ちひろ「NoCharge NoLife」 (54)
※このSSには○○(アイドル名)担当Pが一人一人います
※特定アイドルのDisと取られかねない描写があります
※作者はSSに登場するアイドルが嫌いなワケではありません ← 一番重要
※胸糞注意 ある程度のキャラ崩壊注意
ここまで読んで、まだ読みたいと思う物好きな方以外はバック推奨です
最後に。課金はほどほどに。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409143219
―――事務所―――
凛P「おはようございます」
ちひろ「おはようございます、凛Pさん。いつもよりもちょっと遅いですね」
凛P「ええ、まぁ、色々ありまして……」
ちひろ「……そうですか。まぁ、ほどほどにしてくださいね。彼女もアイドルなんですから」
凛P「えっ、もしかして……気づいちゃいました?」
ちひろ「ええ。急におろしたてのような新しいズボンなんか履いてきたら察しのいい人は気づいちゃいますよ」
凛P「……あの、この事は」
ちひろ「別に私としては構いませんよ。社長に言うつもりもないです」
凛P「そ、そうですか」
ちひろ「ですが、その件とは違って一つ」
凛P「はい?」
ちひろ「課金済みのお金、そろそろ尽きちゃいますよ」
凛P「……」
ちひろ「どうします?」
凛P「……期日内には、どうにか工面します」
ちひろ「ならいいんです。たまにですけど、踏み倒そうとするプロデューサーさんもいますので」
凛P「そうなんですか……」
ちひろ「ええ。と、いうか今も踏み倒して1週間ほど続けているプロデューサーさんがいるんですけどね」
凛P「誰か聞いても?」
ちひろ「千枝Pさんです。凛Pさんからもそれとなく言っておいてくれませんか?」
凛P「わかりました。もし会ったら言っておきますね」
ちひろ「助かります……まぁ、それでお金をまけたりはしませんけど」
凛P「ははは……」
千枝P「おはようございますー」
凛P「あ、噂をすれば」
ちひろ「こんにちは、千枝Pさん。支払い期限はそろそろ一週間になるんですが、お金は用意できました?」
千枝P「え、あ、えーっと、その……」
ちひろ「……とりあえず、今日中にお願いしますね。我慢って健康に悪いらしいので」ニコッ
千枝P「は、はい……」
ちひろ「それじゃあ、千枝Pさんの今日のスケジュールはこれです。頑張ってくださいね」スタスタ
千枝P「ふぅ……」
凛P「おいお前大丈夫かよ……」
千枝P「大丈夫じゃねぇよ……やべぇよ……なぁ、金貸してくんね」
凛P「無理。俺も結構キツイし」
千枝P「だよなぁ……どうしよ……」
凛P「諦めるんだな。一週間も踏み倒したお前が悪い」
千枝P「畜生……もういっそ千枝連れて逃げようかな」
凛P「逃げられると思ってるのか?あの人から」
千枝P「……思ってない」
ちひろ「あ、そうそう」
千枝P「な、なんでしょう!?」
ちひろ「もし、もしですよ?今日中に支払いができなかった場合……」
千枝P「場合……?」
ちひろ「どんな手段を使っても、お金は払ってもらいますから」ニコッ
千枝P「……」ゾクッ
ちひろ「では、別件があるので私は事務所を出ますね」ガチャ
凛P「はい。わかりました」
千枝P「……どうにかしなきゃ……」
凛P「下手するとアレだな。闇金とかも視野に入れなきゃいけない」
千枝P「……利子安いとことか知ってるか?」
凛P「知ってるわけないだろ……」
―――女子寮―――
ちひろ「……ふむ」
千枝「あ、ちひろさん……」
ちひろ「あら、千枝ちゃん」
千枝「あの……もしかして、プロデューサーさんを……」
ちひろ「いいえ。そっちの件は本人にさっき注意してきましたので」
千枝「そうですか……」
ちひろ「……心配?」
千枝「はい……今回はいい人でしたから……」
