ステイル「よく考えてみると、神裂の服装は性的すぎるな……」 (57)

ステイル「術式の構成だとか魔術的意味合いだとか言っているが……」

ステイル「あそこまで性的なものにする必要はあるのか」

ステイル「ふう……」

ステイル「あれでは必要悪の教会全体の男性諸君と一部の女性の煩悩を呼び起こし、風紀が乱れてしまう」

ステイル「一刻も早くやめさせなければね。邪な感情を彼女に持つ者も現れてしまうかもしれない」


ステイル「神裂は……見つけた」

神裂「ステイル? どうかしたのですか?」

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ステイル(改めて見ると……これは酷いな)ジーッ

神裂「……?」

ステイル(へそも丸出しだし、足も太ももはおろか根元まで露出してしまっている……)

ステイル「これでは風紀も乱れるというものだ」ウム

神裂「一体どうしたのですか、ステイル」

ステイル「神裂、落ち着いて聞いてほしい。君の――」

「あ、かおりん。そこにいたんですね」

神裂「どうかしましたか?」

魔術師A「ちょっとチョーシこいてる魔術結社がいてですね、今動けるのはかおりんくらいしかいないんですよ」

魔術師A「ってなわけで、性人パワーで真の恐怖ってもんを骨の髄まで叩き込んで再起不能にしてほしいんだけど。なに、かおりんからすれば雑魚の群れです」

神裂「その言い方は少し気になりますが……まあ、承知しました。すぐに向かいます」スタスタ

ステイル「行ってしまったか……まあ、あとでもいいだろう」フーッ

ステイル「……というか。今の話、僕でもよかったんじゃないか?」

ステイル「神裂しか動けないと言っていたけど。まあ、面倒がなくて助かるが」

魔術師A「なぁに言ってんの。今のあなたは戦力外だって」

ステイル「どういう意味だそれは?」

魔術師A「うわ自分で気付いてないの? そわそわして集中力だって欠けてるのに」

ステイル「……?」

魔術師A「自家発電くらいしておきなって話。いやー、性……青少年だねぇステイル!」シシシ

ステイル「……行ってしまった。結局あいつは何が言いたかったんだ?」

ステイル「自家発電……僕が扱うのは主に炎の魔術なんだけどね……」フーッ

ステイル「今は……何時だ?」ゴソゴソ

ステイル「もう深夜の三時を回っている……眠れない……」

ステイル「何故だ。どういうわけか神裂のことばかり頭に浮かんでくる」

ステイル「やはり一刻も早く正さなければ。でないと必要悪の教会の……風紀が……風紀が……」ムニャムニャ


・・・


ステイル『かっ、かっ、神裂! これは一体どういうことだ!?』

神裂『どういうって、見ての通りですが』ジリジリ

ステイル『だ、だから! その破廉恥な格好は一体何だと聞いているんだ!!』

神裂『堕天使エロメイドですが、何か』

ステイル『何なんだそのゲテモノはッ!? 待て、落ち着くんだ神裂! か、か、顔が近い、近すぎるッ!』

ステイル(神裂の吐息が、唇がっ! やめてくれ!!)

