショって、いつも言ってマス」
クロエ「あれ、ちょっピリださい」

俺「はぁ?そんなこと言ってないだろ」

クロエ「えっ。でもさっき…」

俺「どっこいしょっと…(ドスッ)
ほれ、ミカン持ってきたぞ」

クロエ「ホラ!また言いマシタ!」

俺「は?言ってないって」

クロエ「……???」

俺「食べないなら俺が貰うぞ」

クロエ「た、食べマース!」

俺「ほれ」

クロエ「ありがとデース!」
クロエ「…むー…ニポン語むつかしー

クロエ「フンフーン~♩フーン~♩」
ミカンの皮(剥き剥き)

スッ

クロエ「フフフーン~♩」
ミカンの皮(剥き剥き)

スッ
スッ
スッ

俺「…なんだこれ」

クロエ「?ミカンの白い筋デスヨ?」

俺「それは知ってる。

そうじゃなく、俺の手の甲の上にそれを着々と重ねている理由を聞いているの」

クロエ「ミカンの白いの、なんか気持ちワルい。

クロエそれキライ。だからタケシにあげマース」

俺「白いのだけ?」
クロエ「白いのダケ」

俺「実は?」
クロエ「実はクロエのデス。あげられナイのデス」

俺「んな理不尽な」

クロエ「………」フッ…
クロエ「ミカンの実だけはどうしてモ…
どうしてモ、あげられないのデス…」

俺「え…?」
俺(もしかして何か深い理由でもあるのか?)

クロエ「なぜならバ…」

俺「なぜならば…?」

クロエ「ミカンはクロエの…

大大大だーい好物だからデース!」パァッ!

クロエ「では、いただきマース!」

モグモグ

クロエ「んー!ミカンおいシ~デース!」ニコニコ

俺「………」

クロエ「おいシ~!」
パク、モグモグ。パク、モグモグ。

俺「白い筋…一応食べてみるか…」
モグモグ…モグ…モグ…

俺(マズい…)モグモグ


クロエ「んふふ~っ。ミカンは幸せな味デスネ~。
ニポンのミカン、美味しスギスギデース~」ニコニコ

俺(何度噛み締めてみても…やはりマズイ…)モグモグ



クロエ「ふふふ~」ニコニコ

俺(幸せそうな笑顔だなぁ…)モグモグ

クロエ「コタツとミカン!
サイキョーの組み合わせデース!」ニコニコ


俺(いい笑顔…)
俺(でもどうしてだろう。あの笑顔をみてるとなんだか…)

クロエ(ニコニコ)

(あの笑顔…)
(無性に…)
(歪ませたい!)

俺「………」
俺「う、うわー!なんだこれー!(棒)」

クロエ「?タケシいきなり声あげてドシマシタ?」

俺「この白いの…白いの超うめぇ!めちゃくちゃうめぇえええ!」

クロエ「オロロ?」

俺「うめええええ!
白いのだけ分けて食べると超うめえええ!味の産業革命やああああ!」

クロエ「ソンナに…おいしい、デスカ?」

俺「おいしいいいい!ミカンの実の部分なんて目じゃないくらい美味しいいい!!」

クロエ「………」ジーーっ
クロエ「ワ、ワタシにもちょっピリくださいっ」

俺「やらん!絶対にやらん!」

クロエ「エー!ワタシも食べたいデース!」

俺「知ったことか!お前は一生ツルツルなミカンだけ食ってな!」

クロエ「むむむっ!!」

クロエ「ホシー!」

俺「やらん!」

クロエ「ホシーデース!!」

俺「や・ら・ん!!」

クロエ「むーっ!タケシのケチー!」

俺「自業自得だあほー!」

クロエ「もういいデス!」
スクッ
クロエ「もひとつミカン、取ってきマース!」

俺「おうおう。いってこい、いってこい」

クロエ「いてきマース!」

俺「あ、ついでに俺の半纏も持ってきてくれないか?台所にあるから」

クロエ「ハンテンッ!?了解デース!!」

トットットッ

俺(あれっ!?怒ってた割に素直っ)

