ダヴァン「カップラーメンが値アゲ……?」 (77)

ニュース『円安の影響で小麦粉や食用油などの原材料価格が高騰しており、カップ麺などにも影響が出ています……』



ダヴァン「オウ……なんというコトでスカ……」ズルズル

ダヴァン「カップラーメンはムゲンのラーメン達の中でも特に重要なファクター」

ダヴァン「私にとっては無くてはならないモノ……」ズズーッ

ダヴァン「それが値上がりとは……これは由々しき事態でスネ……」ゴックン

ダヴァン「」プハーッ

ダヴァン「フゥ……」



ダヴァン「……」



ダヴァン「……」



ダヴァン「……!」ハッ

ダヴァン「いかんいカン、満足していまシタ……」

ダヴァン「とにかく行動しなくテハ……近くのスーパーに行って様子を見てみましョウ」

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イラッシャイマセー


ダヴァン「さて、カップラーメンのコーナーは、ト……」キョロキョロ

ダヴァン「……あそこでスカ」スッ

ダヴァン「……!」

ダヴァン「どれもこれも、120円をゆうに超えているではないでスカ……!」

ダヴァン「……ん?これは安い、86円カ」ヒョイッ



ダヴァン「……」ジーッ



ダヴァン「メーカーが判らナイ……安いのはそういうこトカ……」

ダヴァン「これも立派なカップ麺、リスペクトは失いたくないのでスガ……今の私は大物メーカーでないと満足出来なくなってしまってイル……」

ダヴァン「どうすればいいンダ……」

ダヴァン「これも高イ……こレモ……こレモ……」

ダヴァン「くそ、こんなことなら事前に買い込んでおくべきだッタ……!」

ダヴァン「……ここに居てもしょうがナイ。誰かに相談するしかなイカ」

ダヴァン「……」

ダヴァン「そうか、サトハなら何か対策を講じられるかも知れナイ!」

プルルルルル



智葉「……はい」ピッ

ダヴァン「サトハでスカ?」

智葉「メグか」

ダヴァン「サトハ!聞いてくだサイ……!」

智葉「……どうした」

ダヴァン「ニュースを見ましタカ」

智葉「ああ。ひと通りは見たが……」

智葉「……まさか、カップ麺の値上げとかいうやつか」

ダヴァン「そうデス!さすがサトハ!話が早いデス」

智葉「お前は困るだろうなとは思ったが……話が早いからどうだと言うんだ」

ダヴァン「サトハなら、この状況を打破する術を持っているはずデス!」

智葉「……メグ。私を何だと思っている」

ダヴァン「サトハには不可能は無いはずデス!」

智葉「メグ。私に限らずこの値上げを止めろと言われてそれが出来るのは日本にそういない」

智葉「残念だが諦めるほかないな」

ダヴァン「オウ…」


智葉「……」

智葉「しかし、スーパーによってはその影響が少ないかも知れない。色々なスーパーを確認してみるのはどうだ」

ダヴァン「……!」

ダヴァン「そうか、トーキョーは広いンダ……まだまだ私の知らないスーパーがあるはずでスネ!」

智葉「そうだな。明日の練習で皆と話してみるか。といっても私以外の連中がスーパーの事情に詳しいかは知らんがな」

ダヴァン「サトハ、ありがとうございマス……!」

智葉「いや」



ピッ



ダヴァン「……」

ダヴァン「この街のどこかに、グレートなスーパーがあるのだろウカ……」

ダヴァン「探すしかないでスネ!」

…………

……





智葉「……」ガラッ



ダヴァン「サトハ!」

智葉「メグ。もう来ていたか」

ダヴァン「はい。私はなんとしてもカップラーメンが安く売っているスーパーを探さねばなりまセン!」

智葉「そうか……」

ダヴァン「サトハ、オススメのスーパーは無いのでスカ!?」

智葉「いや、特には無い」

智葉「そもそもカップ麺は食べないからな」

ダヴァン「あの至高の発明、無敵のアイテムを食さないのでスカ……それは人生を損していると言っても良いレベルでスネ……」

智葉「ひどい言われようだが……まあお前にとってはそうだろうな」

ダヴァン「サトハも一度食べてみると良いデス!そうすれば事態の深刻さがより理解出来るはずデス!」

智葉「いや、遠慮しておく」

ダヴァン「そンナ……」


明華「何やら盛り上がっていますか」ガラッ


智葉「ちょうどカップ麺の素晴らしさを教えこまれていたところだ」

明華「そうでしたか」

ダヴァン「いいところに来まシタ。このあたりでカップラーメンが安いスーパーを知りませンカ?」

明華「んー……」

明華「知りませんね」

ダヴァン「そうでスカ……」

明華「私はカップラーメンを食べないので」

ダヴァン「そうなんでスカ?」

ダヴァン「まさか、うちのチームはカップラーメンを食べる文化が無いというのでスカ……?」

ダヴァン「今まで気付きませんでシタ……」

智葉「このチームに限らず、そういう文化は基本的に存在しない」

ダヴァン「オウ……」

ネリー「何やら騒がしいですねー、お金の話ですか?」ガラッ


ダヴァン「非常にお金に関係しマス!」

ネリー「そうなの?どんなこと?」

ダヴァン「カップラーメンが値上がりしたんデス。シカツ問題というやつでスヨ!」

ネリー「そうなんだー。でもあれ前から値上げ進んでるし、お金の割にあんまりおいしくないよ?」

ダヴァン「なント……!」

ダヴァン「日本の誇りであり万能の良薬であるカップラーメンを、美味しくないと申しまスカ……!」

智葉「人には好みというものがある。万人が好むものはそうそう無い」

智葉「それよりカップ麺が日本の誇りにまで昇華してしまったが」

ダヴァン「サトハ……私は知りませんでシタ……このチームがこれほどのアンチカップラーメンだったトハ……」

ネリー「だってあんまりおいしくないんだからしょうがないよー」

ダヴァン「あの良さを分かって貰えないトハ……文化の違いというのは残酷なものでスネ……」

明華「日本に来てからというもの、文化の違いはよくよく感じます」

明華「メグちゃんの今の気持ちも、なんとなくわかりますよ」フフッ

ダヴァン「オウ……気持ちは嬉しいでスガ……」

ダヴァン「それならカップラーメンの良さを知ってほしいデス……」

明華「あっ……」




ハオ「……」ガラッ

智葉「ハオ」

ハオ「少し遅れましたか」

智葉「いや、そうでも無いさ。ちょうど今議論中だ」

ダヴァン「これは議論と呼べるのでしょウカ……」

ダヴァン「今のところ、このチームは誰もカップラーメンを食べないという知りたくない事実が判明してしまっただけデス……」ショボン

ダヴァン「ハオ、アナタも皆と同じように、カップラーメンは食べないというのでスカ……?」

ハオ「いえ、私は食べます」

ダヴァン「……!」

ハオ「あれは良いものです。私はどちらかというとカップ焼きそばが好きですが」

ダヴァン「なるホド」

ハオ「ラーメンだとシーフードが好きですね」

ダヴァン「ハオ……素晴らしいデス」

ダヴァン「遂に理解者が現れました。一筋の光デス……!」

ハオ「そ、そうですか……」

ダヴァン「少し希望が見えて来まシタ!」

智葉「とは言っても、話の本筋はカップラーメンが安いスーパー探しだからな」

ダヴァン「そうでシタ」ハッ

ネリー「サトハにそれ聞いたけど、ネリーそんな店知らないよ?」

明華「私も……」

智葉「まあ、仕方ないな」

ハオ「……駅前のスーパーはどうでしょう。あそこなら多少安いかも」

ダヴァン「なるホド、そこに目をつけるとはさすがデス!」

ハオ「そこがダメならこの街は離れた方がいいかも知れませんね」

ダヴァン「隣町、でスカ……」

ダヴァン「とにかく練習後に駅前のスーパーには行ってみマス。ハオ。皆サン。ありがとうございマス!」

ハオ「いえ」

智葉「さて、どうなるかな」

…………

……




ダヴァン「……」スタスタ


ダヴァン「」ピタッ

ダヴァン「ここでスカ」

ダヴァン「ハオが紹介してくれた駅前のスーパー……」

ダヴァン「早速調査デス!」



イラッシャイマセー



ダヴァン「サテ」スタスタ

ダヴァン「ここでスネ。配置が分かりやすいのはポイント高いデス」

ダヴァン「種類もいろいろありまスガ……」キョロキョロ


ダヴァン「!」


ダヴァン「なント……どれもこれも、130円オーバーではないでスカ!」

ダヴァン「なんというこトダ……」

ダヴァン「……」キョロキョロ

ダヴァン「もう既に値上げの影響が出ているというこトカ……もう少し早く来ることが出来ていれば良かったノカ?」

ダヴァン「とにかく相談しなけレバ!「ホウレンソウ」がきっと私を救ってくレル!」サッ


プルルルルル


智葉「……はい」ピッ

ダヴァン「サトハ!」

智葉「メグか。どうだった」

ダヴァン「ダメでシタ……!私の近所のスーパーより高いデス!」

ダヴァン「私はどうすレバ……」ショボン

智葉「仕方ないな。ハオが言っていたように隣町に行く必要がありそうだ」

ダヴァン「隣町、でスネ……」

ダヴァン「分かりました。早速明日行ってみようと思いマス。サトハ、すいませんが明日の練習は参加出来そうにありまセン」

智葉「いや、明日はちょうど休みだから良いが……」

智葉「もし練習なら私はお前を擁護出来なかったぞ。カップラーメンの安いスーパーを探すから練習を休むなど、監督にどう報告すればいいか判らない」

ダヴァン「そうでスネ……しかし休みなら良かったデス!神に感謝デス!」

ダヴァン(そうするとどの電車に乗って行くか、検討する必要がありそうでスネ……)


智葉「それとメグ」

ダヴァン「?」

智葉「少し前に話した、明後日の日曜日に皆で出かける件についてだが」

ダヴァン「あ、アア……」


ダヴァン(朝何時頃の出発が良さそうでしょウカ……)