神裂『そんなこと言っても、あなたの炎剣は落ち着いていないようですが』フーッ

ステイル『ふわっ!? み、耳に温かい息を吹きかけるな!! ま、ま、待て、待ってくれ!!』

神裂『どうしましたステイル? そんなに顔を赤くして』フフッ

ステイル『あっ――』

神裂『ふふふ』

ステイル『ど、どうしたんだ……? や、やめてくれたのか……?』

神裂『ええ。どうも嫌がっているようでしたので』

ステイル『う、ううう……』モジモジ

神裂『どうしました? 苦しそうですよ?』ニコリ

神裂『あなたのFortis931が魔女狩りの王ですよ。そのルーンで炎剣を出すんですか?』

神裂『その紅十字で私の魔法陣に七閃しようとでも?』

神裂『それともその神道を十字教に切り替えた偉大なる始まりの炎で邪悪を罰する裁きの光を放ち、穏やかな幸福を満たすと同時生命を育むつもりですか?』フフ

ステイル『ぐ、ぐううううううう……!!』モジモジ

神裂『素直になった方がいいと思いますよ』フーッ

ステイル『ひゃっ!? ま、また息を……』ドキドキギンギン

神裂『で、どうするんですか? やめますか? それとも続けますか? もっと先まで行きますか?』フフフ

ステイル『……や……つ、つづ……』

神裂『はっきりとどうぞ』

ステイル『つ、続……けて、くれ……』プイ

神裂『……』ガブッ

ステイル『痛っ!? な、なんだ神裂!! 耳をか、噛むなッ!!』ズキッ

神裂『続けてください、でしょう?』

ステイル『あ……続けて、く、ださい……』カアアア

神裂『大変よくできました』サワ

ステイル『あっ』

インデックス『……見損なったんだよ、すている』

ステイル『い、インデックス!?』

インデックス『こんな男が私のパートナーだったなんて……耐えられないかも』ジトッ

ステイル『インデックス……』ゾクゾクッ

神裂『さあ、ステイル――』

ステイル『ふぁ、あ、ああああああああああ……!!』

・・・


ステイル「!」ガバッ

ステイル「……」ハァハァ

ステイル「……なんだ。何か、何かとてつもない夢を見ていたような気がする」

ステイル「もうどんな夢だったかは覚えていないが……何だ、この高揚感は」

――その時、ステイル=マグヌスは経験したことのない未知の感覚に囚われていた。
言い様のない高揚感、そしてスッキリしたような開放感をも感じていた。
その感覚は主に下腹部から全身に広がっていた。ステイルはその原因を確かめようとして。

気付いた。ベッドシーツ、掛け布団、そしてズボンと下着。
それらが全て何かによって濡れ、染みを作っていた。汗……などと悠長なことを考えている余裕はなかった。
――まさか、漏らしたか。ステイルはゾッとした。そんなことになったら自分は終わってしまう。
しかし、その液体の感触はどこかぬるりとぬめっていて、独特の香りを放っていた。

そう――それは、ステイル=マグヌスという天才魔術師が、一段大人の階段を上った証であった。
そして同時に……人類にとっては小さな一歩だが、彼にとっては大きな躍進でもあった。
しかし彼は事実を知らない。よって彼がおのれ魔術師、と考えたことは無理のないことであり、誰がそれを責められよう。

ステイル「……!!」ゴロゴロバタッ

ステイル「だ、誰かっ!! 誰かいないか!!」バタバタ

魔術師A「おお? どうしたの朝から」

魔術師B「ス、ステイルさん?」

シェリー「何慌ててんだ大男?」

ステイル「シェ、シェリー=クロムウェル? どうしてこっちに?」

シェリー「いや、ちょっと野暮用があってオルソラと……ってか、あんた、それ……」ジーッ

ステイル「そ、そうだった。敵対魔術師の襲撃だ!! 寝ている間に夜襲を受けた!!」

ステイル「すぐにどんな魔術かの解析を……いや、待て、もしかしたら学園都市の能力者の可能性もあるか」

ステイル「おのれ能力者!!」

魔術師B「や、夜襲ですか? 一体どんな?」

シェリー「いやだから、そんなことよりもさ……」ジーッ

ステイル「あ、ああ。朝起きたらどうも下腹部の辺りに異変があってね」

ステイル「言っておくが僕は断じて漏らしてなどいないぞ。どうもぬめっていて小便とは違うようだしね」キリッ

ステイル「一体どういう物質かは知らないが、ここから敵対魔術師及び能力者に辿り着けるかも……」

魔術師A「んふっ」ブハァ

魔術師B「あ、ああ……それは、えっと……ですね……」

シェリー「四界を示す四天の象徴、正しき力を正しき方向へ正しく配置し正しく導け!!」カッカッカッゴッ

ステイル「え、ちょっとシェ……ごっ、がぁああああああああああ!?」ゴウ!

