佐天「打ち止め?」(74)

佐天「それでも戦いたくない」
佐天「それでも戦いたくない」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/lite/read.cgi/internet/14562/1365866993/l30)
の続きで、禁書目録5巻の再構成です。
地の文ありで、多少キャラ崩壊があるかもしれません。
こんなのでよければどうぞ。


風紀委員177支部

音を立てないようにゆっくりと扉を開き、部屋の中を見回す。頭が花畑な少女以外に人はいない事を確認し、少女の背後へ忍び寄った。

佐天「うーいーはーるーーー!」

私は初春のスカートを勢いよくめくった。

初春「………」

佐天「………」

初春が何の反応も返さない。あれ?

佐天「…う、初春?」

初春「何ですか、佐天さん?」

佐天「いや、…何かあったの?」

初春「いえ、別に」

そういえば、白井さんがいない。いつもならパトロールに出ていると思う所だが、

佐天「また、白井さんと喧嘩したの?」

初春「いいえ、全く。近くでまたスキルアウトが出たので、白井さんはそちらに向かっただけです。ちなみに固法先輩は非番です」

初春の語調はいつも通りだ。

佐天「でも…、だったら何で、スカートめくっても何も反応しなかったの?」

初春「だって、今この部屋私と佐天さんしかいませんし。屋外なら話は別ですけど、何かもうこの程度で佐天さんに怒る意味があるのかなって」

佐天「…ええー」

私の一瞬の心配を返せ。

初春「佐天さんは私のスカートをめくった後、『あっはっはー、ごめんごめん』とかその場では謝るんですよ。なのにまた同じ事を繰り返すし。もういちいち怒るのが無駄なような気がして」

佐天「私は初春がパンツを履き忘れてないか確認してるだけだよ!だからそんな事言わずにちゃんと反応してよ!私は初春のパンツを見る事じゃなくて、その後の初春の反応を見るのが楽しいんだから!」

初春「よし、これからは絶対にスルーします。はじめからこうすれば良かった」

佐天「初春がいつも制服を着ているから悪いんだよ!常盤台と違って校則で決められてる訳でもないのに!ズボンをはかないって事は、つまりスカートをめくってほしいという意思表示なんでしょ?」

初春「違いますよ!ていうか何ですかその解釈!?私がいつも制服なのは風紀委員の規約があるからですよ!?というか佐天さん何かキャラ変わってます!自重して下さい!」

初春「…はあ、それで今日はどうしたんですか?」

初春が尋ねて来た。私は精一杯のドヤ顔を作って、

佐天「ふっふっふ、聞いて驚くなかれ初春。私佐天涙子はついに!能力に目覚めました!」

初春「おお!どんな能力なんですか?」

佐天「多分、風使い」

初春「……、何か残念です。佐天さんは今まで様々な二次創作で、チートに万能、意味不明な力と多様な能力に目覚めてきたのに、風使いって普通過ぎる…」

佐天「そういうメタな発言はやめて。ストーリー的に、あと私も凹む」

初春「まあ、冗談は置いといて…風、ですか。レベルアッパーの時に使っていた能力を見るに、佐天さんの能力は明らかに空力系でしたしね」

佐天「うん」

初春「ちょっと使ってみてくれませんか?」

両手を前に突き出し、空気が渦巻くのをイメージする。

佐天「こんな感じだよ」

初春「……、思ったより強いですね。もうレベル2はあるんじゃないですか?」

佐天「風力だけなら、ね。でも、まだ風向の大まかな指定すら出来ないんだよ。今みたいに渦を巻かせるのは出来るんだけどね。だからまだレベル1だと思う」

佐天「でも、すぐに使い方を覚えて、初春のスカートを能力でめくれるようになるからね!」

初春「いやいや、だから何でそうなるんですか!どうせならもっと真っ当な理由で自身の向上を目指して下さい!」

初春「…まあ、取り敢えずおめでとうございます、佐天さん」

佐天「ん、ありがと」

佐天「あー、早く身体検査の日にならないかなー。始業式の次の日だったよね。いつもなら夏休みがあと5日もない事を嘆いているはずなのに、早く学校が始まって欲しいなんて考えてるのはじめてだよ」

初春「良い事じゃないですか」

佐天「まあね」

昼間にも関わらず薄暗い路地裏には、10人ほどの少年が倒れていた。全員が新品同様のジャックナイフや警棒、催涙スプレーなどの武器を握っており、一部の人間は血を流している。
そんな路地裏から表通りへと、白い少年が出て来た。コンビニに行った帰りなのか、10本以上の缶コーヒーが入ったビニール袋を手に提げている。

一方通行「ッたく、これで何回目だよ。外に出る度に襲撃受けてねェかア?」

数分遅れて、ツインテールの少女が現れる。

白井「風紀委員で────あら?」

帰り道。

打ち止め「あ、お姉様のお友達だよね、ってミサカはミサカは声をかけてみたり」

見知らぬ────何かから声をかけられた。

佐天(誰…いや、むしろ何?)

奇妙な人間だった、頭から、お世辞にも綺麗とは言えない毛布をすっぽりと被っていて、性別すらも判別出来ない。その下にどんな服を着ているかも分からない。
その上、身長が低かった。正面から抱きつかれているが、私の身長の2/3も無い。声色から判断するに、恐らくは10歳前後の少女。全く誰か分からないが、少女(?)は私の事を知っているようだ。

佐天「えーと、取り敢えず顔を見せてくれる?」

打ち止め「あ、そっかあなたとミサカは初対面だったね、ってミサカはミサカは1人頷いてみたり」

毛布が首元まで落とされ、少女の顔が明らかになる。御坂さんや、その妹さんと酷似していた。ただ顔つきはやや幼い。

打ち止め「私は打ち止め!ってミサカはミサカは自己紹介してみる」

佐天(…もしかして、妹達の1人?本人もミサカって言ってるし)

佐天「どうしたの?こんな所で、そんな格好で」

打ち止め「えーとね、『実験』が途中で終わった時に体の調整が終わらないまま培養器から放り出されて、そのまま何だかチンマリしちゃってるの、ってミサカはミサカは説明してみたり」

佐天「……」

少女の話から主観を排除していく。まず、目の前の少女が妹達である事は確定。妹達は全て別の組織に保護されたと聞いた。ならば、一万弱の妹達の管理に漏れがあり、そのせいで彼女は保護もされずに街をさまよっていた、という事だろうか。

佐天「だったら、今日は私の部屋に泊まっていきなよ。もう夕方だし、私の寮はすぐそこだし。明日になったらその培養器のある施設に送っていってあげるから」

打ち止め「いいの!?ってミサカはミサカは瞳をキラキラさせながら尋ねてみたり!」

佐天「もちろん」

ここで手を差し伸べなければ、目の前の少女は野宿せざるを得なくなるだろうし、その生活を強いられ続ける事になる。流石に見逃せなかった。

ーーーーーーーーーーーーー

美琴『成る程、事情は分かったわ。じゃあ私は「妹達を保護した組織」について調べておくわね』

佐天「お願いします、御坂さん」

電話を切った。

佐天「じゃあ打ち止めちゃん、ご飯食べに行こっか」

そう言うと、打ち止めちゃんは複雑そうな笑顔を浮かべた。

佐天「……、どうかしたの?体調でも悪い?」

打ち止め「ううん、そうじゃなくてね、…実を言うと手料理を期待していたんだけど泊めて貰っている身としてはあまり図々しい事は言いたくないのです、ってミサカはミサカは自重してみる」