智葉「五人で映画を見に行くことになった。悪いがメグがスーパーに向かった後話し合って決めさせて貰った」

ダヴァン「ハイ……」


ダヴァン(普段の登校と同じ位の時間で良いですカネ……)


智葉「明後日は12時に駅前に集合するよう頼む」

ダヴァン「ハイ。わかりまシタ」


ダヴァン(買い込むとなるとお金は多めに用意した方が良さそうでスネ)


智葉「じゃあ明日は健闘を祈る」

ダヴァン「……ハイ!ありがとうございマス!」


ピッ


ダヴァン(あとはカバンが必要カ……)


ダヴァン「……ン?今サトハは隣町のこと以外に何か言っていたような……」

ダヴァン「ああそうだ、五人で遊びに行くんでしタネ」

ダヴァン「たまにはこういうことも良いでしョウ。私たちももっと日本のことを知る必要がありますかラネ」

ダヴァン「私たちのことを考えてこういうことを提案してくれるとは、さすがサトハデス」

ダヴァン「さて、早速帰って明日の準備といきましョウ」サッ

チュンチュン


ダヴァン「……」ズルズル

ダヴァン「……」ゴクゴク

ダヴァン「サテ……」タンッ

ダヴァン「行かねばならないでスネ」スチャ


ガタンガタン


ダヴァン「勢い良く電車に乗ったものの、正直なところ隣町へのちゃんとしたルートは分かっていまセン」

ダヴァン「自分なりに調べはしたものの、よく分からなかッタ……日本の電車はやはり複雑デス」

ダヴァン「しかし、とにかく西の方向へ向かえばきっと何か見えてくるはずデス。ゴー・ウエストというやつでスネ!」


プシュー


ダヴァン「白糸台駅、でスカ……」

ダヴァン「!」

ダヴァン「白糸台といえば、西東京代表……」

ダヴァン「となればここは、確実に東京の西のほうではないでスカ!」

ダヴァン「よし、ここで降りましョウ」サッ


ガヤガヤ


ダヴァン「白糸台……一人で来るのは初めてでスネ」

ダヴァン「あの連中もどこかにいるのでしょウネ。まあ今はどうでも良い話」

ダヴァン「早速スーパーを探しマス!」スタスタ




菫「……」スタスタ

菫「ん?」ピタッ



ダヴァン「……」スタスタ



菫「あれは……」



ダヴァン「……」スタスタ

菫「おい」

ダヴァン「!」ピタッ

菫「珍しい顔だな」

ダヴァン「ヒロセスミレ……まさかこんなに簡単に出くわすトハ」

菫「こんなところに何の用だ」

ダヴァン「ちょうど良いでスネ……私の願いを叶える手助けをして貰いましょウカ」

菫「何だと……?」

菫「お前……何を企んでいる?」


ダヴァン「ヒロセスミレ……」オォォォォ


菫「!」ビクッ

菫「……」ザッ


ダヴァン「……この辺りのスーパーを案内して欲しいデス」


菫「」ズルッ

菫「スーパー、だと……?」

ダヴァン「ハイ」

菫「スーパーなどどこにでもあるだろう。わざわざ白糸台に出てきてまで探す必要がどこにある」

ダヴァン「実ハ……」


菫「……」

菫「カップラーメンの値上げ、か」

ダヴァン「そうデス。私の周りのスーパーはもう手遅れでシタ」

菫「私の知っている範囲で良ければ構わんが……」

菫「しかしそんな理由でわざわざここまで来るとは、物好きもいたものだな」

ダヴァン「私にとっては大きい理由デス!」カッ

菫「!」ビクッ

菫「あ、ああ、済まない……」

菫「まあ、そういうことならさっさと行くぞ。私も練習前であまり時間が無い」

ダヴァン「ありがとうございマス!宜しくお願いしマス」


菫「ここがまず一軒目」ザッ

ダヴァン「ホウ……」


ピロリローン


菫「どうだ?」

ダヴァン「ダメでスネ……もう政府にかどわかされた後のようデス……」

菫「そうか」

菫(大げさな奴だな……)

菫「ならば次に行くぞ。あと二軒心当たりがある」

ダヴァン「お願いしマス」


菫「ここだ」

ダヴァン「うウム……ここもダメかも知れナイ……オーラを感じまセン……」

菫(そんなものがあるのか……)

菫「入ってみないと判らないだろう」

ダヴァン「そうでスネ」


イラッシャイマセー

ダヴァン「……」


菫「どうだ?」

ダヴァン「やはりダメデス。終いには種類も豊富でありませんでシタ……」ショボン

ダヴァン「こんなコトで良く今まで生き残っているものデス……」

菫「そ、そうか……」

ダヴァン「やはり日本はもうオシマイなのでしょウカ……しかし日本でなければあの味は味わえない……」ブツブツ

菫(かなり参ってるな……)

菫「私がこの辺りで知っているのはあと一軒だけだ。それもカップラーメンが安いかどうかは知らない。それでも行くか?」

ダヴァン「……」

ダヴァン「ロンオブモチ。そうでなければ来た意味が無いというモノ」

菫「そうか。それなら行くぞ」

ダヴァン「ハイ。お願いしマス!」


ピロリロリーン


菫「カップラーメンのコーナーは確か左の方だったと思うが……」

ダヴァン「……!」ビクッ

菫「?」

菫「どうした」

ダヴァン「何かこの店からは、良くない空気を感じマス……」

ダヴァン「凄まじいプレッシャー……一体何が起きているンダ……」

菫「……よく判らんが、この店は期待出来るということか?」

ダヴァン「いや、それは見てみないと分かりまセン」

菫「そうか」


ザッ

菫「……とりあえずここかな。どうだ」

ダヴァン「……」

ダヴァン「至って普通でスネ。価格、品揃え、これまでの店と変わりありまセン」

菫「そうか。残念だ」

ダヴァン「しかしそうなると、この禍々しい妖気は一体……」

菫「私は特に何も感じないがな……」

ダヴァン「……!」

ダヴァン「この棚の反対側デス!」バッ

菫「おい!」ダッ

菫(しかしこの棚の反対側はお菓子の棚だったか……)

菫(……まさか)


ダヴァン(一体ここに何者ガ……!)バッ

ダヴァン「!」ビクッ

照「……」ジーッ

ダヴァン「チャンピオン……!」

菫「」サッ

菫「……やはりか」

ダヴァン「このプレッシャーの原因はチャンピオンでしタカ。これなら納得デス」

ダヴァン「しかし、なぜこのような凄まじい妖気を放っているノカ……」

菫「おい照」

照「」ビクッ

照「菫……」

菫「練習前にお菓子探しか?」

照「……まあ」

菫「そうか。偶然だがここで見つけられて良かった。お前その様子だと確実に遅刻しただろう」

照「そんな事ない」

菫「どうだか。とにかくもう行くぞ」

照「待って。もう少しでどれを買うか決めるから。というかどうして菫がここに……」

ダヴァン「」ヒョコッ

照「あっ……ダヴァンさん」

ダヴァン「ドウモ、チャンピオン」

照「どうしてこんなところに」

菫「カップラーメンが値上げしたことで、安く入手出来る店を探しているらしい」

ダヴァン「そうなんデス。しかし、ここもダメでシタ……もう打つ手は残っていないかも知れナイ……」

照「そう……」

照「私もお菓子が値上げする時は事前に情報を仕入れ、多めに買い込んだりしている」

照「気持ちは良く分かる」

ダヴァン「そうでしタカ……」

ダヴァン(それでこのようなプレッシャーを放っていたノカ)

照「この間お気に入りのお菓子が値上がりした時も、この辺りに安く売るところは無かった。カップラーメンも同じかは分からないけど、多分この付近はもう駄目」

ダヴァン「そうでスカ……」


菫「……」

菫「残念だが、私達はもう行かなくてはならない。私が紹介出来る店はここで最後だ。後は自分でどうにかしてくれ、メガン・ダヴァン」

ダヴァン「そうでスカ……」

ダヴァン「いや、ありがとうございマス。ヒロセスミレ。ここまで協力してくれて感謝しマス」

菫「済まないな」


菫「照、行くぞ。そろそろ行かないと本当に間に合わない」

照「……菫」

菫「?」

照「今日の練習試合」

菫「ああ。大阪で千里山、三箇牧、姫松と試合だな。実際は今日明日の一泊二日だが。地区予選前の最後の仕上げとなるが、それがどうした」

照「ダヴァンさんも連れて行ってあげよう」

ダヴァン「!?」

菫「おいおい、正気か?まさかカップラーメンを探す為とでも?」

照「そう」

菫「ちょっと待て、馬鹿げてるぞ。たかがそんなことの為にそこまで……」

照「たかがじゃない」キッ

菫「!」

照「私もお気に入りのお菓子が手に入らなければそこまでしたくなる。求めるものは違ってもダヴァンさんからは似たようなものを感じる」

ダヴァン「チャンピオン……」

菫「全く……」

菫「一人くらい増えても恐らく移動に影響は無いだろうが、しかし大丈夫なのか?メガン・ダヴァン。そっちだってそうそう部活を休んでいて良い立場では無いだろう」

ダヴァン「その点は問題ありまセン。我々は先週までで総仕上げを行いまシタ。後は部内での練習に留めマス。今日と明日はリフレッシュのため休みデス」

ダヴァン(まあ、サトハに言われるまで忘れていましタガ……)

菫「そうか」


菫「……」

照「……」ジーッ

ダヴァン「……」ハラハラ

菫「……」ハァ

菫「お前らの熱意に負けた。人数が一人増えても良いか、それが臨海の生徒だが問題無いか、とりあえず聞くだけは聞いてみよう」

ダヴァン「ホントでスカ!?」

照「菫は話が分かる」

菫「しかしどう伺いを立てたら良いものか……」

菫「とにかくもう行くぞ。本当に遅刻してしまう」

照「うん。私ももう買うもの決めた」

ダヴァン「すいまセン……ありがとうございマス!」

ゴォォォォォ



菫「それにしても、本当に付いてくるとはな……大した奴だ」ハァ

ダヴァン「今の私に出来ることは行動することダケ……」

ダヴァン「その機会をくれたコトに感謝します。ヒロセスミレ」

菫「……監督に感謝するんだな」

ダヴァン「ハイ」ニッコリ


照「行動することは大事」

ダヴァン「チャンピオン……これはアナタのおかげでもある。恩に着マス」

照「いや……」


ダヴァン(しかし、実際のところこれはチャンピオンのおかげと言ってイイ)

