久「私のおごりだから決勝に備えてたっぷり食べてね」優希「2600!」 (46)

久「よし!2回戦突破ーっ!」

咲・和・優希・まこ・久・京太郎「かんぱーい!」

まこ「ベスト8どころか4入りじゃのう」

久「何言ってるのよ。ここまで来たら目指すは全国優勝しかないでしょ!」

和「そうです。それしか考えていません」

優希「誰が来ようと叩きのめしてやるじぇ!」

咲「今日の対戦相手よりも強い人たち…ワクワクするよ!」

京太郎「頑張れよ。応援してるからな」

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久「さあみんな、2半荘とは言え、慣れないカメラ越しの対局って事もあって疲れちゃったでしょう?」

久「お昼だって軽食だったし、時間も少なくてそれすら満足に食べれなかった」

和「確かに全然食べられませんでしたね…」

咲「カツ丼さんの乱入もあったし…」

優希「そう言われるとお腹ペコペコだじょ…」

京太郎「お前はタコス片手に何を言ってるんだ」

まこ「みんなでうちにでも来るか?何か作るけぇ」

久「いやいや、それじゃ何か味気ないでしょ」

久「ここは一つ、決勝前に力を付ける意味も込めて!」

久「みんなでラーメンを食べに行きましょう!」

優希「おお!名案だじぇ!」

まこ「ラーメンならうちでも作れる…ってもう、そういうの無しじゃな!行こうか!」

まこ「ここは当然、そんな事を言い出した部長さんが奢ってくれるんじゃろ?ん~?」

久「任せなさいって!」

久「どんだけ食べても構わないわよ!」

優希「ふっふっふ…。部長、言質は取ったじぇ?」

京太郎「何だその悪そうな顔」

咲「ラーメンかぁ…。久しぶりだよ!」

咲「冷蔵庫に何もない時は、作ることもあったけど…」

咲「他の人に作ってもらうのは、久しぶりかも!」

優希「咲ちゃん…。よし!たくさん食べような!」

咲「うん、楽しみだよ!」

和「ら、ラーメンですか…」

まこ「そいで久、どこのラーメン屋にするつもりなんじゃ?」

まこ「あ、分かった。前に連れて行ってくれた屋台じゃな?」

優希「二人だけの秘密の場所に連れて行ってくれるのか?」

京太郎「やらしい言い方をすなっ」

久「いや、あそこはまた後日」

久「そうね、あそこには決勝が終わった後にでも行きましょうか」

優希「秘密の場所を知るためにも尚更明日負けられなくなったじぇ…」

久「そうそう、その意気よ!ーって事で、屋台のラーメンは明日にして」

久「今日のところはネットで色々話題のラーメン屋に行ってみましょう!」

和「有名なお店なんですか?」

久「何でも系列店はたくさんあるらしいけど、この前初めて長野に進出してきたらしいわ」

久「場所もここから近いし、行くしかないでしょ!」

咲「楽しみです!」



―移動中―


咲「優希ちゃんは何ラーメンが好き?」

優希「何でもいけるじょ。強いて言えばタコスラーメンだな!」

和(た、タコスラーメン…一体どんな味が…)

京太郎「そんなラーメンはない」

和「無いんですか!?」

咲「私も聞いたことないよぉ」


まこ「久」

久「何?」

まこ「あんな事言うといて、大丈夫なんか?」

久「え?…ああ、財布?大丈夫よ。ラーメン屋だし」

まこ「分かっとると思うが、優希はめちゃくちゃ食うぞ」

久「いやいや考えすぎでしょ」

久「ラーメンよ?値段も大した事ないでしょ」

まこ「そりゃそうじゃが…」

久「焼肉じゃないのよ?」

久「叙々苑じゃないのよ?」

久「大人数じゃないのよ?」

久「関西弁の子もいないのよ?」

久「お持ち帰り弁当もないのよ?」

まこ「いやもう何言うとるか分からん」

咲「原村さんは何ラーメンが好き?」

和「わ、私ですか?………そうですね………しょ、醤油とかが…」

優希「普通すぎてつまらんじぇ」

京太郎(ところが、和はそれがたまらんのだよ)

