もしの話は好きじゃないんだ (9)
僕はもしの話は嫌なんだ。
だから僕は自分の経験を話すし、嘘偽りなどないよ。
つまりだね。話すなら話すで、僕は話を過度に美化したり過大評価するのは好きじゃないんだ。
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例えるなら……。うーん。そうだね。
バレエの映像があったとするだろう?
そこでバレリーナは華麗に踊るわけだけど、そこで華麗な音楽をつけたら僕は参っちゃうね。
だってその時点で僕が感じた華麗さなんてものは僕が作り上げたのか分からなくなっちゃうからさ。
簡単に言えば、僕はインチキが嫌いなのさ。
世の中インチキだらけで、僕でさえインチキだけど、僕が感じたものさえインチキだったらたまらないよ。
もし神様なんかが現れてだね。「お前の感じたことはすべてわしが作ったもんだ」なーんて言い出したら、僕はホームセンターから丈夫な縄を見繕って首を吊るね。嘘じゃないよ、本当さ。
……。
あー。ほらね? 僕はインチキなのさ。
なんたって低能だからね。
まぁ、わからないならそのまま聞いてくれよ。僕のインチキさ加減に愛想が尽きたらなら、50セントやるから帰ってくれ。
つまり、そういう事さ。
完
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