【ごちうさ】ココア「ロゼちゃんに恋愛相談するよ」 (63)

※心ぴょんぴょん指数は保証できません。
※結構シリアスです


木組みの街のとある喫茶店

ココア「ここで会ったのも何かの縁、ってことで、ちょっと聞いてもらいたい悩みがあるんだけど……良いかな?」

ロゼ「え、ええ。勿論! 大丈夫ですわ」

ロゼ(ま、まずい……どこまでボロを出さずにお嬢様できるか…)

ココア「私の働いてるラビットハウスにリゼちゃんっていう、ロゼちゃんにそっくりな子がいるんだけど」

ココア「あ、前も話したっけ?」

ロゼ「ええ、覚えていますわ」


ココア「私ね、その子のことが……好きなんだ」

ロゼ「」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1407718932

ロゼ「……そ、その好きというのは、どういう」

ココア「友達としてのだったら悩んだりしないよ~」

ココア「? ロゼちゃん顔赤いよ、どうしたの?」

ロゼ「い、いえその、恋の話というやつに慣れないだけですわ」

ココア「そっか。ロゼちゃんって経験豊富そうに見えたけど、意外だな~」

ココア「その、私の好きなリゼちゃんのこと、友達のシャロちゃんも好きみたいで」

ロゼ「」

ココア「私はつい最近、チノちゃんに……この間一緒にいた子に、告白されちゃったし」

ロゼ「」

ココア「さっき話したシャロちゃんのこと、シャロちゃんの幼馴染の千夜ちゃんは好きだって言ってたし」

ロゼ「」

ココア「頭の中こんがらがっちゃって……」

ロゼ(こっちの台詞だ!!)

ロゼ(え、私の周りの人間関係ってこんなにひっからまっていたっけ?)

ロゼ(何もかも初耳だ……チノに関してはいつかしそうとは思っていたが…)

ココア「ねえ、ロゼちゃん。私、どうすればいいんだろう」

ココア「リゼちゃんに告白したら、チノちゃんともシャロちゃんとも顔を合わせづらくなりそうで」

ココア「みんなとは友達でいたい……けど、リゼちゃんへの気持ちは、日に日に大きくなっていくんだよ…」

ロゼ(ココア……)

ロゼ「……あまり早急に答えを出さないほうが良いと思います」

ココア「?」

ロゼ「他の人への自分の気持ち、リゼさんへの気持ち、そういった気持ちを自分の中でもっとしっかり整理してから」

ロゼ「それから行動に移っても、決して遅くは無いかと」

ロゼ「自分の気持ちがはっきりわかっていないと、後悔することになりかねません」

ロゼ(というか、時間かけてくれないと私が整理できん)

ココア「整理か……もう何ヶ月も考えてるけど…チノちゃんへの返事はもうちょっと待ってもらわないとかなぁ」

ロゼ「きっと、待っていてくださいますよ」

ロゼ「あの、私はそろそろ……その、お稽古がありまして」

ココア「あ、うん。ゴメンね、変なこと聞いちゃって」

ロゼ「いえいえ、ではまたいつか」

ココア「ばいばーい」

夜・リゼの部屋

リゼ「ココアとシャロが私のことを好き。千夜はシャロが、チノはココアが好き……」

リゼ「……私がいなければ、丸く収まっていたのか?」

リゼ「……なあ、ワイルドギース。私はココアのこと、どう思ってるんだろうな…」ギューッ

リゼ「好きは好きだけど……恋、恋か」

リゼ「う~~、よくわからん。今日はもう寝るっ!」

リゼ(明日、千夜にでも聞いてみよう)

翌日・ラビットハウス

リゼ(寝不足だ……)

チノ「大丈夫ですかリゼさん。顔色が悪いです」

リゼ「あ、あぁ。昨日あまり眠れなかっただけだ……そういうチノこそ、ちょっと眠そうだぞ」

チノ「私も……あまり眠れなかったので」

リゼ(ひょっとして、ココアのこと考えてたのか)

リゼ(……私がココアと付き合ったら、チノは)

ココア「ごめん! 遅刻しちゃった!!」

チノ「あっ、ココアさん…///」

チノ「…………」フルフル

チノ「遅いですココアさん。早く着替えて来てください!」

ココア「はーい!」

リゼ(チノ……)

