心が冷たい
　心が狭い
　心を閉ざす
　心が汚れる
　
神峰「（慣用句ってのは見えないもんをウマく喩えてるよね）」

　とか　皆言う
　オレは全然そう思わねェ…

神峰「（だって）」ｽﾀｽﾀ

生徒A「でさーそれがすげー楽しくて！」(´・ω・｀)

生徒B「ちょーウケるー！」(´-ω-｀)ｚｚｚ

神峰「（本当にそう見えるんだ）」

冬馬「神峰？　おい、何やってんだ？」

神峰「…天ヶ瀬先輩。いや…オレは…」

冬馬「お前のクラスって確か出し物やってたよな？　こんな場所で油売ってていいのか？」

　この人は確かアイドルやってんだっけ
　通りで心が輝いてる

冬馬「なんだ？」（´∀｀）ｷﾗｷﾗ

神峰「いえ。オレは今休憩中なんで」

冬馬「そうか。ま、あんまり無理すんなよ」

　ｷｬｰ！　ﾄｳﾏｸｩｰﾝ！　ｺｯﾁﾐﾃｰ！

神峰「……ハァ」ｽﾀｽﾀ

　どこを見ても、心模様ってのは様々だ
　女を口説いてる奴
　そんな男に表面はおべっか使っても、内面はバカにしてる女
　それを見て傷ついているのは、そのバカな男に惚れている子

　間に入って上手く行くように本当のことを教えてやりてェ
　
神峰「（昔はできると思ってた）」

　「見える」なんてまず信じてもらえねェし
　心の状態をバラすと人はキレる

　心に関わって良い方向に行った試しが無い

　高校入って半年経っても変わらない
　オレは誰とも関わらない

女子C「アンタホント使えない！」

男子A「ゴメ……」
　
女子C「謝るヒマあったら動く！　反省してんの！？」

男子A「うん」

女子C「聞こえない！！」ﾊﾞｼｯ

神峰「（クソ…イヤなもん見ちまった）」ﾌﾟｲｯ

　ヤメロ…！　そんなに圧をかけたら

男子A「……」ﾊﾞｷﾞﾝ　・゜・(ノД`)・゜・

　ガラスの心が壊れる！

神峰「（疑われるのだってキツイんだ。あんなの辛ェに決まってる！）」

　砕け散ったらキズがずっと残るんだぞ！！

生徒B「だからちゃんと稽古出ろって言ったんだ！　恥かいた！！」(´；ω；｀)

生徒C「うるせェ！　そもそもお前のネタつまんねェんだよ！！」(?ﾟ?益?ﾟ)
　
　心を鬼にしても怒っても相手は疑心暗鬼になってる…
　あれじゃ誤解を生む！！

　あのまま心を閉ざせば絶好まで行く……！

神峰「（それでも　オレには　何も　できねェ）」

　事情を知らないオレが出て事態が収まるのか？
　火に油を注ぐだけだ

　親父の時もそうだった

　親友に金を騙し取られた
　ヤツの心は961
　真っ黒だって止めても親父は怒って聞かなかった

　「子供の頃からの友人だ。悪く言うんじゃない」って

　他人の心は変えられない

神峰「（見えたから　何だってんだ）」

　変えることも許されず胸クソ悪ぃもん見せつけられる

　もう限界だ

　誰かオレの目潰してくれ……！

神峰「（逃げなきゃ…心なんかない所に…屋上ならいねェかな…）」ﾌﾗﾌﾗ

　ﾀﾝﾀﾝﾀﾝ

神峰「…ん」

　～～♪

神峰「（…ダメだ。誰かいる）」ｷﾞﾘｯ

「群れを離れた鳥のように～♪」

神峰「（一人で歌ってんのか？　他でやれよ）」ﾄﾞｻｯ

　～～～♪

　……コレ…何の歌だろう…？
　
神峰「…何かよく分かんけど」

　～～～♪♪

神峰「いい歌だな」


　　　　　　 ＿ 　＿ 　　　　　　
　　　　　＿(_ ＼(_ ＼　　　　　　　　　＿

　　　 ＿(_ ＼＼ ＼　＼ 　　 ／　　　　＿
　　　(_ ＼＼ ＼｝ 〕}　 〕　／♪　　　　　＿
　　　　＼ ＼}　|　|/　 /／　　　　　　　＿
　　　　　｝ 」 」 /　 ∠_　　♪　　　　　　＿
　　　　　|♪ 　　　 (_＿＼　　／
　　　　　|　 ♪ ♪ 〔/　 /　／
　　　　　|　 　♪　　　 / ／
　　　　　＼ ♪　♪　 ／
　　　　　　＼＿＿　／

　

神峰「！！？」ﾊﾞｯ

　……！？

神峰「（何だ今の…確かに今…音が…）」

　ドアの向こうのヤツ…一体…

神峰「……」ｺﾞｸｯ
　
　ｶﾞﾁｬ

神峰「（何を…したんだ？）」

　　　　　　　　 ,. -─/´::::::::＼￣￣￣￣＞...,_
　　　　　　　／:::::::::/|:::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::｀ヽ

