男「生まれ変わり……?」神「そうじゃ」 (110)

男「おいおいどういうことだよ」

神「分かりやすく言うとお前は死んだ」

男「マジで?」

神「マジ。だから次の人生の生まれ変わる生き物について聞きに来ている」

男「次の人生か……えーと金持ちの息子でイケメンでまいんちゃんみたいな可愛い妹が
毎朝『お兄ちゃん起きないと遅刻するよ』と言って起こしてくれて、隣の家にツンデレかつ
実は俺のことを好きな幼馴染がいて毎朝一緒に登校してくれるような人生で頼む」

神「無理」

男「え?じゃ、じゃあ妥協して一人暮らししてた俺の部屋にある日突然女の子が
押しかけてきて『実は私はあなたの許嫁でした』と言ってくれる人生にしてくれ」

神「残念なことに君が次に生まれ変われる生物は人間じゃないんだ」

男「え?」

神「だから一応希望を聞きに来ている。何の生物がいい?」

男「あーそうだなあ。じゃあ猫が良いな。俺もともと猫好きだったし、人間じゃなくても
こう女の子に可愛がってもらえるようになるのも悪くない」

神「次は猫に生まれ変わりたいという人も多くてだな……1278万人待ちになっている」

男「さっきからあれも駄目、これも駄目と言って俺は何に生まれ変われるんだよ!」

神「そうだな。今空いている生き物だとカマドウマくらいならすぐに案内できるんだが」

男「まさかの虫!」

神「他にいいのがなくてだな。後はナメクジだのゲジゲジだのくらいしかない」

男「おいおいふざけるなよ。というかもっと良いのないのかよ」

神「生まれ変わりの際にはその人生でどれだけ徳を積んだかで次何に生まれ変われるか決めることが
できる。」

男「は?お、俺良いことしてるし。こないだも10円を交番に届けたぞ」

神「27ポイント。これがお前の人生で積んだ徳だ」

男「マジで?」

神「マジだ」

男「おいおいふざけるなよ。今まで21年間生きてきたけど、それだけしか良いこと
してないというのかよ。もっと俺のいいとこあるはずだろ。お母さんからたかしは本当は
やればできる子だからねと言われてきたし」

神「先日、歩道橋の階段を登ろうとしたときお前はどうしていた」

男「そ、それはお前登るしかないんだから普通に階段を登ってたに決まってるだろ」

神「GUILTY、あなたは嘘をつきましたね」

男「は、う、う、嘘なんかついてねえし」

神「あそこの歩道橋は絶好のパンチラスポットで、近所の女子高生のパンツを見に来ていた
のは知っている」

男「う!」

神「これだけで10ポイントは徳は減っている」

男「マジかよ」

神「普通、善良な人は生きていく中で最低でも3千ポイントは貯めている。だが、お前はあまりにも
低い」

男「ほ、ほかに何が引っかかっているんだよ」

神「高校の時女子の更衣室を覗く。仕事をせず毎日パチンコに行き負けた時は親の財布から金を抜く。
さらに就職活動をすると言って親からもらった交通費で風俗に行く。そしてさらにロリコンだ」

男「そ、そこまで知ってるのか!」

神「神だからな。当然だ」

男「はっ!お、思い出したぞ!確か俺はいいことをした!人の命を救ったんだ。
信号を無視して横断歩道を渡ろうとした幼女を救ったぞ。どうだ人の命を救うのは良いことじゃないか」

