愛「プロデューサーの日高愛です!」 (50)


愛「スーツは事務所にあったのを使いました!」ドヤ!

 ザワザワ ザワザワ

絵理「わ、わー……」パチパチ

涼「あの、どういうことです?」

石川「どうもこうもないわ。今日からしばらく、愛にはプロデューサーもやってもらいます」

涼(わけが分からない……)

絵理「愛ちゃん、アイドルは……?」

愛「勿論やります! 今日からアイドル兼プロデューサーです!」

石川「具体的には、候補生のみんなを中心に面倒を見てもらうわ。プロデューサーもこうしてついたことだし、これまで以上にデビュー目指して頑張って」

 ザワザワ ザワザワ

涼「社長、候補生のテンションが凄い勢いで下がっていきます」

石川「大丈夫、みんなご存知日高愛のプロデュースよ」

絵理「だから? だと思う」

愛「絵理さんと涼さんも楽しみにしててくださいね!」

涼「え?」

絵理「私、尾崎さんがいるから?」

石川「話しは通してあるわ。サポートという形になるわね」

絵理「大人って……」

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石川「まぁ、これまで我が876プロにはプロデューサーらしいプロデューサーがいなかったわけだし、テストだと思って」

愛「物は試しです!」

絵理・涼(物は試しで事務所が終わるかもしれない……)

石川「勿論、活動に支障が出るようならいつでもやめさせる用意はできているわ」

絵理「既に出てる?」

涼「そもそも、愛ちゃん一人で僕らや候補生のみんなを見るんですか?」

石川「普通はできないけど、うちはセルフプロデュースメインだし、そこは変わらないから。愛は補佐だと思って」

絵理「プロデューサーじゃなくてマネージャーでいいんじゃ……」

石川「大丈夫、天下の765さんも似たようなものよ。961さんなんて社長自らあれこれ面倒見るのよ?」

絵理(尾崎さんはまともな部類でよかった……?)

愛「候補生のみなさん! 今日から新しい形で一緒です! がんばりましょー!」

候補生達「お、おぉ~……」


ボーカルレッスン


愛「アイドルはやっぱり歌だよね!」

愛「歌にこめられた思いとか、その歌をどう伝えるかを考えながら、思いっきりやっちゃいましょう!」

候補生A(あ、意外とまともかも)

候補生B(けど分かり切った事だよね)

愛「まずですね! ここの部分が「どやー!」ってなってるんですけど、あたしはここを「ほや!」みたいに歌うんです! だって、ここってなんだかバーッとなってるし――」

候補生達「!?」

愛「――それで、ここをががががーっとやると、声が綺麗に伸びたりします! ここを覚えておくといいかもです! ランクアップ間違いなーし!」

候補生達「……」

愛「それじゃ、みなさん、どうぞ!」





候補生A「もしもし? すみません、社長、愛ちゃん返します」

石川『分かったわ』

愛「なんでーーーー!?」ガーン


ダンスレッスン

愛「えっと、ステージをうまく使うことを意識しながら練習すると効果あります!」

愛「例えば、あたしが立っているここ! こことか!」タッタッタ

愛「それと、ここと! ここと!」タッタッタ

愛「この辺にライトがあると思ってやってみてください!」ピタッ!

候補生C「おお~」

愛「あと、観客の見てるとことかもそうですけど!」タッタッタ

愛「あんまり意識しすぎると声が小さくなっちゃうので!」トヤー!

愛「恐れず前に出てください!」タッタッタ

愛「あっ、でもジャンプは――」タッタッタ




候補生C「動きすぎて凄い疲れてきてるので切り上げて仕事まで休ませます」

石川『分かったわ』

愛「」ゼェゼェ…

候補生D「愛ちゃん、ドリンク飲む?」


ビジュアルレッスン

愛「収録挟んでやってきましたビジュアルレッスン! しっかり指導してみせます!」

候補生E「悲しそうにー……」

愛(わっ、本当に悲しそう!)

