~~~~~
こうさかけ!
穂乃果「やっぱり夏といえばアイスだよねっ!おいしーっ」
海未「……」
穂乃果「夏休みで練習もお盆明けまではナシだし天国だねっ」
海未「……」
穂乃果「えへへ、もう一個食べちゃおう!あ、海未ちゃんもどうかな?」モグモグ
海未「いりません」
穂乃果「そっかー、じゃあ海未ちゃんの分まで穂乃果が食べちゃうね!」ワーイ
海未「……穂乃果、最近たるみすぎではないですか?」
穂乃果(また海未ちゃんのお説教タイムだよ!)
海未「せっかくの学校も練習も休みなんですから、何かしようとは思わないのですか!」
穂乃果(これが始まると長いんだよねぇ……)ハァ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409953132
海未「ことりを見習ったらどうですか?わずかな時間でも服飾の勉強をするため
専門学校の体験入学に行っているというのに!」
穂乃果「むぅ……、海未ちゃんだって毎日のようにウチに来てるだけじゃん……」
海未「私は宿題をやっています!横で話しながらグーたらしてるあなたとは違います!」
穂乃果「うぅ……、怒るくらいなら自分の家でやればいいのに……」シュン
海未「そ、それは……」
穂乃果「それは?」
海未「……穂乃果と少しでも一緒にいたいからです」ボソッ
穂乃果「へぇ~、やっぱり海未ちゃんはかわいいね!」ニヤニヤ
穂乃果「穂乃果たち付き合ってるんだもんね!やっぱり一緒に居たいよね~」ツンツン
海未「ほ、ほっぺをつつかないでください!」
穂乃果「嬉しいくせにっ、ほらほら!」ツンツン
海未「や、やめてくださいっ!」ドキドキ
穂乃果「もう!素直じゃないなぁ」
海未「やはり穂乃果には少しお灸をすえる必要がありそうですね……」
穂乃果「お、お灸!?」
海未「ええ、穂乃果の根性を叩き直すためにもここはそうですね……」
海未「山頂アタックです!」
~~~~~
海未『出発は明日の9時です!迎えに来るので準備しといてくださいね』
海未『いいですか?きちんと準備するんですよ?後悔しても知りませんからね?』
海未『交通費その他もろもろの経費は誘った側なので私が出しておきます』
海未『万全の準備でお願いしますよ!』
穂乃果「とか言い残してそそくさと帰っちゃったけど準備ってなにもってけばいいの……」
穂乃果「ってか明日ってすごく急だし、絶対前々から計画してたよね!」
穂乃果「考えても仕方がないや、とりあえず長袖とスニーカーと水筒持ってけばいいかな」
穂乃果「出る時間も遅いし、この辺りの山だと高尾山とかかな?
それくらいならなんとかなるよねっ!」
穂乃果「この前買った可愛いリュックがようやく使えるよ~」
穂乃果「それになんだかんだで海未ちゃんとのお出かけだしね///」
穂乃果「明日が楽しみだな……、よし今日は早めに寝とこうっ!」
・
・
・
ガチャ
??「んー、これが明日のリュックかな?」
穂乃果「zzz」スピーッ
??「……やっぱり海未さんの予想通りだね
お姉ちゃん適当にしか準備してないね」
??「とりあえずこのリュックとすり替えておけばいいんだよね」
ゴソゴソ
??「ミッションコンプリート♪」
??「必要最低限の物は入ってるらしいよ!じゃあ明日は頑張ってね!お姉ちゃん」ニヤリ
~~~~~
次の日の朝!
海未「――てください―――穂乃―――」
穂乃果「うぅ……あさぁ?」
海未「起きてください穂乃果っ!迎えに来ましたよ」
穂乃果「ぅ海未ちゃん!?どうして穂乃果の部屋に……」
海未「まったく、今日は山頂アタックの日ですよ?」
穂乃果「そ、そうだった!今何時っ!?」
海未「ふふっ、どうせ寝坊してると思ったので早めに来ましたので大丈夫です」
穂乃果「よかったぁ」ホッ
海未「とは言ったもののそこまで余裕があるわけでもないので急いで準備してくださいね」
穂乃果「はーい!」
・
・
・
穂乃果「よし、身だしなみOK!ほのまげもOKだねっ!」
穂乃果「あとは昨日準備したリュックを持ってっと……あれ?」
穂乃果「こんなリュックだったっけ……、それに荷物が多いような……」
<ホノカー?マダデスカー?