神「人の命を救ったものは5千ポイント入る」

男「どうだ。これで次は虫なんかに生まれ変わらないだろ」

神「だが、お前は女の子を救ってなどいない」

男「え?ど、どういうことだ。確か俺は歩道橋の下に女子高生のパンツを見ようと思って来たら
そこに轢かれそうな幼女を救おうと飛び込んだはずだ」

神「あの時、女の子の命を救おうとして飛び出したが、運動不足のお前は足がつってコケてしまい、
そのまま車に轢かれた」

男「え?」

神「手足は曲がり頭は弾け飛び、内蔵ははみ出てウンコをたれながしながら死んだ」

男「え?え?」

神「これがその時の写真だ」すっ

男「こ、こんなひどい死に方を俺はしたのか。オエー」

神「さらに周りからは毎日歩道橋の下でウロウロしていた不審者が突然幼女に襲いかかろうと
したところ車にひかれて死んだと思われている」

男「ひ、酷すぎるじゃないか。あんたが何者か分からないが何とかしてくれよ!」

神「この地区でお前の処遇についての会議があった」

男「神にも会議があったのか。そ、それでどうだったんだ?」

神「お前はロリコンで仕事もせず親を泣かせている文字通りクズのような奴だが、お前の先祖の一人は
殺されそうになった人を救ったことがある。そのためお前にも救済の措置を与えてもいいんじゃないかと私が来た」

