博士「君は何故殺したんだい?」息子「『救済』のためです」 (16)

博士は息子と二人暮らしをしていた

ある日、飼い猫の姿が見当たらない事に気づいた博士は家中を探しまわる

息子の寝室に入ってみるとそこには手を血まみれにしている息子と無残にも腹を捌かれた猫が横たわっていた

博士「ふむ……」

息子が猫を殺したのだと瞬時に理解した博士だったが息子を怒りはしなかった

この時、博士に芽生えた感情は怒りや悲しみではなく……好奇心であったのだ

博士「君は何故殺したんだい?」

息子「……救済のためです」

博士「ほう……面白い……詳しく話してもらえるかな?」

息子「……」コクコク

息子「僕は猫を家に閉じ込めることが可哀想だと思ったんです」

博士「ならば猫を殺さずとも外に出してあげればいいのではないのかね……?」

博士「殺す必要は本当にあったのかね……?」

息子「外に出しても家の中で育ってきた猫が環境に適用できるわけがありません」

息子「閉じ込めるのは可哀想だし……外に出しても生き地獄……」

息子「だから殺すことにより救済してあげたんです」

博士「他の方法は思いつかなかったのかね……?」

息子「思いつきませんでした」

博士「そうか……では猫を片付けてシャワーを浴びてきなさい」

息子「ぼ、僕を怒らないのですか……?」

博士「何故怒る必要があるのかね……?そしてその君の問いかけ……」

博士「救済と言っているが実は間違っているんじゃないのかと心の奥底で思っているんじゃあないのかね……?」

息子「……」

博士「答えないか……まあいいさ」

数日後、家に一人の少女がやってきた

博士が養子として迎え入れたのだ

博士「こちら少女くんだ……今日から私達の家族の一人となる」

少女「……」

息子「……」

博士「まあこうなるのも無理はないか……時間をかけてお互い慣れていこうじゃないか」

数日後、またも少女が見当たらない事に気づいた博士は家中を探しまわった

すると今度は少女の寝室で首から血を流して横たわる少女と手にナイフを持った息子がいた

博士「ふむ……」

博士「また聞くが……君は何故殺したいんだい?」

息子「彼女は毎晩父親から性的虐待を受けていたそうです……」

息子「夜になるとその事を思い出し寝られくなると昨日僕に告白してきました」

息子「そして……彼女はもう死にたいと僕に言ってきたんです」

息子「なので殺しました……」

博士「ほう……一つ聞きたいことがあるのだが……」

博士「君は少女くんが『もう死にたい』といった時フォローしてあげたのかい……?」

博士「それともなんの声もかけず殺したのかい……?」

息子「なんの声もかけず殺しました」

博士「そうか……」

博士「では……少女くんを裏庭に埋めてきなさい」

博士「私は血糊の処理をする」

息子「……」

博士は次は息子は何を殺すのか……そして何と答えるのか楽しみにしていた

終わり

総理大臣「日本の65歳以上の方を全員……抹殺します」
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