穂乃果「うわぁ!急がなきゃ!」タッタッタ
~~~~~
駅!
タダイマデンシャガマイリマス
穂乃果「へぇー。この電車乗るんだね!高尾山に行ったことないから知らなかったよっ!」
海未「ふふっ……」
穂乃果「ねえ、どれくらいで付くの?」
海未「そうですね、乗り換えとかも含めて4時間くらいでしょうか」
穂乃果「ふーん、そんなにかかるんだ」
穂乃果(高尾山って東京だよね?そんなにかかったっけ……)
穂乃果(わかった!どっかの球場みたいに同じ県にあるのに遠回りしないといけないんだね!)
海未「結構かかるので寝てて大丈夫ですよ。着いたら起こしますので」ハイ、オチャドウゾ
穂乃果「ありがとっ!でもさっき起きたばっかりだし眠くないよ~」
海未「本当ですか?無理しないでいいですよ」
穂乃果「あれ……なんだか……眠くなって……き……た」スピィースピィー
海未「ふふっ、可愛い寝顔ですね」ナデナデ
海未「次に目が覚めれば目的地ですよ。それまでゆっくりお休みなさい」
~~~~~
富士山須走口!
穂乃果「……」
海未「バスで来たので降りると一気に冷えますね」
穂乃果「……」
海未「この辺で気温が16度しかないらしいですよ?頂上は何度なんでしょうね」
穂乃果「ねえ」
海未「どうしましたか?」
穂乃果「……ここどこ?」
海未「富士山ですよ?」
穂乃果「穂乃果たちはなんでそんなところにいるのかな?」
海未「これから登るからに決まってるじゃないですか」
穂乃果「高尾山は……?」
海未「高尾山?なにおかしなことを言ってるんですか?」
穂乃果(これは夢だこれは夢だこれは夢だ!)
海未「私たちがこれから登るのは富士山ですよ」
穂乃果「夢じゃないぃぃぃぃっ!?」
海未「はい、これが穂乃果用の登山靴です。」
海未「さっ、早くそのこじゃれたスニーカーを脱いでください。
それでは中に小石が入ってしまいますよ」
穂乃果「」
海未「あと帽子です。その帽子は私からのプレゼントです!」
海未「ふふっ、やっぱり似合いますね。さすが私です」フフン
海未「あと今のうちに日焼け止めも塗っておいた方がいいですね」ヌリヌリ
海未「それでは始めましょうか」
海未「山頂アタックです!」
穂乃果「」
~~~~~
五合目~
海未「さすが富士山ですね、空気が気持ちいいです!」
穂乃果「うー……、なんでこんなことに……」
海未「まだ拗ねてるんですか?」
穂乃果「当然だよ!なんでドッキリみたいなことするの!?」
海未「穂乃果の驚く顔が見たくて……」
穂乃果「悪質だよっ!」
海未「それに……どうしても穂乃果と一緒に富士山に登りたかったんです」
海未「来年は受験で多分自由な時間などほとんどないでしょう
だから今のうちに二人でいっぱい思い出作りたかったんです……」シュン
穂乃果(うぅ……、卑怯だよ!そんなこと言われたら怒れないじゃん……)
穂乃果「……反省してる?」
海未「はい、海よりも深く……」
穂乃果「もう!今回だけだからね!」
海未「穂乃果ぁ!」パァァッ
穂乃果「ただし次またやったら本気で怒るからね?」
海未「はい!もちろんです!」
穂乃果「それに考えてみれば富士山なんて行く機会ないもんね!