　　　　　 ／::::::::::::/　!::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::＼
　　　　 /::::::::::::::::/　　!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::ヽ
　　　 ./::::::::::::|:::/　　 ヽ:::＼:::＼:＼::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::ﾊ
　　　/::::::::::::::|:::|　　　,,.-＼-＼──‐::::::::::::::､::::::ヽ::::::::::::l

　　 /::::|::::!:::::||/　｀"´ 　　　　　＼＼::＼:::::::::::ヽ:ヽ|::::::::::::l
　　l:::::::|::::|/-|､ 　　　　 ィ'FﾆﾆTフ＼|＼|＼::::::::ﾊ::::::::::::::::!
　　|l::::::i::::|l　　ヽ: : : : : : Lﾋ三タ´　 　　 |::::|/´＼|::::::::|::::::|
　　ﾘl:::::ヽ|ﾊ/Fﾊ:::::: : : : : : : : ,,,,　　　　　|::::l ﾄ､//:::::::::l:::::::!

　　　l::::|:::|::::}_lタ::::　　　　　　　　　　　　 |:::l/ノ/::::::::::/::::::::!
　　　.ヽﾄ､|ヽ|＼　　　　　　　　　　　　 　 |/ _ノ::::::::::/:::::::::::|
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　　　　　　　｀､　　-─-､　　　　　　　　／ /::::|:::::::|::::::::::::::::∧

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　　　　　　　　　　　 ヽ＿_,,. <´　　　　 /::::::/　!:::::::|::::::::::::::::::::::::∧
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　　　　　　　　　　　　　　　　　,. ＜￣￣￣￣ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

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　　　　　　　　　　　　　　/! 　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　 ／/´ヽ/::|　 　　 　 　 　 　 　 !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「……？」

神峰「（……こいつ）」

？「……」

神峰「…なぁ…今の」

？「いけない。遅れてしまうわ」

神峰「あっちょっ待ってくれ！」

？「悪いけど急いでるの」ｽﾀｽﾀ

神峰「お前の歌…それ…」

　ﾋﾟﾀｯ

？「歌が聴きたいなら、講堂に着て」ｸﾙｯ

神峰「え？」

　講堂？

？「……」ﾊﾞﾀﾝ

神峰「行っちまった」

　ｶﾞﾔｶﾞﾔ　ｻﾞﾜｻﾞﾜ

　ぬぅ…

神峰「（合唱かよ…興味ねェ……人も多いし…）」

　なのになんでだ…
　ここに来ちまった…

　何かに引っぱられるみたいに…

　心に強く残って離れねェ

　”何か”に

？「すぅっ……」

　あおいぃぃとりぃぃぃ～～♪

神峰「！！！」ｿﾞﾜｯ

　くっ…空気が震える！！

　胸の奥に振動がガンガン来る！！
　歌が空間を揺さぶっ――

　
神峰「（違う！）」

　ウソだろ！？　そんな……！！

　有り得ねェ！！　こんなこと！！

　歌が！

男子B「あー」（´∀｀）ﾂﾔﾂﾔ

女子D「うっとり」ヽ(´▽｀)/ﾋﾟｶｰﾝ
　
神峰「（心を揺さぶってる！！）」

　傷ついた心を癒やし
　閉じた心を開き

神峰「（これは…この歌はまるで）」



　　　　　　 ＿ 　＿ 　　　　　　　
　　　　　＿(_ ＼(_ ＼　　　　　　　　　＿

　　　 ＿(_ ＼＼ ＼　＼ 　　 ／　　　　＿
　　　(_ ＼＼ ＼｝ 〕}　 〕　／♪　　　　　＿
　　　　＼ ＼}　|　|/　 /／　　　　　　　＿
　　　　　｝ 」 」 /　 ∠_　　♪　　　　　　＿
　　　　　|♪ 　　　 (_＿＼　　／
　　　　　|　 ♪ ♪ 〔/　 /　／
　　　　　|　 　♪　　　 / ／
　　　　　＼ ♪　♪　 ／
　　　　　　＼＿＿　／

神峰「（手！！）」

　心を直接掴んで動かしてる！！

神峰「（これが生歌の迫力ってヤツなのか！？　…いや…この「手」には格がある）」

　