佐天「あー、ごめん。料理は正直あまり得意じゃないんだ」

それでも1人の時はそれで済ませるのだが、来客に振る舞うのには少し躊躇いを感じるクオリティだ。だってまだ中1だし。
ドアノブに手をかける。打ち止めちゃんが毛布を引き摺りながら駆け寄って来た。

佐天「……、打ち止めちゃん、その毛布の下には何か着てるの?」

打ち止め「ううん、何にも着てないよ、ってミサカはミサカは答えてみたり」

佐天「…」

近所のファミレスにでも行こうと思っていたが、この格好で入れてくれるだろうか。毛布を羽織っただけの裸足の少女と一緒に入店する場面を想像してみる。

佐天(最悪、警備員に通報されるかもしれない…)

せめて服と呼べるものを着せなければ。しかし、私が小さい頃の古着などという都合のいいアイテムは存在しない。

佐天「やっぱりちょっと待ってて。打ち止めちゃんの服を買ってくるから」

打ち止め「服!?服まで買ってくれるの!?ってミサカはミサカは全身で喜びを表現してみる!わーい!」

財布にはまだ余裕があるし、9月1日になれば奨学金という名目で一定額が預金に振り込まれる。服を1セット買う位なら問題は無い。

佐天「だから、ちょっとの間ここで待っててくれる?テレビ見ててもいいから」

打ち止め「分かった待つ!ってミサカはミサカはテレビのリモコンに手を伸ばしてみたり」

あまり待たせる訳にもいかないので、私は夕方の閑散とした街を走った。

美琴(乙姫)「……、おにーちゃん。誰か入ってるの?」

上条「え、まぁ。うん。俺がここにいるのは見張りなんだけど」

美琴(乙姫)「見張り?わっけ分かんないなー。そんなの別にいらないじゃん。中にいるの、どうせおにーちゃんの友達でしょ。だったら一緒に入っちゃってよう」

上条「え?」

上条「ちょ、ちょーっと待った!誰も風呂に入るとは言ってない!まして友達と一緒に入らなければならないなんてルールもないっ!別にアイツが出るのを待っても────ッ!!」

美琴(乙姫)「えー、その次の次まで待ってたら流石に料理は出来てるよ。絶対に冷めてるよ。別にいいじゃない、男同士なんだから。さっさと一緒に入っちゃってよう」

上条「なぶあっ!?って待て!ちょ、ホントに待────ああァ嗚呼!!」

美琴(乙姫)「はいはーい、ごめんよごめんよー」

神裂「……………」

上条「……………」

神裂「……………」

上条「……し、────」

神裂「……………」

上条「────新感覚日本刀つっこみアクション!?」

テーブルに料理が運ばれてくる。打ち止めちゃんも私も日替わりのメニューを注文した。

佐天(取り敢えず、格好はまとも…だよね?)

もちろん自分の事ではなく、私の正面に座っている打ち止めちゃんの心配である。

打ち止め「いただきます、ってミサカはミサカは食材に感謝してみたり。湯気が出てるご飯を前にミサカはミサカは結構感動してる」

打ち止めちゃんは水色に白の水玉模様のワンピースを着ている。履き物はサイズが合わないと困るし夏なのでサンダルにした。
如何せん人の服を選ぶという事が初めてなので、自分のセンスが疑わしくなってくる。打ち止めちゃんは大喜びしてくれたが。

打ち止め「ところで、その袋の中身は何なのってミサカはミサカは好奇心を持って尋ねてみる」

打ち止めちゃんが私の隣の青いトートバッグを指差して言った。

佐天「後で教えてあげるから、今はご飯食べよっか」

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打ち止め「────────♪」

打ち止めちゃんは、ピカピカ光るおもちゃを振り回しながらはしゃいでいた。

佐天(良かった、楽しそうで)

ベンチに座ってその様子を眺める。ここは、距離的にはファミレスと寮の中間辺りに位置する公園である。遊具がほとんどないため、広いだけの寂しい土地という感じだが。
寮を出る時に、トートバッグに小学校の頃のおもちゃ────もといガラクタを幾つか入れて持ってきていた。正直、こんなもので喜んでもらえるかどうか不安だったので、楽しそうに遊んでいるのを見てほっとしている。

佐天(でも、それは今までこんな風に遊ぶ事も許されなかったって、そういう事だよね…)

それを考えると胸が痛む。少女は殺されるために生まれてきて、ずっと研究所に閉じ込められて生きてきた。
頭をよぎった暗いイメージを振り払うように首を横に振った。

打ち止め「ビリビリー」

どうやら打ち止めちゃんは、持ってきたおもちゃの中で、片手サイズの水鉄砲が1番気に入ったらしい。水に電気を纏わせて発射するという変わった遊び方をしているが。

黄泉川「おーい、何してるじゃんよそこの2人ー。もう帰るじゃーん」

声のした方を見る。幾度となくお世話になった警備員の人だった。

佐天「あ、お久しぶりです」

黄泉川「んん?って、佐天じゃんかよ。そっちの子は誰じゃん?」

佐天「御坂さんの妹で、訳あって私が面倒を見ているんです」

意外とすんなり嘘が出た。後で調べられたらすぐにバレるけど、そんな事は多分ないと思う。

黄泉川「そうか。って事はこの子は佐天の寮に泊まるじゃん?学園都市では全学生の住む場所が決まってるから、あまり褒められる事じゃないじゃんよ。まあ絶対に駄目とまでは言わないけど」

黄泉川「早く帰るじゃんよ。こんな時間まで女の子2人で外にいても良い事は何も無いじゃん」

佐天「分かりました。そろそろ帰ろう、打────、…美、里ちゃん」

流石に何も知らない人の前で「ラストオーダー」とは呼べず、咄嗟に思いついた偽名で呼んでしまった。お願いだから空気を読んで、と打ち止めちゃんにアイコンタクトを送る。
それが通じたのか、

打ち止め「うん!分かった帰ろう、お姉ちゃん!」

お姉ちゃんと呼ばれた。

佐天「…、うん」

まさかのお姉ちゃんと来ましたか。
御坂さんの事はお姉様と呼んでいたのに、自分はお姉ちゃんとは…。いいのか?それとも深く考え過ぎ?
そんな訳で、寮に帰った。

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打ち止め「美里ってミサカの名前だよね!ってミサカはミサカは確認してみる」

