アイマスsideMのssです。
新人のPがBeitをプロデュースする話です。
――――――――――――――――――
P「おはようございます」ガチャ
山村「Pさん、おはようございます」
P「山村さんいつも早いですね」
山村「そりゃあ事務員ですからね」
山村「…あれ、眼鏡どこにやったかな」
P「頭の上についてますよ」
山村「いやだなー僕もいい加減それくらい学習しますよ。……本当だ」
P「いつもそれやってますよね」
山村「ブルーライト用眼鏡なんで存在忘れちゃうんですよ」
P(そう言う問題じゃないよなあ…)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406648675
山村「そうだPさん。斎藤社長が話があるって仰ってましたよ」
P「ええ?僕何かしたかなあ」
山村「勤務態度が悪いんじゃないですか?」
P「それなら山村さんも同罪でしょ。でも確かにプロデューサー職の社員なのにやってる事山村さんと一緒じゃなあ……」
山村「これを機に事務職に転向も良いんじゃ……おや、噂をすれば」
斎藤「やあ、おはようPくん!朝から元気だな」
P「おはようございます。社長ほどじゃないですよ」
斎藤「はは、精進したまえ。ところで今日の業務内容だが……」
P(新卒でここ、315プロダクションに入社して早3ヶ月と少し)
P(315プロは最近出来た事務所だけど、社長のアツい雰囲気もあって活気がある)
P(765プロや876、CGプロに憧れて、全部面接受けて駄目だったけど315プロが拾ってくれて)
P(ここに来て良かったな、と今では思う)
P(315プロは男性アイドルのプロダクションだから)
P(女の子のアイドルをプロデュースする夢は消えちゃったけど)
P「……」
斎藤「おいPくん?聞いているかね?!」
P「…あっ、すいません考え事してました!もう一度お願いします」
斎藤「素直な事は君の良い事だが……一度しか言わないからよく聞いてくれ」
P「はい!耳の穴かっぽじってよく聞きます!」
斎藤「…君、アイドルをプロデュースするつもりはないか?!」
P「――!!」
みのりさん期待
P「ぼ、僕がプロデュースですか…?!」
齋藤「何、不満か?君はプロデュース職での採用だったはずだが」
P「そんな事ありません!その、実感が湧かなくて」
P「経験も実績も無いし……」
齋藤「なあに、心配なんぞ今はしなくて良い!それより聞きたいのは君がやりたいかどうかだ!」
P「やりたいです!」
齋藤「うむ!その言葉が聞きたかったぞPくん!」
P(僕がとうとうプロデューサーに……とは言っても……)
P(いや、社長が言う通りやりたかった仕事の第一歩だ!)
齋藤「君も知っていると思うが、315プロの男性アイドルは皆ユニット制だ」
齋藤「当然君の担当するアイドルもひとつのユニットまるっとプロデュースしてもらうぞ!」
P「は、はい!頑張ります」
齋藤「アイドルも君も、お互い新人同士。互いに協力しあってトップアイドルを目指してくれ」
齋藤「そしてこれが君のプロデュースするアイドル達だ。履歴書に目を通しておくと良い」
P「ありがとうございます!……3人組のアイドルか」
齋藤「10時からミーティングの時間をこちらで用意しておいた」
齋藤「それからは君とそのアイドル達とよく話し合って今後の活動を決めてくれたまえ!」
齋藤「さあ!光り輝くトップアイドルプロデュースのスタートだ!」バターン!!
P「そ、そんな急な!……ああ、行っちゃった」
山村「良かったじゃないですか。おめでとうございます。事務職転向も無さそうですよ」
P「ありがとうございます。アイドルのプロデューサーかあ……、今から緊張します」
山村「Pさんが居てくれたら仕事減るし、いつでも戻って来てくれて良いですからね」
P「ぜ、絶対戻りませんよ!僕はアイドル育てるんで!」
山村「それでPさんがプロデュースするアイドルってどんな人達なんですか?銭別ついでに見せて下さいよ」
P「そうですね。僕も確認したいし」
P「まず1枚目…鷹城恭二、20歳。元フリーター……」
山村「見事にプリン頭ですね。どこにでも居る若者って感じでしょうか」
P「志望動機、ピエールに誘われたから」
山村「……誰です?」
P「きっと他のメンバーじゃないですか?分からなかったらあとで直接聞きますよ」
山村「僕の予想だとピエールは老紳士ですね」
P「外れたらジュース奢って下さい」
P「ん?クールそうな印象だけど、決意コメントは結構アツいですね」
山村「何かワケありって感じですね。次行きましょう」
P「何で山村さんが仕切ってるんですか」ペラ
P「カ、カエル?!」
山村「履歴書の写真にカエルの写真貼ってある……ってこの人がピエールじゃないですか!」
P(どうしよう僕のプロデュース早くも不安になってきたな……)
P「このカエルが鷹城くんを誘ったって事ですかね?じゃあ二人(?)は知り合い……」
山村「出身地はうみのむこう…水の中じゃないんですね」
P「字汚いしひらがなばっかりだ。海外のカエルなのかもしれませんよ」
P「でもアイドルの仕事にやる気あるみたいですし、やろうと思えばカエルだってアイドル目指せますよ!」
山村「いや普通に考えて下さいよ、素顔を晒せない理由でもあるんじゃないですか?これ着ぐるみでしょ?」
P「いやっそんな、ワケありばっかりのアイドルじゃ困りますよ」
山村「さて最後の人はどんなびっくりアイドルが…」
P「やめてくださいよ!」
P「……良かった、普通の人だ。渡辺みのり、元フローリスト」
P「花屋さんかあ。ふわふわしてて中性的なアイドルっぽいですね」
山村「でもこの人31歳ですよ」
P「えっ?!本当だ凄い若く見える……僕より大分年上だ…」
P「でもこの人アイドルが好きみたいですよ。方針とか相談しやすそう」
山村「いやあ31歳でアイドルはちょっと」
P「でも好きなものの魅力を自分の身を以て体感するって良い事じゃないですか」
山村「そう言う言い方もありますけど……決意コメントがまた意味深ですね」
P「そうやって何でもワケありの雰囲気に持って行くのやめて下さいって!」
山村「そう言えば知ってます?315プロの噂」
P「え?315プロなんか問題あるんですか?そりゃ不祥事で問題になった961プロのJupiterを引き抜いて来た時はびっくりしましたけど……」
山村「噂に315プロは"何かしら"理由があってアイドルになりたい男性を優先的に所属させてるそうですよ」
P「何かしら…?何ですかその噂…」
山村「業務上問題は無いですけど、何かあるんですかね?」
山村「プロデューサーになって偉くなったら社長に聞いてみて下さいよ」
P「315プロはホワイトだって信じてるんでそんな事しませんよ!」
P(…何かしら、ねえ……)
P「ん、そろそろ時間だ。ミーティングルームは3階の会議室……よし、行ってきます」
山村「いってらっしゃい。カエルの中身が何か分かったら教えて下さいね」
P「中の人なんて居ません!!」バタン
P(山村さんと話して緊張解れたと思ったけど)
P「全然そんな事なかった……めっちゃ緊張する」
P(でも僕が緊張してるのがバレたらアイドルだって不安になる!)
P(よし、しっかりしよう)
P「……3階の会議室。ここか」
P(時間は9時55分。5分前行動の模範的プロデューサーだ)
P(すーはー…すーはー…)
P(いくぞ!)
P「失礼します!」
「恭二、みのり!きた!!」
P「カエルだ……!!」
「おい、あんまり脅かすなよ」
「ほらピエール、一旦離れて」
ピエール「はあい。けろけろ~ん。こんにちは、ボク、カエル!……じゃなくて、ピエール!」
恭二「はあ…どうも、鷹城恭二だ。よろしく」
みのり「渡辺みのりです。この中だと最年長かな。よろしくね」
P「は、はい!皆さんのプロデュースをさせて頂きます、Pと言います」
P「……ごめん、堅苦しいのは無理だ。うん、いつも通りで行くよ。3人ともよろしく」
恭二「俺もその方が助かる」
ピエール「ボク、日本語まだ得意じゃない。だからじゃべり方、ふつうが良い!」
みのり「皆もこう言ってるし、お互い砕けた感じの方が良いかな」
P「はい、じゃあそう言う感じで」
P(男2人にカエル一匹…いや大丈夫、頑張ろう)
P(っていうかこの二人はカエルに何も疑問を持ってないのか…?)
P「3人はオーディションで315プロに来たんだよね?鷹城くんはピエールに誘われたんだっけ」
恭二「そんな感じだ、みのりさんもそうだろ」
みのり「ああ、ピエールが色んな人を笑顔にしたいって言うから、じゃあアイドルは?って提案したら、そのまま」
みのり「まさか本当に事務所に所属するとは思わなかったけど」
P「じゃあ3人は元々知り合いなんだ?」
ピエール「ボク、遊園地で風船くばってた。みんな笑顔になる。でもアイドル、もっとみんな、幸せにできる!」
恭二「俺はその遊園地近くのコンビニでバイトやってた」
みのり「俺はその遊園地が花の配送先だったから……なんだかんだ、ピエールがきっかけだね」
P「へえ…ピエールは素敵なカエルだなあ」
ピエール「! けろけーろ、プロデューサーさん、風船ひとつあげる!ぷ~かぷか!」
P「あ、ありがとう…」
P(どう見てもカエルなんだよなあ…出来たら中身の方で活動して欲しいんだけど…いや中の人なんて……)
P「んーじゃあ意気込みと言うか…3人はどんなアイドルになりたい?」
ピエール「皆、笑顔になるアイドル!」
P「おっピエール早いな」
みのり「見る人が笑顔になってくれるって大事だよ。それだけで元気になったりするから」
みのり「俺はそうだな…その場に居るだけでぱっと華やぐような……人の心を動かすようなアイドルになりたいかな」
みのり「昔見たアイドルが俺にそうしてくれたようにね。……なんて、ちょっと恥ずかしい?」
P「良いですよ、トップアイドルってきっとそう言う存在になっていくものだし」
P「鷹城くんは?」
恭二「俺はそう言うの…特に無いな。やりたい事はあるけど、どう言うアイドルになりたいとかは……」
P「そう?理由なんて後から付いて来るよ。今はそのままで良い」
P「でもいつかなりたい形が見付かったら教えて欲しいかな」
恭二「何かスイマセン」
P「気にしないで、僕も急に聞いたし」
P「あとユニットの名前を考えなきゃいけないんだけど、何か案ある?」
恭二「ああ、それなら3人で考えてきた」
みのり「名前なんて付けた事ないんで自信ないんですけど」
P「大丈夫!世の中にダサい名前のアイドルグループなんていっぱいあるしさ!」
みのり「はは、それもそうか…」
P「どれどれ。ふむふむ…」
ピエール「プロデューサーさん、どれすき?」
P「……このBeitって何て読むんだ?」
恭二「バイト。3人ともバイトしてたから」
P「直球だなあ…ぱっと見かっこいい所が余計…」
恭二「あと、Be it、英語だとそれで良いって意味だ」
恭二「アイドルやって飾っててもいずれボロが出るだろうし、それならそのままで、ってことで」
ピエール「ボク、この名前オススメ!」
みのり「こらピエール、ちゃんとプロデューサーの意見も聞いて……」
P「いや、これで良いんじゃない?」
P「僕もガチガチにイメージ固めるのはちょっとって思う」
P「アイドルになるにつれて難しい事も増えて来るだろうし…自分で自分の首締めちゃってもしょうがないしね」
P「…よし!君たちはこれからBeitだ!改めてよろしく」
ピエール「ウン!ボク、Beit頑張る!3人でトップアイドル、なってみせる!」
恭二「まあ、よろしく」
みのり「よろしく頼むよ、プロデューサー」
P「じゃあスタジオに行ってレッスンやってみようか」
P(あっ…でもどうしよう、ピエールってレッスン出来るのかな…)
ピエール「プロデューサー?ボクの顔、なんかついてる?」
P「えっと、ピエールはそのままじゃちょっと…ジャージ持ってる?」
ピエール「持ってる!」
P「じゃあそれに着替えて、30分後に7階のレッスンスタジオで」
P(…と言う事はカエルの中身がとうとう見られる……?!)
みのり「良い人そうだったね、プロデューサー。若くてびっくりしたよ」
ピエール「プロデューサーさん居ると、ボクたちアイドルみたい!」
恭二「……」
みのり「恭二、どうかした?」
恭二「いや…何でもない」
ピエール「恭二、これからレッスン!ぼーっとするの、だめ!」
恭二「分かってる、レッスンはちゃんとやるから」
恭二(……そのままで良い、か)
ベイト? 不死身の題小隊のアルファ・A・ベイト?
レッスンスタジオ
P「よし、皆そろっ……えっ」
P「カエルじゃない……?!」
ピエール「レッスンする時、カエル、動きにくい。この方がレッスンしやすい!」
P(外人かハーフ…随分綺麗な顔だなあ)
P(カエルじゃない方が良いくらいじゃないか?)
恭二「はは。おいピエール、プロデューサー驚いてるぞ」
P「何で今までカエルだったのか不思議なくらいだよ…」
みのり「まあ色々あるんですよ」
P「素顔を見れて嬉しいって事にするよ…」
P「そうだな…皆がどれだけ出来るのかまず知らないと。3人って今まで何か練習したりしてた?」
恭二「同じ三人組だったから、Jupiterの曲は少し」
P「じゃあそれやってもらっても良い?」
ピエール「いつでもオッケー!できる!」
P「よっしゃ!ミュージック…スタート!」ポチ
大体こんな感じでいきますよ
齋藤社長最初の方字間違えてしれっと直してごめんな
>>4
みのりさんって良いよね
このスレにもいっぱい出て来るといいね
>>17
ベイトだと思ってたけど多分「Arbeit」のbeitかなと思ってバイトって読ませた
これで公式がベイト読みだったら笑える
ところで08MS小隊ってよく勧められるけど面白いのかな。今度見てみよう
MマスSS待ってた
期待
訳ありの方がアイドルとして成功するらしいよね、ジャニーズ事務所のメンバーとか大体家庭に何かしら訳ありな人ばかりだし
最近の若いメンバーはゴタゴタを避けるために逆にそういうのは取らないって話
なんかの番組でジャニさんが言ってた
♪恋をはじめよう
P(ほお、思ったよりも出来てる…)
P(ポジションは冬馬が鷹城くん、翔太がピエール、北斗がみのりさんか)
P(この中でボーカルが一番良いのはみのりさんか)
P(鷹城くんは結構器用になんでもこなすタイプかな。まとまっててバラつきがない)
P(ピエールは…あ、こっち向いた。アピールが上手だ。その場に居るだけできらきらしてるし…)メモメモ
(恋をはじめようのポーズ)
ピエール「…!プロデューサーさん、ボクたち、ちゃんと出来てた!?」
P「うん、良かった」
ピエール「やったー!」
恭二「もっと詳しく聞きたい。自分達の事は知っておきたいし」
みのり「俺からもお願いします」
P「勿論、その為のプロデューサーですから」
P「じゃあまずみのりさん。みのりさんはこの中で一番歌が上手いです。自信持って下さい」
みのり「配達の時Jupiterのアルバム掛けながら熱唱してたのが効いたみたいだ」
P「え?」
みのり「ううん、独り言」
P「そうですか?今見ただけの改善点は…アピールら辺が控えめなのと、表現力を鍛えて行きましょう」
みのり「アドバイスありがとう。頑張ってみるよ」
ピエール「ハイ!プロデューサーさん、ボクも知りたい!」
P「ピエールは立ってるだけで絵になってたよ。王子様みたいだ」
ピエール「!!」ビクッ
P「どうかした?」
ピエール「な、なんでもない。け~ろけろ!えへへっ」
P「アドバイスは…うーん、年齢の所為もあるけどダンスが後半失速気味になるから体力作りをまずしていこう」
P「あと声も、喉じゃなくてお腹から声を出す様に意識するのが良いかも」
ピエール「お腹から…?お腹から声、出ない…プロデューサーさん、それ難しい…」
P(腹から声出すのは腹筋もある程度必要だし、やっぱ体力作りからが良さそうだ)
恭二「あの、俺も聞いて良いか?」
P「鷹城くんは基本的な事は一通り出来てて、人とも合わせられてた。凄い器用だと思う」
P「だから今のまま練習したらすぐ上手くなる。まとまって見えるよ」
P「逆に言えば何か強み!って言うのははっきり言えないから、不服かもしれないけど…」
恭二「いや、十分っス。ありがとうございます」
P「どういたしまして。強いて言うなら、もっと積極的にアピールしても良いかも」
恭二「分かった。参考になる」
P(鷹城くんって二人と違って表情に起伏が無いから、何考えてるか分かり難いな…これで良かったのかな?)
P「…あれ、もうこんな時間だ」
P「3人とも、お疲れさま。昼飯にして良いよ」
P(本格的な仕事する前にしっかり技術を整えておきたいし…、それまではレッスンが良さそうだ)
P(でもレッスン漬けでだれる前にどっかで仕事探して来ないといけないな…うーん…)
ピエール「プロデューサーさん、一緒、ご飯食べよ!」
P「え?いいの?」
みのり「プロデューサーさえ良ければ。あ、でも忙しかったら……」
恭二「プロデュースしてくれる以上、プロデューサーもBeitの一員だしな。一緒に居てくれる方が良い。知りたい事もあるし」
P(あ……ちょっとそう言うの、嬉しいかも…)
恭二「コンビニだけど、おにぎりならあるぞ」
P「じゃあ日高昆布といくら貰おうかな。ある?」
恭二「もっと食っておけよ。午後も仕事あるんだろ」
P「いやあ、こう暑いとさ…」
会議室
恭二「あんた昔なんかやってたのか?」
P「ん?何で?」
恭二「アドバイスが割としっかりしてたから」
P「ああ~……うん、一応本とか読んだけど、それだけだよ」
みのり「へえ、勉強熱心だ」
P「いやあ、まだまだです」
ピエール「プロデューサーさん、ボク、またアドバイス欲しい!」
P「ええ?じゃあピエールは午後から体力作りだなあ」
P「ピエールだけじゃなくて、どっちにしろ二人も身体作りは必要だし…あと、お腹から歌う事でも歌に使う筋肉は鍛えられるから」
P「腹筋を重点に置いたメニューを組んで、それからボイスレッスンって流れにしよう」
恭二「部活っぽいな」
P「身体作りは基本だからさ」
P「ああそうだ、3人は初めての仕事、何がしたい?」
ピエール「プロデューサーさん、何でもさせてくれる?!」
P「ま、待ってピエール、流石に何でもは無理だけど!一応、希望聞いておこうと思って」
恭二「折角だからアイドルらしい事がしたいよな」
みのり「そうだね、うーん…やっぱりライブとか、歌ったり踊ったりするのは憧れるかも」
ピエール「歌うの大好き!踊るの大好き!ボクも、やりたい!」
P「そっか、考えてみるよ」
恭二「ああ、頼むよプロデューサー」
P(ライブか…良い所のライブを用意してやりたいけど、……僕次第だ。頑張ろう)
P「じゃあ筋トレ終わったらまた来るから。僕は仕事くれそうな人を探して来るよ」
P「…あ、そうだピエール。ちょっとカエルになってくれる?」
ピエール「分かった。ボク、カエルになる。けろ~ん、けろけろ!」モゾモゾ
P「一緒に写真撮ろう」
ピエール「写真!ボク、写真すき!」
P(これで山村さんにジュース奢ってもらえるなんて言えない) カシャ
事務室
P「失礼します」ガチャ
山村「あら、戻って来たんですか。どうでした?」
P「パソコンとか書類は全部ここにありますからね…ユニットごとに部屋とかあれば良いですけど」
山村「基本プロデューサー職の方は皆さんオフィス階行きですよね」
P「社長に聞いてみようかなあ」
山村「で、カエルどうでした?」
P「それがですね…さっき一緒に写真撮りましたよ」スッ
山村「えっ、この中で一番美少年!王子様!って感じじゃないですか」
P「何でカエルだったのか僕にもよく分かりませんよ」
山村「皆ワケありでした?」
P「そんな事ないですよ、皆良い人達でした。頑張って仕事取りたいです!」
P「だから新人アイドルでも扱ってくれるライブハウスとかのリストと睨み合ってるんじゃないですか。邪魔しないでくださいよ!」
山村「え?邪魔はしてないですよね?」
P「あとピエールは老紳士じゃなかったんでジュース奢って下さい。ポカリが良いです。4本お願いします」
山村「ひどくないですか?!」
P(アイドルなら秋葉原だけど、男性アイドルの需要は無さそうだよな)
P(ライブハウスなら下北沢…男性アイドルが好きな女の子ってそう言う所行くのかな?)