咲「む…」

京太郎「ちなみに俺はだな…」

咲・優希「興味ない!」

京太郎「ひ、ひでえ…」

和「ま、まぁまぁ…」


まこ「あんたがそう言うんなら構わんが…」

久「もう、少しは安心しなさいよ~。お金が足りない!なんてオチにはならないから!」

まこ「で、そのラーメンとやらは何ラーメンなんじゃ?」

久「あ、一年生組の会話に触発されたな?」

まこ「そりゃ、ラーメンの話したらお腹が空くのは当然じゃろ…」

久「んーっとねぇ。良く分かんないのよ」

まこ「は?」

久「一応分類上は豚骨醤油らしいんだけど」

まこ「……だけど?」

久「その系列店独自の味だから、何味のラーメンって言う定義付けはしない方が良いらしいわ」

まこ「……ん?もしかしてお前さんも…」

久「勿論!食べたことないわ!他の系列店も!」

まこ「………不味かったらどうするんじゃ…」

久「いやいや、ネットで色々話題のお店よ?不味いって事はないでしょ」

久「今なんかはまだお店が出来て直ぐだし、手を抜くってこともないだろうし」

まこ「ふ、不安じゃ…」

久「もう!まこは不安がりすぎよ!そんなんじゃ来年部長としてやっていけないわよ!」

久「明日にはもう引き継いでるか…」ハッ

まこ「……」

久「……」

まこ「やっぱり、あんたでも不安なんじゃな」

久「…仕方ないじゃない」

久「相手は去年全国で猛威を振るった龍門渕のフルメンバーに名門風越…」

久「主観的に見ても、客観的に見てもきついのは分かってるわ」

久「…でも!私の夢だもの!全国優勝は!」

久「……諦めたく、ないじゃない…」

まこ「……」

まこ「なーにしけた面しとるんじゃ、らしくない」

久「え?」

まこ「わしらは勝つ。勝って全国へ行く。だから引継ぎはまだまだ先の話」

まこ「だから、そんなしけた面をするのは止めるんじゃ」

まこ「せっかくのラーメンも、そんな面じゃきっと旨く感じんぞ」

久「まこ…」

まこ「一年生たちには頼れる部長でありたいんじゃろ?シャキっとせんかい」

久「……お見通しでしたか」

まこ「伊達にあんたと一年、一緒にいたわけじゃないからのぉ」

久「…ありがとね」

まこ「……お互い様じゃ」

久「いよーっし!決めた!」

まこ「?」

久「はいみんな!注目!」

久「私らは明日龍門渕と風越って言う強敵と戦う!」

久「生半可に力を付けてもしょうがないわ!」

久「と言う事で!みんな店についたら一番大きいラーメンを頼むこと!」

一行「えええええ!?」

咲「ぶ、部長!私自信ないです!」

久「こら咲!清澄の大将がそんな弱気でどうする!」

久「(どんだけ大きいか知らないけど)ラーメン程度に負けて龍門渕や風越に勝てるかぁ!」

咲「うううぅ…」

和「わ、私も自信ないんですが…」

優希「私は初めからそのつもりだったじぇ」

京太郎「まぁ俺は男だし…よっぽどじゃなきゃ大丈夫かな?」

まこ「あんたって奴は…」

久「ふふふ。楽しみね!」

久「あ、ここの駅ね!みんな降りるわよ!」

咲「は、原村さん…一緒に頑張ろう!」

和「が、頑張りましょう」

優希「指切りはいつ見ても良いもんだじぇ」

京太郎「たかがラーメンにそんな大袈裟な…」

まこ「で、結構駅から歩いたがまだなんか?」

久「そうねぇ。そろそろ見えてきても良いのだけれど…」

和「目印とかは無いんですか?」

久「んーっとちょっと待ってね」

久「黄色い看板」

久「長蛇の列」

久「お腹を抱えて地面に座り込んでる人たち」

京太郎「何ですかそれ…」

優希「食べ過ぎてお腹が痛くなるくらい美味しいのか?」

まこ「何か異世界みたいじゃのう」

咲「あ!もしかして、あれじゃないですか?」

久「お、そうそう。あれよ!」



『ラーメン2600・長野店』


咲「何て読むんだろう?」

和「ラーメンにーろく…ですか?」

優希「ラーメンにんろくかもしれないじょ」

京太郎「ラーメンにせんろっぴゃくじゃないのか?」

まこ「ラーメン子の40符2飜…」

久「ラーメン子の80符1飜かも!」

和「そんな高い符で1飜…そんなオカルt」

咲「あ、私そういうの得意!」

久「とりあえずこの列に並んでみましょうか」

咲「うわ~。すっごい並んでるよ」

和「それだけ美味しいという事でしょうか…」

優希「流石は部長が勧めるお店だじぇ!」

久「で、でしょう?」

久(こ、こんなに混むものなの?)