お風呂場にて

佐天「うん、まあ…。咄嗟に思いついただけだけど」

打ち止め「じゃあこれからミサカのこと美里って呼んで!ってミサカはミサカはお願いしてみたり!」

佐天「────え?」

打ち止め「…だめ?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」

佐天「いや、いいけど…打ち止めちゃんはそれでいいの?」

自分の名前というものに憧れるのは分かる。だが、どうせならもっとしっかり考えた方がいいのではないか。と思ったのだが、

打ち止め「いいの!ミサカも美里って名前は気に入ったし!ってミサカはミサカは断言してみる」

佐天「うーん、…分かった。じゃあこれからは美里ちゃんって呼ぶね」

打ち止め「やったーってミサカはミサカは今日何回目か分からないバンザイをしてみたり」

そして彼女は湯船の中にも水鉄砲を持ち込んでいた。相当気に入ったみたいだ。

佐天「そんなに気に入ったなら、それあげよっか?」

打ち止め「いいの?貰う!ってミサカはミサカは即答してみたり!」

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打ち止め「おやすみなさいお姉ちゃん!ってミサカはミサカはこんな風に挨拶するのは初めてだったり」

美里ちゃんがソファで横になった。本当は美里ちゃんが私のベッドで、私がソファで寝ようと思っていたのだが、泊めて貰ってる身だからと譲らなかった。
私もベッドに横になり、目を閉じた。今まで心の底に隠れていた疑問が湧き出す。

佐天(妹達は、確かミサカネットワークで脳波をリンクしてるんだよね。だったら美里ちゃんは他の妹達に助けを求める事が出来たはず。何でそうしなかったんだろう?)

佐天(そもそも、「打ち止め」って何なのかな。…、能力名?だったら、他の妹達とは何かが違う…?)

考えても答えは出そうにない。私は結論を出すのを諦め、眠気に身を任せた。

何の変哲もない、学生寮の一室。
そのベランダに、一人の少年が立っていた。線は細いがスポーツマンのような体型で、サラサラした髪に日本人離れした白い肌。スポーツを理論で攻略するタイプの人間で、つまりテニスのラケットを握ってもパソコンのキーボードを叩いてもサマになるという反則的な容姿の持ち主。

海原「……、」

少年の手には奇妙な文字が書かれた護符が握られている。それは通信手段として用いられる電話のようなものだった。既に通信は切られているが。

海原「────クソッ!」

拳を握り、金属製の手すりを思いきり殴った。皮膚が弾けて血が出たが、そんな事は全く気にならない。

彼は、上条当麻とその周辺の人間関係について調べる為に、スパイとして派遣された。
そして、たった今、彼を派遣した組織への『報告』を終えた。
次に組織から与えられた指示は、極めてシンプルなものだった。

『上条勢力を内部から破壊しろ。機会があれば上条当麻の暗殺も行え』

海原「なぜ…何故、こんな事に」

古くなって伸びたカセットテープを無理矢理再生したような、そんな平坦な声が夜空へと吸い込まれた。
その問いへの答えは、自分自身が一番よく解っていた。
弱い。
自分は弱い。
『組織』からの命令に従う事しか出来ない程に。
心の底から守りたいと思った人とその世界を、自分自身の手で壊さざるを得ない程に。
弱い。
弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。弱い。

海原(自分には…ニセモノには、平和を望む事さえ許されないのか)

自分の弱さに苛立ち、歯軋りする。ベランダから部屋の中へと戻った。その真ん中には、分子レベルで体をガチガチに固めた、本物の海原光貴が横にしてある。
右手に幻想殺しを宿した少年の事が頭に浮かんだ。何者にも行動を制限されず、常に自分の守りたいものの味方であり続けられる、自分と対極の位置にいる少年。

海原「…そうだ。幻想殺しが、上条当麻が『問題無し』と報告させてくれなかったから。魔術サイドの人間と、関わりを持ってしまったから」

まるで自分自身に言い聞かせるように、少年は呟いた。

美琴視点です。

翌朝

美琴「おはよう、佐天さん、打ち止めちゃんも」

佐天さんが打ち止めと手を繋いで出て来た。

打ち止め「ミサカの名前は美里だからお姉様にもそう呼んで欲しいな、ってミサカはミサカは言ってみたり」

美琴「え?」

佐天「(あー、御坂さん、そう呼んであげてください。昨日人がいた時に呼んだ名前が気に入られて、定着しちゃったんで)」

佐天さんが打ち止めに分からないように私に話してきた。

美琴「えーと、…美里?」

打ち止め「うん!ってミサカはミサカは頷いてみたり」

ミスった
24は「そのころ」じゃない

心の底から嬉しそうに、彼女は笑った。

美琴「じゃあ、研究所に行きましょうか。ここからちょっと遠いけど」

佐天「研究所?」

美琴「あー、昨日電話したら、妹達を保護した組織は培養器を持ってないから研究所に送って欲しいって言われたから」

佐天「え?電話したら…って、直接連絡を取ったんですか?」

美琴「うん。最初はハッキングで色々と調べたけど、妹達を保護した組織が幾つかあってよく分からなかったから、番号を調べて直接聞いた」

佐天「……」

佐天さんが微妙な顔で私を見ている。そんな変な事を言っただろうか?

ーーーーーーーーーーーーー

二階建ての四角い鉄筋コンクリートの建物の前にやって来た。その隣には妹達を培養する為に作られた三つの巨大な培養施設がある。
ドアには網膜を調べる為のスキャナがあったが、能力で解錠した。それで良いと言われたし。
研究所の中では、冷蔵庫のような量子コンピュータが四方の壁を埋めていた。私にとっては見慣れた景色だ。何度もこれに似た建物に侵入している。

そんな研究所の真ん中に、一人の女がポツンと佇んでいた。
年齢は二十代の後半位に見える。顔には化粧らしきものが何一つなく、服装も色の抜けた古いジーンズに何度も洗濯を繰り返して擦り切れたtシャツ。その上から羽織っている白衣だけが、新品のカッターシャツのように輝いている。

芳川「わざわざこんな遠くまで足を運ばせてごめんなさいね。妹達を複数の組織に預ける時に、管理に漏れがあって」

目の前の女は言った。

美琴「……」

打ち止め「色々とありがとうねってミサカはミサカは感謝の言葉を伝えてみる」

佐天「ああ、うん」

打ち止め────もとい美里はぺこりとお辞儀をすると、駆け足で研究所の奥へと行った。

芳川「折角だから、少し休んでいく?飲み物位なら出せるけど」

美琴「いえ、遠慮するわ。それより、あなたに聞きたいことがあるのだけれど」

本当なら一秒でも早くここを出たかった。しかし、そうはいかなくなった。

美琴「あなたは何を隠しているの?今すぐに言いなさい」

芳川「…何の事かしら?」

美琴「とぼけないで。あなたさっき、『管理に漏れがあって』って言ったわよね。確かに、一万人弱の妹達の中の誰かが管理から漏れてもおかしくはない。でも、妹達の上位個体である『打ち止め』の管理が疎かになった、なんていうのは考えられない」

美琴「しかもあなたは、事実を隠している事も隠そうとした。何か、そこまでして私達に言いたくない事があるって、そういう事よね」

芳川「……」

芳川「全く、無駄に鋭いわね、あなたは。どこで打ち止めの事を知ったのか」

目の前の女は浅く息を吐いた。

佐天「…えーと、どういう事ですか?」

佐天さんが遠慮がちに尋ねてきた。

美琴「ミサカネットワークの事は知ってるわよね。あの子は妹達の上位個体で、非常時にそのミサカネットワークを操作して、全ての妹達に停止信号を送る為の、安全装置として作られたの。呼吸をするだけの、キーボードとして」

