ベジータ「西の都花火大会だと……?」(27)

<カプセルコーポレーション>

ベジータ「それがどうしたというんだ、トランクス」

トランクス「パパ、一緒に行こうよ!」

ベジータ「下らん……」

トランクス「!」

ベジータ「そんなものに行くヒマがあったら修業しろ」

ベジータ「俺はお前を、悟飯や悟天を超える戦士に育て上げるつもりなんだからな」

トランクス「う、うん……」

ブルマ「連れてってあげなさいよ、ベジータ」

ベジータ「!」

ブルマ「たまには息抜きも必要よ。トランクスにも、あんたにも」

ブルマ「それに──」

ブルマ「働いてないんだから、せめて家族サービスの一つや二つ、してちょうだいよ」

ブルマ「でないと、今度からご飯少なくしちゃうかもよ?」

ベジータ「ち……」

ベジータ「まぁいいだろう。連れてってやる」

トランクス「ホント!? ありがとう、パパ!」

トランクス「やった、やったぁ~!」

トランクス「でっかい花火を百発も打ち上げるんだよ! 楽しみだなぁ~」

ベジータ「…………」

ベジータ(こんな風に喜ぶトランクスを見るのは初めてかもしれんな……)

ベジータ(不思議と……悪くない気分だ)

ベジータ(ふん……俺もすっかり穏やかになっちまったもんだぜ)

当日──

<花火大会会場>

ドヨドヨ…… ドヨドヨ……

ベジータ「客がどよめいてるな。いったいどうしたというんだ?」

トランクス「パパ!」

ベジータ「なにか分かったのか?」

トランクス「今、その辺の人から話を聞いてきたんだけど」

トランクス「なんでも火薬関係のトラブルがあって……」

トランクス「打ち上げ花火はやらないんだって……」

ベジータ「な、なんだと!?」

ベジータ「おいキサマ、花火を打ち上げないとはいったいどういうことだ!?」

係員「も、申し訳ありません……」

ベジータ「日時の延期などはしないのか?」

係員「それも今のところ、予定はありません……」

係員「なにしろ打ち上げ花火は場所を取り、天候にも左右されるので……」

ベジータ「くそったれぇ~!」

トランクス「仕方ないよ、パパ……」

トランクス「それに花火はなくとも屋台はやってるんだし、一緒に回ろうよ!」

ベジータ「いや……そうはいかん」

ベジータ「花火大会に来ておいて、花火がないというのでは収まりがつかん!」

ベジータ「お前はここで待っていろ、トランクス」

トランクス「どこに行くの、パパ!?」

ベジータ「ドラゴンボールを集めてくる」

ベジータ「花火大会終了までは時間がある。全力で飛ばせば間に合うはずだ」

トランクス「だったら俺も手伝うよ、パパ!」

ベジータ「よし、ついてこい!」

バシュッ! バシュッ!

<カプセルコーポレーション>

ベジータ「おい、ブルマ! ドラゴンレーダーを貸してくれ!」

ブルマ「えっ……どうして?」

ベジータ「早くしろ! 間に合わなくなっても知らんぞ!」

ブルマ「分かったわよ……ちょっと待ってて」

ベジータ「あ、あとトランクスの分も頼む。手分けした方がいいからな」

ブルマ「分かったわ。いざという時のために予備も作っておいてよかったわ」

ブルマ「はい、二人分のレーダーよ」

ベジータ「よし!」

トランクス「ありがとう、ママ!」

ブルマ「ところで、花火大会はどうなったの? もう終わったの?」

ブルマ「さっきトラブルがあったってニュースでやってたけど……」

ベジータ「いや……花火はこれからだ」

ベジータ「いくぞ、トランクス!」ボウッ!

トランクス「うん!」ボウッ!

バシュシュッ!

ブルマ(ドラゴンボールを集めて、いったいどうするつもりかしら……?)

そして──

トランクス「やったよパパ! 二個見つけてきたよ!」

ベジータ「よくやったトランクス。これも日頃のトレーニングの成果だ」

ベジータ「俺の五つと合わせて、これで七つ揃った!」

ベジータ「まだ花火大会の客は帰ってはいないはずだ……」

ベジータ「急ぐぞ!」

トランクス「うんっ!」

バシュシュッ!

<花火大会会場>

ザワザワ……

「楽しかったね~」 「でもやっぱり花火は見たかったなぁ」 「うん……」



ベジータ「キサマらァ!!!」



ザワッ……

「ビックリした~!」 「あのオッサンの声だ」 「なんなのいったい?」



ベジータ「これからキサマらに花火をプレゼントしてやる!」

ベジータ「だが、準備に少々時間がかかる……」

ベジータ「だから、少しだけ待っていろ! いいな!」

ベジータ「よし、始めるか」

ベジータ「出でよ神龍! そして、願いを叶えやがれ!」



ズオッ!!!



