淡「咲は私の言うとおりにしてればいいんだから!」 (91)

咲-Saki-のifストーリー

咲さんは臨海女子に通ってます

淡が恋愛100年生(プレイガール)です

週一更新

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ぼんやりと、淡は物思いに耽っていた。

その姿を見た2軍の麻雀部員たちは、憂い顔の大星さんも可愛い!と囁き合う。
決して考え事をしている淡を邪魔しないよう、小声で。

ここ白糸台高校で、淡は名門麻雀部唯一の一年レギュラーとして特別視されている。
加えて大星家の財力は半端なものではなく、学園にもかなりの寄付をしていた。

これで注目を浴びない方が、どうかしている。

学校内には多くのファンがいて、こうしてほーっとしているだけでも誰かしらに視線を向けられしまう。

だが淡にとってそんなことは、慣れたもの。
どこともなく目の前の光景を眺めていた。

誠子「よっ、淡。何考え事してるんだ?」

尭深「もしかして立ったまま寝てるとか?」

丁度通り掛かった先輩達に声をかけられる。

淡「寝てないし。目、開けてるでしょ」

尭深「淡ちゃんなら出来そうだと思って」

淡「どういう意味だよタカミー!」

不機嫌そうに言い返す淡を見て、誠子がたしなめる。

誠子「まあまあ。で、淡は何考えてたんだ?」

尭深「ずばり、新しい獲物探していたとか?」

二人は淡が見てた方向に目を向ける。
少し離れた場所で、恋人同士なのかじゃれあっているカップルがいた。

誠子「はあ…また人の物に手ぇ出すのか?」

淡「またって、何よ」

誠子「前に揉めたこと忘れたのか、バカ」

淡「バカって言うな」

誠子「じゃあ、覚えてるよな。彼女と別れてまで付き合ったのにヒドイって、乗り込みして来た女子の件」

淡「そんなことあったっけ?」

尭深「誠子ちゃん、駄目だよ。淡ちゃんには何言っても無駄だから」

来るもの拒まず、去るもの追わず。
この学校に入って、淡の付き合った相手の数は片手じゃ足りない。

気に入ったら、恋人がいようがおかまいなし。
そのくせ、飽きたら即捨てる。

そんなヒドイ女、誰にも見向きされないのが普通なのに
未だに淡と付き合いたい女生徒は後を絶たない。

不思議な話だ。

淡「言っとくけど、別にあのカップル達になんて興味ないから」

誠子「じゃあ何で見てたんだ?」

淡「見てないよ。ちょっとぼんやりしてただけ」

そんな中、尭深が恋人達の方を見て「あ」と声を上げた。

尭深「ひょっとして淡ちゃん、あの子達のことが羨ましいんじゃない?」

淡「はあ?」

尭深「だって、淡ちゃんの付き合い方っていつも長く持たないじゃない」

尭深「あんなほのぼの幸せそうなやり取り、したこと無いでしょ?」

意地悪く尭深は笑う。

淡「ふん。庶民の幸せなんて、私の足元にも及ばないし」

そのまま二人の前を通り過ぎ、淡は歩き出す。

本当はわかっている。
尭深に指摘された通り、先程の名前も知らない恋人達を見ていた。

お互いがお互いを見つめて、蕩けそうな顔して笑っている。
幸せだと纏ってる空気でわかる。

庶民の恋愛だとバカにしても、何故か虚しい。

そう、淡はあの二人が羨ましかった。
自分にもあんな風に目と目を見ただけで幸せだと思えるような相手が欲しい。

いつも手にするのは淡の上辺しか見ようとしない人ばかり。
運命の相手なんか信じていないけれど、巡り合えたらどんなに幸せだろう。

尭深達が知ったらきっとからかわれるに違いない。
だから誰にも言わない。心の中の一番奥に仕舞ってある秘密。

インターハイ県予選が始まる頃。
一軍の部室ではレギュラー達が練習に明け暮れていた。

菫「よし。今日のところはここまで!」

部長の菫は三連覇に向けてやけに張り切っていた。
が、チーム虎姫一の実力者である照は何やら憂い顔だ。

誠子「元気ないですね、宮永先輩」

照「…そう?」

菫「ははーん。お前まだ妹のことが諦めきれていないのか」

照「だって…咲と一緒に麻雀したかったのに…」

淡「……妹?」

ふいに聞こえてきたその言葉に淡が反応する。

淡「テルー、妹なんているの?」

照「うん、いるよ。二つ下なんだ」

淡「へえー。で、何組なの?」