　この「手」を出せるのは実は1人で…大勢でそのパワーを増幅させてるように見える！！
　
神峰「（オレは知ってる。その”核”が誰なのか…！！）」

？「あおいとりぃ～～～♪」

　ﾌﾞﾜｧｧｧｯ！！

神峰「（あの女の歌は人の心を掴む！！）」

　ぐっ…

神峰「……」

　……あれ？


　わいわい　がやがや

合唱部員A「すごかったね千早ちゃん」

合唱部員B「流石中学時代、全国のコンクールを総嘗めにした天才少女」

合唱部員C「アイドル活動も始めたんでしょ？　凄いよねー」

？「いえ、私なんて」

合唱部員B「スカウトされる理由が分かるわー！」

合唱部員A「これからのアイドル活動も楽しみだわさ！！」

＜キャハハハだわさって

　たたたたたっ

生徒A「あっあの！　凄くよかったです」

生徒B「アイドル候補生なんですよね！？　スゴイ！！」

生徒C「ラインとかツイッターとかやってますか！？」

生徒D「よかったら連絡先…交換しませんか！？」

合唱部員D「ファンが増えてくねー」

　ﾗｲﾝ　ﾂｲｯﾀー　ﾌｪｲｽﾌﾞｯｸ　ﾐｸｼｨ
　ﾒｱﾄﾞ　家TEL　住所　

千早「こ、困るわ」ｱｾｯ

雅「ぶっとびー」

ファン「あと握手してください！」キャーッ

千早「あくしゅ！？」ﾋﾞｸｯ

　ガッ

千早「えっ」
　
神峰「……」

ファン「！！」

神峰「（クソ…）」

ファン「なっ何急に！？　キモ！！　怖！！　離れろよ！！」キイイイイイ

部員「なになに？　千早ちゃんの彼氏！？」ﾋｿﾋｿ

千早「アナタ…」

　こうなるのはわかってたからやりたくなかった
　逃げてェ……

神峰「（でも今は…こいつを逃がしちゃいけねェ気がする）」

　他人の心を変えるなんて…
　16年間絶対に無ェと思ってたことを
　
　こいつの歌がやっちまった！！

神峰「あんたの…心を掴む手みてェな歌。どうやって出した？」

千早「は！？　心を掴…手！？　何のことかしら？」

　ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ

神峰「（自覚がないのか？）」ﾊﾟｯ
　
　オレと同じの「見えてるヤツ」じゃない…無意識なんだ
　自分が「いつ誰を感動させているのか」までは把握できてねェ

　…だからなのか…？

雅「重度のファンだね。心奪われたって言いたいんだよ！」

ファン「スゴーイ。もう如月さんの歌に感動しないヤツなんていないんじゃない？」

千早「……？」

　公演では沢山の心をバンバン掴んでたのにオレは掴まれなかった
　同じ歌でも屋上で聴いた時とは何か違う…

　きっと感動していない人を「見」分けられねェから

神峰「歌、届かない人が出てくるのか…」

千早「！！」

　ズン

千早「今、なんて言ったの！？」

神峰「！？」ﾋﾞｸｯ

　ズン

神峰「あ！　いや、人によって好き嫌いあるし仕方がねェと…」

　やべェ怒らせたか！？

千早「なんでそれを知っているの！？　確かにいるのよ、私の演奏を届けたくても届かない人が！！」ｶﾞｼｯ

神峰「え！？」

千早「どこでそう思ったの！？　私の歌の限界を見抜いたの！？」

　ガックン　ガックン

神峰「そっ…そんなの見えねェよ！」

　大多数の心は掴めてたんだぞ！？
　気にする必要ねェだろ

　なになんだ…？
　屋上の時から気になってたんだ

神峰「他人の心を掴んで感動させられる音を出せるのに、お前の心」

　　　　　　　　　　　 ,,,,,,;､''""ﾞﾞ''､
　　　　　　　　 　,,;'".::::;;;ﾞ､ o、,-;
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　　　　　　　, '",,,,;;;;;;;;;/ 　　　 ,;'
　　=＝ﾆニ,'''''''';;__,-'"ﾞ,,,､､,,,,ノ/////
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神峰「ずっとヒヨコのまま巣を飛び立てないでいる」

千早「っ」

　成長して巣を飛び立たなきゃいけないはずの鳥が
　なんでだ？
　
　なんでずっと巣の中に閉じこもってでてこねェんだ？

千早「……先輩すみません先に帰ります。えっと…」ﾁﾗｯ

神峰「神峰…翔太」

千早「私は如月千早。今から行く所ついてきてくれないかしら？」

神峰「？」

　ここは…病院？　
　なんでこんな場所に？

神峰「お、おい！」

千早「ここよ」

　病室？　ここに一体誰が……？

千早「……」ｸﾞｯ
　
　ガラッ

千早「ユウ来たわよ」

優「……」ボーッ

神峰「（ベッドの上に誰かいる？）」

　！！

神峰「なっ！？」ﾋﾞｸｯ

　この子…
　これは…この心は…


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　心が荒れ狂う波みてェだ！
　沈んでいるのか、それとも怒ってんのか！？