登りきれば絵里ちゃん達に自慢できそう!」
穂乃果「よーし!がんばるぞー!」
~~~~~
六合目
海未「ここが六合目の山小屋ですね。少し休みましょう」
穂乃果「はぁ……はぁ……、そうだね……」
海未「疲れましたか?」
穂乃果「まだ大丈夫だよ!いけるいける!」
海未「ふふっ、それでこそ穂乃果ですね」
穂乃果「元気だけが取り柄だからね!」
海未「でもあまり無理はしないでくださね?先は長いのですから」
穂乃果「うっ……、そうだね……」
海未「とりあえず軽く食事を食べましょうか。はいランチパックです」
穂乃果「わーい!お腹ぺこぺこだったんだっ」
海未「もう13時過ぎですからね。食べ過ぎて歩けなくなるといけないので
休憩ごとに少しずつ食べてましょうね」
穂乃果「了解っ!海未ちゃんは頼りになるな~」モグモグ
海未「登山なら任せてください!」
穂乃果(でも何か引っかかるなぁ……、なんだろうこの感じは)
~~~~~
本六合目
穂乃果「はぁっ……はぁっ……」
海未「だいぶ辛そうですね」
穂乃果「うん……、ちょっときついかも……」
海未「あの辺りの岩に座って少し休憩にしましょう。はい、お水です」
穂乃果「ありがと……」ゴクッゴクッ
穂乃果「ぷはーっ!生き返る~……」
海未「おじさん臭いですよ?」
穂乃果「うー、だって美味しいんだもん!やっぱり富士山で飲むと格別だねっ」
海未「ふふっ、確かにそうですね」
穂乃果「ところでだいぶ木や植物がなくなってきたねー
海未「だいたいこの辺りが森林限界ですからね」
穂乃果「森林限界?」
海未「簡単に言うと植物が生えなくなる高度のことですね。
だいたい富士山だとこの辺りなんです」
穂乃果「ほぇー。じゃあもっと上に行くと植物が全くないんだね!」
海未「ええ、山頂の方は石や砂利の世界らしいですよ」
穂乃果「どんな光景なんだろう……。楽しみだねっ!」
海未「そうですね。ではもう14時も過ぎましたし行きましょうか」ニッコ
穂乃果「もうそんな時間なんだね!急がなきゃだね」
海未「これから先は、さらに歩きにくくなりますので気を付けてくださね」
~~~~~
7合目
穂乃果「ぜはぁっ……ぜはっ……」グッタリ
海未「だいぶつらそうですが……」
穂乃果「いいから……、話しかけないで……」ハァハァ
穂乃果「だい……たい……初心者が……富士山登るのが……おかしいんだよ!」
海未「あら、まだまだ元気そうですね」
穂乃果「余計な……こと言うと……殴るよ?」ギロッ
海未「す、すみません!」
穂乃果「今……一体どのくらいの時間登ってるの……?」ハァハァ
海未「今が3時過ぎなので3時間くらいですかね……」
穂乃果「さ、三時間……」
海未「標高でいうともう1000m位は登ってますよ!」
穂乃果「む、むしろ三時間かけて1000mなの……?」ガクゼン
穂乃果「これじゃあ死んじゃうよ!家に帰りたいよ……」
海未「そんな時こそ登り始めの言葉を思い出して頑張りましょう!」
穂乃果「こんな状態じゃあ思い出せないよっ!どんどん寒くなって来るし
道も歩きにくいし!もう嫌だよ……助けてよことりちゃん!絵里ちゃん!」ウルウル
海未「とは言っても目的地まであと500mもないですよ?」
穂乃果「へっ?あと2776mあるんじゃないの……?」
海未「それは1合目から山頂を目指した場合の話ですよ?」
穂乃果「何か違うの?」
海未「そういえば穂乃果は寝ていたから知りませんでしたね」
海未「私たちは五合目から登っているのでそこまで距離はないんですよ」
穂乃果「つ、つまり……?」ポカーン
海未「あと40分も歩けば今日の目的地に着くということです!」
穂乃果「……」
海未「あと40分頑張らずに3時間かけた来た道を引き返しますか?」
穂乃果「もう!それを早く言ってよっ」
穂乃果「よーし!いくぞ!後ちょっと気合入れてさっさと登って帰ろう!」
海未「さすが穂乃果です!その調子で早く行って休みましょう」
穂乃果「あとちょっとファイトだよっ!」