男「マジかよ。ずっと百姓をしていたと聞いたけどご先祖様グッジョブ。それで俺は何をすればいいんだ?」

神「すごく分かりやすく言うと良いことをしてもらう」

男「い、良いことって何だ!ゴミ拾いとかか」

神「確かにそれは良いことだ。だがそれだけじゃお前は生き返ることが出来ない」

男「なるほど。もっと良いことをすれば良いんだな!任せろ」

神「今から2時間後、公園にあるカップルが来る。正確に言うとあともう少しでカップルに
なりそうな男女2人組だ」

男「そいつらと良いことの何が関係あるが分からないんだが」

神「私の仕事は死んだやつの転生先を決めることと、もう一つは男女の恋愛を結びつけることだ」

男「じゃあその2人をさっさとくっつければ済む話だろ」

神「そういきたいのだが男が非常に奥手だ」

男「奥手だろうが何だろうが公園で二人で来るってことはそのうちカップルになるんじゃないの?」

神「女はほかの男から言い寄られている。今回男が告白をしなければ二人は別れることになるだろう」

男「ったくこれだから女は糞なんだよ」

神「本来なら私が介入したいところだが、神の法律では神が直接介入することは禁止されている。
つまり今回男が告白出来るようサポートをしてくれ」

男「はー!?俺も彼女できたことないのに人のカップルを成立させるなんて出来るわけないだろ」

神「500ポイント」

男「え?」

神「この2人が上手くカップルになった暁には500ポイントやっても良い」

男「そんなにくれるのか?!」

神「ああ。今回の仕事が成立すれば私の評価も上がる」

男「なるほどそういうことなのか」

神「何か不満でもあるのか」

男「い、いや滅相もない。ちなみに500ポイントあればどんな生き物に生まれ変わることができるんだ?」

神「とりあえず体温のある動物にはなれる」

男「た、体温がある動物か。まだ人間には遠いんだな」

神「だがこうやってポイントを貯めていけば人間に生まれ変われる可能性は高いぞ」

男「よし分かった。じゃあどうすればいいんだ」

神「男は今の段階では幽体であって人の行動に影響を与えることができる」

男「つまり……?」

神「男の体に憑依して告白をすればノープロブレムだ」

男「ゴクリ…い、良いのか」

神「構わん。よし行くぞ」

仕事いってた。
帰宅

公園

男「ここにそのカップルが来るのか」

神「来る」

男「というか今の俺はそいつらに見えないのか?」

神「安心しろ。今のお前の姿は誰にも見えないことになっている」

男「ということは今の俺だと女風呂にも入れるし女子中学校の更衣室にも行ってもバレないのか」

神「今のお前は生まれ変わるまでの猶予を与えられているだけで、その間に徳を減らす行為をすれば
通常の10倍ポイントが下がる」

男「え?じゃ、じゃあさっき通りすがりのOLのパンツを覗こうとした行為も……」

神「きっちり減点されておる」

男「マジで?」

神「今のお前は-480だ」

男「まさかのマイナスかよ!」

神「しっ来たぞ」

男「マイナスになると次の生き物は何になるって言うんだ」

神「フンコロ……あそこのベンチに座ってる男を見てみろ」

男「フンコロってもう大体分かるよね」

ベンチ

男1「今日は楽しかったですね……」そわそわ

女「そうだったね(この人いつ告白してくるのかしら)」

男1「そういえば最近近所に新しくラーメン屋が出来てね」

女「へー(何回デートしてもいつもこんな感じで終わっちゃうから私のこと興味ないのかな)」

ベンチ裏

神「毎回こう言う感じで終わってしまうんじゃ」

男「なるほど。これはあかんわ」

神「というわけで今からお主をあいつに憑依させることにする」

男「まだ心の準備が出来てないんだけど」

神「憑依させること自体、神の法律から見ても好ましくないため3つ約束を守ってもらう」

男「分かった分かった。何?」

神「まず1つ目。持ち主の体に危害を加えない。これが一番重要な原則じゃ」

男「なるほど。それで残り二つは?」

神「他人に危害を加えない。同伴者である私の命令に背く行為はしない」

男「もし破ったらどうなるんだ?」

神「地獄に行くことになる」

男「地獄って?」

神「今お前が抱えてる苦しみがあるだろう」

男「若ハゲで腰が痛くて水虫で足が痒くてこの間コンビニに行ったら通りすがりの女子高生に『何あいつきも~いww』
と言われたことか!?」

神「それの20倍辛い」

男「そんなに?!」

神「しかもそれを一生味わってもらう

男「マジかよ…厳しすぎだろ」

神「さっき言った事に気をつけて実行するんだぞ」

男「え?ちょ、おいあの!」

ベンチ

男1「う、うわ!?(何だこの感覚は)」

女「急にどうしたの?大声出して」

男1「い、いや昔の黒歴史を思い出してつい(本当に生身の体に戻っている。夢じゃないのかこれ)」

女「何それ~どんな話?」

男1「いや昔小学校の頃授業中寝てたら教師に問題を解くようにと言った瞬間、お母さんと行ってしまったことだ」

女「何それチョー受けるんですけどw」

男1「あの時は本格的に自殺をしようとしたよ……ところで話は変わるけど今日ってお前すげえ綺麗じゃない?」

女「え?//急に何言ってるのさ馬鹿!」

男1「いや今まで君の魅力に気付かなかった僕が悪い。実にチャーミングな瞳をしているよ」

女「え?え?何そんな褒めてお金なんか出さないわよ」

神「ほう、なかなかあいつ上手くいってるじゃあいか。彼女がいたこともないと聞いたが杞憂だったようだn」


男1「(よし、今まで親の金くすねえパソコンのゲームでしてたギャルゲーがこんな役に立つとは)なあ」ぐい

