【咲-Saki-】桧森誓子「世にも奇妙な姉妹の物語」 (27)

誓子「こんばんは、桧森誓子です。私のことは”ヒモリ”とでも呼んでくださいね」


ヒモリ「思いがけない一言で、相手を傷つけてしまう事ってよくありますよね?」


ヒモリ「友達に対して、親に対して、はたまた実の姉妹に対して…」


ヒモリ「自らの発言で、昨日まで当たり前だった関係を破滅に追い込んでしまいます」


ヒモリ「”言葉”というものは、実はこの世の中で一番危険なモノなのかもしれませんね…」


ヒモリ「みなさんどうか、”言葉”には十分お気をつけくださいね…」


※やや閲覧注意…かも?



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雨降る街中


照「咲!待って! お姉ちゃんが悪かったから!今すぐ謝るから!」


咲「ちょっと…! 離してください!警察呼びますよ!」


照「もう昔のことは許すから! 全面的に私が悪くていいから!」


咲「離して…よっ!」ドン


照「きゃう!」ドサッ


咲「なんなんですかさっきから…あなたに妹はいないんですよね!? あなたは私の何なんですか!」


照「私は咲のお姉ちゃんだよ! 紛れもない姉妹だよ私たちは!」


咲「…どこにそんな証拠があるんですか?」

照「証拠なんて沢山あるよ! 名字だって同じだし!」


咲「名字が同じなら姉妹ですか?そんな理屈…私には通用しませんよ」


照「な、なんで! そ、そうだ…体調悪いんだよね? だからさっきから変なこと言って…」


咲「私はいたって普通です。 変なのはあなたの方ですよ…宮永 照さん」


照「…!! そ、そんな…」

咲「もういいですか? 私これから人会う約束があるんで」スタスタ


照「人と会う約束!? いったい誰と…」


咲「…決まってるじゃないですか」


”私の本当のお姉ちゃんと会うんですよ”