P(下北沢なら事務所も近いし…とりあえずメール出してみよう)
P「…おっと、ここはバンドだけしか出させてくれないんだ。危ない危ない」カタカタ…
山村(真剣だなあ…頑張ってるしポカリくらい買ってあげましょう)
レッスンスタジオ
ピエール「はあ…はあ……もう駄目、ボク動けない……」
恭二「まだ背筋残ってるぞ」
みのり「ピエール頑張れ、辛い時こそ笑顔でしょ?」
ピエール「ウ…ウン、頑張る!笑えば元気、でてくる!」
みのり「よし、えらいえらい」
恭二「みのりさん結構余裕ですね」
みのり(昔は殴られても刺されても良いようにある程度鍛えてたもんなあ…大分なまったけど)
恭二「…みのりさん?」
みのり「ううん、続きやろっか」
P「皆ー、調子ど……疲れてるなあ」
恭二「腹筋10個くらいに割れそうだ…あと足がつらい」
みのり「背中が痛いよ…」
ピエール「ボク頑張った…でも今、ちょっと、笑えない……」
P「お疲れ、ポカリあるよ」
みのり「ありがとうプロデューサー」
P「お礼なら事務員さんに言って。買って来てくれたのその人だから」
ピエール「……ぷはー!笑顔えがお!」
恭二「切り替え早いなピエール…」
P「じゃあ休憩したらボイスレッスンに入って。今使ったお腹を意識してやってみよう」
P「ピエール、ちょっとこっち来て」
ピエール「分かった」
P「ちょっとお腹触るよ」
ピエール「わっ…あはは、プロデューサー!くすぐったい!」
P「お腹を膨らましながら息吸ってみて」
ピエール「すぅー……こう?」
P「いや、もっと腹全体に空気を入れる感じ…一回全部空気出してから吸ってみよう」
P「今からお腹思いっきり押さえるから、身体中の空気全部出してみて」ググッ
ピエール「ふーー…っ!」
P「よし、吸ってみて」
ピエール「すぅーー……」
P「同じように押さえるから吐いて……よし、こうやって空気を吸うと、お腹の空気で声が出るようになる」
ピエール「いつもと、呼吸、違う…」
P「今ので分かった?」
ピエール「うん、やってみる」
P「二人もやってみよう。お腹貸して」
みのり「人にお腹触られるとざわざわするね」
みのり(お腹触られるなんて、殴られる時くらいしかなかったし…)
P「我慢して下さい、行きますよ」
P(…みのりさん、やっぱり呼吸が深く長く続くな。通りで歌も上手い訳だ)
P「鷹城くん、緊張しすぎだよ」
恭二「そうは言ってもな…」
P「僕の事は居ないと思っていいから、思いっきりやってみて」
恭二「……」
P「そうそう、思いっきりやれば出来るんだからさ」
P「それで、これをカウントに合わせて吸って吐くんだ」
P「カウントが続く限りはずっと呼吸する。無理だと思ったらそれは我慢しなくていいけど」
P「カウントは5つで1セット。1セット目は吸う。2セット目は吐く」
P「3セット目は吸う。4セット目で、息が切れるまでお腹から声を出す。僕も合図するから、やってみようか」
P「うん、これがお腹から声を出すって事だよ」
ピエール「少し分かった、プロデューサーさん、すごい!」
恭二「腹痛くなるなこれ」
P「結構キツいよなあ」
P「みのりさんは一番声も大きかったし、長く続いてましたね」
みのり「あはは、それほどでも」
ピエール「プロデューサーさん、同じ事できる?」
P「ん?一応出来るけど…」
ピエール「やって!ボク、見たい!」
P「うん、良いよ。折角だからお腹抑えてて」
ピエール「わかった!ここ?」
P「うん、その辺押さえてて。」
ピエール「わ、いっぱい膨らむ!へこむ!すごい!」
P「お、おいあんまり触るとくすぐったいだろ!」
恭二「……プロデューサーって詳しいんだな」
みのり「本人は本を読んだだけって言ってたけど…」
恭二(…本当にそうなのか?)
>>22
男ばっかりのssって需要無さそうだと思ったけどそう言ってくれると嬉しい
どのユニットも良いけど個人的にBeitは特にイイゾ!
>>23
有名どころだとヒガシさんとかがその典型パターンか…
ただアイドルになって終わるんじゃなく、アイドルになって何かをしようとするその気概は大事かもね
ジャニ―ズは最近デビューしてない方が元気ないけど、そう言う理由もあるのかもしれないな…
おもしろい
待ってたこう言うSS
支援
P「はー、皆お疲れ。流石に僕も疲れた」
恭二「お疲れっス。シャワー室借りていいか?」
みのり「筋トレとボイスレッスンだけなのに凄い汗だ」
P「うん、身体冷やさないように浴びて来て下さい。明日は10時にまた会議室で。ほらピエール起きろー」
ピエール「もうだめ…うごけない、これは、本当に本当……」パタ
みのり「仕方ないか…おぶって行くから乗せてくれる?ほらピエール、シャワー室までもう少しだから…」
P「すいませんみのりさん、よろしくお願いします」
P「じゃあ皆、明日からもよろしく!」
恭二「ああ、こちらこそ」
みのり「一緒に頑張ろう。俺も、頑張るから」
ピエール「すぴー……zzz」
P「あー、お疲れさまでーす…」ガチャ
「お疲れさまです。失礼します」
P(ああ、あの人…同僚のプロデューサーだ。僕より先にアイドル担当してたな。最近同じ部屋に居ないからすっかり忘れてた)
P(アイドルの活動において相談出来る人が周りに居ないな…山村さんは事務員だし)
山村「お疲れさまです。活き活きしてますね」
P「いやいや、大変ですよ。身体なまってるし」
齋藤「やあPくん、どうだいアイドルとの顔合わせは!」
P「社長!良い人達でした。最初はびっくりしましたけど…何とかやれそうです」
P「どうなるか分かりませんけど…やってみたいです、アイドルのプロデューサー」
齋藤「そうかそうか!それは楽しみだ。頑張ってくれよ!」
P「はい!」
齋藤「それで君のデスクだが、引き続きそのままここを使ってくれたまえ」
山村「プロデューサー職のオフィス階の机の空きが無かったんですよね?」
齋藤「そう言わないでくれよ山村くん……ここは基本事務室だが、設備はプロデューサー達の居るオフィスと変わらん」
齋藤「すまないがよろしく頼むよ」
P「分かりました。山村さんしか居ないなら勝手も出来るし」
齋藤「代わりと言っては何だが、そこの電話で君の先輩Pと同僚の何人の内線に繋げられるようになってるから」
齋藤「プロデュースにおいて分からない事があったら聞いてみてはどうかな!」
P「ありがとうございます!」
P(よっしゃ!これで他のアイドルのプロデューサーさんから話が聞ける!あとでユニット確認しておこう)
齋藤「じゃあここで失礼するよ。頑張ってくれたまえ!」バタン
P「…ここから抜け出せると思ったけど無理でした」
山村「事務職じゃないけど事務室勤務ですね」
P「居心地良いから良いですよ。これからもよろしくお願いしますね」
P(さて、さっき出したメール見てみるか…お、何通か来てる)
P(……お断りメールばっかりだ!)
P「男性アイドルってこう言う時どうやって活動してるんだよお~……」
山村「上手く行きませんでしたか?」
P「下北沢のライブハウス攻めたんですけど、アイドルはちょっと…って言われちゃいました」
山村「男性アイドルは大体大きな事務所が扱ってるけど…あれほどウチは会社大きくないですしね。稼ぎ頭はJupiterひとつだけですし」
P「うーん、どうしたものか……」
P「……うん?このメールは…」
翌日 会議室
P「皆聞いてくれ!仕事が来るかもしれない!」
ピエール「それ、本当?!ウソじゃない?本当?」
P「ま、まって、まだ確定してないから…あとカエルは暑苦しいから…」
恭二「それで、どこの仕事なんだ?」
P「初めてだし、ライブハウスで仕事をさせてやりたかったんだけど…男性アイドルの活動って難しくてさ…」
P「大体お断りメールだったけどその中に2週間後の木曜日、下北沢でアイドルも参加出来るストリートライブがあるって教えてもらったんだ」
P「皆が良ければこれに挑戦したいと思うんだけど…どうかな?」
みのり「是非お願いします!」
ピエール「歌って踊る!ボク、やりたい!」
恭二「アイドルっぽいし、良いんじゃないか?」
P「よし、決まった!メール出して来るからちょっと待ってて…あ、そうだ」
P「これから集合場所はこの会議室じゃなくて2階の事務室になるから一緒に行こうか」
みのり「上のオフィスじゃなくて?」
P「僕の席無いんだってさ」
恭二「あんたの席ねーから」
P「おいやめろよライフの話は」
事務室
P「お疲れさまです」ガチャ
山村「あ、来ましたね。……カエルじゃないですか!」
ピエール「? けろけろ~ん、オニイサン、風船、いる?」
山村「あ、ありがとうございます…」
P「僕のデスクここだから。皆は何かあったらここに来て良いよ」
ピエール「暇潰ししても、良い?」
P「まあ…人が居ない内は良いけど」
P「けど暇つぶし~なんて言ってられない程忙しくなるかもしれないんだから!」
みのり「大きく出るね、プロデューサーは」
恭二「ここ、頑張れば住めそうだな。上にシャワー室あるし…」
P「住むのだけはやめて欲しいけど」
山村「忙しくなればPさんは住まざるを得なくなりますよ」
P「!!」
P「よし、ストリートライブの責任者にメール送信…と」カタカタ
P「素人も参加出来るって聞いたし、多分よっぽどの事がないと弾かれないとは思うけど」
P「次の仕事に繋げるために、精いっぱい楽しんで欲しい。一緒に頑張ろう!」
三人「はい!」
P「その為には今日もレッスンだな…3人とも、ちょっとそこのソファで待ってて」
ピエール「わーい、ふかふか~!…お菓子発見!」
みのり「あんまり食べ過ぎないようにね」
恭二「みのりさんって時々オカンっぽいっスよね」
みのり「ええ?そうでもないよ」
山村(……! もしかしたら今ならカエルの中身見れるかも…)
P(確か所属アイドルリストの中にデータが…みのりさんはボーカル強いけどビジュアル弱め)
P(逆にピエールはビジュアル面は長けてるけど他は強くない。特に今改善したいのはボーカル面かな)
P(鷹城くんは器用にこなすけど、積極性というか自己主張が弱い…となると)パラパラ
P(真逆の長所を持ってるアイドルをぶつけたいから…)
P「んで、社長がくれた同僚の内線メモ…よし」prrr
P「…あ、お疲れさまです。はい、Pです。すいません急にで申し訳ないんですが―…」
みのり「プロデューサー、仕事してるって感じだ」
恭二「……」
みのり「恭二、この前からプロデューサーの事をよく見てるね」
恭二「人に何かしてもらうって事に慣れてなくてな…」
恭二「あまり気持ちの良いものじゃない」
みのり「そう?」
恭二(…と、思ってたけど)
ピエール「そこのお兄さん、何してる?ボクの事、そんなに気になる?」
山村「あっいやっ…カエルの方の中身がどんなのかなと思いまして……」
ピエール「ボク?」
恭二(何言ってんだこの人)
P「よし皆、今日もレッスンだ!」
ピエール「また身体、動かなくなる?」
恭二「ああ、確かに俺も筋肉痛だ。…みのりさんは平気そうっスね」
みのり「うん、俺は遅れて来るから。明日あたりが辛いかな」
恭二(歳か……)
P「ごほん、今日は皆さんに弱点を克服してもらいます」
P「少し前にデビューした先輩アイドル呼んだから、その人達をお手本にやってみて欲しい」
P「それだけで随分違って来ると思うから」
みのり「うん、頑張ってみるよ」
P「時間割いてもらってるからくれぐれも失礼のないように!」
ピエール「はーい、笑顔、笑顔!」
P「そうそう、皆笑顔で気持ちよくやれるようにな。それじゃ行っておいで。僕も後で行くから」
恭二「…あの、ちょっと」
P「うん?どうかした鷹城くん」
恭二「俺のはっきりした弱点って…何か教えてもらっても良いか?昨日は曖昧だったから」
P「ああ…鷹城くんにはやっぱり同じように全体がまとまってる人にしてもらったけど」
P「…あとは行ってからのお楽しみって事で」
恭二「それじゃあ分からないだろ」
P「面白い人が来るみたい。強いて言うならそうだなあ…やっぱり面白い人だな」
P「行っておいで、きっと楽しいから」
恭二「楽しい…?」
ピエール「恭二とプロデューサーさん、お話?楽しい話?」
恭二「いや、ちょっと」
みのり「…あまり考えすぎないようにね」
恭二「別に何を考えてる訳じゃない。ただ少し気になってな…」
レッスンスタジオ
「あっ!来た来た~!遅いわよぉ、待ちくたびれちゃった」
みのり「えっ…女の子……?」
恭二(女子を久しぶりに見た気がする…あれ、でも315プロって男のアイドルだけじゃ…)
ピエール「わあ、女の子!」
咲「あはっびっくりししちゃった?これでも315プロのアイドルよ。あたし水嶋咲、よろしくね☆」
咲「Cafe Paradeのアイドルだよ♪」
圭「都築圭だよ。歌の事なら任せて。どうしてこうなったのか分からないけど…Altessimoのメンバーだよ」
道夫「硲道夫、S.E.Mのメンバーだ。人に教えるのは久しぶりだが…任せろ。元教師だ」
恭二(このメンバー任せにくそうすぎるだろ…人選どうなってんだ?)ヒソヒソ
みのり(ま、まあ言う事をここは聞いて…一応先輩みたいだし)ヒソヒソ
咲「お兄さんはこっち!あたしと一緒にレッスンするよ♪」
みのり「えっ俺?!っていうか君意外と大き…力つよいな!やっぱり君男か!!」
恭二「ああ…みのりさん……」
ピエール「ボク、お兄さんと一緒?レッスンする?」
圭「うん、レッスンしようか」
恭二(あそこは凄いふわふわした雰囲気だな…と言う事は)
道夫「私の生徒は君か」
恭二「…あんたの生徒ではないっスね……」
恭二(一番面倒くさそうな人に当たった)
圭「…お疲れ、楽しそうな事は伝わって来るよ。とてもね」
ピエール「本当?!」
圭「でもね、気持ちを伝えるには気持ちだけじゃ駄目なんだ」
ピエール「圭の言う事、難しい…。でも知りたい!」
圭「気持ちを伝える時、その気持ちともう一つ、気持ちが伝わる技術を学ばなくては伝わらない」
圭「君には気持ちがある。でも技術は少ない。ただがむしゃらに歌うだけでは技術は伸びないんだ」
圭「……喉、辛くはないかい?」
ピエール「あ、あー…少し。でもほんの、少しだから、」
圭「君は肺活量はあるみたいだ。だからお腹を使って声を出して、声量にメリハリをつけてごらん」
圭「お手本を…見せれば良いのかな?一度歌ってみるね」
圭「僕の音、しっかり聞いていて」
ピエール(圭の歌、とても上手…!)
ピエール(ボク分かる。いま、ボクに足りないもの…)
咲「ああん、お兄さんだめだめっ!歌は素敵なんだから、もっと自信持って!」
みのり「それプロデューサーにも言われたよ」
咲「お兄さんもしかして、元々歌とか好きな方?」
みのり「うん、アイドルの曲はよく聞いてたよ」
咲「うーんじゃあ、その人達に影響されちゃってるのかも!」
咲「いっかい全部忘れて、自分だけの歌だ~って思いながらやってみて♪」
咲「きっとお兄さんだけの、素敵な歌とダンスになると思うなあ」
みのり「俺だけの歌とダンス…?」
咲「見本見せるから目、逸らさないで。あたしの事ちゃんと見ててねっ♪」
みのり(…! 同じ曲だけど、俺のとは全然違う…凄い可愛いな…男だけど)
みのり(この子だけの歌、ダンスなんだ…)
みのり(俺にもそう言うの、あるのかな)
P「…お、やってるやってる!お疲れみんな。アイスとポカリ買って来た」
P「水嶋さん、都築くん、硲さんありがとうございます。お世話になります。Beitのプロデューサーです」
咲「咲でいいよ。ありがとう、生き返るぅ♪」
圭「こちらこそ、彼と一緒に居たら素敵なフレーズが思いついたよ。ありがとう」
道夫「問題ない、私が指導をするからには彼は成長しているに違いない」
P(良かった、問題なくやれてるみたいだ。…鷹城くんはどうだろう。何か引っかかってたみたいだけど)
P「鷹城くん、調子どう?」
恭二「どうもなにも…あの人、教える立場なのにいつの間にか前に出て来て困ってる」
P「ああそうかあ。まあ、そうだよなあ」
P(そう言う人を選んだんだし)
恭二「これレッスンになるのか?」
P「なるよ、絶対!」
恭二(本当かよ…)
道夫「よし、授業再開だ。正直に言うと君には教える事は何もない。基礎はしっかりしている」
恭二「じゃあ何をするんだ?」
道夫「応用編だ。私に喰われないように1曲やりきってみろ」
恭二「…はあ、」
道夫「釈然としないか。だがやってみればその意味が分かる」
道夫「――その、難しさもな」
エムマスって何だそりゃって思ったらホモマスの事か……
エムマスがホモマスならモバマスはレズマスになると思うんですけど
恭二「―…!」
道夫「どうした、後方に回って勝てるのか?」
恭二(確かに、この人は俺より上手い。何やっても先を越される…正直、大人げない)
恭二(でもそれを技術でカバーして、良いパフォーマンスになってる…って所か)
恭二(それを喰われずにやりきる…?)
恭二("もっと積極的になっても良いかも"か…)
恭二(…なるほど、プロデューサーが言ってたのはこう言う事か)
恭二(出来ない事をする時どうする?どうやってきた?)
恭二(逃げないでやり切る――やってみるか…)
恭二「プロデューサー、あんた意外と…」
道夫「何か言ったか?気を抜いている暇はないぞ」
恭二「いや、お陰で目が覚めた。やってやる、これからだ!」
道夫「良い顔をしているな。早く本気を出すと良い」
P「ありがとうございました。3人くたくたですけど…良い刺激になりました!もし良かったらまたお願いします」
P「あ、あとこれお土産です。ユニット皆で食べて下さい」
咲「やったあ!お土産嬉しい☆…あれ、ここのケーキ、美味しいって評判の所でしょ?ありがとう、皆で頂くね♪」
圭「ありがとうございます。…落とさないようにしないと」
道夫「あまり甘いものは食べないが…これを機に頂いてみるとするか」
P「じゃあプロデューサーさんにもよろしくお願いします。ありがとうございました!」
P「…皆大丈夫?疲れた?」
みのり「昨日以上、だね……午後は動きたくないかも…」
ピエール「お腹空いた…プロデューサー、ごはん…」
P「昼飯食べないでそのままやってたのか?」
ピエール「圭、スイッチ入れる、止められない…」
P「ああ…」
P「鷹城くんはどうだった?何か改善点見付かった?」
恭二「よく分からない。けど…」
恭二「少し分かったかもしれない。自分がどうなりたいのか」
P「…そっか。良かった」
P「さあ、皆午後はゆっくり休もう!」
P「あとストリートライブの仕事、正式に決まったから」
みのり「本当かい?」
P「他の315プロのアイドルも来るみたいだ」
P「一歩踏み出すには大きなチャンスだ。一緒に頑張ろう!」
ピエール「やった、ボク頑張る…笑顔になるアイドル、目指す……zzz」
P「ピエールはよく寝るなあ」
みのり「寝る子は育つって事かな?」
恭二「…楽しみだな」
みのり「…ふふ、そうだね」
数日後 事務室
P(Beitのプロデューサーになって数日経った)
P(今日はストリートライブに向けて衣装合わせだけど…)
ピエール「プロデューサーさん、どうしてもカエル、駄目?」
P「カエルでステージに立つのはなあ…人間じゃないとバランス取れないよ」
ピエール「カエル、歌って踊れたら、すごい!」
P「アイドル的にはちょっと違う気がすると言いますか…」
みのり「プロデューサー、着てみたけど…どうかな。この衣装…俺が着てもおかしくない?」
P「! とっても良いです!」
ピエール「みのり、かっこいい!」
P(みのりさんってこう言う王子っぽい服似合うんだ…ピエールは似合うだろうけど)
恭二「プロデューサー、着たぞ」
P「お、おお…おおお……?!」
ピエール「おおお……」
恭二「なんだよ二人して、どっかおかしいか?」
P「いや…似合うなあと思って…ええ…鷹城くんのオッドアイ映えるなあ…」
恭二「そんなに驚く事でもないだろ」
P(ごめん、だってフリーターのイメージが抜けなくて…)
恭二「肩のここ、モップみたいだな。コンビニの用具入れにあった…」
P「折角フリーターのイメージ払拭したと思ったらこれだよ!」
P「さ、あとはピエールだけだ。一回だけで良いから着てみない?」
ピエール「カエルじゃアイドル、無理?」
P「うーん、そうじゃないけど…もしかしたらこれからピエールのファンになってくれる女の子達はさ…」
P「素顔のピエールの方が好きかもしれない」
P「ピエール自身の笑顔が見たいかもしれないだろ?一回着てみなよ。きっと似合うから」
ピエール「……ウン、分かった」
P「きっと素敵な王子様になるよ」
ピエール「おうじ、さま…」
P「ピエール、着た?」
ピエール「着た!いまいく!」
ピエール「ボク、王子様…なれてる?」
みのり「…似合うよ、すごく。ほら、鏡見て」
恭二「似合うヤツが着るとこうなるんだな」
ピエール「わあ、これ…すごい!魔法みたい!」
P「ほら、これできっと女の子が放っとかないぞ!」
ピエール「プロデューサーさん、ありがとう。ボク、嬉しい…だけど」
ピエール「このカエルなら邪魔にならない。一緒にいても良い?」ススッ
P(ピエールがいつも持ってるカエルのぬいぐるみか…大事にしてるみたいだし、それくらいなら良いかな)
P「良いよ。無くさないようにね」
ピエール「やった!ありがとう。ボク、カエル脱ぐ。ボク自身で、みんな、幸せにする」
みのり「まさかこの歳で王子様になるとはなあ…」
P「似合ってますよ、凄く」
みのり「曲を貰って懐かしいアイドルみたいだと思ったら、本当にこうなるとは…」
P「やっぱりアイドルなら正当派ですよ。それに3人にはそう言うの、似合うと思ったんです」
みのり「確かに、ピエールの元気で可愛いルックス、恭二のクールな顔立ち…」
P「それに、みのりさんの優しくて繊細そうな雰囲気。属性見事に分かれてていいと思います」
P「女の子は誰でもシンデレラ、なんて言いますけど…それなら男は誰でも王子様かなあって」
みのり「……ははっ。言うね、プロデューサーも」
P「あっ僕変な事言いましたよね!なんかすいません…」
みのり「ああ、そうじゃなくて…プロデューサー、良い事言うね」
P「もう良いですよ…恥ずかしい」
みのり「じゃあ本番、この衣装で全員行かせてもらうよ。勝負服だ」
P「分かりました。サイズも合ってるみたいで良かったです」
P「さて、衣装脱いだら今日は上がっていいよ。明日は下北沢行くから遅れないように!」
ピエール「プロデューサーさん、オヤスミ!」バタン
P「おやすみ、夜更かしはしないようにー」
P(…ピエールが出て行く時必ずSPみたいな人が迎えに来るけど…あれってピエールのSP…だよね?)