ダヴァン(仮に私がこの同伴を思いついても、あっさりハネられて終わっていただロウ)

ダヴァン(チャンピオンが私に賛同してくれたからこそ、ヒロセスミレも認めてくれたに違いナイ)

ダヴァン(この影響力……高校生ナンバーワンはやはりダテじゃナイ)

ダヴァン(……まあ、だからと言って我々が遅れを取る理由にはならなイガ)フフッ


菫「ところで」

ダヴァン「ハイ」ビクッ

菫「大阪に着いたら私達は試合で忙しい。お前に構っている暇は無いわけだが、良いな?」

ダヴァン「ロンオブモチ。元々無理を言って付いてきている身デス。それ位はあたりマエ」

菫「ふむ……」

菫「せっかくだからお前に今年のチームの仕上がりを見せつけてやっても良かったのだがな」フンッ

ダヴァン「それは必要ありませンネ。私には臨海のプライドというものがありマス。それにもちろん研究も怠らずに実施してイル」

ダヴァン「何より、今年のチームにはアナタたちを正面から倒すだけの力がアル」

菫「どうだか」

ダヴァン「楽しみはインターハイにとっておきましョウ。せいぜい途中で敗退することのないヨウ」

菫「そっちこそ、な」フフッ


照「……」ウトウト

菫「やけに静かだと思ったら寝ていたか……まあ良い」

ダヴァン「そろそろ着きそうでスネ」

菫「そうだな。おい照。起きろ」ユサユサ

照「ん……」

照「……」ボーッ

菫「そろそろ着くぞ」

照「そう……」


…………

……

ゾロゾロ



ダヴァン「大阪でスカ。今朝はまさか自分がこの地に立つことになるトハ予想していませんでシタ」

菫「そうだろうな」

ダヴァン「ありがとうございマス。ヒロセスミレ」

ダヴァン「この恩はきっといつか、返させて貰いマス!」

菫「ああ」

ダヴァン「デハ!」バッ

スタスタスタスタ



菫「……」

照「ねえ」

菫「どうした。まだ眠いのか」

照「ダヴァンさん、帰りはどうするの」

菫「……」

照「……」

菫(し、しまった……)

照「連絡先とか知ってるの」

菫「……」

菫「まあ、なんとかなるだろう。あいつもそんなにヤワでは無いはずだからな」ハハハハハ

照「……」



ダヴァン「サテ……」

ダヴァン「ここ大阪の地まで来てしまいましタネ。もはや少々旅行気分ですが……もちろん本来の目的は忘れていまセン」

ダヴァン「私がここに辿り着いたからには、きっとお安めのお店があるハズ!」

ダヴァン「早速探しまスヨ!」


ダヴァン「……」スタスタ

ダヴァン「……」スタスタ

ダヴァン「ウーム、闇雲に歩き回っても効率が悪いでスネ」

ダヴァン「仕方ナイ、その辺を歩いている人に聞いてみましョウ。きっと心良く受け答えしてくれるはずデス」


ダヴァン「すいまセン」

泉「……」スタスタスタ

ダヴァン「すいまセン」ザッ

泉「!?」ビクッ

泉「わ、私ですか?」アセアセ

泉(いやー外人やん、どうしよう英語喋れんわ私……)ドキドキ

ダヴァン「すいまセン……お尋ねしたいことがありマス」

泉「は、はい。何でしょう」

泉(うわ、すごい。日本語流暢やん……ってか、このヒト……!)

