女「かっなしいねっ、さっびしいねっ」パタパタ
女「友達ぜろにん、しかいないっ」イェー
女「ってお前、それ『しか』じゃねぇよっ」ヒャッハー
女「…………」
女「はぁ……」
男「僕もいるんだけどね」
女「――っ!?」ビクッ
女「ひ、ぁ……えっ」
男「あはは……」
女「ちょ、あなた誰っ!?」
男「僕、この教室にいつもいるんだけどね……」
女「い、いつもいる!? クラスメイトっ!?」
男「いや、そういうわけでは――」ガシ
女「忘れてっ! さっき歌ってたやつ忘れてっ!」
男「さっきって、友達ぜろにんしかいないって歌?」
女「忘れてっ、忘れなさいっ!」
男「あ、わ、わ、わ、わ」ガクガク
女「ふーっ、ふーっ」
男「わか、っ、た、からっ、揺らす、の、や、めてっ」ガクガク
女「あっ、ごめっ」
男「ぜぇ、ぜぇ……」
女「とにかく、誰にも言っちゃ駄目だからねっ!」
男「うん、言わない言わない」
女「あーあーっ、もう恥ずかしぃ!」
女「もぉ帰るーっ、ばいばいっ」
男「ばいばい」
男「あはは、面白い女の子がいたもんだ」
男「……言わないでって言われても誰にも言えないんだけどね」
男「ふぅ、久々に面白かったな」
男「…………」
男「 」フッ
女「放課後ー」
女「本日もひとりぼっ……はっ!」
女「…………」キョロキョロ
女「ふぅ、今日は誰もいないか」
男「まぁ、もちろんいるんだけどね」
女「うわあああっ」ガタン
男「こんにちは」
女「え、だれも今いなかった……のに」
男「だから、僕はいつもここにいるって言ったじゃん」
女「あっ、そうだ! 昨日のこと誰にも言ってないでしょうね!」
男「うん」
女「ぬぬぬ、言ったら絶対だめだからね」
男「分かってるよ」
女「はぁ……」
パンツ捨てたよ
どうすればいい?
男「ねぇ……」
女「なによ」
男「何でいつも放課後残ってるの?」
女「いや、その」
男「友達いないんなら……そんなに睨まないでよ、からかうつもりじゃないから……友達いないならさっさと帰ればいいのにさ」
男「どうして残ってるの?」
女「…………」
男「あ、もしかして聞かない方が良かったかな……」
>>10
いや、捨てられても困るwwwww
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「君は……?」
男「えっ?」
女「そうだ、君はどうなのさ」
女「なんで残ってるの、おかげで私はとんでもない赤っ恥を……ってちがうちがう」
男「僕かぁ……僕はここから動けないって言うか」
女「はぁ? なにそれ」
男「ま、君と同じように詳しくは言えないんだ」
女「むぅ、そんなら仕方ないか……」
男「夕日が綺麗だねぇ」
女「ん、オレンジ色の夕日」
男「…………」
女「…………」
男「…………」
男「友達さ」
女「え?」
男「友達、ぜろにんじゃなくてさ」
男「友達一人でいいんじゃないかな」
女「っ、それって」
男「まぁ、無粋だから最後まで言わないけど」
女「えっとその」
男「友達一人、しかいない……ってさ」
女「……うん」ニコ
女「……えへへ」
男「なんだ、可愛い顔もできるじゃん」
女「なにそれ、いつもは可愛くないっていうの?」
男「…………いや、そういうことじゃないよ」
女「だったら今の間はなにさっ!」
男「…………」
女「…………」
男「くっ、はははは、あははははっ!」
女「あははは、何だろこれっ、あはははっ」
男「くっくっく、いやぁ、あはは」
女「ひー、友達とのくだらない会話ってなんかいいね」
男「だね」
男「あー、結構暗くなってきたね」
女「もうすぐ夕日が沈みそうだもんね」
男「そろそろ帰ったら?」
女「えー、六時半までは追い出されないよー」
男「だーめ、女の子が一人なんだから早く帰りなさい」
女「はいはい、帰りますよ」
女「ばいばい、ともだち」
男「また明日、ともだち」
男「もう夕日が沈むなぁ」
男「友達……か」
男「ははは……僕に友達ね」
男「 」フッ
ガヤガヤ ガヤガヤ
女「…………」
女「早く、放課後にならないかな」
ガヤガヤ ガヤガヤ
女(そう言えば、あの男の子は……?)キョロキョロ
女(……いない?)