女「え//そ、そんな心の準備がまだ出来てないよ。何か今日の男君妙に接居的だけどなにかあったの?」

男1「いや、今更ながら君の魅力に気づいたのさ(あらためて見るとこんな女最低でもGカップ。もしくはF城戦
ぷはある)」

あげ

神「よし。男いいぞ。そこで告白をするんだ!」

男「実はさ……俺、お前の」

女「わ、私の何……」ドキドキ

男「お前の、お前のさ(何だこのたゆんたゆんぷりは……さっきまで何もなかったのに。これが生き返ったってことか……)」

女「男くん……」

男「おっぱいが好きなんだ!」

女「わ、私も///っておっぱい!?」

神「」

男「あ!しまった!あまりにもおっぱいが気になってしまって間違えた」

神「お、お前はアホか!」

男「いや、こんなぶるんぶるんしてるおっぱいがあったら見るでしょ!誰だって言っちゃうでしょ」

神「そういうのはだな。順序を追ってやれって言っただろ!もう良い今回の件でマイナス1000ポイントを越えたから
この男の体から出るぞ」

男「ちょっとそれは堪忍やで」

神「もう良い。次のカマドウマライフをエンジョイする方法でも考えておけ」

女「……男くんそれって本当?」

男「え?」

女「だから……そのおっぱいが好きって話」

男「い、いやその嘘じゃないです」

神「だからもう話すんじゃない。ほら、出るぞ!」

男「ちょ、ちょっとそんな引っ張るなって」

女「わ、私も男君のことが好きなのでこれを機に付き合ってください」

神「ほら、せっかくまとまりそうだった話を破綻させおって……って、え?」

女「その……急におっぱいが好きって言われたのにはびっくりしたけど……でもこれまで態度が曖昧だったけど
はっきり好きって言ってくれたのには嬉しくて」

男「と、ということは付き合ってくれるの?」

女「はい。お願いします///」

男「じゃ、じゃあ今おっぱいを触ってもいいの?」

女「え///ま、まだ心の準備が……」

男「いやここまで来たなら触らせて……ってあれ?胸が消えた」

神「お~ぬ~しは~」

男「ひっ神様すいません。つい出来心で」モミモミ

神「良いから私の胸から手を離せ!」

男「は、はい」

神「まず今回の件だが先ほどお前に対するポイントが決まった」

男「ど、どうなるんです?」

神「見事にあのカップルの縁を取り持ったことにより500ポイントが追加された」

男「おお!これでカマドウマから逃げれる」

神「だが、先ほどのハレンチな言動により200ポイント減らせてもらう」

男「ど、どういうことだよ!」

神「まず、女に対するセクハラこれで50点マイナス。私の制止を聞かずに勝手な行動を取った。これで100点マイナス
この憑依する行動は危険が伴うため厳しい査定にならざるを得ない」

男「じゃあ150点減らすだけでいいじゃないか。残り50点は何なんだよ」

神「私に対するセクハラだ」

男「あれは事故みたいなもんだろ。厳しすぎるじゃないか」

神「もし、あのまま女への卑猥な行動を続けていれば人間世界での法律に触れることになる。そうすれば
マイナス500点は取られていた。そうならならかったことに感謝して欲しい」

男「マジかよ……おっぱいすら自由に揉めない世の中なのか」

神「むしろ礼を言ってもらうべきだと思う」

男「……揉まれるほどなかったくせに」

神「よほどカマドウマになりたいようだな」

男「そ、そんなことはないです!」

神「まあ良い。だが今のポイントでは人間にまでは戻れない」

男「そうだった。何か方法はないのか?」

神「人に戻るには最低でも3千ポイントは欲しい」

男「え?そんなに?さっきカップル成立させたじゃん」

神「カップルを成立させたポイントはあくまでも私の好意に過ぎない。だが、
おぬしさえよければポイントが入る方法がある」

男「今度は何をすればいいんだ?」

神「一人の命を救って欲しい」

男「それをすればどれくらいポイントが貯まるんだ?」

神「1万ポイント」

男「そんなにもらえるのか!よし任せろ」

神「だが、簡単にはいかんぞ」

男「まあ人の命を救うくらいだしな。というかその死にそうなやつはどこなんだ」

神「病院にいる。前にお主が助け損なった幼女だ」

男「え?何であの時の幼女が入院してるんだ?」

神「少女は病気を患っていた」

男「何の病気を持ってるんだよ」

神「生まれつきあまり心臓が良くなかった。だから今週末手術を受けることになる」

男「なるほど。俺に外科医に憑依して助けろということだな」

神「アホか。お主が医者に憑依しても全く意味がないだろ」

男「じゃあ何をすればいいんだ」

神「手術を受けさせることだ」

男「はあ?手術を受けさせるってもう受けると決まってるんだろ?」

神「少女は手術することに怯えている」

男「まああまり覚えてないけど小さめの幼女だったしな。怖がるのは無理ないかも」

神「そこでお主に少女が手術を受けても良いと思わせるようにする」

男「別にそんなもん俺がどうしようと関係ないんじゃないか?」

神「手術自体を怖がってる少女は心身ともに不安定だ。少しでも不安を取り払ったほうが
成功率は上がる」

男「まあ言いたい事はわかるが別に俺じゃなくてもいいような」

神「これはお主に対する救済措置でもある。あの時救えなかった少女を今救えるか」

男「救えたらどうなるんだ?」

神「生き返らせる……ことは出来ないかもしれんが次に転生するときはお主の事情を考慮するようにしよう」

男「じゃ、じゃあ学校でいつも俺のことを素っ気なく扱ってくる勝気なスポーツやってる日焼け跡の目立つ
幼馴染が実は俺のこと好きで何だかんだでハッピーエンドを迎えられる人生も可能なのか!?」