泉「臨海の、メガン・ダヴァン……!」

ダヴァン「ホウ、これは驚きまシタ。まさか私を知っていまスカ」

ダヴァン「ということは、麻雀を嗜んでいるのでスネ」

泉「まあ、そうですね」

泉「挨拶遅れました。私は二条泉。千里山高校の一年生です」

ダヴァン「千里山……関西の強豪でスネ」

泉「その通りです」

泉「というかその通りついでに私少し急いでるんです!」

ダヴァン「ホウ」

泉「今日は午後から練習試合があるんですよ!アナタのお隣の白糸台さんと!」

ダヴァン「なるホド……」

泉「私は今日試合に出てアピールせななりませんので、もう向かわんといけません!すいませんがここで油を売れませんので私は失礼しま」

ダヴァン「お待チヲ」ガシッ

泉「!?」

ダヴァン「私は今日、とある方々のご厚意により大阪に来ることが出来タ」

泉「……?」

ダヴァン「本来なら既に終わっていた私の夢……それを達成させてくれるためにあの方々はわざわざ手を尽くしてくレタ」

ダヴァン「あの方々に報いる為にも、私はこのまま引き下がるわけにはいかないのデス!」

泉「そんな事情が……ええ話やないすか……」

泉「って、そんな風になるわけないでしょう!全然意味が伝わらないですよ!」

ダヴァン「オウ……これがノリ・ツッコミというやつでスカ……」

泉「全く……ほな聞くだけ聞きますよ。いったい何をしたいんです?」

ダヴァン「さすがデス。懐が深いでスネ」

ダヴァン「その様子なら千里山のレギュラーももう手中でしョウ」

泉「そ、そんないきなり褒めんでも……」カァァァ

泉「って、キャラじゃないリアクションさせようとしたってそうはいきませんよ!」

ダヴァン「オウ……それなら本題に入らせて頂きマス」

泉「お願いします」


ダヴァン「カップラーメンが値上がりしたのは知っていまスネ」

泉「いや、知ってはいますけど……」

泉「言うほど知ってて当然の話題では無いんじゃないですかね?」

ダヴァン「私はその事実に憤慨しまシタ」

泉「スルーですか……」

ダヴァン「私はすぐさま近所のスーパーを当たりまシタ……少しでも安く手に入れるたメニ……」

泉「それは熱心なこって……」

ダヴァン「しかし、安いカップラーメンなどもはや存在しなかッタ……」

ダヴァン「どこに行っても120円オーバー……130円に届くところすらありまシタ」

泉「それはそれは……私はカップラーメンあまり食べませんから分かりませんが」

ダヴァン「……!」

ダヴァン「アナタもアンチカップラーメンというのでスカ!」ゴーッ

泉「!?」ビクッ

泉「お、落ち着いてください!あまり食べないというだけで嫌いとかではないです!」アセアセ

ダヴァン「そ、そうでスカ……」

泉「確かに値上げされると困りますもんね……どうぞ、続けて」

ダヴァン「ハイ」

ダヴァン「とにかく東京には私の求める価格では売られていなかッタ。絶望していたところに手を差し伸べてくれたのが白糸台のふタリ」

泉「部長の弘世と高校生チャンピオンの宮永とかですか?」

ダヴァン「ドンピシャリデス。やりまスネ」

泉「いやまあ、白糸台のふたりといったらそこかなとなりますよ」

ダヴァン「とにかく、そのふたりに連れられ私は今ここにいマス」

ダヴァン「全ては安いカップラーメンを手に入れるタメ!」

泉「行動範囲の割にちっさい野望ですね……」

ダヴァン「フッ、アナタにとってはそう見えるかも知れナイ」

ダヴァン「しかし、私にとっては心の真ん中の問題なのデス!」

泉「ん……」

泉「人間って、何でも分かり合えるわけではないんですね……高一にして気付いてしまいました」ハァ

ダヴァン「と言いまスト?」

泉「ダヴァンさんのおっしゃることが全くピンと来ません」

ダヴァン「オウ……」

泉「……ま、でも」

泉「少なくともお困りであることは伝わりました。微力ですが協力させて貰います」

ダヴァン「……!」

ダヴァン「ありがとうございマス!恩に着マス!」

泉「んな大げさな……スーパー探しですよやることは」

ダヴァン「イエ。私も勢い余ってここまで来たものの一人で店探しをするのには限界を感じていまシタ。非常に助かりマス」

泉「そうですか。まあそう思ってくれるならこっちもやり甲斐があるってもんですね」

泉「ほな早速行きましょう。この辺りには値段自慢のスーパーがごまんとありますからね」

ダヴァン「ホウ、それはそレハ!楽しみデス!」キラキラ

泉「あっ、ちょっと待ってください。発言却下で……」

ダヴァン「なぜデス?」

泉「ちょっと盛りすぎました。そんなに自信は無いです」アセアセ

ダヴァン「ふふっ、いいでスヨ」

ダヴァン「ではレッツゴー、デス!」

泉「いっちょう行きますか」

ザッ



ダヴァン「ここでスカ……」

泉「はい。まず一軒目です」

ダヴァン「よし、入ってみまスカ」スタスタ


泉「けどカップ麺の値段がどうかは正直知りませんよ?」

ダヴァン「これまでも基本的にそうだったので問題ないデス……このあたりですカネ」

泉「はあー……迷いないですね」

ダヴァン「最早、なんとなくですがカップラーメン置き場の位置が分かるようになっていマス」

泉「探し回ることでその域に達するんですね。悲しいですね。別のことなら良かったのに」ハァ

ダヴァン「別にいいんデス!」

ダヴァン「……!」

ダヴァン「オオ……」

泉「どないしました?」

ダヴァン「私がこれまで回ってきたスーパーの中では最安値デス!流石はオオサカ!浪速の街デス!」

泉「なんかバカにしてませんか?まあ喜んでくれとるんなら良しとしますわ」

ダヴァン「……これは、他の店も期待出来そうでスネ」

ダヴァン「ここは保留デス。次の店に行きましョウ」

泉「えっ、いいんですか?せっかく安いっぽいのに」

ダヴァン「この様子ならまだまだ安いスーパーはありそうデス。せっかくなので高みを目指しマス!」

泉「妥協ないですね。まあこんなところまで来てる時点でそうか……」

泉「分かりました。ほな次の店行きましょか」

ダヴァン「お願いしマス!」

泉「ここが二軒目ですね」

ダヴァン「早速調査に入りマス」サササッ

泉「ノリノリですね。まあ良かったです」スタスタ


ダヴァン「コレハ……」

泉「微妙、ですか……?」

ダヴァン「いけまセン。高いデス」

ダヴァン「やはり政府を侮っては行けなかっタカ……」

泉「そうですか」ヒョイッ

泉「うーん……だいたい130円ってとこですかね。これじゃ駄目ってことですね。さっきの店はいくらなんでしたっけ?」

ダヴァン「110円前後でシタ」

泉「おお、それはけっこうな差ですね!」

ダヴァン「そうなんデス。ともかく、ここだけで判断は出来ナイ。次の場所へ向かいましョウ」

泉「そうですね」



泉「ここです」

ダヴァン「フム……」

ダヴァン「……入りまスカ」サッ

泉「?」

泉「はい」ササッ


泉「どうですか?」

ダヴァン「やはり……駄目デス。店に入る時にそんな予感がしまシタ」

泉「そうだったんですね。もうエスパーの域ですね」

ダヴァン「悲しい…やはり最初の店でキメておくべきだったノカ……」

泉「まあ難しい判断ですからね」

ダヴァン「……他に店はありまスカ?」

泉「あるにはありますが、そろそろ時間も怪しくなってきてまして」

ダヴァン「そうでスカ……」

ダヴァン「最初の店に戻ルカ……」

泉「まああと一、二箇所程度なら回れますんで、歩きながら決めたらいいんじゃないですか」

ダヴァン「そうでスネ……」

ダヴァン「すいまセン。であれば次の店に案内して貰えまスカ」

泉「はい。行きましょう」




泉「……」スタスタスタ

ダヴァン「……」スタスタスタ

泉「!」ピタッ

泉「あれは……」

ダヴァン「どうしまシタ?」

泉「商店街のくじ引きです!私引換券持ってるんですよ!」パァァァ

ダヴァン「なント……」

ダヴァン「流石オオサカ。色々な体験が出来マス」

泉「これくらいどこにでもあるでしょう!」

泉「まあけど、ちょっとテンション上がってるのは本当です。前からやってみたかったんですよ」ワクワク

泉「見られたら恥ずかしいけど、ダヴァンさんが横にいる今なら平気だし」チラッ

ダヴァン「ムウ……」

ダヴァン「まあ、別に止める気はありまセン。気の向くままにトライすると良いでしョウ」

泉「やった!」

ダヴァン(そんなに面白いものなのでしょウカ……)


泉「すいません、これで一回お願いします!」サッ

主人「はいよ」

泉「これですよこれ!このカラカラを回すのが楽しみだったんです!」

ダヴァン「そ、そうでスカ……」

ダヴァン(あ、でもこれは確かに楽しそうデス……)

泉「じゃあ回しますよーいいですねー?」

ダヴァン「か、構いまセン。煽らないでくだサイ」

泉「いいツッコミですね!」

泉「じゃいきまーす」ガラガラ


ガラガラガラ


泉「うわあ、楽しい……」パァァァ

ダヴァン「ウウ……」ウズウズ

ダヴァン「……あ、そういえば景品は何なんですカネ?」

泉「確かにそこ確認怠りましたね」

ダヴァン「まあ、そんな大したモノは無いでしョウ」

泉「分からないですよ?案外デカイのが潜んでたり……」


ポロッ


泉「あ、出た」

ダヴァン「出ましタネ」

泉「……金色?」

主人「出たでた、大当たり!」ガランガラーン

泉「……え」

ダヴァン「……」

泉「えーーーっ!?」

泉「当ててもうた……」

ダヴァン「強運でスネ……」

泉「いやそれほどでも」ガクガク

ダヴァン「動揺し過ぎでしョウ!」

泉「はっ」

泉「危なかったです……こういうのはあまり経験が無いのでつい」

泉「にしてもダヴァンさん、この短期間でツッコミの腕を大きく上げましたね」ニヤリ

ダヴァン「そうでしょウカ……」

ダヴァン「まあ本場の人間に褒められるのは嬉しいでスネ」

泉「そういうことにしといてください」

ダヴァン「ところで大当たりの景品はなんなのでスカ?」

泉「あっ、そうですね」


主人「これが景品の、福岡行きの航空券ですー」サッ

泉「えっ、マジですか!?こんなの良いんですか?」

泉「……ってよく見たらこれ出発今日の便じゃないですか」

主人「間違って買ったやつを貰ってねー。これじゃ行かれないから景品にしたんですよー」

泉「こんなん誰も行かれへんでしょ……しかも片道のみなんですか!?」

主人「そですー」エヘヘ

泉「なんとまあ……」

泉「私はもちろん行かれません。ダヴァンさんにあげます」パッ

ダヴァン「えっ……」

ダヴァン「そうか……なるホド……これは、新たなチャンスなのかも知れナイ……」

泉「ってちょっとちょっと何真剣に検討してるんですか!?そこは「いやいやこんな急に無理でスワー」って突っ込むとこでしょ!?」

ダヴァン「あ、ああ……すいまセン。確かに、これは簡単に他人に譲渡するシロモノじゃないですかラネ」

泉「そこは別に良いんですが……」

泉「まさかダヴァンさん、本気で行く気です?」

ダヴァン「ン……」

ダヴァン「なくはないデス……これは何か大きい力の導きのように感じマス」

泉「片道分しか無いんですよ?帰りはどうするんです」

ダヴァン「それは……まあなんとかなるカト」

泉「ダヴァンさん……同じ高校生とは思えません。まさに冒険者ですね」

ダヴァン「それは褒めているのでスカ?」

泉「それはもう最大級に」

泉「……分かりました。ほんとにダヴァンさんに上げましょう」サッ

ダヴァン「……いいんでスカ?」

泉「もちろん。私が行かれないのは本当ですし」

泉「ダヴァンさんの目的達成に役立てるならその方が良いでしょう」

ダヴァン「……」

ダヴァン「……」

ダヴァン「いいんでスネ?」

泉「もちろんです」ニコッ

ダヴァン「……分かりまシタ。頂けるのなら、頂戴したいと思いマス」

泉「頑張ってください」

ダヴァン「……ありがとうございマス」

泉「良いってことです。私も楽しめました」

泉「……って、ヤバい」

泉「時間が無いですよ!私もダヴァンさんも!そのチケット出発までもうすぐでしょう!」

ダヴァン「なント……!」

泉「私ももう行かんと間に合いません!ここで別れましょう!」

ダヴァン「そ、そうでスネ!」

ダヴァン「感謝しマス!インターハイで会いましョウ!」

泉「そうなるように頑張ります!」

泉「では!」スタタタ

ダヴァン「……」

ダヴァン「私も行かないと間に合わなイカ」

ダヴァン「最初の店に戻る時間は無イカ……」

ダヴァン「……無理でスネ。まあ、これから行くところで当たりを引けると信じましョウ!」

ダヴァン「楽しかったデス。オオサカ」

スタタタタ


泉「すいません、遅れました!」

浩子「ギリギリセーフや」

泉「ほんまですか?良かったー」ホッ

浩子「相手方はお早い到着で、もういらっしゃってるけどな」

菫「……」

泉「ほんまですね……」

浩子「しかし珍しいな。泉が時間ギリギリに来るなんて。なんかあったんか?」

泉「あー。それがですね、おもろいことがありましたよ!」

浩子「ほう」

泉「なんと臨海のメガン・ダヴァンに出くわしましてね」

菫「その話、私も聞いていいかな」

泉「うわっ!」

浩子「いつの間に隣に……」

泉「そうか……白糸台に付いてきた、みたいなことは確かに言われてましたね」

泉「私がくじ引きで福岡行きの航空券を当ててしまいましてね、それダヴァンさんにあげましたら空港に向かわれました」

菫「何……?福岡に向かったと?」

泉「そうです」

菫「あいつ……本当に、底抜けの行動力だな」ハァ

浩子「……話が見えん」ポカーン

キーーーン



ダヴァン「……」スタッ

ダヴァン「フクオカ……」

ダヴァン「思えば遠くに来たもんでスネ」フフッ

ダヴァン「さて、とりあえず「ハカタ」にでも行けば良いのでしょウカ」キョロキョロ

ダヴァン「……ちょうど地下鉄がありまスネ。これに乗れば一本でいけそうデス」

ダヴァン「一日でこうも移動していては流石に疲れが出てくるというものでスガ……」

ダヴァン「立ち止まってる時間は無いのデス!」キリッ





ゾロゾロ

煌「博多に着きましたね!」

姫子「あとは電車一本で空港か」

哩「この移動は正直面倒やけど、仕方んなかやろね」

姫子「そうですね」

哩「ひとまず出発まで時間がある。ここで自由時間にしておくか」

煌「久々の博多!すばらです!」

仁美「よし。花田、クレーン行くぞ」

煌「はいっ!」

姫子「先輩はクレーンゲームが好きですね」

仁美「まあな」フフン

姫子「部長、私たちも少し散歩しませんか?」ササッ

哩「ん……そうね」

姫子「そうしましょう!」

姫子(やった!)