P("何かしら"理由がある…か…いやいや)
みのり「じゃあ今日はこれで。明日は花でも持って来るよ」
P「ありがとうございます。お疲れさまです、気を付けて」
P「あれ?鷹城くんまだ居る…何か忘れ物?」
恭二「いや、そうじゃなくて…相談しようと思って」
恭二「髪の毛、染めても良いか?黒にしたい」
P「へ?勿論良いけど…」
恭二「一応見た目の事だしな。それにあの衣装に似合ってるかどうかも聞きたい」
P「うーん…確かに鷹城くんは見た目クールだから…黒の方がスマートに見えるかも」
恭二「そっか、ありがとう」
P「……鷹城くんって、ものを客観的に見るし頭良いよなあ」
恭二「そうでも無い。親の期待にさえ応えられなかったくらいだし」
P「そうなんだ?」
恭二「それで家飛び出して、今度はアイドルだよ」
恭二「自分の道は自分で決めるとか言っておきながら、結局逃げてるだけかもしれない」
恭二「ピエールに言われなかったらあのまま、何もしてなかっただろうしな」
P「でもアイドルは、自分で選んだんだろ?」
恭二「え?…まあ、そうなるかな」
P「じゃあ逃げてる訳じゃないよ。新しい境遇に飛び込んでる訳だし」
P「ピエールがくれたのはきっかけだけど、それを選んだのは鷹城くんだよ」
P「逃げるって言うのはもっとこう…汚いもんだと思う」
恭二「…そう言うもんか」
恭二「俺は、逃げないでやれてるか?」
P「今の所はまっすぐにアイドル目指してる、普通のイケメンだよ」
P「でも、出会った時より良い顔してる…と僕は思ってるよ」
恭二「…そうだと嬉しい」
恭二「…どんなアイドルになりたいか決まったから報告しておく」
恭二「俺は、逃げないアイドルになりたい。自分を求めてくれる人から逃げないアイドルになりたい…と思う」
P「…うん、分かった」
恭二「人に頼らないで生きて行くつもりだったけど、結局あんたを頼らないと無理そうだな」
P「折角のプロデューサーなんだから、僕の事どんどん頼ってよ」
恭二「まあ、その内な」
恭二「初日にユニット名決めた時も、そのままで良いって言われた時、内心ほっとしてた」
恭二「そのままで良いなんて今まで言われた事無かったから」
P「へえ、そっか。何か含みのある言い方するね?」
恭二「色々あるんだよ」
恭二「それに、あんた程じゃないさ」
P「どういう事?」
恭二「ここ数日見てたけど、実践でも上手い。本だけ読んだんじゃそうはいかないだろ」
恭二「俺達は全員ワケありだ。みのりやピエールの事は詳しくは知らないけど、何かしらワケあってここに来てる」
恭二「それはあんたも例外じゃなさそうだって事だよ」
P「……そう見える?」
恭二「まあ、いつか言う気になったら教えてくれ」
P「それは鷹城くんもだろ」
恭二「…そうかもしれない」
恭二「じゃあ俺は帰るよ。あんたは…まだ仕事ありそうだな」
P「悪いね、仕事が無かったら夕飯でも奢ってやれたんだけど…」
恭二「その時は3人全員分よろしく」
P「はは、そうする」
恭二「あと…恭二、で良い。俺だけ苗字なの、ずっと気になってた」
P「ごめんごめん、鷹城くんクールな感じがしたから下手に呼ぶと怒るかなって」
恭二「別にそうでもない」
P「うん、最近レッスン見てると、意外とアツい男だなって思うよ」
P「じゃ明日もよろしく。おつかれ、恭二」
恭二「…ああ、明日もよろしく。プロデューサー」バタン
P「……皆"何かしら"ワケありで、ねえ…」
翌日
P「おはようございま…あれ、みのりさんおはようございます。早いですね」ガチャ
みのり「おはようプロデューサー」
P「その花、みのりさんが持って来てくれたんですか?」
みのり「うん、しばらく自分達の好きにして良いみたいだったから。駄目だった?」
P「いやいや、花ってあると良いもんですね!ここ男しか居ないし…」
みのり「はは、プロデューサーも男の子だね」
みのり「花は元気をくれるよ。きっとプロデューサーにも」
P「確かに良い事ありそうだ。今日も一緒に頑張りましょう!」
P(そう言えば、恭二は全員がワケありって言ってたな)
P(恭二は少し話してくれたけど、ピエールにも何かあるんだろう。本人は留学で来たって言ってるけど迎えに来るのいつもSPだし…)
P(……ああやって優しそうに笑ってるみのりさんにも、多分――)
P「…仕事のメール、無し」カタカタ
P「うまくいかないなあ…」
みのり「まあ、まだ始まってもないと思えば」
P「そうだと良いんですけど…あっでも!絶対ストリートライブだけで仕事終わらせたりしませんから!」
みのり「期待して待ってるよ?」
ピエール「みんな、おはよう!」ガチャ
恭二「おはざす」
みのり「おはよう二人とも。あれ、恭二髪の毛染めたんだ」
恭二「こっちの方が多分良いと思った。けど、ちょっと落ち着かないっスね」
P「おはようピエール、恭二。髪の色良いんじゃない?似合ってるよ」
ピエール「…?」
P「どうかしたピエール?」
ピエール「プロデューサーさん、恭二の事、名前で呼ぶ?」
P「ああ、まあ昨日いろいろあって」
ピエール「いろいろ?」
恭二「そう、色々」
ピエール「二人とも、隠し事する!やだ!」
P「そう言うんじゃないって」
P「本番明後日だし、今日はストリートライブの会場下見に行くって話だったけど」
P「この社用車冷房効かないな……」
P(あとで山村さんに文句言っておこう)
ピエール「プロデューサーさん…あつい……」
恭二「何でこの時期に外に置きっぱなしなんだよ。暑いに決まってるだろ」
P「地下の駐車場無いんだようちの事務所」
みのり「ごめん、窓開けるね」
P「後ろの二人も窓開けて良いよ。あーでも、絶対顔出すなよ!危ないから!」
ピエール「はーい!風、気持ち良いー」
恭二「生き返るな…」
P「少しの辛抱だからそれで我慢しといて」
P(ラジオでも付けるか…)ピピッ
P(あ、この曲知ってる。懐かしいな…)
P「~♪」
ピエール「プロデューサーさん、歌ってる!すっごく上手」
P「え~?3人に比べたら素人レベルだよ」
恭二「……」
P「ピエールも一緒に歌う?」
ピエール「ウン!」
みのり(恭二、プロデューサーの事をずっと見てる)
みのり(…昨日何かあったのかな?)
P「ほい、着いた。コインパーキング停めて来るからちょっと待ってて」
恭二「ピエール、ドア気をつけろよ」
ピエール「んしょ…だいじょうぶ!」ガチャ
みのり「場所はここから歩いて5分くらいみたいだね。駅の近くかな?」
P「下北沢ってごみごみしてるけど、本当に外でライブ出来るくらいのスペースあるのかな」
恭二「これで公園の野ざらしとかだったら笑えるな」
P「例え公園でもちゃんとやってくれよ?!」ブロロ……
恭二「大丈夫、分かってる」
みのり「…恭二、昨日やっぱりプロデューサーと何かあっただろ?」
恭二「そんな気になる事っスかね」
みのり「車の中で、熱心に見てるなあと思って」
ピエール「恭二やっぱり隠し事してる?プロデューサーさん、独り占めする?」
恭二「悪いけどそう言うのじゃない。けど」
恭二「……プロデューサー、歌上手かったよな」
ピエール「プロデューサーさん、歌とっても上手!」
みのり「ああ、確かに」
恭二「多分あの人、何か持ってる」
恭二「ワケありだよ、俺達と一緒だ」
ピエール「!」
みのり「…プロデューサーが?」
恭二「まだ確信ではないけどな。新卒で特に資格もないのにあの人のなんかこう、慣れてる感じ、普通じゃ…」
P「ごめんごめんおまたせ!いやあ、駐車苦手でさ」
恭二「!」
P「ん?どうかした?」
ピエール「今、恭二がもごもが」
恭二(おいばか、確信じゃないって言ってるだろ!)ググッ
ピエール「恭二、いたい~!」
みのり「ううん、何でも無いよ。恭二がプロデューサーと仲良くなったなあって思って」
P「うん、恭二が俺だけ苗字なのは寂しいとか言うから」
恭二「寂しいとは言ってないだろ」
P「着いた…けど、」
恭二「…本当に駅前だな」
ピエール「でもステージ、ちゃんと出来てる」
みのり「これが俺達の初ステージか…悪くないんじゃない?」
P「あ、多分あの人関係者の人だ。挨拶して来よう」
ピエール「挨拶?!緊張する…」
P「背筋正してよろしくお願いしますだけで大丈夫だから」
P「すいません、ストリートライブのステージの下見に来た315プロのBeitです。本日、それと本番はよろしくお願いします」
「ああどうも、そちらが315プロの…」
みのり「はい、Beitの渡辺みのりと言います。お世話になります」ペコ
P(おお、流石最年長。さらっと対応出来る…のと、笑顔が爽やか)
恭二「鷹城恭二です。よろしくお願いします」ペコ
ピエール「ボク、ピエール。初めまして、よろしくお願いします!」ペコ
「アイドルの皆さんもよろしくお願いしますね。多分誰も来ないんで、曲流したりしなければ好きに動いてて良いですよ」
「ネタバレは無しの方向で!俺も楽しみにしてるんで」
P「あはは、分かりました。それじゃ少しお借りしますね」
P「よっしゃ、ステージ上がっていいよーどんな感じ?」
恭二「結構床が揺れてる」グラ…
P「即席っぽいしなあ。高校の学園祭のステージみたいな…」
みのり「転けないようにしないと…ピエールも大丈夫?」
ピエール「うん…でも、意外と広い」
恭二「そうだな、見てる分には小さいと思ってたけど…」
みのり「立ってみると大きいんだね」
P「緊張してきた?」
ピエール「ちょっとだけ、でも大丈夫!」
P「その意気だ!じゃあ一番激しいステップの所やって、床の揺れる感覚掴んでみよう」
P「カウント数えるからサビからやってみて」
恭二「了解」
P「いくぞ。イチ、ニ、サン」
ピエール「ま、まってまって!揺れる!いつもと違う!」
P「頑張れピエール、あせらなくて良いからー。イチ、ニ、サン、シ…」
P「どう?揺れる床の調子は」
みのり「降りてもふわふわしてる感じがするよ」
恭二「でもこれで想定は出来るし、多分なんとかなる」
ピエール「あとは練習れんしゅう!」
P「そうそう、練習は大事だ。帰ったらレッスンだな。最初一回通してやってみようか」
みのり「最初の一回って難しいよね」
P「でも本番は一回しかないから、確実に一回で決められるように詰めて行きましょう」
P「あ、確認終わりました!ありがとうございました。本番も頑張ります!」
「いえいえそんなかしこまらないで。それにこっちも好きでやってる事だから」
みのり「そうなんですか?」
「下北沢の町おこしみたいなもんです。そう言うのあったら楽しいでしょ?世間は夏休みだし」
P「そうですね。少しでも盛り上げるお手伝いが出来たら嬉しいです」
「それじゃあ本番もよろしくお願いします」
P「はい!」
P「僕に言われたくないだろうけど、若い人だったなあ…何かバンドマン的な感じだったし」
みのり「下北沢って音楽が溢れてるから。きっと主催の人もそう言う人なのかもしれないね」
恭二「それにしても、世間は夏休みか。しばらく夏休みってのを味わってないな…」
P「ピエールは今学校夏休み?」
ピエール「…うん、そんな感じ!」
P「そっかあ、去年までは僕にもあったんだよなあ」
恭二「大学生の夏休みって長いって本当なのか?」
P「うん、大学によっては下手すると9月下旬まで休みだよ」
恭二「秋も休んでるだろそれ」
P「そういうもんなんだって」
P「それにしても帰りもどうせ暑いし…アイスでも買ってくか」
ピエール「やったー!ボク、ハーゲンダッツ!」
P「150円のとかにして…」
コンビニ
みのり「ピエール、150円のまで」
ピエール「…はあい」
恭二「これでよろしく」
P「…見事に150円ギリギリのやつ選んで来たなあ」
ピエール「ボク、これにする」
P「よし、150円以内だな。ピエール偉い!」
ピエール「えへへ」
恭二「俺も150円以内だろ」
P「恭二はそれなりに大人なんだからこう、大人に気をつかって欲しいと言うか…」
P「今月ピンチなんだよ。うちの事務所月末に給料出るからまだなんだって」
恭二「次から考えておく」
P「くそお……みのりさんは何にします?」
みのり「え、俺?良いよ、プロデューサー年下なのに」
P「担当のアイドルが頑張ったんだからアイスくらい買わせて下さいよ」
みのり「そっか…じゃあお言葉に甘えて。これお願い」
P「…あずきバー」
みのり「へ?何か変だった?」
P「お袋がそれ好きだったなあと思って」
みのり「悪いけどまだそこまで歳じゃないよ?」
「648円になりまぁす」
P「じゃあ1000と48円からお願いします」
「はあい」ピピッ
恭二(……)
「400円のおつりになりまぁす。ありがとうございました」
ウィーン
P「どうした恭二?ぼーっとして」
恭二「…いや、つい最近まではコンビニで働いてる側だったなあ、と思ってさ」
P「恭二はコンビニでバイトしてたんだっけ」
恭二「何か途端に、別の世界になっちまったな」
ピエール「恭二、アイドルいや?」
恭二「嫌じゃない。明後日のライブも楽しみだ」
恭二「もうすぐ始まるんだよな。俺たち、アイドルとして」
みのり「少し緊張しちゃうね」
ピエール「みのり、大丈夫!ボクいる、恭二もいる。プロデューサーさんも!」
みのり「ありがとうピエール、俺頑張るよ」
P「…さ、アイス食べながら帰ろう。事務所戻ったらレッスンするぞ!」
レッスンスタジオ
P「…うーん、ぱっと見まだ通すとちょっと弱くなってる」
P「前半は80%くらいで合わせて行って、最後のサビに全部持って行く感じで…」
恭二「分かった」
ピエール「……プロデューサーさん」
P「ん?どうしたピエール、分からない所とかある?」
ピエール「ううん…ちがう」
ピエール「ボク、センター…自信ない」
ピエール「ボク、みのりと恭二よりダンスも歌も、上手くない。圭に言われた足りないものだって、まだ上手くいってない」
ピエール「なのに真ん中で歌って、踊うの…怖い」
P「ピエール……」
P「なんだ、そんな事かあ」
ピエール「!! プロデューサーさん、ひどい!」
P「あっちがう、そう言う意味じゃないよ」
P「ピエールは確実に上手くなってる。勿論、恭二とみのりさんも」
ピエール「でも、自分では、よくわからない…」
P「ゴホン。まあまあピエールくん、僕のスマホを見たまえ。折角だから恭二とみのりさんも」
恭二「あんた、勝手に撮影してたのか?」
P「こうやってやると客観的に見られて良いんだよ。…って本に書いてあった」
P「ちなみにこれは事務所の人達にレッスンしてもらってすぐくらいのやつ」
みのり「…自分の歌声を映像として聴くと恥ずかしいよね」
P「これからアイドルになったら自分の声なんて沢山流れますよ」
恭二「それにしてもダンスバラバラだな」
P「まあまあちょっと待ってなって。…んでこれが、さっき撮ったやつ」
ピエール「あ……さっきより、うまい…ダンスも、歌も」
P「だろ?」
P「ここ10日くらいで3人は劇的に上手くなってる。僕が保証する」
P「勿論アイドルとしてデビューする以上ちゃんとやりきって欲しい」
P「でも何より3人には楽しんで欲しいよ」
P「初めてのライブって、1回しか無い大事なものだから」
P「どうピエール、出来そう?」
ピエール「…うん。ボク、やってみる」
ピエール「恭二、みのり。ボクの事、支えてくれる?」
恭二「当たり前だろ」
みのり「ピエール、自信持って。ピエールは今、王子様なんだから」
ピエール「…けろけろ!ボク、カエルの王子様!」
ピエール「もう一回、最初からやる!」
P「うん、勿論何回でも見てやる!二人は大丈夫?」
みのり「全然大丈夫だよ」
恭二「倒れるまでやってやるよ」
P「倒れない程度に頼むよ。じゃあ最初のポジションついて――…」
P(…通しは凄くよくなった、ピエールも自信持って楽しくやってる)
P(恭二はバランスを見ながら自分でアピールするようになった)
P(みのりさんは表現が豊かになった。自分だけの歌い方って言うのが分かったみたいだ)
P「アイドル3人は早めに帰した。社用車にガソリン入ってた…うん、大丈夫」
山村「緊張してるんですか?」
P「!! …山村さんかあ。驚かさないで下さいよ」
山村「驚かせてませんよ。いよいよですね」
P「はい。僕も少し緊張してます」
山村「大丈夫ですよBeitの子達なら。楽しそうでしたし」
P「…アイドルっていうのは夢を売る仕事だから、本人達も楽しくないと」
P「夢を持たないものに、夢を与える事は出来ません」
山村「そういうものですかね?」
P「僕は、そう思っています。何かクサいかな…」
山村「良いと思いますよ誰も聞いてないですし。あ、そうだ、頼まれてたもの印刷出来ましたよ」
P「ありがとうございます!」
山村「何ですかこれ、フライヤー?」
P「はい。315プロのHP、Beitのプロフィールと仕事用のPCのメールアドレスが書いてあります」
P「配っておけば少しでもアクセスしてくれる人増えるかな~…なんて」
山村「へえ、意外とマメですねえ」
山村「Pさんって新卒でプロデュース職なんてやった事ないのに結構慣れてますよね。指導とか」
P「そんな、ただの受け売りですよ」
P「じゃ、今日は失礼します」
山村「本番に備えてしっかり寝て下さいね!お疲れさまでした」
追い付いた
支援
支援支援
…
………
……………
「お前がどんな風になりたいのか、俺には分からないよ」
「それは…」
「お前はいつもそうだ、技術があってもその先がない。その場しのぎをしてるだけだ」
「夢がないやつに、夢を与える資格なんてない」
ppppp…… チュン… チュンチュン
P「…朝か」
P(変な夢見たなあ…久しぶりだ)
P「何も今日見なくたって良いのに」
P「…大丈夫、Beitは。あの3人は―…」
P「よし、行ってきます」
P「おはようございます。みのりさん、今日も早いですね」
みのり「ああ、プロデューサーおはよう。…実はね、緊張して早起きしちゃったんだ」
みのり「だから花、摘んで来た。今日咲いたばかりの花だよ」
P「…ちゃんと3本…あれ、4本ある」
みのり「プロデューサーの分だよ。この花みたいに、ちゃんと咲けたら良いね」
P「今まで練習してきたんですから大丈夫ですよ」
ピエール「おはようございます!!」ガチャ
P「ん、ピエールおはよう。元気いっぱいだなあ」
ピエール「でも今、少し緊張……してる」
P「まだ緊張しなくて良いよ。肩の力抜いて、発声練習の時の腹使って呼吸するヤツやってみて」
ピエール「すうーーー…はーーー…すうーーー…」
P「それやると、ちょっと落ち着くよ」
ピエール「本当だ、ちょっと、落ち着いた…」
恭二「おはざす」ガチャ
P「おはよう恭二。準備はばっちりって感じ?」
恭二「大丈夫だ。あんたも居るしやってみせる」
P「期待してるよ」
P「…じゃ、行こうか!Beitの初めてのステージへ」
下北沢
みのり「そうか、駅周辺で夏祭りしてるんだ。その一貫でストリートライブ…」
恭二「なるほどな…案外人多いな。ピエール大丈夫か?」
ピエール「だ、ダイジョブ」プルプル
P(大丈夫じゃなさそうだ…)
みのり「ピエール、いつものお友達も居るんだ。大丈夫だよ」
みのり「ほら、けろけろ」
ピエール「…えへへ、け~ろけろ!みのり、ありがと」
P「衣装はそこのスーパーの職員用の部屋借りてるらしいから、そこで着替えて」
恭二「地味だな…」
みのり「良いじゃない。他の人もそうなんだし、スーパーから王子様が出て来るなんて面白いよ」
恭二「そう言う問題か?」
P「じゃあこれそれぞれ衣装ね。ここで待ってるから」
ピエール「恭二、みのり!競争しよ!」
恭二「おい怪我すんなよ」
P(今日暑いから…飲み物でも買っておくか)
みのり「あ、この部屋かな…ステージ更衣室って書いてある」ガチャ
恭二「…結構汚いな」
ピエール「片付ける方、先?」
ガチャ
「あれ、先客?」
みのり「あれ、君って…」
「ん?んん??…あっオレ3人の事見た事ある!3人とも、もしかしなくても315プロのアイドルじゃないっすか?!」
恭二「ああ、まあ…もしかしてプロデューサーが言ってた315プロの別のアイドルって…」
四季「それオレっす!オレ、伊瀬谷四季!」
恭二「じゃあちょっとあんたもこれ片付けるの手伝ってくれ。衣装汚す訳にもいかないしな」
四季「ええー?!出会って5秒で即コキ使われるんすかオレ?!こうなったらメガMAXハイスピードで片付けるっす!」
ピエール「メガMAX…?」
みのり「ピエール、覚えなくて良い日本語だよ」
四季「…うっし!オレが頑張ったからマジ綺麗になったっしょ!」
みのり「恭二もピエールもお疲れさま。伊瀬谷くんもありがとう」
四季「この調子で今日のMVP貰うっすよ!」
恭二「そんなのがあるのか?」
四季「あれっ知らないっすか?今日のステージ、審査員が居て一番だとMVPで表彰されるらしいっすよ!」
ピエール「プロデューサーさん、それ、一言もいってない…」
みのり(…もしかしてプロデューサー、俺たちにわざと教えなかったのかもしれないね。ピエール緊張してたし。俺も…)コソ
恭二(でもバレたら意味ないだろ)コソコソ
四季「ま、ノッてるオレにかかればMVPなんて余裕っすよ。それにバンドの皆と約束したっす。絶対一番獲るって」
恭二「あんたはソロのアイドルじゃないのか?」
四季「いつもはバンドっすよ!これが音がちょー!かっこよくって!」
四季「オレはボーカルなんすけど皆より経験少ないから、歌って一番獲ってこいって言われたっす」
みのり「結構スパルタだね…」
四季「オレ、皆に早く認められたい…だから!同じ315プロでも負ける訳には行かないっす」
四季「正直負ける気がしないっす。今日、ノリにノッてるんで!」
ピエール「…!」ムッ
ピエール「…ボクたち、一生懸命練習、した」
ピエール「だから、勝ち負けはわからない。でも、ボクも、負ける気しない」
みのり「ちょっとピエール…」
四季「…いいっすよ!絶対勝ってバンドの皆に褒めてもらうっすから!正々堂々勝負して勝ってやる!」バタン!