神「ポイントしだいでは不可能ではない」

男「おお!これは何としてでも救わなければだな!」

神「やる気になったとこで病院に行くことにしようか」

病院

男「病院に着いたな」

神「うむ。そしてここが少女の部屋じゃ」

男「個室なのか。金持ってるんだろうな」

神「天井の低いお主の家に比べてアッパー階級じゃからな」

男「俺の家をdisるの辞めろって」

神「ほら。あれがあの時の少女じゃ。横にいるのは母親だ」

母親「今週にね手術があるんだけどいい腕の先生頼んだからみくは心配しなくて良いから安心して」

女の子「嫌だ!手術怖いもん!」

母親「でもね、それをしないと治らないのよ」

女の子「でも手術したからって絶対治るわけじゃないんでしょ!」

神「こんな感じで渋っておる」

男「なるほどね。手術しても成功するかどうかわからなくて怯えてるわけか」

母親「だからお母さんの言葉を信じて。みくには良くなってもらいたいのよ」

女の子「嫌だ嫌だ!手術なんか受けるならこのままでいいから!」

母親「何であんたはそんなに頑固なのよ!」

女の子「だって……」

看護婦「まあまあお母さん。落ち着いてみくちゃんも気持ちの整理がついたら大丈夫ですよ」

母親「分かったわ。また来るからそれまでにはちゃんと決めておいてね」

女の子「うっ……何で私だけこんなことになってるんだろ…グス」

神「さてどうする?彼女は面会謝絶になっていて友達は彼女に会えない。親は何度も説教をしている
看護婦や医者に憑依して説得できる自信があるか?」

男「確かにこれは難問だな……なあ。憑依できる相手ってのは人間以外も出来るんか?」

神「出来るが……何だカマドウマにもうなりたいのか?」

男「違えよ!それ以外の生き物だよ」

神「何になる気なんだ?人間以外なら割と融通は効くぞ」

男「前に言ってた猫で頼む」

神「猫?まあ良いけどニャーしか喋れないぞ」

男「え?言葉とか無理なのか?」

神「なるほど。猫で警戒心を解いてから説得する気か。分かった特例で認めてやろう」

病院の庭

少女「あー手術とか受けたくないな。成功するとは限らないし」

猫「にゅー」

少女「あ、猫さんだ。病院にも猫がいるんだね」

猫「ゴロゴロ」

少女「ちょっとくっついてきすぎw」

神「さて男はいきなりここからどうするのだろうか」

猫「話変わるけど手術受けない?」

神「お、男!?」

少女「え?え?猫が喋った?」

猫「めっちゃ喋りまっせ」

少女「ちょっとこれってどういうことなのよ。体調が悪いからって幻覚でも見てるの?」

このスレまだあったのか

神「おい」

男「にゃ、にゃーんて」

神「さっき人の言葉は話すなと言ったよな」

男「いや、でもにゃーだけじゃ説得なんて無理に……」

神「良いか。この世の道理を越えて他者に介入しないという規則があるからこのように
回りくどい手法をとってるんじゃ。それをお前分かっているのか」クドクド

猫「みー」

少女「さっきのは気のせいだったのかな……そうだよね。猫が喋るなんてしかも手術しろとか……」

少女「そりゃ私だって治って外に出たいけど、でも今回の手術むずかしいって前看護師さんたち言ってるの
聞いたし、怖くてできないよ……」ぎゅ

猫「みゅー」

男「……なあ神様。俺が直接あの子に言ってやるってのはできないのか?」

神「さっきみたいに憑依するしかないが」

男「いや俺自身があの子に言いたい」

神「だからお主の体はもうぐっちゃぐちゃのめちゃめちゃになってるから無理だと言っただろ」

男「さっきこの世の道理が云々とか言ってたけど、夢で話すなら大丈夫なんじゃないのか?」

神「確かにそれなら問題はないな。夢ならどんなことが起きても夢だったですませられるし……。
お主以外と頭が良いな」

男「意外とは余計だけどさっそく入ることにしようぜ」

神「まあ待てまだ外も明るいしこの子が寝てからじゃな」

~夜~

看護師「じゃあそろそろ消灯の時間だからこの部屋の電気消すわね」

少女「あ、うん」

看護師「いい子で寝てたら病気も治るから夜更かししちゃダメよ」