魔術師B「ス、ステイルさーん!?」

魔術師C「なんだなんだ?」ゾロゾロ

魔術師D「どうしました?」ゾロゾロ

テオドシア「おやシェリー。一体どうしたのデスか?」

シェリー「テオドシアか。いや、このセクハラ変態野郎がね……」

ステイル「」ビクビク

テオドシア「あちゃー……ミンチより酷いデスね。で、こちらの方はどうして床を叩きながら転がって爆笑しているんデス?」

魔術師A「……!! ……っ!! ……っ!! ~~~~っ!!」ゴロゴロバンバン

シェリー「どんだけ爆笑してんのよ……。息もろくにできてねえじゃねえか」

魔術師B「そ、それより、ステイルさんの容態が心配です……」

魔術師C「放っておけよ。どうせステイルだし」

魔術師D「思春期ボーイは若いし、すぐに元気になりますよ」

テオドシア「……いや本当に何があったんデス?」

シェリー「思い出したくもないわよ。ああクソ、私はもう行くから」スタスタ

ステイル「」チーン

テオドシア「……どうしマスかねぇ、これ」

魔術師A「どういう物質かは知らないが、ここから敵対魔術師及び能力者に辿り着けるかも……」キリッ

魔術師A「ぶほっ」バンバンゲラゲラ

魔術師B「敵対魔術師の襲撃だ!! 寝ている間に夜襲を受けた!!」キリッ

魔術師A「やめ、ぶふげほごほっ!! がふ、んふぐぅ、ふはっ……!!」ゴロゴロバンバン

テオドシア「……こっちは放っておきマスか」

テオドシア「さーて、ちょっと失礼しマスデスねー」グイ

テオドシア「……ん?」ネチャ

テオドシア「あっ……(察し)」



・・・


ステイル『な、何をするんだ神裂!!』

神裂『何ですかその口の利き方は? あなた、自分の立場というものが分かっていないようですね?』バチン!

ステイル『痛っつ……!!』ズキ

神裂『全く汚らしい……。同じ人間とは思えない。あなたはもう豚のようなものですね』ニヤ

ステイル『なんだと……!!』

神裂『ふん』バチン!

ステイル『ぐあっ』

神裂『何を人間様のフリをしてるんですか豚の分際で。大体あなた……』

神裂『どうしてこうして踏みつけられて罵倒されて叩かれて、そんな恍惚とした表情をしてるんですか?』

ステイル『な、何を馬鹿な……!!』

神裂『豚のくせに粗末なルーンを一丁前に膨らませておきながらですか?』

ステイル『ぐっ……』ギンギン

神裂『さあ、舐めなさい豚。私の足を、指の一本一本まで丹念に』スルッ

ステイル『……!!』ソロソロ

テオドシア『そうデス、早く舐めてください』

ステイル『えっ』

テオドシア『どうかしたんデスか?』キョトン



・・・


ステイル「お、らァァァあああああああああああああああああああああ!!」バギィ

テオドシア「んなっはぁぁぁあああああああああああああ!?」ゴウ!

ステイル「はぁ、はぁ、何が起きた? 何か天国から一転、恐ろしい地獄に落ちたような……」

テオドシア「私、何も、してないデス……」ガクッ

ステイル「ここは……どうして? 僕は謎の勢力による奇襲を受けて……」

テオドシア「あー、それなんデスけどね」

ステイル「なんだ、まだ生きていたのか」チッ

テオドシア「酷い!? せっかくあなたに正しい知識を教えてあげようと思ったのに!?」ガーン

ステイル「? 何のことだ?」

テオドシア「ええとデスね、まずあなたは誰にも襲撃などされていません」

テオドシア(私だって四男八女の母。理解はあるつもりデス!!)