神峰「（いや、それすら分からない程…）」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

千早「どうしたの神峰君。汗ビッショリよ」

神峰「はっ」

千早「この子は如月優。私の弟よ」

優「……」

千早「今日も一曲聴いてね、ユウ」

　～～～♪

神峰「（…ダメだ）」

　心を掴む如月の音が…波に飲まれて消えちまう
　全く届いてない

神峰「（この子、もしかして）」

優「……」

千早「聴いてくれて…ありがとう」

　結局、あの子は一言も喋らなかったな


神峰「……」ｽﾀｽﾀ

千早「――ユウは小さい頃から私の歌が好きで、ずっと聴いていてくれてたの」

神峰「…へぇ」

千早「あの子がピアノ弾いてくれて、私が歌うの。どちらも下手だったけど、いい思い出ね」

　そうか
　それで合唱部に入ったってわけか
　
　弟の好きな歌で元気づけようと

神峰「でも、歌手じゃなくてなんでアイドルなんだ？」

千早「それは、ユウが昔言っていたから」

「お姉ちゃんがアイドルになったら、僕が演奏家になってお姉ちゃんとライブするんだ！」

神峰「……」

千早「だから私、スカウトされた時にチャンスだと思ったの」

　スタスタ

千早「ユウが応援してくれたアイドルになれば、あの子も元気になるんじゃないかって」

神峰「あのさ、優君はどうして…」

千早「事故にあったの。それ以来、歩けなくなって」

神峰「！？」

千早「歩けない苦しさ、私の夢を応援することができなくなった。そもそもピアノだって」ぐっ

　そうか、それでこころが「治そう」って力を失くしてしまったのか

千早「医者も本人に治る気がなかったらどうしようもないって…」

　ガサガサガサ　

神峰「（心が！　鳥が飛び立とうとしてる！）」

　だけど、あの様子じゃもう

千早「だから思ったの。私の歌でユウを元気づけて、いつかきっと夢を叶えるんだって」

　ゴソゴソゴソ　バサッ

神峰「（ダメだ、飛ぶな！　今のお前の心には羽根が…！！）」

千早「でも、どんなに上手くなっても。私の歌に何百何千人が感動してくれても！」

　ﾋｭｩｩｩｩﾝ　　

　
　グシャッ

　　　　　　　　　_　-‐　'':::::::￣::ヾミ＞...、
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　　 　/ / |　／〉￣　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::::::::',:::i
　　　.i /::::|　''"　　',　　　　_,, -＝"',::::::::::::::::::::::::::',::|

　　　 ﾍ::::::|〉 　　　　　／"￣　　　　',:::::::::::::::::::::::::',:|

千早「一番届いてほしい人に届かない歌なんて、意味が無いわよね…」

神峰「（これが…如月の心が飛び立てない理由…！！）」ｿﾞｯ…

　羽根がもがれてしまうんだ
　飛び立つ瞬間に、自分の悩みで

　弟の優君への想いの重さに耐え切れずに

　墜落してしまう

千早「だから、今日でもう合唱部もアイドルもやめるつもりだったの」

神峰「！！」

千早「ほら、ユウに届かないのに続ける意味もないでしょう？」

神峰「それは…」

千早「あと…周りはチヤホヤするけどアナタが初めてよ。「ヒヨコ」なんて言ったの」

神峰「……」ﾊｯ…ﾊｯ…ﾊｯ…

　心に関わるとロクなことがねェ…
　重すぎる

千早「私、まだまだ未熟に見えた？」
　
　こういうのは見なかったことにして逃げるしかねェ
　ずっとそうしてきた…

　それしかできねェから

神峰「（オレには何もできねェ！！）」ﾊｰﾊｰ

　……だけど
　今は

千早「ごめんなさい、突き合わせて」
　
　今だけは

神峰「（それじゃダメだ！）」

千早「？」

神峰「やめるな如月。オレが困る」

千早「！！」

神峰「…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

千早「なんでアナタが？　関係ないでしょ」キッ

神峰「あの子はオレと似てる」

　生きてる意味が分からなくなって
　暗くて深い絶望の海に沈んでる

　だけど、気づいて欲しくて
　本当は助けて欲しくて

　荒れ狂う波の中
　最後の希望にしがみつくみてェに

神峰「お前の歌を求めてる」

　　　　　　　 /::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　,':::::::::::::::::::/::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::／:::::／|,ィl:::::::::::::::::∧

　　　　　　 ,'::::::::::::::::::/::::::::::::::／/:::::::::::::::::＿／:::::／￣￣ |:::::::::::::::::::::l
　　　　　　,':::::::::::::::::::|::::::::::／　/:::::＞' ¨´ ／::＞'´ 　 　 　 !:::|::::::::::::::::|
　　　　　 ,':::::::::::::::::::::|::::／　￣|/￣ヽ､　￣￣/ /　　　　　 |::::!::::::|::::::::l　　　　　　l l
　　　　　,':::::::::::,--､:::|/　　_,,ｨ===-､- ｀＝=彡''　/　　　　　|:::|::::::|::::::/　　─┼─

　　　　 ,'::::::::::/　,､ヽ/　　弋　（・）　ﾊヽ: . ＼　 ﾊlヽー===､.|/:::::/::::/　　　─┼─
　　　　,':::::::::::|　/ﾉヽ　　　　 ｀＝= '': : : : : : : : : : ,三==､　　|:::::/::::/ 　 　 　 　|
　　　 ,'::::::::::::::l　 |　　　　　: : : : : : 三三三三: ::/（・） 　ﾊ, /:::/::::/ 　　　|　｜
　　　,'::::::::::::::::＼　　　　　　　　　: : : : : : :三三: :ヽ＝=''　/イ:::／　　　　|　 |
　　 ,'::::::::::::::::::::::::｀ｰl　　　　　　　　　　　　/　　: : : : : 　 /ノ／　　　　　　 ノ
　　,':::::::::::::::::::::::::::::::∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　・

