タッタッタッタッタッタッ
響「はあっ……はあっ……はあっ……こ、ここまで逃げれば流石に……」
P「響ー、おーい、どこいったんだー?」
響「っ!」
P「どうして逃げるんだよ響ー、みんなも探してるぞ?いきなり事務所から飛び出すなんて」
響(まずい、近づいてきてる……!)
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ハム蔵(キュッキュッ)
響(ハム蔵が囮になる?だ、駄目だぞそんなの!ハム蔵だって捕まったらどうなるか……)
ハム蔵(キュッキュイッ)
響(確かにこのままじゃ二人そろってつかまっちゃうかもしれないけど……)
ハム蔵(キュッ!)ピョンッテテテテッ
響(あっ、こらハム蔵!)
ガサガサッ
P「そっちか?」タッタッタッ
響(あーもう!絶対無事でいてよ!)タッタッタッ
響「ここは……公園か。この公園は確かやよいの家の近くだったはず……」
響「やよいは……どっちだろう……」
響「……ま、まあいいや。走りっぱなしで疲れたし、とにかく今は少し休憩を……ん?」
響「なんか……ところどころ土の色がおかしいぞ?まるで何かを……かく、して……」
雪歩「ふぅん、流石だね響ちゃん、上手くカモフラージュしたつもりだったんだけどなぁ」
響「雪歩……!」
響「……どうして雪歩がこんな夜中に公園にいるの?」
雪歩「なんでって……響ちゃんが夕方いきなり事務所から飛び出すから、みんな心配で探し回ってたんだよ?」
響「……いや、聞き方を変えるぞ雪歩」
響「なんで雪歩はこんなに公園に落とし穴を用意したんだ?」
雪歩「いやだなぁ響ちゃん。そんなの決まってるじゃない」
雪歩「響ちゃんをかえらせるためだよ」
響「やっぱり雪歩もそっち側だったのか……!」
雪歩「そうだよ?響ちゃんは来るべきじゃなかったと思うけど」
響「ならなんで……!?」
雪歩「聞く必要はないよ、だってどうせ意味がないもの」
響「っ……ま、まあいいぞ。乗り越えたあとでゆっくり聞かせてもらうから」
雪歩「逃がすと思う?」
響「残念だけど、自分は目がいいからどこが落とし穴か全部わかってるぞ。長い時間穴掘りご苦労様だったな!」
雪歩「ふふ、ふふふふ、あははははは!!……ねえ響ちゃん、なんで私かこんなに長々と話をしてると思ってるの?」
響「……!まさか……」
バチバチッ!
響「痛っ……くっ……」
真美「あり?一撃で気絶だと思ってたんだけど……ゆきぴょん、このスタンガン出力弱いよ?」
雪歩「もう結構なお古だから……今度お弟子さんに頼んで新品に変えてもらうね」
響「真美まで……!」
真美「ごめんねひびきん、でもね、真美はこれでもお姉さんだから……亜美には知られたくないんだよ」
響「でもこんなのおかしいじゃないか!事務所のみんなが!このままじゃ誰一人……」
真美「だってひびきん、みんなにばらそうとしたっしょ?それはダメだよ」
雪歩「このままじゃないとね、色々都合が悪いの。だから、響ちゃんに限らず皆にばらそうとした人はこうしなきゃいけないんだよ」
響(前はスタンガンの真美、後ろは全部落とし穴……)
真美「ほれほれひびきん、観念したまえ、完全に包囲されているのだー、なんちて」
雪歩「大人しくしてくれたら私たちも手荒な真似はせずにすむから、ね?」
響「……うん、わかったぞ……」
雪歩「よかった……やっぱり事務所の仲間に酷い事なんて、私したくなかったし……」
響「こうするしか、ない!」ダッ
真美「うえ!?げ、げーげき!」バチッ
響「痛っ……いけど、耐えられる!」ガシッ
真美「きゃん!」
響「そおおりゃあああああ!!!」ブンッ
真美「ぎゃー!」
ズボッ
響「いまだっ!」タッタッタッタッ
雪歩「ま、真美ちゃん、響ちゃんが逃げちゃう!追わないと!」
真美「うあうあー!そんなこといってもゆきぴょんの落とし穴深すぎて抜けらんないよー!」
響(これであの二人はしばらく追ってこれない!あと少し逃げ切れば……!)
響(……曲がり角に人影、あれは……!?)