女(確か、あの子が座ってたのはあの机だったはずだけど……)
女(違う女の子が座ってるし……)
ガヤガヤ ガヤガヤ
キーンコーン カーンコーン
女(あの男の子……)
女(あれぇ? いないなぁ、今日はお休みかな?)
女「と言うことは今日は一人ぼっちか」
女「んー……」
女(早くクラスの子たちいなくならないかな……)
女「…………」
女「…………」
女「静かだなぁ……」
女「夕日が綺麗だな……」
女「……ん」ブルブル
女「トイレ行ってこよ」
女「ふぅ……」
男「こんにちは」
女「のわぁぁっ!?」
男「なんでそんなに驚いてるの」
女「う、ぃ……だってさっきまでいなかったのに」
男「まぁね」
女「うぬぬ、私がいなくなった隙に出てきやがってぇ」
男「ははははっ」
女「まったく……」
男「僕がいないってわかってしゅんとしてる君は可愛かったね」
女「なっ! どっから見てたんだ!」
男「さーあ、どこでしょうか?」
女「ぐぬぬぬ、からかいやがってぇ」
男「昨日また明日って言ったからにはきちんと来なくちゃね」
女「だからってわざわざ私を驚かしに来なくても良いでしょ」
男「あれ、ばれてた?」
女「ばればれに決まってるでしょうが!」
女「あ、そういえば君昼間教室に居なかったけどどうしたの?」
男「ん……あー、そっか……」
女「……もしかして聞かない方がいい感じ?」
男「……察しがよくて助かる」
女「おっけ」
男「ありがと」
女「んっ」
女「すんごく今更でめちゃくちゃ聞きづらいんだけどさ」
男「なに?」
女「名前……なんて言うの?」
男「あー、名乗ってなかったね!」
男「僕は男です」
女「私は女、よろしくね男君」
男「よろしく女ちゃん」
女「……なんか気恥かしいな」
男「初対面ならまだしも友達だしねぇ」
女「うーあー、ちょっと待ってこっちみないで」
男「えー、なになに? 照れてるの?」
女「ちょ、だから見ないでって」
男「おぉ、顔が赤い」
女「違っ、これは……っ! そうだ、これは夕日で赤くなって!」
男「じゃぁ、そういうことにしとこうかな」
女「うぅぅ……」
女「はぁ、男君って意地悪だよね」
男「そうかな、あんまり自覚ないけど」
女「そうだよ、私を驚かせようとしたり、からかったり……優しくして私を油断させてさぁ……」
男「そっかぁ、油断してるんだ」
女「人の失言を聞き逃さないとことか! そういうとこが意地悪なの!」
男「はははは」
女「笑ってごまかすな!」
男「ん、もうこんな時間だ」
女「夕日半分くらい沈んでるしね」
男「さぁさ、早く帰りなさい」
女「良いじゃん、こんな田舎町じゃ襲われないって」
男「ダメ、絶対にダメ」
女「部活帰りの子たちにまぎれていけば良いでしょ」
男「ダメだって言ってるだろ!」
女「……っ」ビク
男「あっ……」
女「う、うん……帰るね」
女「心配してくれて……ありがと……」
男「……うん、また明日」
女「……ばいばい」
男「…………」
男「あーぁ、やっちゃった」
男「こんなにきつく言うつもりはなかったのに」
男「…………」
男「心配から言ってるんじゃないんだよ」
男「僕はそんな、君が言うほど優しい人間なんかじゃない」
男「 」フッ
本日は終了です
そして早くも私の展開が読まれている……
男「…………」
男「来ない、か」
男「ははっ、そうだよな……」
男「…………」
男「 」ス
ガラッ
男「――っ!?」パッ
女「…………」ソロォ
男「あ……」
女「……あっ」
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「……ん、えと」
男「……昨日はごめん」
女「いや、私こそ……折角心配してくれたのに」
男「…………う、ん」
女「…………」
女「…………ぁ」
男「…………」
女「ね、ねぇ……なんか話、そうよ……雰囲気が暗いじゃん」
男「うん……ごめん、そうだね」
女「あ、謝らなくても良いのに」