　 ,':::::::::::::::::::::::::::::::＿/＼　　　　　-r,‐,-､　　　　　　 /　　　　　　　　・
　,'::::::::::::::::::::::::::::::/､/::＼ ＼　　　 ー三¨´　　　 ,　イ　　　　　　　　・
..,':::::::::::::::::::::::::::::/　 ＼:::::＼ ＼　　　　　　 ,...＜:::::::/
,'::::::::::::::::::::::::::::/.　　　 ＼:::::＞ _ヽ　_,　イ:::::::::::::::::/
::::::::::::::::::::::::／　　　　　 /ヽ::::::///TTT|　＞┐:::/

千早「アナタにユウの何が分かるの！！」

　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ 　 　／　　/Y|　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　 /　　 　 /　 　 / 　| 　　　　　　ヽ
　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　/　　 〃　　＼　＿　　　　
　　　　　　　　　　　　/　　　 ＼　／/　　　 ／＼　　　　　 i
　　　　　　　 　 　 　 l　　　　 | /＼ 　 / ,;彡￣ヾＶ 　/. 　 |
　　　　　　　 　　　　 | 　　 　 |〃"ヾヽ＼ｿ! (・）_rう Ｙﾊ　　|　何が私の歌よ！
　　　　　　　　　　　　＼　 　 ､|| （・）, ｷ　｀ミ ''⌒　　｛l:| 　 |　　　人の気持ちを知らないで！
　　　　　　　　　　　　 　 Yヽ∧　彡　_,. '⌒ヾ 　 J　 /ｿ　　ヽ.
　　　　　　　　　　　 　 　 　 l ∧　　 |/////∧ 　　/´　　　　＼
　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　∧　　V/／⌒ } 　/ﾄ＼　　　　　
　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 　＼　 V＿ ／／ / |　＼＿／　j
　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　　　 ＞ ＿.／_.;彡: |　　 V　　／⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　 　 ./＿＿＞/ハ三￣　,;彡 |へ　 V　　　　　
　　　　　　　　　　　 　 　 ,f⌒　　　 | ∧ミ三＿彡　| /. ＼|　　　./ 　
　　　　　　　　　　　　　 ./:!ヽ　　　　| |　V//　　　　l　 　 　 　 ヽ|　
　　　　　　　　　　　 　 /　| 　＼　　 ＼　V//　　　 |　　＿ 　 　 l　
　　　　　　　　　　 .　 /　ハ　　　　　　　　V//　 　 !　　|Ｔ|>　　 |､
　　　　　　　　　　　./　　　∧ 　 　 　 　 　 V//　 /　　 ￣ 　 　 {∧

千早「頭のおかしなことを言わないでくれる！！」

　ゴォォォォォ

神峰「（当然の反応だ）」
　
　心の状態をバラされると人はキレる…
　だけど

神峰「お前の歌が人の心なんか掴むから！！　言うんだ！！！」グンッ

千早「！？」

神峰「お前の歌に掴まれ、お前の歌が他人の心を変えるのを見て！　生まれて初めて思えた！！」

千早「っ」

神峰「ああいうのが見れるなら。こんなクソ要らねェ目を持って生まれたイミもちったぁあるんじゃないかって」

　

神峰「唯一あの子のSOSに気づいてるオレが逃げたら！　それでお前が歌を捨てたら！」
　
　ギュッ

神峰「あの子の心は一生海の底！　お前の心も一生羽根をもがれたままだ！

千早「神峰…君」

神峰「そしてオレはまた…イミを失う」

千早「（…さっきから何の話なの？　心がどうとか、目とか海とか…ワケが分からない）」

神峰「……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

千早「（…でもこの人は初対面なのに誰にも分からなかった私の悩みを見抜いた…）」

神峰「もう一回だけでいい。明日、あの子の前で歌ってくれないか？」

千早「もう一回？」

神峰「オレには変えられェけど…こんなことも生まれて初めて言う」

千早「（もし…この人が）」

神峰「せめてあの子の心を目ェそらさず向き合いてェ」

千早「（ユウの何かを見抜けるとしたら――）」

　こんなこと、バカげてるってわかってる
　でも、でも引けねェ

　あの子の為にも
　そして何より

神峰「（この、如月千早の為にも）」

千早「……分かったわ」

神峰「如月！」

千早「後一回…アナタを信じてみる」

神峰「…ああ、頼む」

　やるしかねェ
　あと一回のチャンスで――あの子を

神峰「（優君の心を救い出す！！）」

　次回【op.1】翼をもがれたブルーバード　後編


　ちなみにVIPの方はよく知りません
　ネタかぶりあったらごめんなさい
　
　ご質問とかご指摘あれば答えられる時に答えます

伊調はジュピターをプロデュースしたりする？

vipの方知らないなら読んでみてもいいんじゃないかな

あれも面白かったから参考程度にはなるんじゃない?