美子「そしたらうちも、クレーンご一緒してよか?」

煌「もちろんですよ!」

ワイワイ




カツカツカツ

ダヴァン「……」

ダヴァン「どうやらハカタに着いたようデス」

ダヴァン「空港から近いんでスネ。しかし、スーパーがある気配がしナイ……」

ダヴァン「……ん?」



煌「」ワイワイ

仁美「」ガヤガヤ



ダヴァン「制服女子……」

ダヴァン「きっとあれは同じ高校生でしょウネ。そうすると話が通りやスイ」

ダヴァン「少し声をかけてみることにしましョウ」

ダヴァン「モシ」ヌッ

仁美「うおっ!」ビクッ

美子「!?」ギョッ

煌「!?」ビクッ

ダヴァン「ン?」

ダヴァン(いかん、少し驚かせてしまっタカ……)

煌「あ、あの……私達に何か……?」

ダヴァン「ア?ああ、実ハ……」

美子「」ハッ

美子「その制服、臨海……?」

ダヴァン「!?」

ダヴァン「……いかにもその通りデス。そこに気づくということは、アナタ達も麻雀部員でスカ?」

煌「はい。私達は新道寺女子の麻雀部員です!」

ダヴァン「なント……今日は麻雀部員によく会う日デス」

煌「?」

ダヴァン「いや、なんでもありまセン」

ダヴァン「ときにオタズネしたいのですが、この辺りにスーパーなどありませンカ?」

煌「スーパー、ですか……確かこの辺りにはありませんよね?」

美子「そうやね……見たことなか」

煌「コンビニで良ければありますが……」

ダヴァン「アア、そこはスーパーでなければならないのデス」

仁美「なんでまた」

ダヴァン「……ワケあって、安いカップラーメンを探しているのデス。コンビニは所詮定価であることは知っていマス」

美子「カップラーメン……」

煌「そうでしたか……それなら確かにコンビニでは良くないですね」

ダヴァン「そうなんデス」

仁美「ほほう……つまりラーメンが好きと?」

ダヴァン「そういうことデス。しかし昨今の政府がカップラーメンを値上げするという実にけしからん政策を掲」

仁美「スーパーは紹介してやれんでも、ラーメン屋なら旨いとこ知っとるばい」

煌「それはすばらです!是非招待して差し上げましょう!」

ダヴァン(話が遮らレタ……しかも別の方向に進んでいまスカ)

ダヴァン「エー、お気持ちは有難いでスガ……」

仁美「早速行くか。ちょうど腹も減ってるし」

煌「そうしましょう!」

仁美「ちょい待ち、先にクレーンや」

煌「ありゃ」

美子「そこは最優先なんやね……」

ダヴァン「アノ……」

仁美「クレーンゲームやりに行くけん、ついてき」

ダヴァン「そうでスカ……」

煌「一緒に楽しみましょう!友好の輪が広がるのはすばらです!」キラキラ

ダヴァン(完全にペースを握られてまスネ……)

ダヴァン(まあ……他にあては無いわけですしここは身を任せてみまスカ)

すいません、今日はこれで止めます……
続きは明日以降書きます

仁美「ここやね」ザッ

ダヴァン「オオ……台がたくさんありマス。台の中には色々な人形が揃ってまスネ。私はあまりこういうところには来ないから新鮮デス」

仁美「そうと。でも」スタスタ

煌「私達はもっぱらお菓子台メインですね!」ピタッ

ダヴァン「……!」

ダヴァン「これはすゴイ……」

煌「私も初めて見たときは驚きました。こんなにも大量のお菓子が取り放題だなんて夢のようですから!」

仁美「ばってん、現実は甘くなか」

美子「なかなか取れんとよね」

仁美「ひとまずやってみんさい」

ダヴァン「わ、私ガ……?」

仁美「お手並み拝見や」

ダヴァン「……良いでしョウ」



チャリーン



ダヴァン(とは言うものの、やったことが無いから勝手がよく分からないでスネ……)