………
……

シーン…

俺「いきなり、静かだ」

俺「………」

俺「テ、テレビでも見るか」
ポチッ←テレビをつける音

テレビ『ぎゃーぎゃー』

俺「………」
俺「…つまはん」
カチッ←テレビを消す音

俺「クロエのやつ…遅いな…」
俺「クロエー、クロエー」

クロエ「「ハイー?なんデスカー?」」

俺「ミカン見つかったかー?」

クロエ「「見つかりまセーン!!」」

俺「よし。ならば俺が直々に…」

クロエ「「でも、なんとか一人で見つけて見せマース!」」

クロエ「「タケシこなくていいデース!」」

俺「………」
俺「お、おっけー!」

クロエ「「タケシータケシー」」(遠く気味な声)

俺「おー?なんだーー」

クロエ「「ミカンないヨー?」」

俺「えー?戸棚の下にあるはずだぞーー」

クロエ「「あ!ありましたデース!」」

俺「はよ戻ってこーい」

クロエ「「わかりま……オォオオ!!」」

俺「今度はどうしたー」

クロエ「「どん兵衛!どん兵衛デース!!ドンベエエエエ!」」

俺(なんだそのテンション)

クロエ「「どん兵衛ソッチ持って行っていいデスカー!?」」

俺「い、いいよー」

クロエ「「オー!タケシ大好きー!
めちゃめちゃ好きデース!愛してマース!」」

俺(108円で買える愛…)

クロエ「ハンテン、持てきたヨー」

俺「ご苦労さん」

クロエ「そしてーッ!」
クロエ「どん兵衛も!持てキマシタ!」

俺「よ、よかったね」

クロエ「あ。ハンテン、どぞデス」トスッ

俺「おーこれこれ。
クロエ、半纏なんてよく知ってたね」

クロエ「コタツ、ミカン、ハンテンはニポンの三種の神器。常識デース!」

俺「そうか」(そうか…?)