みのり「…行っちゃった」
恭二「騒がしいヤツだな」
みのり「でもピエール…急にあんな事言ってどうかした?」
ピエール「わからない…でも、ボクたち一生懸命やってきた」
ピエール「だから、負ける気しないって言われるの、悔しかった」
恭二「それ以上は、ステージの上で見せてやろうぜ」
みのり「そうだよ。それにプロデューサーが大事にして欲しいって言ってたのは、楽しむ気持ちだ」
恭二「見てくれる人皆を、笑顔にしたいんだろ」
ピエール「笑いで世界平和…そう、楽しむ気持ち、笑顔、大事!」
恭二「おい、そろそろ着替え終わらないとまずい」
みのり「わっ、紐がボタンに引っかかった」
恭二「みのりさんって時々どんくさいっスよね…」
ピエール(……本当にありがとう、恭二。みのり……プロデューサーさん。いつも僕に、大事な事を思い出させてくれる)
P「随分遅かったけど大丈夫?何かあった?」
みのり「いや…その、更衣室の部屋が汚くて…」
恭二「あとプロデューサー、あんた今日のステージにMVPがあるの隠してただろ」
ピエール「プロデューサーさん!隠し事、だめっ」
P「ああー…ばれちゃったか。そう言うの抜きにただ楽しんでほしくて。それであがっちゃうのも嫌だし」
恭二「今更だろ。俺たちは出来る事をする。それだけだよ」
ピエール「あと、みんなのこと、笑顔にする!」
みのり「それに同じ315プロの子にも、ちゃんと俺たちの実力を見せたいよね」
P「ん?もう会ったんだ?」
恭二「さっき更衣室でな。騒がしいヤツだった」
ピエール「負ける気しないって言われた!」
P「結構好戦的な子なのかな…?」
みのり「バンドのメンバーとの約束みたいだよ」
P「なるほどなあ…確かあの子高校生バンドの子って言ってたっけ。ああそうだ、これ、今日の順番。Beitはラストみたい。時間は午後3時から」
恭二「よりにもよってトリかよ。俺たちの前は…伊瀬谷四季。…これ誰か仕組んでるのか?」
P「たまたまだよ!」
P「って言う事で時間はあるから、ゆっくりしよう。昼飯でも食べてさ」
ピエール「ボク、コナモノ!コナモノたべたい!!」
P「良いけど…絶対服汚さないって約束出来る?」
ピエール「大丈夫、ボク、綺麗に食べる」
P「じゃあ買って来るか…多分その辺の出店にあるから……一緒に行く?」
ピエール「行きたい!!」
恭二「二手に分かれてはぐれても困るしな。行くよ」
みのり「そうだね、お祭りも随分行ってないし」
P「じゃあBeitご一行、粉もの屋さんに出発しまーす」
ピエール「しまーす!」
みのり「……」
「凄い格好だね」 ガヤガヤ ヒソヒソ
「ステージの人かな?」「ちょっとイケメンかも…」ヒソヒソ
恭二「……」
みのり(…この格好で歩き回るのって結構恥ずかしい…)
恭二(凄い見られてる気がする…)
ピエール「!……♪」ヒラヒラ
「わーこっち手振った!」
「お人形さんみたい!かわいいー!」
P「ピエールは凄いなあ」
ピエール「? ボク、なにもしてない」
P「目が合った女の子に手振ってただろ?女の子、嬉しそうだったぞ」
ピエール「本当?!」
P「それに、恭二とみのりさんはそう言う事得意じゃないみたいだし」
P「それって二人が持ってない、ピエールが得意な事なんじゃないかな」
ピエール「そっか…ボク、恭二とみのりに追いつこうって思ってた…けど」
ピエール「ボクにだけ出来る事、ある!」
P「恭二とみのりさんもピエールを見習って、手振ってこれからステージ観に来て下さいね、くらい言えるようになろう」
恭二「それハードル高いだろ」
みのり「い、いきなりはちょっと」
ピエール「ボクたち、これからステージでパフォーマンスする!午後3時、皆観に来て!」ブンブン
「きゃーかわいい、なにあれー」
「ステージってあっちの音鳴ってる方?」 ザワザワ
P「ほら、やっぱりピエールはすごい」
みのり「あはは…頑張ってみるよ」
恭二「徐々にな、徐々に」
P「たこやき2つおねがいします」
みのり「俺お好み焼き買って来るよ。ふたつで良い?」
P「すいません、おねがいします。袋で貰って服にソースつかないようにしてください」
「お?おたく等これからステージに出る人?」
P「はい、この3人が。今日がデビューライブです」
ピエール「これからやる!おじさん見に来る?」
「デビューライブとはめでてぇなあ!悪いな金髪坊主、おっちゃんここ仕切らないといけねえからよ。見に行けないけど応援してっからな」
ピエール「応援嬉しい!」
「おまけだ。ひとつ分の金で良いよ。その代わり成功させろ、あとここの宣伝も頼むわ」
P「ありがとうございます!」
みのり「プロデューサー、買って来たよ」
P「ありがとうございます!さ、そこのちょっと開けた所で食べよう」
ピエール「コナモノ♪コナモノ♪」
P(よだれかけとか持って来た方がよかったかな…)
ピエール「ん!おいひい!」
恭二「出来たての屋台のたこ焼きって久々に食った気がする」
みのり「そう言えば食べる機会、すっかりなくなったなあ」
P「僕も久しぶりに食べた気がする。確かに美味しい」
ピエール「へへ、1日前だけど、誕生日のお祝いみたい」
P「…そっか、ピエール明日誕生日だったっけ」
ピエール「これでもし、ライブも成功したら…ボク、一生忘れない誕生日作れる、…と思う」
みのり「そう言われると、張りきらない訳にいかなくなるね」
恭二「ああ。良い誕生日にしてやろうぜ」
P「あっちょっとピエール、口にそんなにべったりソースつけないで!」
みのり「こっち向いて、ティッシュあるから」
ピエール「んぐぐ!みのりもついてる、ソース」
みのり「えっ…本当かい?」
P「ぷっ…」
恭二「…くくっ」
みのり「そんなに笑わないで欲しいんだけど…」
ピエール「みのり、とってあげる」ゴシゴシ
みのり「ありがとうピエール…」
恭二「腹ごしらえもしたし、こんなもんだろ」
みのり「もうすぐ2時半か…そろそろ幕裏行った方が良さそうだね」
P「折角だから伊瀬谷くんのステージも見たいし…そろそろ行くか」
P「おーい、ピエール行くぞー」
ピエール「あ、ボクそろそろ行く!3時からステージ、絶対見て!」
「うん、じゃあねー」「絶対見に行くね」キャッキャ
みのり「はは、もうあんなにお客さんと仲良くなってる」
恭二「凄いコミュ力だな…」
P「二人も見習ってくれよ、ここからステージに行く間くらいは」
ピエール「恭二、みのり!がんばれ!」
みのり「う、うん…」ヒラヒラ
「お兄さんの方も手振った!」「綺麗な人だね」
「これからステージなんですか?」
恭二「えっ…あ、ああ、はい」
恭二「良かったら…見に来て下さい」
「お兄さん達かっこいいから、見に行っちゃおうかな!」
恭二「はは……」
P「なんだ二人とも、出来るじゃん」
恭二「出来れば慣れたくないやつだこれ…」
幕裏
司会「ありがとうございました~次のユニットは……」
みのり「伊瀬谷くん、さっきぶりだね」
四季「…! 来たっすね。負けないっすよ」
ピエール「むむ……」
恭二「ピエール、落ち着け」
P「君が315プロの伊瀬谷くんか。今日はBeitとよろしく」
四季「この3人のプロデューサー…オレはBeitとなれ合うつもりないんで!!」
P「まあ、そう言わずに」
P「気負わずに楽しくやりなよ。君いつもはバンドだから、ソロステージって初めてだろうし」
四季「うう~…プロデューサーとは言えライバルにアドバイスされるとは…ジュンっちとかには言えないっす…」
「今日は一生懸命がんばります!」
「皆さん楽しんでいってください!」
みのり「…あ、俺たちああ言う挨拶、何も考えてないよ」
恭二「何か問題ありますか?」
みのり「うーん、アイドルってこう…渡辺みのりです!世界中に嵐を巻き起こしたいです!…みたいな挨拶するものじゃないかい?」
恭二「……ちょっとよく分からないっスね…」
みのり「あっちょっとやめて、引かないで。嵐だってこれやってたんだから」
P「別にしなくても良いですよ、最近はそう言う口上みたいなのしてる人居ないし」
みのり「そう言うものかい?あはは、ちょっと恥ずかしいしね…」
P「代わりにと言ったらなんですけど、名前と今の正直な気持ちを言って下さい」
恭二「そっちの方が恥ずかしくないか?」
ピエール「自己紹介する?どうしよう…ううーん…」
P「今の気持ち大切にすれば、きっとこれからも大丈夫だよ」
P「順番はみのりさん、恭二、ピエールの順番で良い?」
ピエール「ウン!素敵な挨拶、する!」
P(今朝は緊張してたのになあ…一番肝が据わってるのはピエールなのかも)
四季「よしっ次オレっすね!」
P「伊瀬谷くん、頑張って」
みのり「楽しみにしてるよ」
四季「…うう~!ほえ面かかせてやるっすから!」ダッ
恭二「…行ったな」
ピエール「四季のお手並み、拝見!」
P(ピエールどこで覚えて来たその日本語)
司会「次は芸能事務所315プロダクションから期待の新人、伊瀬谷四季くんです!」
四季「ドーモ!こんにちはーっ!伊瀬谷四季です!」
四季「オレのマジメガMAXイカした歌声、聞き逃さないでくれよーっ!!」
四季「~~♪」
恭二「凄いなアイツ…慣れてる。それに上手い」
P「ううん、緊張してるよあの子」
恭二「そうか?」
P「出て行く時目泳いでたし、手も震えてた。いつもはバンド仲間が居るだろうけど、今日は一人だからかな」
みのり「プロデューサー、よく見てるね」
P「誰だってそうだよ。多分、3人もじゃない?」
みのり「あはは、気付かれちゃったか」
ピエール「…心臓、ドキドキ言ってる」
恭二「はは……俺なんか手震えてる」
P「実は僕も心臓バクバク言って止まらないし、手も震えてるよ」
恭二「あんたでもそうなるのか」
P「ステージには立たないけど…皆の頑張り見て来たし」
P「これでも一応、プロデューサーだから。…なんちゃって」
恭二「大丈夫だ。緊張するけど、ちゃんとやれる」
みのり「それに緊張はしてるけど、それより楽しみなんだ」
ピエール「一回だけ、初めてのステージ。だから、楽しみ!」
P「……3人とも、頼もしいなあ」
P「失敗しても歌詞間違えても良いから、楽しんで来て」
P「楽しい気持ちは人を笑顔にする。夢がある人は、夢を与える事が出来ると思うから」
ピエール「うん!…四季の歌、おわった」
恭二「盛り上がってるな…よし、行って来るか」
みのり「じゃあプロデューサー、そこで見てて。絶対とは言えないけど…上手く行くよきっと」
ピエール「ボク、王子様になってくる!」
P「ああ、いってらっしゃい!」
P「……ここでちゃんと、見てるよ」
四季「あー終わった終わった!どう?Beitのプロデューサーちゃん!オレのメガMAXイカした歌は!サイコーっしょ?」
P「……」
四季「あれ?おーい?」
P「……」
四季(……そっか、自分のアイドル、か)
みのり「初めまして。Beitの渡辺みのりです」
みのり「俺達は、315プロに所属するアイドルです。今日、これが初めてのステージです」
みのり「…ちょっと、緊張してます」 クスクス…
みのり「でも楽しんでやろうと思います。よろしくお願いします!」
恭二「…えっと、鷹城恭二です。自分がアイドルになるなんて思ってなかったけど…」
恭二「精いっぱいやります。俺たちの事、見てて下さい」
ピエール「ボク、ピエール!」
ピエール「ボクたち、みんなの事、笑顔にする。笑顔の魔法、かけてあげる」
ピエール「笑顔で、皆の事幸せにする!」
ピエール「歌う曲は……きらめきの彼方へ!」
♪きらめきの彼方へ
さぁ涙を拭いて 明日へと出かけよう
抱えすぎた荷物は そこに置いて
そう迷いの中で 君は君になるのさ
つまづいたあの日も 無駄なんかじゃない
P(……皆、良い顔してる)
P(このはじめの一歩がずっとずっと3人のなかで、良い思い出でありますように――)
恭二(何だろう…すごくいい感じだ)
恭二(こういうの、楽しいって言うのか?)
恭二(今の俺が出来る事、やりたい事。……3人で、やりたい事)
恭二(…うん、楽しい)
みのり(今ステージを見てる人に、俺たちはどう見えてるんだろう)
みのり(少しでも、俺がアイドルを見てた時みたいに、見えてるのかな)
みのり(アイドルって、どんな風に見えるんだろう)
みのり(ねえ叔父さんーー俺、少しでもアイドルに近付けてる?)
ピエール(皆、笑ってる)
ピエール(恭二も、みのりも。…ボクも)
ピエール(それに、プロデューサーさんだって…皆笑ってる)
ピエール(ボク、皆の事、笑顔に出来る。出来てる!)
ピエール(嬉しい、楽しい――これが、本当の幸せ!)
風を越えてゆこう 白い地図を広げて
大きな夢を描くように
生命のきらめきを肌で感じるはずさ
新しい自分が今生まれる step to start
ワアアアア…!!
四季「…スゲー…!」
四季「あの3人、すげーいい感じ!ねえ、プロデューサ…」
P「……」
P(終わった…たった5分もないステージなのに…こんなに嬉しい)
P(身体中震えてる。こわいくらいに)
P(ここに居る皆、みんなが3人のステージを見てたんだよ)
P(……本当に、良かった…)
四季(…オレの話、全然聞いてないし。自分のアイドルしか見えてない――当たり前か)
四季「…負けてられないじゃん。オレも」
ピエール「プロデューサーさん!やった!ボクたちやったよ!!」
P「うん、見てたよ。凄く良かった。今までで一番良かった!」
恭二「ちょっと…気持ちよかった」
P「恭二、笑ってたよ」
みのり「アイドルって…やっぱり素敵だね」
P「…はい、3人はそのアイドルに今日、なったんですよ」
P「とても素敵だった。王子様みたいだった!」
四季「ちょっと良いっすか?」
P「あ…伊瀬谷くん……」
四季「……正直に言わせてもらうと…スッゲー良かったっす!サイコーっす!」
四季「でも、今度は負けないっすよ。ちゃんとオレだって、チームで…」
四季「その時はまた、ライバルっすよ」
ピエール「…ウン。四季、凄く上手かった。ボクももっと、上手くなる」
ピエール「皆がもっと、笑顔になれるように!」
四季「…へへっ」
ピエール「えへへ」
恭二「…あそこは仲直りしたみたいだな」
みのり「実際歳も近いみたいだし、良い友達じゃない?」
P「ん、このままMVP発表されるみたいだ」
みのり「見て行こうか。俺たちは前のグループの方見てないし」
恭二「…折角だから、獲れたら良いけどな」
ピエール「ボクたち、一生懸命やった。それだけで満足!」
P(…とは言え、ちょっと期待してる自分が居るけど)
司会「では審査の集計がとれましたので、MVPの発表です」
司会「下北沢夏祭りステージMVPは……Beitの皆さんです!」パチパチ…
みのり「わっ…えっと、呼ばれちゃったね。ど、どうしようか」
恭二「司会の人が手招きしてる、出た方が良さそうだ」
ピエール「ええっボク、準備してない!」
P「大丈夫だから、行っておいで!!」
司会「MVPおめでとうございます。今のお気持ちは?」
みのり「あはは…正直何がなんだか…ただただびっくりと言うか…」
ピエール「でも、すっごく嬉しいー!」
司会「今日がデビューと言う事ですが、これからのスケジュールの予定は?」
P(っあああ…ちゃんと仕事確保出来なかった事が悔やまれる…)
恭二「まだ目処は立ってません、でもフライヤーに記載してある315プロダクションのHPでいつでもチェック出来るので、良かったら貰って下さい」
恭二(…とか言えばひとまず大丈夫だろ、プロデューサー)チラ
P(恭二、ナイスフォロー……)グッ
司会「これからのご活躍を期待しています!それではありがとうございましたー!」
ピエール天使や
恭二好きだから肩のモップネタ拾われて嬉しかった
P「はー、お疲れさま。やっと一段落ついた」
恭二「あれから道行く人に声かけられて、着替えどころじゃなかったぞ」
みのり「まあまあ、良い事だよ」
ピエール「ファンになりました、だって!えへへ!」
P「ふふ、嬉しそうだなあ」
みのり「少しだけ、アイドルらしくなってきたね」
P「もう立派なアイドルですよ。すぐに忙しくなったりはしないだろうけど…」
恭二「その辺はあんたが何とかしてくれ」
P「…はい、がんばります……」
P「あのさ、帰る前にアイス買おうか」
みのり「そう言えば、前下北沢に来た時も同じ事したね」
P「景気も良いしさ。今日はハーゲンダッツも買って良いよ」
恭二「…だってよ。良かったな、ピエール」
ピエール「クッキー入ってるやつ!」
コンビニ
ピエール「アイス♪アイス♪」
P「恭二、みのりさん、ちょっと」グイグイ
恭二「なんだよ?」
P「えっと、明日の事なんだけど……」
みのり「…ああ、そう言う事!」
ピエール「あーっ!内緒話してる!ボクも混ぜて!」
みのり「だ、だめだよピエール。これはえっと、大人のお話だから」
恭二「別に大した事じゃない」
ピエール「むむ……」
P「ピエール、明日は12時に事務所に来てくれる?特に仕事はないけど…ミーティングでもしようか」
ピエール「うん、いくいく!」
P「じゃあアイス買って来るから、外で待ってて」
公式サーの問い合わせ情報によると読みはバイトでいいらしいね
P「会計お願いします」
「あ、えっと…さっきのステージの人達ですよね?貴方は…?」
P「そうです、僕は3人のプロデューサーです」
「見ました。とってもかっこ良かったです」
P「ありがとうございます!本人達に伝えておきます」
「…お会計、1080円になりまぁす♪」
P(こうやって、見てくれて、良かったって言ってくれる人が居る。…素敵な事だよ)
P「じゃあ1080円、丁度で」
P「皆、お待たせ」
恭二「ああ、行こう」スタスタ
P「恭二どうかした?」
みのり「恭二、女の子に声かけられて困ってたんだよ」
P「人とのふれあいって言うのも、今後の課題に入れた方が良さそうだなあ…」
みのり「でも急に声かけられてもどうして良いか分からない気持ち、分かるよ。緊張しちゃうよね」
ピエール「恭二とみのりはそう?嬉しくない?」
みのり「ううん、嬉しいんだけど…どう返して良いか、分からないなって」
ピエール「笑顔!笑顔で返せば、みのりも、その人も嬉しい!」
みのり「……そうだね、流石ピエールだ」
P「そう言えばレジのお姉さん、3人の事応援してるってよ」
事務室
P「お疲れさまでーす」
みのり「ただいま戻りました、と」
恭二「ただいま」
ピエール「ただいまー!」
山村「お帰りなさい。その顔を見ると…どうやら上手く行ったみたいですね!」
P「ばっちりですよ!3人ともやってくれました!」
ピエール「見て、MVP!トロフィーもらった!」
山村「おお…凄いですね。315プロ、期待のルーキーユニット誕生ですかね」
みのり「そうなれたら良いね」
P「させてみせますよ!」
恭二「なんだあんた、えらくやる気だな」
P「そりゃそうだよ、プロデューサーだし」
山村「そうだ、お迎えの人が来てたよピエールくん」
ピエール「まだ皆と、一緒にいたい…」
恭二「明日も会えるんだからそんな事言うなよ…」
P「ピエール!明日12時だから!絶対間違えないように!!」
ピエール「? わかった。皆、おつかれさま!」バタン
>>111
モップ発言見た時に「この人面白いなあ」って思って…
ちょいちょいゲーム内の会話っぽいものとか盛り込んで行きたい
ピエールは信頼度深めて行けば行く程天使感増すからすごい。SRおめでとう!
>>114
問い合わせる勇気がなかったからありがてえありがてえ
あとBeitイベントおめでとう
Beitから初SRがピエールだと思わなくてびっくり
サインがちゃんと日本語な所がえらいぞピエール!ピエルになってるけどえらいぞピエール!