ダヴァン「……この辺でスカ」ウイーン



ポロッ



ダヴァン「オオ……」

煌「惜しい!」

仁美「まあまあやね。ま、とれんなら意味ないとやけど」

美子「辛口やね……」

ダヴァン「ウウム……」

仁美「次は私がやるけん」

ダヴァン「お願いしマス……」

…………

……



煌「江崎先輩……そろそろ止め時では無いでしょうか……」オロオロ

仁美「ぐぐぐ……」


美子「全然取れんね……」

煌「今日はクレーンの力が弱い気がしますね……」ウーン

ダヴァン「なるほど……歴戦の手練でもこのような状況に陥る程のゲームなのでスネ……奥が深いデス」

美子「良い人で良かったね。煽られずに済んだやん」

仁美「ぐ……」

仁美「……なんもかんも政府が悪い!」

ダヴァン「!」

ダヴァン「その通りデス!」

仁美「!?」ビクッ

ダヴァン「素晴らしい日本のカップラーメンの価格をこともあろうに釣り上げ、我々を苦しめようとする日本の政府、許すまじデス!」

煌「ね、熱の入り方がすばらです……」ポカーン

美子「それほどカップ麺が好きなんやね……」

仁美「……」

仁美「そうや!全ては政治が悪い!」

ダヴァン「オオ!」

仁美「私は良い同志に出会えたのかも知れん。例え目的は違っても、共通の敵がいるのは良かね」

ダヴァン「私も、今のこの状況は日本の政府が悪いということが明確になって胸がすく思いデス」

ダヴァン「道を示してくれて感謝しマス。改めまして、私の名前はメガン・ダヴァン。アナタハ?」

仁美「私は江崎仁美。仁美で良かよ」

ダヴァン「ヒトミ。我々はどうすべきでしょウカ」

仁美「ま正直、政治が悪いとは言っても私らにはどうすることも出来ん」

ダヴァン「やはりそうでスカ……」ガクッ

仁美「私が出来ることは、あんたに福岡の本格的なラーメンをご馳走してやること位やね」

仁美「てなわけで行こうや。時間も限られとるけん」

煌「そうですね!クレーンとの激闘でお腹も空きましたし」

美子「確かに、そろそろ時間危ないもんね。行くなら今かも」

ダヴァン「そうでスカ……」

ダヴァン「それは期待しマス!」

仁美「ここや」

ダヴァン「オオ……とんこつの匂いが凄いデス」

美子「うちらはとんこつが基本やからね」

仁美「そういうことやけん」

煌「恥ずかしながら私は福岡の出身では無いのですが、ここに来てからというものとんこつラーメンの虜になりました!」

煌「きっと気に入って頂けるかと!」キラキラ

ダヴァン「なるホド……」



オマチドオー



仁美「では」


一同「いただきます」


ズルズル


ダヴァン「……!」

ダヴァン「こレハ……!」

仁美「うまいやろ?」

ダヴァン「この濃厚な味わい……そして細ストレート麺……」

ダヴァン「まさにドンピシャリデス!」

仁美「やろ?」

美子「良かった」ホッ

煌「分かって頂けると信じていました……!」

ダヴァン「これが本場のとんこつラーメンなのでスネ!」パァァァ

ダヴァン「病みつきになってしまいそうデス……私はカップラーメンを求めてここまで来ましたが、ソレ以上のものを知ることが出来まシタ!」

仁美「喜んで貰えたなら良かったったい」

仁美「というか、本当にカップラーメンの為に福岡に来たと?」

ダヴァン「来る手段を手に入れたのは偶然でスガ……安いカップラーメンを求めて行動した結果ここまで辿り着いたというところでスネ」

仁美「まじや……」

美子「青春やね」

煌「どこまでもまっすぐな情熱……すばらです!」

ダヴァン「カップラーメンは見つけられていませんが、本場の味というものを味わえて良かったデス。これだけで来た意味がありまシタ!」

仁美「この味を知ったからにはもうカップラーメン食えんことなっとるけん」フフッ

ダヴァン「それは困りまスガ……有り得そうで怖いデス」アセアセ

美子「そろそろ時間やね」

煌「そうですね!戻らないと」

ダヴァン「そうでスカ。少ない時間をありがとうございまシタ」ペコッ

美子「いや、誘ったのはうちらやけん」アセアセ

煌「こちらこそありがとうございました!素敵な時間を過ごすことが出来ました!」キラキラ

仁美「そういえば、帰りはどうすると?」

ダヴァン「アア、実は考えていまセン」

仁美「おお」

美子「侠気やね……」

仁美「まあ、さすがにそれはどうすることも出来んけん、気をつけや」

ダヴァン「ハイ。ありがとうございマス」

仁美「ああ、連絡先教えとってくれん?」

ダヴァン「!」

ダヴァン「ロンオブモチ!」サッ

ダヴァン「アラ……携帯の電池が切れてマス」

仁美「おお」

ダヴァン「でも自分の番号は覚えているので大丈夫デス」

ダヴァン「今から言いますが良いでスカ?」

仁美「ああ、ちょい待ち。そのままワン切りするけん」サッ

仁美「よかよ」

ダヴァン「ハイ」

ダヴァン「------デス」

仁美「……よし。登録しとくけん。この時間の着歴私やけん」

ダヴァン「ありがとうございマス!」

仁美「こちらこそ」

ダヴァン「……インターハイ、是非出てきてくだサイ。そこでまた会えるでしョウ」

仁美「あいよ」

美子「うん」

煌「はい!」

ダヴァン「ではマタ。良い思いが出来まシタ」スタタタタ

…………

……



仁美「……行ったか」

美子「熱心な人やったね」

仁美「ああ。いつか奴と組んで政府に一泡吹かせないけん」

美子「ふふっ」

美子「ひとまずうちらも行こ」

仁美「そやね」

煌「行きましょう!」

今日はここで止めます
遅くてすいません……

ダヴァン「さて、どうしましョウ……」

ダヴァン「何も考えずにここまで来てしまいましタガ、この状況は確かにまズイ」

ダヴァン「どうやって東京まで戻ればいいンダ……しかも目的は未だ果たせていナイ」

ダヴァン「困りましタネ」ウーン



??「おや、あなた臨海のダヴァンさんだね。こんなところでどうしたんだい」

ダヴァン「……?」ハッ

ダヴァン「アナタハ……」


トシ「ああ、申し遅れて済まないね」

トシ「私は熊倉と言ってね。岩手の学校で監督をしている」

ダヴァン「ア……た、確か福岡の実業団で監督をされてイタ……」

ダヴァン「こんなところでアナタのようなお方に出会えるトハ……」アセアセ

トシ「そんな構えなくても良いよ」

トシ「ところで、臨海は福岡に遠征かい?臨海の対外試合期間は終了していると見ていたんだけどねえ」

ダヴァン「イエ、ここにいるのは私だけデス」

トシ「そうなのかい?なんでまた」

ダヴァン「実ハ……」



トシ「そんな理由でこんなところまで来たのかい!?」

ダヴァン「エエ。私もつい夢中になってしまッテ……」

トシ「そうかい。若さだねえ……」

トシ「だけど、高校生がたった一人でこんな知らない土地まで来るものじゃないよ。私が東京まで連れ添うから少し一緒にいなさい」

ダヴァン「え……いいんでスカ?」

トシ「もちろんさ。但し、私と行動を共にしてもらうよ。私も私で用事があるもんでね」

ダヴァン「帰れるのなら何も問題ありまセン!」

トシ「そうかい。日曜の夜に東京に着くことになるけどそれまで時間あるかい?」

ダヴァン「エエ。全く問題なしデス!」キリッ

トシ「そうかい。それは良かった」

ダヴァン「なんとお礼を申せばいイカ……本当にありがとうございマス」ペッコリン

トシ「いいんだよ。こんな状況を放っておけるわけないだろ」

トシ「じゃ早速行動開始するよ」

ダヴァン「あの、ちなみに用事とはどうイウ……」

トシ「そうだね。言っておかなきゃならないね」

トシ「実は今日と明日、福岡の新道寺女子の試合を見るためにここまで来ているんだ」

ダヴァン「そうなんでスカ?そのメンバーには先ほど会いまシタ」

トシ「そうなのかい?」

ダヴァン「ハイ。福岡本場のとんこつラーメンというモノを教えて貰いまシタ。あれは良いものデス。あの味を知れただけで、ここに来る意味は十二分にありまシタ」キラキラ

トシ「そ、そうかい……」

ダヴァン「エエ。それに、素晴らしい出会いもありまシタ。出来ればまた来たいと考えてマス」

トシ「そうかい。若いっていいねえ」

ダヴァン「そういうものでスカ」

トシ「まあ、ねえ。それで話の続きなんだけど」

ダヴァン「ハイ」

トシ「彼女達は今日、地元の高校と練習試合をした。そして明日は他県に遠征して試合するんだ。前乗りで移動するために博多まで出てきているんだね」

ダヴァン「そうだったんでスカ。そういえば時間に焦っている様子でシタ……そういうことだったんでスネ」

トシ「そう。そして私達も急がなきゃね。あんたのチケットを押さえないといけないからね」

ダヴァン「なるホド。行き先はどこなんでスカ?」

トシ「沖縄だよ。もちろん諸費用は私が持つよ、教師が高校生からお金をとるはずが無いからねえ」

ダヴァン「お、オキナワ!?またそんな長距離イド……」

ダヴァン「」ハッ

ダヴァン「いや、私には何も言う権利はありまセン。予定がある中私をわざわざ東京まで戻して頂けるのですカラ……」

ダヴァン「目的も行き先も把握しまシタ。すいまセン、宜しくお願いしマス」ペッコリン

トシ「まあそういうとこだよ。とにかく空港に向かうよ」

ダヴァン「ハイ!」

トシ「ふう、どうやらチケットは押さえることが出来たよ」

ダヴァン「そうでスカ。ありがとうございマス!」

トシ「ついでにホテルに電話して部屋も押さえた。これで一安心だよ」

ダヴァン「良かったデス……ン?」


ゾロゾロ


トシ「新道寺女子のメンバーだね」

ダヴァン「オオ……」

ダヴァン「すいまセン、少し挨拶してきても良いでしょウカ?」

トシ「いいよ。同じ便だしね」

ダヴァン「ありがとうございマス!」タタッ


美子「明日は試合したらすぐ帰らんといけんとよね?」

哩「そうやね」

姫子「せっかく沖縄いくなら観光したかったとです……」

仁美「なんもかんも監督が悪い……」

煌「まあまあ」ハハハ


ダヴァン「どうも、皆サン」ザッ

煌「ダヴァンさん……!」

仁美「おおう……どうしたと?こんなところで」

ダヴァン「実は訳あって、私もオキナワに行くことになりまシテ」

仁美「そうなん?」

美子「それはまたすごい「訳」やね……」

煌「なんという行動力でしょう……!」

ダヴァン「試合頑張ってくだサイ」

仁美「あれ、あんたにその事ゆったとやっけ?」

ダヴァン「イエ。あの後熊倉サンという方に助けて頂いて、その方に聞きました。どうやらその方は新道寺女子の試合を観戦するために動いているらしいデス」

美子「あ、そういえばさっきの試合もおらしたね。沖縄まで来るんやね……」

煌「私達がマークされているんですかね……」

仁美「ま、関係ないやろ」

煌「……そうですね!私達の麻雀をするだけです!」

ダヴァン「では私はこレデ。向こうでも話す機会があれば良いでスネ!」タタッ

仁美「そうやね」


哩「なあ、今話しとったの臨海のメガン・ダヴァンとやなかった?」

煌「そうです!ご存知だったんですね」

哩「有名やしな。それで一体どういう関係なん?いつ知り合ったと?」

仁美「まあ、政府に立ち向かう同志というか」コホン

煌「クレーンゲームとラーメンが引き寄せたすばらな出会いです!」

哩「そ、そうたいね……」
哩(一体何があったとや……)

キーーーン


ダヴァン「オキナワに着きましタネ」

トシ「そうだね」

トシ「今日はもう遅いからすぐにホテルに向かうよ。それと明日の試合、一緒に見ることにしようか」

ダヴァン「ハイ!すべてお任せしマス」

トシ「はいよ」


…………

……




ダヴァン「フウ……」ボフッ

ダヴァン「ホテルまで取って頂イテ……熊倉サンには感謝してもしきれまセン」

ダヴァン「さて、早速スーパーの調査……と行きたいところでスガ」

ダヴァン「ここに来るまでの道のりの中でそれらしい建物は見当たりませんでシタ……下手に動いて迷子になったらコトですし、ここは一旦様子を見まスカ」

ダヴァン「それに……サスガに疲れましたシネ。少し休むのもいいかも知れまセン」ウト

ダヴァン「そうか、明日試合を見るなら、現地の人に聞いてみるのも、いいかも……」ウトウト

ダヴァン「しれないで……スネ……」ウトウト

ダヴァン「……」スースー

ダヴァン「」スースー


…………

……

チュンチュン


ダヴァン「……」スースー

ダヴァン「!」ハッ

ダヴァン「」ガバッ

ダヴァン「オウ、本当に寝てしまっていましタカ」

ダヴァン「もう朝なんでスネ……」

ダヴァン「とりあえずロビーに出てみまスカ。水が飲みたいデス」


トシ「起きたかい」

ダヴァン「おはようございマス」ペコッ

トシ「昨日はぐっすりだったみたいだね」

ダヴァン「エエ……」

トシ「準備は出来てるかい?」

ダヴァン「あ、すいまセン。まだデス……急いで準備してきマス!」

トシ「まだ時間あるからゆっくりで良いよ。ここで待っているからね」

ダヴァン「分かりまシタ!」


スタスタスタ

ダヴァン「完了デス!」

トシ「よし、じゃあ出発しようか」

ダヴァン「ハイ!」


…………

……




新道寺「宜しくお願いします!」

真嘉比「よろしくお願いします!」


ダヴァン「しかし二日もかけて観戦するとは熱心なモノでスネ。新道寺は九州の強豪ということは知っていまスガ……そこまでする必要があるのでスカ」

トシ「その辺りの話はするわけにいかないねえ。そこに関しちゃあんたは敵ってことになるからさ」

ダヴァン「そうでスカ」

ダヴァン「なにやら戦略的な部分がおあリデ……」

トシ「まあ、そういうことになるかね」



??「ツモ!」



ダヴァン「オウ、相手方にもなかなかやるプレイヤーがいるようでスネ」

トシ「そうだねえ」

ダヴァン「……!」

ダヴァン(イヤ、というよりあレハ……)

ダヴァン(なるホド……どうやらマークしに来たのは新道寺だけでは無い、というコトでスネ)

新道寺「ありがとうございました!」

真嘉比「ありがとうございました!」


トシ「終わったか……私の用事はこれで終わりだよ。付き合わせて済まなかったね」

ダヴァン「とんでもナイ。こちらは感謝の念しかないというノニ」

ダヴァン「……ところで、飛行機の時間まであとどれくらいなのでしょウカ」

トシ「実は少し時間があるんだよ、そんなに急ぐ必要も無いと思ってね。新道寺さん方はすぐ帰るみたいだけどね」

ダヴァン「そうでスカ」

ダヴァン(新道寺の帰りの予定まで抑えているのでスカ……いったいどうやって情報を仕入れたのでしョウ)

ダヴァン「そうであれば、少しだけ時間を頂きたいのですが宜しいでしょウカ。私の目的達成の為ニ」

トシ「ああ、構わないよ。ここからホテルまでの道のりは覚えているかい?」

ダヴァン「ハイ。覚えていマス」

トシ「それは助かるねえ。それならそこに2時間後に集合ということで良いかい?」

ダヴァン「ハイ。問題ありまセン」

ダヴァン「……ワガママを言ってすいまセン。ちょうど地元の人間がそこにたくさんいるので、この辺りのスーパーについて少し調査したいと思いまシテ」チラッ

トシ「!」

トシ「……良いんだよ。ちょうど時間があるんだし」

ダヴァン「すいまセン……ありがとうございマス!」

ダヴァン「では行ってきマス」スタスタ

トシ「気をつけな」


トシ(どうやら接触したい相手がいるように見えたねえ……)

トシ(まあ……他県の強豪プレイヤー同士の触れ合いも悪くない、かねえ)


スタスタスタ


ダヴァン(……面白いでスネ。昨日今日と本当に様々な出会いがありマス)

ダヴァン(サテ……)キョロキョロ

ダヴァン「……いたイタ」


??「……」スタスタ

ダヴァン「ニライカナイ」

??「?」クルッ

??「誰……?なんであたしを知ってるの?」

ダヴァン「昨年個人戦六位、真嘉比の銘苅といえば有名だと思いまスヨ」

??「ほんとね?それは光栄だなー」ニコッ

銘苅「いかにも、あたしは銘苅!ニライカナイって呼ばれるのはちょっと恥ずかしいからメカルって呼んでくれると嬉しいんだけど……そういうあなたはどちらさま?」

ダヴァン「私は臨海女子高校のメガン・ダヴァンデス。以後お見知りおきくだサイ」

銘苅「あっ、臨海か!はあはあ、あの強いとこだよね?すごい、日本語りゅうちょうだねー」

ダヴァン「エッ……ええ、マア……」

ダヴァン(なんだかまた向こうのペースになってしまいそうデス……でもまあここカラ)