~~~~~
本8合目
穂乃果「ぜぇ……はぁっ……ぜぇ……はぁっ……」
海未「ちょっとペースを飛ばしすぎではないですか?」
穂乃果「ヤケだよヤケ!もうこうなったら勢いで登るしかないんだよっ!」
海未「その元気どこから出てるんですかね、本当に穂乃果は不思議な人です」
穂乃果「穂乃果にとっては、こっちの荷物まで持ってるのに息切れすらしてない海未ちゃんが不思議だよ……」
穂乃果「ところでもうすぐ40分だよね……、頂上がみえてこないんだけど……」
海未「ええ、頂上はまだ先ですね」
穂乃果「へっ?だってもう目的地だって言ってたよね……」ゼェゼェ
穂乃果「目の前には山小屋しかないし穂乃果もう体力も足も限界なんだけど……」
海未「あっ!目的地に着きましたよ!」
穂乃果「ただの山小屋じゃん……、馬鹿にしてるの?」ムッ
海未「いえ、この山小屋が目的地ですよ?」
穂乃果「冗談はいいから。もう日も沈んできたし帰りの時間考えると相当まずくない?」
海未「帰りの時間を考えた場合はもうアウトですね」
穂乃果「……」タラタラ
穂乃果「ねえ、今何時なの?」タラタラ
海未「5時ですね」
穂乃果「今から頂上に行って下山ってできるの?」タラタラ
海未「多分途中で遭難するかと……」
穂乃果「そっかー、じゃあ穂乃果たちの登山はここで終わりだね!」タラタラ
海未「はい、今日の分は終わりですね」
穂乃果「……さっきから引っかかってたんだけど『今日』とか『目的地』とか
ちょっと変わった言い回ししてるよね」タラタラ
海未「そうですか?」
穂乃果「うん、まるで明日も登山する予定で今日はこの山小屋まで来ることが
目的だったみたいな……気のせいだよねっ。早く帰ろうか!」タラタラ
海未「いえ、今日はここが私たちのキャンプ地ですよ?」
穂乃果「まったまたー!もういいからさ!早く帰ろうよ!」
海未「ここを私たちのキャンプ地とします!」
穂乃果「」
海未「では寒くなって来てますし早く入りましょうね」
穂乃果「えっ?ちょっと?本気?」
<スイマセンー、ニメイデヨヤクシテタコウサカウミデスガ
<コウサカサンデスカ?オマチシテオリマシタ!
穂乃果「」ボーゼン
~~~~~
山小屋
穂乃果「うぅ……まさか恋人との初外泊が山小屋だなんて……」
海未「胸が高鳴りますね」
穂乃果「全然高鳴らないよ!」
海未「もしかして穂乃果は私と一緒は嫌なのでしょうか……」
穂乃果「嫌なのは場所というかシチュぇーションというか……」
海未「私は穂乃果とならばどこでも天国に感じるのですが穂乃果は違うんですね……」
穂乃果「その聞き方は卑怯だよ本当……」
海未「穂乃果ぁ……」
穂乃果「もう!私も海未ちゃんとならどこでも天国だよっ!大好きだもん!」
穂乃果「だからもぎゅー―――あれ?いない?」
<ホノカー?ネドコニアンナイサレルラシイデスヨー
穂乃果「……山のことになると本当に人変わるよね」
・
・
・
穂乃果「……ねえ海未ちゃん」
海未「なんですか?」
穂乃果「ここなに?」
海未「私たちの寝床ですよ?」
穂乃果「ふーん、この寝袋は?」
海未「布団変わりですよ、さすがにここまで布団を運べませんからね」
穂乃果「うん、それはわかるよ?穂乃果が疑問なのはそういうことじゃないんだ」
海未「ではなんなのですか?」
穂乃果「なんなの!この寝袋の数は!あまりにも多すぎて隣の寝袋との間隔が1mmもないよ!?これ絶対隣の人とぶつかるでしょ!」
海未「今がシーズンですからね……、しょうがないですよ」
穂乃果「こんなんで寝れるわけないじゃん!穂乃果絶対に寝ないからね!」
海未「寝ないとつらいのは穂乃果だと思いますが……」
穂乃果「ふん!知らないよっ」
海未「ちなみに行っておきますが0時起床で出発ですからね?」
穂乃果「えっ?」
海未「富士山に登ったからにはご来光を見ないとはじまりませんから!」
穂乃果「……それも全く聞いてないんだけど」
海未「穂乃果は嫌ですか……?穂乃果と最高の思い出を作るために考えたのですが……」
