ちょっと書きたくなったから書く。
サクラ大戦と艦これのSSがほとんどないので、自分で書くことにするよ。
更新は遅いよ。
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太正16年春 大帝国劇場 夜
大神「さて、今日の見回りもこれで終わりだな……」
巴里華撃団の帰国後一月ほど経った大帝国劇場は、いつもの荘厳さを建物内に閉じ込めたまま、ひっそりと夜の時間を迎えていた。
時刻は午後10時過ぎ。昼は稽古に訓練と、平和ながら忙しい日々を過ごす帝国華撃団の面々にとって、夜は束の間の休息とも言えるのである。
しかし大帝国劇場総支配人にして帝国華撃団総司令官であるこの男、大神一郎の仕事はまだまだ終わらない。
軍人として、そして劇場の運営者として、昼の時間は関係各所との折衝、書類の処理、会計の確認、はたまた来月の公園に向けたグッズ作成、宣伝などなど……。
二足の草鞋を履くのがこんなにも大変だと言うことを身にしみて感じていた。
そして夜には劇場内の安全のために、くまなく場内を見回るのである。
米田中将から支配人に指名された時は、ここまで忙しくなることを予想していなかった大神は、泣き言を言いたくなるのをぐっと堪えて、持ち前の責任感でもって必死に業務をこなしている。
大神「んっ? 図書室の電灯がまだ点いているな、少し覗いてみよう」
1階をあらかた確認し終えた大神は、団員たちと自らの寝室がある2階へ戻ってきた。
10時を過ぎると眠りについている団員もいるため、極力廊下で物音を立てないように、ゆっくり見回りを続けるのである。
そして図書室からもれる明かりは、ドアの隙間から薄暗い廊下の床に光の枠を作り出していた。
勉強熱心なことに誰かまだ本をよんでいるのだろうか?
静かにドアの前まで歩を進めると、大神はていねいにコツコツと2度ほどノックをした。
「……隊長ですか?」
ドアの向こう側から、大神が最も聞き慣れた声が聞こえてきた。
………………
マリア「今日も見回りお疲れ様です、隊長」
マリア・タチバナ。
帝国歌劇団男役のスターにして、華撃団の副隊長。
さらには恋人として、公私に渡り大神を支える人物である。
大神「マリアも、稽古がだいぶ本格的になってきただろう。お疲れ様」
マリア「来月から新しい舞台ですからね、見にきてくださるお客様の為にも、手は抜けませんから」
大神「俺もなんとか手伝えるように頑張るから、みんなは舞台をより良いものにすることだけを考えてほしいな」
マリア「最高のものに、ですよ!」
大神「確かにそうだな!」
大神はマリアの言葉に大きな笑顔を見せた。
大神「それで、マリアは何の本を読んでいるんだい?」
マリア「今日はふと懐かしくなって、おとぎ話を読んでいました……」
大神「おとぎ話?」
マリア「ええ、妖精に作り出された人形のお話です。どんな話か知りたいですか?」
大神「そうだな、ベッドの中で続きを聞かせてくれるかい?」
マリア「ふふっ……、巴里から帰って来てからすっかりお上手なんですから」
大神「そ、そんなことは……」
マリア「ロベリアから色々と話は聞いてます。隊長が巴里で過ごした日々のこと」
大神「そ、そうだな。確かに巴里では色んなことを勉強させてもらったよ」
マリア「勉強……ですか。愛のささやき方もそのうちの一つですか?」
普段見せることのない拗ねた表情で、マリアは大神の目を見つめる。
大神「マリア……。俺が一番愛しているのはマリア、君だけだよ。でも、他の子達だって俺にとっては心から大切なんだ」
マリア「ふふっ、隊長ったら、そんなに必死にならなくても大丈夫ですよ。冗談です」
いたずらが成功した子供のようにマリアが笑い出すと、大神も少し硬い笑いを顔に浮かべた。
もちろん彼の愛する女性は目の前の金髪の麗女なのだが、巴里出向でのロベリア・カルリーニとの(ロベリアがマリアの存在を知った上での)情事は彼の心と身体に忘れ難いものとなっているのである。
マリア「さて、私も明日の為にそろそろ寝ようかと思うのですが……」
大神「ああ、もうこんな時間か……」
マリア「では隊長、30分ほどしたら隊長の部屋に伺いますので……」
大神「わかったよ。俺はもう少しだけ見回りをしてから戻るから、部屋で待っているよ」
マリア「では隊長、また後ほど」
会話の最中も両手に開いたままになっていた本をパタンと閉じて、胸の前で小さく抱えるようにしながら、マリアはゆっくりと図書室を後にした。