リゼ「ココアのこと、好きなんだな」

チノ「!? な、なななにを言ってるんですかリゼさん! ココアさんはそういうのでは」

リゼ「見てれば、わかるよ」

チノ「うぅ……/////」

リゼ「……なぁ、チノ。私がチノに聞くのもどうかと思うんだが、好きってどういう気持ちなんだ」

チノ「? ……一般論で言えば、その人のことを考えて夜眠れなかったり、ずっと一緒にいたいと思ったり…」

チノ「その人の前だと、ドキドキして、でも幸せな気持ちになったりします……らしいです」

リゼ「一般論だよな」

チノ「一般論、です!」

リゼ(チノ、楽しそうだな)

リゼ(やっぱり私が身を引いた方が…)

リゼ(でも、何故だろう……ココアをチノに取られると思うと、少し、もやっとする)

リゼ(……取られるってなんだ。ココアは私のものじゃないぞ)

チノ「リゼさん? リゼさん、聞こえてます?」

リゼ「ん? ああなんだ? オーダーか?」

チノ「いえ…なんだかぼーっとしていたので」

夕方・甘兎庵前

リゼ(チノに頼んで、少し早めに上がらせてもらった)

リゼ(チノ、少し嬉しそうだったな……まあ、二人きりになれるんだから当然か)

リゼ(ココアは一体どんな話をしているんだろうか……案外簡単にチノに流れ…)

リゼ「ん…」ズキッ

リゼ(やっぱり、少しもやっとする)

千夜「あら、いらっしゃいリゼちゃん」

リゼ「千夜、今から少し時間あるか? ……相談があってな」

千夜「真面目な話、みたいね。大丈夫よ、もう私も上がれるから。奥の部屋で話しましょう」


リゼ(千夜に、昨日起きたことを全て話した)

リゼ(それから一応、この胸のもやもやも)

千夜「……なるほどね。ねぇ、リゼちゃん」

リゼ「ん? 何かわかったか?」

千夜「そんな話を私にしてきたってことは、シャロちゃんは眼中に無いってことでいいのよね?」

リゼ「え、な、なんでそんな」

千夜「だって、私に聞いたのって、シャロちゃんとココアちゃんはリゼちゃんのこと好きだから論外だし」

千夜「チノちゃんも、自分がココアちゃんを奪ってしまうかもしれないから避けたんでしょう?」

千夜「それでいて、みんなの状況を話しても平気そうな人…で、私だったと」

リゼ「そう……だろうか」

リゼ(確かに、私はシャロも私のことを好きだとは聞いていたけれど…)

リゼ(シャロのこと、まるで忘れてるように考えてなかった)

リゼ(もしシャロの告白を受けるつもりなら、これほど嫌味な相談も無いというのに)

千夜「安心して。……すごく正直な話、私はね、良かったって思ってるの」

千夜「もしリゼちゃんが、チノちゃんに相談して、ある日突然シャロちゃんと付き合ってしまったら」

千夜「……考えたくもないわ。でも、もしそうなったら、私は好きな人の幸せを祈るしかないのよ」

千夜「ねえリゼちゃん。リゼちゃんは、ココアちゃんのことが好きなのかしら?」

リゼ「そんなの…わからないから聞きに来ているんだ…」

千夜「本当にわからないなら、ココアちゃんも振ったほうがいいわ」

リゼ「!?」

千夜「大好きな人を奪われて、何も出来ずにただ幸せを祈るしかできないなんて」

千夜「そんな気持ちをチノちゃんに味合わせてでも、ココアちゃんが欲しい」

千夜「それくらいの気持ちが無いなら、尻尾を巻いて逃げなさい」

リゼ「…………」フルフル

千夜「私はね、リゼちゃん」

千夜「シャロちゃんに、あなたのことで相談を受けるたび、そんな気持ちだったから……」

リゼ「そうか…すまん。今日は、もう帰る…」

千夜「えぇ。気をつけて」

リゼ「…………」トボトボ

千夜(ちょっと言い過ぎちゃったかしら……)

千夜(でも、チノちゃんのココアちゃんを想う気持ちの強さは、きっと本物だもの。これくらいで良いわよね…)

リゼ(ココア…)

リゼ(私に付き合って、教官と呼んでくれたココア)

リゼ(ドジで見守っていたくなるココア、パン作りに情熱を燃やすココア)

シャロ「リゼ先輩?」

リゼ(さっきの話を考えれば考えるほど、むしろ頭の中がココアで埋まっていくようだ)