男「あー、えっと……うん」
女「……うぅぅ」
女「……こういう時に上手く話できないから友達、できないんだよね」
男「一人は、友達できたよ?」
女「でも、その友達も雰囲気悪くなっちゃった」
男「その友達、きっと仲直りしたいって思ってるよ」
女「そうかな……」
男「その友達……」
男「ううん、ちがうね……僕は仲直りしたい」
女「……っ」
男「ごめん、ギクシャクしちゃったのは僕のせいだ」
男「また仲良くしてくれる?」
女「……うん、もちろん」
女「また仲良くしよ」
男「はぁ、こういう不器用なとこ僕たちそっくりだね」
女「悪いところが似てもしょうがないでしょ」
男「そうかな」
女「そうでしょ、つまりあなたも友達作れないってことじゃない」
男「心外な」
女「じゃあ、友達何人いるの?」
男「友達は一人だけど、その一人は親友だよ」
女「え? ……あっ」
女「不意打ちは卑怯……」
男「してやったり、顔真っ赤だね」
女「これは違うの」
男「これも夕日?」
女「これも夕日!」
男「女ちゃん、女ちゃん」
女「何さ、男君」
男「いや、やっぱり笑った顔の方が可愛いなって」
女「照れさせる気満々すぎて逆に恥ずかしくないな」
男「ありゃ、これはダメ?」
女「全然平気だね」
男「その割に夕日で綺麗に染まってるね」
女「それは言わないで」
男「分かった、言わない」
女「ギクシャクしないのは良いんだけど、そのかわり私がダメージ喰らってる気がする」
男「僕も結構ダメージは大きいんだよ?」
女「ん? どういうこと」
男「こんな恥ずかしいセリフ言うだけで辛いよ」
女「じゃあやめてよ! 何でそんなことしてるのさ!」
男「ほら、肉を切らせて骨を断つっていうじゃないか」
女「怪我しないのが一番だよ!」
男「男の子的にはスリルを求めないと」
女「私は女の子!」
女「まったく、まったく」
男「ははは、やっぱり他愛もないこういう話が一番楽しいね」
女「うん、友達って良いもんだね」
男「そりゃそうでしょう、なんせ友達ですから」
女「なにそれ」
男「さぁね」
女「っとと……そろそろ帰らなきゃ」
男「あ、やばい……夕日が」
女「うん、じゃあもう帰るね」
男「ばいばい」
女「ばいばい、また明日」
男「あぁ、楽しいな」
男「取り返しがつかないくらいに楽しい」
男「僕と君は相いれない存在なのに」
男「…………」
男「 」フッ
本日はおしまい
御閲覧ありがとうございますです
女「男君~」
女「…………」
女「んぅ、また驚かせようとしてるな」
女(いつもは私が教室からいなくなった隙、もしくは私が男君の出現に注意してない隙に現れるよね)
女(だったらトイレに行ったふりをして、男君をおびき出して背後にまわれば……)
女「ふっふっふ、いつもの仕返しじゃ、ふっふっふっふ」タタタ
男「 」スゥ
男「なんだかなぁ……女ちゃんって分かりやすいというか」
男「大方、僕を誘い込もうとしてるんだろうけど」
男「あれだけ考えてることが顔に出る子ってのも珍しいよね……」
男「ま、残念ながら女ちゃんが考えてるようには行かないんだなぁ」
男「……まったく、しばらく待つの面倒くさいな」ハァ
女「ん……」
女「さてと、ここに隠れてれば男君が来るのを監視できるかな」
女「油断してのこのこと現れる男君……」
女「ふはは、男君の驚いた顔をじっくりと見てやろう」
女「…………」ジー
女「…………」
女「…………」
女「…………」
女「……あれぇ?」タラリ
女「男君……こないなぁ」
女(結構待ったよ? 五分くらい)
女「何で来ないの……?」
女「もしかして今日は来ない日なのかなぁ……」トボトボ
女「うー、教室に男君いないとさみしいな……」
男「やっほー、女ちゃん」
女「うわっ、あれっ男君!? 何でいるの!?」
男「いちゃいけないの?」
女「えっ、そういう訳じゃないけど……でもさっき来なかっ……」
男「あははは、驚いてるねぇ」
女「えぇぇ、あれぇ?」