滅茶ックス後のベッドで大神は図書室での会話をふと思い出した。
全裸の2人は一枚の掛け布団を仲良く分け合っている。
大神「そういえばさ」
マリア「なんですか?」
大神「さっき話してたおとぎ話って、どんな物語なんだい?」
マリア「ベッドでお話しする約束でしたね……」
マリアは大神の胸に頬を寄せると、静かに物語のあらすじを語り始めた。
マリアの声と吐息が少しくすぐったいようで、時折大神は小さく声を漏らしている。
マリア「妖精に作られた人形は、まるで姿形は人間なんです」
大神「ほう……っ」
マリア「でも人間ではない。姿形も感情もまるで人間なのに、周りが人間だと認めてくれないんです」
大神「それは本当に人形なのかい?」
マリア「それがこのお話の面白いところなんです。人形だとされる理由は簡単です、親も子供時代もなく、突然現れた存在だから、人とは認められないと」
大神「なるほど……」
マリア「人形は悩みます、『私は人形。だけど人間と違うところなんて一つもないわ』」
マリア「そして人形はある一人の男性に出会います。その男性は立派な軍人で、人形を初めて人間として扱ってくれるんです」
大神「うんうん、それで?」
マリア「人形は、自分を初めて人間として見てくれたその男性に恋をします」
マリア「人形は男性と人間、いえ、とても美しい少女として接することになります」
大神「…………」
マリア「そしてその人形は……、隊長……? ふふっ……おやすみなさい」
……………………
横須賀鎮守府裏庭
大神「……んん、まりあぁ……」
「この人はどうしてこんなところで寝ているのかな?」
「さあな、服装から見るとどうやら軍人のようだが。まったく締まらない顔をして寝ているではないか」
大神「まり…………、あ?」
響「マリアじゃないよ、響だよ」
大神「……??」
響「その活躍ぶりから不死鳥の呼び名もあるよ」
大神「はぁ……? ……今何時でありますか」
「ヒトゴーサンマル。昼過ぎだが、貴様は何者だ?」
大神「ここ、は……?」
「見てのとおり横須賀鎮守府だ」
こんな感じで。
またそのうち
マリアEDが至高。
今のところロベリアとマリアの2股。
ロベリア姉さんは、2番目でも許してくれそう。
横須賀鎮守府内 応接室
元帥「それでは、目が覚めたらあの場所にいたということですな」
大神「はい、自分も何が起きているのかよくわかりません……」
元帥「大神一郎大尉、でいらっしゃいますか……」
大神「改めて言うのもなんですが、帝国海軍大尉、大神一郎であります」
元帥「なるほど……」
…………………………
少し前 横須賀鎮守府裏庭
「見てのとおり横須賀鎮守府だ」
大神「自分の知っている横須賀鎮守府とだいぶ雰囲気が違うようだけど……」
響「いや、間違いないよ。私達が所属している鎮守府だ」
大神(帝劇の寝室から横須賀まで移動させられたのか?)
大神(しかも軍服に着替えさせられているし……)
「鎮守府の塀をただの人間が易易と乗り越えることなどできないはず。なぜ貴様はここにいる?」
大神(先程から俺に向かって質問を繰り返すこの女性)
大神(逆光でよく顔が見えなかったけど…………)
大神「君は…………ロベリア、ロベリアじゃないか!?」
「ロベリア? 私はそんな名ではない!」
武蔵「私は、大和型戦艦二番艦、武蔵だ!」
大神「……武蔵? 大和型?」
武蔵「貴様はかつて日本海軍が世界に誇った戦艦武蔵を知らないと?」
大神「確かに武蔵という船が『ある』という記憶が有るような気もするけど」
大神「でも、その船は戦艦だったかな? その武蔵と君の何が関係あるんだい?」
武蔵「ほう、武蔵は戦艦ではなかったと言うのだな?」
大神「ちょっと待ってくれ!! 一体何の話をしているのか全く話が見えないんだ」
武蔵「……むぅ」
響「失礼、まずは貴方が何者なのかを教えてほしい。話はそれからだよ」
武蔵「そうだ、貴様が何者かを明かしてもらいたい」
大神「俺も何がなんだか分からないんだが、失礼したね。……自分は、帝国海軍大尉、大神一郎であります! 特務により所属は明かすことはできません」
響「帝国海軍?」
武蔵「大尉だと?」
響「少し頭がおかしいのかな?」
武蔵「ああ、間違いなくそうだとしか思えんな」
大神「……俺は君たちのほうが良くわからないよ」
…………………………
横須賀鎮守府内 応接室
大神「それで、ここは横須賀鎮守府で間違いないということですね?」