ステイル「なんだと? ではあれはどう説明するつもりだ」ボウッ

テオドシア「待って待って!! だからあなたは精通したんデス!! かなり遅いとは思いマスが……」

ステイル「……確かに僕は魔術、殊更ルーンには相当精通しているが」フム

テオドシア「いやデスからそうではなくてデスね」

神裂「ステイル、いますか?」コンコン

ステイル「!?」ビクッ

テオドシア「おや?」

神裂「入りますよ」ガチャ

神裂「……あれ? テオドシア、ステイルがどこにいるか知りませんか?」

テオドシア「いやー、数秒前までいたんデスけどねぇ……」ハテ

ステイル(……何故、逃げた? 何故、神裂から隠れる必要があるんだ?)

テオドシア「ていうかあなた、どこかの誰かを潰しに行ったんじゃありませんデスか?」

神裂「ええ、もう終わらせました。一日もあれば十分でしたよ」

ステイル(分からない……体が勝手に動いたに近い)

ステイル(しかし……相変わらず神裂の服装は酷い)ジーッ

ステイル(必要悪の教会の風紀が乱れる。隠れていないで注意してやめさせるべきだな)

ステイル(……)ジーッ

ステイル(……)ジーッ

ステイル(……)ジーッ

ステイル(……ふん、まあいい。やめさせるのはもう少し後にしてやるか)ケシカラン

ステイル「さて、とりあえず服は着替えた。これからどうするか」

ステイル「どうもテオドシアが言うには攻撃ではないらしいし……」

ステイル「そういえば、先ほどシェリーがオルソラと来ていると言っていたな」

ステイル「久しぶりに会いに行ってみるか」


オルソラ「あらステイルさん。お久しぶりでございますよ」

ステイル「やはりこの書庫にいたか。久しいね」

オルソラ「何か御用でございますか?」

ステイル「いや、別段そういうわけじゃないんだ」

オルソラ「そうでございますか」

ステイル(しかし……今まで気にしたことがなかったが、これは……)ジーッ

ステイル「……オルソラ。その修道服は苦しくないのか?」

オルソラ「はい、特に用がなくてもステイルさんは歓迎するのでございますよ」

ステイル「え?」

オルソラ「はい?」

ステイル「いやだから、その修道服は苦しくないのかと聞いてるんだが」

オルソラ「初めては苦しくも感じましたが、今ではもう慣れてしまいました」

ステイル(『初めては苦しくも感じましたが、今ではもう慣れてしまいました』)

ステイル「……ふう」

オルソラ「……? 大丈夫でございますか?」

ステイル「ああいや、問題ないよ」

ステイル(しかしあんなぴっちりした修道服を着ているせいで、ボディラインがくっきりはっきり浮き彫りになってしまっている)

ステイル(これでは僕はいいとして、他の男性諸君と一部の女性が惑わされ必要悪の教会の風紀が乱れる。やめさせるべきか……)ジーッ

オルソラ(一体どうしたのでしょう。ステイルさんはまだお若い少年、何かお悩みが……?)

ステイル「オルソラ」

オルソラ「なんでございましょう。私にできることなら何でも協力したしましょう」

ステイル「……ちょっと『この豚野郎』と言ってみてくれ」

オルソラ「………………」

オルソラ「………………はい?」

ステイル「一度だけでいいんだ」

オルソラ「あ、あの、それはどういう……」オロオロ

ステイル「いいから」

オルソラ「わ、私、そのような乱暴な言葉は……」ソワソワ

ステイル「いいから!!」クワッ

オルソラ(ど、どうしましょう。そのような暴言……)オロオロ

オルソラ(しかしできることは何でも協力すると言いましたし、ステイルさんは若いながらも非常に優秀な方)

オルソラ(私などでは想像もできない何かがあるのでございましょう。なら……)