男「それよりさ……」
女「へ、なに?」
男『うー、教室に男君いないとさみしいな……』
女「うわあぁぁぁぁっ! 何で知ってるの!」
男「さっき僕の前で堂々と言ってたじゃん」
女「それは男君がいないと思ってたからっ!」
男「さみしいんだねぇ、よしよし」
女「うがーっ、ちくしょーっ!」
男「相変わらず、女ちゃんは可愛いなぁ」
女「んぐぐぐぅ……」
女「もぅ! 仕方ないじゃん! 男君といると本当に楽しいんだもん、男君がいないとさみしいんだもんっ!」
男「……っ」フィッ
女「ちょっと何で目をそらすの!」
男「ちょ、ちょっとこっち見ないでくれるかな」
女「……あれ、もしかして?」
男「今日はことさら夕日がまぶしいみたいだなぁ……あはは……」
女「照れてる?」
男「し、心外な」
男「からかったつもりが強烈なカウンターを決められました」
女「…………」
男「……さっき言ってたの、本心だよね…………」
女「…………」カァァ
男「……マジすか」
女「顔赤いよ男君……」
男「これは夕日なんでしょ……僕も君も」
女「夕日だね、うん……」
男「…………」
女「…………」
男「また……ギクシャクしてるね」
女「……でも、今回はこのままでいい」
男「……うん」
女「…………」
男「夕日綺麗だね……」
女「うん……」
男「…………」
女「そろそろ……帰らなきゃ」
男「うん……」
女「……一緒に帰らない?」
男「ごめん……それは、できないや」
女「そっか……残念」
女「ばいばい、男君」
男「ばいばい」
男「…………」
男「だめだよ、これ以上」
男「僕は、僕は君と違って……もう」
――――んじゃって、いるから
男「 」フッ
――んじゃって
――きかえらなくて
――と一緒に
――きられない
男「はろー、女ちゃん」
女「もう驚かないよ男君」
女「男君は背後から来るものだと思ってれば良いからね」
男「じゃぁ、今度は前から現れようかな」
女「それじゃむしろ驚かないよ?」
男「それもそうか」
女「あー、ねぇ男君」
男「どうしたの?」
女「なんか私たち、出会ってからさ」
女「たったの六日しか経ってないんだね」
男「六日か、なんだか昔から仲良かった気がするよね」
女「がんばって友達になった甲斐があるね」
男「がんばって友達作るのも変だけど」
男「からかい甲斐もあって嬉しい限りだね」
女「すっごく答え方に困るね、それ」ムスッ
男「ははは、ごめんごめん」
女「きになる子に意地悪する男君……」
男「自分で言って恥ずかしがってたら威力半減だね」
女「でも少しは効いてるんでしょ」
男「プロボクサーのパンチがかすったくらい」
女「すごく効いてるのか、全然効いてないのか分からないよ」
女「…………はぁ」
男「いきなりため息なんて、どしたの?」
女「思ってることを上手く伝えられない自分に嫌気がさして」
男「ん? どういうこと?」
女「教えない」
男「悩んでるなら、友達に愚痴るもんだよ」
女「友達になら愚痴れても、君には愚痴れないんだよ」
男「……んー」
女「別に君が友達じゃないってわけじゃないからね」
男「分かってるよ」
女「この気持ちもたったの六日だよ」ボソッ
男「へ? 何か言った?」
女「教えてあげない」
男「今日は秘密が多いね」
女「上手く行かないね」
女「そんなこんなでタイムリミット」
男「時間が経つのが早いねぇ」
女「もっと長ければいいのにね」
男「ばいばい、女ちゃん」
女「また明後日だね、男君」
男「明日会えないのがさみしいとか、君のことが愛おしいとか」
男「持っちゃいけない感情が大きくなる……」
男「ホントのこと、知ったら君は怖がるよね」
男「だからこの気持ちは捨ててしまわないと」
男「…………」
男「 」フッ
本日おわりー
土曜日授業ありの学校で明日は日曜日
ってことは伝わってますかね
閑話
「ねぇねぇ、うちの高校の七不思議って知ってる?」
「えー、なにそれ知らない!」
女(ん? 七不思議?)
