塞「名探偵シロの事件簿」 (37)

「キャーー!!」

塞「どこからか女の子の悲鳴!」

胡桃「事件だ!現場へ駆けつけるよシロ!」

白望「ダルくて動けない。おぶってって・・・」だるーん

塞「ふざけんなっ」ぐいっ

胡桃「ほら、さっさと立つ!」ぐいっ

白望「ダルい・・・」のそのそ

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エイスリン「きゅう・・・」ぱたり

塞「エイスリン!?」

胡桃「大変!エイちゃんの頭に大きなたんこぶが!」

塞「たんこぶに模様が付いているわね」

胡桃「この独特の模様、間違いない!」


塞・胡桃「「凶器は南部鉄器!!」」

エイスリン「ウゥン・・・」

塞「まだ息がある!」

胡桃「急いで治療!」

塞「シロ、急いで盛岡冷麺を持ってきて!たんこぶに当てて冷やすのよ!」

白望「ダ・・・わかった」のそのそ

胡桃「急いでっ!」

【保健室】


エイスリン「・・・。」すやすや

胡桃「命はとりとめたみたい!」

塞「良かった。盛岡冷麺による処置が早くて助かったわ」

胡桃「それにしても、いったい誰が?」

塞「現場にはやはり南部鉄器が落ちていたわ。それに、このエイスリンのスケッチボードも」

ばんっ

胡桃「これはっ!」

塞「ええ。おそらくはエイスリンが描き残したであろうダイイングメッセージ!」

胡桃「死んでないけどね!」

塞「黒い服、長い髪、そして赤い眼をした背の高い女が描かれているわね」

胡桃「いったい誰を表しているの?エイちゃん?」

塞「ほら、シロもエイスリンの絵を見なさいよ。何かの手がかりになるかもしれないんだから!」

白望「エイスリン担いできて・・・疲れてダルいからパス・・・」だるーん

塞「ああもうっ!」

胡桃「とりあえず私は現場に戻る!何か証拠が残ってるかも!」

塞「お願いね」

白望「私はここでエイスリンの様子見てる・・・」だるーん

塞「あんたはサボりたいだけでしょ!」

エイスリン「ん・・・ココハドコ?」むくり

塞「!!」

塞「目が覚めたのねエイスリン!ここは保健室・・・

エイスリン「ワタシハダレ?アナタタチハダレ?」

塞「なっ!?」

白望「・・・。」

塞「そんな!頭を殴られたショックで記憶が・・・!」

エイスリン「ドウシテワタシココニイルノ?」

塞「大変、どうしたらいいの!?」

白望「とりあえず、何か食べさせてあげたら?お昼だし」

塞「そうね。体力が戻れば記憶も回復するかもしれないわ」

塞「はいこれ、かもめの玉子よ。栄養補給にはもってこいなんだから!」

エイスリン「オイシイッ!」もぐもぐ

塞「一命をとりとめたのは良かったけど、記憶喪失じゃ犯人につながる手がかりは得られそうにないわね」

白望「ん」もぐもぐ

塞「あんたはかもめの玉子じゃなくて自分の昼ごはん食べなさいよ!」

白望「持ってくるの・・・ダルい・・・」もぐもぐ

胡桃「いいからこっちに来るっ!早くっ!」

豊音「ど、どうしたのー?なんだか怖いよー?」

塞「どうしたの胡桃?豊音?」

胡桃「現場を捜査してたら豊音が来たっ!犯人は現場に戻るもの!」

塞「いや、現場に現れたからって犯人ってわけじゃ・・・」

胡桃「エイちゃんの絵!」

塞「はっ・・・!」

塞「エイスリンの絵、確かに豊音にそっくりね!」

胡桃「証拠!」

豊音「ねぇさえー。なにがあったの?全然わかんないよー」

塞「それがかくかくしかじかで」

豊音「まるまるうまうまなの!?そんな!エイスリンさんが南部鉄器で殴られたなんてー!」

胡桃「しかも記憶喪失!?大変!」

豊音「わ、私じゃないよー」うるうる

塞「私も疑いたくはないけどね。ちなみに、これが現場に落ちていた南部鉄器よ」スッ

豊音「こ、これっ!!」びくっ

胡桃「どうしたの豊音?」

豊音「これ、私の南部鉄器だよー・・・」カタカタ

塞・胡桃「!!?」

白望「・・・。」もぐもぐ

胡桃「ほ、本当に豊音が犯人だったなんて・・・」ぞわっ

豊音「違うよー!私じゃないよー」ぐすっ

塞「ごめんね豊音。でも、これだけ証拠が出そろってしまうとあなたが事件の第一容疑者なのよ」

豊音「そ、そんな~」うるうる

白望「南部鉄器・・・」

豊音「え?」

白望「南部鉄器、どうして持ってたの?」

豊音「それは、部室のストーブでお湯を沸かせばみんなでお茶が飲めるかなーって思って、持ってきたんだよー」

白望「持ってきて、どこにしまったの?」

豊音「えっと、しまったわけじゃなくて、よく憶えてないけど、お茶を飲むのにお茶請けが欲しいなーって思って
購買に南部せんべいを買いに行った時にどこかにポンッて置いたはずだよー」