候補生E「えっと、プロデューサーさん、どうでしたかー?」

愛「大丈夫です! バッチリです! ただ、あたしならもっとこう……」

愛「……かなしそうにぃ~」キラキラ

候補生E(あんまり悲しそうじゃない。むしろ楽しそう……)

愛「はげしくぅ~!」ドドドッ

候補生F(いつもの愛ちゃんだ)

愛「たのしくぅ~~~~!」ドドドッ





候補生E「何やっても可愛くて、その、ちょっとレッスンにならないので返します」

愛「ちゃんとやれたのに~~~~!」



愛「戻りましたー」トントン

石川「おかえりなさい。初日は散々だったみたいね」

愛「うぅ……まだ勉強が足りなかったみたいです。あっ、みんなの明日の予定確認しなきゃ!」

石川「自分のも忘れないように」

愛「勿論です! えっと……お昼前まで仕事があるから、午前中はオーディションに連れて行ったあとに直行して、仕事が終わったら迎えに行って……」

石川「迎えに行くのは他がやるから愛はお昼食べちゃいなさい」

愛「はい! それじゃあ、午後は涼さんと――」

石川「明後日以降も見ておくのよ」

愛「明後日は学校に行って――」



日高家


愛「ただいまー!」

舞「おかえりなさ……どーしたの? バッグをパンパンにして」

愛「876プロに所属している人全員のプロフィールとか色々借りてきたの」

舞「なんでそんなものいるの?」

愛「今日からプロデューサーもやってるからだよ!」エッヘン

舞「ふーん、あんたがプロデューサー業務ねぇ……何考えてるの?」

愛「えっと、色々」

舞「ふーーーーん……。ねぇ、愛、それママにも見せてくれない?」ニヤニヤ

愛「えっ? なんで?」

舞「愛の同僚を見ておきたくて」

愛「ダメ!」

舞「むー、なんでよ?」

愛「社外秘だよ!」

舞「も、持ち出しておいて……」


翌日 876プロ


愛「点呼を取ります! Aさん!」

候補生A「はい」

愛「元気よく歌えば大丈夫ですからね! 次は、Bさん!」

候補生B「はーい」メセンアワセ

愛「自分のペースを崩さず頑張ってください! 最後にCさん!」

候補生C「はいっ!」

愛「り、力みすぎです! 肩の力を抜いていきましょう!」カタニジャンプチョップ

候補生C「あ、うん」ポンポン



尾崎「聞いた時はどうなるかと思ったけど、ちゃんとやれてるわね」

絵理(いいなぁ、あれ……)


移動中


愛「飲み物とお菓子です! 適度に取れば身体も心も満開です!」バァン!

候補生達「おぉ~……」

愛「……」ジ~

候補生達(めっちゃ見られてる……)

候補生A「あの、愛ちゃんプロデューサーも食べていいよ?」

愛「!」パァ




到着


愛「あたしはこのままお仕事行きますけど! がんばってくださーい!」ピョンピョン

候補生達「はーい」

愛「応援してますからねー!」ブンブン

愛「……」

愛「ここからは、アイドル日高愛! いっくぞー!」タッタッタ


アイドル活動後

愛「あっ、雪歩先輩、お疲れさまでしたー!」

雪歩「お疲れさま、愛ちゃん……? 今日は、なんだかスーツで大人っぽくなってますね」

愛「えへへ……実は、アイドル日高愛は今この瞬間より、プロデューサー日高愛になるんです!」

雪歩「プロデュー、サー? 愛ちゃんが?」

愛「はい! あっ、本業がプロデューサーになったわけじゃないです! その、876のテストみたいなものです!」

雪歩(そういえば、876プロにはプロデューサーがいないんだった)

愛「それにこれは、アイドル活動にもきっと必要なことだと思うんです!」

雪歩「プロデュースが……?」

雪歩(律子さんあたりに影響受けちゃったのかな?)