ちひろ「そうね。あちらから千枝ちゃんを選んできたにしてはいい人ね。だから貴方にとって失うのは惜しい人だと思うのだけど……」
千枝「……あの。私の分、どれだけ残ってますか?」
ちひろ「期限にしてざっと3ヶ月といったところね」
千枝「……1ヶ月分、プロデューサーさんに渡す事ってできませんか?」
ちひろ「……いいの?貴女はそれで。そんな事をしたら彼、貴方のヒモになるかもしれないわよ?」
千枝「……それでも、いいんです。私はあの人と少しでも一緒にいたいですから」
ちひろ「そんなにお金をかけるような相手でもないような気がするのだけど……わかりました。貴女がそれでいいなら」
千枝「よろしくお願いします」
ちひろ「それでは私はこれで。……そうだ。彼に電話でもして、伝えてあげたらどう?」
千枝「そうします。……それで結局、ちひろさんのご用事って?」
ちひろ「チェンジが出たのでその交渉に行こうと思って」
千枝「……そう、ですか」
ちひろ「どうかした?」
千枝「いえ……何でも、ないです……」
ちひろ「そう……じゃあね。千枝ちゃん」
千枝「……いくらお金でどうにかできるからって、チェンジなんて……」
―――301号室前―――
ちひろ「こんにちは。舞ちゃん、いる?」コンコン
舞「……こんにちは」ガチャ
ちひろ「(……成程。だからチェンジの交渉を持ちかけてきたのね)」
ちひろ「腕……酷いわね。これ、プロデューサーさんが?」
舞「……はい。あの、どうぞあがってください。お茶くらい出しますので」
ちひろ「じゃあ遠慮なくあがらせてもらうけど……足、大丈夫?」
舞「……まだ、折れてはいないので……」
ちひろ「そう……」
―――301号室―――
ちひろ「……布団、しまわないの?」
舞「いつどのタイミングで……あの人に求められるかわかりませんから……」
ちひろ「そう……」
舞「それで……あの、チェンジのお話は……」
ちひろ「貴女が今課金して、尚且つ所持している金額は約1年半分といったところかしら。それで、チェンジにいくら使うんですか?」
舞「……半年、6ヶ月分支払います」
ちひろ「あら、随分と太っ腹ね」
舞「そこまで広げないと……きっといい人には巡り会えないと思いますから……」
ちひろ「それは道理というものね。さて……6ヶ月だと……幸子ちゃんのプロデューサーさんなどはどう?」
舞「……暴力癖がある、って聞いてます」
ちひろ「そこに目をつぶって頂ければかなりの優良物件よ。貴女は殴られ慣れてるじゃない」
舞「……っ」
ちひろ「……その様子だと、暴力自体がトラウマになってしまっているのね。それなら……フレデリカちゃんのプロデューサーさんなどいかが?」
舞「……フレデリカさんのプロデューサーさん?どうしてあの人が6ヶ月程度で出ているんですか?」
ちひろ「フレデリカちゃん曰く『真面目過ぎてつまんなーい。来る日も来る日も事務的対応ばっかり。機械と話してるみたいでウンザリ』との事です」
舞「……なら、もうその人でいいです。優しい人がよかったですけど、高望みはできなさそうですもんね……」
ちひろ「そうね。この辺が妥協点……」
ちひろ「(……そうだ)」ニヤッ
ちひろ「舞ちゃん。更に優良物件があるのよ。優しくて、しかもとっても安いのが」
舞「えっ……で、でもそういう人は……」
ちひろ「暴力癖も今のところナシ。強いて言うなら……ロリコンの気があるから、オススメできる子が限られるといったところかしら」
舞「……本当、ですか?そんな人……」
ちひろ「ええ、とってもいい人よ―――
千枝ちゃんのプロデューサーさんは」
―――翌日 事務所―――
千枝「……え?」
ちひろ「ですから。舞ちゃんのチェンジによって、貴女のプロデューサーさんは今日から舞ちゃんのプロデューサーさんになりました。で、舞ちゃんのプロデューサーさんが、貴女のプロデューサーさん」