穂乃果「はぁ……、それは卑怯だったら……。わかったよ頑張って寝るよ」
海未「ふふっ、さすが穂乃果です」ナデナデ
穂乃果(最近海未ちゃんに軽くあしらわれるようになって気が気がするなぁ……)
穂乃果「んっ……」
海未「どうかしましたか?」
穂乃果「うん、……ちょっとお手洗いいってくるね///」
海未「あ!それなら小銭を持っていかないとダメですよ!」ハイッ
穂乃果「小銭?どうして?」
海未「行けばわかりますよ、ファイトですよ!」
穂乃果「うん?」
・
・
・
穂乃果「ここがお手洗いだね、やっぱりあまり綺麗じゃないなぁ……」
穂乃果「なんかドアの前に書いてあるよ?何々……」
~使用料一回300円~
穂乃果「お金かかるの!?たかっ!理由は何々~」
穂乃果「なるほど……、水が貴重で管理費の問題とかがあるんだね……」
穂乃果「でもこれ入口に箱が置いてあるだけだからこれって……」
穂乃果「いやいや!ルールなんだからそんなこと考えちゃだめだよね!」
穂乃果「もういいや!いれちゃおうっ」チャリーン
・
・
・
穂乃果「ふぅ……、すっきりした……」
穂乃果「早く手を洗って戻らないと」
キュッ――チョロチョロ
穂乃果「あれ、おかしいなぁ」
キュッキュッ―――チョロチョロ
穂乃果「蛇口捻っても水が全然でないよっ!?これで手を洗えって言うの!?」
穂乃果「水が貴重なのはわかるけどきつい……きつすぎる……」グスッ
・
・
・
海未「どうでしたか?」
穂乃果「知らないよ……、もう寝るから!おやすみっ」
~~~~~
山小屋20時
穂乃果(とは言ったものの……やっぱり隣の人が気になって寝れないよ……)モゾモゾ
穂乃果(周りも男性の人ばっかりだし落ち着けないよ……)モゾモゾ
海未「穂乃果、眠れませんか?」ヒソヒソ
穂乃果「うん……、ちょっと周りが気になっちゃってね」ヒソヒソ
海未「それならいい考えがありますよ」ヒソヒソ
穂乃果「いい考え?」ヒソヒソ
海未「こうするんです」ギュッ
穂乃果「う、海未ちゃん?///」ヒソヒソ
海未「二人でもっとくっ付けば隣とのスペースが空きができますよ」ヒソヒソ
穂乃果「う、うん///」ヒソヒソ
海未「それではおやすみなさい、明日も頑張りましょうね」ヒソヒソ
穂乃果「おやすみ」ヒソヒソ
穂乃果(海未ちゃんの匂いだ……なんか安心できる……な……)zzz
~~~~~
0時!
海未「さあ出発です!残りはあとちょっとなので頑張っていきましょう」
穂乃果「……」ガクガクブルブル
海未「夜道は本当に危ないので懐中電灯が必須ですよ?
大丈夫です二個もってきてるので」
穂乃果「う、海未ちゃん……、それよりさ、寒いんだけど……」ガクブル
海未「現時点で3度しかないですからね……、
頂上は風もありますし体感気温は氷点下でしょうか」
穂乃果「凍死しちゃうよ!ム、無理だよ!」
海未「ファイトです!……と言いたいところですが本気で危ないですからね」
穂乃果「だ、だよね!」
海未「ということで私の上着を数枚貸してあげます」
穂乃果「でもそれだと海未ちゃんが……」
海未「大丈夫ですよ、穂乃果のためですから」ニッコリ
穂乃果「う、海未ちゃん……!///」
海未(こうなるのは想定済みでだいぶ多めに持ってきたんですけどね)
~~~~
9合目
海未「穂乃果、寒くはないですか?」
穂乃果「うんっ、海未ちゃんのおかげで暖かいよ」
海未「今は動いてるってのもありますね、油断はしちゃダメですよ?」
穂乃果「はーい!」
・
・
・
海未「だいぶ歩きましたね……、もうそろそろのはずですが」
穂乃果「もうひと頑張りっ!――あ!」
海未「どうしましたか?」
穂乃果「空を見て!星がすっごいよっ」
海未「本当ですね……、明るい東京ではまず見れない量です」
穂乃果「うっわー!こんな満開の星空見たことないよ!感激だなぁ~」
海未「星空……、そういえば凛は今頃何をしてるんでしょうか……、ぐうたらしてそうですね。
