※孤独のグルメ×龍が如くです。
以下本文↓
8月某日 神室町にて
思ったより商談が長引いてしまった。まとめ買いしてもらえるのはありがたいが、
ホストクラブ相手というのはどうにも…。俺はあんな悪趣味な内装に見合う物は
扱っていないつもりなんだが。売り上げは別にして、この街で気持ちのいい取引が
出来たのは「スターダスト」が最後だ。店長は一輝と言ったか、センスもいいし、
気持ちのいい若者だった。お、噂をしていたら右手にあるのがそれか。
ユウヤ「あ、桐生さん!お疲れ様です。」
桐生「ユウヤか。店はどうだ?」
あのホストは見覚えがある。他の店のホストもこれぐらい礼儀がしっかりしていれば。
そういえば「セレナ」はこの店の向かい側だったが…もう無いようだ。
何度かいい取引をさせてもらったんだが。
それはそうと腹が減った。この街でゆっくり腰を据えることのできる店は無理そうだから、
せめて早くて量が多いものが食べたい。ラーメン二郎は…並んでいるだろう。
目の前のは松屋か…うーん…。
「お兄さんたち、お店決まってますー?ウチ二時間飲み放題ですよー」
「二次会なら女の子とどうっすかー?」
…駅まで戻って高田馬場あたりまで行くか?いや、もう8時だ。この街で探そう。
どんどん人が増えていく。この街はこれからが本番ということか。喉が渇いた…。
ドンドンドン♪ドンキー♪ドンキ ホーテー♪
…入ってみるか。
ボリューム満点のジャングルか。確かにボリュームは満点だが、こう歩きにくくては。
ああ、この街は何もかもが過剰すぎる…。
チェリオ…は無いか。『ドクターペッパー』…うん、悪くない。
列の先頭の人、あんな大量の栄養ドリンクをどうするんだろう…?身なりからして…カタギではなさそうだ。
組の買い出しか?しかし、こういうのはもっと下っ端そうなのがやるものではないのか?
桐生「?」
いかん、目が合ってしまった。早く行こう。
ごくっ。
このわざとらしい…何の風味なんだろうな、これは。杏仁豆腐とよく例えられるが
そんなに似てはいないと思う。
喉も潤ったし、本題に戻るか。
~20分後~
『チャンピオン街』まで来てしまった。ここで決めたい。
これはとんこつの匂い…「九州一番星」か。よし。
ガラガラ
店長「いらっしゃい!」
ラーメン1杯450円か。米も食べたいから…焼き飯セットにするか。
五郎「すみません、この『焼き飯セット』で」
店長「サイドメニューはどっちにしましょうか?」
五郎「え?」
店長「餃子とから揚げが選べます」
おっと、メニューをよく見てなかった。さて…
五郎「餃子で」
店長「かしこまりました!」
ふー、クーラーの目の前の席でよかった。いささか寒い気もするが。
あっ!
桐生「ズルズル」
さっきの人だ。
桐生「?」
また目があってしまった。いかんいかん、因縁つけられたらかなわん…。
早く来ないものか。
DQN客1「お前それゼッテーやべーって!ゼッテー目ぇつけられたって!」ギャハハ
DQN客2「んだよお前、サツが怖くて車上荒らしなんてできねーよ」クチャクチャ
DQN客3「そーいやこの間カツアゲしたひょろいガキいたじゃん?