神龍「さぁ、願いをいえ。どんな願いでも三つ叶えてやろう」

ベジータ(デンデが三つにしたおかげで、“あれ”をやることが可能だ!)ニヤ…

トランクス(パパはいったいどんな願いを叶える気だろう?)ゴクッ…



「な、なんだありゃ!?」 「龍だ!」 「花火大会の催し物か!?」

ベジータ「確認しておきたいんだが──」

ベジータ「ずっと昔に死んだ者を生き返らせることは可能か?」

神龍「昔は一年以内でなければならなかったが」

神龍「今の神が願いをパワーアップさせたので可能だ」

ベジータ「よし……」ホッ…

ベジータ(これがダメだったら、ボール集めが無駄に終わるとこだったぜ)

ベジータ(デンデ……おまえがナンバーワンだ!)

神龍「……で、誰を生き返らせるのだ?」

ベジータ「めんどうだから、まずは一気に二つ分叶えてもらう」

ベジータ「俺がナメック星で殺したキュイを、この地球でよみがえらせろ!」

神龍「たやすいことだ」

トランクス(キュイって誰……!?)

パッ!

キュイ「え!?」

キュイ「あれ……俺はベジータに殺されたはず……!?」

ベジータ「よう、キュイ」

キュイ「ベ、ベジータ!? なんでお前が──」

ベジータ「いっておくがキサマとおしゃべりするつもりはない。黙って立っていろ」

キュイ「なにい……!?」

神龍「さぁ、残りの願いをいえ」

ベジータ「三つ目の願いは──このキュイを100体に増やしてくれ」

ベジータ「できるか?」

神龍「可能だ」

神龍「今の神はキュイとやらの強さを超えているからな」

ベジータ「よし、頼む!」

ベジータ(デンデめ、神殿でピッコロに鍛えられたようだな)



ズアッ!!!



キュイ「どういうことだ!? 俺がいっぱいになっちまった!」

キュイ2「なんだこれ!?」 キュイ3「どうなってんだ!?」 キュイ4「ええっ!?」

ザワザワ…… ザワザワ……

神龍「叶えたぞ。ではさらばだ」

バシュゥゥゥ……



「おお~」 「大きな花火だわ!」 「すげえ! たしかに今のはキレイだった!」



ベジータ(バカめ、花火はこれからだ!)

ベジータ「トランクス、危険だから少し離れていろ」

トランクス「うん!」ササッ

キュイ(なにがなんだかよく分からねえが──)

キュイ(この人数でかかれば、ベジータを倒せる!)

キュイ(ついでに周りにいる奴らも皆殺しにしてやる!)ニヤ…

キュイ「いくぞっ!」バシュッ

キュイ2「おう!」バシュッ

キュイ3「くたばれ、ベジータ!」バシュッ

キュイ4「うががーっ!」バシュッ

キュイ5「この人数なら負けはしねえぜ!」バシュッ



トランクス「パ、パパ! あのキュイってやつが向かってきたよ!」

ベジータ「心配いらん」

ベジータ「はあっ!」

ブオンッ!!!



キュイ「うわぁぁぁぁぁ~~~~~っ!」

キュイ2「ひええっ!」 キュイ3「なんだァ!?」 キュイ4「うおおっ!?」

キュイ(なんだ!? ベジータめ、なにしやがった!?)

キュイ(アイツが拳を振り上げただけで──)



トランクス(キュイって奴らが全員、空に飛ばされた!)

ベジータ「ようし……我ながらすばらしいコントロールだ」ニヤ…

ベジータ「はああああ……!」

ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!

ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!

ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!

ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!

ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!

ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!

ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!

ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!

ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!

ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!