まこ「気のせいか並んでる方々が男ばっかりなのが気になるんじゃが…」

京太郎「ラーメンですからね…。あんまり女性の方が並ぶって言うイメージもないですし」

まこ「ううむ…」

まこ(それにしても異様な空気なんじゃが…)

咲「何だかワクワクしてきたよ!」

優希「その意気だじぇ、咲ちゃん!」

和「ふ、不安です…」

まこ(わしも不安じゃ……色々と)

一般客(俺らもすっごく不安なんだが…)

久「割と回転は早いのね。もうかなり進んだわ」

優希「暖簾を潜ったその先にはー!?」

優希「お、券売機があるじぇ」

京太郎「そりゃそうだろうよ」

咲「メニューは?見えないから教えてー?」

優希「えー…ラーメン、ぶた入りラーメン、ぶたWラーメン」

京太郎「大ラーメン、ぶた入り大ラーメン、ぶた入りW大ラーメン」

和「ぶた…ですか?」

まこ「まぁ、叉焼の事じゃろ」

久「優希!須賀君!分かってると思うけど…」

優希「任せろ!一番大きい奴を六人分だな!」

一般客「!?」ざわ…

京太郎「…部長、やっぱり考え直してもらっても…」

久「つべこべ言わないの。そんな気持ちで明日勝てるか!」


ざわ…
 ざわ…
  ざわざわ…


まこ「何か店内がざわついてるんじゃが」

優希「ぶた入りW大ラーメンを6つっと…」

優希「部長!足りなかったら追加しても良いのか?」

一般客「!!??」


ざわ…
 ざわ…
  ざわざわ…
   ざわざわ…ざわ…


久「ちゃんと一杯目を食べてからにしなさい!」

優希「ケチー!」

咲「6人一緒に食べられますかね?」

和「店内もそんなに広いわけじゃないですし、難しそうですね…」

まこ「じゃが、わしらの後ろにも並んでるし…」

久「選り好みしてる余裕はないってわけね」

和「なるほど。思わぬ団体客の出現によるざわめきでしたか…」

咲「もしかしたら原村さんがあんまりにも綺麗だからかもしれないよ?」

和「ば、バカなこと言わないで下さい」

久「お、照れてる」

一般客(いや、問題はそういう事じゃなくて…)

優希「おうみんな!はい食券だじぇ!」

京太郎「………」

久「あら、ありがとう。…何これ」

和「券って言うか色付きの札ですね」

咲「みんな同じ色だね」

優希「同じメニューなんだから当たり前だじょ」

まこ「で、京太郎は何固まっとるんじゃ?」

京太郎「……いえ、ちょっと体調が…」

久「あら、大丈夫なの?男が一人食べきれなかったら大恥ものよ?」

京太郎「…そうですね」

咲「うおっ、店内も独特の空気を発してるよ」

和「これがラーメン屋…」

久「店内は7席か…。そりゃ列が出来るわよね」

まこ(ちょっと狭いし綺麗とは言い難いのう)

優希「丁度さっき6席空いたじぇ!しかも並び!」

久「お、ツイてるわね~」

店主「食券お預かりします。麺の固さはどうしますか?」

優希「普通で!」

京太郎「…柔らかめで」

久「うーん、ちょっと固めで」

まこ「わしは固めで」

咲「私は普通で!」

和「わ、私も普通で」

店主「順番にご着席下さい」

優希「そこに給水器があるから水汲んで行くじょ」

久「あら、詳しいじゃない?」

優希「他のお客さんたちを見てたおかげだじぇ!」

京太郎(そうなんだよ…先行した俺らだけが見てるんだよ…)