佐天「…」

美琴「さて、納得のいく説明をして貰いましょうか」

芳川「…、『実験』終了後も最終信号はここの培養器で秘密裏に預かっていたのだけれど、5日ほど前に突然異常な脳波が計測されてね。慌てて培養器のある建物に行ってみれば、もう設備は内側から破壊されてあの子は逃亡した後だった、という訳」

芳川「あの時は、何が起きたのか分からなかったわ。原因不明の暴走という形で、とりあえずウチのスタッフが捜査する事になったの」

美琴「警備員や風紀委員には通報しなかったの?」

芳川「できなかったの。わたし達の『実験』は上層部に黙認されていたものの、大っぴらに公言して良いものではないから。それに、『妹達が暴走を起こす危険がある』事が公になるだけで、何が起こるかは想像出来なくないでしょう?」

美琴「…それで?」

芳川「昨日あなたからの電話を受けて、捜査を打ち切り暴走の原因を調べたの。どうやら、最終信号の頭に不正なプログラムが上書きされたみたいで。それであの子ははそれを防ごうとした為に研究所から逃亡した。おそらくあの子自身は自分が何故研究所から離れる事になったのか、その理由に気づいていないのでしょうけど」

美琴「その、不正なプログラムって言うのは」

芳川「まだ完全にコードを解析していないから何とも言えないのだけれど、記述の傾向を追う限り予測できる症状は、人間に対する無差別な攻撃という所かしらね」

芳川「ウイルス起動までのカウントダウンは掴めている。9月1日午前00時00分00秒。定刻と共にウイルス起動準備に入り、そして暴走を開始。そうなったらもう誰にも止められないわ。鋼鉄破りすら軽々と操るあの子達が一万も集まれば相当の戦力になってしまう」

美琴「な…」

現在、一万弱もの妹達のほとんどは学園都市の外で体の再調整を行っている。つまり、対能力者用の部隊『警備員』や『風紀委員』が事件を収束させるのは不可能だ。
妹達はおそらく外部の人間によって処分されてしまう。しかも問題はそれだけに留まらない。

美琴「最悪、戦争が起こる…」

と、そこまで想像した所で、

美琴「…まさか、あの子を処分する事で事件を未然に防ごうとか、そんな事を考えてるんじゃないでしょうね」

白衣の女を睨みつけた。

芳川「最悪、それも選択肢として考えざるを得ないわね。どうせウイルスが起動し妹達が暴走を開始したら、あの子は自分で自分の心臓を止めてしまうし。これは後から暴走停止の命令を出せないようにする為の措置だと思うけど」

美琴「ッ!この…」

芳川「そうならないために努力をしているのよ。今はウイルスコードの解析を進めている。治療プログラムも作らないといけないから、タイムリミットに確実に間に合うと断言は出来ないけど」

美琴「だったら、その不正プログラムを作った奴から直接聞き出せばいいじゃない。なんなら私が────」

芳川「どうやって?プログラムを組んだのは天井亜雄という研究者だけれど、彼は学園都市のどこかにいる、という事しか分からない。警備員や風紀委員は頼れない。あなたはハッキングも出来るみたいだけれど、人工衛星から地上を監視出来る学園都市では屋外の監視カメラの数は少ない。闇雲に探して見つかるほど彼も馬鹿ではないでしょうしね」

美琴「…」

私はその言葉を否定しようとした。しかし言葉が出なかった。

結局、私には何も出来ないのか。
全ての妹達をこの手で守ってみせると、あの時誓ったはずなのに。
何がレベル5だ。
そんなものは、何の役にも立たない。
右手をきつく握りしめた。

芳川「だから、この事はあなたに伝えたくなかったのだけれど」

美琴「…もし、その治療プログラムを組むのが間に合わなかったら、その時は私に電話して。昨日の履歴は残ってるわよね」

芳川「……、何の為に?それにもよるわ」

美琴「もし、あの子を殺さざるを得ない状況になったら…、その時は、私がやる」

芳川「そう。分かったわ」

私は後ろを向いて、その場を立ち去った。

佐天「え?ちょ、御坂さん?」

佐天さんが心配そうに私の後をついて来た。

佐天「御坂さん、一体…」

美琴「もし、」

佐天「?」

美琴「もし、あの子が何をどうしても助からなくなってしまったなら、せめて実験動物として『処分』される事だけは避けたい。だから、そうなったら私が『殺す』」

佐天「…」

美琴(乙姫)「おにーちゃんおにーさんおにーさまあんちゃんあにじゃあにきあにぎみあにうえあいうえお!夜明けの目覚ましフライングボディアタック!!」

上条「もがぁ!が、がはげべごぶっ!な、なばっ!なにが!?」

美琴(乙姫)「あはははは!!」

上条「人の上に乗っかって笑ってんじゃねえ!納得のいく説明をしてもらおうか!?」

美琴(乙姫)「奇抜なプロレス技による目覚まし機能は妹として標準装備なのであります隊長!」

上条「うるせえ!それで媚びキャラ気取ってるつもりか、もう許さん!なわとびで縛って体育倉庫に置き去りにしてやる!!」

青ピ(インデックス)「あーっ!とうまがいかにも楽しげな朝の演出を!私も私もとうまにやるやる!」

上条「ちょ、な────待てこの巨漢!テメェのボディプレスなんざ洒落じゃ済まねーぞ!」

青ピ(インデックス)「何で!何でとうまは私の事だけ仲間外れにするの!?私だってそれやりたいって言うか絶対やるって今決めた!」

上条「え、なに?ちょっと待って!スイマセンほら二千円までなら出すからもう許してくださベゴァ!」

佐天視点に戻ります。

8月31日。
私は手に数冊の本を抱えて、炎天下の下を歩いていた。
全くと言っていいほど風の『操作』が出来ず、何かヒントを得ようと思って図書館に行ってみた。糸口は見つからなかったが。

佐天(うーん、そんな急に能力が上手く使えるようになる訳がないっていうのは分かってるんだけど、そもそも私はどうやって風を作ってるのか、理屈どころか感覚的にもよく解ってないんだよね。そういえば御坂さんと白井さんが常盤台に空力使いの友達がいるって言ってたっけ。今度頼んで色々と教えて貰えないかな────っ、と)

段差につまづき軽くよろけた。通行人と肩がぶつかる。

佐天「あ、すみません」

エツァリ「いえ、大丈夫ですか?」

浅黒い肌の少年だった。恐らくは日本人ではない。日本語上手だなあと思いながら肯定の返事を返し、再び前を向いて歩きだそうとした。
ふと、右側のレストランの中で食事をする人が目に入った。ガラスの向こう側では、テーブルを挟んで二人が向かい合って座っていた。
その片方は、水色のワンピースを着たアホ毛の少女。
その向かい側には、手も足も顔も、皮膚全てに髪まで白い少年が座っていた。その白さを際立たせるように瞳は赤く、服は上下共に黒い。

佐天(あれ、美里ちゃん…だよね。じゃああの白い人は誰なんだろう)

白い少年も気になるが、それよりウイルスコードの治療は終わったのだろうか。当然それを聞きたかったが、本人はその事を知らない可能性もある。

佐天(まあ、取り敢えず話しかけてみよう)

躊躇なく入店し、二人のいる席へと向かった。

佐天「美里ちゃーん!」

美里ちゃんがこちらを向いた。

打ち止め「あ、お姉ちゃん!こんにちは、ってミサカはミサカは挨拶してみる」

一方通行「…オマエ、このガキの知り合いか」

佐天(…怖っ!)