千枝「……嘘、嘘です。そんなワケ……だって、昨日、プロデューサーさん、喜んでくれて……」
ちひろ「その後に私が電話してその旨を伝えたら、快諾していただけましたよ?」
千枝「そん、な……」
ちひろ「だから私、言ったじゃないですか。……あんなのに、お金を払うような価値なんかないって」
千枝「……わ、私の全財産を払っても、ダメ、ですか?」
ちひろ「そうですねぇ……そこにプラスすれば取り返せるかもしれませんね。家やそこに存在する物全て、あとは……貴女の肺があれば」
千枝「肺……?!」
ちひろ「何を驚いているの?もう文字通り体を売るしか貴女に財産は残されていないのよ?」
ちひろ「……まぁ、まだ方法がないでもないのだけど」
千枝「そ、その方法ってなんですか?!わ、私、頑張りますから……お願いします、どうか」
ちひろ「……家族を売る」
千枝「……へ?」
ちひろ「肉親、兄妹はもちろん、祖母や祖父、叔父や叔母、あとは……ペットも一応対象に入るのかしら。対した値段にはならないけどね」
千枝「……そんな、そんなの」
ちひろ「ああもちろん―――自分の手で殺して、業者に売ってからこっちに持ってくるのよ?」
千枝「うっ……ぷ……」
ちひろ「さて、どうします?」
千枝「……鬼、悪魔」
ちひろ「……私を人の妄想で作られた胡散臭いもので定義しないでくださいよ」
ちひろ「私はあんなものよりも……こと人間らしい考え方をしているんですよ?」
千枝「っ……!」
ちひろ「それより、ほら。お迎えが来たみたいですよ」
千枝P(元舞P)「……次は、こいつか?」
ちひろ「はい。とっても元気な子なので壊れにくいとは思いますよ」
千枝P「どうだかな。そう言ってお前がこの前くれたヤツはすぐ壊れたからな」
千枝「あ……あ……」
ちひろ「だったらまた買い直せばいいじゃないですか。貴方にはそれだけのお金があるのでしょう?」
千枝P「……たまに俺はお前が怖くなるよ。俺も壊れているが、お前はもっと壊れている」
ちひろ「お褒めに預かり光栄です」ニコッ
千枝P「気に食わんやつだな……ふん、行くぞ」グイッ
千枝「いや、嫌あああああ!!あの人を、あの人を返して!!返してよ!!」ズリズリ
ちひろ「一言だけ、言わせてもらいますね」
ちひろ「お金で買えないものはね、実はないんですよ。例えそれが、人の心であったとしても」
千枝「あ……」バタン
ちひろ「……さてと。いかがでした?千枝ちゃんのプロ……ああいえ、今は舞さんのプロデューサーさんでしたね」
舞P(元千枝P)「……」
ちひろ「貴方がお金を納めていれば、こんな事にはならなかったんですけどね」
舞P「……あんなのは、もういいんです」
ちひろ「……と、いうと?」
舞P「今の俺にとっては舞ちゃんこそが天使です。俺はあの子を幸せにしてやらなくちゃいけない。助けてもらった恩もありますし」
ちひろ「そうですか。ではこちらが舞ちゃんの部屋の鍵になります。どうぞ」
舞P「ありがとうございますちひろさん。……それと、なんとか工面してお金は振り込んでおいたから、確認よろしくお願いします」
ちひろ「わかりました。お金を振り込んでいただけたのなら、こちらは何も言いませんよ。では、幸せなセカンドライフを」
舞P「はい。ではまた明日!」ガチャ
ちひろ「……千枝さんも舞さんも、見る目がないですね。あんな屑に、どうして大事なお金を払うんでしょう」
まゆ「それが、愛だからじゃないですかぁ?」
ちひろ「まゆちゃん。いたの?」
まゆ「はい。少し前から」
ちひろ「それで、私に話しかけてきたって事は……」
まゆ「入金しましたので、どれくらいの期間になるか聞きたくなって……」
ちひろ「ちょっと待って……本当に入金してるわね」
