パッキー「うう……」 キティ「あなた大丈夫?!」 (42)

パッキー「こ、ここは?」

キティ「イギリスよ、ロンドンから少し離れた森」

パッキー「イギリス? あんたベトナム人じゃないのか?」

キティ「ちがうわよ、私は生まれも育ちもイギリスのロンドン!」

パッキー「……! そうだ、ボタはどこだ?!」

キティ「ボタって、あなたのお友達?」

パッキー「そうだ、友人だ。 ボタスキー」

キティ「黒いウサギさんのことね!」

パッキー「生きてるのか!?」

キティ「私のおうちよ、ミミィがみてるわ」

パッキー「連れてってくれ、大事な仕事なんだ」

キティの家

キティ「ココが私のおうち! ゆっくりしていって!」

パッキー「……懐かしい」

キティ「え? 何か言った?」

パッキー「いや、何でもない。 おい、ボタスキー!」

ボタ「や、やあパッキー! 紅茶飲むかい?」

パッキー「おいボタ、何してるんだ」

ボタ「おままごとさ、パッキー。 君もどう?」

パッキー「ボタスキー! お前任務を忘れたのか?!」

ボタ「わわわ、忘れちゃいないさ! ただ、その、この子に誘われてたら抜け出せなくなった」

パッキー「すぐにここを出るぞボタスキー、時間がない」

ボタ「そうしたいのは山々なんだけど、もう少し待ってよ」

パッキー「なぜだボタ?」

ボタ「アップルパイさ、もう少しで焼きあがるってさ」

パッキー「……」

ボタ「この世界はおかしいよパッキー、通信も全くつながらない」

パッキー「どういうことだ?」

ボタ「この通信機、壊れてないのにつながらない」

パッキー「貸してみろ……こちらキャットシットワン、応答せよ。 繰り返す、こちらキャットシットワン!…糞」

キティ「おじさん、それ何の遊び? 私にもやらせて!」

パッキー「いや、これは遊びじゃないんだお嬢ちゃん……ええと」

キティ「私キティ、キティ・ホワイト! あなたのお友達を見つけたのが妹のミミィよ」

パッキー「そうか、君は英語が得意なんだな」

ボタ「パッキー、キティはイギリス人だ」

パッキー「混血じゃないのか?」

ボタ「パッキー、この世界は僕たちと似てるけど全く違うらしい」

パッキー「混乱してきた」

ボタ「パッキーにしては珍しいな、でも今は現実なんだ」

パッキー「そもそも、なんで俺たちはイギリスに? 俺たちはあそこへ行く任務じゃないか」

ボタ「わからないよパッキー」

ミミィ「お待たせ~、あ! キティ、お手伝いしてよ」

キティ「ミミィ、このおじさんボタスキーさんのお友達ですって!」

ミミィ「こ、こんにちは私ミミィ…」

パッキー「こんにちは、ミミィ」

キティ「ミミィは恥ずかしがり屋さんなの」

パッキー「双子?!」

キティ「そうよ、だからリボンで分けてるの! 黄色のリボンがミミィで、赤が私!」

ボタ「パッキー、思い出そうよ。 昨日の出来事を」

キティ「おじさんたち、どこから来たの?」

パッキー「そろそろ『おじさん』はやめてくれ、俺はパーキンス、パッキーでいい」

キティ「それじゃパッキーさんたちはどこからきたの?」

パッキー「俺たちはアメリカ人だ」

キティ「アメリカ!? いいなぁ~、ニューヨークに行きたいわ~!」

パッキー「……」

パッキーの回想

パッキー『失礼します!』コンコン

ベックウィズ『入れ』

ギィー バタ

パッキー『パーキンス軍曹、入ります』

ベックウィズ『ご苦労だったパーキンス』

パッキー『はい』

ベックウィズ『今回の任務がおわって直ぐにも特別休暇を与えたいところだが、そうはいかなくなった』

パッキー『つまり…』

ベックウィズ『すまない、だが君にしかできない任務だ。 ぜひ志願してくれ』

パッキー『は! パーキンス軍曹、任務に志願します!』



パッキー『で、どの様な任務ですか』

ベックウィズ『北に行ってもらう』

パッキー『ベトナム…ですか?』

ベックウィズ『いや、冷戦で最初に生まれた兄弟だよパーキンス』

パッキー『朝鮮民主主義人民共和国……』

ベックウィズ『そうだ、北朝鮮に行ってくれパッキー』

パッキー『しかし、あそこは…』

ベックウィズ『そうだ、最近兄弟げんかこそしていないが、上の子がやんちゃばかりしている』

パッキー『彼らは彼らに任せては…』


ベックウィズ『そうはいかない、冷戦の残した赤子はいずれ邪悪なおもちゃを持つ』