オルソラ「こ、この……」

ステイル「頼む」

オルソラ「この……ぶ、ぶ……」ソワソワ

ステイル「どうしたオルソラ=アクィナス。何を躊躇う」

オルソラ「この……豚、や……ろ……」モジモジ

ステイル「はっきり言うんだ!!」

オルソラ「この豚野郎!!」

ステイル「……!!」ゾクゾクッ

ステイル(なんだ、この感覚は……!!)ゾクゾク

オルソラ「あ、あの、大変申し訳ありません!! このような発言、どのような罰も……」ペコペコ

ステイル「いや、いいんだ。むしろ君はとてもよくやってくれた」

ステイル「君はそれを誇ってもいいんだ。じゃあ」キリッ

オルソラ「ステイルさんって……」

オルソラ(不思議な方でございますよ……)



ステイル「何だって!?」

魔術師C「食事中にでかい声出すなよ」モグモグ

魔術師B「当然ですよ」モグモグ

ステイル(そうか……神裂は、女子寮の方に戻ってしまったのか……)

ステイル(だったら……いや、オルソラもか……)

魔術師D「食べないんですか?」ムシャムシャ

ステイル「……」ズーン

魔術師A(超落ち込んでるwww最近ずっとかおりんガン見してるもんねwwww)シシシ

魔術師A「いやー、健康でよろしい!」モグモグ

ステイル「……君たちは何故ここに? 戻らないのか?」

魔術師B「私たちはこちらでやらなければいけないことがありますので。泊り込みです」

ステイル(ちくしょう……ん?)

ステイル(僕は何故こんな落ち込んでいるんだ? 神裂が女子寮に戻っていないなんていつものことじゃないか)

ステイル(大体、神裂やオルソラがいようといまいと僕には関係ないことだ。どうして……?)

ステイル(……やめだ。疲れてるのかもしれない、今日は早めに寝よう)



ステイル「さて、まだ22時前だが今日はもう寝よう」

ステイル「お休み、インデックス……」zzz



・・・


神裂『だからここが違うと言っているでしょう!! 何度言ったら分かるのですか!!』

ステイル『す、すまない……』

神裂『毎回毎回……!! 本当にどうしようもないグズですねあなたは!!』

ステイル『ううう……』

神裂『あなたほどの馬鹿は初めて見ましたよ。生きていて恥ずかしくないんですか?』

神裂『どうしても生きていたいなら二酸化炭素を吸って酸素を吐き出す練習でもしたらいいんじゃないですか? どうせ役に立たないのですから』

ステイル『……!!』ゾクゾク

神裂『あなたが消えればその分どこかで誰かが一人幸せになれるかもしれないですね』

神裂『あなたみたいな何もできない役立たず、いらないんですよ!!』

ステイル『……!!』ビクビク

神裂『インデックスも言っていましたよ。あなたなんかと過ごしていた過去があると思うと吐き気がすると』

神裂『私も全く同感です。人生の汚点ですね』

ステイル『……!!』ハァハァ

神裂『何を息を荒げているのですか、汚らしい。生意気に魔女狩りの王を魔女狩りの王させて』

神裂『その汚らわしい吸血殺しの紅十字。二度とふざけた真似ができないよう、踏み潰して使用不能にしてあげます』

ステイル『ほ、本当かっ!?』ガタッ

神裂『……本当に、汚らわしい。今後他の方にこんな奴に迷惑をかけさせるわけにもいきません』

ステイル『は、早くしてくれ神裂!!』

神裂『……救いようがないとはまさにこのことですね。では、望み通りに』

ステイル『……!!』ワクワク



・・・


ステイル「……ハッ!?」ガバッ

ステイル「……朝7時。ゆ、夢……?」

ステイル「――くっそおおおおおおおおおおおおおおお!! いいところでええええええええええええええ!!」ジタバタ

ステイル「あと少し!! あと少しだったんだ!! ちくしょうが!!」バンバン

ステイル「くそ……」ハァハァ

ステイル「……」

ステイル「……はっ!?」

ステイル(……夢は、その者の深層にある願望を示すことが多いと聞く)