まゆ「当たり前じゃないですかぁ……それで、どれくらいになりますかぁ?」
ちひろ「この金額だと……そうね、二人分で2年くらいは余裕かしら」
まゆ「うふ。これで貯金分と合わせて10年はPさんと一緒にいられるんですねぇ……」ウットリ
ちひろ「ちなみに。今回は誰を?」
まゆ「血が繋がってるかどうかも怪しいよくわかんない親戚を3人くらいですかねぇ。肺がタバコで真っ黒になってて売り物にならなかったのが残念でしたぁ」
ちひろ「……そう。毎度毎度、貴方には驚かされるわね」
まゆ「うふふ……私にとってはPさん以外はみんなどうでもいい人ですから……」
ちひろ「あら。どうでもよくない人に私は含めてもらえないの?」
まゆ「……ちひろさんはもう、私の中で人ではないですから」
ちひろ「なるほどね。褒め言葉として受け取っておくわ」
まゆ「はい。まゆなりの褒め言葉ですよ……じゃあまゆはこれで……」ガチャ
ちひろ「……まゆちゃん。褒めてくれたついでに一つ、教えてあげる」
まゆ「なんですか?」
ちひろ「プロデューサーからもね?アイドルのチェンジっていうのは成立するのよ」
まゆ「……そうですかぁ。でも、まゆには関係ありませんね。まゆとPさんは相思相愛ですから」
ちひろ「それなら安心ね。言いたい事はそれだけよ。じゃあまゆちゃん、また明日ね」
まゆ「はい。また明日」バタン
ちひろ「……さてと。今日はチェンジの依頼もありませんし、現実に戻るとしますか」
―――某研究所―――
ちひろ「あちらの世界にいるとこちらの感覚がわからなくなってくるわね……」
ちひろ「……夢見る少女達(シンデレラガールズ)とはよく言ったものね」チラッ
ちひろ「人間をカプセルに閉じ込め、共有する仮想現実を見せて脳波の測定をする……なんて」
ちひろ「発明者はいたって真面目な理由で考えたのかもしれないけれど、何故作ったのかはもう聞けないし」
ちひろ「ね。晶葉ちゃん。貴方も現実が嫌になって夢に逃げたんだものね」
ちひろ「貴方のおかげでこんなにお金を稼げているんだもの。貴方は永久に夢の中で幸せに暮らすのがお似合いよ」
ちひろ「あちらの世界はどう?貴方を全て肯定してくれるプロデューサー。貴方好みのプロデューサー。貴方を愛してくれるプロデューサー……まぁ、中には酷いプロデューサーもいるけれどね」
ちひろ「ことそういう屑に限って、お金を持ってるだなんて……不条理よね。世の中っていうのは。ねぇ、千枝ちゃん」
ちひろ「きっと今頃、貴方はあちらの世界ではあの変態に激しく求められているんでしょうね。現実でも濡れてるだなんて相当だわ」
ちひろ「……あら?」
ちひろ「……この人、死んでるじゃない。だからあっちで忠告してあげたのに。あまり現実を疎かにしちゃいけないって……」
ちひろ「掃除が大変そうね……解体したらいくらで売れるかしら」
ちひろ「よくて一千万いくかどうか……まぁ、対した額にはなりそうにないわね」
ちひろ「これで席が一つ空いちゃったから、新しい人を勧誘してこないと……」
ちひろ「……こんな時に限ってあっちでの連絡ですか。お金にならなさそうならさっさと切りましょう」
―――事務所―――
ちひろ「痛っ……こっちに戻ってくるのも楽じゃないんですけどね」
ちひろ「はい、もしもし」
まゆP「……今、まゆが部屋にいないんです。来てくれませんか」
ちひろ「……」ニヤッ
ちひろ「はい、喜んで」
―――312号室―――
ちひろ「こんにちは……っと」ソロリソロリ
ちひろ「こんなところまゆちゃんに見られたら大変ね……『Pさんの部屋』、ここかしら」
ちひろ「失礼します」ガチャ
まゆP「……」
ちひろ「あら、大変素敵な格好ですね。両手両足に赤いリボンだなんて」
まゆP「これ、本当は凄い重いんですよ。持ってみます?」
ちひろ「いいえ。ご遠慮いたします。お金にならない事以外は私はやりたくないので」