少女「はーい」

バタン

少女「眠くないけど寝ないと夜は怖いし寝ようか」

少女「外に出てママと一緒に寝たいな……」


神「少女は寝たようじゃな。さて夢の中に入ることにするか」

男「オッケー」

神「今回は夢の中ということでお主がやりたいようにやっても問題はない」

男「任せろ」

神「ただ失敗したならこの件は無理と判断する」

男「何でだよ」

神「お主と組んで行動していたら様々な失敗があって私も上から怒られ始めたからじゃ」

男「おいおいじゃあこのままだったら今のポイントで終わりなのかよ」

神「そうじゃ。だから今回はお主の力量が問われることになる」

男「今のままだと体温のある動物しか無理なんだっけ?まあ頑張りますよ」

神「何だか素直になってきたな」

男「まあ俺もいろいろ考えることが出来たわけよ。失敗する気もしないけど」

神「よし、少女が本格的に夢を見始めたからはじめるぞ」

少女「え~とここはどこだっけ?いつもみたいに病室で寝てるはずなのに……あれ?お庭にいる」

猫「にゃー」

少女「あ、昼間見た猫さんだ。おいでおいで」

猫「にゃーん」ゴロゴロ

少女「よしよし可愛いね。ってくすぐったいよ。あまり舐めないで」

男「ペロペロ」

少女「きゃ、きゃああ!!何で猫さんが人に変わったの?!」

男「久しぶりだな」

少女「久しぶり……どこかであったことがあるの……?」

男「覚えてないのか。歩道橋の下で会っただろ」

少女「歩道橋のした……あ!」

男「思い出したか」

少女「いきなり私を追っかけてきた変なおじさんだ!」

男「だから違うっての!」

少女「ひっ、ご、ごめんなさい」

男「いやいや確かにねあの時は女子高生のパンツを覗いてたのは間違いない。それは認めよう
だけど君が車に轢かれそうになったのを助けたんだよ」

少女「そうだったの?それならありがとうございました。でも何で急におじさんがここに……?」

男「おじさんじゃなくてお兄さんだけど、お兄さんは言いたいことがあってみくちゃんに会いに来たんだ」

少女「え、何をですか」ビクビク

男「誤解を解きたかったのと手術を受けて欲しくて言いに来たかな」

少女「何でお兄さんにまで言われないといけないんですか」

男「俺が今度の人生で巨乳の妹と貧乳だけどツンデレな姉がいて何だかんだ世話をしてくれる幼馴染が
いる人生に生まれ変わりたいからかな」

少女「え?」

男「いや今のはなかったことにして欲しいけど、みくちゃんは何で手術を受けないの?」

少女「……だって怖いし」

男「でも手術をすると治るんだよ?」

少女「そんなの分かんないじゃん」

男「今のままだったらずっと病院にいるかもしれないよ?」

少女「でも手術して死んじゃうならこのまま病気でいる方がいいよ」

男「病気で死んじゃっても良いの?」

少女「手術して死んじゃうくらいならそれでも良いよ」ぷん

男「あああああああああああ!!」

少女「ひっ!」

男「みくちゃん。俺はもう死んでるんだよ!しかも次に生まれ変わるのはカマドウマなんだよ!」

少女「か、かまどうまって……」

男「良くトイレとかにいる汚いバッタみたいなやつだよ!あれが俺の次の人生なの!!」

少女「え?」

男「俺だって死にたくなかったよ!カマドウマになんかなりたくなかったわ!
もっと可愛い彼女とか作りたかったし!可愛い彼女のおっぱい揉みたかった!」

少女「……ごめんなさい」

男「ミクちゃんは悪くないよ!俺が決めてやったことだから!」

少女「でも怒ってるんでしょ……?」

男「俺が怒ってるのはミクちゃんが自分の意思で生きようとしないのがムカついてるの!俺がカマドウマに
なるって聞かされた時より腹たってるわけ!」

少女「わたしのいし……?」

男「ミクちゃんが手術受けようってさえ思えば治るんだよ!何でそれをしないの!」

少女「……だって怖いし……」

男「俺だって怖かったよ!ミクちゃんを助けようとしたときは!結果的に死んじゃったけど!でも
ミクちゃんに死んで欲しくなかったから行動したわけ!その俺の行動を無駄にするわけ?」