普通にこっちを見て話しかけただけだと思うけど、睨まれてキレられたように感じた。

佐天「…はい」

何とか返事は返した。

打ち止め「あの時の水鉄砲はまだ持ってるよ、ってミサカはミサカはゴソゴソと水鉄砲を取り出してみたり」

佐天「あ、大事にしてくれてるんだ」

打ち止め「誰かから物を貰うのって初めてだからね、ってミサカはミサカは笑顔で答えてみる」

一方通行「…おい待てガキ、何で水が入ってんだよ」

打ち止め「む、これはさっきあなたの家で汲んで来ただけで決して何日も前のものじゃないよ、ってミサカはミサカは弁解してみる。ちなみに塩とかお酢とか混ぜてきたから電気を通しやすくなってるかも、ってミサカはミサカは説明してみる」

一方通行「電気流すのかよ」

佐天「あー、」

打ち止め「ビリビリってすると水がバチバチ光ってキレイなんだよ、ってミサ、カは────」

突然美里ちゃんがテーブルに突っ伏した。

佐天「!?」

明らかに様子がおかしかった。全身の力が、あまりにも抜け過ぎている。押し殺したような呼吸の音が、それでも野良犬の吐息のように響き渡っている。まるで熱病にでもうなされているような、そんな感じがした。

佐天「美里ちゃん!どうしたの!?」

打ち止め「あ、はは。まあ、いつかはこうなると思ってたけどね、ってミサカはミサカはくらくらしながら苦笑してみたり」

佐天「…?」

打ち止め「ミサカはまだ肉体的に未完成な状態だから、本来なら培養器の中から出ちゃいけないはずだったんだけど、一昨日研究所に戻れたのに自分でもよく分からない間にまた外に出ちゃってるし、ってミサカはミサカはため息をついてみる」

一方通行「…」

佐天「…」

打ち止め「それでも、なんだかんだで今まで騙し騙しやっていけたんだから、もしかしたら大丈夫かなってミサカはミサカは考えていたんだけど、何でかなあ」

意識が途切れ途切れになるのか、美里ちゃんはやけにゆったりした口調で言った。
このまま意識が落ちたら、もう二度と目は開かないような、そんな気がした。

佐天「あ」

一方通行「オイ」

私が何か声をかけようとして、遮られた。

打ち止め「────────。ん、なになになんなの、ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

反応を返すまで、三秒以上も間が空いていた。
それでいて、美里ちゃんは笑っていた。
熱病に浮かされたように大量の汗を噴き出し、それでも白い少年に笑いかけていた。

一方通行「………」

白い少年が黙って席を立った。

佐天「────って、え?ちょっと、どっか行っちゃうんですか!?」

制止の声も虚しく、白い少年は会計を済ませて出て行ってしまった。

佐天(どうしよう、…取り敢えず培養器が必要なんだよね。だったら研究所に連れて行かないと────)

美里ちゃんを抱きかかえ、レストランを出た。研究所の場所は覚えている。全力で走るために前傾姿勢を作って、

天井「ああ、君、その子は私に預けてくれないか。私はその子の保護者みたいなものだ」

白衣の男に声をかけられた。

佐天「…あなたは、『実験』の関係者ですか?」

目の前の白衣の男は、少し驚いたようなそぶりを見せた。

天井「『実験』の事を知っているのか。なら話は早い。その子は今すぐに培養器に入れて調整を行う必要がある」

佐天「…」

冷静に考えれば、この男に美里ちゃんを預けるのが正解だろう。どうやら研究者のようだし、左手の隙間から車の鍵が覗いていることから、すぐそこのスポーツカーはこの男の物だろう。ここから研究所へはそこそこ距離があるし、車の方が早く到着出来るのだから。
しかし、私はこの男に美里ちゃんを預けるのを躊躇った。男の目には焦燥と不安の色が浮かんでおり、それは何故かは分からないが私に途轍もなく嫌な予感を抱かせた。

佐天「……、あなた、名前は何ですか?」

言ってから、聞き方を間違えたと後悔した。これでは喧嘩を売っているようだ。
しかし、男は気にした様子もなくあっさりと答えた。

天井「ああ、私は天井亜雄という者だ」

佐天「ッ!?」

思わず美里ちゃんを強く抱きしめた。
天井亜雄。この男が、ウイルスコードを仕掛けた張本人。

佐天(どうする、走って逃げる?いや、多分逃げ切れない。大声でもあげてみるか、それとも…)

一瞬の迷い。それは致命的な隙になった。天井亜雄は私が美里ちゃんを強く抱きしめた事で、渡す気は無いと受け取ったのか、

天井「チッ…いいから渡せ!」

佐天「きゃあっ!」

強引に美里ちゃんを奪い、私を突き飛ばしてスポーツカーに乗り込んだ。
エンジン音が響く。

佐天「この……待────」

慌てて起き上がったが、スポーツカーは既に遠ざかっていた。

佐天(マズい、どうしよう)

考え得る限り最悪の展開だ。どうやら美里ちゃんは研究所に送り届けたその日の午後には再び研究所を抜け出していた。ならばウイルスコードの治療は終わっていないだろう。タイムリミットまであと9時間も無い。

店員「お客様?」

と、店から店員が出て来た。

店員「これはお客様のものですよね?テーブルの上に置いてあったので」

そう言われて差し出されたのは、図書館で借りた数冊の本と、片手サイズの水鉄砲だった。

佐天「…そうです。ありがとうございます」

私はお礼を言ってそれらを受け取った。

佐天「…」

『────人間に対する無差別な攻撃という所かしらね。ウイルス起動までのカウントダウンは掴めている。9月1日午前00時00分00秒。定刻と共にウイルス起動準備に入り、そして暴走を開始。そうなったらもう誰にも止められないわ。鋼鉄破りすら軽々と操るあの子達が一万も集まれば相当の戦力になってしまう』

佐天(…)

正直、一万弱の妹達が暴走しようとしている、と言われてもよく分からない。最悪戦争が起こるかもしれない、と言われても、スケールが大き過ぎて実感がわかない。
だけど、

『服!?服まで買ってくれるの!?ってミサカはミサカは全身で喜びを表現してみる!わーい!』

『うん!分かった帰ろう、お姉ちゃん!』

『じゃあこれからミサカのこと美里って呼んで!ってミサカはミサカはお願いしてみたり!』

何の罪もない少女の、

『あの子は妹達の上位個体で、非常時にそのミサカネットワークを操作して、全ての妹達に停止信号を送る為の、安全装置として作られたの。呼吸をするだけの、キーボードとして』

『…まさか、あの子を処分する事で事件を未然に防ごうとか、そんな事を考えてるんじゃないでしょうね』

『最悪、それも選択肢として考えざるを得ないわね。どうせウイルスが起動し妹達が暴走を開始したら、あの子は自分で自分の心臓を止めてしまうし。これは後から暴走停止の命令を出せないようにする為の措置だと思うけど』

佐天(認めない…そんな展開は許さない!)