クロエ「あ!」
俺「今度はどうした。どん兵衛はもうないぞ」

クロエ「ミカン持ってくるの忘れてマシタデス」

俺「…いってらっしゃい」

クロエ「いってきマース!」

トットットッ

俺「………」
シーン…

俺「ま、待って。念のため俺も一緒に行く」

クロエ「?ハイ」

俺「………」じーーっ

クロエ「どん兵衛~どん兵衛~♩」ナデナデ

俺「………」
俺「なぉ」

クロエ「ハイ?」

俺「どん兵衛食べないの?お湯なら出せるけど…」

クロエ「食べませんヨ?」
クロエ「どん兵衛は…机に置いて…そっと、愛でるモノ…」

ナデナデ

俺「………」

クロエ「どん兵衛は、見て楽しむものナノデス!」

俺「斬新な楽しみ方だ」

クロエ「ニポンのオレンジ、食べやすくてワタシとても好き~」

モグモグ

俺「良かったな」

クロエ「はいデース」モグモグ

俺「………」

クロエ「ウマウマ~」

俺「あの、ところでさ」

クロエ「ん?」モグモグ

俺「さっきからずーーーーっと気になってることがあるんだけど」

クロエ「ん」モグモグ

俺「えーっと」

クロエ「ん」モグモグ

俺「あのー」 クロエ「ん」モグモグ
俺「そのー」 クロエ「ん」モグモグ

ゴクンっ

クロエ「早く言ってくだサイ。
3つ目のミカンいっちゃいマース」

俺「ご、ごめん」
俺「あのさ、今更こんなコト言うのも変なんだけどさ」

クロエ「ハイ」

俺「クロエ…どうして俺の部屋にいるの…?」

クロエ「んー…」モグモグ

モグモグ
ゴクンっ

クロエ「随分、イマサラーな質問デスネ」

俺「まぁ、そうねぇ…」

クロエ「順番に説明しマスとデスネ」
クロエ「まずワタシ、タケシに会うためにここ来マシタ」

クロエ「でも、タケシいない」

俺「はい。バイトに行ってました」

クロエ「代わりにヤマモト、部屋にいマシタ」

俺「えっ、ヤマモト?山本先輩いたの?!あちゃー…」

クロエ「ワタシ、ビックリしましタ。
『タケシが部屋に男連れ込んでるデース!』と」

俺「は」

クロエ「タケシが自分の部屋でオスを飼ってル!しかも学校の寮の部屋で!」

俺「はぁ!?」

クロエ「タケシがホモセクシャルの調教趣味の変態だったことに、ワタシ、驚愕!」

俺「いやいや!山本さんはただの寮のルームメイトだから!
同室だからこの部屋にいただけだから!なんだその飛躍の仕方!」

クロエ「ビックリしたワタシ見て、ヤマモト教えてくれマシタ」
クロエ「『俺はただの同居人だよー』と」

俺「誤解が解けてよかった…」

クロエ「ヤマモト、とっても気さくで優しい」

クロエ「部屋で待っててイイヨって、

ワタシ、部屋に入れてくれて、お茶まで出してくれマシタ」

俺「そうか…。あとでお礼せななぁ…」

クロエ「ヤマモト親切。とっても、いい人デース」

俺「なんでも相談に乗ってくれるし、ほんといい先輩だよ」

クロエ「………」じーーっ

俺「なんだその目は」

クロエ「ベツに…」

俺「?」

クロエ「タケシ帰ってくるまで、

クロエずーっとコタツにくるまって待ってマシタ」

クロエ「タケシ、帰ってきて
コタツにくるまるワタシいきなり見たら、

きっと、
『な、なんでクロエが俺の部屋にいるのォ!?』

って、すぐツッコんでくれると信じてマシタ。

クロエずーーーっと信じてマシタ」

俺「………」

クロエ「でもタケシ、お家帰って来てから、かれこれ数時間は経ってマス」

クロエ「ツッコミ遅過ぎデス」

俺「す、すみませんでした」

クロエ「フー……」

トン、トン、トン←机のミカンを人差し指でトントンする音

俺「………」
俺(なんで俺怒られてるんだろう)

クロエ「どゆコトデスカっ」

ドン!

俺「っ!す、すみません」

クロエ「クロエ、謝ってホシーワケちがうです」

俺「はい」

クロエ「説明してホシーだけナノデス」

俺「はい」

クロエ「でも」
クロエ「遅くナタけど、ちゃんとツッコミくれたから、許しマース」

俺「あ、ありがとうございます」ホッ

俺「えーっとですね」
俺「帰ってきた時に、
すぐ尋ねるべきだったんだろうけどさ」

クロエ「ハイ」

俺「なんていうかな…」俺「えーっと」

クロエ「…言い辛いコトなら、
クロエ、無理に理由聞かないヨ?」

俺「いや、そういうのじゃないから大丈夫」

クロエ「ソカ。よカタ」

俺「なんつーかさ、
クロエが俺の部屋にいる光景があまりに馴染みすぎていて、
『なんで俺の部屋にいるの?』って言い出せなかったんだよ」

クロエ「………?」
クロエ「よくワカラン、デス」

俺「クロエが俺の部屋のコタツでグータラしてる姿がすごく自然でさ」

俺「そんな光景を壊したくなくいなーって思って…えーっと」

俺「あー」
俺「ごめん、俺もよくわからん」

クロエ「?そデスカ」

クロエ「まぁ、それでヨシとしましょウ」

俺「うっす」

俺「とりあえずの事情はわかったんだけどさ」

クロエ「まだナニカ聞きたいデスカ?」

俺「ヤマモトさんはどこにいったの?」

クロエ「………」

俺「迷惑かけたみたいだし山本先輩にお詫びをしないと…

って、なんだよそのジトっとした目は」

クロエ「タケシ、ヤマモトの行方、そんなに気になル?」

俺「そりゃあ、色々迷惑かけちゃったみたいだし気にもなるでしょうよ」

クロエ「………」
クロエ「そんなにヤマモト、恋しいデスカ」ボソッ

俺「は!?」

クロエ「ヤマモト恋しい…やっぱりタケシはゲイの鬼畜変態…」ボソッ

俺「違うわ!」

クロエ「ヤマモト、ニーガタ帰る言ってマシタ」

俺「あー、そういやあの人も帰省組だったなぁ」

クロエ「キセイ?それどゆイミ?」

俺「実家に…あ、えーっと、
帰省組ってのは、自分の家族のいる家に一旦戻る人達のことだ」

クロエ「ナルほど」

俺「そういえば、クロエは冬休みいつ実家に帰るの?」

クロエ「クロエ、ジッカ帰らナイヨ?」

俺「えっ」

クロエ「今年、最後までニポンいるツモリ」

俺「冬休みの間ずっと?」

クロエ「ニポンにいマス」

俺「正月は?」

クロエ「ずーっと、ニポンデース!」

俺(フランスでは年越しに家族で過ごす風習とかないのだろうか…)

