兄「命乞いはしないのか?」
兄「束縛を解いてほしいか?」
男「……殺す前に一つ教えてくれ」
兄「なんだ?」
弟「兄さん、早く殺そうよ」
兄「……最期の頼みだ。少し待て」
弟「何だよめんどくせぇ」ガンッ
男「痛っ……」
弟「早く言えよ」
男「お前らは何故、人を監禁してまで殺すんだ」
兄「人を殺す理由を聞いているのか」
男「……ああ」
兄「……俺達兄弟は4歳の頃、親に捨てられた」
兄「俺は兄だが、双子の兄だ」
兄「幸いにも俺達は独り暮らしの婆さんに拾われ、育てられた」
兄「8歳までだったが」
男「……?」
兄「婆さんは殺人鬼に殺された。誰だか分かるか?」
男「狂鬼……か」
兄「そう。狂鬼に婆さんを殺された」
兄「俺は狂鬼を恨んだ。そして弟と誓った。狂鬼を殺そうと」
兄「だが狂鬼はなかなか見つからなかった。婆さんを殺してから姿を消した。だけどこの世にはいる」
兄「見つからない原因は何だと思う」
男「……分からない」
兄「人間が多すぎるんだ」
男「束縛する理由は無いのか」
兄「俺は狂鬼と違う。ただ殺すだけではない。人によって殺し方を変えている」
兄「お前は肝が据わっている。普通の人間は命を乞うものだ。お前は一番楽に殺してやる」
男「……そうか。よかった」
弟「もういい?」
兄「殺せ」
弟「了解」
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