P「…よし、ピエール帰った。恭二、みのりさんこっち来て作戦会議しよう!」
山村「何かするんですか?」
P「そうだ、山村さんも協力して下さい。明日、ピエールの誕生日なんですよ」
みのり「だからささやかだけど、誕生日パーティでもってプロデューサーが」
恭二「誕生日会って言うけど、具体的に何するんだ?」
P「そうだなあ~…カエルのケーキとかあると良いと思ったけど今からお店に言うのは無理だし…皆ケーキ作れたりする?」
恭二「一人暮らしだし、炊事は出来るけどケーキはどうだろうな…」
P「クリームは緑とか頑張らなくていいから。チョコとか普通の美味しそうなやつで」
恭二「…わかった、やってみる」
P「部屋の飾り付けはどうしようか…あとみのりさん、お金出すんで花用意してもらっても良いですか?」
みのり「分かった。俺からも少し出すよ。大事なメンバーの誕生日だからね」
P「恭二は生活費カツカツなんだから無理せずケーキだけ作って。ただし美味しく頼む」
恭二「分かったって」
P「んで山村さんは飲食の買い出しお願いして良いですか?」
山村「良いですけど…今度はおごらないですよ?」
P「いつもバイタルゼリー買ってるじゃないですか」
山村「それとこれとは話が別です」
P「手強いな…でも今日給料日だし!出しますよ、大事なアイドルの誕生日ですから」
みのり「あと部屋もそれらしくなると良いね」
P「それは僕が用意するか…あれですよね?小学校のお楽しみ会で使うやつで良いんですよね?」
恭二「折り紙とか花作る紙があれば良いんじゃないか?」
P「じゃあ明日恭二とみのりさんは10時にここで」
P「恭二、これケーキ代だからよろしく。10時に集合って言うとスーパーで用意するしかないと思うけど…」
P「あ、一通りの調理器具はあるから。材料だけで」
恭二「分かった、任せろ。美味いケーキ作ってやるよ」
P「で、みのりさんのこれは花代で…よろしくお願いします」
みのり「ピエールにぴったりの花、選んで来るよ」
P「じゃ、明日よろしく!くれぐれも遅刻しないように!!それじゃあ今日は本当お疲れさま。明日誕生会終わった後と明後日は休んでいいから」
恭二「ああ、…楽しかったよプロデューサー。おやすみ」
みのり「おやすみプロデューサー。これからも頑張ろう」
P「…うん、おやすみ」 バタン
P「……ああ~…終わったぁ……」
山村「お疲れのようですね」
P「そりゃあだって、アイドルのデビューですよ?緊張しない訳ないじゃないですか!」
P「本当は見てて気が気じゃなかったですよ」
P「でも3人とも…凄く楽しそうで、良い顔してたから…大丈夫だなって思いました」
P「これからも頑張れそうです」
山村「Pさんも、良い顔してますよ」
P「…そうかな」
P「っよし!仕事探そう」カタカタ
P(…あ、何件かメール来てる。ファンからのメールだ。…ふふ、かっこ良かった!だって)
P「…お?下北沢の本屋からだ…握手会?」
山村「どうかされました?」
P「いや、握手会やってみないかって下北沢の本屋から…今日の3人の事、見てくれたのかもしれません」
山村「へえ、どうするんですか?」
P(ピエールはこう言うのが上手いのが分かったけど…恭二とみのりさんは今後そう言うの、課題になってくるよなあ)
P「受けようと思います。恭二とみのりさん、ファンと触れ合うの苦手みたいなんで」
山村「へえ、そうなんですか?」
P「逆にピエールは人と話すの好きみたいなんですけど…文化の違いかな」
P(みのりさん、普通に話す分にはしっかりしてるんだけどなあ…ステージの責任者と話してた時はスラスラ言えてたのに)
P(恭二は根本的に人との触れ合うのに慣れてなさそうだな。いくらクールそうと言っても笑顔ひとつくらいしてもらいたいし…)
P「よし、返信返信…あとライブハウスにもう一回メール出してみるか…何か変われば良いけど」カタカタ
P(これでしつこい!とか言われたら立ち直れないな…)
期待!
こういうのまってた
>>123,124
連投しちゃうくらい待っててくれたのかと期待してもいい?
翌日 午前10時
事務室
恭二「おはよう」ガチャ
P「おはよ…あれ、今日は恭二の方が早い」
恭二「俺は台所に籠る。出来たら言うから」
P「なんだかんだやる気?」
恭二「あとおつりな」
P「ん?ああ、それくらいなら良いのに」
恭二「駄目だ、あんたの稼いだ金だろ」
P「そう言う事なら」チャリン
恭二「じゃあ、そう言う事で」
みのり「おっ…おはようございます…!ギリギリ遅刻せずに済んだ…かな?」
P「おはようございます。みのりさん凄い汗ですけど…」
みのり「あはは…道ばたに花が咲いてて、見惚れてた…ごめんよ」
恭二(みのりさん、時々そう言う所あるよな)
P(みのりさんは何だろう、ちょっと抜けてると言うか…いや、普段は優しいししっかりしてると思うんだけど)
みのり「? 何か言ったかい?」
P「いえ何も」
みのり「花、どこに飾ったら良いかな?」
P「わっ…こんなにいっぱい。ありがとうございます!そうだな、花束にメッセージカード置いて…ケーキと一緒に並べましょう」
みのり「うん。ケーキは…そう言えば恭二が見えないけど」
P「台所でケーキ作ってます」
みのり「ふふ、楽しみだな。じゃあ俺はプロデューサーと会場作りの手伝いをするよ」
P「おねがいします。こう言う作業あんまり得意じゃないんで…」
山村「ただいま戻りました。ふー、暑いですね」ガチャ
P「山村さんお疲れさまです。すいません買い物任せちゃって」
山村「大事なアイドルの誕生日、でしょう?」
P「あはは、まあね」
山村「じゃあ冷蔵庫に入れたら設営手伝いますよ」
P「お願いします。今、恭二はひとりの方が良いみたいだから」
恭二「……で、スポンジを丸く切って…よし」
山村「…熱中してますね」
みのり「こう言うの、久しぶりかもしれないなあ」
P「そうなんですか?花屋さんなんて祝い事で溢れてるイメージですけど」
みのり「他人の祝い事は確かにそうだけど…自分の周りの人を祝う事って、しばらくしてないなって」
P「まあ、大人になるとそうですよね。僕もこの折り紙の輪っか、作るの小学生ぶりですよ」
みのり「…そうだね、大人になると。かあ…」
みのり(……叔父さんは、こう言う時ケーキを買ってくれたっけ)
みのり(いらない、って言ってるのに。あの時の俺、荒れてたしケーキ貰うような雰囲気じゃなかったのに)
みのり(叔父さん…)
P「みのりさん?どうかしました?」
みのり「…っ! い、いや、何でも無いよ。ごめんね手止めたりして」
P「……よし。大分出来たし壁に貼りましょうか!」
みのり「じゃあ俺、こっち持ってるよ」
P(…みのりさんにも、ワケあり、かあ……)
恭二「ケーキ、出来たぞ」
P「うわ、凄い!カエルだ!」
みのり「恭二は器用だなあ…」
恭二「ちゃんと美味しそうだろ。これで文句ないよな?」
P「恭二凄いなお前……あと30分…一応冷蔵庫入れておいて、夏だし生ものだし」
恭二「了解」
山村「部屋も大分華やかになりましたね。こう、家庭的ですけど」
P「大事なのは心ですよ!」
P「…さて、時間あるしメールチェックするか…」
P(そうだ、ファンから来たメール印刷して皆に読めるようにしておこう)
P(……ん?)
ガタガタッ
みのり「?! プロデューサーどうかした?椅子から転げ落ちて…」
恭二「おい、大丈夫かよ」
P「い、いや…大丈夫……あははは」
P「そ、そう、昨日の感想メールで来てるよ。印刷しておくから、あとで3人で読んでごらん」
みのり「本当かい?嬉しいなあ」
恭二「そう言う事ってあるんだな」
P「みんなもう、立派なBeitのファンだよ!」
P「よし、そろそろケーキ出して花飾ろう」
P「そうだ、花束に挟むからピエールにメッセージカード書いて」
みのり「何て書こうかな」
恭二「こういうの慣れないんだよな…」
みのり「はは、俺も」
P「僕の書くスペースも残しておいて」
みのり「はいはい」
P「最初机の下に隠れて、ピエール誕生日おめでとう~でクラッカーバーンだから」
恭二「机の下狭くないか」
みのり「防災訓練を思い出すね…」
P「これもピエールの為だから!ちょっとだけ我慢!」
山村「あの、まだ仕事が…」
P「僕も残ってます!手伝うからそれから頑張ろう!!」
山村(Pさん必死だなあ…)
ガチャ
P(き、きた!)
ピエール「おはようございま―…あれ?」
P「……ピエール、誕生日おめでとう!!」
パン!パンパーン!!
ピエール「?!」
みのり「ふふ、おはようピエール、びっくりしたかな?」
恭二「誕生日、おめでとう」
ピエール「そっか…ボク、今日誕生日……」
P「皆で準備したんだ。ほら、恭二からはケーキ。みのりさんからはお花」
恭二「よく出来てるだろ。ピエール、カエル好きだし」
みのり「半分くらいはPさんが出してくれたんだけどね。おめでとうピエール」
みのり「誕生花って色々あるけど…8月1日の誕生花はガーベラとエキザカム、向日葵って言う説があってね」
みのり「エキザカム、ピエールの目の色に似てるよね。あと向日葵もいつも元気なピエールにそっくりだろ?」
ピエール「…皆、ありがとう…」
ピエール「ボク、すっごく嬉しい!」
P「ガーベラってみのりさんが前にも持って来てくれましたよね」
みのり「うん、俺ガーベラ好きなんだ。花びらが鮮やかだよね」
ピエール「ケーキ美味しそう!早く食べたい!」
P「ちょっと待った!僕からも誕生日プレゼントがあります!!」
恭二「あんたは誕生日会作っただろ」
山村「まさかPさん、僕が誕生日プレゼントだ!みたいな事ですか…?」
P「ちがうちがう!恭二とみのりさんもよく聞いて!勿論ピエールも!」
P「仕事が決まった!それも2本だ!!」
ピエール「…!! やったー!」
山村「えっでも昨日は握手会だけって…」
P「そう、ひとつは下北沢の本屋で握手会。ファンの対応に慣れて欲しいからね」
P「もうひとつはさっき返信が来てて…なんと、ライブハウスでミニライブだ!」
みのり「えっ本当かい?!」
恭二「さっき椅子から落ちてたのはそれだったのか」
P「あはは…OKの返事もらって僕も凄いびっくりしちゃってさ。ずっと言いたくて言いたくてしょうがなかったんだけど…」
P「このタイミングで言えたらかっこいいかなって…」
ピエール「プロデューサーさん、ありがとう!ボク嬉しい!」
ピエール「誕生日も、お仕事も…本当に、本当に嬉しい」グウウウ…
ピエール「!!」グウウ…
みのり「…ふふ、ピエールお腹空いてた?」
ピエール「…えへへ。カエルもお腹ぺこぺこ!けろけ~ろ!」
山村「…さあ、一旦そろそろ食べましょうか」
P「そうしましょう。その前に写真撮っておくか…カメラ…あったあった」
山村「撮りましょうか?」
P「あ、お願いします」
ピエール「プロデューサーさん、早くはやく!」
恭二「ピエールが真ん中で…あんた後ろで良いのか?」
P「プロデューサーだからね」
山村「はーい撮りまーす。はい、チーズ」 パシャ
恭二「ところで握手会って何するんだ?」
P「え?そりゃあ…来てくれた人と握手して、話をするけど?」
恭二「…俺、正直そう言うのは出来る自信がない」
P「予定は1時間だけど、多分そこまで人は来ないから…ひとりに大分時間を割く事になると思う」
みのり「会話続くかなあ」
ピエール「大丈夫!みんな、出来るできる!」
恭二「皆がピエールみたいじゃないんだよ」
P「ピエールは良いとして、これは二人にファンとのふれあいに慣れて欲しいから入れた仕事だから」
P「話の内容はなんでも良いし気楽にやれば良いよ」
恭二「実も蓋もない言い方だな」
みのり「それにしても握手会かあ…ちょっと緊張する」
P「来週末で時間がありますし…フランクな面接みたいなもんだと思って」
恭二「…面接にフランクも何もないよな?」
P「で、ミニライブの方だけど…こっちはキャパが50人くらいの小さいライブハウスで、時間は午後6時から7時の1時間くらい」
P「3人でやる曲3曲くらいと、ソロでやる曲が1曲ずつあるとバランスとれると思うんだけど、どう?」
ピエール「ソロ…ってひとり?ひとりで歌う?」
P「そうそう。ひとりだけでステージに立ってみるのも良いんじゃないかなって」
P「まだBeitはCD出してないし、カバーになっちゃうけどね。それは昨日もか」
恭二「曲は何でも良いのか?」
P「事務所にある音源と映像だと練習もしやすいと思うけど…歌いたい曲があればそれでも良いし。Beitでやる曲は僕が選ぶし、そのまま僕が選んでも良いよ」
恭二「俺のソロはあんたが選んでくれ。その方が多分上手く行く」
ピエール「ボクも!日本の曲、まだよく知らない」
P「上手くいくかは分からないけど…分かった。みのりさんはどうします?」
みのり「どうしようかな。歌ってみたい曲って言うのはいくつかあるけど…」
P「みのりさんはアイドル詳しいですもんね。じゃあ握手会の日までに決めてもらう感じで」
みのり「うん、わかった」
恭二「ケーキ切り分けるぞ」グサッ
ピエール「あっ…カエル……」
みのり「見事にまっぷたつだね…」
P(ピエールの前で思い切り良すぎだよ恭二…)
P「ん、でも味は美味しい。恭二やるなあ」
恭二「まあ、やるからには」
みのり「恭二、すごいね」
ピエール「すごいすごい!」
恭二「…そうでもない」
ピエール(こうやって、誕生日祝ってもらうの…いつぶりだろう)
ピエール(家の中では、争いが絶えなかったから。家族は誕生日なんて祝ってくれなかったな。SPの皆は祝ってくれたけど)
ピエール「…本当に、美味しい。このケーキ」
なんかほっこりした
P「はー騒いだ騒いだ。そろそろお開きにしようか」
みのり「外、もう暗いね。ピエール、お迎えの人は来る?」
ピエール「うん。もうすぐ来る」
ピエール「皆、今日、本当にありがとう。ボク、嬉しい」
ピエール「ボク、日本語まだ得意じゃない。言葉で言い表せない。けど、本当に嬉しい」
ピエール「3人で、プロデューサーさんと4人で…一緒に頑張りたい」
ピエール「ボクと、みんなを笑顔にする方法…探して?」
P「…勿論だよ!」
みのり「ピエールが楽しんでくれて良かった」
ピエール「うっ…うん、たのしっ…かった…!」グス
恭二「おい、泣くなよ」
「ピエール様のお迎えにあがりました」コンコン
みのり「ピエール、迎えの人が来たよ。涙拭いて」
恭二「鼻水も拭いておけよ」
ピエール「うっ…うん!笑顔で、バイバイ!」
P「今日明日はゆっくり休んで。明後日からレッスンと、ミニライブに向けて練習始めるから」
ピエール「はーい!ボク、がんばる!」 バタン
「ピエール様、お疲れさまでした。…おや、お花を頂いたのですか」
ピエール「ああ、誕生日会だって。…久しぶりだよ。誰かに誕生日を祝われたのは」
「…私達からもささやかですが、プレゼントを用意しています」
ピエール「ありがとう」
ピエール「ボク、今日思ったんだ。喜びや笑顔は人と触れ合う事でやって来る」
ピエール「幸せはそれを積み重ねてやってくるんだって」
「ピエール様…」
ピエール「ボク、アイドルをやって良かったって、今、心から思うよ」
「そうでしょう。ピエール様…とても良い顔をしてらっしゃいます」
ピエール「ふふ、ありがとう」
"誕生日おめでとう。1年後もこうして花を贈れたら良いね。今年はアイドルとしても華やぐ1年にしよう みのり"
"おめでとう。ピエールがこの1年明るいと、俺たちも嬉しい 恭二"
"誕生日おめでとう。ピエールはいつも笑顔が似合うから、Beitをこれからも笑顔にしてほしい。け~ろけろ プロデューサー"
ピエール(ボクの夢、皆と叶えられたら良いな)
このスレとBeitイベかわいすぎて睡眠時間を犠牲にすることを決意した
>>137
Beitはほっこりファミリーきらきら王子様ユニットだからね
と、言う訳でピエール誕生日おめでとうございました
知れば知る程天使感が増して、本当に良い子だと思いました
これからも健やかにアイドルとして、恭二やみのりさんと一緒に頑張ってね
サービス再開の7/17から2週間と1日でピエールの誕生日…と思って
7/31と8/1だけ割とリアルタイムめな投下にしてみたよ
あと、楽しく過酷なBeitイベントが始まったけど、
このssは通常営業をなぞるssだからイベント要素はない…
と先に言っておきます。すいません
大体書き終わってるので明日からはサクッと投下するね
>>140
このスレは多分土日で終わるからイベントか睡眠に専念しろ
今回のイベントBeit的な意味で凄い楽しいよね
イッチは走んなくていいの?
このスレで癒されてるからアレだけど
>>143
ご心配アリガト。今はほどほどに走ってるよ。これから頑張る予定
ピエール2枚取りは過酷だと思うわ
数日後 事務室
P「ミニライブのセットリスト決めてみた。この紙皆に回して」
恭二「ああわかった。…みのりさん、紙で手切らないように」
みのり「そんな心配しなくても大丈夫だよ、はいピエール。…痛っ」
ピエール「みのり、大丈夫?」
恭二「みのりさん、あんた逆に天才だな…」
P「みのりさんは消毒しながら聞いて下さい。えっと、全体の流れとしては1曲目は3人で、軽くMCを入れる」
P「それから恭二のソロ、ピエールのソロ、みのりさんのソロ…で、最後2曲は3人で、って感じで」
恭二「最後がこの前のストリートライブと一緒…普通1曲目じゃないのか?」
P「1曲目は新鮮な方が良いかなって」
みのり「1曲目、テンポが早めの曲だね。…ダンス大丈夫かな」
P「とりあえず最初は1曲目の練習ですね…」
恭二(そもそも俺はこの歌、知らないんだけどな…この二人が詳しすぎるだけだよな?)
P「あと恭二とピエールはソロ曲の音源持って来た。ピエールは体力持たないだろうからそんなに踊らなくても良いような曲にしたんだけど…」
P「恭二のはちょっと…イメージから行ってかっこいい系の曲を選びまして…ダンスが…」
P「キツかったら別のに変えるし!映像見てから決めて!」
恭二「良いよ、その曲でやる」
P「そんな、映像見もしないで…」
恭二「その代わり俺のは短めで頼む。多分これ時間結構ギリギリだから、その方が余裕が持てる」
恭二「この時点で52分。みのりさんの曲を入れるともっと余裕がなくなる。本番ではMCトチってもっと時間使うの考えると…」
P「僕が時間に悩まされてるってよく分かったな…」
恭二「暗算すればそれくらいは」
P「恭二のそう言う所凄いと思うよ本当…」
P「みのりさんは自分のソロ、決まりました?」
みのり「ううん、まだちょっと……」
P「ゆっくり考えて下さい。初めてのソロですし、握手会まで時間ありますから!」
ピエール「プロデューサーさん!この曲、良い曲!」
P「本当?この曲声高いけど、ピエールなら出ると思う。良かったら是非歌って欲しいな」
恭二「ダンス2曲か…やってやるよ」
P「えらくやる気だなあ」
P(で、次の握手会でそれのフライヤー配って…ああーやる事が早くも山積みだ…レッスンもしないといけないし)
P(トレーナーさんとか居れば良いけど…315プロ、そう言う人雇ってないもんなあ)
P(でも山村さんがレッスンスタジオ来ると何故か皆調子が良い…ポケルスみたいなもんか)
P(…まあ、練習したし大丈夫だろう)
P「よし、今日のレッスンは僕も踊るから」
恭二「大丈夫なのかよ」
P「だ、大丈夫だよ…多分。練習もしてきたから!今までもちょっと動くとかあったし!」
みのり「プロデューサーはダンスも出来るんだね。いっその事、アイドルになれば良いのに」
ピエール「Beit、4人目はいる?」
P「……はは、それはやめておくよ」
みのり「……?」
恭二(…急に真顔になったな?)
レッスンスタジオ
P「…で、左手でピース閉じた手にして、右左右でイナズマ描いて…ここで腰を一回落とす」
P「腰と一緒に左手を上まで持ってって…くるっと回して右斜め上に…」
P「…わかる?」
恭二「なんとなく…こうか?」
P「うん、合ってる」
ピエール「右、左、右…??んん?」
P「ピエールは僕の後ろでやってごらん。カウントゆっくりめにするから」
ピエール「右、左、右…わかった!」
みのり「恭二、確認してもらっていいかな?」
恭二「いいっスよ。…それにしてもますます謎だな」
みのり「…プロデューサーの事、気になってる?」
恭二「…まあ、気にしても仕方ない事だとは分かってるけど」
みのり「恭二……」
恭二「…みのりさん、右と左逆になってるんスけど」
みのり「あはは、ついうっかり」
みのり(……気にしてるのは、恭二だけじゃないんだけどね)
P「とりあえず前半はなんとかって感じ?」
みのり「まだ曲に合わせるのは無理だよ。あの曲速いから」
P「でも上出来ですよ。明後日には一曲通しに入れるかも」
恭二「2週間で1曲やってた時と比べ物にならないくらいハードだ…」
P「それだけ皆が成長してるって事だよ」
ピエール「ボク、成長してる?」
P「してるしてる。2週間前だったら1時間でバテてたよ」
P「シャワー浴びておいで。今日もう遅いし」
ピエール「はーい!恭二、みのり、行こう!」
みのり「引っ張ったら危ないよピエール」
恭二「……プロデューサー」
P「うん?どうかした?」
恭二「…いや、何でもない」
P「そう、じゃあ今日はこのまま解散かな。おやすみ」
恭二「おやすみ」
恭二(…プロデューサーは、俺の事を根掘り葉掘り聞いたりしない)
恭二(それなのに言いたくないかもしれない事を、こっちが聞きたがる事は出来ない、よな)
P(恭二、どうしたんだろう。何か言いたいことでも――)
P「……僕もシャワー浴びよう。まだ仕事あるし」
事務室
P「お疲れさまで……あれ、みのりさん?」ガチャ
みのり「プロデューサー…少し、良いかな」
みのり「ソロ曲の事で相談に乗ってほしくて」
P「はい、勿論です!」
みのり「…凄い笑顔だけど、何かあった?」
P「あっいや、違うんです!みのりさんが相談乗って欲しいって、僕の事頼るの珍しいなと思って」
P「どちらかと言うとピエールとか恭二に相談される方が多いし、何か嬉しいです」
みのり「ふふ、そうかも。特に恭二はプロデューサーの事、気にしてるみたい」
P(…恭二、みのりさんに何か言ったな?)