ステイル(今回の夢は鮮明に覚えている。ああ、あの神裂のゴミを見るような目……悪くなかった)

ステイル「いやいやいや。いやいやいやいやいや……それはないだろう、流石に」

ステイル「夢が願望を表すなど証明されたわけでもないだろうし、見たくもない夢を見ることなど珍しくない」

ステイル「何かの間違いだね、こんなもの」ウン

ステイル「……少し外をぶらついて頭を冷やすか」


ステイル(全く、神裂の奴。元はと言えばあいつのせいで……)テクテク

ジーンズ店主「よう、ステイル。何ブルーなツラしてんだよ」

ステイル「何だっていいだろう。いや、丁度いい。ちょっと聞きたいんだが」

ステイル「夢はその者の願望を表すという話を聞いたことはないか?」

ジーンズ店主「うん? そりゃあ聞いたことくらいはあるけどよ」

ジーンズ店主「全く間違いじゃあねぇとは思うが、微妙だよなぁ」

ジーンズ店主「俺なんて三日連続で歯がぼろぼろ抜ける夢見てるぜ? 無駄に感覚がリアルで怖いのなんの」

ステイル「そうか……」

ジーンズ店主「オメーはどんな夢を見てるんだ? んなこと聞くってことはそうなんだろ?」

ステイル「別に何でもいいだろう」

ジーンズ店主「冷てぇなぁ、炎の魔術師のクセして。……神裂?」

ステイル「!?」ビクッ

ジーンズ店主(やっぱりな。こいつ最近神裂めっちゃチラチラ見てるし。つか割とガン見してるし)

ステイル「な、何故分かった!?」アタフタ

ジーンズ店主「そりゃオメー、俺の類稀なる洞察力と直観力のおかげよ」

ジーンズ店主「いや分かる、分かるぞ青少年、その気持ち。神裂の格好はいくらなんでもエロすぎる。どう見ても誘ってる」

ジーンズ店主「俺もあのでかいおっぱい一度思いっきり揉んでみてぇなぁとか思ってるよ」ウン

ステイル「君と一緒にしないでくれ。その話神裂に伝えてもいいかい?」

ジーンズ店主「それはやめた方がいい。でないと俺の首が斬り落とされることになるぞ?」

ステイル「僕に対しては全く脅しになっていないよ。だが、確かにそうだ。神裂のあの服装では必要悪の教会の風紀が乱れる」

ジーンズ店主(オメーの風紀が乱れてんだろ)

ステイル「もしも神裂に罵倒されたり詰られたりしてみろ。男性諸君と一部の女性が欲情してしまう」

ジーンズ店主「……んん!?」

ステイル「いや僕がという話じゃない。違うんだが、僕がというわけではないんだが、一般論としての話でね」

ジーンズ店主「どこの世界の一般論だ!?」ガビーン

ジーンズ店主(ステイルは健全な青少年だ。そして神裂はエロ神様だ)

ジーンズ店主(だからステイルが神裂を視姦してることはむしろ正常だと思って触れてこなかったが……)

ジーンズ店主(え、なに、こいつそっちの方向に行っちゃったの? マジなの?)