>>19
　ノリで雅は出しましたが、ソルキャのキャラが出るかは未定です
　取り敢えず本編進めつつ考えます

>>24
　ネタ被りを恐れず真摯に進める為にもいずれ読んでおきます


　ではボチボチ始めます

　【翼をもがれたブルーバード】op.1 後編


　がや　がや　


千早「準備が出来たわ」

神峰「あ、ああ」

　病院の先生には無理言ってなんとか優君を病室から連れ出したけど

優「…」

　う…昨日はああ言ったが
　やっぱりあの心は見てて辛ェ…

千早「神峰君、これ今日歌う曲の楽譜よ。私がユウにいつも歌ってあげてる曲で…」

神峰「読めねェからいいわ。歌詞カードだけ頼む」

千早「あ…そう」

　　　　　　　 ,. ＜:￣￣￣￣￣￣｀＞　._
　　　　　 ／: : : : : : : : : _: : : : : : : : : : : : :｀ヽ
　　　　／:/: : : : : : : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : : :ﾍ

　　　/ : / : : : ﾊﾊ: : : : : : ::∧: : : : : : : : : : : : :ﾍ
.　　/: : ,': : : :/　　V: : : : : : :∧: : : : : : : : : : : : :ﾊ

　 /: :|: {: : : /　　　l: : |: : : : : :∧: : : ヽ: : : : : : : : ',
　 !: /|: :',: :/──　l: :ﾊ: : : : : : ∧: : : :l : : : : : : : : ,
　 l/　! : ヽ|　─　　|/　V: : : : : : ﾊ : : :! : : : : : |: : :}
　　　 ヽ|ヽｌ　￣l￣｀l　　V: :ﾄ､: : : :}: :: ｌ : : : : : | : : !
　　　　　ノ　　　廴 ﾉ 　　l :/　V: /⌒く: : : : : : !: : :!

　　　　 |　　　　　　"　　 l/　　.∨二)　}: : l: : ::l: : ,'
.　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　⌒ ／: : :|: : ::l: :,'
　　 　 　 ',　-　　　　　U　　　,r┬ :':|: : : : !: : ::!: l
　　　　　　ヽ　　　＿＿　　　　 弋: ::|: : : ::l: : ::l: :!
　　　　　　　 ￣ l: : __r=j＿＿＿_ﾉ-ｭ_:| : :|: : ::!: l
　　　　　　　　　 |ノ V: : : : : : : :＞'´　}l: : | : : l: :|
　　　　　　　,ィ´/　　.〉: : : : : /　　　 /＼ ! : : !: :!
　　　 　 　 /l　 |／ /: : : : : ∧　　／　　 ＞､:l : |
.　　 　 　 / .|　　　 {: : : : : /　l_／　　／⌒ヽ ヽ:|
　　　　　ﾉ　 V　　　ヽ:___ノ　　　　 ／　　　　　 }:!
　　　　/　　/　　　　o〉　　　　　 /　　　　　　　ｌ:|
.　　　/　, -'ヘ 　 　 /　　　　　 /　　　　　　　/: |
　　　{　　　　　＼o./　　　　 ／　　　　　　　/ｌ: ::|

千早「（昨日はもしやと思ったけど、やっぱり信じられない）」

神峰「…ラジカセ用意したぞ」

千早「（心が見えるなんて…）」

神峰「よし、じゃあ流すから」

千早「ええ、いつでもいいわ」

神峰「…」ｶﾁｯ

　～～～♪

優「…………」

千早「泣くことならたやすいけれど～♪」

　ﾌﾞﾜｧｧｯ！！

患者A「……おっ」（´∀｀）

患者B「なんだなんだ…」(*´∀｀)

　ざわっ

神峰「（あの手だ。まだ歌いだしなのにしっかり周りの心を掴んでる）」

　だけど…
　それなのに

優「…」
　
　ｻﾞｯﾊﾟｧｧｧﾝ！

神峰「（あの子の心には届いてない。音が波にかき消されちまってる）」

　こんなに近くにいるのに
　不思議なことにオレにも届いてこない

　文化祭の時と同じだ…
　きっと優君も文化祭に来てたら捕まれなかったかも…

神峰「（じゃあなんでオレは…屋上で聴いた時は心を掴まれたんだ…？）」

　そもそもなんであいつ
　屋上で歌ってたんだ……って

神峰「（いや優君関係ねェ！　ちゃんと心を見ねェと！　すぐ逃げるクセが出る）」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