今まで自由すら与えられなかった少女のあの笑顔を、守りたいと思った。

佐天(…だったら)

やる事は一つしかない。

佐天(天井亜雄から美里ちゃんを取り返して、タイムリミットまでに研究所へ届ける)

治療プログラムが完成しているかどうかは祈るしかない。
私は今自分に出来る事をする。
その為にはどうすれば良いか。
冷静に状況を分析する。

佐天(闇雲に探しても見つからない。でも今は外部から侵入者が入った事で検問が敷かれている。だったらこの学区からは逃げられないはず。そして、それだけ追い詰められれば視野は狭まる。さっきもあっさりと名前を明かしていたし、冷静な思考は出来なくなっていると考えていい。だとしたら、逃走先として選びそうな場所は────)

携帯電話を取り出し、地図を起動する。gpsを使ってこの学区内の全ての研究所をリストアップした。

佐天(可能性があるのは、最近潰れた研究所か、もしくは筋ジストロフィー及び医療系の研究所。近くにあるものから虱潰しに当たっていく)

私はスポーツカーが向かった方向へと、全力で走り出した。

本棚にしまってあったはずのマンガの単行本が、大地震でも起きた後みたいに床の上にゴチャゴチャと山積みにしてあった。

上条「どうして……どうして!どうしてお前はこの時間がない時にやる事を増やすんですか!ってかテメェがやったんだからテメェがキチンと本棚に戻しとけ!!」

インデックス「別にどこに何があるかは分かるから無問題だよ」

上条(……、確かに整理整頓なんてのは、何がどこにあるかを分かりやすくするためのものだからさ、どこに何があるかを正確に覚えられる人間には必要無いだろうけどさ)

上条「それが人にモノを借りてる態度かよ」

インデックス「えー、あっちの方が分かりやすいのに」

インデックス「大体、とうまが何も考えずに整理整頓なんてするから、部屋の中でボールペンがなくなったりするんだよ。ほらとうま、古文の宿題はどこへ行ったの?」

上条「え?…あれ?ちょっと!さっきまでやってた俺の古文はどこに!?」

インデックス「こういうのって見つかってみると案外何でもない所にあったりするんだよね」

上条「穏やかな微笑み浮かべて眺めてないで、お願いだから一緒に捜してください!!」

広大な研究所の敷地の端の建物の中で、白衣を着た女と白い少年が会話していた。

一方通行「で、あのガキについたバグってのは?ってか、ウイルスだっけか?」

芳川「『実験』終了後も最終信号はここの培養器で秘密裏に預かっていたのだけれど、一週間ほど前に突然異常な脳波が計測されてね。慌てて培養器のある建物に行ってみれば、もう設備は破壊されていてあの子は逃亡した後だった、という訳」

芳川「その時は、何が起きたか分からなかったわ。原因不明の暴走という形で、とりあえずウチのスタッフが捜索する事になったの」

一方通行「あァ?警備員や風紀委員には通報しなかったンかよ」

芳川「できなかったの。わたし達の『実験』は上層部に黙認されていたものの、大っぴらに公言して良いものではないから」

一方通行「その結果、今の今まで取り逃がしてたって訳だ。って一週間もかァ!?いくら何でも危機感がなさすぎだろ」

芳川「いえ…その」

一方通行「?」

芳川「…二日前に、オリジナルとその友人が最終信号を送り届けてくれたんだけど、その日の午後にもう一度脱走を許してしまって」

一方通行「…オマエは馬鹿か?いや、この研究所には馬鹿しかいねェのか?」

芳川「……、仕方ないじゃない。あの子は無意識下の『研究員から逃げろ』という命令に従っている。それに子供とはいえ能力者なのよ?その時研究所には私しかいなかったし、逃げられたらどうしようもないじゃない」

一方通行「いや言い訳にすらなってねェよ、開き直ンな。その位の事態は予想しておくべきだろォが」

一方通行「…ハア、そンでそのウイルスコードを書き込んだ奴は誰なんだ?」

芳川「天井亜雄」

一方通行「天井?」

芳川「事件直後のタイミングで姿を消した研究員は一人だけ。有休を使うというメールは届いているけど」

一方通行「それだけで?」

芳川「彼は頓挫しかけていた量産型能力者計画の元研究員で、『実験』に妹達を代用する際にウチへ転属したスタッフ。その専門は学習装置を用いた人格データの作成。簡単に言えば彼以上に妹達の精神に詳しい者はおらず、そして管理上の問題から彼の目を盗んであの子の頭に追加コードを書き込む事はほぼ不可能だし、失踪直前には彼が学習装置を使っている姿を目撃している人がいるの。何故か、使用ログは消されているのだけれどね」

一方通行「そりゃまた随分と分かりやすい構図だなァオイ。しかも条件が甘すぎる。何だってソイつァ今日までリミットを待ってンだ。世界の破滅がお好みなら、ウイルスを仕込んだその日に終わらせちまえばイイんだ。わざわざ仕込んでから一週間も待つ意味がねェだろ」

芳川「それは私ではなく彼に問うべきではないかしらね。まあ、わたしが敢えて打算的な予想をするならば、治療を待つ妹達が『外』の施設に馴染むのを待った、というのが妥当かしら。『今まで安全だと思っていた者が突如暴走する』────このシチュエーションを用意するためには、まずは妹達とは信頼できる存在である、という意識を周りに植え付けなければならないでしょう?」

一方通行「……、で、結局オマエはここでナニやってンだ?ガキの頭ン中に入ってるウイルスはどう止める?」

芳川「ウイルスコードの解析は既に終了しているし、駆除用のワクチンコードも書き終えてある。あとはこれを学習装置で上書きするだけなのだけれどね。そこで、キミの力を借りたいのよ」

一方通行「ア?」

芳川「天井が最終信号の頭に不正なプログラムを上書きした。それを防ごうとして、あの子は研究所から逃亡した。そのせいで、わたし達研究員は無意識的に避けられている」

一方通行「…そンで、俺にガキを捕まえて来いッてか」

芳川「やりたくないのなら、仕方がないわね。わたしにキミを拘束するだけの力はないもの。最後に残った時間を、ご自由に過ごしなさいな。そして祈りなさい。願わくば、ウイルスが起動する前にあの子の肉体が限界を迎えて死滅しますようにって」

一方通行「……、クソったれが。俺はオマエ達、研究者のために働く。だからそれに見合った報酬は用意してもらうぜ」

芳川「ええ。あの子の肉体の再調整ならばわたしに任せなさい。あと、これをキミに預けるわ」

差し出されたのは封筒だった。中にはデータスティックと超薄型の電子ブックのようなものが入っている。データスティックには『検体番号20001号・人格要綱/感染前』と書かれたラベルが貼ってあった。