愛「というわけで、今は日高プロデューサーですよ!」

雪歩「ふふっ……可愛いプロデューサーですね」


876プロ 事務所

涼「あれ? 愛ちゃん、もう来てたんだ」

愛「はい! 涼さんのこれまでの仕事のチェックとか、色々やってました!」

涼「わっ!? そこまでやってたの!?」

愛「涼さん、沢山やってきたんですねー!」

涼(あ、細かなことは分かってない気がする)

愛「さっ、座ってください!」ウズウズユラユラ

涼「う、うん……」

愛「それで、次のお仕事ですけど! 何がしたいですか!」グイッ

涼「えっと、その……まずは、プロデューサーの意見を聞こうかなぁ」

愛「あたしですか? あたしはやっぱり歌……っと!」ブンブン

愛「涼さんは、えっと、ファン層と、あと、夢子さんとか武田さんとの繋がりを、えっと考えて……」

涼(すっごい考えてる……。昨日候補生の子が何やっても可愛くてダメとか言ってたけど、分かるなぁ……)


愛「その……涼さん!」イスニノル

涼「は、はい!?」

愛「涼さんはもうかっこいいです!」ググイッ

涼「あ、ありがとうございます。というか、そんなに身を乗り出したら危な……」

愛「そこで、今回はそんな一面と、えっと……」チラリ

涼(あっ、カンペ)

愛「おとこのむすめ要素を、活かした……」

涼「愛ちゃん、そのカンペは没収していいかな?」

愛「えっ!? なんで分かったんですか!?」

涼「あと、誰作ったのこれ?」

愛「秘密です!」



愛「そういえばさっき武田さんから電話かかってきてました!」

涼「えっ? 武田さんから?」

愛「近々涼さんにまたお仕事を頼むかもって言ってました!」

涼「そっかぁ……うん、ありがとう。その期待にもちゃんと応えなきゃね」

愛「その意気です!」

愛(……絵理さんの名前も少し出てたけど、あたしの名前は出してもらえなかったなぁ。はぁ……)

愛「というわけで涼さん、何がしたいですか? 歌のお仕事増やすのおすすめだと思います!」

涼「そうだね……僕もそれでいいと思うよ。ありがとう、愛ちゃんプロデューサー」

愛「どーもです!」

愛(中々かっこよく日高プロデューサーとは呼んでもらえないなぁ……)ズルッ

愛「わわっ!? ぎゃっ!?」ドテッ

涼「あ、愛ちゃん!? 大丈夫!?」

愛「きゅ~……」



涼「とりあえず怪我はないようですけどソファでゆっくりさせます」

石川『分かったわ』

愛「う~……次こそは~……」


翌日 学校

愛「……」ゴゴゴゴ

教師(なんだかここ最近の日高は気迫に満ちてるなぁ。怖い)

愛(公式と絵理さんが頭の中でけんかしだしちゃった……今は授業、今は授業、そのあとアイドル、そしてプロデューサー)

愛(えーっと……あれ?)

愛「黒板に数式が見当たらない」

生徒「もう数学終わったよ。今は保体」


876プロ 事務所

絵理「愛ちゃん、スーツちょっとズレてる。ちゃんと着ないと」スッスッ

愛「あっ、絵理さんありがとうございます!」

尾崎「流石に疲れが溜まってきたみたいね」

愛「やっぱり、アイドル兼プロデューサーは大変です。だけど、もう少し頑張ってみせます!」グッ

絵理「今日は私につくんだよね?」

愛「はい! 絵理さん、よろしくお願いします! 尾崎さんも、未熟者ですがよろしくお願いします!」ペコリ

絵理(うん、確かにこれは可愛い……)


収録直前


愛「絵理さん、調子はどうですか? コメントとか大丈夫ですか? 喉の方は……」

絵理「大丈夫だよ、愛ちゃん」

尾崎「絵理、いつも通りに」

絵理「」コクリ

尾崎「ん」トン

愛(あれ? 意外とやり取り簡素なんだ)

絵理「行ってきます」

尾崎「行ってらっしゃい」

愛「絵理さーん! ファイトー!」バァン


収録中

愛「」ドキドキ プルプル

尾崎(手に汗握ってる)

愛「」ソコダ!