ステイル「ほら、『豚野郎』とか『グズ』とか言われたり、責められたりだな……」

ステイル「いや僕の話ではないんだがね。まあ、世間一般の風潮としてね」

ジーンズ店主「オメー……そうか、扉を開いちまったか」

ステイル「? まあ、おかげである程度落ち着いた。礼は言うよ。じゃあ」スタスタ

ジーンズ店主「すまない、神裂。俺にはもうどうしようもない……」ガクリ

ジーンズ店主「……と、いうことらしいぞ」

ジェーン「……ちょっとあれは……」ヒョイ

マリーベート「……師匠のエロ魔神」ヒョイ

メアリエ「……変態」ヒョイ

ジーンズ店主「オメーたちの言葉はステイルには響かねぇだろうなぁ」

メアリエ「ど、どうして?」

マリーベート「メアリエ、そ、それは地雷だから!」

ジーンズ店主「神裂との間に、(胸囲的・エロさ的な意味で)絶対的な壁があるからだ」

ジェーン「……知ってた。もう師匠なんか知らない」プイ


神裂「あ、ステイル。こんなところにいたのですね」

ステイル「か、か、神裂!?」ドキッ

神裂「な、何をそんなに驚いているんですか! ちょっと傷つきます!!」

ステイル「あ、ああ、すまない……」ジーッ

神裂「いえ……」

ステイル(ど、どうする、どうすればいいんだ……?)ジーッ

ステイル(しかし丁度いい、昨日は言えなかったしこの服装をやめさせるべきか)ジーッ

神裂「……ステイル?」

ステイル(……)ジーッ

ステイル(いやだが、本当にやめさせていいのだろうか)ジーッ

ステイル(僕がというわけではないが、これを見ることで幸福感を得ている者もいるはず)ジーッ

ステイル(それに神裂だって好きでこの格好をしているのだから、それを無理にやめさせることは神裂の基本的人権を侵すと言っても過言ではない)ジーッ

ステイル(……このままの方がいいんじゃないか? やめさせてしまったら、誰も幸せにならないんじゃないか?)ジーッ

神裂(何かすごいジロジロ見られてます……。うう、どこかおかしいでしょうか?)

ステイル(僕は別に構わないが、神裂自身のためにもこの格好を続けさせるべきなんじゃないか?)ジーッ

ステイル(人は生まれた時から自由だ。だから神裂がこんな服装をするのも自由だ。神裂が好きでやっているんだ)ジーッ

ステイル(だったら僕はその神裂の意思を尊重しなければならない! そう、他ならぬ神裂のためにこの服装は継続させられるべきだ!)ジーッ

神裂「あの、ステイル? 私に何かゴミでもついているのでしょうか?」オロオロ

ステイル「あ、ああ、いや、何でもない。それで僕に何の用だい?」ムクムク

神裂「はい、それがあなたに一仕事頼みたいのです。私もまた次の仕事が入ってしまっていて」

神裂「今のあなたは駄目だとか何とか言われましたが、他に人もいませんし意味も分からないので」

ステイル「……分かった。構わないよ」

神裂「ありがとうございます。この礼はいつか」ペコリ

ステイル(……なんだ、この違和感は)

神裂「それでは失礼します」クルリ

ステイル「待て」

神裂「はい? どうかしましたか?」クルッ タユン

ステイル(今、揺れた。揺れたぞ!)ムクムク

ステイル「何かが違うんだ」

神裂「それは、どういう?」ハテ

ステイル「君は何か違うんだよ。こう、あまりに丁寧で優しすぎる」

ステイル「もっとだね、何と言うか……僕を見下すべきだ」

神裂「……はい?」

神裂(何を言ってるんですかこいつ)

ステイル「そうだね、試しに僕を罵ってみてくれないか。いや僕がそうしてほしいんじゃないんだが」ジリジリ

神裂「あ、あの、ステイル……?」ジリジリ

ステイル「『この役立たずが』とか『うっせぇんだよこのド素人が』とか、そういう感じで頼む」ジリジリ

神裂「ちょ、あなたどうしたんですか!? 目、目が怖いです!! あなた本当にステイルですか!?」ジリジリ

ステイル「頼む神裂。あの時はしっかり罵倒してくれたじゃないか。ハリーハリー」ジリジリ

神裂「何の話ですか!? や、やめ――」

ステイル「後生だから!!」カッ

神裂「う、うわあああああああああん!!」ダッ

ステイル「あっ、待ってくれ神裂!」ダッ

ヤ、ヤメテクダサイ!

タノムカンザキ!