店主「トッピングは何に致しますか?」

一般客「ヤサイ・ニンニクで」

咲「ん?トッピング?」

優希「ラーメンに無料で幾つかのトッピングが出来るみたい」

久「そりゃーもう全部でしょ!」

優希「なら、全マシって答えれば良いっぽいじぇ」

優希「ちなみにマシの上の量のマシマシって注文をしてる人もいたじょ」

久「色々面白いお店ね~」

和「トッピングは…えーと…ヤサイ、ニンニク、アブラ、カラメ…ですか」

まこ「こりゃまた豪勢なトッピングじゃのう」

久「みんなラーメン食べた後はちゃんと歯を磨きなさいよ~?」

京太郎「………」

咲「きょ、京ちゃん…本当に大丈夫?」

和「具合が悪いなら無理して食べなくても…」

京太郎「…部長、トッピングは流石に各々自由ですよね?麺の固さもそうでしたし」

久「うーん、しょうがない…。そこは許してあげるか!」

京太郎「では部長、トッピングは止めた方が…特に、ヤサイだけは…」

久「何言ってるのよ。もったいないでしょう?私のおごりなんだから遠慮することないのよ?」

まこ「トッピングは無料じゃけどな」

京太郎(これはダメだ…)

京太郎(なら、せめて咲と和だけでも…)

京太郎「おい、良いか。咲、和」ひそひそ

咲・和「?」

京太郎「トッピングは付けるな。絶対に付けるな。良いな」

咲「え、何で…?」

京太郎「絶対だぞ。良いな」

店主「お待たせしました」

一般客「ktkr」

久「…な、なかなかの量ね」

咲「野菜がとんでもなく盛られてて麺は何処にあるの…?」

和「こ、これが…お店のラーメン…!」

まこ「ただまぁ、あれなら何とか…」

久「そうそう。私ヤサイマシマシでも行けるわ(多分)」

優希「いや、何言ってるんだじぇ部長。あれは…」

店主「トッピングは何に致しますか?」

優希「おっと!ヤサイマシマシニンニクアブラカラメで!」

京太郎「…ニンニクカラメで」

久「私もヤサイマシマシニンニクアブラカラメ!」

まこ「全マシで」

咲「な、なしでお願いします」

和「わ、私もなしで…」

久「あら、トッピングは自由とは言ったけど、抜いちゃうの?」

咲「だ、だって…」

和「正直あの量の野菜は厳しいです…」

咲「大盛りって言うからにはあの下に沢山の麺があるんだと思うし…」

優希「いやいや、さっきからみんな何言ってるんだじぇ?」

京太郎「…大丈夫、直ぐにみんな知る事になるから」

久「何よ意味深ねぇ」

店主「お待たせしました」

優希「いよっしゃぁ!来たじぇ!」


ドン


久・まこ・咲・和「」

京太郎「…」



― 人は予測不能な状況に陥ると

固まる動物だ ―(須賀京太郎)


参考

※写真は大ラーメンではない

久「なにこれ」

優希「ぶた入りW大ラーメン、ヤサイマシマシニンニクアブラカラメだじょ」

久「じゃああれは」

優希「ラーメン、ヤサイニンニクだじぇ」

久「つまりわたしは」

優希「これを注文したんだじぇ。いただきまーす!」

優希「ん?どうしたんだ皆。ラーメン来てるじょ?」

京太郎「いただきます」

久「」ドンッ!!!

まこ「」ドンッ!!

咲「」ドンッ!

和「」ドンッ!

優希「ふむ。野菜はこのままだと味がしないからスープをかけるといけるじぇ」

優希「そしてこの荒々しくも主張する叉焼をぱくり」

優希「うむ。食べ応えがあって見事だじぇ。油も良いアクセントになってる」

優希「スープは豚骨醤油がベースか?なかなか独特とした醤油を使っている」

優希「トッピング量は大食いで知られる私も満足するレベルだじぇ。野菜ウマー」

優希「時には大蒜を溶かしたスープで叉焼や野菜を付けて味の変化を楽しむ」

優希「さて、麺は大量の具のせいで埋まってしまっている…。ちょくちょく見え隠れしてるが、太麺だじぇ」

優希「とすると、放っておくと麺がスープを吸い過ぎてしまう。麺を先に味わうべきだじょ」

優希「溢さないように具と麺の位置を反転させるしかなさそう。よいしょっと」

一般客(なっ!?あの客、初めてだと言うのに天地返しだと!?)