尾崎(シャドーボクシング?)

愛「」ハラハラ

尾崎(胸の前で手を組んでる。日高さんはこういうのも意外と似合うわね)


絵理「~~~……~~……ッ」


愛(あっ、コメント飛んだ――)ガバッ

尾崎「しっ、動揺しちゃダメよ。ここは絵理から見えちゃうから」

愛「ッ……」ゴクン

愛「ふー……」ジッ

尾崎「大丈夫、絵理よ」

愛「はい」

愛(そうだ、絵理さんは大丈夫。ほら、もう立て直してる!)


絵理「~~……~…」


愛(あたしじゃああはいかない。絵理さん、やっぱり凄い。凄いです!)

尾崎「日高さん、絵理が戻ったら最初に声をかけてあげて」

愛「え? いいんですか?」

尾崎「まだそういうことはやってないでしょう? アイドルが戻って来るところでいるのも、プロデューサーの役目よ」

愛「それは……だけど、やっぱり絵理さんのそれは尾崎さんだと思います」

尾崎「いなくなるわけじゃないから、大丈夫。やってみて」

愛(絵理さんをお出迎え……やっぱり、よくやったぞー! みたいな顔をすればいいのかな? けど、そういうのってどうやれば……)

愛「とにかく、やってみます!」

愛(最高の顔で絵理さんをお出迎え! 頑張るぞー!)


スタッフ「おつかれさまでした~!」

絵理「お疲れさまです……ふぅ」スタスタ

絵理(危なかった。油断してた。今日は愛ちゃんも来てるのに……かっこ悪いな……)


愛「絵理さーん!」ドドドッ

絵理「ひうっ!?」

愛「良かったです! とっても!」ドドドッ

尾崎「絵理、お疲れさま。よく立て直したわね」

絵理「な、なんとか……愛ちゃんはどうしてこんなに気迫が?」

愛「き、気迫ですか!?」

尾崎「最初の出迎え頼んだら、ちょっと力んじゃったみたい」

絵理「それで……」

愛「」オロオロ

絵理「……」ポン

愛「!」

絵理「いつもの愛ちゃんが、一番いい?」ナデナデ

愛「は、はい!」


876プロ 事務所


愛「戻りましたー」

石川「おかえりなさい、愛。今日は絵理の仕事が終わったらそのままラジオ直行、そして――」

愛「はい! ダンスレッスンについてきました!」

石川「今日はどうだったの? 候補生のみんなから追い出されなかった?」

愛「う~……あまりうまく教えられませんでした……」

石川「どう教えたの?」

愛「えっと、バックダンサーやる時の意識とかをうまく伝えようと思ったんですけど……」

石川「ああ、愛はすぐ抽象的にしちゃうものね、そういうの」

愛「やっぱり、伝えたいのに伝わらないって、とってももどかしいです」

石川「それだけ?」

愛「……かえって混乱させちゃったんじゃないかって思ったりもしました。本当に伝えたいことは、もっと先なのに」

石川「……今日も、沢山経験してきたわね。明日からはどうするの?」

愛「……頑張ります。もっとあたしらしく、何か伝えられるまでやってみるだけです!」

石川「そう、いい心構えね。だけど……私としては、そろそろアイドル活動オンリーに戻ってもらいたいわね」

愛「え!? もうですか!?」

石川「やっぱり、愛がプロデューサーっていうのは色々問題があるみたいで――」


 ガチャ

候補生A「戻りました……」

愛「あっ、Aさん! おかえりなさい!」

候補生A「ただいま、愛ちゃんプロデューサー……」

愛(あっ……これって……)