胡桃「どこに置いたの?」

豊音「ううっ、憶えてないよぉー」ぐすっ

白望「そう・・・」もぐもぐ

塞「ちょっとシロ、いつまでかもめの玉子食べてる気!?」

白望「かもめの玉子は・・・程よい糖分が脳に効くから・・・考える時にぴったり・・・」もぐもぐ

塞「はぁ、この大変な時に

白望「おかげで事件の謎は全て解けた・・・」もぐもぐ

塞「えっ?」
胡桃「・・・え?」
豊音「??」

休憩

塞「ちょっとシロ!?」

胡桃「謎が解けたってどういう事!?」

豊音「わ、私っ、エイスリンさんを殴ってなんかないよー・・・」

白望「わかってる。豊音は犯人じゃないよ」

豊音「シロっ♪」ぎゅっ

塞「・・・豊音が犯人じゃないなら、いったい誰がエイスリンを?」

白望「うん。豊音は犯人じゃないけど、事件にまったく関わってないわけじゃないんだ」

豊音「へっ!?私知らないよー・・・」

胡桃「どういう事?豊音が犯人じゃないなら、エイちゃんが描いた(死んでないけど)ダイイングメッセージの絵は誰なの?」

塞「それに、凶器の南部鉄器は豊音が今日持ってきた物よ。これも犯行に関わってはいないというの?」

白望「エイスリンの絵は間違いなく豊音を描いた物だし、
頭のたんこぶも間違いなく豊音の南部鉄器によってつけられたものだよ」

豊音「や、やっぱり私犯人なのー!?」ぶわっ

白望「まずエイスリンの絵だけど、もし南部鉄器で殴られたのだとしたら
その後に絵を描く余裕なんてないよ。もし描くとしても名前とかだと思う」

胡桃「・・・たしかにっ!でも、それだとどうしてエイちゃんは豊音の絵を描いたの?」

塞「それに南部鉄器は?豊音の証言も曖昧で、どこにあったのかすらわからないじゃない」

白望「絵は事件の前にエイスリンが描いていたものだったんだよ。
そして、南部鉄器は確かに豊音の言う通りある場所に置いてあったんだ」

白望「戸棚の上に・・・!」

胡桃「上!?」

白望「事件の顛末はこう。まず、豊音は証言通りに南部鉄器でお茶を淹れようとしたんだ」

白望「でも、南部鉄器を手にとったときにふと思った。お茶菓子が欲しい、って」

塞「・・・そこまでは証言通りね」

白望「そしてうっかり置いてしまったんだよ。南部鉄器を戸棚・・・そこにある南部箪笥の上に」

塞「南部箪笥の上に!?」

白望「かなり大きい棚だけど、豊音の身長なら難なく置ける。むしろ手近な場所と言ってもいいくらいだよ」

豊音「あぁああっ!私、ここに置いたかもっ!」

白望「そうして豊音が買い物に行っている間にエイスリンが来たんだ」

白望「歩きながら豊音の絵を描いて」

胡桃「歩きながらっ!」

白望「描きながら夢中になってうろうろ歩き回っちゃったんじゃないかな?そして事件、いや『事故』は起こった」

豊音「事故・・・」

白望「エイスリンは豊音が南部鉄器を置いた南部箪笥にぶつかってしまったんだ」

エイスリン『フンフッフフーン♪』てくてく

エイスリン『トヨネ、トヨネッ』てくてく

南部箪笥『ガツン!』