一方通行「コレは?」

芳川「最終信号の人格データよ。これで最終信号の進路を予測して追跡なり先回りなりするといいわ」

一方通行「…まァ、あン時の様子じゃ自力で移動出来るとは…しかし病院にでも運ばれてると厄介だなァ」

芳川「病院?」

一方通行「あァ、多分オマエがさっき言ってたオリジナルの友人?打ち止めと一緒だったからなァ」

闇咲「この結果は少々予想外だが、無益な殺生が減るなら喜ぼう。君は私に投降するんだ。そうすれば私は君に手を出さない。目的のものを手に入れたら速やかに離れる事を誓────」

上条「ああああ!!何やってんだテメェ!俺の読書感想文が紙吹雪になってんじゃねーか!?」

闇咲「……」

上条「お前!そこのお前!お前がやったんだからお前が責任とれ!俺の読書感想文を今すぐ書けよ!!テーマは桃太郎で規定枚数三枚以上で目指せ文部科学大臣賞!!」

闇咲「知った事か」

上条「……、オーケー。今日の上条さんはちょっとばっかりバイオレンスですよ?」

佐天「ここでもないか…」

ここで三つ目の研究所だった。走り続けたせいで、呼吸が荒い。

佐天(…っ、次の場所へ…)

呼吸を整え、また走り出す。

ーーーーーーーーーーーーー

がさり、という物音が一方通行の耳に入った。ウイルスコードを修正しながら目を向けると、運転席のドアに挟まれて気絶していたまずの天井亜雄が、いつの間にか一方通行の側まで近づいていた。
それだけならば、何の問題もない。
だが、彼の手には黒光りする拳銃が握られていた。

天井「邪魔を……す、るな」

ーーーーーーーーーーーーー

四つ目の研究所に辿りついた。

佐天(ここだ!)

少し先に、スポーツカーが停めてある。近づいてみると、見えたのは美里ちゃんの頭を掴んでいる白い少年。その少年の視線の先には、拳銃を構えた白衣の男。
天井亜雄が、二人を撃ち抜こうとしている様にしか見えなかった。
考えるよりも先に、体が動いた。

佐天「…や、め…ろおおおおお!」

思いきり叫ぶ。天井亜雄の意識がこちらに逸れた。私は走りながら、足元にあった石を蹴った。小石は放物線を描いて天井亜雄と白い少年の間を飛んでいく。反射的に動く物を目で追ってしまい、天井亜雄の意識は一瞬白い少年から外れた。
白い少年と天井亜雄の間に立ち塞がった。そこで初めて、無策で銃の前に立った事に気づいた。

佐天(あ────、どうしよう)

と、自分のポケットの中に硬質な感触があるのに気づいた。
咄嗟にそれを取り出す。あの水鉄砲だった。

佐天(これなら!)

即座に手を伸ばして水鉄砲を天井亜雄へと向けて撃った。
顔面に、酢が混ざった食塩水がかかる。

天井「があっ!く、そ、目が!」

天井亜雄が銃を落とし、両目を手で押さえる。落とした銃は拾われないように蹴飛ばした。
視界も武器も奪った。動けないように組み伏せようと、天井亜雄の腕を掴むために再び手を伸ばして、

天井「こ、の────邪、ば、を……ごァああ!!」

天井亜雄は左手で予備の拳銃を抜き、視界が戻っていないにも関わらずそれを私へと向けた。

佐天「────────え?」

黒い筒は奥まで見通せた。それはつまり、そこから発射される弾丸は私の頭を貫くという事である。
そして、次は防ぐ術がない。

佐天(あ、私、死)

ポン、と。
軽い電子音が背後から聞こえた。

打ち止め「error.break_code_no000001_to_no357081.不正な処理により上位命令文は中断されました。通常記述に従い検体番号20001号は再覚醒します」

一方通行「させッかあアアアアアア!!」

後ろから肩を掴まれ、背後へと引き倒された。地面にぶつかったが、衝撃は一切無い。
何かが爆発する音が響いた。

天井「う、ぐ……ァああああああああ!?」

上半身を少し起こしてみた。天井亜雄が、弾けるように裂けた手首を押さえながら後ずさる。

打ち止め「コード000001からコード357081までは不正な処理により中断されました。現在通常記述に従い再覚醒中です。繰り返します、コード000001から────」

天井亜雄は手首を押さえたまま充血した目を無理矢理見開き、白い少年を凝視して、ヤケクソになるように笑った。

天井「……ハッ。それは何をしているつもりなのだ?いまさら、お前のような者が」

一方通行「……、分かってンだよ。こんな人間のクズが、今さら誰かを助けようなンて思うのは馬鹿馬鹿しいってコトぐらいよォ。まったく甘すぎだよな、自分でも虫酸が走る」

一方通行「けどよォ、コイツらは関係ねェだろ」

一方通行「たとえ、俺達がどンなに腐っていてもよォ。誰かを助けようと言い出す事すら馬鹿馬鹿しく思われるほどの、どうしようもねェ人間のクズだったとしてもさァ」

天井亜雄に話しているはずなのに、まるで独り言のように白い少年は言う。

一方通行「コイツらが…このガキもそこの女も、真っ当な人間が見殺しにされて良いって理由にはなンねェだろうが。俺達がクズだって事が、コイツらが抱えてるモンを踏みにじっても良い理由になるはずがねェだろうが!」

一方通行「クソったれが。当たり、前の……事じゃねェか」

一方通行「確かに俺は一万人もの妹達をぶっ殺した。だからってな、残り一万人を見殺しにして良いはずがねェんだ。ああ綺麗事だってのは分かってる。今さらどの口がそンな事言うンだってのは自分でも分かってる!でも違うンだよ!たとえ俺達がどれほどのクズでも、どんな理由を並べても、それでコイツらが殺されて良い事になンかならねェだろォがよ!!」

天井「……、はは、何だ、それは」

天井亜雄は既に逃げる気すら無いようだ。白い少年はその頭を鷲掴みにする。

一方通行「安心しな、殺しゃァしねェよ。おやすみ天井クン」

がくり、と白衣を纏った体から力が抜け、人形のように崩れ落ちた。

闇咲「なるほど。腐っても魔女狩り・拷問裁判に特化したイギリス清教の人間という事か」

インデックス「……腐っても。洒落だとするなら最悪かも」

闇咲「いやいや、そんなつもりはなかったんだが。ついでに言うと拷問するつもりもない」

インデックス「だったら、結びがキツすぎるんだよ。腕や足の動脈を止めたり肺を圧迫するのは良くないもん。生かすつもりの縛りなら、親指を軽く縛るだけで動きを封じられるのに」