俺「軽くカルチャーギャップだぜ…」

クロエ「だからー」
クロエ「今年の正月、タケシと一緒に過ごしマース!」

俺「えっ」

クロエ「お正月、タケシとフジ山登って、ご来光一緒に見たいデース!」

俺「さらっととんでもないことを言ったけど、それよりも…」

俺「と、年越し?俺と?」

クロエ「ハイデス!タケシと年越し、したいデース!」

俺「う、うーん…と、年越しかぁ…」

クロエ「……タケシ、もしかしてフジ山嫌い?
やっぱりネショーガツする?」

俺「いやそうじゃなくてね」

クロエ「ハイ」

俺「俺…正月は実家に帰省するつもりなんだけど…」

クロエ「えっ」
クロエ「……エエエエ!!」

クロエ「………」

俺「まさかクロエ、
俺と過ごすためにフランス帰らなかったの?」

クロエ「………」コクン

俺「Oh……」

クロエ「そ、そ、そ、そデシタカ。
タケシ、キセーするのデスカ」

クロエ「事前に、チャント、確認すべきデシタ、ネ」
クロエ「アハハハー…」

俺「うーん…」

クロエ「アッ!き、気にしなくてイイデスヨ?」
クロエ「タケシは予定通り、ジッカ、帰テくだサイ!」

俺「…あ。」

クロエ「クロエ、一人になっちゃうけど、
一人慣れっこだカラ、問題ナシデス!」

クロエ「今年は部屋でグータラ、年越しデース!」
クロエ「アハハハ、楽しみデース!ハハハ…」

鞄をガサゴソ
財布をチェックする
俺「あー」

クロエ「だからー…って、タケシ?