南部鉄器『ドンガラガッシャーン!』

エイスリン『キャーー!!』ごちーん!

エイスリン『きゅう・・・』ぱたり


白望「これが、この事件の全容」

塞「そんな・・・事故だったなんて!」

白望「様々な偶然が複雑に、さながらジャージャー麺のように絡まって起きた事故だよ」

胡桃「豊音ー!疑ってごめんね!!」

塞「わ、私もごめん豊音!」

豊音「いいよー、木にしてないよー」にこっ

胡桃「・・・でも重たい物を上の方に置いちゃダメっ!」めっ!

豊音「ふぇーん!ごめんなさーい」ぐすっ

塞「でも、事件の真相がわかったところでエイスリンの記憶は・・・」

白望「それなら・・・たぶん大丈夫・・・」

塞「えっ?」

白望「とりあえず、保健室連れてって。いっぱいしゃべったから、なんかダルい・・・」だるーん

塞「そんくらい歩けっ!」


【保健室】


エイスリン「あ、シロ!全部思い出したよっ!」ぱぁぁ

塞「エイスリン!記憶が戻ったの!?」

白望「ほら、エイスリンはかもめの玉子を食べたから。あれは脳に効くって・・・さっき・・・」だるーん

塞「良かった。何にせよ記憶が戻って」

豊音「エイスリンさんごめんねー。私が南部鉄器を高い所に置いたばっかりに」うるうる

エイスリン「ウウン。ワタシモボーットアルイテタカラ!」にこっ

胡桃「これで全部解決!」ふんす

白望「それじゃあ・・・みんなでわんこ蕎麦でも食べに行こうか?」だるーん

塞「珍しい。シロがどこかに行こうだなんて!」

白望「いや、ダルいけど・・・せっかくだし・・・」

豊音「いいよー、みんなで行こうよー!」

胡桃「いっぱい食べる!」

エイスリン「オソバ、ダイスキッ!」

塞「ふふっ、それじゃあ行きましょうか!」

白望「それじゃあ・・・お蕎麦屋さんまで連れてって・・・」だるーん

塞「だから歩きなさいって!」

エイスリン「エヘヘ♪」ぎゅっ

塞「ん?」

エイスリン「シロッ!シロガワタシノタンコブ、レイメンデヒヤシテクレタンダヨネ?」

白望「やっぱり盛岡冷麺は万能だね・・・」

豊音「シーロー♪」ぎゅっ

豊音「今日はありがとー。シロのおかげで助かったよー!」すりすり

白望「かもめの玉子の・・・力を借りただけ・・・」

エイスリン「シロ♪ワタシガシロヲオソバヤサンマデヒッパッテイクネッ!」ぐいー

豊音「私がおんぶしてあげるよー!」ぎゅー

白望「どっちでもいい・・・」だるーん

塞「コ、コラー!あんたたち、シロをこれ以上甘やかさないのーっ!!」

豊音「あはは!さえ怒ったー!」

エイスリン「ヤキモチ、ヤキモチっ!」

塞「ち、違うわよっ///」

白望(ダルい・・・)だるーん

こうして岩手銘菓『かもめの玉子』を食べると推理力が向上する女子高生探偵・小瀬川白望の名推理により事件は解決した

名推理シロの活躍はこれからも続く!!


胡桃「バカみたい!」


おしまい

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