石川「オーディションの結果、出たの?」

愛「社長! ちょっと、はずしてもらっていいですか?」

石川「私ここで仕事してるんだけど」

愛「Aさん! 会議し――屋上行きましょう!」


765プロ

春香「愛ちゃんが、プロデューサー?」

雪歩「そうなの。春香ちゃんは何か知らない?」

春香「う~ん……」

雪歩「……」

春香「あっ」

雪歩「心当たりあった?」

春香「うん。765プロって、それぞれプロデューサーがつくようになってから盛り上がってきたでしょ?」

雪歩「うん、うん」コクリ

春香「少し前に、その前後の事を愛ちゃんに話したの。そうしたら――」


愛『それじゃあ、765プロはアイドルとプロデューサーの二人三脚でここまで凄くなったんですね!』

春香『それが全部っていうわけじゃないけどね。もしプロデューサーさんに会えなかったら、こうして愛ちゃんと話すこともなかったかも』

愛『春香さんがあの日、審査員席に座ってることもなかったかもしれないんですね……』

愛(受かることと歌って踊ることばかり考えてて気付けなかったけど……)

春香『そうだね。出会いってやっぱり大切だなぁって思うよ。こんな風に、愛ちゃんとの出会いにも繋がるから』

愛『えへへ……プロデューサー、かぁ』

春香『876プロはセルフプロデュースがメインだから、プロデューサーがつく感覚って分かりづらいかな?』

愛『……春香さん、プロデューサーがいると、やっぱり嬉しかったり、こう、ググーって伸びてく感じですか?』

春香『え? えっと……その、プロデューサーさんは……こう、愛ちゃん的に言うと、ググーじゃなくて、なんだか、ギュッと』

愛『ギュッ?』

春香『それから……ダダダー、かな?』

愛『ギュッ、ダダダー……なるほどです! 分かりました!』

春香『わ、分かっちゃったんだ』


愛『春香さん、もし876プロにプロデューサーがついたらどうなりますか?』

春香『876プロに? う~ん……そうだなぁ……』

愛『』ドキドキ

春香『876プロの人達は自分でちゃんとできちゃう人ばっかりだから……』

愛『』ビクッ

春香『むしろプロデューサーがつく必要はあまりないかもしれないけど……』

愛(ちゃんとしなきゃちゃんとしなきゃ……)

春香『やっぱり、一緒に頑張ってくれる人がいるって、頼もしくて嬉しいよね。あ、これ内緒だよ? まだ甘えちゃってるって思われるのは、ちょっと、恥ずかしいから』

愛『はい! ……そっか、そうなんだ……だけど、社長はプロデューサー雇わないだろうし……けどみんなにはいるかも……あたしだったら……』ブツブツ

春香『愛ちゃん?』

愛『……そうだ! 春香さん、相手の気持ちになって考えればいいんですよ!』



春香「――今思えば、あれは自分がプロデューサーになってみるっていう意味だったのかも」

雪歩「愛ちゃんって、行動力凄いよね……」

春香「うん。一見、何も考えてないように思えるほどね……」

雪歩「愛ちゃんの場合、考えた末にそういうことしちゃうんだよね」

春香「いつも懸命なんだろうなぁ。いつも実を結ぶとは限らないけど、それが何度も積み重なっていつか愛ちゃんの力になるんだと思う」

雪歩「春香ちゃん……」

春香「愛ちゃんは挑戦をやめない。だから、もっともっと、色々頑張って、もっともっと、凄いアイドルになれるよ、きっと」

雪歩「今度も、そう繋がっていくといいね」

春香「うん」


876プロ 屋上

 プシュ

愛「はい、コーヒーです!」

候補生A「ありがとう、いただきます(愛ちゃんはブラックなんだ。飲めるのかな?)」

愛「」ゴクゴク

愛「」ウェェ…

愛「」グッ

愛「……あの、オーディション」

候補生A「あはは、ダメでした……BちゃんとCちゃんに先越されちゃった」

愛「……」

愛(どうしよう、こんな時、あたしどう言えばいいんだろう? 落ちるのには……慣れたくなかったけど、慣れてるのに)