照「妹は…うちの学校に入らなかったんだ」

淡「へっ?」

姉妹なのに別の高校に通う理由が分からない。
淡は訝しげに尋ねた。

淡「で、その妹さんはどこの学校に通ってんの?」

照「……臨海女子」

東京では白糸台と並ぶ麻雀の名門校ではないか。
ますますもって分からない。

淡の物問いたげな視線に気づいたのか、照がため息をつきながら応える。

照「憧れの人が通ってるんだって」

淡「憧れの人?」

照「その人と一緒に麻雀がしたいからって、咲は臨海を選んだんだ」

淡「へぇー…」

照の妹。一体どんな打ち手なのだろうか。
少し、いやかなり興味がある。


――――

安価ssなのん?



――――


淡「ここが臨海かー」

淡は臨海女子の校門前に立っていた。
照の妹を偵察する為だ。

淡「…そういえば、下の名前聞いてなかった」

顔も名前も知らずに、臨海に来てしまったことを今思い出す。

淡「ま、いっか。何とかなるでしょ!」

見ればわかるだろうと、堂々と校舎の中に入り麻雀部部室を探してまわる。

淡「あ、ここだね。よし…」

ドアを薄く開け、中をそっと覗いてみる。
が、どうもそれらしい人物は見つからない。

淡(は、ははーん。さては私が偵察来ると察して警戒してるのかな?)

そうとでも思い込まなければ、やっていけない淡だった。
ここまで足を運んで何も情報を得ず帰るなんて冗談じゃない。

誰でもいい。
適当に捉まえて照の妹の情報を聞き出そう。

そう思い、淡が身を翻した瞬間。

?「きゃあっ!」

淡「わっ!?」

突然視角に現れた少女とぶつかってしまう。

淡「ちょっと!急に廊下の向こうから出てこないでよ、危ないじゃない!」

?「あ、ご、ごめんなさい」

?「あの、怪我とかしませんでしたか?」

小さくなりながら、少女が申し訳無さそうに声を掛けてきた。

淡「それは大丈夫だけど」

?「そうですか。よかった…じゃなくって、本当にごめんなさいっ」

また少女は謝る。

ごめんなさいしか浮かばないのかと、淡はつまらなさそうに少女を見つめた。

淡「謝らなくてもいいけど。その代わり」

びくっと、少女は肩を竦める。
何を要求されるかと、怯えているようだ。

小動物そっくりな様子に少し笑ってしまう。
意地悪な気持ちが湧き、淡は一歩距離を縮める。

すると少女は一歩下がる。

淡「白糸台の大星淡」

?「えっ?」

淡「私の名前。名乗ったんだから、あんたも名前教えてよ」

少女は一瞬きょとんとした後、ああ、と微笑んだ。

?「お姉ちゃんとこの学校の。そういえば制服もお姉ちゃんと同じだ」

気づかなかったよ、と少女はマイペースに頷いている。

淡「で。あんたの名前は?」

咲「あ、ごめんなさい。私は宮永咲といいます」

ぺこっと礼儀正しく頭をさげる少女に、淡はしばし絶句した。
まさか目の前の少女が照の妹だったとは。

咲「あ、あの…?」

訝しげに声をかけてくる咲に、気をとりなおして応える。

淡「ふーん、咲か。覚えたからね」

咲「え、あの?」

淡「今度あんたんとこの部長に言っとくよ。おたくの部員にぶつかられたって」

咲「え」

一瞬で固まる咲の表情。

辻垣内智葉は厳しい部長としても有名だ。
ちょっとからかってやろうと淡は声をあげる。

淡「あー、さっきぶつかられたとこが痛いなー」

淡「骨に異常とかあったらどうしよっかなー」

咲「あ、あわわ…」

淡の言葉に咲は慌てふためく。
そんな咲の様子に、淡はこっそりほくそ笑んだ。


これが宮永咲との出会い。

淡が初めて出会った、思い通りにならない相手だった。


――――

とりあえずここまで。
次は来週の日曜に投下予定です。

>>9
安価ものではないです。

東京見学の人かな?

乙乙待ってた
咲さんの制服はガイトさんと同じでいいのかな?

あでも日本人はルール込みで一人しか出さない方針だったか
ガイトさん消されてしまう

すみません、荒らしはスルーでお願いします

>>25
それは自分ではないです
以前書いてたのは盲目の少女という話のみです

>>26
はい。咲さんの制服はガイトさん仕様です

>>33
if物なので…(震え声)

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