来年は凛の根性も叩き直すべきですかね……」
穂乃果「むー、せっかく二人きりなんだから他の子のこと考えちゃだめだよ!」
海未「すみません……」
穂乃果「海未ちゃんは浮気性だから穂乃果は心配だよ!」
海未「うぅ……、そんなことはないんですが」
穂乃果「無自覚なのがさらにダメだね」
海未「そうでしょうか……。あ!流れ星です!」
穂乃果「えっ?どこどこ!?」キョロキョロ
海未「ふふっ、もう消えてしまいましたよ?」
穂乃果「えー!海未ちゃん何かお願い事したの?」
海未「ええ、バッチリです」
穂乃果「海未ちゃんズルイ!穂乃果も見つけてお願いする!」
海未「そんな簡単には見つかりま―――「流れ星だっ!」
海未「へっ?」
穂乃果「あ!また流れた!また!また!次は二連続だよっ!」
・
・
・
海未「富士山は流れ星が見やすいと聞いていましたがまさかこれほどとは……」
穂乃果「まさにバーゲンセールだったね!一生分のお願いしちゃった」エヘヘ
海未「何を願ったんですか?」
穂乃果「うーん、宝くじに当たりますようにと一杯パンが食べれますようにとね……
後は色々!」
海未「……穂乃果らしいですね。でも私達のことはお願いしてくれなかったんですか?」
穂乃果「うーん、それはお願いしなかったんだよね」
海未「な、なぜですかっ。もしかして貴方は……!」
穂乃果「だって私と海未ちゃんのこれからなんてお願いする必要もないでしょ?
お願いなんてしなくてもずっと二人一緒に幸せだからねっ」ギューッ
海未「ほ、穂乃果///」
穂乃果「えへへ、あとちょっとなんでしょ?じゃあいこっ!」
海未「はい!」
穂乃果(でも海未ちゃんが浮気しませんようにってくらいは願うべきだったかな?)
~~~~~
頂上!3時
穂乃果「とうちゃーく!」フンス
海未「ついにたどり着きましたね!」
穂乃果「うん!さすがにすごい達成感だねっ」
海未「富士山の初登山が穂乃果と一緒だなんて……まるで夢みたいです」
穂乃果「私も道中何回も夢であることを願ったけど現実みたいだからね。
ほらっ、日の出みにいこ!」
海未「はいっ!」
・
・
・
ヒューヒュー
穂乃果「風強いね」
海未「そうですね」
穂乃果「寒いね」
海未「動いてないとやっぱり堪えますね」
穂乃果「真っ暗だしね」
海未「ですね」
穂乃果「……ねえ、いつ日の出は見れるの?」
海未「日の出予報によると5時らしいですよ」
穂乃果「……今何時?」
海未「3時です」
穂乃果「……あと二時間あるよね」
海未「ありますね」
穂乃果「その間は穂乃果達はどうするの?」
海未「ジッと待ち続けるしかありません」
ほのうみ「…………」
ほのうみ「…………」
穂乃果「し、死んじゃうよ!?こんな寒さの中じっと待ってるだけとか!」
海未「かといって場所取りもあるので二人で動くわけにもいきませんし……」
穂乃果「死んだら元もこうもないんだよ!?なにかっ、なにか温まる方法は!?」
海未「一応向こうの売店と自販機で温かい物を買うことはできますが……」
穂乃果「それを早く言ってよ!ちょっと買ってくるねっ」タッタッタ
海未「値段の方が……って行ってしまいましたか」
・
・
・
穂乃果「うぅ……さぶい……早く温めるものを買わないと……」
穂乃果「えーっとメニューは……」
牛丼1000円
うどん900円
ラーメン1100円
豚汁700円
穂乃果「さ、さすが頂上……。ものすごく高いよ……」
穂乃果「いつもなら300円もあれば食べれそうな物たちなのに……」
穂乃果「とりあえず飲み物もみよっかな……。嫌な予感するけど」
缶コーヒー400円
穂乃果「あの小さな缶でこのお値段!?」
穂乃果「うぅ……、下界の四倍はするよ……」
穂乃果「かといってこの寒さだし、背に腹は変えれないよね……」ブルブル
穂乃果「海未ちゃんの分もっと……」
穂乃果「はっ!お金が……しょうがないひとつでいいよね……」
穂乃果「すいませーん!うどんひとつくださいーい」
<ハイ、マイドアリ!