候補生A「……」

愛「……よし!」グッ

候補生A「?」

愛「よし、よし!」ナデ…ナデ…

候補生A「……屈む?」

愛「屈むより胸張ってください! 落ちる日は落ちます! それでも、頑張ったなら胸張りましょう! 明日はもっとがんばりましょー!」ナデ…ナデ…


876プロ 事務所


石川「愛、終わった?」

愛「はい! 少し時間がかかるかもしれませんし、絶対なんてありませんけど……それでも、きっと明日から大丈夫です!」

石川「そう」

愛「はい!」

石川「……」

愛「……」

石川「伝えられること、伝えたの?」

愛「いえ。全部は無理でした。伝えたいことが多すぎて、それ全部をうまくなんて、あたしにはできません。それでも、大切なものの一つぐらいはって」

石川「満足はしなかった?」

愛「悔しいです。とっても……。プロデューサーって、凄いんですね。人の夢を預かってて。アイドルにとってのプロデューサーが知りたくてやってみましたけど、本当……」

石川「アイドルも同じよ。私がプロデューサーだったのはもうずっと前のことだけど、今でも覚えているわ」

愛「?」

石川「頑張りますって。トップアイドルになるって。まっすぐにこちらを向いて」

愛「社長も、沢山夢を預かったんですか?」

石川「そうよ。そして、私も預けたの」



石川「あなたたちを輝かせるって。輝くあなたたちが私の夢だからって」

愛「……」

石川「信頼なのよ。互いの夢を分け合い託して、共に歩いて行くのよ」

愛「社長もそうだったんですね」

石川「ええ、そうよ」

愛「……あたしは、みんなにもっともっとって。それだけを持ってたんですけど……うまく、預かったり、預けたりできなかったと思います」

石川「それは仕方ないことよ。愛は正規のプロデューサーじゃないし……何より、やっぱり愛はアイドルなのよ。アイドルにはアイドルなりの方法がある」

愛「……」

石川「愛が預けようとしたものは、ちゃんと受け止められたはずよ。さっ、仕事に戻りなさい」

愛「そう、ですよね……。はい! 日高愛、アイドル兼プロデューサーに戻ります!」


三日後

愛「きゅ~……」グッタリ

涼「流石にもう限界だよ」

愛「みたいです……」

絵理「愛ちゃん、頑張ったから? もうアイドルに戻ろ」

愛「スーツともこれでお別れですね……」スフッ

候補生A「あれ? 愛ちゃんプロデューサーおしまい?」

候補生B「スーツ愛ちゃん可愛かったのに」

愛「アイドル活動に支障が出るようじゃアウトですから。それに、今日まで皆さんのレッスンや送迎、打ち合わせ、営業……色々できました!」

候補生達(主に可愛かっただけだけど……)


愛「そして、分かったことがあります!」

絵理「それは?」

愛「……プロデューサーがいると心強いけど、あたしは今でも皆さんいますし大丈夫かなって。皆さんはどうでしたか?」

石川「ああ、待って。それについては後でアンケートをとるわ。愛だったけど、一応プロデューサーとしてついてたわけだし、感想や意見を聞かせて」

 ザワザワ ザワザワ

石川「アンケート次第では、我が876プロでもプロデューサーを募集するかもしれないわ。覚えておいて」

絵理(そんなお金あったかな?)

涼(アンケートの結果も見えてる気がするけど……)

石川「最後に、日高プロデューサーから、アイドル達の採点でもしてもらおうかしら」

愛「採点ですか?」

石川「一通り全員見れたでしょ?」

愛「えっと、それじゃあ……全員はなまるで!」


日高家


愛「ただいまー」

舞「おかえりなさーい」

愛「ママー、スーツのクリーニングって普通に出していいの?」

舞「スーツ? それ? 出すの?」

愛「うん」

舞「……プロデューサーやってる時に着てたの?」

愛「そうだよ?」

舞「ふーん……」パタパタ

愛「?」

舞「……」パタパタ チャッ

愛「デジカメ?」

舞「着替えて」ジーーー


おわり

一応終わりです

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