　……？
　待てよ　

神峰「（逃げる？）」

～～神峰「（逃げなきゃ…心なんかない所に…屋上ならいねェかな…）」ﾌﾗﾌﾗ～～

神峰「（オレは、あの時そう思っていた）」

　合唱部に期待されて
　アイドルとして弟の為に活躍しようと必死になる姉

神峰「（…まさかアレって違いなのか？）」

千早「この別れさえ選んだのは自分だから♪」

神峰「如月、歌いながら聞け」

千早「！？」

神峰「お前の今の歌…なんかグネグネしてるように見えるんだが…文化祭の時もそうだった」

千早「（グネグネ？）」

神峰「だけど屋上で聴いた歌だけは何ていうか…真っ直ぐだった。何か違いがあるのか？」

千早「（グネグネとか真っ直ぐとか何を言っているの？　いつでもどこでも同じように…）」　
　
～～優「なんかさぁ、余計なこと考えてない？」～

千早「（待って。そういえば、ずっと前に…）」

～～優「お姉ちゃん、僕を子供扱いして気遣いしてるでしょ？　そういう雑念が入ったお姉ちゃんの歌嫌い」～～

千早「（自分自身では全く気づいていなかったけど）」

～～優「お姉ちゃん自身が楽しんで、まっすぐのびのび歌ってくれた方が僕嬉しいよ！」～～

千早「（ユウの為にと、アイドルとして頑張ろうと思うことも…プレッシャーになっていた？）」

神峰「（…如月）」

千早「（確かに…誰もいない屋上に行ったのは何も考えたくなかったから――）」

　～～～♪

千早「（【歌】は心情の差がモロに出るけれど、素人に気付かれちゃうなんて……フフッ）」

　ストン

千早「（…なんだか力抜けてきたわ）」

　ﾌﾞﾜｧｧｧ！！

神峰「（歌に勢いが付いた！）」

　今までは荒れ狂う波に飲まれるだけだった歌が
　この勢いで風を起こし

神峰「そうだ如月！　荒れ狂う波を沈めるには、まずは雨雲を吹きとばせ！！」

千早「群れを離れた鳥のように♪」

　ﾋﾞｭｩｩｩｩｫｫｫｫ！！

神峰「何も考えるな！！」

　ｻﾞｻﾞ……ﾝ

神峰「そのまま天を貫け！！」

　バァァァァン

神峰「（動いた！！）」

優「…」ﾋﾟｸｯ

千早「！？」

　如月の歌で立ち込めてた暗雲が晴れた
　これで波も鎮まる！

神峰「（後は…）」

優「……」ﾂｩｰ

千早「（ユウが泣いてる――！！）」

神峰「！」

千早「（彼の言う通りにした途端…本当に見えるの！？　……心が！！）」

神峰「まだだ如月！！　気ィ抜くな！！」

千早「！」びくっ

神峰「空は晴れても、優君の心はまだ沈んだままだ！！　ずっと隠していた悲しみはまだ冷え切っている！」

優「…」

神峰「次は火を起こせ！！　優君をの心を惹きつける暖かさで！！」

千早「（ハァ！？　火！？）」

　～～～♪

千早「（歌ってるのに火を起こせなんて……とんち？　――いや、待って）」

神峰「…優君は待ってる！　如月の暖かさを！」

千早「（もしかしてそれはコン・パッシォーネ、Bメロを【情熱的に】歌えってこと？）」

優「…」ｿﾜｿﾜ

千早「（神峰君、アナタ……）」

　ボォォォォォ！！

　燃え盛る炎のような歌声…
　これが如月の歌…スゲェ…！

神峰「でも気をつけろ…優君の心は冷え切ってる」

　凍りついていることもそうだが
　何より―

神峰「――止まるな如月！　間奏中にも動け！」

千早「（えっ！？）」

神峰「歌だけじゃダメだ！　氷で閉ざされた優君の心にはもっと違うものが必要なんだ！」

優「…」

千早「（歌だけじゃダメって…じゃあどうすればいいの？）」

神峰「踊れ如月！　我武者羅でもいい、お前の！　お前自身の気持ちをなんとしても伝えろ！」

　