少女「……」

男「ハアハア……ごめん急に叫んで……(あーもう駄目だ完璧失敗した。なんか怯えてるし)」

少女「……いえ、大丈夫です」

男「ハアハア……ここで話せる時間ももうないから出て行くよ。とりあえず俺が言いたいのはそれだけ」

少女「えっと、あのもう会えないんですか?」

男「会えるよ。多分……そこらの石とかひっくり返したら出てくる虫とかになってそうだけど」

少女「えっとその……あれ?消えていく……」



神「ご苦労じゃったな」

男「……」

神「どうしたそんなに沈んで」

男「虫は嫌だ~」シクシク

神「どうした急に」

男「大失敗したよ。もう終わりだ。次の虫生ではせめて餌場に近いところに生まれ変わらせてくれ……」

神「何を言っとる。夢が覚めたあと少女は手術を受けると言ったらしいぞ」

男「カマキリとかに食べられるのは嫌だ……え?」

神「お主の説得のおかげで無事手術を受けると起きて言ったそうじゃ」

男「ということは?」

神「うむ。お主は成功したんじゃ」

男「う、うひょー!神様」がばっ

神「待て待てそう興奮するな。とりあえず少女の手術が今日行われるから喜ぶのはその後じゃ」

手術室

医者「それでは本日14時から心臓のオペを開始します。術式はうんたらで時間はこれくらいを予定しており~」

男「……」

神「どうした狐につままれた顔をして」

男「この医者ってあの時俺がくっつけたカップルの男だよな?」

神「どうやらそうみたいじゃな」

男「これは最初から決まってたのか?」

神「さあ?私は少なくとも与えられた仕事をこなしていただけだ」

母親「みく。不安かもしれないけど頑張ってね。あなたなら出来るから」

少女「うん大丈夫。ちゃんと手術を受けて治すよ。そう約束したし」

母親「約束……?誰と?」

少女「ないしょー」

男「いやあこれでめでたく次の人生カマドウマにならずに済んだか。これで生き返れたら文句ないんだけどな」

神「ポイント次第では可能じゃぞ」

男「え!?」

神「3万ポイントあれば死ぬ直前に巻き戻すことが出来る」

男「何で早くそのことを言ってくれなかったんだよ!」

神「正直お主がここまで出来るとは思ってなかったからじゃ」

男「この野郎……」

神「お主が望むなら上に申請を出してポイントを貯めるのを手伝ってやっても……」

ビービー

医者「血圧が急激に低下!心肺ともに危険な領域に!」

男「おいおい……大丈夫なのかこれ」

神「ちょっと待て」ペラペラ

医者「心拍数が急に下がった!心拍停止の恐れあり!」

男「おい!どういうことなんだよこれは!」

神「……お主に謝らないといけないことが二つある」

男「何だよ!」

神「この子は死ぬ運命にあった」

男「はあ!?どういうことだよ」

神「あの時お主が助けた時も本当はこの子が車に轢かれて死ぬだけだった」

男「言ってることの意味がわからないんだが。こんなにいい子が何で死なないといけないんだよ!」

神「この子の先祖は大した悪党でな。雇われの商人だったのが欲が深くて自分の主人をバレぬように殺し
その一家まで殺した報いが7代後のこの子に今来ようとしている」

男「じゃあこの子は今死ぬのかよ。あ、でも生まれ変わりとかで神様みたいなのが来るんだよな?
この子なら多分すぐポイント貯めれるから生き返らせることも……」

神「無理じゃ。この子は地獄に行くから管轄外だ」

男「何だよ管轄とかって」

神「私達の仕事は恋愛の受け持ちと生まれ変わりの時に次に何に生まれ変わりたいかを聞くこと。地獄に行く奴
には関わることができない」

男「じゃああの子には何が来るっていうんだよ」

神「お主たちの世界では死神と言われている奴が来る」

男「あそこに見える薄黒いのがそれか」

神「命の灯火が消えていくにつれて始めて姿を現す。奴らは地獄に連れて行くのが仕事じゃ」