やよい「うっうー!響さん、こんばんわー!」
響「やよ……い……」
やよい「?元気ないですね響さん、どうしたんですか?」
響「…………って……せに……」
やよい「はい?」
響「知ってるくせに……!やよいが偶然こんなところにいるわけないだろ!やよいも自分を捕まえようとして、ここで待ってたんだな!」
やよい「うー、ひどいです響さん、響さんが事務所から急に逃げ出すから、みんなで手分けして探してたのに……」
響「……本当に、自分を心配して探してくれたのか?」
やよい「はい!」
響「そうか……ありがとうなやよい。……じゃあ早速質問があるんだけど……」
響「その左手で潰れてるハム蔵、どうしたんだ?」
やよい「………………」
やよい「うっうー!響さんって本当に目がいいんですね!真っ暗なのにこんなに小さいものが見えるなんて!」
響「答えろやよい!なんで……なんでハム蔵を……!」
やよい「そんなの簡単ですよ、ハム蔵がプロデューサーを騙したからプロデューサーカンカンで、それで適当に処分しとけって」
響「う……うわああああああ!!!」
やよい「だって今回はハム蔵さんのせいですもん、処分もしょうがないかなーって」
やよい「『こんなことならハムスター一匹ぐらいケチらず買っとくんだったわ』って律子さんも言ってましたー!」
響「よくも、よくもハム蔵を!!!」
やよい「でもでも、響さんだって薄々気づいてるはずですよね?これ最初のハム蔵じゃないって」
響「っ!」
やよい「まあそんなことよりー、そろそろ真美と雪歩さんも追いつくし、つかまってくれると嬉しいかなーって」
雪歩「響ちゃーん!」
真美「ひーびきーん!」
やよい「ほら、もう逃げ場はないですよ」
響「い……嫌だっ!誰がハム蔵を殺した奴らについていくか!」
響(でも、もうこのままじゃ逃げられない……!)
響「誰か……!助けて……!」
やよい「うっうー!無駄ですよ、ここには助けなんて……」
あずさ「普通は無理よね~」
響「あ、あずささん!?」
あずさ「つかまって響ちゃん、逃がしてあげるわ」
やよい「雪歩さんー!真美ー!速く!逃げられちゃいますー!」
あずさ「やよいちゃん、やりすぎちゃダメよ?……じゃあね」ヒュンッ
真美「消え……!?」
雪歩「ああ……逃げられちゃいましたぁ……」
ヒュンッ
あずさ「ふう、ここなら……さっきよりはマシなはずよ、たぶん」
響「あずささん……」
あずさ「ごめんなさいね響ちゃん、場所はあんまり指定できないから、ここがどこかもよくわからないけど……」
響「い、いやそうじゃなくて……あずささんって何者なんだ……?」
あずさ「最初に言っておくわね、私は別に響ちゃんみたいな人の味方じゃない。でもプロデューサーさんたちの味方でもないわ」
響「じ、じゃあさっきはなんで助けてくれたんだ?」
あずさ「……ほら、やよいちゃんがハム蔵ちゃんを……ね。流石に酷いと思ったから、ちょっとだけ助けてあげてもいいと思ったの」
あずさ「でも、私にできるのはここまで。私はあくまでも中立で傍観者……プロデューサーさんは『超越者』だなんて言ってくるけど」
あずさ「ここから先はあなた一人で……私はその結果を観察するだけよ」
響「うん……でも、助けてくれてありがとう」
あずさ「どういたしまして~……そうだわ、あと一つだけ」
あずさ「人数までは教えられないけど、気づいてない人も何人かはいるわ。その人たちなら響ちゃんにとっては安全かもね」
響「わかったぞ、何から何までありがとう!」
あずさ「じゃあ……覚えてたら、また明日ね」ヒュンッ
響「覚えてたら……か……」
響「つまり、逃げ切れたらってことだな。よし……!」
響「絶対に逃げきってや……」
貴音「おや?響ですか……?」
響「た……かね……」
貴音「響もこんな夜更けに出歩いているとは……これもまた、何かの導きでしょうか」
響「つまり、偶然ではないって言いたいのか?」
貴音「ふふ、さてどうでしょう。月が引きあわせたがったのかもしれませんし、あるいは響から会いたいと思ってくれたのかもしれません」
響「あるいは、貴音が探してた……とでも?」
貴音「はて……?どうしたのです響、いつものあなたらしくありませんよ?」
響「そうだぞ、今日はもう誰も自分らしくないんだ。誰も彼もいつも通りじゃない」