ダヴァン「メカル」オォォォォ

銘苅「!」ビクッ

銘苅「な、なんね……いきなり怖い雰囲気出してきて」

ダヴァン「……」オォォォォォ

ダヴァン「……」

ダヴァン「この辺りの安いスーパーを教えて頂きタイ」

銘苅「」ズルッ

銘苅「いや別にいいけど、なんでスーパー?」

ダヴァン「私には目的があるのデス……安い価格でカップラーメンを求めるという目的ガ!」

銘苅「そうなんだー。臨海って東京だったよね?東京は高いの?」

ダヴァン「つい最近政府により値上げが遂行されまシタ……今では130円から140円は当然デス」

銘苅「あっ、じゃあこっちも大して変わらんはずよ。120円とかじゃなかったかな?たぶん」

ダヴァン「充分じゃないでスカ……私は少しでも安く手に入れタイ!」

銘苅「はえー貪欲だね!なんで、ラーメン好きなの?」

ダヴァン「そうデス。日本のラーメンはまさにムゲン。私はすっかりそれにハマってしまッタ」

ダヴァン「ラーメンを追い求めるあまりに巡り巡って私は今日この地にいるのデス。故に何としても手に入れなくてはならナイ」

銘苅「そうなんだ、すごいなー」

銘苅「ってか、ちょうどお昼時だしお腹空いたね」

ダヴァン「あ、アア、確カニ……」

銘苅「じゃあせっかくだからどっか紹介しようねー、どこがいいかなー」ウーン

銘苅「!」

銘苅「あい、じゃあいいとこ教えるさ。ラーメンじゃないけど」

ダヴァン「えっ」

ダヴァン(ラーメンじゃ、ナイ……?今のくだリデ?)

ダヴァン「ちょっと待ってくだサイ。ラーメンでは無いのでスカ?」

銘苅「大丈夫大丈夫ぜったい気に入るから!たぶん」

ダヴァン(絶対なのに多分でスカ!?)

銘苅「はい、じゃあ早速いこう」ガシッ

ダヴァン「ちょ、ちょット……」ズルズル

ダヴァン(大丈夫なのでしょウカ……)

ダヴァン(しかし郷に入っては郷に従えと言いまスシ……私も会食にラーメンを強要するなんて虫がよすぎるのかも知れまセン)

ダヴァン(しょうがないでスネ……フクオカ同様完全に相手のペースでスガ、フクオカ同様身を任せてみまスカ!)

すいません、ここで止めます
続きはまた早めに書きます

銘苅「ここここ!」ガララッ

ダヴァン「ここでスカ……何やら古めかしい建物でスネ……」

銘苅「いつもの二つで!」


ハーイヨー


ダヴァン「いつもの、で通じるんでスネ……」

銘苅「まあしょっちゅう来るからねー。すぐ出てくるからちょっと待っといてね」

ダヴァン「そうでスカ。行きつけがあるというのは良いことでスネ」

銘苅「自分の行きつけとかないの?」

ダヴァン「私は店で食べるよりもカップラーメンなり袋麺なりを自分で食べることが多いですかラネ……そういった店は持ちあわせていまセン」

銘苅「そうなんだー。いろいろ行ってみれば良いのに。東京とかだったら店豊富そうだし」

ダヴァン「まあ言われてみればそうなんでスガ……」ウーン

ダヴァン「……しかしそんな私も、先日素晴らしい出会いを果たしまシタ」

銘苅「そうなの?」

ダヴァン「エエ。この地に降り立つ前、私はフクオカに居まシタ。そこで出会ったとんこつラーメンの店、味。あれは素晴らしいモノでシタ。そうでスネ……行きつけというのであれば、あの店こそそうしたいと思いましタネ……」

銘苅「へえー、良かったさ!ってかなに、福岡から来たの?」

ダヴァン「エエ。正確には東京からオオサカ、フクオカと経由し今ここにいマス」

銘苅「移動しすぎ!」

ダヴァン「まあ色々ありまシテ……」

銘苅「はあー、すごいね……ラーメンにかける情熱ってやつ?」ニヤニヤ

ダヴァン「ウーン……まあそうでスネ……そういうことになりマス」

銘苅「あいや、そんなにあれなら普通にラーメン屋紹介すれば良かったかな」アセアセ

ダヴァン「エッ、それは可能だったのでスカ!?」

銘苅「いやごめんごめん、さっきはそこまで情熱溢れてるって気づけなかったから……」アハハ

ダヴァン「なんとイウ……」

銘苅「でもこの店も絶対行きつけにしたいと思うはずよ!たぶん」

ダヴァン「ほんとでスカ……?」ジトーッ

銘苅「ほんとほんと」アセアセ

ダヴァン「ハア……しかしこの店はラーメン屋では無いのですヨネ?一体どうイウ……」

銘苅「それは食べてのお楽しみ」ニヤッ

銘苅「あっ、きたきた!」

ダヴァン「……!」

ダヴァン「こレハ……」

ダヴァン「麺でスネ」

銘苅「そ。「ソーキそば」ってやつ」

ダヴァン「ソーキソバ、でスカ……」

銘苅「うん。とりあえず食べてみて」

ダヴァン「ハイ……」ズルズル


ダヴァン「……!!」


ダヴァン「こレハ……ウマイ!」

ダヴァン「程よくこってり寄りの味、ちぢれた麺がマッチしていマス」ズルズル

ダヴァン「……」ゴクゴク

ダヴァン「スープも美味しいデス」パァァァ

ダヴァン「この肉は何の肉でスカ?」

銘苅「豚の肉!それが「ソーキ」ね」

ダヴァン「ホウ……」モグモグ

ダヴァン「……!」

ダヴァン「これも美味いデス!」

銘苅「良かったー、ちゃんと口に合ってくれるか内心ドキドキだったってば」エヘヘ

ダヴァン「こんな食べ物があるんでスネ……!」

銘苅「いちおう麺つながりだしね」

ダヴァン「すゴイ……感動デス!」

ダヴァン「私はこれまで日本の「ラーメン」がムゲンだと思っていまシタ。しかしそれは誤りだったのかも知れまセン……ラーメン以外にもこんなに素晴らしい食べ物があるのでスネ!」

銘苅「いっぱいあるはずよー。あ、でもこれは東京じゃあんまり食べるとこないかも」

ダヴァン「なんでスト!?」

銘苅「あるにはあるはずだけど、そんなにないんじゃないかなー」

ダヴァン「そンナ……」

ダヴァン「思い返せばフクオカでもそうデス。せっかく出会ったのに、ただ別れるしか道は無いというのでスカ……!」

銘苅「そっか、あたしはしょっちゅう食べれるからあんまり実感ないなー……」

銘苅「!」

銘苅「そうだ」ガタッ

ダヴァン「……?」


アリガトネー


銘苅「はい、これ」サッ

ダヴァン「こレハ……?」

銘苅「いちおう今のそばのインスタント版。今のやつほど美味しいかはわかんないけど、まあ何もないよりはいっかなーって」ニカッ

ダヴァン「……良いのでスカ?頂イテ」

銘苅「もちろん!ラーメン紹介しなくてごめんなさいなんだけど」エヘヘ

ダヴァン「メカル……」

ダヴァン「……」

銘苅「?」

銘苅「どうしたの」

ダヴァン「イヤ……」

ダヴァン「少しだけ悲しいのデス。この「ソーキソバ」、とても美味しかった。願わくばこの店も行きつけとしタイ。しかし、それは叶わナイ。私は帰らねばなりませんカラ。当然デス」

ダヴァン「それが悲しいのデス……」

銘苅「うーん……」

銘苅「大丈夫、そしたらまた来ればいいさ!」

ダヴァン「……?」

銘苅「ちょくちょく旅行がてら来たらいいさ。途中は福岡寄ってそのラーメン屋行って、その後この店にも来る!」

銘苅「なんだったらあたしも付き合うさ」カラカラ

ダヴァン「か、簡単に言いまスガ……」

ダヴァン「……」

ダヴァン「まあ、そうかも知れませンネ」フフッ

ダヴァン「何も今生の別れというわけでは無いのですかラネ」

ダヴァン「……分かりまシタ。いつかまたここに来ることを今後の楽しみとしましョウ」

銘苅「うん!それがいい」

ダヴァン「……」

ダヴァン「そろそろ時間デス。行かなくてはならナイ」

銘苅「そっか……とりあえず店出ますか」


アリガトウゴザイマシター


銘苅「ありがとうね!いろんな話が聞けて楽しかったさ」ニコッ

ダヴァン「こちらコソ、新たな出会いを与えてくれてありがとうございマス」

ダヴァン「アナタ、インターハイは出まスカ?」

銘苅「うーん、県予選勝ち抜けるかわからんなー」

ダヴァン「勝ち抜いて来てくだサイ。そして全国でまた会いましョウ」

銘苅「!」

銘苅「うーん、約束はできんけど……」

銘苅「まあ、頑張るさ!そしたらこのインスタント麺たくさん持ってこようね」ニヤッ

ダヴァン「ン、それは嬉しいでスネ。この量では恐らく簡単になくなりマス」フフッ

銘苅「……」

ダヴァン「……」

ダヴァン「……では、また会いましョウ!」

銘苅「うん!」




ダヴァン「すいまセン……少し遅くなってしまったでしょウカ」ハァハァ

トシ「そんなことないよ。それじゃ空港に向かおうか」

ダヴァン「ハイ……」

キーーーン



ダヴァン「……」

トシ「どうしたんだい?元気なさそうじゃないか」

ダヴァン「イエ……」

ダヴァン「別れというものが少し寂しく感じてでスネ……」

トシ「……」

トシ「短い時間だっただけに、余計濃密だったのかも知れないねえ」

ダヴァン「そうでスネ……」

ダヴァン「それに、冷静になって分かったのでスガ、本来の目的である「安いカップラーメンの入手」が全く果たせていまセン。東京に戻ったらまた価格の高騰したカップ麺を目の当たりにしないといけナイ、というのが二重に苦しいのデス……」