元帥「ええ、あなたの記憶とはだいぶ違うとのことですが……」
大神「はい、さらに言えば元帥閣下のことも存じ上げておりませんで……」
元帥「そこまでかしこまらなくて結構ですよ、元帥というのは名目上のもので、旧海軍の元帥とは似ても似つかんものです」
大神「旧海軍……というのは?」
元帥「旧海軍は旧海軍ですよ、我々は軍を持たないのですからね」
大神「ここは横須賀鎮守府ではないのですか?」
元帥「ええ、そうですよ。海上自衛隊管轄、横須賀鎮守府です」
大神「かいじょう、じえいたい?」
元帥「大神大尉、私はあなたのことが不思議でなりません」
大神「はぁ……」
元帥「悪い言い方をすれば、まともな事を言っているようには聞こえないのですよ」
大神「それは! 先程も申し上げましたが、自分も寝室で眠りに落ちて、目が覚めたらここにいたもので……」
元帥「仮にそれが真実だったとして、眠っている間に部外者の立ち入りが厳しく制限されているこの場所に連れて来られる、ということがありえないことなのです」
大神「…………」
元帥「酔っぱらいや不審者が、勝手に敷地内に忍び込んで眠りこけるなんてことは、更にありえないことですがね」
大神「それでは、自分はなぜここにいるのでしょうか?」
元帥「さて、私には判りかねますが……。ええと、大神大尉」
大神「はい」
元帥「大尉は、ご自身が眠りについた日にちをご存知ですかな?」
大神「それはもちろん。太正16年5月10日であります」
元帥「大正、16年……」
大神「それが何か?」
元帥「いや、あまり信じられるようなことではありませんし、私もまだまだ半信半疑ではありますが……」
大神「……?」
元帥「あなたはもしかすると90年ほど前から来た人間なのかもしれませんよ」
大神「はぁ!?」
元帥「さらに言えば、我々の歴史では大正は15年までしかありません」
大神「太正天皇はまだご存命でございますが……」
元帥「おそらくですが、大尉のおっしゃることを信じるのであれば、我々の歴史と異なった日本、異なった世界からいらっしゃったことになりますな」
大神「今はいつの時代で……?」
元帥「ええ、今は平成26年。西暦ですと2014年になります」
大神「2014年……なんてことだ」
元帥「どうなされました、顔色が優れないようですが?」
大神「少し、倒れます……」
元帥「大神さん!」
大神(マリア……助けてくれぇ。こんなの、悪い夢だよ……)
…………………………
「…………いちょう………! ……たい……ょお! 隊長!!」
大帝国劇場 大神寝室
大神「……ん、んんっ……。マリアなのか?」
マリア「目が覚めましたか!? はい、私です。マリアです」
大神「マリア!? 教えてくれ、今は何年だ!?」
マリア「急に何を?」
大神「いいから、教えてくれ!」
マリア「それは、太正16年に決まっているじゃないですか」
大神「よかったぁ…………」
マリア「よかったじゃないですよ。突然うなされたように『助けてくれぇ』なんて情けない声を」
大神「いや、すまなかった。実は、なんともひどい夢を見ていてね」
マリア「ひどい夢?」
大神「ここではないどこかの世界へ飛ばされてしまうんだ……」
マリア「それは……恐ろしい夢ですね」
大神「それが、とても不思議なんだ……全てが鮮明に思い出せる」
マリア「夢の出来事が、ですか?」
大神「ああ、まるで夢じゃなかったかのようにね……」
マリア「大丈夫ですよ隊長……、あなたは、ここにいますから」
大神(マリアが俺を優しく抱きしめてくれている……)
マリア「こうやって隊長の体温を感じていられるのですから、ご安心下さい」
大神「あ、ああ……そうだな」
大神(とは言っても、あの夢が直感的に普通の夢ではないことは確かだ……。すこし調べる必要があるかもしれないな)
ここまで。
またそのうち。
合体させたいねぇ。
大正(太正)時代の、しかも帝国海軍軍人が生きてる天皇をして「○○天皇」って呼ぶのおかしくないか
「大元帥陛下」か「今上陛下」ならわかるが
第2話 次回予告!
BGM テーッテ テーッテ テーッテー テーテーー タンタンタン (例のやつ)
マリア「新しい公演の準備に忙しいというのに、隊長と紅蘭の様子がなにかおかしいのです」
マリア「隊長もどこかよそよそしいというか、紅蘭は紅蘭でものすごく焦っているみたい」
次回 サクラ大戦XX 「大和、発進!」
太正桜に浪漫の嵐!
マリア「隊長、今度は私がお守りします……!」
テテ ッテテ テテン!