パッキー『……』

ベックウィズ『我々の責任だ、ロシアも協力する。 カレの暗殺を…』

回想おわり

パッキー「……」

ボタ「ッキー……パッキー!」

パッキー「はっ」

ボタ「どうしたんだ、ぼーっとして」

パッキー「いや、おとといのことを思い出してた」

キティ「パッキーさん、アップルパイどうぞ! ミミィのアップルパイは美味しいのよ!」

ミミィ「えへへ、お口に合うかどうか…」

ボタ「ん! んまい! 美味しいよパッキー!」

パッキー「ああ、では少し……ん! おいしい…!」

ミミィ「よかったぁ~!」

キティ「でしょ! ママのほうがおいしいんだけど、ミミィのも負けてないわ!」

ボタ「こりゃうまいよ! なぁパッキー?」

パッキー「ああ…、だがなぜだ?」

ボタ「なにがさ」

パッキー「俺たちがこんなところにいる理由だよ」

ボタ「……」

パッキー「おとといは本部へ呼び出された、昨日だ! 昨日は何があったんだ?」

ボタ「昨日は、夕方16:00に飛行機に乗って…」

パッキー「そうだ、そこで俺たちは…」

パッキーとボタスキーの回想

<<あー、あー、本日は晴天なり。ロマニックからナモロール、聞こえるか?>>

<<ナモロール、感度良好。 ナモロールからキャットシットワン、降下地点まで6時間、良い空の旅を>>

ボタ「Rog(了解)、……全く冗談じゃないよ! 俺降下なんて嫌だよ」

パッキー「ぼやくなボタ、2回目だろ」

ボタ「パッキー、俺高いとこ駄目なの知ってるだろ?!」

パッキー「俺がついてる、安心しろ。 それに今回はロシアも味方だ、すぐに終わるさ」

ボタ「ロシア人は信用できない」

<<ナモロール、気を付けろ! そちらに何かが接近中だ>>

<<なんだ? あの光は?>>

ボタ「パッキー、窓を見てよ」

パッキー「ん?」

ボタ「何かが光った」

グアッ

パッキー「うあっ!」

ボタ「わああ!」

<<ナモロール、応答せよ!ナモロール!どうした、何があった?!>>

回想終わり

パッキー「だんだん思い出してきた」

ボタ「あの光のせいだ」

パッキー「俺たちは、異世界に飛ばされたんだ! それも、似たような世界に!」

キティ「異世界?! ますます素敵! パッキーさんたちは別世界から来たのね?!」

パッキー「そうとしか考えられない!」

ボタ「大変だ! どうするパッキー?」

パッキー「やはりこうしちゃいられない、ボタスキー!」

ボタ「う、うん」

パッキー「しかしどうする? 大使館に行っても、信用してはもらえない」

ボタ「それに僕たちは武装してるよ! このままじゃ警察に捕まるよ」

キティ「それなら、私たちのおうちにしばらくいればいいわ!」

パッキー「キティ、ありがたいが俺たちには時間がないし、ご家族には迷惑がかかる」

ボタ「でもパッキー、このままだとヤバいよ」

パッキー「わかってる、しかし…」

コンビニ行ってくる

再開

キティ「私たちのおうちがだめなら、秘密基地はどう?」

パッキー「秘密基地?」

ミミィ「私とキティでつくったの」

キティ「マイメロディちゃんや、サム君も内緒の秘密基地よ」

パッキー「とにかく、そこへ案内してくれないか?」

ボタ「待ってよパッキー!」

ID変わってたけど1

パッキー「俺が倒れていた森か?」

キティ「うん! リンゴの森の少し奥なの、あなたは秘密基地のそばに倒れてたのよ」

パッキー「キティ、周りに誰かいないか?」

キティ「ええ、大丈夫! ミミィ、後ろはどう?」

ミミィ「ええっと、うん! 大丈夫よキティ」

キティ「こんな遊び生まれて初めて!」

ボタ「はぁ……(俺たちは遊びじゃないっつーの!)」

フィーフィー「あら、キティじゃない! 」

キティ「わ!」

フィーフィー「どうしたのよ? なーんか隠し事でもしてるの?」ジトー

キティ「そんなことはないわよ、ちょっとリンゴの森に遊びに……」

フィーフィー「へぇ~、そこの二人のおじさんと?」

キティ「あ~、えっと~……」

パッキー「おじさんたちは狩りに行くんだ。 リンゴの森は初めてだからこの子に道を尋ねたんだよ」

フィーフィー「あらそう、キティはともかく、ミミィまで一緒なの?」

ミミィ「私はパイのリンゴを取るからついでに…」

フィーフィー「ま、いいわ! なーんか忙しそうだし私はジョディたちと遊んでくるわね」