まゆP「……そうっすか。相変わらずですね」
ちひろ「それほどでも。さて、ご用件はチェンジについてでいいんですよね?」
まゆP「ええ……流石のメンヘラ好きな俺でも、あの子はもう手に負えないです」
ちひろ「あら、最初は『この子となら20年は余裕』とか言っていた貴方が?」
まゆP「……夢を見すぎたんですよ。この場所に」
ちひろ「夢の中のこの場所で夢を見すぎた、だなんて面白い事を言いますね。夢は見すぎるものではなく、酔うものなのに」
まゆP「……それで……俺の未使用の課金額、相当になっていると思うんですけど」
ちひろ「まゆPさんの分は全てまゆちゃんが払ってますからね。ざっと見て15年分くらいですか。でも逆にどうやってここまで貯めたのかは気になりますけど」
まゆP「……まゆが見ていない間に、色んなところからお金を借りまして」
ちひろ「それは困りますね。警察はお偉いさんがここの常連だからいいとして、もし追い立て屋がここに来たらどうするんですか?……まぁ、最悪装置にハメてしまえば大体の人は終わりなんですけどね」
まゆP「こうやって束縛される時間さえなくなれば、借りたお金はどうにでもなります。どうか、信じてください」
ちひろ「……ふむ。では今回限りは仕方ないですね。特別ですよ?」
まゆP「ありがとうございます……」
ちひろ「さて、チェンジですが……生半可な金額じゃ、まゆちゃんと離れる事はできませんよ?」
まゆP「……14年分、使います」
ちひろ「……正直、それでも博打だと思いますよ?彼女、貴方の分と合わせて20年分……」
まゆP「俺の分を合わせて、でしょう?……まゆだけの分なら、10年分だ」
ちひろ「……まさか。払わせたんですか?10年分を先払いで?」
まゆP「まゆとの将来を本気で考えたいからって言ったら快諾してくれましたよ。嘘は言ってないです」
ちひろ「……本当。10年分が使用済みになってますね」
まゆP「そこにすぐには稼げないであろう4年分を上乗せして……14年分、チェンジに使います」
ちひろ「まゆちゃんなら4年分くらいすぐに稼いできそうな気もしますけどね。あの子、貴方のためなら平気で家族[ピーーー]子ですし」
まゆP「そこも問題ないです。まゆはもう……人を殺せません」
ちひろ「自信満々ですね。何かあったんですか?」
まゆP「……現場が見たい、とついていきました。俺もまゆと一緒に稼ぎたいから、と」
まゆP「そこで写真と映像を撮って……今も手元にそれがあります」
ちひろ「……本当、まゆちゃんは貴方のためなら何でもしてくれるんですね」
まゆP「この拘束を解く以外ならば……ですね」
まゆP「……正直、吐き気がしました。まゆが笑顔で馬乗りになって人間を捌いてるところなんて見たくなかった」
まゆP「それと同時に……あの頃のまゆは、もういないんだって。俺はわかっちゃったんです」
ちひろ「そう、ですか」
まゆP「……おかげで目が覚めました。俺は新しく、夢を見たい。今度は普通の夢を」
ちひろ「わかりました。14年分でチェンジ申請しておきますね。お相手の希望は?」
まゆP「……福山舞ちゃん」
ちひろ「……あら、以外ですね。それはまたどうして?」
まゆP「……あの子だけ、なんです」
ちひろ「何がですか?」
まゆP「まだ俺がプロデューサーとして事務所に通っていた頃、俺の……スーツの下の傷に気がついて、こっそり手当をしてくれたのは」
ちひろ「(舞ちゃんは日常的に暴力を受けていたみたいだから……かしらね)」
まゆP「それからずっとあの子のためだけに頑張ってきたんです。どんな折檻を受けても、どんなに傷をつけられても」
ちひろ「……わかりました。では、舞ちゃんに連絡しておきますね」
まゆP「お願いします……」
ちひろ「(これじゃまるで、あの時と一緒ね。千枝ちゃんと舞ちゃんの時の)」