これがやりたかっただけなんや。
確かに陛下呼びだったね、悩んだけど。
一週間後に来るよ。
みんなありがとう。
大帝国劇場 2F サロン
大神「おはよう、さくら君とアイリス」
さくら「おはようございます、大神さん」
アイリス「お兄ちゃん、おはよう!」
さくら「大神さん、目の下にクマ、できてますよ。あまりよく寝られませんでしたか?」
アイリス「大丈夫? アイリスと一緒におひるねしようか?」
大神「はは、ありがとうアイリス。でも、大丈夫だよ。昨日少し遅くまで調べ物をしていてね」
さくら「あら、くれぐれも無理なさらないでくださいね」
大神「心配かけてごめんよ。今日は早く寝るつもりだからさ」
アイリス「早く寝ないと大きくなれないからね!」
大神「アイリスの言うとおりだな、これからは気をつけるよ」
さくら「あ、そうそう。朝食が終わったら早速今度の公演『いつか静かな海で』のお稽古に入るんです」
大神「おお、そうかい。ようやく台本が出来上がったんだね」
アイリス「うん、あとで送られてくるみたいだから、まだどんなお話かわからないんだ」
さくら「脚本家の先生がおっしゃるには、船をテーマにした作品ということで……」
大神「船か……」
アイリス「最近はお歌と踊りの練習が多かったから、アイリスすごい楽しみなんだよ!」
さくら「大神さんもお仕事などあるかと思いますけど、お時間ありましたら少し覗いてみてくださいね」
大神「うん、絶対に様子を見に行くからね」
さくら「ありがとうございます!」
アイリス「ありがとう、お兄ちゃん!」
大神「じゃあ、俺はそろそろ行くよ」
さくら「はい、また後ほど」
アイリス「ばいばーい!」
1F 支配人室
大神(昨夜の夢……、あれは明らかに普通の夢とは違うものだ)
大神(まず相談するなら……香蘭かな)
大神(マリアにも心配をかけてしまっているし、今何が起こっているのかを調べないと)
コンコン
「大神……」
大神「入ってくれ」
加山「失礼するよ」
大神「こんな早くに珍しいな」
ジャラーン♪
加山「朝はいいなぁ~、親友は寝不足だけど」
大神「朝からギターを聞かされる俺の身にもなってくれよ、加山」
加山「いいじゃないか大神ぃ~、マリアさんとはうまくやっているのか?」
大神「ああ、大丈夫だよ。節度を持った付き合いをしているつもりだ」
加山「年頃の娘さんたちの中ではあまり関心はしないが、おおっぴらに同室にするわけにもいかないしなぁ~」
大神「それで、何かあったのか?」
加山「マリアさんの件のことか?」
大神「そうじゃない、お前が来る時はなにか問題があった時だろう?」
加山「ひどいな大神、それじゃあまるで俺がトラブルメーカーみたいじゃないかぁ~?」
大神「そういうわけじゃないが……」
加山「まぁ確かに、良い知らせを持ってくることは少ないかもしれないな」
大神「で、何があった?」
加山「昨夜、月組のレーダーが大きな霊力の反応を感知した」
大神「霊力の反応だって!? また何か新たな勢力が?」
加山「最初はそれを心配したんだが、これがどうもおかしな様子でね」
大神「…………」
加山「その霊力の中心は……大神、お前だ」
大神「どういうことだ?」
加山「さすがに部屋を覗くような真似はしていないが……、昨日はおそらくマリアくんと寝ていただろう」
大神「ああ、そうだ……」
加山「隊員の霊力よりもはるかに強力な力が感知された時に、誰かの力が暴走した可能性を考慮して詳しく調査をした」
大神「かつてアイリスの力が暴走したように……か」
加山「ああ、そうだ。ところが隊員全員の霊力はいたって安定していた。そうなると残る一人は……」
大神「俺の霊力……」
加山「おそらくな。なにか変わったことはなかったか?」
大神「おかしな、夢を見た」
加山「夢……?」
大神「ああ、夢にしては現実的で、すべての記憶がはっきりしていた」
加山「ふむ……」
大神「実はそれについて、誰かに相談をしようと思っていたところで……」
加山「お前の霊力が異常に高まっていたことがわかったと」
大神「重要な情報感謝する」
加山「今はそれ以外何もわかっていないが、引き続き調査と監視を続けよう」
大神「よろしく頼むぞ、加山」
加山「それじゃぁ、俺は任務にもどるぜぇ~。さらばだ大神、アディオース!」
大神(俺の霊力の暴走か……、これはなおさら急いで調べないといけないな)
大神(ひとまず午前中は、ひと通り事務済ませてしまおう……)
また近いうちに。
ゆっくり進みますよ。
このSSまとめへのコメント
サクラ大戦✕艦これssはどれもえたってるんだな…