・
・
・
穂乃果「お待たせ海未ちゃん!」
海未「おかえりなさい、何か買ってきたんですか?」
穂乃果「うん、うどんを一つ買ったんだ♪ほら、一緒に食べよう?」
海未「わ、私ももらっていいんですか?」
穂乃果「当然でしょ?寒いのは海未ちゃんだって一緒だもん」
海未「穂乃果……」ジーン
穂乃果「でもお箸一本しかもらってこなかったんだ……」
穂乃果「だからあーんしてあげるね!あーん♪」
海未「んっ……」モグモグ
穂乃果「どう、美味しい?」
海未「はい、とっても美味しいですよ」
穂乃果「良かった~、じゃあ次は穂乃果が食べるね」モグモグ
穂乃果「うーん、普通のうどんって感じだなぁ……」
海未「私はとても美味しく感じましたが……」
穂乃果「それはきっと穂乃果が食べさせてあげたからだよ……
そうだ!じゃあ海未ちゃんが穂乃果に食べさせてくれればいいんだっ」
海未「なっ……!」
穂乃果「はい、お箸!ほら冷めちゃう前にお願いっ」
海未「……しょうがないですね、ほらあーん」
穂乃果「んーっ、やっぱり海未ちゃんに食べさせてもらうと美味しいね」モグモグ
海未「そ、そうですか?」
穂乃果「うんっ!ほら次は海未ちゃんの番だよ。はい、あーん!」
海未「あ、あーん///」
・
・
・
穂乃果「うぅ……うどん食べてるときは暖かかったけど」ガクガク
穂乃果「食べ終わるとやっぱり寒いよぉ……」ブルブル
海未「大丈夫ですか?」
穂乃果「駄目かも……、こうなったらもう一個うどんをっ」
海未「穂乃果っ」ギュッ
穂乃果「きゅ、急にどうしたの!?」
海未「ふふっ、うどんのお礼です。二人でくっ付いていれば寒さもましになると思います」
穂乃果「うん……本当だね。すっごく暖かい。それに海未ちゃんの匂い
すっごく安心できるんだ」
穂乃果「地獄のようにつらい場所なのに海未ちゃんといるとなんだか幸せだね」ギュッ
海未「私も穂乃果さえいればどこに居ても幸せになれる自信がありますよ」
穂乃果「うん……あり……がとう……うみちゃ……zzz」グゥグゥ
海未「穂乃果?」
海未「寝てしまったみたいですね、慣れてない登山でいきなり富士山とすれば疲労も当然ですよね……」
海未「凍死は……大丈夫ですよね。日の出まで眠らせておいてあげましょうか」
海未「今日は穂乃果の寝顔をたくさん見ている気がします」
海未「何度見ても可愛い寝顔ですね」ナデナデ
~~~~~
山頂!5時
海未「穂乃果、起きてください。穂乃果っ!」
穂乃果「うーん……海未ちゃん、穂乃果の……食べちゃダメだよ……」
海未「どんな夢を見てるんですか……、起きてくださいっ!日の出ですよ!」
穂乃果「うーん……、はっ!寝てた!?そうだ!日の出だっ!」
海未「おはようございます。ちょうど日の出の時間ですよ」
穂乃果「どこどこ!?日の出どこ!?」
海未「焦らなくても大丈夫ですよ、ほら少しずつ明るくなってきたでしょう?」
穂乃果「う、うん!これから日の出なんだね……」ドキドキ
穂乃果(うぅ……ここまで長くつらく険しい道だったけどついにゴールなんだね……!)