ちひろ「では、明日までに気づかれてまゆちゃんに殺されてない事を祈ってますよ。それでは」
まゆP「……」
―――翌日 事務所―――
ちひろ「おめでとうございます。見事、あのまゆちゃんから生き延びたんですね」
舞P(元まゆP)「……げほっ……今のまゆの状態、知ってるんですか?」
ちひろ「ええ。だって貴方の後ろにいますからね」
まゆ「Pさん……どうして……どうして、どうして、どうして?」
舞P「……この際だから言わせてもらうけどな。もうお前にはウンザリだ。部屋から一歩も外に出してくれないとか頭おかしいわ」
まゆ「私はPさんを愛していたんですよ?愛していたから部屋から出さなかったんです。怪我でもしたら大変ですし、何よりハエがたかると困りますから」
舞P「残念だけどな。俺はそのハエに恋をしたんだよ。見目麗しいだけの蝶々はもう見飽きた」
まゆ「ふざけないで……!!」
舞P「ふざけてんのはお前だよ……ったく、俺がチェンジしようとした途端にこれだもんな。スーツも体も、もうボロボロだよ……」
ちひろ「現実での脳も大分ダメージ受けているみたいですよ。すぐにログアウトして、少しの間は現実で安静に過ごす事を私はオススメします」
舞P「今まで知らなかったけど、そういう仕組みだったんですか。どうりでこっちで死んだやつがあっちでもいなくなってるワケですね」
ちひろ「ええ。ああ、お金を払って頂ければすぐ脳のダメージも回復しますけど」
舞P「……勘弁してください。これが終わったら一旦ログアウトして、借りた人達にお金を返してきますよ」
ちひろ「そうですか。私としては残念です」
まゆ「何勝手に話を進めてるんですかぁ……まだこっちの話は終わってないんですよ……?」
ちひろ「いいえ。終わってますよ。貴方はお金を払えない。彼はお金を払えた。それでもうこの話は終わってるんです」
まゆ「……わかりました。お金を払えばいいんですねぇ?」
ちひろ「ええ」
まゆ「ひーふーみー……そうですねぇ。10人で足りますかねぇ……」
舞P「残念ながらもうお前は人を殺せないよ」
まゆ「……?」
舞P「ここの常連っつー警察のお偉いさんに、この前のお前の殺しの写真と動画を見せてきた。すぐ逮捕状出してお前を逮捕してくれるってよ」
ちひろ「へぇ。腐っていても警察官、ですね。もしかして他に条件でも付け足したんですか?」
舞P「……お前がここの常連って事をバラしてやるって言ったら一発だったよ」
ちひろ「あら。意外とメンタルが弱い人だったんですね……いい事を聞きました」
舞P「……それじゃあ、本当にさよならだ、まゆ。少し前までは、愛してたよ」ザッ
まゆ「……そんな、そんな、そんな」
ちひろ「ああ、まゆちゃん。一つそこに私からも付け足させてもらうと」
ちひろ「貴方が逮捕された場合……今まで稼いだ、10年分の未使用のお金は、全部こっちで没収させてもらうから」
まゆ「……え?」
ちひろ「当たり前でしょう?最初の契約の時、言ったわよね」
ちひろ「もし死んだり、何らかの理由で装置の続行が不可能な場合、お金はこっちが全部没収って」
ちひろ「もちろんその時の会話は録音してあるし、契約書もあるから……そうじゃなければ私だってまゆちゃんの逮捕なんて許してないわよ」
ちひろ「だってまゆちゃんは廃課金者様、ですからね。正直、手放すのは今でもちょっと惜しいなと思ってます」
まゆ「……あ……あ……」
ちひろ「ただ。昨日いい人を見つけたんですよ。まゆちゃんぐらいここに夢中になってくれそうな、お金持ちのお嬢様を」
ちひろ「ああでもやっぱり惜しいわ……どうしようかしら」ニコッ
まゆ「……」ゾワッ
ちひろ「そうだ。なら脳をいじって記憶を消しちゃいましょう」
まゆ「っ!?」