貴音「……何か警戒しているのですか?……私まで?」
響「雪歩、やよい、真美、律子にプロデューサーまで……特に貴音はわかりにくいからできれば会いたくなかったんだぞ……」
貴音「そういえば、プロデューサーといえば……先程まで私と共に月を眺めていたはずなのですが、いきなりいなくなってしまったのです」
響「そ、それいつの話……?」
貴音「ええ、ちょうど響が姿を現す前……」
ガシッ
響「!?」
P「やっと見つけた。探したぞ響」
P「ほら急いで事務所に帰らないと日付変わっちゃうぞ。早く車に乗るんだ」
響「いっ、嫌だ!助けて!助けて貴音!」
貴音「プロデューサー!いきなり響に何を」
バチッ
貴音「うっ……」ドサッ
真美「ごめんねお姫ちん」
響「貴音ー!真美、よくも……!」
真美「ひびきんも大人しくね?」バチッ
響「ぐっ……」ドサッ
雪歩「やっぱり四条さんをマークしといて正解でしたねプロデューサー」
P「ああ、やっぱ引きあうものがあるのかね。おまけに貴音は普通のことでももったいぶってくれるから時間稼ぎにありがたいよ」
P「ほら事務所に戻るぞ、貴音も乗せていくから誰か運んでくれ」
真美「えー!お姫ちんおっきいから兄ちゃん運んでYO!」
P「はいはい……と、あずささんも乗っていきます?」
あずさ「……いえ、結構です~」
P「残念でしたね、助けられなくて」
あずさ「……私はあくまで傍観者ですから」ヒュンッ
P「……うーむ、相変わらずつかみどころのない……」
バタン
ブロロロロロ
P「ただいま戻りましたー」
小鳥「お疲れ様ですプロデューサーさん」
律子「準備できてますよ」
P「あ、律子、代わりのハム蔵用意しといてくれ」
律子「流石に今からは……なんとか朝一で手配しますよ」
P「悪いな」
小鳥「響ちゃん寝てるんですか?」
P「いやちょっと気を失ってるだけ。今のうちに早いことやっちゃおう」
律子「しかし度々面倒ですね……一括でとかできないんですか?」
P「一括でやると時期で年齢がおかしくなっちゃうからな……誕生日ごとにやるのがいいんだよ、確かに手間だけど。ここに寝かせるぞ」
律子「じゃあ始めますね」
小鳥「しかし響ちゃん、今回で4回目ですっけ?」
P「脱走未遂も入れたら5回ですよ。すごいですね」
小鳥「動物的な感ってやつですかね……他の人は感じない違和感とか」
P「まあ、今回はハム蔵が先でしたよ。動物には効き目薄いのかわかりませんけど、二回目だって気付いちゃったみたいで」
小鳥「それを響ちゃんも教えてもらって気付いちゃったと。やっぱり使いまわしはいけませんね」
P「えー……でも一年ごとにワニとかヘビ買い換えるのは結構大変ですよ」
律子「終わりましたよ」
P「ご苦労さん、じゃあ帰るか。俺は響を家に送っていくから、ホワイトボード消しといてくれ」
律子「わかってますよ、じゃあお疲れ様です」
小鳥「……もしホワイトボードそのままにしてたらどうなるんですかね?」
律子「さあ……リセットしたばかりだからすぐ気付くことは無いと思いますけど、実験するにはメリットがないですから」
小鳥「そうですね。あ、私も消すの手伝いますよ」
『我那覇響 17歳 誕生日おめでとう』
ガチャ
千早「おはようございますプロデューサー」
P「おうおはよう。来たばっかで悪いけど途中で響見てないか?一応仕事まではまだ時間あるけど」
千早「我那覇さんならコンビニによってから来るって言ってましたから、そろそろかと……」
ガチャ
響「はいさーい!」
P「噂をすればだな。おはよう響。今日も元気だな」
響「元気だぞ!なんだか生まれ変わったみたいに体が軽いんだ!」
P「元気はいいけど、あんまり朝からはりきってるとバテるぞ?今日は挨拶の機会も多いから一回ちょっと練習だ」
響「よーし、張り切ってやるからちゃんと聞いててよねプロデューサー!」
響「はいさい!自分我那覇響!」
響「沖縄生まれでダンスが得意!独り暮らしだけどたくさんの動物の家族たちに囲まれてるから毎日賑やかだぞ!」
響「歌って踊れて動けるアイドル我那覇響『16歳』、よろしくお願いします!」
おわり
ワンフォーオールで無限のループへ
あずさ大ワープ
小鳥さん今回普通すぎ
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