P「それで、歌いたい曲の候補とかありますか?」
みのり「うん、何曲か。アイドルは元々好きだし、歌ってみたい曲はいくつかあるんだけど…」
みのり「自分にどんな曲が似合うか、お客さんが喜んでくれるか分からなくて」
みのり「お客さんには来て良かった、って思って欲しいから」
P「…随分お客さんの事を気にするんですね」
みのり「えっ?うーん、前は見る側だったからかな…色んなアイドルにそうやって、よくしてもらったよ」
P(よくしてもらった、か…)
みのり「プロデューサーは俺に曲を選ぶとしたら、どんな曲にする?」
P「そうだなあ……星屑のスパンコールとか?」
みのり「あはは、それはちょっと荷が重いよ」
P「冗談ですよ。…でも、もっと有名になってライブする機会があったら歌って欲しいですね」
P「有名アイドルが一般女性に恋をして、客席から君が見えた…なんて、凄い夢がありますし」
みのり「アイドルは沢山見て来たけどそう言う歌をうたわれて心が打たれるのはやっぱり女の子だよね」
P「Beitのファンになる子は大体女の子ですよ」
みのり「俺みたいな男もファンになってくれるかもしれないよ?」
P「じゃあこれは一旦保留で…」
みのり「でも、星屑のスパンコールじゃなくても、アイドルにまた会いたいって言われたら嬉しいかな」
みのり「また会えたね、とか君を見付けた、とか…まだ活動してそんなに経ってないけど」
P「あと僕はみのりさんの歌声は魅力的だから、そう言うのが映えるしっとりしたイメージの歌を歌って欲しいと思ってました」
みのり「他にはどんな曲が?」
P「愛し君へとか…アイドルの歌ではないけど」
みのり「結構がっつり重めの歌だね?」
P「あー、やっぱり僕が考えるよりみのりさんが考えて下さい。歌いたい歌をうたうのが一番ですし」
みのり「…そっか、俺、そう言う歌似合うかな?」
P「はい、ばっちりです!」
みのり「じゃあ、そう言う方向で考えてみるよ。ありがとうプロデューサー」
P「いえいえ」
みのり「…プロデューサーって、アイドルに詳しいんだね」
P「いやあ、まあ、プロデューサーですし」
みのり「それに歌もダンスも上手で…俺の事も俺以上によく分かってるみたいだ」
P「買い被りすぎですよ。みのりさんも恭二も。それにアイドルに詳しいのはみのりさんもでしょう?」
みのり「うん、よくライブに行ったりはしたよ」
P「何で好きなんですか?女性アイドルはまだ分かりますけど、みのりさんが好きなのって男性アイドルですよね?」
みのり「…うーん、ヒミツ。…って言ったらがっかりするかい?」
P「がっかりはしないですけど…僕って信用ないですか?」
みのり「ミステリアスな方が魅力的だと思わない?」
P「それはファンに対してはそうでしょうけど…」
みのり「…それに、ミステリアスなのはプロデューサーも一緒だろ?」
みのり「恭二、プロデューサーに何かあるって気にしてるよ。それは俺もピエールも一緒だけど」
P「…バレてます?」
みのり「何か事情がありそうだな、くらいは」
みのり「あと、これは個人的にだけど…」
みのり「プロデューサーは昔アイドルをやってたんじゃないかって、すこし思ってる」
P「……僕が?」
みのり「うん、歌もダンスも上手くてノウハウも知ってる。あと仕事の気が利いてるよね」
みのり「あと言い方とか…まるで、自分が体験した事あるみたいだなって思う時がある」
みのり「俺はアイドルが好きだけど、プロデューサーのそれは、そう言う見方じゃないかなって」
みのり「…きっと的外れだろうし、プロデューサーは言いたくないだろうけど」
みのり「変な事言っちゃったね。忘れて欲しいな」
P「……やってましたよ、アイドル。短い間だったけど」
P「でも、言えるのはこれまでです。…とか言ったら、余計もやもやしちゃいますか?」
みのり「…ううん、ありがとう。話してくれて」
P「これくらいの話なら、全然安いはずなんですけどね。はは」
みのり「…じゃあ…プロデューサーが話してくれたから、俺もひとつだけ"ワケ"を話そうかな」
みのり「アイドルを好きになったきっかけは、死んだ叔父さんの形見なんだ」
P「……!」
みのり「俺も話せるのはここまで。…それじゃあ、今日は帰るよ。握手会もミニライブも、頑張るから。心配しないで」
P「遅いですし、気を付けて帰って下さい」
みのり「プロデューサーもね。おやすみ」バタン
P「……」
P「…あー…とうとう、言っちゃったなあ…」
みのり「……叔父さん。俺…叔父さんの事、言っちゃったよ」
…
………
……………
「正直、お前には付き合いきれない」
「なっ……何でですか?!どうして…」
「だってそうだろう?いくらセンスがあったって、目先の事しか考えてないお前を支えてやる事は出来ない」
「お前が潰したんだよ、この事務所を」
「遊び半分で仕事して、事務所ごと振り回しやがって!!」
「そんな、僕は…そんなつもりは――…」
pppppp…… チュン チュンチュン
P「……また夢か…」
P(…大事な仕事の時に夢見るのだけはやめてくれないかなあ…)
P「……もうゆるしてくれよ」
P「おはようございます」ガチャ
みのり「あ……プロデューサー、おはよう」
P「みのりさん、おはようございます」
P「…何読んでるんですか?」
みのり「これ?花言葉の本。結構面白いんだ、読んでみるかい?」
P「じゃあ、メールチェックしてからで」
P「……」
みのり「……」
P(あの話をした後から、どことなくっ…気まずい!!)
P(って言うかどことなくってレベルじゃないか…もしかしたら皆にもバレてるかも…)
P(いや、プロデューサーがこんな事でどうする。みのりさんはちゃんと話してくれるんだから。しっかりしないと)
P「みのりさん、ソロ曲決めるの今日までですよ」
みのり「ああ、そうだね。でも実はもう決めてあるんだ」
P「え?じゃあ教えて下さいよ」
みのり「そうだね…うーん、でも…今日の握手会が終わったらにするよ」
みのり「まだ確かめたい事があるから」
P「……?」
ピエール「おはようございます!握手会♪握手会♪」ガチャ
恭二「…おはよう」
P「お、ピエール元気だな。逆に恭二は……そんなに握手会が嫌?」
恭二「嫌じゃない。けど…上手く対応出来る自信が…」
P「元コンビニ店員なんだから頑張れ」
恭二「コンビニ店員は喋る言葉がテンプレだからな」
P「本屋さんから連絡来たけど、何枚かは整理券既にはけてるから、誰も来ないって事は無いみたいだよ」
恭二「……ああー…腹くくるか…」
P「頑張れがんばれ♪け~ろけろ」
ピエール「!! プロデューサーさん、カエールかえしてーっ!」
P「じゃ、そろそろ行こう。衣装持ってー。ごめんねピエール、返すよ」
みのり「最近、下北沢が活動の拠点になってるね」
P「そうですね。あのストリートライブがきっかけって事で…意外と地元の人が見てたみたいです」
みのり「有名になったら、下北沢発祥のアイドル、なんて言われるのかな?」
恭二「下北沢発祥のアイドルBeit…」
P「お、お洒落だよ!大丈夫だいじょうぶ!」
本屋
P「今日はよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします。前そこでやってたストリートライブ、見ましたよ」
「バンドものが多かったから、凄い正当派のアイドルが出て来ると思わなくてびっくりしました」
P(そうだったんだ。下北沢のライブハウスの縮小版、みたいなイメージだったのかな…伊瀬谷くんも元はバンドだし)
P(通してくれた責任者の人に感謝しないと)
みのり「渡辺みのりです。本日はよろしくお願いします」
恭二「鷹城恭二です。よろしくお願いします」
ピエール「ボク、ピエール。よろしく!」
「ふふ、そんなに硬くならないで良いよ」
「今の所整理券は10枚くらいはけてるかな…」
P「おお、この前のステージひとつだけなのに意外と多い…」
「夏休みだし、何よりこの前の君たち、良かったから」
恭二「10人か…10も会話のネタねえよ…」
P「だからその辺は大丈夫だって。話振って来るのはお客さんなんだから」
「まだこれから来る予定の人も居るみたいですよ」
恭二「!!」
ピエール「恭二、がんばろ」
みのり「珍しいね、恭二がピエールに慰められるなんて」
P「それじゃ、僕は店長さんと話してるから。3人は着替えて来て。3階の右奥だって」
恭二「ああ、行って来る」
ピエール「帰り、漫画読みたい。日本語の練習」
みのり「じゃああとで一緒に選ぼうか」
みのり(…プロデューサーの事、二人にはずっと言ってなかったけど)
みのり(言うなら今しかない、かな…)
みのり「恭二、ピエール。ちょっと良いかい?」
恭二「何スか。緊張してるなら掌に人って書いて飲むと良いっスよ」
みのり「プロデューサーの事なんだけど」
ピエール「…プロデューサーさんの秘密、わかった?」
みのり「…うん。そんな所。よく分かったね」
ピエール「だってみのり、この前からプロデューサーさんと、少しヘン」
みのり「バレてたかあ…」
恭二「それで、プロデューサーは…」
みのり「…プロデューサーは昔、アイドルをしてたみたいだ」
恭二「! でも、何でやめたんだ?あの人の歳ならまだアイドルでも――」
みのり「それは聞けなかった」
みのり(俺も、その先は言えなかった)
みのり(叔父さんを見殺しにして、その形見を見付けてアイドルの魅力を知りたくなったなんて)
みのり(……とても言えないよ)
ピエール「…恭二、みのり。プロデューサーさんの、秘密。そんなに大事?」
みのり「え?」
ピエール「ボク、プロデューサーさんが秘密もってる、悲しい」
ピエール「でもそれ、ボクたちも一緒」
恭二「…ああ」
ピエール「言いたくない事、言えない事、いっぱいある」
ピエール「それに、プロデューサーさん、今、ボクたちに一生懸命!」
みのり「…うん、そうだね。どうかしてたかも」
ピエール「昔の事より、いま笑顔の方が、皆幸せ!」
みのり「……ありがとうピエール」
みのり「その言葉で、少し救われる気がする」
みのり(今が大事、か…過去に何があったとしても――)
P「あ、皆着替えた?今日は早いね」
恭二「前は片付けからやってたからな」
ピエール「プロデューサーさん、おすすめの漫画、おしえて。日本語の練習する!」
P「んんー…そうだなあ。ブリーチはなんだと…?!の沢山の使い方が学べるよ」
ピエール「……?」
恭二「そう言えばBLEACHって続きどうなったんだ?」
みのり「俺が読んでた時はルキアを助ける!って時だったよ」
P「あー、じゃあ一番勢いがあった時ですかね。僕が読んでた時は…」
P「っていうか日本語の勉強にブリーチはやっぱ違う!ピエール、あとで一緒に選ぶから!」
ピエール「やったー!恭二も!おすすめおしえて!」
恭二「今じゃなくていいだろ」
ピエール「いいの!今!いまがいい!」
みのり「ピエール、元気だね。これから握手会なのに」
P「ピエールは問題ないですよ。勿論ふたりも、大丈夫だと思ってますけど」
みのり「誠心誠意応えるつもりだよ」
みのり「…この間は、ごめんよ。変な事聞いたりして」
P「えっいや、そんな、僕だってみのりさんに言い難い事言わせたりして」
みのり「さっき、ピエールに怒られたよ」
みのり「大事なのは、今こうして俺たちを応援して、一生懸命働いてくれるプロデューサーだよって」
P「……」
みのり「その通りだと思った。それに、今が大事なのは俺だって同じだ」
みのり「俺も昔色々あったけど…今こうして、ここにアイドルとして立ってる事が、大事なんだよね」
みのり「それじゃあ、駄目かな?」
P「…いいと、おもいます」
みのり「どうしてプロデューサーがそんな顔するんだい?」
P「みのりさん、優しいですね。恭二もピエールも…凄く優しいです。いたたまれないくらいに」
みのり「だって俺たち、ユニットだよ。Beitはプロデューサーを含めてBeitだろ?」
P「…いつか、いつか僕が皆に話したいと思った時、」
P「みのりさんは、他の二人は…僕のつまらない話、聞いてくれますか?」
みのり「…きっと、ちゃんと受け止めるつもりだよ。きっと、恭二もピエールも」
P「……なんか安心しました。嬉しいです!」
みのり「うん、素敵な笑顔。花も人も笑ってる方が、ずっと良いと思うよ」
P「上の特設会場来てしばらく経つけど…そろそろか」
恭二「今更だけど、誰も来ない気がして来た」
P「来るんだって。整理券何枚かはけてるってば。今下の階で待機してるんだって」
恭二「急な腹痛とかで来ないかもしれないだろ」
P「恭二はなんで握手会にそんな後ろ向きな訳?」
恭二「…みのりさんは落ち着いてるんスね。ピエールは見るからにわくわくしてるけど」
みのり「うん?ああ…今の俺、そのまま知ってもらおうと思って」
みのり「アイドルとしての実感がまだ湧いてない自分も、今ミニライブに向けて頑張ってる自分も」
みのり「もっとアイドルとしてやってみたいと思ってる自分も、全部今の俺だから」
みのり「バイトと―…あと、be itでBeit。恭二がそう言ったんだろ?」
恭二「……みのりさん、言う時は言うよな」
みのり「そうかな?」
ピエール「みのり、ちょっとかっこよくなった」
みのり「ふふ、ありがと」
P「…さあ、時間だ!後ろに居るから、何かあったら呼んで」
恭二「助け呼んだらちゃんと来てくれよ」
P「会話の助けには入らないけど?!」
P(…あ、何人か女の子が…)
P(ぷ、恭二あがってる。出会ったばっかりの時は恭二の表情読めなかったけど)
P(こうやって四六時中一緒に居れば、表情が分かるようになるもんだなあ)
P(ピエールは…凄い楽しそうなのが伝わって来る)
P(たどたどしい日本語だけど、一生懸命話しかけて、聞き入ってるのが分かるよ)
P(…みのりさんは、落ち着いてる。あの人、やっぱりなんだかんだ言って大人だ)
P(あ、笑った。なんだ、全然平気そう)
P(…ファンって、大切なものだから)
P(触れ合っておけるうちに、触れ合うべきだよ。きっと)
恭二「こんにちは、来て下さってありがとうございます」
「初めまして!この間の駅前のステージ見ました!」
恭二「あ、ありがとうございます…」
「その目って地なんですか?カラコンですか?」
恭二「えっ?えっと、地です」
恭二(こんな事聞いてどうすんだ…?)
ピエール「来てくれて、ありがと!ボク、す~っごくうれしい!」
「きゃー!可愛い!王子様みたい」
ピエール「ボク、カエルの王子様!け~ろけろ。へへっ」
「ピエールくん、日本語喋れるんだ。すごいね」
ピエール「留学しに日本来た。だから日本語いっぱい勉強する!」
「わ~かわいい~!!」
みのり「今日は暑い中、ありがとうございます。Beitの渡辺みのりです」
「こ、こんにちは」
みのり「今日はどうしてここに?」
「えっ…?」
みのり「あっごめんなさい。この前のステージ見てくれたのかなって思って」
「あっ見ました!凄くかっこ良かったです!」
みのり「本当に?ありがとう」
「渡辺さんは…その、一番綺麗でかっこよかったです」
「歌も…すごくお上手でした」
みのり「そんな風に言われた事ないから、少し照れるよ」
「そうなんですか?」
みのり「うん、アイドルになったのも、ついこの前だし。正直実感が湧き切ってないくらい」
「あ、あの…どうして渡辺さんがアイドルになったのか、聞いても良いですか?」
みのり「そうだな…俺、アイドルが好きなんだ」
「アイドルが好きだからアイドルになる…って素敵ですね」
みのり「そんなに良いもんじゃないよ。でも…」
みのり「アイドルが俺を惹き付けた理由はなんだろうって、それを確かめたくて」
「そうだったんですね」
みのり「つまらない話だったかな?ごめんね」
「そんな事ないです!それに渡辺さんは…きっとそれが分かる日が来ると思います」
みのり「そう思う?」
「だって私、渡辺さんの、Beitのパフォーマンスに…とても惹き付けられましたから――」
みのり「…ありがとう。今度、ライブハウスでミニライブするから、良かったら来て欲しいな」
「! 絶対行きます!ありがとうございました」
みのり(いつか分かる日が来る、か…)
みのり(こうやって、アイドルって出来て行くのかな)
みのり(俺の今を受け止めて、肯定してくれる人が居て、支えてくれる人が居る)
みのり(今が一人歩きして、未来になっていくのかもしれないね)
恭二「…みのりさん、次来てる」
みのり「えっあっあれ?」
「だ、大丈夫ですか…?」
みのり「あはは、緊張しすぎてぼーっとしちゃったみたいだ。ごめんよ」
P「…無事終わったみたいだけど、どうだった?」
恭二「一生分女子と話した気がする…」
P「恭二ってモテなかったの?そんな事なさそうだけど」
恭二「高校の時は話しかけられても、あんまりだった」
P「愛想のあるタイプでは無さそうだもんなあ…恭二ってするめっぽいよ。噛めば噛む程味があるって言うか」
恭二(どう言う意味だ…?)