フィーフィー「あ! そうそう、おじさんたち、リンゴの森は禁漁区よ」

パッキー「!」

ボタ「ヤバいよ、どうするパッキー?!」

フィーフィー「今日はわたしおばあちゃんに会いに行くから、全部秘密にしとくわね! ばあい!」

キティ「ほっ……あの子おしゃべりだからドキドキしちゃった!」

キティ「さぁこっちよ!」

続きは明日

リンゴの森 最奥部 秘密基地

ボタ「うわぁ すげぇ」

キティ&ミミィ「「ようこそ!私たちの秘密基地へ!」」

パッキー「しばらくここを使わせてもらおう」

キティ「パッキーさん、あとで食べ物持ってくるわね」

パッキー「ありがとう、キティ」

ボタ「あのアップルパイ、持ってきてほしいな」

キティ「ふふ! ボタスキーさんは食いしん坊さんね!」

ボタ「そ、そうかなぁ」

キティ「それじゃ、またね!」

パッキー「ああ、気を付けて」

パッキー「はぁ…」ドタッ

ボタ「パッキー、僕たちどうなるんだろ」

パッキー「分からん」

ボタ「あのキティって子、不思議だなぁ」

パッキー「なぜだ?」

ボタ「なんかさ、落ち着くんだよね…」

パッキー「お前、まさか…」

ボタ「違うよパッキー! そんなんじゃない!」

パッキー「じゃあなんだ?」

ボタ「えーと、その、うーん……なんだろう? ああそうだ、優しくなるんだ」

パッキー「優しくなる…?」

ボタ「うん、任務の前は怖いけど、殺す気分になる」

パッキー「ああ」

ボタ「あの子と一緒にいると、そんな気分も、任務もどうでもよくなっちまう」

パッキー「確かに、俺もそう思う」

ボタ「パッキー…?」

パッキー「最初、彼女の家に来た時、俺は『懐かしい』と言った」

パッキー「なぜそう言ったのかはわからん、だがなんだかわかる気がする」

ボタ「なぁ、パッキー…もしカミサマが俺たちをここに連れてきたんだとしたら……」

パッキー「…」

ボタ「いっそ、ここで一緒に……」

パッキー「ボタスキー、弱音を吐くな」

ボタ「俺、戦うのが怖くなった」

パッキー「俺たちは何のために軍隊に入ったんだ!」

ボタ「…」

パッキー「俺だって怖いさ」

ボタ「パッキー…」

パッキー「だが、戦わねば得られないものもある」

パッキー「この世界は、もしかしたら俺たちには無縁の世界かもしれない」

パッキー「しかし、だからこそ俺たちのような奴がいる時かも知れないんだ」

ボタ「俺、俺……わからないよパッキー」

パッキー「ボタスキー、いずれわかる時が来る」

ボタ「分かったよパッキー、がんばるよ」

パッキー「それでこそキャットシットワンのチームさ」

ボタ「へへっ」

キィィ・・・

パッキー「誰だ!」チャッ

キティ「きゃあ!」

パッキー「…! キティか…」スチャッ

キティ「もう、おどかさないでよ」

パッキー「いや、すまない」

キティ「夕ご飯を持って来たの、それとこれ」サッ

ボタ「なんだ? ずいぶん古い本だな」

パッキー「一体これは?」

キティ「パパの書斎から持って来たの」

ボタ「ふーん、えーと……なになに? 『赤い妖精の伝説』……」

パッキー「この本と俺たちに何の関係が?」

キティ「読んでみて」

パッキー「昔々、あるところに赤い妖精がいました…」

あかいようせいは、とってもいたずらずきで ときおり ひかりのみちを つくっては

たびびとや こどもたちを どこかのせかいへ つれていってしまうのでした

あるひ あかいようせいは またそらに ひかるみちを つくりました

そのとき あおいようせいが いたずらをやめるよう いいましたが

おこった あかいようせいが あおいようせいを ふうじてしまったのです

あおいようせいは 3にんの ゆうしゃに おまえはたおされ 2つのせかいをすくうだろう

そういうと そらのかなたへ きえてしまったのです

パッキー「……」

ボタ「パッキー、ひょっとして…」

パッキー「まさか、この伝説は俺たちのことを言っているのか?」

キティ「パッキーさんたちの言ってた光ってこの事じゃないかなって」

ボタ「だとしても、僕たちが勇者だなんて」

パッキー「もし、赤い妖精を倒したら、元の世界に帰れるのか?」

キティ「私、お手伝いするわ!」

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