従業員(やるじゃねぇか…この小娘!)

優希「思ってたより固めだじょ。柔らかめにしてもらっても良いくらいだったか…」

優希「濃い味が苦手な人は辛めを抜くと良いかも」

京太郎「うん。結構いける」ズズーッ

咲「た、食べるんだ…!食べてお姉ちゃんと再会するんだもん!」

和「た、食べないと…食べてお父さんに認めてもらわないと…」

まこ「……おい、久」

久「…はっ!私は何を!」

まこ「来とるぞ、ラーメンという名の何かが」

まこ(悪い予感は当たるもんじゃ…)

優希「ウマー」ズズーッ

京太郎「うん」ズズーッ

咲「め、麺の自己主張が強過ぎるよぉ…多いよぉ…!」

和「わ、私は叉焼の多さが…うぅ…」

まこ「や、やっと野菜が半分近く終わった…これ油要らんわ…」

咲・和・まこ(でも…)

久「…………」パクパク

久「…………」パクパク

久「…………」ゴクン

久「…………」パクパク

久(減らない)

久(目の前に広がるのは山を思い起こさせるような野菜の盛り付け)

久(その脇に申し訳程度に添えられた叉焼やトッピングの数々が)

久(あのさ、これ食べてて絶対溢すでしょ。置けば良いってものじゃなくない?)

久(そして、その下には太麺が大量に眠っていると…思われる…)

咲・和・まこ(あ、あれをやってたら死んでた…)

優希「ふぅ、ご馳走様だじぇ!」

五人「早っ!?」

優希「まだ食べたい気持ちもあるけど…」

店にいる人全員「!?」

優希「他のお客さんも待ってるから外で待ってるじぇ!オヤジ!美味しかったじょ!また連れてきて貰う!」

久「!?」

京太郎「ば、化物だなあいつ…」

まこ「あの小さい体の何処にどうやって…」

咲「ま、負けないもん…。ここで負けてたら…全国なんか行けっこないもん…!」

和「わ、私もです…。全国で優勝するためには…こんなところで諦めるわけには…!」

久(こ、これ女性が全部食べるのより、全国の優勝の方が簡単じゃないの!?)

久(って言うか野菜全く減らないんだけど!何なの!?少しは手を抜きなさいよ!)

スレタイでこないだの咲ちゃんが麻雀用語でしか喋れない話の続きかとオモタ

京太郎「ご、ご馳走様でした」

京太郎「……部長」ヒソヒソ

久「…どうしたの、須賀君」(ニンニク臭っ)

京太郎「俺、もう少しなら行けます」

久「!」

京太郎「……叉焼を、後何切れか程度ですが…」

久「……ありがとう、お願い」コソコソ

京太郎「じゃあ、俺もこれ終わったら外で待ってるんで…水要ります?」

久「………お願い」

まこ「」ズズーッ

咲「」ズズーッ

和「」ズズーッ

久「」パクパク

京太郎「……それじゃ、外で…」

久「……ええ」

久「………」

久(でも全然、状況は改善されてない)

久(こ、これ…全部食べるの無理でしょ…?)

久(ちょっとこれは残してもしょうがないわ…。みんなも納得してくれるわよね…)

久「み、みんな…」

咲「この容器の中身を±0に」ブツブツ

咲「ここを雀卓の上と見立てて…±0に…!」ゴッ

咲「±0±0±0±0±0」ズズズズーッ

久「!?」

和「冷静に考えなさい…私…」ブツブツ

和「まず、この戦い…水はこれ以上飲んではいけません…」ブツブツ

和「スープも飲む必要はありません…胃のスペース的に無駄です…むしろスープは残すべきです…」ブツブツ

和「スープの中に、ある程度の具は隠…残しても完食とは言えるでしょう…」ブツブツ

和「期待値的に考えると…麺と叉焼は絶対に食べるとして…」モグモグ

久「!?」

まこ「似たような状況があったわ…思い出すんじゃ…」ブツブツ

まこ「あれはそう…藤田プロが酔っ払って来店した時のこと…」ブツブツ

まこ「カツ丼メガ盛りを食わされた時の事を思い出すんじゃ…」ブツブツ

まこ「あの時は胃の空きスペースをフル活用して…」ズズーッ

久「!?」

咲「」モグモグ

和「」ズズーッ

まこ「」モグモグ

久(みんな超減ってるんだけど!?)