トシ「ああ、結局買えなかったのかい」

ダヴァン「まあ、自業自得といえばそうですけドネ」フフッ

ダヴァン「ただ、良い出会いがあったことの方が私にとって大きいデス」

トシ「そうなのかい?」

ダヴァン「エエ。フクオカでは最高のとんこつラーメンに出会いまシタ。オキナワの「ソーキソバ」は日本はラーメンだけでは無いということを教えてくれまシタ」

ダヴァン「私はまたいつかあの地に降り立ち、あの店に行こうと決めまシタ。そんな出会いがあっただけで、ここまで来て良かったと思えまスネ」

トシ「ふむ……」

トシ「それは良かったね。この時期の出会いというのは心に残りやすい。大切にするんだよ」

ダヴァン「そういうものでスカ」

トシ「そういうものさ」フフッ

トシ「でも、東京に戻ったら高いカップ麺だらけなのは困りものだねえ」

ダヴァン「そうなんデス……」

トシ「うーん……」


トシ「よし。それなら向こうに着いたら私がダヴァンさんにひとつ紹介してやろうかね」

ダヴァン「エッ!」

ダヴァン「東京に安いカップラーメンがあるというのでスカ!?」

トシ「いやいや違うよ」アセアセ

トシ「ただ、沖縄での出会いじゃないけど、日本はラーメンだけじゃないってことさ」

トシ「東京に着いたらちょうど夕飯時だからね。ちょうど良いだろう」

ダヴァン「い、一体どうイウ……」

トシ「まあ、期待して待っているんだよ」

…………

……





ゴォォォォォ


ダヴァン「東京に着きましタネ……」

トシ「長旅ごくろうさん」

ダヴァン「まずはお礼を言わせてくだサイ。熊倉サン、本当にありがとうございマス。アナタが手助けしてくれなけレバ、私はここに辿り着けていたかわからナイ」

トシ「いやいや、そんなの当然のことさ。保護する立場として見過ごせるわけが無いからねえ」

ダヴァン「本当に、ありがとうございマス!」ペコッ

トシ「いいんだよ」ニコッ

トシ「じゃあ機内で話してたこと、早速向かおうか。少しだけ時間あるかい?」

ダヴァン「私は大丈夫でスガ……熊倉サンは大丈夫なんでスカ?」

トシ「大丈夫だよ。新幹線だしね、一本くらいは逃してもどうにかなるのさ」

ダヴァン「そうなんでスカ?」

ダヴァン(このお方も逞しいところがありまスネ……)

トシ「さ、こっちだよ」スタスタ

ダヴァン「ハイ……」スタスタスタ

トシ「ここさ。まあ座りな」

ダヴァン「……失礼しマス」スチャ

ダヴァン「何というか、和風な感じがしまスネ。私は和風がどういうものかはっきり分かっていませンガ、きっとこういう雰囲気のことを言うのでしょウネ」

トシ「察しが良いじゃないか。さすがだねえ」

ダヴァン「い、イヤ……」

トシ「移動に次ぐ移動だったからねえ。きっと美味しいはずさ」

ダヴァン「そこデス。ここでは一体どういう食べ物が出てくるのでスカ?」

トシ「そうだねえ。日本ではとても親しまれている。そういう意味ではラーメンももちろんそうなんだけど、こっちの味もきっと気に入ってくれるはずさ」

ダヴァン「そうでスカ……」

トシ「ほら、来たよ」

ダヴァン「こレハ……」

トシ「うどん、さ」

ダヴァン「ウドン……!」

ダヴァン「話には聞いたことがありマス……」

トシ「そうかい。まあ食べてみてごらん」

ダヴァン「ハイ……」

ダヴァン「頂きマス」ズルズル


ダヴァン「……」

ダヴァン「……」ズルズル

ダヴァン「……」ハフハフ

ダヴァン「……」ゴクゴク

ダヴァン「……」ズルズル

トシ「どうだい?」

ダヴァン「……」ピタッ

ダヴァン「……凄く、優しい味デス。すいまセン。食べることに集中してしまっていまシタ」

トシ「いいんだよ。こっちとしても嬉しいよ」

ダヴァン「……とても染みてきマス。いつまでも食べていタイ」

トシ「そうかい」ニコッ

ダヴァン「……」ズルズル

ダヴァン「……」ゴクゴク

ダヴァン「……」タンッ

ダヴァン「ごちそうさまでシタ」

トシ「お腹すいてたんだねえ」

ダヴァン「イエ。あまりの美味しさについ夢中になッテ……」

トシ「良かったよ。美味しいと思ってくれて」

トシ「さて、私も食べ終わったし出ようか。もう一箇所行くところがあるからね」

ダヴァン「そうなんでスカ?」

トシ「まあついておいで」

ダヴァン「ハイ……」

ダヴァン「……ごちそうさまでシタ!」

すいません
今日はこれで止めます
続きは明日以降書きます

トシ「」スタスタスタ

ダヴァン「……」スタスタ


トシ「着いたよ」

ダヴァン「ン……こコハ……」

ダヴァン「……スーパーではないでスカ?」

トシ「そうだよ」

ダヴァン「ここに何が……まさか安いカップラーメンガ?」

トシ「残念ながらカップラーメンは多分高いよ。それではなくね……」スタスタスタ

トシ「これさ」ヒョイッ

ダヴァン「これは、ウドンでスカ」

トシ「そうだよ。注目するのは値段さ」

ダヴァン「?」

ダヴァン「……!」

ダヴァン「安イ!カップラーメンよりだいぶ安いではないでスカ!」

トシ「そうだよ。流石にさっき入った店より味は落ちるだろうけど、これならカップラーメンの代わりになるかも知れないと思ってね」

ダヴァン「オオ……」

ダヴァン「……素晴らシイ!このようなことがあるトハ」

ダヴァン「熊倉サン、感謝しマス!私これでガゼン気力が湧いてきまシタ!」

トシ「そうかい。それは紹介して良かったってものさ」

ダヴァン「熊倉サン、アナタには感謝してもしきれまセン……本当にありがとうございマス!」

トシ「良いんだよ。うちと当たった時手加減してくれたら嬉しいけどねえ」

ダヴァン「それは出来まセン」キッパリ

トシ「冗談だよ」フフッ

ダヴァン「本当ですヨネ……」ジトーッ

トシ「本当さ」アセアセ

トシ「……さて、そろそろ行かなきゃねえ。ここからは一人で帰れるかい?」

ダヴァン「ロンオブモチ、デス!」

トシ「そうかい。それは良かった」

ダヴァン「ここでバッチリ買い込んでおきマス!ウドン、最高デス!」

トシ「たぶんどの店でもそれ位の値段だと思うよ」

ダヴァン「そうなんでスカ?なおよろしデス!」

トシ「そうさ。じゃあ、行こうかね」

ダヴァン「熊倉サン。ありがとうございましタッ!」ザザッ



ダヴァン「フウ……」ガサガサ

ダヴァン「たくさん買い込んでしまいまシタ。少し重いデス……」

ダヴァン「しかし、正に新たな発見デス。革命と言ってもいいかも知れまセン」

ダヴァン「旅の報告も兼ネテ、この衝撃は明日早速サトハに報告でスネ!」ニコニコ

……

ダヴァン「サトハ!」ガラッ

智葉「……メグ」

ネリー「あっ、来た」

ダヴァン「私はどうやら新たな境地に辿り着くことが出来まシタ!それは「ウドン」デス!」

ダヴァン「縁あって、この土日で私は東京からオオサカ、フクオカ、オキナワと動きまわりまシタ」

ダヴァン「道中では様々な出会いがありまシタ……そして様々な味がありまシタ。とんこつラーメン、ソーキソバ、どれも素晴らしいモノでシタ」シミジミ

ダヴァン「しかしここ東京に戻ったとき、私は「ウドン」というモノに出会いまシタ」

ダヴァン「あのような素晴らしい日本の味があろうトハ……私はまだまだ勉強不足だったようデス」

ダヴァン「しかし今、私の心は晴れやかデス。出会えて良かったと素直に思えるのデス」

ダヴァン「ウドンとの出会いはそれほど衝撃的でシタ!この胸の高鳴りはどう表現すれば良いのでしョウ!」


智葉「ほう」

智葉「……それで」オォォォォォォ


ダヴァン「!?」ビクッ

智葉「うどんとの出会いの為に、私たちと組んでいた日曜日の予定はすっぽかしたと」

ダヴァン「……!?」

ダヴァン「い、イヤ……そんなつもりデハ……!」

ダヴァン(シ、しまッタ……!!)

ネリー「ちゃんとケータイ見たー?」

ダヴァン「で、電話をしたのでスカ?」サッ

ダヴァン「……!」

ダヴァン(着信履歴がサトハで埋まってイル……昨夜充電したきりロクに見ていなかったから気付かなかっタカ……!)

ネリー「っていうかカップラーメン探しにお金かかりすぎだよ」

明華「しかも成果物が変わってしまいましたか」ガラッ

ハオ「……」ガラッ

ネリー「おつかれー」

ダヴァン「ミ、皆サン……」アセアセ

ダヴァン「ス、すいませんでシタ……」

ダヴァン「サ、サトハ……アノ……」

智葉「構わないさ」

智葉「メグにとって良い出会いがあったのならな」オォォォォォォ

ネリー「うわー、サトハとても怒ってるねー」

ダヴァン「オゥ……」

ニュース『円安の影響は変わらず続いており、小麦粉や食用油などの原材料価格は下がる気配を見せません。カップ麺などにも影響が出ており……』



ダヴァン「フウウ……」ショボン

ダヴァン「私はなんということをしてしまったンダ……」

ダヴァン「約束を破るだなンテ……皆を悲しませてしまッタ……」

ダヴァン「……いけまセン」

ダヴァン「いけませンネ。反省しなくテハ」コポコポコポ

ダヴァン「……」

ダヴァン「……」

ダヴァン「……三分経っタカ」


ダヴァン「」ハッ

ダヴァン「しまッタ、つい癖でカップラーメンを用意していまシタ。ウドンも買い込んだというノニ」

ダヴァン「……まあ、良いでしョウ」

ダヴァン「……」ズルズル



ダヴァン「……ン!」

ダヴァン「ウマイ!」

ダヴァン「やはり日本のカップラーメンは最高でスネ!」



カンッ

終了です
様々反応頂き、ありがとうございました
ダヴァンが実はうどん嫌いなんて設定がもしあったらすいません

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