あいつのガッコわかったからさ、また絞りにいかね?」ズルズルペチャクチャ
五郎「…」
桐生「…」ズルズル
店長「おまたせしました!」
お、きたきた。
~ラーメン・焼き飯セット~
・とんこつラーメン(薄切りチャーシュー2枚に煮卵半分 胡麻とネギがたっぷり)
・焼き飯(定番のチャーシュー・カマボコ・玉ねぎに加えてニンジン・ピーマンも入っている。具は米粒より細かく刻んである)
・焼き餃子3個(皮の薄いオーソドックスなもの)
まずスープから…熱っ。うんうん、夏でもスープはアツアツでなきゃ。
麺はどうだ…細麺にこってり過ぎないスープがよく絡んでる。胡麻とネギの風味もいい。
焼き飯とチャーハンの違いってよくわからないけど…うまいよな。
桐生「ズルズル」
食感がいい。野菜が多くて、細切れにされてるせいか。
餃子は…普通だな。
辛子高菜と紅ショウガは入れ放題か。高菜はラーメンに。紅ショウガは焼き飯に。
スープがピンクになるのはあまり好きじゃない。
桐生「ズルズル」
ラーメンと焼き飯を交互に…箸とレンゲの持ち替えがが地味にめんどくさい。
レンゲの定位置っていつもわからない。スープの中か、焼き飯の上か…。
桐生「ふぅ、ごっそさん」
店長「毎度ありがとうございまーす!」
俺も完食だ。さて、出るか…
DQN客1「おいゴラァ店員ゴラァ!」
店長「は、はい?」
DQN客2「ラーメン中髪の毛入ってたんだよ!」
DQN客3「ホントだったら迷惑料ほしいくらいだけどよぉ、タダってことでチャラにしてやるよ!」
店長「いや、そんな…」
DQN客1「ああ?文句あっかテメー?」
五郎「…」
ただでさえ不快な気分にさせてくれた上、この上無銭飲食…もう、我慢ならん。
五郎「おい…!」
桐生「お前ら。スープまで綺麗に飲み干しといて、それはねえだろ」
DQN客2「あぁ?」
五郎「!」
桐生「金を払って、とっとと失せな」ガタッ
DQN客1「何だぁオッサン、すっこんでろ!!」
桐生「そうはいかねえな。世話になってる店で好き勝手されて黙ってられるほど、大人じゃねえんだよ…」
DQN客3「て、てめえ…やるってのかコラ!?」
桐生「いいぜ…表に出な。ここじゃ迷惑がかかる」
DQN客1「へへっ、後悔すんじゃねえぞ!」
ガララッ
五郎「…」
これは…見届けず帰るわけにもいくまい。
ガララ
~店の前・路上~
ガヤガヤ…ワイワイ
「おっ?ケンカか?」
「なあ、あれって…」
「龍だ!堂島の龍だ!」
「本物だ!」
「やっちゃえー!」
ガヤガヤ…!ワーワー!
桐生「…」
DQN客×3「…」
この狭い路地裏に、あっという間に人が溢れ、歓声をあげている。
人垣は即席のリングだ。俺もその中の一人。これが、神室町なのか。
俺は…夢でも見ているようだ…。
VS チンピラ ドドン
デレッデッデレッデッデレッデッデッデッデーレデレー♪デレッデッデレッデッデレッデッデッデッデーレデレー♪
…気のせいか、何かBGMが…?
DQN客1「死ねコラァ!」
桐生「セイッ!」バキッ
DQN客1「ぐえっ!」
DQN客2「やろ…!どらぁ!」
桐生「ドリャッ!」
DQN客2「ぐえっ!」
強い!圧倒的じゃないか。よく見るとあの体格…
古武術の道場でもなかなかいないくらいのものだ。
DQN客1&2「」チーン
DQN客3「お、おい、何寝てんだよお前ら…」
桐生「まだ、続けるか?おとなしく払ったほうが身のためだぜ?」
DQN客3「く、くそっ…どけお前ら!」ダッ
桐生「!待て!」
DQN客3「どけオラ」
五郎「…」
DQN客3「オッサンどけコラぁ!」ドン
五郎「…!」バッ ギュッ
ア ーム ロ ッ ク
DQN客3「があああ!」
桐生「!」
DQN客3「痛っイイ!お…折れるう~」
五郎「ちゃんと払うか?」
DQN客3「払う、払うよぉ~」
桐生「…」
また目が合ってしまった。…何やら天啓を得たような顔をしているが…。
桐生「助かったぜ。見事な腕前だな」
五郎「…どうも。昔取ったなんとやら、です」
桐生「そうか…桐生一馬だ」
五郎「井之頭五郎といいます」
あの三人組が支払いを済ませてそそくさと逃げるのを二人で見届け、駅までの道を歩きながら話した。
何と彼は「スターダスト」の一輝と知人らしい。世間は狭いというか…。
一杯おごらせてくれと言ってもらえたが飲めないからと断った。
名刺は渡しておいたので、また会う機会があるかもしれない。
不思議だ。ああいうゴタゴタがあった日はたいていモヤモヤしながら帰るものだが、今日は何だか清々しい。
あの街は依然苦手な街だが、ああいう男がいるなら、捨てたものでもないのかもしれない。
~後日 神室町某所にて
「死ね桐生!」
桐生「セイッ!」バッ ギュッ
ア ーム ロ ッ ク
「があああ!」
〈完〉
お目汚し失礼いたしました。
依然、桐生ちゃんが夏コミに行く話を書いたことがあったので、また書きたくなりました。
龍が如くも孤独のグルメも需要あるかわからんけど、今後も思いついたら書いていきます。
面白かったです乙
メッチャ面白かった
どっちも好きだからもっとss増えてほしい
このSSまとめへのコメント
夏コミの人だったのか、アレにも笑わせてもらった
次の作品も楽しみにしてる