久(わ、私も自分の特技をやれば良いのね?悪待ち…悪待ち…!)

久(そうよ、待つのは慣れっこなんだから!)

久(待つ…待つ…待つ…)

久「何を!?」

一般客「!?」ビクッ

咲「……これで、±0…!」

和「………これがベストな食べ終え方…!」

まこ「……過去の体験が活きたわ…!」

久(みんな全部食べきってるーっ!?)

久(私は何を待ってるのよ!?逆にみんなが食べ終わった今、みんなが私を待つ事になるのよ!?)

久(いや待って。そうよ。今私が待ってたのは、みんなが食べ終わるのを待つって意味だったのよ!)

久(要は、この私の残りを4人で分け合って食べれば…)

咲「…ごちそうさまでした」フラフラ

和「…ごちそうさまです」フラフラ

まこ「…ごちそうさん」フラフラ

咲「じゃあ部長、私たちも…」

和「外で待っておりますので…」

まこ「に…大蒜が…油が…」

久「え、………ええ…」



<大丈夫かあの子たち
<見上げた根性だったぜ
<あのピンクってインハイミドルチャンピオンの原村じゃね?


久(ーって、みんな限界一杯なのにそんな事持ち掛けられるかーっ!!)

久(……でも、こっちもそろそろ限界。しかし、言い出しっぺが一人残すわけにはいかない…)

久(それだけじゃない…。何処からか突き刺さる視線が私を否応なく残させまいとしているわ…)


<ギルティか?
<ギルティ
<これはもうダメかもわからんね


久(………となると、やるしかないわね…!)

久「………」モグモグ

久「………」ズズーッ

久「………」モグモグ

久「………」カチャカチャ

久「御馳走様でした!」

一般客(…やるもんだぜ)

久「いやー。美味しかったわ。また来るわね」


<ギルティ回避
<しかも余力もある。涼しげだぜ
<今までが演技だったとでも言うのか…!?こ、こいつは曲者だ!
<初心者はロット崩すわ残すわと思ってたが…見直したな
<りっぱ!
<今後が楽しみだな…!


久「………」

久「………」

久(スープに水足してたくさん具材埋めてやったわ!)どやぁ

久(この状況下で、ハッタリ&マナ悪のWコンボ!自らを悪い状況に陥れる!これが私の真骨頂!)

久(堂々としていれば何も言われないものよ!)




その後、清澄高校は長野決勝卓を勝ち上がり、長野県代表の座を勝ち取った。

特に中堅戦は、大会史上類を見ない牌の飛翔やらが起こったり話題を呼んだ。

もっとも、中堅では区間一位、全体区間二位の高収入を清澄高校は得ているわけでもあるが。

だが、当日の清澄高校一行は約一名を除いてやつれた顔で、対戦相手から心配される程であったという。

それが2600による麻雀力のパワーアップによる反動のものなのか…

はたまた単に食べ過ぎ・胃のもたれ・消えない口臭&体臭によるストレス…etc.

それらによる体調不良だったかどうかは、誰も知らない…。



―東京・インハイ期間―


優希「聞いたかみんな!」

和「どうしたんです、優希」

優希「さっき宿舎付近に『ラーメン食べたい!』『2600食べたい!2600!』って走ってった人がいたんだじぇ!」

優希「何でも東京には2600の本店があるとか。そこで、私たちも更なるパワーアップのために本店2600へ…」

咲・和・まこ・久「行かない!!」


カン!

>>31
同じ人です。前作を読んで頂き、3900です。咲は可愛い。

ネットで話題(味については言及していない)の2600には年1行くかどうかの初心者です。
ちなみに本来長野にはありません。阿知賀一行+αが食べに行くSSも参考にさせて頂きました。

13巻発売記念連続SS上げ期間中です。明後日はみんなで本屋さんへGO!
読んで頂いた方、ありがとうございました。後ほどHTML化申請致します。

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