ピエール「みんな、かわいいー!だって!えへへ~」
P「そうだ、ピエールにプレゼントきてたよ。下で買ったやつみたいだけど…はい、日本語の読み書きテキスト!」
ピエール「わぁ…!これで日本語、勉強する!上手くなって、お姉さんにお礼、言いたい!」
P「うん、きっと喜んでくれるよ」
P「みのりさんは確かめたい事…確かめられました?」
みのり「うん。痛い程よく分かった。よりアイドルへの意欲が湧いたよ」
P「そっか…それは良かったです!」
ピエール「恭二、恭二のおすすめ!漫画、教えてー!」
恭二「わかった、分かった教えるから!はなれろ!!」
みのり「…ピエール、恭二が苦しがってる。ふふ」
事務室
P「……僕らの街で?」
みのり「うん、素敵な歌だと思わない?多分プロデューサーの求めてるものとも近いと思うし…」
みのり「来てくれるお客さんとは夏に出会ったし。俺たちだってそうだろ?」
みのり「お客さんにも恭二にもピエールにも、プロデューサーにも贈りたい歌だなって」
P「僕も入ってるんだ…何か嬉しいです。優しい歌ですよね。きっとみのりさんの声とも合うと思います」
みのり「そう言ってくれると嬉しいけど…ピエールの次で急にしっとりして、変じゃないかい?」
P「そう言うギャップって見る分にはドキッとしません?」
みのり「ああ、確かにそうかも」
P「じゃあ、みのりさんのソロ曲は僕らの街でに決まりで。明日からソロ曲の練習に入るんで…」
P「どうしてもダンスの恭二を先に見る事になると思うんですけど、大丈夫ですか?」
みのり「うん、こっちの方は任せて。ピエールもダンスは無いし…歌なら俺も見られると思うから」
P「分からない事があったら呼んで下さい。すぐ行きますから!」
みのり「ふふ、頼もしいね」
P「そんな事ないですよ」
みのり「ううん、プロデューサーはしっかりしてる。…俺も見習わないと」
P「時々抜けてるのが、みのりさんの良い所ですよ」
みのり「やだなあ、もう」
みのり「お疲れさまでした。明日も頑張って、プロデューサーは明日もダンスかあ。大変だね、プロデューサーって」
P「身体壊さないようにほどほどですよ。みのりさんも、喉と身体気を付けて」
みのり「はいはい、じゃあ、また明日」バタン
P「僕らの街で、かあ…」
P「…~~♪」
P(…優しい歌だな)
数日後 レッスンスタジオ
P「毎度分かってはいるけど…これ、教えるのも超ハード……」
恭二「身体ついていかねえよ…」
恭二「っていうかプロデューサー、何で俺だけ洋楽なんだよ…口も回らないだろこれじゃ……」
P「絶対似合うと、思って…その代わり収録して口パクでも良いから」
恭二「いやだ、絶対に歌う。口パクアンチは厳しいからな…」
P「はは、恭二って意外とアツいよなあ」
P「…恭二にこの歌やってほしいのはさ、アイドルに必要な能力を3つに分けた時、」
P「みのりさんは歌唱力、ピエールには表現力とあのビジュアルがある。あともうひとつは…何かわかる?」
恭二「…ダンスか」
P「うん、恭二にはダンスをやって欲しい。恭二は器用だから出来ると思ったんだ」
恭二「でも俺、別にダンスが特別上手い訳じゃないぜ。強いて言うなら歌の方がまだ…」
P「分かってるよ。だからこの曲なんだ。技術の底上げっていうかさ」
恭二「あんた鬼だな。…でも、理にかなってる」
P「お褒めの言葉アリガト。ついでに水とって欲しいんだけど」
恭二「それは自分でやってくれ」
ピエール「恭二!プロデューサー!」ガチャ
みのり「うわ、二人とも凄い汗。差し入れだよ。おにぎりと飲み物」
恭二「悪いな…」
P「ああ凄く面目ない…それ本来僕の仕事じゃないですか…」
みのり「気にしないで。二人とも疲れてるみたいだし」
ピエール「恭二、おにぎりの味、どれにする?」
恭二「おかか、もしくはツナマヨ。サケでも可」
恭二「っていうか、正直なんでも良いから食わないと死にそうだ…」
ピエール「じゃあ全部あげる!」バサバサ
恭二「あっおい、床に広げるなよ」
P「僕はいくらと日高昆布確保ぉ…」
ピエール「プロデューサーさん、ゾンビみたい」
P「そう?オオオオ……」ズルズル
ピエール「きゃー!こわいこわい!」
みのり「恭二、調子はどう?」
恭二「そろそろ死ぬ所だった。ありがとうみのりさん。差し入れ持って来てくれて…」
みのり「結構切実みたいだね…」
恭二「そっちはどうだ?ピエールの歌、凄い高音だよな?」
みのり「うん、ピエール頑張ってるよ。時々弱音も吐くけど」
恭二「みのりさんは?」
みのり「俺?俺としては良いと思ってるけど、プロデューサーが聞いてからじゃないと何とも」
恭二「それもそうだな」
P「…はあ、休憩もしたし再開…って言いたい所だけど、ピエールとみのりさんの方も気になるし」
P「二人さえ良かったら、ちょっと聞かせて欲しい」
ピエール「! ボク、プロデューサーさんに聞いて欲しい!」
みのり「俺も一人でやるの初めてだし、分からない事だらけだから…アドバイスが欲しいな」
恭二「俺も二人の曲、見たい」
ピエール「じゃあ恭二、ダンス、見せてくれる?」
恭二「…本気か?」
みのり「俺も見てみたい。恭二がどれだけ出来るようになってるか、楽しみだよ」
恭二「みのりさん、あんまりハードル上げないで欲しい…」
P「じゃあ皆中間発表って事で。じゃあピエール、みのりさん、恭二の順番で」
ピエール「はーい!ボク、一番!」
ピエール「~~♪」
P(最初の高音で歌の印象決まるけど…やっぱりまだ声小さくなっちゃうか…)
P(でものびのび歌って、凄いピエールらしいや)
P「…それに、確実に上手くなってる」
恭二「だな、少し驚いてる」
みのり「最初の高音以外はほぼ完成してるんじゃない?俺も見てたけど、どんどん上手くなってるよ」
みのり「前レッスンに来てた都築くんにも少し聞いてるみたい」
ピエール「……プロデューサーさん、どう?!ボク上手くなってる?!」
P「うん、ちょっとびっくりした。ピエール、腹から声出るようになったなあ」
ピエール「うん、圭も教えてくれた!」
P「あとはやっぱり最初の高音のフレーズかな。発声練習の時、高い声に時間使ってみて」
P「どうしても出ないようだったら地声から裏声にすぐシフト出来るようにしてごらん。練習すれば出来るようになるよ」
ピエール「ほほー…わかった、やってみる!」
みのり「やっぱりプロデューサー、凄いね。俺はそんな風に言えなかったから」
ピエール「でもみのり、いっぱいボクの歌、聞いてくれた。だから、いっぱい上手くなった!」
みのり「そう?ありがとう」
みのり「さて、次は俺か…よいしょ」
恭二「よいしょって」
ピエール「みのり、がんばれー」
P「すいません、急にで悪いんですけどみのりさん、座って歌えます?」
みのり「? うん、良いけど」
P「じゃあそこの椅子座って…すいませんお願いします」
みのり「~~♪」
恭二「……やっぱり上手いな」
ピエール「この曲、良い曲。優しい気持ちになれる」
P(座ってても声出てる…このまま座ったままの方が似合うかも)
P(それにしても悪い所探さないといけないのに、つい聞き入っちゃうな…)
みのり「…ど、どうだった?」
ピエール「みのり!凄く上手!」
恭二「この歌にしたんスね。この歌は俺でも知ってる」
みのり「うん、今の気持ちにぴったりかなって」
P「みのりさん、そのまま本番も座って欲しいです。声は出てますけど、お腹に力入り難くなるんで座って発声練習してみてください」
P「あとは…あはは、聞き入っちゃいました。それだけ上手かったですよ」
みのり「ふふ、ありがとう。でも、何で椅子?」
P「ピエールの明るくて元気な感じとみのりさんのアンニュイな感じのギャップが出るかなと思って」
みのり「それは良いね。…よいしょ、次は恭二だよ」
恭二「そのよいしょ、ってやめた方が良いっスよ」
みのり「あはは、軽いジョークだよ」
恭二(みのりさんが言うとそれなりに本気に見えるんだって)
恭二「…さて、やるか…」
P「恭二!特訓の成果を見せてやれ!」
みのり「楽しみだなあ」
ピエール「恭二、凄いダンス、踊る?」
みのり「踊るよ」
恭二「本当ハードル上げないでくれ…」
恭二「~~♪」
ピエール「…す、すごい…」
みのり「3人でやる歌より全然激しいね…」
みのり「1曲目歌って、MC後すぐに次これか…俺なら倒れてるよ」
P(うん、大分形になってきた。通す所までは出来たって感じかな…)
P(…テンポ速すぎて目凝らさないと分かんないけど…)
P(でも恭二、この曲をやり始めてから凄い動けるようになった)
P(元々スタイルも良いし…その分足動かすの大変そうだけど)
P(…うん、そろそろかな)
恭二「……やったぞ…」パタ
ピエール「わー恭二!しっかり!」
みのり「本当に倒れた…」
P「恭二、大分形になってきた。凄いよ」
恭二「…当たり前だ、あんたがやれって言ったんだから。俺はやれる事をやる」
P「これからは止める所と動く所、力抜く所をメリハリつけていこう」
P「…あと、このままだったら口パクじゃなくてもいけるかも」
恭二「…やれば出来るじゃん、俺」
恭二「でももう今日は…休ませて、くれ……zzz」
ピエール「おお恭二!しんでしまうとはなさけない!」
P(ピエール時々どこで日本語覚えたのか分からなくなる時あるよなあ…)
P「恭二も動けないし今日はこの辺にしておくとして…二人は今日夕飯とか一緒に食べられたりする?」
みのり「え?特に予定は無いけど…」
ピエール「ボク、家に連絡したい」
P「分かった。恭二は多分大丈夫だろうし…今日は夕飯取りながらミーティングでもしようかなって」
P「最近みんな頑張ってるし、奢るよ」
恭二「…奢り?」ピク
P「お、恭二復活した。奢るから夕飯一緒に食べよう。夜間ミーティングだ」
恭二「いく…今月の生活費、厳しい…」
P(結構切実だった)
みのり「じゃあシャワー浴びて着替えて…事務所の外で待ち合わせで良いかい?」
P「そうしましょう。ほら、恭二頑張って立って」
恭二「飯が待ってる……」
ピエール「今、恭二にタックルする、恭二どうなる?」
みのり「…二度と起き上がれなくなるからやっちゃ駄目だよ」
P「んで、事務所の外に来たけど…」
P「ピエール、えっと…お迎えの人も一緒なの?」
ピエール「二人とも、心配性」
「安全だとは思うのですが、ピエール様に何かあってからでは遅いので…」
「別の席で待機していますので、お気遣いなく」
P「は、はあ……」
みのり「さ、行こうか」
恭二「腹減った…」
P「どこに行く?近い所だとファミレスになっちゃうけど」
恭二「それで良い、早く行こうぜ」スタスタ
P「恭二歩くの速っ…確かにあんなに動けばそうなるか。僕も限界近い」グウウウ…
みのり「ピエールはファミレス初めてかい?」
ピエール「初めて!コナモノ、ある?」
P「あー…あそこのファミレスでは見た事ないかも」
ピエール「……」シュン
「ピエール様…」
P「わーピエールごめんって!今度また一緒に食べよう!な?!」
ピエール「うん!」
「ピエール様…なんとお優しい」
P(ゴツいSP二人に睨まれると凄いやりにくい!!)
ファミレス
ピエール「プロデューサーさん、これ、押す?」
P「待って、メニュー決まってから」
恭二「肉食って良いか?」
P「良いよ、どんどん食べな」
みのり「俺は何にしようかな…」
P「唐揚げとかどうですか?鳥の脂は喉にも良いですよ」
みのり「へえ、そうなんだ。じゃあそうしようかな」
ピエール「ボク、これが良い!」
P「オムライス?…ピエールってオムライス似合うね」
恭二「あとハンバーグとかな」
みのり「旗ついてるやつだね」
ピエール「?」
P「ピエール、それ押してくれる?」
ピエール「わーい!」 ピンポーン
「ご注文は?」
恭二「ステーキお好み和膳」
ピエール「ボク、オムライス!」
みのり「ネギ生姜たっぷりの油淋鶏のダブルをひとつ」
P「ひれかつ和膳ひとつ…とドリンクバー4つおねがいします」
「かしこまりました。ドリンクバーあちらにございます」
P「…僕飲み物取って来るけど何がいい?」
恭二「味があって色々混ぜたマズい飲み物じゃないやつ」
P「そんな子供みたいな事しないよ」
みのり「俺も行こうか?4つ持てる?」
P「んー、じゃあピエール一緒に行こう。ピエールはドリンクバーも初めてじゃない?」
ピエール「行く!ドリンクバー、なに?」
P「好きな飲み物自分で選んで持って来るんだよ」
P「あと色々混ぜて美味しいの作ったりまずいの作ったり出来る」
恭二「やる気満々かよ」
P「ピエール、レッスンきつくない?ごめん最近、練習見られなくて」
ピエール「ううん。みのり、ボクの事見てくれる。恭二とプロデューサー、一生懸命なの知ってる」
ピエール「それに、もっと上手くなって、プロデューサーさんびっくりさせる!」
P「あはは、それは楽しみだなあ」
P「…ピエールは、今より仕事が増えてアイドルとして忙しくなったら……嫌じゃない?」
ピエール「どうして?お仕事増える、誰だって嬉しい」
P「今より忙しくなって、例えば恭二やみのりさんと別行動が増えたり、ピエール自身ひとりでこなさないといけない事が増えるかもしれない」
P「僕も今後、こんな風にピエールの事を見てやれる時が減るかもしれないし」
P「前みたいに誕生日を祝ったりする事も、無くなってしまうかもしれない」
P「忙しすぎて、色んな事を忘れてしまうかもしれない…」
P「それでも、耐えられる?」
ピエール「……プロデューサーさん?」
P「あ……変な事言っちゃったね。勿論良い事も沢山あるよ!アイドルとしてやれる事が増えるって良い事だし!」
ピエール「……大丈夫。ボクたち、目指してる所、一緒」
ピエール「ボク、出来る事、少ない…けど、アイドルとしてひとつずつ、出来る事、増えたら…」
ピエール「その分幸せに、世界平和!一歩近付く!それが、ボクのやりたい事」
ピエール「恭二とみのり、それ分かってくれてる。だから…大丈夫」
ピエール「Beit、ちゃんと繋がってる。プロデューサーさんが、繋げてくれる」
P「……僕?」
ピエール「ボクたち、一人じゃない。プロデューサーさんのお陰」
ピエール「プロデューサーさん、アイドルの難しい事つらい事、沢山知ってる」
ピエール「それをボクたちから遠ざけようとしてるのも、分かってる」
P「……」
ピエール「……それに!プロデューサーさんの言う通り、悪い事ばっかりじゃない」
ピエール「必ず悪い事、待ってる訳じゃ、ないと思う」
P「……そうかな。僕は…Beitをちゃんと導いてやれるかな?」
ピエール「ボクたち、プロデューサーさんの事、信じてる。絶対大丈夫」
P「ありがとうピエール。……これで決心が付いたよ」
ピエール「? どういたまし…いたしまして!」
P「…よし、僕のおすすめのドリンク教えちゃうぞ!なっちゃんをコップの半分入れて、ピンクのサイダーを…」
ピエール「お待たせ!はい!恭二、これ」
恭二「混ざってるやつじゃん…」
P「いや、僕の力作だから多分大丈夫。みのりさんも」
みのり「ありがと。…ん?オレンジジュースと…何か混ざってる?」
恭二「みのりさん、それ飲める味?」
みのり「結構美味しいよ」
恭二「……本当だ」
P「ほら言ったじゃん!オレンジジュースによく分かんないピンクの炭酸のやつ入れると絶対美味しいからおすすめ」
恭二「プロデューサー、あんた大人なんだからもう少し大人になれよ」
P「…はい……」
P「えっと、大事な話しても良い?」
恭二「急だな」
みのり「うん、良いよ。何の話?」
ピエール「……」
P「BeitをCDデビュー、させようと思う」
ついにきたか…
ガストだとわざわざドリンクバーのミックスの一例がメニューにあるよね
Pの心の傷がでかそうでwktk、いや心配です
P「……」
恭二「……」
みのり「………」
ピエール「……」
P「……なんか喋ってよ」
恭二「あ、いや…急すぎて何かな…出来るのか?」
P「315プロはJupiterの他にDRAMATIC STARS、AltessimoがCDデビューしてる」
P「ふたつのユニットはまだシングル1枚だけど…それなりにメディアに推されてたと思う。Jupiterと同じ事務所だし。でも社長もそろそろ他のユニットを当てたいはずだ」
P「デビューすれば最初のシングルはとりあえず事務所からの援助があるのは多分Beitも変わらない」
P「それに3人はライブ、握手会をしてきてアイドルの仕事も少しずつ分かって来たと思う」
P「デビューシングル発表は、今度のミニライブの時が一番効くはずなんだ」
P「…でも、もしデビューしたら今まで通りには仕事が出来ない」
みのり「つまりそれだけ環境が変わるって事だね」
P「そう、もしここで当たったら、めまぐるしく生活が変わる事も考えられる。本当に、トップアイドルになれる大きなチャンスだ」
P「仮に当たらなかったとしたら…後続のユニットが沢山居る中、埋もれる可能性だってある」
P「そう言う世界の中で3人は…生きていかなきゃいけない」
恭二「…やるよ」
P「ヘ?」
恭二「あんた、今更何言ってんだ。言っただろ、俺達は自分で選んでここに来てる」
ピエール「CDデビューすれば、ボクの歌で笑ってくれる人、もっと増える!」
みのり「皆、覚悟なんてとっくに出来てるよ。もちろん俺も」
恭二「プロデューサー、そもそもあんた、仕事がこわごわしすぎなんだ。もっと俺達を信用しろよ」
みのり「プロデューサーがアイドルをしてて昔感じた事が、辛かったのはなんとなく分かる。でも、俺たちはやるよ」
ピエール「…ね、プロデューサーさん、皆おなじ、でしょ?」
P「…うん、そうみたいだ」
P「…よし、明日社長に直談判して来る。そしたら多分レーベルは他のCDデビューしたユニットと一緒だ」
P「つまり、お得意様だから問題ない!売り込みに行く必要もそんなに無い訳だ」
恭二「待てよ。CDデビューさせて下さい、って言ってさせて貰えるものなのか?」
P「言っただろ、そろそろ社長だってJupiter以外のユニットで稼ぎたいはずだって」
P「申し訳ないけど、Beitにはメディアの力を利用させてもらう。と言うか、図らずとも多分そうなる」
恭二「ゴリ推しされるって事か?その分リスクも高くなるぞ」
P「ゴリ推し程の規模かどうは分からないけど…Jupiter以外のユニットくらいは推されると思う」
P「そこでメディアが推す割に大したパフォーマンスが出来なかったらそこで終わる。けどBeitは絶対そうさせない」
P「だから今、あと3週間に控えたミニライブを死ぬ気でやってもらってる。今やってるのは技術力の底上げなんだ」
P「社長が次のユニットで稼ぎたいと思っている315プロの状況を上手く利用して、本当のアイドルを作り上げる」
みのり「…やるしかないって感じだね」
恭二「ハイリスクハイリターンか…良いと思う。やってやるよ」
ピエール「ここがチャンス。なら、絶対やる!」
P「皆がそう言ってくれて良かった。それで曲なんだけど……また一応希望聞いておこうと思って」
みのり「…プロデューサーのなかには、もうイメージがあるんじゃないかい?」
P「…あはは、それは…はい……」
恭二「聞きたい。教えてくれよ」
ピエール「! …もしかして、王子様?」
P「…! ピエール、よく分かったなあ」
ピエール「プロデューサーさん、よく言ってる。王子様って」
P「ああー…そうかも。うん、僕がBeitにして欲しいのは超正当派、王子様らしいアイドルなんだ」
みのり「うーん…少し古いけど少年隊がそんなイメージかな?」
P「はい、そんな感じです。最近だとSexyZoneとかそれっぽいかなと思いますけど。あとはちょっと昔の嵐とか」
P「今はポップだったりスタイリッシュだったりするアイドルが多いけど、王子様とは少し違うアイドル像になってると思う」
P「だからここでもう一回王子様的アイドルが出て来たら良いかなって」
恭二「俺は王子って感じじゃないだろ」
P「曲の話だよ。実際喋って王子様を求めてる訳じゃない。キャラ付けはしないって約束だったし」
P「曲やパフォーマンスはそっち方面だけど、バラエティでは普通の人間でした…って方がギャップで攻められる」
P「バラエティが得意で人間っぽいアイドルが流行ってるんだ、多分大きく幻滅はされないはずだよ」
ピエール「お喋りのお仕事くる?…ボク、自信ない」
P「来るかもしれない、けど外人枠って言うのはあるから大丈夫だよ。たどたどしい日本語が可愛いって言う人もいる」
P「だから焦らないでゆっくり覚えて行けば良いよ。喋れるようになったら普通の方向にシフトしてくから」
P「それに今のピエールだって、十分日本語喋れてるよ。問題ない」
ピエール「本当!?ボク、もっとがんばる!」
みのり「急に話が大きくなってきたね。俺、大丈夫かな?」
P「3人はやれる事を最大限やってます。みのりさんはいつもみたいに笑って構えてて下さい」
みのり「…頼もしいね、本当」
P「とりあえず明日は午前中に直談判に行って来るから、各自でレッスンお願いします。終わり次第様子見に行きます」
恭二「あんたが居ない間に見違える程上手くなっておくよ」
P「分かった、楽しみにしてる」
みのり「良い返事、期待してるね」
ピエール「こっち大丈夫、任せて!」
P「ピエール頼もしいぞ~!」
「お待たせしました。オムライスのお客様ー…」
ピエール「はーい!」
P「…さて、料理も来たしまた明日から頑張ろう!」
みのり「オムライス、美味しそうだね」
ピエール「一口いる?あーん」
みのり「…ふふ、美味しい」
恭二「美味そうな匂いがこっちに…早くステーキ和膳来てくれよ…」グウウ…
P「やばい、僕もそろそろ本気で限界近い…」グウウウ……
翌日 社長室前
P(今朝内線で社長に電話もしてしまった…)
P「…もう引けないぞ」
P(例えJupiter以外のアイドルを望んでいなかったとしてもそこを推していくしかない)
P(皆がやるって言ってくれたんだ。大丈夫、大丈夫…)
P「…失礼します!今朝ご連絡をさせて頂きました、Pです」コンコン
齋藤「おお、なんだPくんか。入りたまえ」
P「はい。失礼します」ガチャ
齋藤「どうしたPくん、そんなにかしこまって」
P「…はい、あの実は、折り入ってご相談がありまして…」
齋藤「何かね?心配事なら何でも言ってくれ!」
P「……単刀直入に言います」
P「僕のプロデュースしているユニット、BeitをCDデビューさせて頂きたいです」
齋藤「…ほう?」
P「現在315プロでCDデビューしているアイドルは3組。その内のJupiterが再始動と言う形で飛躍的に売り上げを伸ばしています」
P「一方DRAMATIC STARS、は力はありますがバラエティ向きの3人。特に桜庭さんの体力的な面もあり、パフォーマンスを長い時間する事は難しい」
P「Altessimoはアイドルより本格的な音楽を好む傾向にあります。よってCDも小出しでは売り出せない…」
P「この2組はCDを出す機会がjupiterより圧倒的に少ないのが現状です」
齋藤「…つまり君はBeitをCDを定期的に出せるアイドルにしたい、と?」
P「はい。そろそろJupiterとは違うアイドルを売り出したいのではないかと思いまして」
齋藤「…君は正直者だな」
P「正直で素直なのが取り柄ですから」
P「315プロは資金があります。どのグループも1枚目のシングルは広告費を割いているはずですし、レーベルも全部同じ。シングルを出しやすい環境にあると思います」
P「お願いします!Beitにチャンスを下さい!」
齋藤「…採算は取れるのか?」