神峰「間奏は休む時じゃない。一瞬だって気を緩めたら優君の心は溶かせられない！」

千早「（どうなってるの？　なんで知ってるの…間奏中は少し休憩して気を緩めることを）」

神峰「どうした！？　表情が硬い！　もっと笑え！　腕を伸ばして！」

千早「（それにしても彼の言っていることはメチャクチャで意味不明よ！）」

神峰「そうだ！　いいぞ！」

千早「（蒼い鳥は悲しい曲。そう解釈していた、それで合っていると思い込んでいた）」ﾊﾟｯﾊﾟｯ

優「……」ｳｽﾞｯ

千早「（でも、神峰君の言うとおりにすると良くなる！　今までの自分の価値観とまるで違うことをしているのに！）」

神峰「よしっ！　それだ！　行けっ！！」

千早「（楽譜も読めない彼の言う通りに歌うと、どんどん歌がよくなる）」

　～～～♪

千早「（歌い手のメンタルから曲の構成――さらには観客の心情まで的確に見抜く！！　これはまるで…）」

神峰「動きがよくなった！　如月、もう一歩だ！！」

千早「（ごめんね、ユウ…アナタを助けるつもりが彼のおかげでやっと思い出したの、大事なことを！）」ﾆｺｯ

優「あっ……」

千早「（これが私の歌！　取り戻した！　もう失くさない！　だからもう帰っておいで――）」

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千早「！！！？？」

　ワァァァァァァ！！！

千早「（何…これは…ライブ会場？　信じられないわ、はっきり見える！！　未来のビジョン！！）」

神峰「…」ｸﾞｯ

千早「（世界を舞台に、私がソロを歌う未来！）」

神峰「…」ﾆｶｯ

千早「（神峰君…アナタにも見せてあげたいわ。アナタの未来まではっきり見えるもの）」ｸｽｯ

千早「（アナタはきっと最高の――）」

　ﾊﾞｧｧｱ

優「ぼく、も…」ﾌﾗｯ

神峰「！！」

　優君の心が動き出した！
　でも、また空に不穏な雲が残ってる！

神峰「ラストだ如月ィ！！　お前の…歌で！　翼で！！」

千早「（私のことを羽根をもがれた――とか言っていたわよね）」

　ドドドドドドドッド

千早「（確かに私には【勇気】という翼が無くなっていた。でも、神峰君）」

神峰「心を！！　掴んで！！　飛べ！！」

千早「（今の私にはアナタという翼が――ある）」

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千早「（これは――私達の歌よ！！）」

神峰「（来た！！！）」

　～～～♪

千早「蒼い鳥―もし幸せ」

　近くにあっても―あの空で

　歌を歌う

　未来に向かって

　あなたを愛してた

千早「でも前だけを見つめていく―」

優「お姉、ちゃん」

　ガシッ　ﾊﾞｻｧｧｧｯ

神峰「（巣の中の小鳥が――翼を広げて飛び立った！）」

　優君を連れて、冷たい海を抜け出し
　あのどこまでも広がる蒼い空へ

千早「ふぅ……」

　わーーーっ！！

　ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

神峰「！！」

千早「（曲終わってたのね…夢中で気付かなかったわ）」

神峰「優君は！？」

千早「ユウ！！」

優「お姉…ちゃん」ﾖﾛﾖﾛ

千早「ユウ！？　アナタ、歩いて…」

優「僕、頑張るよ…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

千早「ユウ…」ｷﾞｭｩｯ

優「やっぱり僕…ピアノ弾きたい」ｳｪｪｪﾝ

千早「歩き出せたんだもの。もう…大丈夫」

　ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ！

千早「（ユウも、私も――）」

神峰「……」



　―数日後―


　ﾀﾀﾀｯ

千早「神峰君！！」

神峰「如月？」

千早「ユウ、リハビリ頑張ってるわ。凄く順調よ」

神峰「よかったな」ｽﾀｽﾀ

千早「私一人では無理だった。ユウの心に音が届いたのは、アナタの【目】のおかげよ！」

神峰「……」

千早「……あの、神峰君」

　ザッ

千早「私と一緒に――アイドル活動をやらない？」

神峰「！！」ﾋﾟﾀｯ

千早「私には誰が感動しているかわからない。アナタが私の目になって！」

神峰「お前の目に…？」

千早「私の音が届いてない人を見つけ出して、導いて欲しいの」

　なんだ？
　なにを言ってるんだ如月？

千早「その【目】の意味。アナタはきっとあらゆる人の心に感動を届ける為に」

神峰「イミ…」

千早「誰かを導く為に生まれてきたのよ！」

神峰「……！！」

　感動？　他人の心…オレが…？
　…不謹慎だから如月には絶対に言えねェけど…

　…だから…なのか…？

　如月が優君の為に必死になっている最中なのにオレは…

神峰「（震えるほど楽しかったんだ…！！）」

　……でも

神峰「…心を掴んだのはお前の歌だ。オレは心の状態を細かく伝えただけ」

千早「…」

神峰「オレなんか必要ねェだろ？」

千早「……去年のことよ」

神峰「？」

千早「IUっていうアイドルの番組があって…私達の事務所のメンバーも出演したの」

神峰「アイドルアルティメイトってあの有名な…」

千早「予選を勝ち抜いて、最終的に一位を目指すアイドルの祭典よ」

神峰「ああ、知ってる」

千早「私…ユウの為もあったから全身全霊を持って臨んだわ。勿論、事務所の仲間たちも」

神峰「結果は…？」

千早「結果は全員予選落ち。本選に進めたのは誰ひとりいなかったわ」

神峰「！！」

千早「…ウチの事務所…ここ数年ずっとこの調子なの」

神峰「そう、なのか」

千早「事務所全体が何か大きな【壁】に阻まれているみたい」

神峰「【壁】……」ｼﾞｯ

千早「まるでユウのことが心配で自分の歌を見失ってた私のように」

　……

神峰「それって…」

千早「これは私じゃ無理よ…！　アナタがいなきゃ！」
　
　ｶﾞｼｯ

千早「他のアイドル達も心に何かをｈ目ていて100％の力を出し切れないでいるとしたら！」

神峰「！」

千早「私と同じことが起きるとしたら！！」

　そしたら――

千早「アナタは765プロの救世主になる！！」

神峰「お、オレが…」

千早「私が歌で心を掴む。アナタは私の歌を導いて……そしてアイドルをまとめ導く765プロの…」

　ドクン

神峰「…」



千早「プロデューサーになって！！」

神峰「！！」

【予告】


神峰「ぷっ、プロデューサーになれ…って！　いきなり【なに】言ってんだ！！」


千早「アナタにこそ相応しいわ」


神峰「やめろ。オレを…買い被るな」


千早「死ぬほど楽しかったの！！　悪い！！！」


春香「千早ちゃん…？」

雪歩「……？」

響「はいさーい！」

真「……むぐ？」

律子「……あの子」


神峰「もう心なんか見たくねェ…関わりたくねェ」

千早「…」

神峰「…けど」


　次回 op.2　【鳥の詩】


小鳥「イ、イケメンピヨぉぉぉ！！」

社長「ティンと来た！」

神峰「…だ、大丈夫なのか」

千早「……」ｶﾞｯｸﾘ