照「え…」


咲「さようなら。もう二度と私の前に現れないでください」


照「ちょ…! ちょと待って! さきっ!さきーーーっ!」

照「………」


『もしもーし、そんなに濡れたら風邪引きますよー?』


照「………」


『帰ろう?みんな待ってるから』


照「………」


『何をそんなに悲しんでるの?』


照「妹…妹が…」


『何言ってるの? テルーに妹なんていないじゃん』


照「…お前に何がわかる! 淡ぃ!」

淡「…離してよ。痛いんだけど」


照「私に妹がいないだって!? ふざけるな! 私には咲という妹が…」


淡「ははは、何それ!テルー…前にこう言ってたよねぇー?」


『わたしに妹なんていない』


淡「…ってさぁ!」


照「あれは…カッコつけたくなったんだ!こちとらそういうお年頃なんだよ!」

淡「ウザい」ドン


照「いっ…!」ドサッ


淡「テルーが望んだ世界だよ! 妹なんていない、そういう世界にしたかったんでしょ!?」


照「ちょっ…淡までおかしく…」


淡「私はいたって正常だよ?…テルー、いいもの見せてあげる」


照「…いいもの?」


淡「…着いてくればわかるよ」

どこかの水族館前


淡「着いたよ、テルー」


照「ここは…水族館?」


淡「この中に、咲…だっけ? さっきの子がいるよ」


照「…!! さきっ!さきーっ!」


淡「落ち着きなよテルー!」グイッ


照「うっ…何を…」


淡「いまあの子は”お姉ちゃん”と一緒にいるんだよ。邪魔したらダメでしょー?」ニヤリ


照「あの子の…咲のお姉ちゃんは私だけだっ!」


淡「…見ればわかるよ、テルー」

水族館内


咲「お姉ちゃん! 見て見て、ペンギンがいるよー!」


『咲、そんなに急がなくてもペンギンは逃げないよ』


咲「早く早くー! うわぁ!すっごく可愛いねー!」


『今すぐ行くよ…咲』


咲「お姉ちゃんと一緒だと、本当に楽しいよ!」

淡「見てみなよテルー。あの子、本当に幸せそうじゃない?」


照「嘘だっ…嘘だ! 咲と一緒にいるのが…」


淡「そうだね、テルー。あの人は紛れもない…」


照「もう一人の、わ…たし?!」


淡「あの人はね、テルー。サキが望んだ”本当のお姉ちゃん”なんだよ」


照「そ…んな! だって本当の私はここにいるじゃないか!」


淡「本当ってなに?」


照「えっ…!?」

貴重なチカちゃんスレだと思ったら語呂要員だったでござる

期待

淡「誰が?いつ?どこで?地球が何回周ったとき?テルーが本当の宮永照だって決めたの?」


照「…うるさい! うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!」


淡「自分自身でも分かってない、だからそうやって逆ギレするんだよね?」


照「…うるさーい!!」


淡「テルーは”妹なんていない”、そう言ったよね? その一言で、サキがどれだけ傷ついたか…テルーには分かる?」


照「くっ……」

淡「たくさん傷ついて、現実を拒絶した。いつしかサキは”テルーの虚像”を作りだしたんだよ」


淡「でも、今のサキにとってはあの人が”実像のテルー”なんだ。いつも優しく、妹想いで、”妹はいない”なんて絶対に言わない…理想のお姉ちゃんなんだよ」


照「そんな…そんなオカルト!私は信じない!」


淡「そうやってまた偽りを重ねるつもりかな?テルー」


照「だまれ!だまれ!だまれ!」


淡「テルーは”妹のいない世界”を望んだ…そう望んだのはテルーなのに?」


照「淡ぃ…!」

淡「この世界はテルーが自ら作り出したんだよ。 テルーのたった一言によって出来た、テルーの理想の世界だ」


照「淡ぃ…何が言いたい!」


淡「もう一度、テルーの望む世界を作ればいいんだよ」


照「…!!」


淡「テルーはどんな世界を望むの?さぁ!今すぐ言ってみなよ!」


照「…わたしは!」

照「私は!咲のお姉ちゃんでありたい! 世界でたった一人の咲の本当のお姉ちゃんでありたい!」


照「どんな形だって構わない! 咲がそばに居てくれるだけでいい!」


淡「…よく言ったよ、テルー。きっとテルーが望んだ世界になるはずだよ!」


照「淡…お前はいったい…」


淡「私は私だよ、たとえばこんな風にも…」バリッ


咲「私だよ、お姉ちゃん…」ニヤ

照「うわぁーーー!!」ガバッ


照「はぁ…はぁ…ここは…私の部屋…?」


照「…夢か。 すっごく怖い夢だった…」


照「はぁー…すごい汗…」


『お姉ちゃーん、朝だよー起きてー』


照「この声は…! 咲っ!!」

ダッダッダッダッダッ(階段を降り)


照「さきっ!」ガラッ


咲「お姉ちゃんおはよ。どうしたの?大丈夫?」


照「さきっ! さきーっ!」


咲「ちょっ…お姉ちゃん!?」


照「うっ…ぐすっ…咲ぃ…よかった…」


咲「お姉ちゃん…怖い夢でも見たのかな?」


照「…うん」


咲「もうー、ほらほら! 早く支度しないと淡ちゃん来ちゃうよ?」


照「…まずい! すぐに支度してくるっ!」

咲「ははは、お姉ちゃんったら…」


ピンポーン


『テルー! 準備できてるー!?』


照「わわわ…もう淡が来ちゃった。急がないと」


照「咲、行ってくるよ。最後、戸締りよろしくね」


咲「うん! お姉ちゃん、行ってらっしゃい」


照「うん、行ってきます」ガチャ


バタン…

通学路


淡「それにしてもテルーが寝坊なんて珍しいねー?」


照「うん。実は昨日すっごく怖い夢見ちゃって…」


淡「はははは! テルーってば、子供じゃないんだからさー!」


照「む…仕方ないじゃない」


淡「はー…それにしてもサキは可愛いよねー!お人形みたい!」


照「ふふん。自慢の妹だからね」


淡「だよねー! だって…」


”本 物 の お 人 形 み た い だ も ん”

………


オネエチャーン アサダヨー


コワイユメデモミタノカナー


アワイチャンガキチャウヨー


オネエチャーン イッテラッシャイ


オネエチャーン…


オネエチャーン…


ハヤクワタシヲ…


タ ス ケ テ ヨ


………

ヒモリ「いかがでしたか? 世にも奇妙な姉妹の物語」


ヒモリ「どんな形でも、姉妹の絆は美しいものですよね」


ヒモリ「どんな形でも…たとえそれが”人間と人形の姉妹”だって、ね」


おわり

>>11

ありがとうございました! いつかチカちゃんメイン書きます…

>>22

ありがとうございました!

パワポケバッドエンドのシアワセ思い出した、起訴
面白かった!乙です

>>25

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
パワポケバッドエンドなついです!

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