キュイ「ぐえっ!」ボンッ キュイ2「ギャッ!」ボンッ キュイ3「うげっ!」ボンッ

キュイ4「あぎゃっ!」ボンッ キュイ5「ふぎゅっ!」ボンッ キュイ6「おげっ!」ボンッ

キュイ7「うがっ!」ボンッ キュイ8「ほげっ!」ボンッ キュイ9「ギェッ!」ボンッ

キュイ10「うっ!」ボンッ キュイ11「た、助け」ボンッ キュイ12「ひいっ!」ボンッ

キュイ13「ベジ……!」ボンッ キュイ14「!」ボンッ キュイ15「あばっ!」ボンッ

キュイ16「ち、ちくしょ」ボンッ キュイ17「ぐげっ!」ボンッ キュイ18「ごっ!」ボンッ

キュイ19「ぶぼっ!」ボンッ キュイ20「ぶるぁぁぁ!」ボンッ キュイ21「ばっ!」ボンッ

キュイ22「ゲボッ!」ボンッ キュイ23「ぶっ!」ボンッ キュイ24「おごぉっ!」ボンッ

キュイ25「いでえ!」ボンッ キュイ26「!?」ボンッ キュイ27「げべっ!」ボンッ

キュイ28「あべし!」ボンッ キュイ29「おえっ!」ボンッ キュイ30「あ!」ボンッ

キュイ31「いやん」ボンッ キュイ32「うぎゃあっ!」ボンッ キュイ33「無念」ボンッ

キュイ34「許して!」ボンッ キュイ35「やめろォ!」ボンッ キュイ36「ぼっ!」ボンッ

キュイ37「なんで」ボンッ キュイ38「ふざけっ!」ボンッ キュイ39「ぐわっ!」ボンッ

キュイ40「にゃっ!」ボンッ キュイ41「ばはっ!」ボンッ キュイ42「ぎょっ!」ボンッ

キュイ43「ワッ!」ボンッ キュイ44「ぐふっ!」ボンッ キュイ45「な……!」ボンッ

キュイ46「ぎにゅっ!」ボンッ キュイ47「じすっ!」ボンッ キュイ48「ばたっ!」ボンッ

キュイ49「ぐるどぉ!」ボンッ キュイ50「りくぅむ!」ボンッ キュイ51「びゃ!」ボンッ

キュイ52「はがっ!」ボンッ キュイ53「ぐぎょ!」ボンッ キュイ54「おのれ!」ボンッ

キュイ55「らめぇ!」ボンッ キュイ56「マジかよ!」ボンッ キュイ57「ぐっ!」ボンッ

キュイ58「えぇ!?」ボンッ キュイ59「待っ──」ボンッ キュイ60「ふぐっ!」ボンッ

キュイ61「いぎっ!」ボンッ キュイ62「HELP!」ボンッ キュイ63「ひゃあ!」ボンッ

キュイ64「おぶぅ!」ボンッ キュイ65「なんでやねん」ボンッ キュイ66「ひえっ」ボンッ

キュイ67「フリーザ様ァ!」ボンッ キュイ68「ぴっ!」ボンッ キュイ69「あらっ」ボンッ

キュイ70「ぱふぱふ」ボンッ キュイ71「ぐぁっ!」ボンッ キュイ72「ぎゃばっ!」ボンッ

キュイ73「我が生涯に」ボンッ キュイ74「一片の」ボンッ キュイ75「悔いなし!」ボンッ

キュイ76「わぶっ!」ボンッ キュイ77「ぎゃはっ!」ボンッ キュイ78「ううっ」ボンッ

キュイ79「母ちゃ……」ボンッ キュイ80「えへっ」ボンッ キュイ81「ぐぬ!」ボンッ

キュイ82「ふわっ!」ボンッ キュイ83「…………」ボンッ キュイ84「わわっ!」ボンッ

キュイ85「覚えてろ!」ボンッ キュイ86「やぶっ!」ボンッ キュイ87「びぇ!」ボンッ

キュイ88「くそぉ!」ボンッ キュイ89「ひでぶっ!」ボンッ キュイ90「ウボァー」ボンッ

キュイ91「キュイです」ボンッ キュイ92「ぎょわ!」ボンッ キュイ93「バカな!」ボンッ

キュイ94「苦しい!」ボンッ キュイ95「てめぇ!」ボンッ キュイ96「ぶばばっ!」ボンッ

キュイ97「ゲ!」ボンッ キュイ98「ぐっ……!」ボンッ キュイ99「あひゃ~」ボンッ 

キュイ100「ベジータ……お前に生き返らせてもらった数十秒間……」

キュイ100「悪くなかったぜ……」ボンッ

ワァァァァ……! ワァァァァ……!

「すっげぇ~!」 「花火百連発だ!」 「ありがとう、楽しめたよ!」

ワイワイ…… ガヤガヤ……



トランクス「すごいや、パパ! このためのドラゴンボールだったんだね!」

トランクス「花火を見にきた人たちが、みんな喜んでるよ!」

ベジータ「へっ!」

ベジータ「きたねえ花火だ」





~ 完 ~

終わりです

本当に辺り一面汚いことになってそうだな

へっ、汚ねえSSだ!
乙!

テンポ良いな

おつ

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