ちひろ「そうすればまゆちゃんも新しいPさんの事をきっと好きになりますし、こちらも課金を継続してもらえてどっちも嬉しいですしね」
まゆ「そんな、そんなの。まゆ、まゆは」
ちひろ「そうなるとお偉いさんに電話して……ああそうね。舞Pさんにもその事を説明しないと。久しぶりに忙しくなるわね」
まゆ「嫌、嫌です。まゆが、まゆじゃなくなるなんて」
ちひろ「いいえ、まゆちゃんはまゆちゃんのままですよ。ただ、舞Pさんと出会ってからの事を忘れるだけです」
まゆ「まゆは、あの人を、愛していて」
ちひろ「愛、愛ですか。安っぽい言葉ですね」
ちひろ「私としては―――廃課金者様の最後にはもうちょっと、高そうな言葉を聞きたかったですね」ポチッ
―――翌日―――
凛P「……おいどうしたんだよ」
まゆP(元舞P)「……俺、死んだわ」
凛P「いきなりどうしたんだよ」
まゆP「……千枝のプロデューサー辞めて、舞ちゃんのプロデューサーになったのはお前、知ってるよな」
凛P「まぁな。お前が滅茶苦茶嬉しそうだったからよく覚えてるよ」
まゆP「……また辞めさせられた」
凛P「……はぁ?いくらお前が屑だからってそんな」
まゆP「しかも今回の相手は佐久間まゆ……あの、佐久間まゆ……」
凛P「……ご愁傷様。昨日包丁持って女子寮の周りキョロキョロしてたから生きて帰ってこいよ」
まゆP「嫌だ……せめて殺されるなら13歳以下が……」
まゆ「あ、あの……」
まゆP「は、はいっ!?」
まゆ「貴方がまゆのプロデューサーさん……なんですよね?」
まゆP「そ、そうです。あ、あの……」
まゆ「よかった……素敵なプロデューサーさんで、まゆ嬉しいです……」
まゆP「……あれ?」
凛P「……もしかして、怒りのあまりおかしくなった?」
まゆ「私、佐久間まゆって言います……これからよろしくお願いしますね、プロデューサーさん……」
まゆP「……は、はい。えへへ」
凛P「……やっぱこいつ屑だわ。もう誰でもいいんじゃねぇの」
まゆP「いやいや。俺がOKな幅が16歳までに広がっただけで」
凛P「ったく……」
凛P「(それにしても……このまゆちゃんの変わりようは一体……)」
凛P「(もしかして俺達は……もう、後戻りできないところまで来てるんじゃ……)」
―――研究所―――
ちひろ「さて、と」
ちひろ「まゆちゃんもこれで幸せになって、私も廃課金者様を手放さないでよくなって、ハッピーエンド、といったところかしら」
ちひろ「……それにしても、遅いわね」
ちひろ「っと、やっと来た」
ちひろ「こんにちは。夢見る少女達の研究所へようこそ」
ちひろ「今日から貴方もきっと素敵なセカンドライフを送ることができますよ」
ちひろ「……ええ全く。素晴らしい時代になったものですよね」
ちひろ「では、前金はこちらに……ええ。契約書はこちらになります」
ちひろ「先にですね。言わせていただきたい事があるんです」
ちひろ「この世はお金が全てです」
ちひろ「ええ。貴方なら同意していただけると思いました。そして多分、この意見にも同意していただけると思うんです」
ちひろ「そしてお金で買えないものはない。そう、例えそれがシンデレラになれる魔法であっても……ね」
おわり
何度も言いますが、私自信がモバマスやこのSSに登場したアイドル達を嫌いというワケではありません。
どれだけちひろさんを含めた人間達の性をエグく書けるかに挑戦してみたかったのです。
それではここまで読んでいただいてありがとうございました。
閲覧注意だけでいいと思うな
そこまでエグくなかった(麻痺)
閲覧注意だけでいいと思うな
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このSSまとめへのコメント
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