P「姫野かのんは出て来ない」(25)
オカシイ。
橘 志狼(たちばな しろう)はそう思っていた。
視聴覚室で、部屋を薄暗くしての映画鑑賞。
そこの一番後ろ、一番窓側の二人掛けの席で、すぐ隣に座る友人、岡村 直央(おかむら なお)の様子が変だと気付いたのだ。
「お、おいナオ……具合でも悪りぃのか?」
直央は椅子には座っているのだが、内股で少し前傾になって両手を太ももで挟み、目をギュッとつむって何かに堪えているよう。
そして、僅かに、微かに。こんなに近くへ居て、耳を澄ませて、初めて聞こえる、小さな、小さな、機械音。
ヴヴヴヴヴッ……
「んっ……しろぉ、くっ……何でも、ないからっ、こっち見ないでぇっ」
暗闇の中でも栄える潤んだ瞳に、熱の籠った甘ったるい声に、時おりビクッビクッと震える幼い身体。
知識は無くとも、様子が変だと言う事ぐらいは難なく見て取れる。
「だってよぉ……本当に大丈夫かよお前?」
だから純粋に、志狼は直央の体調を心配して、背中を撫でようと手を伸ばしたとしても、それは当然で自然な行為だった。
そうまでして、プロデューサーを繋ぎ止めたい……もはや、叶う筈も無かった。
岡村直央と橘志狼は、恋人同士にはなれない。
しかし、恋人同士ではないのなら? ただ、性行為を共有する関係なら?
それなら、成る。人の隙を突くウルトラCで。ましてや相手は、子供に脅されてる隙だらけの大人なのだ。
「ボクも、交ぜてくれますか? 交ぜて、くれますよね? バラされたくないなら……ボクも、交ぜてください」
行動は早い。二人の関係を知ってから、たったの三日後。
仕事終わりにプロデューサーを休憩室へ呼び出し、何故か着いて来た志狼にも聞こえるように、直央は拒否の不可能な問を投げ掛けた。
最初こそ志狼に非難されるだろうが、そんなのはすぐに馴れるし、気にならなくなる。
それに、これからは三人で一緒。もふもふえんとはメンバーを変えた三人組。
これからは、ずっと……
「しろう君と、一緒だねっ♪」
おわり(ホ嘘)
P「ほー」ジィーッ
P「休憩中に、ノートへ何を書いてるのかと思ったが……」ニヤニヤ
直央「うわあああああああああ!!」
直央「返してくださーい!!」ピョンピョン
志狼「うっせぇーなーっ、なに騒いでんだよっ?」ヒョコッ
直央「しっ、ろ……うわああああああ!! こっち来ちゃダメえええ!!!」ワタワタ
P「あー、はいはい。休憩おわりー!! かのんを連れて来てくれ。パン食い競争の練習するぞ」
P「スポーツ大会は近いんだから、気合い入れろよっ!!」グッ
次回予告
遂に始まった、ゴールデンタイム生放送のスポーツ大会。
765プロ、CGプロ、315プロ、それぞれのアイドルが事務所の看板を掛けて激突し合う!!
しかし最後の競技は、アイドルでは無くプロデューサーが戦う、『目隠しでの利きオナホ対決』であった。
真のオナホマイスターは、どのプロデューサーなのかッ!? アイドル達の声援が加速する!!
次回 アイドルマスターsideM
「オナホマイスターは俺だっ!!」
おわり
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