マミ「私が必ず撃ち墜とす」 (4)
私は昔、交通事故で死んだ。
ぺしゃんこに潰れた車。一言も声を出さない両親。
おびただしく流れ出る血と、生まれて初めて味わう骨折の激しい痛み。
私を見つめる、小さな白猫。
私は、遠のき、ついに真っ暗になった景色の中で、ほのかに輝く天使に触れた。
その時に何があったのか、天使が私に何を言ったのかは、定かでない。
励まされたような気もするし、感謝されたような気もする。
ただ、一言だけは、しっかり覚えている。
「マミさん、死んじゃやだ」。
すがるような、涙混じりの声だった。
私は痛くて、暗くて、寒くて、どうしようもない気持ちでいっぱいだったけれど。
その天使の声を聞いて、諦めないことにした。
泣き虫な天使さんを泣かさぬように。
私がそう願い、最後の意識を手放すと……。
次の日、私は蘇っていた。
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QB「順調だね、マミ」
マミ「どういたしまして」
煌めく弾丸は魔女の眉間を貫いて、魔女と一緒に霧散した。
遅れて落ちる黒い宝石は、仕事のご褒美。
勝者の証。
マミ「これでもうしばらくは、街も大丈夫かしら?」
QB「今ので、また見滝原から魔女の姿が消えてしまっただろうね」
マミ「けど、使い魔はいるでしょ?」
QB「うーん……グリーフシードが手に入らない戦闘は、極力避けるべきなんだが……」
マミ「きゅーべー?」
QB「うん、わかってるよ。使い魔も倒すんだよね」
マミ「とーぜんです」
魔法少女、といえば、一般的には日曜日のお楽しみ。
私もそうだったのだけれど、あの日を境にして、私の中での魔法少女は、大きく意味を変えた。
マミ「明日は、遠征ね。気になるベーカリーがあったから、ついでにそこに立ち寄ってみたいわ」
QB「もしかして……そこって、杏子の縄張りじゃなかったかな」
マミ「良いの良いの、少しくらいは、ね?」
QB「怒るだろうなあ」
マミ「平気よ、笑って許してくれるわ」
QB「そんな事、今まで一度もなかったけどね」
最初は、新たな意味での魔法少女に戸惑ったけど。
今ではすっかり、慣れてしまっている。
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