ワタシの話、チャント聞いてマス?」

俺「しまった」

クロエ「ドシマシタ?」

俺「飛行機乗り遅れた」

クロエ「?ヒコーキ??ナンの話??」

俺「ということで、」
俺「地元行きの飛行機に乗り遅れてしまいました」

クロエ「そう…ナノデスカ?」

俺「うん」

クロエ「タケシ、ヒコーキ乗って帰省する予定ダタデスカ」

俺「うん」
俺「でもクロエとグータラしてたら飛行機の搭乗時間過ぎちゃった」

クロエ「どやって実家帰るデスカ?」

俺「お金もないし当日券なんて買えない。
どうしようもない」

クロエ「オー」

クロエ「これはアレデスネ。
こんな時使うコトバ、クロエ知ってマス」

俺「ほう」

クロエ「他人の不幸デ、飯がウマイ!」

俺「………」

クロエ「と、ゆーコトは!」
クロエ「タケシと年越し、デキマスネ!」

俺「そうなるね」

クロエ「ヤッター!」

クロエ「タケシ!よくやりマシタ!」ポンポンっ

俺「全力で喜んでやがる…」

クロエ「そりゃ喜びマス!タケシといられるデスカラ!」

俺「……俺のうっかりに感謝しなさい」

クロエ「タケシがうっかりどん兵衛で助かりマシタ~」

俺「うっかり"八兵衛"な。

いや、それもそれで何か間違えてる気がするけど…」

クロエ「うっかりどん兵衛!どん兵衛!」

俺「まるで話を聞いていない…。

あー。ちょっと実家に電話して知らせてくるわ」

クロエ「ハーイ」

俺「どっこいしょっと…(スクッ
ジャンバー、ジャンバー」

クロエ「えっ。わざわざ、お外で電話するデスカ?」

俺「俺は母親と電話する時、甘えるような猫撫で声になるから
人には聞かれたくないんだよね」

クロエ「なんデスカそれ。
タケシ、マザコーン」

俺「うるさい。
外国人が和製英語使うんじゃないよ。

じゃ、ちょっと行ってくる」

クロエ「ハーイ、イテラ~」

In 外
俺「……さみぃ」

ピッ、ピッ、ピッ

俺「…母さん?オレオレ、俺だけど」

俺「俺だって」

俺「はぁ?
『うちの息子ならプリキュア37人全員言えるはずだ』だって?」

俺「言えるわけないだろ!」

俺「………」

俺「き、切れた!?」プー、プーッ

俺「………」ピッ、ピッ

俺「もしもし、タケシだけど。
うん。サトウタケシ。あなたの息子。好きな食べ物は唐翌揚げ」

俺「いい加減俺の番号登録してくれよ、母さん…」

俺「ごめん。今年の正月はそっち行けなくなったわ」

俺「あー…そうそう。そんな感じ。」

俺「雪のせいで都内の電車が
ほとんど止まっちゃってそっち行けないんだよね」

俺「うん…うん。…え?」

俺「電車乗れないなら自転車で来いって?

やだよ。この雪の中自転車でいったら一時間はかかるじゃん」

俺「車で迎えに行くって?う、うーん…」

俺「………」

俺「…実はさ、

実家に帰れなくなった友達が一人でいて、

一人で年越しはさみしいだろうから、
今日明日は一緒にいることにしたんだよ」

俺「うん」

俺「うん…。うん?は、はぁ?」

俺「彼女じゃねーよ。ただの友達だよ」

俺「とにかく!三が日には必ず帰るから」

俺「ん。よろしくー」

プツン

In 俺の部屋
俺「ただいマンドリル」

クロエ「ハ?」

俺「ただいマンドリル」

クロエ「……」
クロエ「タケシ、ついにニポン語も喋れなくなりましたカ」

俺「『も』ってなんだ、『も』って」

クロエ「『ただいま』が正解デス。間違えてマスヨ、タケシ」

俺「……うん。ごめんなさい」
俺「改めて、ただいま」

クロエ「ハイ。おかえリン酸塩デース」

俺「なんだその体に悪そうな挨拶は」

クロエ「ジョークジョーク」

俺「うーサブサブー。どっこいしょっと…(ドスン」

クロエ「フフフ~」(ニコニコ)

俺「…んん?」

クロエ「ん~?」ニコニコ

俺「あ、あの…クロエさん」

クロエ「どしマシタ?」ニコニコ

俺「なんすか、この白い山は…」

クロエ「ミカンの白い筋デース!
タケシお電話の間、たくさん剥いておきマシタ!」

俺「Oh…」

クロエ「タケシ、これ好き言ってたカラ

クロエ頑張って剥きマシタヨ?」チラッ、チラッ

俺「お、おう」

クロエ「頑張って剥きマシタ!タケシ喜ぶ思テ!
クロエ頑張りマシタ!!」チラッ、チラッ

俺「お、お~。
ク、クロエはいい子だな~。あ、ありがとな~」

クロエ「エヘヘ~っ///」

俺(く)
俺(食いたくねええええ!!)

俺「な、なぁクロエ?」

クロエ「?」

俺「こんなにたくさんは貰えないよ。
二人で半分こしよう?」

クロエ「ええッ!ダメですよそんなノ!」

俺「クロエ、さっき白いの食べるの楽しみにしてたんだろ?」

クロエ「……ハイ。デ、デモ…」

俺「それならさ、仲良く半分こしようぜ?」

クロエ「で、でも!
タケシ、この白いの大好きなハズ!

ワタシ、タケシに喜んでもらいたくて頑張ってムキムキしマシタ」

クロエ「もらえナイデス!」

俺「クロエとはさ、いつだって幸せを共有したいんだ」

俺「つらいのも、幸せなのも、
二人で分け合って、二人で感じていたいんだ俺」

クロエ「タケシ…」

俺「俺一人だけが幸せな思いするなんて…俺にはできないよ」

俺「クロエとはいつも半分こでいたいんだ!」

クロエ「タケシ…!」
クロエ「わかりマシタ!ワタシも、タケシと一緒がイイ!
ワタシも、白いないただきマース!」

俺「うむうむ」

クロエ「アリガトデス!タケシー!」

俺「………」
俺「あ、余った実のほうは全部俺が処理しちゃっていいか?」

クロエ「もちろんデス!