海未「出てきましたよっ!」
穂乃果「うわぁ……これが日の出なんだね」
穂乃果「明るくなって気が付いたけど下にあるのって全部雲だよね?綺麗……」
海未「ええ、雲海ですね。初めて実物を見ましたが感動ですね」
穂乃果(富士山から見える日の出は私が見たどんな景色よりもきれいで)
穂乃果(この景色を海未ちゃんと二人で見れた、
そのことに胸がいっぱいになってくる……)
穂乃果「とっても綺麗だね」ギュッ
海未「穂乃果?……ええ、そうですね」ギュッ
穂乃果「私ね、登ってるときはつらいことも多くて
騙して連れてきた海未ちゃんを恨んだりもしたんだよ?」
海未「すみません……」
穂乃果「でもね、この景色を見たらそんなこと全部許せちゃった」
穂乃果「それどころか海未ちゃんに感謝してるんだよ?
ありがとね!こんな素敵な景色を私に見せてくれてっ」
海未「……穂乃果は優しいですね」
穂乃果「違うよ、今はこれが本心だもん
海未ちゃんと一緒に綺麗な景色が見れて、私はすごい幸せなんだ」
海未「……そんな貴方だから私は好きになったんでしょうね」ボソッ
穂乃果「? 何か言った?」
海未「ふふっ、なんでもないですよ。それよりもほら、とても綺麗ですよ」
穂乃果「そうだ!日の出をバックに二人で写真撮ろうよ」
海未「脚立もないのに二人で取るのはちょっと無理じゃないですか?」
穂乃果「大丈夫大丈夫!日の出をバックにしてこうやってくっつけばっ」ギュッ
海未「あっ……もう!強引なんですから!」
穂乃果「笑って笑って!はい、チーズっと!」パシャパシャ
海未「どうですか?上手に撮れましたか?」
穂乃果「うんっ!ばっちりだよ。今度一緒にカメラ屋さんいこうね」
海未「そうですね、焼きあがったらその写真は宝物にしますね」
穂乃果「うん、穂乃果もそうすると思う」
・
・
・
穂乃果「ふぅ!日の出とっても綺麗だったね」
海未「ええ、一生の思い出です」
穂乃果「今回はつらかったけど何だかんだで凄く楽しかったなぁ」
海未「私も同じです」
穂乃果「ねえ、これからも二人でもっといっぱい綺麗な景色を見に行こうね」
海未「当然じゃないですか、これから先もずっと一緒なんですから……ね」
穂乃果「うんっ、でも山はもういいかな……」アハハ
海未「わ、私はできればもっと穂乃果と登山をしてみたいんですが……」ウルウル
穂乃果「うっ、す、すぐにはあれだからまた時間置いたね!」
海未「約束ですよ?では今度は穂乃果の好きなところに行きましょうか」
穂乃果「本当!?それなら中華街とか北海道とか道頓堀とか行ってみたい!」
海未「全部食べ物系じゃないですか?」
穂乃果「き、気のせいだよ!」ギクッ
海未「まったく、穂乃果は本当に食いしん坊なんですから……」
穂乃果「うー、それより早く帰ろうか!もうくたくただしシャワー浴びたいよぉ」
海未「そうですね、では戻りますか」
穂乃果「うん!帰ったらみんなに自慢しないとね♪」
・
・
・
穂乃果「……ねえ、ところでどうやって帰るの?」
海未「どうやってって下山してバスと電車ですが」
穂乃果「それ!その下山ってのはどうするの!?ロープウェイトかなっ?」
海未「こんなところにロープウェイがあるわけないじゃないですか」
穂乃果「じ、じゃあもしかしてまた……」
海未「徒歩です!」
穂乃果「そ、そんなぁ……もうくたくたなのに……」
海未「山頂アタックは帰宅までがアタックですからね、ファイトですよ!」
穂乃果「ファイトじゃないよ……、うぅ……やっぱり山はもうこりごりだよ!」
穂乃果(でもどうせ海未ちゃんが行きたがったら行っちゃうんだろうな)
穂乃果(だって登ってる時の海未ちゃんってとても楽しそうなんだもん)
穂乃果(富士山から見る日の出も、とても綺麗だったけど……)
穂乃果(やっぱり私が一番好きなのは……、海未ちゃんの笑顔だからね!)
おわり
寝ようと思ってヘッドホンを外すと、窓の方からカチカチ音が鳴っていることに気づいた
何かと思い窓を見ると、巨大な虫がアタックを仕掛けていました。
その後、虫嫌いな私にできたことは恐怖を忘れるために、日が昇るまで一心不乱にほのうみSSを書くことでした。
このSSまとめへのコメント
ヤマノススメ
高坂海未