最大主教「フフ、ドラゴンころし、と、言いありけるのよ。」
ステイル「ドラゴン…殺し?そんな礼装聞いたことがありませんが…」
最大主教「この大剣はイギリス清教の中でもごく一部の人間しか知らぬもの」
最大主教「しかもこの大剣には決定的な欠陥があるため誰も興味を示さなかった」
ステイル「欠陥?」
最大主教「そう、そもそもこの大剣の効果はあらゆる魔術を阻害し、魔術師はこの大剣に触れただけで魔術を使えなくなる」
ステイル「! それは…まるで」
最大主教「そう、彼の少年の『右手』と同じような能力を持っているのよ」
最大主教「といってもあの『右手』のように全ての魔術を問答無用で打ち消すほどの能力はなく、学園都市の能力にも通じるか分からないなりけりよ」
ステイル「しかし、そんな魔術師の天敵とも言えるような剣がなぜ誰にも見向きされずにこんな所に封印を?」
最大主教「初めっから見向きされなかったわけではなけりよステイル」
最大主教「過去幾人もの魔術師達がこの大剣を調べたけどだれ一人この大剣がなぜこんな能力を身に付けたか解明できた者はいなかった」
最大主教「しかもこの大剣を元々誰が使っていたのか、誰が作ったのか、それすらも分からなかった」
最大主教「分かったことはただ一つこの大剣は恐ろしいほど使い込まれていたというだけ…」
ステイル「しかし…欠陥というのはどういう事ですか?」
最大主教「簡単な事なりよステイル」
最大主教「魔術を阻害し、この剣に触れただけで魔術が使えなくなる…」
最大主教「それは即ち肉体強化の魔術も使えないということ」
ステイル「あっ…」
最大主教「気付いたようねステイル、そう、単純にこの剣は誰にも持ち上げることが出来なかっただけのこと」
最大主教「振れない剣に何の意味がありけり?ステイル?」
ステイル「しかし…先ほどこの剣は恐ろしいほど使い込まれていたと…」
最大主教「…前の持ち主はこの大剣を完璧に操っていたということよ…」
ステイル「もしかして…聖人がこの剣を…しかし…聖人が使っていた武器なら必ず伝承が残っているはず…」
最大主教「ステイル…ここからがその剣の恐ろしい所なりよ」
ステイル「…」
最大主教「過去にも聖人がその『ドラゴン殺し』を持ち上げようとしたことはある」
最大主教「けど、その聖人はこの剣を振るどころか持ち上げることすら出来なかった…」
最大主教「この剣に触れている間その聖人の身体機能は普通の人間に戻っていた…」
ステイル「! バカな!そんなこと天草式の聖人崩しでもない限り出来るはずは…!!」
最大主教「ステイル、聖人崩しは聖人に宿った『神の力』を意図的に『暴走』させ神の力を行使できなくさせるもの」
最大主教「ドラゴン殺しに触れた聖人は『神の力』を『カット』させられていたのよ」
ステイル「カット?どういうことです?最大主教」
最大主教「そもそも聖人とは生まれながらにしてその身体に神の子に似た身体的特徴、魔術的特徴を持つことにより神の力の一端を宿すもの」
最大主教「その力の供給が止まれば身体機能も魔力も全て一般人に戻る」
最大主教「このドラゴン殺しはそんなこともできるのよ」
ステイル「っ……(神の力の供給をカットだと?!そんなことあの忌々しい『幻想殺し』にも出来ないことだぞッ!)」
ステイル「…最大主教、その剣がとんでもない物だという事は分かりました…」
ステイル「しかし、わざわざその剣の凄さを自慢する為だけに僕を呼んだ訳ではないでしょう?」
最大主教「えっ?そうだけど」
ステイル「……」ボッ
最大主教「う、嘘よ!嘘!嘘だからその炎を私の髪に向けないで欲しいけりよステイル!」
ステイル「チッ…さっさと用件を言って下さい最大主教」
最大主教「コホンッ…魔術ではこの剣を調べることは不可能…」
最大主教「なら『科学』ならばどうなのでしょうね?」ニヤリ
ステイル「っ……まさか」
最大主教「そうよステイル、学園都市にはもう了承を取っているけりよ」
最大主教「あなたの役目は運輸中のドラゴン殺しの護衛と学園都市にいる『禁書目録』に協力を仰ぐ事とついでにその護衛」
最大主教「よろしく頼むわよ、ステイル」ニコッ
ステイル「……謹んで承けたわりますよ最大主教」
最大主教「それじゃあ早速準備してくりゃれステイル。日程はまた後で伝えるわ」
バタン ガチャッ
ステイル「……フー…また何を企んでいやがるんだろうねあの女狐は」
ステイル「しかし…ホントにバカでかい剣だなこれは」
ステイル(これを聖人でもない人間が使いこなしていたというのかい?)
ステイルはその剣に視線を移す
それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた
大きく ぶ厚く 重く
そして大雑把すぎた
それは正に鉄塊だった
とりあえずここまで…
勢いで立てちゃったどうしよ
とりあえずここまで…
勢いで立てちゃったどうしよ
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