「この前先輩に聞いたんだけどさー……」
「まず一つ目はね……」
女(まぁ、学校にありがちな話だし……)
女(私は興味無いや……)
女(興味無いも何も、私は盗み聞きしてる立場ですけどね)
女(……興味無い話を聞こうとしないとこも友達ができない一因なんだろうなぁ)
女(人体模型が動いたとかトイレに女の人がいたとか……何が面白いんだろ)
「五つ目は幽霊の男の子」
「放課後になるとすぅっと男の子が現れて、夕日が沈むとともに消えるんだって」
女「えっ!」ガタッ
「……えっと、女さん? 何?」
女「う、あ、その……何でも無い、です」
「……まぁいいや、それでねっ」
女(放課後で……男の子……)
女(え、でも、そんなわけが……)
「この話だけ何故か目撃証言が多いらしいんだよ」
「別に不思議でも何でも無くて、イタズラしてるバカ男子がいるだけなんじゃない?」
女(そ、そうだよ……きっと男君がイタズラして……)
女(……っ、夕日で消える……って)
――ダメだって言ってるだろっ!
女(……ぇ)
「んでんで、その幽霊がどうもイケメンなんだってー」
「あはは、バカ男子じゃなかったらあれでしょ、モテない女子が幻覚見たとか」
女(夕日が、沈む前に……絶対に帰らされる)
女(もしかして…………)
女(……ないよね、そんなわけ)
女(……っ! そうだ、触れたじゃん!)
女(最初に会った時男君の肩つかんで揺らせた! 触れたんだ!)
女(ほら、やっぱり幽霊なんかじゃないよ……七不思議を本気にした私がバカだった)
「六個目はね……」
女(まったく男君ったら、七不思議になるほど人のこと驚かせてるとか……はぁ)
女(まぁそういう所が男君の良いとこなんだけど)
女(日曜日を挟んで、一昨日ぶりに男君に会えるんだ)
女(ふへへ、楽しみだな)
女(男君に会ったら、七不思議のことでからかってやろっと)
閑話 終了
女「さて……」
女「おっとこくーん」
男「やほー、女ちゃん」ヌッ
女「やっぱ後ろから来るんだね……」
男「まぁ、僕のアイデンティティーだからね」
女「そんなのが個性でいいのかい……」
女「あはは、そう言えば男君」
男「ん?」
女「七不思議になってたよ、どんだけイタズラしてるのさ」
男「……っ」
女「放課後になると男の子の幽霊が出るとか何とか……まったく、人を驚かすのは良いけどほどほどにね」
女「にしても、七不思議ってやりすぎだよ」
男「あぁ、うん……うん、そうだね」
女「どうかした?」
男「……い、いやー、はっはっは、七不思議になるとかイタズラしすぎたなー」
女「まったくまったくだよ」
男「…………」
男「…………」
女「ねぇねぇ」
男「…………」
女「あれ、男君?」
男「…………」
女「おーい、男君」
男「…………」
女「反応してー、無視しないでー」
男「…………」
女「むぅ……」
女「すぅぅ……」
女「おとこくーーーーーーん!!!!」ゴォ
男「んのぁ!?」ガタ
女「男君、無視しないでよ」
男「ご、ごめんごめん少し考え事をしてて……」
女「すごく真剣に考えてたね、何を考えてたの」
男「いや、その……」
女「言いにくい事?」
男「あ、いや女ちゃんにどうイタズラしようかなーって」
女「ひどいなぁ、いつもそんなこと考えてるの?」
男「そう、だね」
女「ん……やっぱ男君といると落ち着くや」
男「…………うん」
女「……この雰囲気が良い」
女「吹奏楽部の練習とか、サッカー部の掛け声とかが小さく聞こえて」
女「夕日で金色に輝く教室に二人」
男「…………」
女「…………」スッ
男「えっ……」
女「手握っちゃ駄目?」
男「……ううん、いいよ」
女「ん……」ギュ
女「男君……」
男「…………」
女「私ね」