ジーンズ店主「……すまない神裂。俺を許せ……」モクトウ

オルソラ「あらあら? 鬼ごっこでもしているのでございますか?」フフフ

シェリー「あの変態野郎まだ懲りてねぇのか!? ぶっ殺す!! エリス!!」

テオドシア「……若さって諸刃の剣なんデスね。性癖は自由デス。迷惑かけまくりデスけど……」

ジェーン「……師匠……」

マリーベート「……帰る?」

メアリエ「……うん」

アニェーゼ「こいつは何の騒ぎですかね?」

アンジェレネ「あ、あの二人が原因みたいですね」

ルチア「……戦力的に考えて、あれ追う側と追われる側逆なんじゃ?」

ローラ「やれやれ。先日神裂に潰された結社の連中が、獄中で『もう一度あの女に会わせてほしい、また殴られたい』と言いたりておるのだけれど……」

五和「……あれは一体どういう状況なんですかね?」

建宮「いや、俺にはステイルの気持ちが分かるのよな!」

対馬「また真っ二つにされたいの?」

土御門「ステイルが愉快なことになってると聞いて日本から飛んできたにゃー。こいつは撮影しないわけにはいかないぜい」REC



神裂「ど、どうしてついてこれるんですか! お願いですから、やめてくださいぃいいいいいいい!」ダッダッダッ

ステイル「お願いだから罵倒してくれ! 一生のお願いだぁあああああああ!」ダッダッダッ

・・・

上条「インデックス! 頼む、俺を踏んでくれ!」

インデックス「……ん?」

上条「吹寄! 御坂! 姫神! 御坂妹! 風斬! 俺を、俺を踏んでくれぇっ!!」


馬場「ま、待ってくれ! 丸腰の人間を能力者二人で嬲るつもぎゃふっ!?」パン!

湾内「あなたが人と信頼や繋がりを蔑むのはあなたに信頼に値する相手がいないから」

泡浮「相手を認め自分から歩み寄らなければ誰も助けてはくれませんよ」

馬場「……いい。すごくよかった!! もう一度、もう一度引っ叩いてくれ!」

湾内「!?」

泡浮「!?」


オリアナ「チッ!!」ダッ

土御門「追うぞステイル! なんとしてでもここで奴を捕まえる!」

ステイル(お、おっぱいがたゆんたゆんでおしりがぷりんぷりん……! やはり一番は神裂だが……しかし!)

ステイル「すまない土御門! 僕はちょっとトイレに行ってくる!」

土御門「だああああもう! すぐに戻ってこいよ!」

終わり
すているまぐぬすさんじゅうよんさいはこの後小萌先生による正しい性教育を受けました

パトリシアが姉みたいになる(確信
面白いわ

>>51
パトリシア「ほらほら、どうしたんですかステイルさん?」バチン

ステイル「ふわ……っ!!」

パトリシア「何絶頂しそうな顔してるんですか。いい加減人間のフリをするのはやめてもらえません?」バチン

ステイル「ぬっはぁ!!」

バードウェイ(たくましく育ったものだなぁ、我が妹も。……何故だろう、どういうわけか涙が滲み出てくる)グスン

パトリシア「はは、とんだ変態ですねステイルさんは! どのツラ下げて人様の言葉ぁ喋ってるんですか!?」ゲラゲラ

ステイル「……ふ、ふふ。でも駄目だよ、君じゃ駄目なんだ」

ステイル「身長がない、おっぱいがない、エロスがない、露出がない。やはり、神裂じゃないと駄目なんだ!」キリッ

パトリシア「その減らず口を叩けなくしてやりますよ! この紅の豚が!」バチン

ステイル「あっ」ビクン


ちなみにステイルは小萌先生による正しい性教育を受けたことで無事落ち着きました
今では一日に二回くらいのペースで神裂さんに土下座して罵ってくれ、躾けてくれと懇願する程度に
神裂さんは仕事で倒す魔術師たちにことごとく「もっとやってくれ」と言われるようになり、更にステイルのこともあって
割とマジでトラウマに 今度土御門の紹介で冥土帰しによるカウンセリングが予定されてます

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