リゼ(私は……)

シャロ「先輩、リゼ先輩!」

リゼ「!? うわあシャロ!!」

シャロ「そんなお化けに会ったような驚き方しなくても」

シャロ「どうしたんですか、先輩がそんなにぼーっとしてるなんて」

リゼ「いやぁ、なんでもないよ。あはは」

シャロ「……好きな人のこと考えてたとか」

リゼ「ど、どどどどうしてそれを!!」

シャロ「え!? ほんとに考えてたんですか!?」

リゼ「カマをかけたのか!?」

シャロ「そ、そんなつもりじゃないです……あの、ちなみにそれって誰のこと考えてたんですか」

リゼ「…………」

リゼ「……シャロのことじゃ、無いよ」

シャロ「!? 先輩…?」

リゼ「ごめんな。色々あって、シャロの気持ちは知ってるんだ」

リゼ「でも、ごめん……シャロとは、友達でいたいんだ」

シャロ「先輩……」グスッ

シャロ「リゼ先輩! 私、リゼ先輩のことが好きです! 付き合ってください!」

リゼ「だ、だから私は…」

シャロ「」グスッポロポロ

リゼ「…………」

リゼ「私にとって、シャロは大切な、大切な友達だ」

リゼ「でも、ごめん。恋人として、付き合うことはできないんだ」

シャロ「……」

シャロ「ありがとう、ございました。グスッ ちゃんと告白、グスッ、できてよあった…」ボロボロ

リゼ「シャロ…」

シャロ「来ないでください!」

シャロ「……すいません、心配、いりませんから…」タタタッ


リゼ「シャロ……本気で、そんなに私を…」

リゼ(私に、そんな気持ちがあるだろうか)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

シャロ「千夜ああぁぁぁあ」

千夜「ど、どうしたのシャロちゃん、そんなに泣いて」

シャロ「リゼ先輩に振られたああぁ」ワアァァン

千夜「……そう、勇気を出して、頑張ってきたのね。よしよし」

シャロ「うぅ…千夜ぁ……」ボロボロ

千夜「今日はずっと一緒にいて、慰めてあげるから」

シャロ「……ありがと」グスッ

千夜(……私って、ずるい女ね)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

同時刻・ラビットハウス

チノ(今日はリゼさんがちょっと早めに上がったので、いつもより少しだけ長くココアさんと二人きりでした)

チノ(リゼさんには申し訳ないですが、ちょっと嬉しかったです)

ココア「チノちゃんどうしたの? なんか嬉しそうだよー」

チノ「べ、別になんでもないですよ?」

ココア「……そっかー」

ココア「お風呂も入ったし、チノちゃん、今日は何しようか」

チノ「あの、その前に、ココアさん」

ココア「……なぁに、チノちゃん」

チノ「先日の、その……こ、告白の返事を、いただけたり」

ココア「……」

ココア「……私ね、この間ロゼちゃんに会って、じっくり自分の気持ちを考えたほうが良いって言われたんだ」

チノ「それでは、もうしばらく」

ココア「でもね、やっぱり私の気持ちなんて、決まってるんだよ」

チノ「こ、ココアさん……///」

チノ(そんなに私のこと……///)

ココア「ごめんね。私、リゼちゃんが好きなんだ」

チノ「えっ」

ココア「だから、チノちゃんの気持ちには、応えられない。ごめんね」

チノ「」

ココア「勿論、チノちゃんは私にとって大事な友達で、妹みたいで、大切な家族だよ!」

チノ「」

ココア「でも、恋人とは……その、思えないんだ」

チノ「……そっか。そう、ですよね」

チノ「ねえ“お姉ちゃん”」

ココア「!」

チノ「ココアさんは、私の“お姉ちゃん”ですから、仕方がないんですよ」

チノ「“家族”は“恋人”になれないんですよね? 当然のことです。だから…だから」ポロポロ

チノ「……ココアさん。私は、ココアさんのこと、愛しています」グスグス

チノ「妹、ですから」ヒッグ、グスッ

ココア「チノちゃん、私…」

チノ「……すいません、しばらく一人にしてください」トボトボ

ココア「チノちゃん……私のこと、そんなに思ってくれていたんだね…」

ココア「ゴメンね…ゴメンね。でも、私はやっぱり、リゼちゃんが好きなんだ」

ココア「かっこよくて、頼りになって、でもすごく乙女なリゼちゃんが」

ココア「…リゼちゃん以外、考えられないんだよ…」


ココロピョンピョン マチ カンガエルフリシテ

ココア「あれ、メール……! リゼちゃんからだ」

リゼ『明日、午後五時に公園で待つ』

ココア「なんというか、シンプルなメールだなぁ……なんだろう?」

ココア『了解! 何の用でありますか、サー!』

ココア「送信っと。返信来るかな…」

(三十分経過)