死神「……」

男「さっきも聞いたが地獄に連れて行かれるとどうなるんだ?」

神「詳しくは知らんがこの世界に生きるよりは辛い出来事が待っているだろうな」

男「……」

神「お主には悪いことをした。こちらの不備が原因だったためお主の要望はできる限り叶えたいと思う。
生き返るのは難しいが、何じゃ。次の生まれ変わりの時はできる限り要望を叶えてやろう」

男「俺のポイントをあの子に全部あげることはできないか?」

神「え?」

男「出来ないのか?」

神「ポイントの譲渡は譲るという意思さえあれば可能じゃ」

男「今俺のポイントはいくらあるんだ?」

神「ちょっと待て、お主はそうだなこちらの不備ということもあって1万と8千ポイントがある」

男「これを全部あの子にあげてくれ。それであそこにいる死神を追い払ってくれ」

神「し、しかしだな」

男「出来ないのか?」

神「出来んことはないが、管轄が離れているやつに話が出来るのかということと」

男「それと何だ」

神「せっかくこうやって貯めたポイントを全部使ってまであの子を助けたいのか」

ビービービービービー

看護師「先生!指示をください!このままじゃ!」

医者「分かっている!今薬を投入する!おかしい。さっきまでは安定していたのに急にこんなことが起きるなんて」

男「時間がない。急いでくれ」

神「あーもう!本当にいいんじゃな!この変わり者め」

男「面倒なことばかり押し付けてすまんな」

神「こっちも面倒くさい仕事を押し付けたからお互い様じゃ!」

男「やっぱり面倒くさい仕事を押し付けてきただけだったのか」

神「ふん!お主に対するサービスのつもりでもあったからな。本来ならカマドウマにしとくとこじゃった」

男「悪い悪い。それでもう一つ頼みごとがあるんだが……」

神「何じゃ。時間がないから手短に頼むぞ」

男「ボソボソ」

神「……なるほどな。それくらいなら私の裁量でしてやろう」

男「何から何までありがとう」

神「それじゃまずポイントの譲渡から始めるぞ。その後にあそこにいる死神ともかけあう!」



控え室

母「神様お願いしますあの子の手術が上手くいきますように……」




少女「じゃあ行ってきまーす!」

母「ちょっと待って。ママも小学校についていくから」

少女「大丈夫だって一人で行けるよ」

母「まだ退院して1月も経ってないのよ。ついていきます」

少女「えー。分かったよ。じゃあ一緒に行こう」



母「でもあの時危ないって言われていたけれど無事に退院できて本当に良かったわね。ってあら捨て猫がいるわね」

捨て猫「みーみー」

少女「ねえねえママーこの猫飼っていい?」

母「みくちゃん最初はそうは言っても途中で世話しなくなるでしょ」

少女「えーこの猫欲しい!ちゃんと世話するから飼って飼って!」

母「そう言ってお母さんに世話させるんでしょ。生き物買うのも大変なんだからね」

少女「みくがちゃんと世話するからお母さん一生のお願い!」

母「もう、分かったそこまで言うなら飼ってあげます」

少女「やった!お母さん大好き」



神「全く大変じゃったんだぞ。あの後管轄外の死神のやつらと交渉したり上から大目玉クラッたりで」

神「最後のポイントが思ったよりギリギリになったからペットショップの高級猫とまではいかないが
ちゃんとカラスとかに狙われない場所に置いてやったのを感謝して欲しいもんだ」

神「さて、また仕事に向かうか。またこれだけやりがいのあった仕事が出来れば良いんだがな」

終わり

明日も仕事あるのにこんな遅くまで書いてしまった。
というか1月も前にスレ立てといて遅すぎるとは自分でも思いました。
おやすみなさい

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