男「…………」
女「君のことが」
男「ダメだ!」バッ
女「……っ!?」
男「その先は言うな」
女「何でっ」
男「ダメなんだよ、君と僕じゃ」
男「僕は、僕だけはダメなんだ……」
男「ホントは! ホントは仲良くなるのも、友達になるのもダメなんだよ!」
男「それなのに…………だなんて!」
女「そんな……」
男「僕と君は相容れないんだ」
女「……っ」キラッ
ガラッ
タタタタタ
男「…………」
男「泣いてたな……」
男「はは……これでいいんだよ」
男「所詮僕は、逸脱した存在なんだから」
本日終了
ほっぽらかしててすみません
保守してくれた方、ありがとうございます
もう少しで完結です
女「……男君」
男「…………何で来た」
男「もう来なくなるように、言葉を選んだのに」
男「僕に会いたくなくなるように言ったのに」
女「……だって」
男「…………?」
女「男君、ダメだって言うばっかで」
女「……理由も何もいってくれないんだもん」
女「それは……そんなのは嫌だよ」
男「…………っ」
女「そんなままで男君と会えなくなるなんて、絶対にいや」
女「教えて、何でダメなの」
寝落ちった
すみませんです、始めます
男「…………言ったら、怖がるよ」
女「怖がんないよ」
男「聞かないほうが君の為に――」
女「嫌だ、聞く」
男「…………」
女「…………」
男「七不思議」
女「え……?」
男「――高校の七不思議、五つ目『放課後の幽霊』……」
男「あれは、僕だ」
女「男君の……イタズラ……?」
男「ううん、違う」
男「僕が幽霊……僕はもう死んでいる」
女「……え、でも」
男「触れたじゃないか……って?」
女「…………」
男「幽霊は非実態だって、誰が決めたんだろうね」
男「実際僕は、こうして身体を持っている」
男「夕日が沈むまで、という条件があるとはいえ、この身体は本物だ」
女「……そんな」
女「……そんな」
男「ほら、怖いだろうやっぱり」
男「君は人間、僕は怪異……一緒になるのは可笑しいん――」
女「それが……どうしたの?」
男「は……!?」
女「男君が死んでるとか、幽霊だとか……それがなに?」
男「……君は、話を聞いていなかったのか?」
女「私は、友達だから」
男「…………っ」
女「人間だから友達になったんじゃない」
女「男君だから友達になったんだよ」
女「ホントのことを知ったからって、友達じゃなくなるわけじゃない」
女「男君は、男君でしょう」
男「自分が言ってることが分かってるのか?」
女「もちろん」
男「…………」
女「男君」
男「僕は……」
男「僕は地縛霊なんだよ?」
女「うん」
男「この教室から出られないんだよ?」
女「うん」
男「放課後にしか現れていられないし、夕日が沈んだら消えてしまうんだよ?」
女「うん」
男「それで……それなのに僕で良いの?」
女「うん」
女「……こうして男君と二人でいるのが良い」
男「……女ちゃんと二人で夕日に照らされて」
女「のんびりゆっくりおしゃべりをして……」
男「楽しい時間を毎日変わらず過ごして……」
女「…………」
男「…………」
女「…………」
女「君といると、夕日が綺麗ですね」
男「僕は君に会うために死んだのかもしれない」
女「……幸せだよ、私」
男「…………僕も」
女「放課後の教室で二人一緒に」
男「嬉しいね、楽しいね」
女「友達ぜろにん、しかいないけど」
男「僕には君が」
女「私には君が」
男「二人一緒に」
女「いつまでも」
これで終わりです
少しキャラを持て余した感がありますね……精進します
何はともあれ、御閲覧ありがとうございました
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