(一時間経過)

ココア(……スヤァ)

翌日・夕方

ココア(今日は一日チノちゃんと顔を合わせてない気がする)

ココア(少なくともちゃんと話してはいないし…)

ココア(きっとまた、いつも通り話せるようになるよね…?)

ココア(公園に来たけど、どこにいるんだろう…あっ)

ココア「ロゼちゃん!」

ロゼ「あら、ココアさん」

ココア「どうしたの、こんなところで」

ロゼ「人を待っておりました……なんて、演技する必要、もう無いよな」

ココア「えっ」

スルスル、スッ

リゼ「私だ、ココア」

ココア「ツインテール……リゼちゃん……のお姉さん?」

リゼ「いや、本人だ」

ココア「」

ココア「えっ!? て、ててててことはだよ、私は一昨日、」

リゼ「そういうことだ」

ココア「あ…わぁ……/////」

ココア「……」

ココア「……私、前も話したけど、リゼちゃんのことが好き」

ココア「リゼちゃんのこと想うと胸がいっぱいになるんだよ」

ココア「ねえ、リゼちゃん。私を呼んだってことは……」

リゼ「ああ」


リゼ「…すまない。私は……やっぱり、ココアのことを恋人として見れないと思う」

ココア「あ…」

リゼ「私も、あれから色々考えた。私は確かに、ココアのことは好きだ。友達として……或いはそれ以上に」

リゼ「でも、これが恋だとは、私には思えないんだ。だから……すまない」

ココア「そんな……良いよ! 一緒に付き合って、その中で私がリゼちゃんに恋をさせれば良いんだよ!」

ココア「リゼちゃんのこと、好きなんだよ……お願い」ポロポロ

リゼ「ごめんな、ココア」

ココア「うぅ……」

ココア「うわああああぁぁあぁぁん」タッタッタッ

リゼ「ココア……」

リゼ(ココアはこれから、帰って泣くのかな)

リゼ(チノが慰めてあげるのかな……)ズキッ

リゼ(ココアのこと好きなんだし、きっと優しくしてくれるよな)ズキズキッ

リゼ(それから、きっと少しずつ傷が癒えて、チノと仲良くなって)ズキズキズキッ

リゼ(私は……私は、……ラビットハウスで、ココアの隣で、その、幸せを……)

ピチャン

リゼ「あ…れ?」

リゼ「おかしいな……振ったのは私の方なのに」ポロポロ

リゼ「私は、千夜やシャロや、ココアみたいな、そんな強い気持ち、持ってないはず、なのに?」ポロポロポロ

リゼ「なんで、涙、が」

リゼ「…………」

リゼ「……あぁ……そっか」



リゼ「ココアを取られたくないんだ」

リゼ「他の誰かの隣で、一番の笑顔を見せて、他の人を愛してるココアを、見たくないんだ」


リゼ「私も、ココアのことが、こんなに好きだったんだ」

分岐点
Route:A もう取り返しはつかない。諦めて、愛する人の側で、その人の幸せを見守ることに徹する。
Route:B まだ諦められない。どんなに無様でも、愛する人の隣にいるために行動する。



ARoute・数ヵ月後のラビットハウス

ココア「えへへ~。チノちゃんはモフモフですな~」

チノ「ちょ、営業時間中ですよ!///」

リゼ「相変わらずだな。あんまりサボるなよ?」

リゼ(あれから、何ヶ月か経った。しばらくはココアに笑顔が戻らなくて、仕事が難しいくらいだったけれど)

リゼ(今はもう、以前と変わらない)

リゼ(いや……)

チノ「もう……仕事が終わってからにしてくださいよ……(お姉ちゃん)ボソッ」

ココア「うん、わかったよ、チノちゃん♪」

リゼ「……ふぅ、相変わらず、仲が良いな二人とも」

リゼ(後悔したって、もう遅いことだ)

リゼ(私は、気づいてしまった気持ちを抱えて)

リゼ(愛する人の幸せを見守って、ここに立ち続ける)

~Fin~

BRoute・当日夜七時ごろ、ラビットハウス

チノ(ココアさんが泣きながら帰ってきました)

チノ(すぐに部屋にこもってしまいましたが、何が起きたかはわかります)

チノ(いけないことだと、わかってはいても……嬉しい私がいるのを否定できません)

リゼ(窓辺にいるのは…!)