闇咲「なるほど。専門家は詳しいな」ホドク

インデックス「…」

闇咲「言ったはずだ。君を拷問する事が目的ではないと。もっとも、君の中にある魔道書を手に入れたいというのも事実なのだがな」

闇咲「さて、準備のために少々時間がかかるな。まずは増幅のための結界を張らねばなるまい」

佐天「……」

私は呆然として、何も言えなかった。先ほどの言葉で、この白い少年が『誰か』理解してしまったから。

『確かに俺は一万人もの妹達をぶっ殺した』

佐天(…この人が)

あの時の、血に塗れた路地裏がフラッシュバックする。この少年が、あれをやった。

佐天(……でも)

この少年は、私を助けてくれた。
それに、事情は分からないが、どうやら彼は美里ちゃんも救ったようだった。呼吸は正常で、顔色もいい。穏やかそうにすぐそこで寝ている。

一方通行「……すまなかったな」

唐突に謝られた。

佐天「……え?」

何で謝られたのか分からなくて、思わず聞き返してしまった。

一方通行「こんな事に巻き込ンじまってよォ。それに、オマエこのガキと仲が良かったンだろ?俺が脳内の電気信号を全部上書きしちまッたから、その記憶も無くなッちまッてるからよォ」

佐天「……、」

佐天「……、あなたは…」

どうして良いのか分からず、その場に棒立ちになる。
と、中古のステーションワゴンが目の前に停まった。ドアがゆっくりと開き、白衣を着た女が降りてきて、私の方を向いた。

芳川「こんばんは。久しぶり…と言うほどではないわね。色々と迷惑をかけたみたいで、ごめんなさいね」

佐天「あ、いえ…その、美、打ち止めちゃんは…もう大丈夫なんですか?」

芳川「ええ。どうやらウイルスの起動時刻が早かったみたいでね。でも、一方通行が何とかしちゃったから。生体電気から脳の電気信号を上書きする、なんていうありえない方法でね」

その人は次に白い少年…一方通行の方を向いて、

芳川「まさか、本当にやってしまうなんてね。キミもやればできるじゃない」

と、そう言った。

芳川「じゃあ、わたしは最終信号の体の再調整を行うから、研究所に戻るわね」

一方通行「そンならコイツの事も任せた」

一方通行は美里ちゃんと一緒に天井亜雄を車に積み込んだ。

芳川「…わたしにどうしろと?」

一方通行「だから、任せた。今更殺すのも寝覚めが悪ィし、どォするにしても面倒」

芳川「……ハア」

白衣の人はしぶしぶといった感じで運転席へ乗り込んだ。

一方通行「オイ、これで打ち止めの調整に手を抜くとかやめろよ」

芳川「しないわよ。キミの中でわたしはどんな人なのよ」

車は発進し、去って行った。

佐天(…そうか)

この人は、一万人の妹達を殺した人とは『違う』んだ。この人は、理屈抜きに、純粋に美里ちゃんと全ての妹達を守ろうとして、それを実行した。

佐天「…あの、」

一方通行「ン?」

佐天「あなたの…名前は?」

一方通行「……、一方通行だ。本名は忘れた」

佐天「そうですか…なら、一方通行さん。助けていただいて、どうもありがとうございました」

一方通行「あァ?…気にすンな。オマエが居なけりゃ俺も死んでたかもしれねェしなァ」

佐天「いいえ、一方通行さんは凄いです。………、私は、『実験』の事も全部知っています」

一方通行「…」

佐天「それでも、あなたは、たとえ人を救う事で自分自身が傷つくと分かっていても、私達を助けてくれた」

一方通行「…ハッ。オマエ、あのガキみてェだなァ。俺ァそんな人間じゃねェよ。大体、俺がこれから何をしよォと一万人の妹達を殺した事は変わらねェんだからさァ」

佐天「確かに、良い事をしたからって過去の罪が軽くなる、なんて事は無いのかもしれません。でも、だからこそ、今日あなたが私達を助けてくれた事は、決して過去の罪に塗り潰されたりはしない。これは、今のあなたが誇ってもいい事です」

一方通行「……、そォかよ」

一方通行さんは、何かを考えるように空を見上げた。

佐天「…むしろ、私は今の一方通行さんが羨ましいです。そんな風に、誰かを守れる圧倒的な力がある事が。私なんてレベル1だし、風使いなんていう平凡な能力で。しかも一昨日発現したばっかりで、風向の指定もまだ出来ないし」

一方通行「…羨ましい、ねェ」

佐天「はい」

一方通行「……、オマエ、自分の事『風使い』って言ったよなァ?」

佐天「?…はい」

一方通行「aim拡散力場から推測するに、オマエの能力は発火能力に近いモンだと思うぜ。オマエは多分、熱によって風を作り出してるンだ。その辺のプロセスを理解してねェから、風向が安定しねェんじゃァねェか?」

佐天(発火…能力?私が?)

一方通行「自分の能力が何なのか分からねェんじゃ、そりゃァ弱ェわ。今度は熱を意識して能力を使ってみな。出力だけならレベル3か4は既にあるはずだから、暴走には気をつけろよ」

佐天「はい…って、レベル3か4!?私が!?」

一方通行「そンなヤツもたまにいる。能力発現時点から出力だけはある程度あッて、精度を上げる事で能力の向上を図るタイプだなァ」

佐天「そっか…私が…。本当に、何かとありがとうございました!」

一方通行「おォ」

佐天「…あ、そうだ、電話番号とメルアド交換しませんか?」

一方通行「……ハア?」

佐天「今度このお礼がしたいですから。それに、これからも色々と教えて貰いたいですし」

一方通行「…まァいいけどよォ」

ツウシンチュウ

佐天「じゃあ、また会いましょう!」

一方通行「あァ」

天井「私…は」

カエル医者「目が覚めたかい?手首は問題なく治せたけど、視界に何か問題はあるかな?」

天井「…何だ、私は、生きているのか」

カエル医者「……」

ーーーーーーーーーーーーー

芳川『コレどうすればいいのか全く分からないし、どうにかするのも面倒だから任せるわ』

ーーーーーーーーーーーーー

カエル医者(何があったのか、さっぱり分からないが…)

天井「はは、終わりだ。もう私は逃げられない。学園都市と外部組織との板挟みだ、もう全て終わりだ」

カエル医者「僕は患者に必要なものなら何でも用意するよ?事情は分からないけど、君が狙われているのならば、隠れ蓑でも用意しようか?」

天井「……、それで私にどうしろというのだ。もうこれ以上生きた所で、私には何も無い」

カエル医者「それは僕に聞かれても困るね?まあ僕の経験上、生きる意味の無い人なんていうのはいなかったけどね。それは自分で見つけるしかない。そういう意味で人生に無駄な事は無いんだよね?」

天井「……」

カエル医者「しばらくはこの病室で匿ってあげるから、考えてみるといい」

美琴「…もしもし」

芳川『一応、報告しておくわね。最終信号のウイルスコードの除去には成功したわ。勿論、あの子は生きてるわよ』

美琴「……、本当でしょうね」

芳川『嘘を言っても、後からミサカネットワークを通じて調べられたら分かっちゃうでしょう?意味の無い事はしないわよ』

美琴「……………」

ピッ

ーendー

一応この続きの構想だけは有るけど、需要ある?

あと天井亜雄の一人称って私で合ってた?

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