タケシさっき、実の方食べられマセンデシタ!
クロエの幸せ、タケシと半分こデース!」

俺「うむ」

クロエ「………」モグモグ

俺「………」モグモグ

クロエ「………」モグモグ
クロエ「ねー、タケシー…」

俺「なんだ」

クロエ「白いの、ほんとに美味シイ?」

俺「………」モグモグ
俺「少なくとも、実の方はめっちゃ美味しいぞ」

クロエ「………」
クロエ「タケシ」

俺「なんだ」

クロエ「ミカンの実、ワタシにもください」

俺「やだ」

クロエ「ください」

俺「やだ」

クロエ「………」
クロエ「ズルイ!タケシウソついた!
やっぱり白いのマズイ!マズイヨ!」

俺「うるせぇ!
幸せ半分こって、さっき自分でゆーたやろがァ!!

さっきの俺と同じわびしい思いをして、
ようやく初めて対等じゃァアア!」

クロエ「ウゥゥ…白いの美味しくない…
美味しくないデース…」

俺「黙って食べな!」

クロエ「ウゥゥ…」


俺「さて、小腹も膨らませたところで…」

クロエ「ウゥゥ…もうミカンは見たくありまセーン…」

俺「年越しの準備、始めるか」

クロエ「!!」
クロエ「年越し!デス!」

俺「うむ」

クロエ「フジ山!フジ山ご来光!」

俺「それは今からじゃ無理」

クロエ「ソカー。じゃーフジ山は来年デスネー…」

俺(来年……?き、聞き流さしておこう)
俺「と、とりあえずスーパー行って食い物買おうか」

クロエ「ハイ!」

クロエ「ドッコイショ、っと…(スクッ
コート、コートーっと」スクッ

俺「………」
俺「クロエ」

クロエ「?どしマシタ?」

俺「たしかにその台詞は日本っぽいが…
それはやめた方がいいと思うぞ?」

クロエ「ソレ?ソレってなんのコト?」

In 外
~スーパーへの通り道~

俺「くそさみぃ…」

クロエ「タケシ、防寒具足りてナイ?」

俺「足りてない…」

クロエ「ハンテン持てクル?」

俺「半纏は部屋用だからダメ…」

クロエ「……あ!そうだ!」

俺「どうした。
もしかして、その首に巻いてるマフラーを凍える俺に貸してk…」

クロエ「クロエ、タケシと同じハンテンほしーデス!
お店でハンテン買いマショウ!」

俺「……そうね」

クロエ「ついでにタケシの防寒具買いマショウ!」

俺「ついでか…」

クロエ「アト、クロエのマフラー貸してあげマース!」

俺「おぉ…ありがとう…」

俺「ハックション!」

クロエ「まだ、寒いデスカ」

俺「少しだけな」
俺「でもマフラーのおかげで大分あったかい」

俺「ありがとな、クロエ」

クロエ「あっ」

クロエ「……///」
クロエ「さ、さ、さ…」
クロエ「さ、寒いナラ、クロエと手を繋げば…」ボソボソ

俺「あ、そうだ」

クロエ「ハ、ハイ!?」

俺「コンビニで肉まん買おうぜ」

クロエ「………」

俺「そうずれば多少は体もあったまる…
って、どしたクロエ。すごい顔してるぞ」

クロエ「……なんでもナイデス!
モー!タケシのアホ!」

俺「俺が何したって言うんだ」

クロエ「モー、イイから早くファミ○行きマショ!」

トットットッ

俺「ちょ、走るなって。おーい」

クロエ「どん兵衛買ってもらいマスカラネー!」

俺「なぜ俺が奢らなきゃいかんのだ」

クロエ「好きだからデース!どん兵衛大好きだからデース!」

俺「なんだそりゃ…理由の説明になってない…」

クロ「もー、いいじゃナイデスカー。
ほら早くイキマスヨ!」

俺「ほいほい」


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