リゼ「おーい、チノ!」

チノ「なっ、リゼさん!? 一体何をしに来たんですか!!」

リゼ「頼む、もう一回、ココアに会わせてくれ!」

チノ「ダメです! ちょっと待っててください、今降りますから!」

チノ「リゼさん、どういうつもりですか」

リゼ「私、気づいたんだ。やっぱりココアのことが」

チノ「気が変わった、というわけですか…」

リゼ「なっ」

チノ「ココアさん、泣いてましたよ。うちまでずっと、泣きながら帰ってきたんでしょうね」

チノ「一体、どんな顔をしてココアさんに会うおつもりですか」

リゼ「そ……それは……し、しかし、私はココアが」

チノ「私だって!」 リゼ「!」

チノ「私だってココアさんのことは好きです!」

チノ「だからこそ、私からココアさんを奪い、ココアさんを泣かせた貴女を、ココアさんに会わせたくありません!」

チノ「お願いします……帰ってください」

チノ「帰らないのであれば……私も何をするかわかりません」

リゼ「…………」

リゼ「頼む! 会わせてくれ!!」バッ

チノ「何をするかと思えば」

チノ「今度は土下座ですか」

チノ「…………恥を知れと言っているんです」キッ

チノ「……すいません。言い過ぎました。おやすみなさい」

バタンッ

リゼ「ぐうぅっ……」

リゼ(ココアに、今度会った時に話を……)

リゼ(そんなマネ、チノが許さないか)

リゼ(メールで、電話で、或いは直接伝えたとして、それでココアは納得するのか…?)

リゼ(一度私は振っているんだぞ?)

リゼ(恥を知れ、か……)

リゼ(あんなにきついこと言われたの、何年ぶりだ…)

リゼ(無様だな…)

タカヒロ「リゼくん」

リゼ「あ……チノのお父さん」

タカヒロ「もう店の営業時間だからね……入って座りなさい」

リゼ(店の前だものな……何をしてるんだ、私は)

リゼ「あの、ココアに会わせてもらうことは」

タカヒロ「すまない。私はチノの父だ……チノがああも強く言った以上、私にそんなことはできない」

リゼ「そう……ですよね」

タカヒロ「ホットココア、飲むかい? 心が落ち着くよ」

リゼ「いただきます……」

リゼ「おいしい」グスッグスッ

タカヒロ「チノが随分きつくあたってしまってすまない」

タカヒロ「しかし、チノがココアくんをとても慕っていることはよくわかってくれたと思う。…親としては少々複雑だけどね」

リゼ「私が悪いのはわかっているんです…」

リゼ「ココアを一度振ったのに、そうしてから好きなことに気づくなんて」

リゼ「その気持ちを抑えられない恥知らずだから…」

タカヒロ「人生は一度きりだ。やれるだけやってみるのも、また一つの選択だよ」

タカヒロ「きみとココアくんの想いが強ければ、まだチャンスはあるかもしれないね」

タカヒロ「それを探すのも、一つの手だと思う」

リゼ「良いんですか、そんなこと言って……チノはココアのこと」

タカヒロ「確かにそうだ。しかし、ココアくんもまた、今の私にとっては実の娘のようなものだからね……」

タカヒロ「ココアくんの望む幸せが、叶って欲しいとも思うんだ」

タカヒロ「今日はもう遅い。送ってあげるから、そろそろ帰りなさい」

リゼ「いえ、私は自衛できますし、お店もあるでしょうから、一人で帰ります」

タカヒロ「そうかい? ……ココアくんにこっそりと会わせるわけにはいかないけど、また何かあったら、夜の早いうちに来ると良い」

タカヒロ「悩みくらいなら聞けるからね」

リゼ「はい、ありがとうございます……」

リゼ(もう暗いな…)

リゼ(あっちがチノの部屋だから…あれがココアの部屋の窓か)

リゼ(小石を……見つかったら今度こそ、チノに解雇させられかねないか…)

リゼ(開かないかな……)

ギィ…

リゼ「!」

ココア「はぁ……リゼちゃん、今頃どうしてるんだろう」

リゼ「こ、ココア!!」

ココア「え、リゼちゃん!? どうし……うわわわ!!」ヒュウゥ

リゼ「危ないココア!」

ガッシ

リゼ「……ふぅ。なんとかキャッチできたか」

リゼ(ココア……目が腫れぼったくなってる。ずっと泣いていたのかな)

ココア「え、あれ、私……り、リゼちゃん、なんでこんな顔近いの!?」

リゼ「お前が上からずり落ちたからだろう? 全く、……ココアらしい」

ココア「そ、それは……リゼちゃんがここにいたから…」

ココア「……なんでここにいるの?」

リゼ「それは…なぁ、ココア。ものすごくわがままで、身勝手で、恥知らずと言われても仕方の無いお願いをしていいか」

ココア「? な、なぁに、そんな急に」

リゼ「ココア、お前のことが好きだ。付き合って欲しい」

ココア「え?」

リゼ「情けない話、ココアの申し出を断って、それから気づいたんだ。私は、ココアのことが心の底から好きなんだって」

リゼ「絶対、他の誰にも渡したくないくらい、側にいて欲しいんだって」

ココア「え、あ、そ、それは…/////」

リゼ「一度断っておいて、私は酷い奴だと思う」

リゼ「けれどもう、ココアを泣かせたりなんてしない! だから、付き合って欲しい」

ココア「…は、はい/////」プシュー

リゼ「ありがとう、ココア! 大好きだ!」

ちゅっ

ココア(りり、リゼちゃんイケメンすぎるよおぉ)

ココア「うわばばば、ふにゃーっ!/////」シュー

リゼ「ん、あれ? ココア? どうした? おーい、ココアー?」

数ヵ月後・公園


ココア「ほら、リゼちゃん。さっき買ったネックレス、つけてあげるよー」

リゼ「いや、自分でできるって」

ココア「遠慮しないで~」

リゼ(あれから、あっという間に月日が経った。チノもしばらくは私と目も合わせてくれなくて、仕事が難しいくらいだったけど)

リゼ(今はもう、以前とあまり変わらない)

リゼ(いや……)

ココア「うん、やっぱり似合うよリゼちゃん♪」

リゼ「ありがとう、ココア。なら、私からもお返ししないとな」

ココア「えー、もう、しょうがないなぁ」んーっ

リゼ「なんだ、わかってたのか」

ちゅっ

リゼ(本当は色々なものが変わっているのだろう。ただ、今は毎日が本当に楽しくて、変わっていることに気づかないだけだ)

リゼ(私は、私が気づけたこの気持ちを抱いて)

リゼ(愛する人を幸せにする為に、隣に立ち続ける)


~Fin~

ごちうさSSって、書けば書くほどココチノ・千夜シャロ・メグマヤの安定感が高すぎて、他ルート考えるとなんかシリアスになる。
シリアスにしすぎてチノちゃんキャラ変わったし。

チノがココアを監禁して社会的に抹殺し逃げ場を失くす青の悪魔の後日談とか無いです(多分)

ちなみに、二階から落ちてきたココアさんを両手で支えるには、何百キロもの重さに耐えられて、両手だけで支えてもココアさんに衝撃が
いかない技術が必要っぽいです。先輩ならいけます。


真面目に書きすぎてちょっと恥ずかしい。

もし書くことがあるなら、病みチノちゃんルートや千夜しゃろアフターは別のスレで書くと思います。
HTML化依頼しちゃったし、千夜シャロは適当にまとめるとありがちになりそうなので…。

またもし見かけたら、読んでいただけると嬉しいです。

SS書き始めていきなり一週間で四つも投稿してしまい、さすがに作りすぎな気がしていましたが……できたら書いてみます。

【ごちうさ】シャロ「リゼ先輩に振られた…」千夜「よしよし」
【ごちうさ】シャロ「リゼ先輩に振られた…」千夜「よしよし」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407938119/)
次スレ、千夜シャロ話となっております。よろしければどうぞ。

【ごちうさ】チノ「帰れって言いましたよね?」
【ごちうさ】チノ「帰れって言いましたよね?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407996521/)
こちらクレイジーサイコチノちゃんでございます。

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