P「はい。シングル1枚で終わらせるつもりはありません。その為にメンバーも必死に練習しています」
齋藤「ふむ…決して生半可な気持ちで言っている訳ではないようだな」
P「勿論です。アイドルの人生が―…新たに人生を踏み出そうとしてる人達の、人生かかってますから」
齋藤「……そうか」
齋藤「正直、この機会をずっと狙っていたのではないか、と思う程だよ」
P「…と、言う事は…」
齋藤「良いだろう。やってみたまえ!期待しているよ」
P「――!! ありがとうございます!」
齋藤「ではPくん、レーベルにはこちらから連絡をしておく。君の所に連絡が来るだろう」
齋藤「これから忙しくなるぞ、世界が変わる。君も、君のアイドルもだ」
P「…はい、重々承知しています。彼等も自覚しています」
齋藤「良い顔だ。さあ行きたまえ、君のアイドルが待っているんだろう?」
P「では失礼します。…絶対に、成功させてみせます!」
齋藤「ハッハッハ、いい返事だ!こちらでも色々手を回しておくから安心したまえ!」 バタン
P「……はあー……よかった…」
P(世界が変わる。それに溺れない事、埋もれない事だ)
P(3人には絶対そんな事させない。今度こそ、大丈夫だ)
P「…戻ろう、皆が待ってる」
P(みんながまってる、か…)
ガストだったのか、気づかなかった
(食べ物を無駄にしない程度に)いつまでも遊びごころのある大人っていいよね
桜庭せんせぇはイベントのせいであのチーム内では体力のないイメージがあるな
レッスンスタジオ
みのり「! プロデューサー、どうだった?」
P「……社長から直談判……」
P「……オッケーもらいました!!」
ピエール「やったー!!」
みのり「ほっ…良かった、安心したよ」
恭二「ドキドキさせるなよ、心臓に悪いだろ」
P「ごめんごめん、でも本当良かった…多分今度レーベルに挨拶と会議に行くから」
P「……いよいよだよ、皆」
恭二「ああ。その為にはとりあえずミニライブだな」
みのり「そうだ、このままプロデューサーに見てもらおうか」
ピエール「賛成!」
P「よっしゃ!ばっちり見るから覚悟してそこに並ぶべし!」
ピエール「べしってなに?」
みのり「うーん…えーと、ごめん、後でいい?辞書で調べておくから」
恭二「~しろって事だよ」
みのり「恭二は頭良いなあ」
ピエール「いいなあ」
恭二「えっ…?」
2週間後 事務室
山村「おはようございます」ガチャ
P「おはようございます」
山村「あれ?Pさん随分早いですね」
P「…初泊まり込み作業でーす」ブイブイ
山村「ああ…お疲れさまです。もうすぐですもんね、ミニライブ」
P「それに今日レーベルとの会議なんで、どうしても企画書詰めておきたくて…」
山村「でもそれ終わったら今日もレッスンなんですよね?倒れないで下さいよ」
山村「今Pさんが倒れたら3人だって不安になりますよ」
P「そんな事は絶対しません!今日は見るだけだし……すいません山村さん、バイタルゼリー貰っていいですか?」
山村「ちゃんと食事も取って下さいね」
P「飲んだらシャワー浴びて、企画書印刷して…あっもしかしたらちょっと寝れる?」
P「よし、めっちゃ早くシャワー浴びて来よう」
P(シャワーって浴びるだけでも随分気持ち変わるよなあ)
P(…本当は湯船に浸かりたいけど)
「…プロデューサー?」
P「へっ?…恭二?」
恭二「随分早いな。もしかして泊まりか?」
P「初めてのお泊まり会ですよ。恭二は何でこんな早くにシャワー室?」
恭二「…水道代削れると思って……」
P「恭二あのさあ……まあ、コンビニのバイトも今してないし仕方ないか。社長には内緒にしとくから」
恭二「悪いな。…ついでに、一人で練習もしてる」
P「そっち先に言えば良いのに…」
P「恭二はどんどん踊れるようになってくよなあ。びっくりしたよ」
P「今では3人のダンスも引っ張って行けてるし」
恭二「あんたの思惑通りか?」
P「うーん、それ以上?」
恭二「……」
P(お、ちょっと嬉しそう)
P「僕事務室に居るから、何かあったら呼んで」
恭二「大丈夫だ、あんたは多分寝た方が良い」
P「そう?じゃあお言葉に甘えて」
山村「おかえりなさい。印刷しておきましたよ、企画書」
P「わ、すいませんありがとうございます!」
山村「ホチキスまでやっておくんで寝てて良いですよ。何時に起こせば良いですか?」
P「うーん…9時半くらいかな…多分それくらいになったら誰か来るはずなんで」
山村「はいはい」
P「あ、凄いソファ広く感じる……zzz」
恭二「おはざす」ガチャ
山村「あれ、鷹城くん早いですね。どうしよう、Pさん起こした方が…」
恭二「大丈夫っス。さっき会ったんで。寝とけって言っておきました」
山村「ああ、そう。じゃあ申し訳ないんだけど、これのホチキス止めるの手伝ってくれますか?」
恭二「これ…今日の資料か?」
山村「そうみたいです。レーベルとの会議だからって張り切ってましたよ。それで徹夜してましたけど…」
恭二「……そうか」
山村「何か嬉しそうですね?」
恭二「ああ、いや…人に何かしてもらうのって慣れてなかったのに、すっかり慣れたと思って」
山村「それってPさんが、君たち3人にって事ですか?」
恭二「そうスね」
山村「それはちょっと違うかも」
恭二「?」
山村「君たちもPさんにそれ相応の事をしているって事ですよ。アイドルとしてね」
恭二「…でも俺は自分の為にアイドルをやってる。それはプロデューサーの為にならない」
山村「なりますよ。じゃないと彼、こんなに頑張れてないと思います」
恭二「自分の為にしてた事が、人の為になる…って事か?」
山村「そうですよ、きっとね」
みのり「おはようございます」ガチャ
山村「おはようございます渡辺さん。あ、Pさんの事はまだ放っておいて下さい」
みのり「プロデューサー、寝てる…」
恭二「今日が楽しみすぎて泊まったんだってよ」
みのり「…そっか、俺たちのデビューシングルが決まる日だね。これ企画書?…へえ、一生懸命作ってたんだね」
恭二「みのりさんが持ってるの、それここに置く花か?」
みのり「ああ、うん。そろそろ新しいのにしようと思って」
恭二「……ちょっとそれ貸してもらって良いっスか?」
ピエール「おはよーございます!」ガチャ
みのり「ピエール、おはよう」
ピエール「! みのり、恭二、何してる?!楽しい事?!」
恭二「馬鹿、静かにしろ」シー
ピエール「…プロデューサーさん、寝てる?それに、周り、お花いっぱい…」
恭二「見ろよ、綺麗な顔してるだろ?…死んでるんだぜこれ」
ピエール「!! プロデューサーさん!!」
恭二「嘘だよ」
ピエール「恭二嘘吐き!しかも悪質!!」
恭二「いや、凄い気持ち良さそうに寝てるから…」
みのり「ピエール難しい日本語覚えたね。悪質だって」
みのり「折角だし、プロデューサーの事写真に撮っておこうか」
恭二「みのりさん、意外とノリノリだな」
みのり「思い出だよ」カシャ
P「…んあ?」ファサ
P「エッなにこれ、めっちゃ花積まれてる!花に囲まれてる!僕ソファに埋葬されてる?!」ファサファサ
恭二「お、生き返った」
みのり「おはようプロデューサー」
ピエール「プロデューサーさん、ゾンビゾンビ!」
P「君たちさあ…花粉髪についたらどうするんだよ。蜂に大人気だよ」
みのり「ごめんごめん、プロデューサーが気持ち良さそうに寝てたから…って恭二が」
恭二「俺かよ」
みのり「やり始めたの恭二だよね?」
ピエール「みのり、写真見せて」
P「何で写真まで撮ってるの?!」
みのり「はは、良く撮れてるよ」
P「今日レーベルに挨拶と会議に行く日なんだからもっとこう、緊張感とかさあ」
ピエール「レーベル、そんなに怖い所?」
P「いや、怖い所ではないけどデビューシングルが決まる日だから…」
みのり「そっか、そうだよね」
恭二「ようやく現実味を帯びて来たと言うか…」
山村「あ、Pさん頭にまだ花ついてますよ」
ピエール「あー賢、言っちゃ駄目!」
P「あのさあ……ま、良いか」ファサ
P(いつも通りで居られるって、多分悪い事じゃないし)
P「11時からだから、そろそろ出るか。手土産とか買わないといけないし」
ピエール「手土産、ボクも食べられる?」
P「僕たちの分は別に買おうか。会議終わったら食べよう」
車内
恭二「そう言えばさっき企画書読んだけど、サイン会するって本当なのか?」
P「ああ、そのつもりだよ。話題作りの一貫で。まあ、DRAMATIC STARSがやってたから受け売りだけど」
みのり「サインって作るの難しそうだよね」
ピエール「ボク、日本語書く、へたくそ…大丈夫?」
P「ローマ字でも良いよ。勿論日本語でも」
ピエール「プロデューサーさん、アイドルの時、どんなサインだった?」
恭二(ばか、それ地雷…)
P「え?…うーん、そうだなあ。何の変哲も無かったよ」
みのり「今でも書ける?見本が見たいな」
P「みのりさんは沢山アイドルのサイン見てるでしょ?」
恭二「ああ言うのってさらさら書けないといけないものなのか?」
P「最初のうちはそんな事無いよ。書けば多分慣れるし…早く書ければかっこいいけど」
恭二(…意外と地雷じゃない?)
P「…おっと、ここだ。駐車場停めて来るから出て待ってて」
恭二「ピエール、そっち車道だからこっちから出ろ」
ピエール「はーい。…あつい!」
恭二「殺人的な暑さだな…」
みのり「…世界で一番暑く光る夏?」
恭二「なんだっけ、その歌」
ピエール「プリンセスプリンセス?」
みのり「ピエール詳しいね」
ピエール「いっぱい勉強した!」
みのり「ふふ、良い事だね」
ピエール「えっへん!」
恭二(みのりさん嬉しそうだな…)
P「お待たせ。暑いね」
恭二「あんた、駐車上手くなったんじゃないか?」
P「3人の事連れ回してるから、多少は」
P「…さて、勝負の会議だ、行こう」
P「初めまして、BeitのプロデューサーのPと申します。この度はお世話になります」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」
P「こちら企画書になります」
「ふんふん…王子様のようなアイドル、ですか…」
P「どうですかね……」
「いえ、良いと思いますよ。最近そう言う男性アイドルグループ少ないですし」
「歌声のデモってありますか?」
P「はい、こちらになります」
「どれ……良い歌声だと思います。清潔感があって、プロデューサーが正当派を求めるのも分かりますよ」
「それで、売り上げはこの程度だろう、と…」
P「うちの事務所でデビューシングルを比較して、これくらいいけるだろうと言う目安です。どうなるかは分かりませんが…」
「恐らくこれくらいでしょう。Jupiterは電撃移籍と言う事で話題が大きかったですが」
P(本当はもっと強気で行きたいけど…ここは我慢だ…)
「アイドルの皆さんは、曲に対する思い入れはありますか?」
みのり「…そうですね。夢に迎える曲、前向きになれる曲が良いです」
みのり「まだアイドルになって日が浅いので、正直迷う事もあります。それを歌う人も聞く人も、前を向いて歩き出せるような…」
ピエール「向いた先に、ボクたちいる!一人じゃない!」
恭二「背中を押すより、一緒に歩いたり引っ張って行けたら良いですね」
P「皆…」
「そうですか、貴方達と話しているととても真っ直ぐな、綺麗な気持ちになれますよ」
「実はデモがいくつかありまして、それを聞いて頂こうと思ったんですが」
P「! 是非聞かせて下さい!」
「正当派で行きたいと言うのは聞いていたので、いくつかうちの作曲の方に作ってもらいました」
「アイドルの皆さんも聞いて、感想を聞かせて下さい」
みのり「は、はい!」
P「じゃあ全員で聞こえるようにして…」
P「…何か、意外とスムーズに終わったなあ」
みのり「拍子抜けした?」
P「いや、もっとこう、ガチバトル的なものがあると思ってたから」
恭二「どう言うのを想像してたんだよ…」
ピエール「プロデューサーさん、いっぱい頑張った!そのご褒美!」
P「そうだと良いなあ。曲のデモももう決まって、音自体はあとは編曲だけみたいだし。…ああ、でも」
P「歌詞は3人で書いたら、って言われてたね。あのディレクターさん、3人の事結構気に入ってたみたい」
恭二「…まずいよな。歌詞書いた事一度も無いし…」
みのり「うーん、まあ時間はあるから…」
ピエール「それまでに日本語、もっとうまくなる!」
P「締切は今から1ヶ月後かあ。それで発売まで2ヶ月…かなりタイトなスケジュールな気がする…いやそれは皆も一緒だ…」
ピエール「プロデューサーさん、またソファで寝る?」
P「いや、絶対家帰るよ。また花積まれたら堪んないし」
みのり「結構様になってたのにね」
P「ほら僕の話は良いから帰ってレッスン!今日から通し練習だから、ビシバシ行くから!!」
レッスンスタジオ
P「……皆、よくここまで歌って踊れるようになったね…」
恭二「どれだけあんたにしごかれたと思ってんだ。これくらいやってやる」
P「いや、つい1ヶ月くらい前は2週間で1曲やってたのになあ、と思って…」
P「まだ詰めたい所はいっぱいあると思うけど、全部通せたじゃん、今」
ピエール「プロデューサーさん、いっしょーけんめー。だからボクたちも、いっしょうけんめーする!」
P「ピエール…」
みのり「プロデューサーとしては、どうだった?」
P「今ので55分…恭二はMC挟んでも1曲目から2曲目の自分のソロ、やっぱりきつい?」
恭二「平気だ、…とか言えたら格好良いんだけどな…結構厳しい」
恭二「正直小休憩は欲しいって感じだ」
P(やっぱり恭二は自分の事がよく分かってる。ラスト2曲は動きが辛そうだった…言わなくても分かってるだろう)
P「曲の順番変えようか…ピエール、一番最初にソロ出来る?」
ピエール「ボク一番?!やる!やりたい!」
P「そしたら日本語無理して話さなくて良いし、MCも回りやすいかなあ…」
P「恭二のダンスの次にみのりさんの曲でかなりギャップあるけど」
みのり「ギャップはドキドキを生むってプロデューサー言ってたじゃない?」
P「それもそうですね。やってみましょう」
P「あとラストの曲は多分もう体力的に厳しいから、最後のサビは踊らないで前に出て歌ってみて」
恭二「突っ立って歌うって何気に難しいよな。ただ立つだけじゃかっこ悪いし」
みのり「平井堅みたいに手を動かしてみたら?」
恭二「あれは手で音程取ってるよな…ピエールはソロでも普通にやってるけど」
ピエール「恭二、ボクの事見習う?」
恭二「いや、それはやめておく」
P(…よし、何とかここまで来てる)
P(あと一週間、箱を貸してもらえる通しはもう2日前…)
P(皆頑張ってる。僕だって―…)
P(…さっき車の中で自分のサインについて聞かれた時はびっくりしたけど)
P「…普通に話せてる、自分にもびっくりだ」
ピエール「プロデューサーさん、何か言った?」
P「いや、何でも無い。10分休憩したら変更したのもう一回通してみよう」
恭二「10分…出来たら15分にしてくれ…」
P「あはは、分かった」
みのり「ピエール、恭二の事つついてごらん」
ピエール「つんつん?恭二、つんつんする?」
恭二「絶対にやめろ」
数日後 ライブハウス
P「一度止めて、照明確認お願いします」
「じゃあBeitの3人は休憩で」
みのり「はい。ありがとうございます」
恭二「…プロデューサーは…まだ話してるか」
ピエール「プロデューサーさんと、お話したい」
みのり「いつもだけど、つくづく大変な仕事だと思うよ」
恭二「あの人、指示とか出すの上手いしな。余計そう感じる」
みのり「…昔アイドルしてた事も関係してるのかもね」
恭二「おいそれは、」
ピエール「でも最近、プロデューサーさん…アイドルだった事、隠さなくなった」
恭二「確かにな。ピエールが前サインの話した時は地雷かと思ったけど」
みのり「でもあのまま書いて見せてくれたし、良かったんじゃないか?」
ピエール「ボクたち、プロデューサーの力、なれてるかな?」
恭二(そう言えば山村さんがそんな事言ってたっけな)
ピエール「恭二、どう思う?」
恭二「…どうだろうな」クス
ピエール「む、なんで笑う!?」
P「えっと、恭二とみのりさんのMCが終わってはける時は恭二は上手、みのりさんは下手で」
P「一回消してやってみるか…すいません照明落として下さい!」 フッ
みのり「真っ暗だね。ぼんやりテープの光が見えるけど」
恭二「俺が上手…自分から見て左か」
みのり「じゃあ俺が右…わわっ…!……ほっ」
P「みのりさん大丈夫ですか?」
みのり「ケーブルに足をとられかけて…」
ピエール「みのり!こっちこっち!」
みのり「あ、ありがとうピエール…」
P「はける時の為に蓄光テープ増やしておこう…恭二は大丈夫?」
恭二「ああ、…っと、ここスタンドマイクがあるのか」
P「で、はけたらピエールが出て来る…と。ピエール真ん中分かる?」
ピエール「この光るシール、目印?立ってる!」
P「3曲目音楽照明おねがいします!…よし、問題無し。ありがとうございまーす!」
P「ピエールソロが終わって…ピエールはもう一回出た所に戻ってくれる?」
ピエール「みのりの方行く?」
P「うん、そうそう。それで恭二が上手から出て来て、音楽と照明…」
P「確認完了しました。ありがとうございます。明日の本番もよろしくお願いします」
「お疲れさまでしたー」
「本番も頑張って下さい」
恭二「ありがとうございます」
「あとBeitのライブ前売り券、完売しました」
ピエール「本当?!お客さんいっぱいくる?!」
P「そんな事あるんですか?50人も下北沢のステージと握手会で来るように思えないんですけど…」
「ネットで動画上がってたり、ライターが記事書いたりしてますよ?」
「アイドル速報~みたいなまとめ記事にも出てるし」
P「えっうそ……これも315プロの広告に含まれてるのかな…社長に今度聞いてみよう」
「当日券出します?」
P「混雑が予想されるようだったらお願いします」
みのり「びっくりだね。そんな事あるんだ」
P「プロデューサーなのに把握出来てない自分に凄いびっくりしてますよ…」
みのり「そんな中でCDデビューの発表させて貰えるんだ」
P「緊張します?」
みのり「今からドキドキしてるよ。…あと、握手会で会った子も、来てくれたら良いな」
みのり「その内の一人に何でアイドルしてるのかって聞かれたんだ」
P「へえ…理由話しました?」
みのり「うん、やんわりとだけど。そしたら、俺たちのステージに惹き付けられたって言われて、嬉しくて」
P「きっと、来てくれますよ」
P「一度事務所戻る?送って行っても良いけど」
恭二「俺は事務所でシャワー浴びたい」
P「家の水道代ケチるのもほどほどにしてほしいんだけど…バレてないのが救いか」
ピエール「ボク、お迎え事務所になってる。ボクも事務所行く」
P「みのりさんどうします?」
みのり「じゃあ送ってもらおうかな。夜道は危ないし…って言う歳でもないけど」
P「3人とも大事なアイドルだからそれくらいしますよ」
P「んじゃ、出発しますよっと」ブロロロ…
ピエール「明日…楽しみ」
恭二「前のステージは緊張してぶるぶる震えてただろ」
ピエール「恭二だって、手震えてた!」
恭二「…そうだな。でも今は、そんなに緊張してない」
P「そうなの?」
恭二「してない訳じゃないけど…やっとここまで来たと思って。まだ活動して1ヶ月くらいだけどな」
ピエール「これからもっともーっと、アイドル楽しくなる!ボク、とても楽しみ!」
みのり「花に例えると、やっと芽が出たって所なのかな…まだまだこれからだよ」
P「なんだ皆、全然平気そうだ」
みのり「でもこうやって、大切に育ててもらってここまで来てる」
みのり「明日はそれを少しでも、返せたら良いね。お客さんやプロデューサーに」
P「僕?」
恭二「あんたが居なかったら俺、そもそも踊れてないしな」
ピエール「ボクも!一番素敵な歌、プレゼントする!」
P「…はは、嬉しいな。そんな風に言ってもらえて」
みのり「あ、ここで停めてもらって良い?家、すぐそこなんだ」
P「お疲れさまでした。今日はしっかり休んでください」
恭二「みのりさん、お疲れ」
ピエール「みのり、また明日!」
みのり「二人とも、あまり夜更かししないようにね。プロデューサーも」
P「あれからちゃんと家帰って寝てるんで大丈夫です!」
みのり「ふふ、明日…成功させよう。おやすみ」バタン
P「さ、ちゃっちゃか残りの二人も事務所に送りますか。夜更かしされたら困るし」
恭二「プロデューサーまで…やめろよ、ガキじゃないんだから」
ピエール「ボクもガキ、ちがう!」
恭二「ピエールはガキだろ」
ピエール「ガキ、言う方がこども!」
恭二「そう言う所がガキだって言って…うわっ!ちょっお前のパンチ洒落にならないからやめろって」
P「わー、社用車であんまり暴れないでー」
…
………
……………
「ねえ、プロデューサー。僕、いっぱい仕事がしたいです」
「歌ったり踊ったり、ファンとふれあったり…」
「それで、誰かを笑顔に出来たら良いな!」
「うん、君の好きな事をすると良い。応援するから――」
「一緒に頑張ろう」
ppppp…… チュンチュン チュン
P「……朝だ」
P(あれ、泣いてる)
P(……そうか、僕にも)
P「そう思ってた時が、あったんだなあ」
>>201
メニューの名前思いつかなくて…ガストに頼った…
このPはよく考えたら恭二と殆ど歳変わんないくらいだしな。子供心があるくらいでいいと思うよ
桜庭先生は前イベントでゼーハー言いながら砂糖水飲んでるのが印象的だったよ
明日で全部終わる予定だから皆はイベントに熱中するんだぞ!
Beitがすきなみんなとのおやくそくだ!
おつおつ
ピエール二枚取り応援してる
>>224
2枚取りきつそうだね…頑張ろうと思うよ
このスレ終わったらコインカード買うんだ…
事務室
P「おはようございます」ガチャ
恭二「プロデューサー、おはよう」
P「あ、あれ?早くない?」
恭二「下で踊って、シャワー浴びてた」
P「最近それ日課になってるよね?」
恭二「自主練してシャワー浴びて、水道代浮くんだから最高だろ」
P「前半は否定しないけどさ…もしこのままトップアイドルになったら水道代に困る事ないよ」
恭二「…今は到底考えられない生活だな」
恭二「あと、デビューシングルの歌詞考えてた」
P「ああそっか。あと締切まで2週間くらいだっけ?」
恭二「明日、3人で書いたの見せる事になってる」
P「僕にも見せてよ」
恭二「完成したら見せる」
P「うええ~プロデューサーに隠し事するんだ…何かかなしいなあ~…」
恭二「気持ち悪い演技するなよ…」
ピエール「おはようございます!」ガチャ
P「おはようピエール。今日はピエールも早いんだ」
ピエール「恭二、日本語おしえて!」
恭二「良いけど…みのりさんに聞いた方が優しいと思う」
ピエール「みのりに聞いた。けど、みのり、分からなかった」
恭二「みのりさんってさ…いや、何でも無い」
P「絶対本人に言わない方が良い事考えたよね?」
P「ピエールも歌詞書いてるんだ?」
ピエール「うん。ボク日本語得意じゃない。だから時間かかる」
P「この一生懸命でひたむきな笑顔、心打たれない人間が居るだろうか…いや、居まい」
恭二「あんた今日テンション高いな?」
P「そりゃあね、Beitのライブだから。頭のネジはずれてるよ」
恭二「テンション高いのは良いけどしっかりしてくれよ。そうじゃないと困る」
P(って、言うのは冗談にして…メールチェック…)
P「…お、CD発売のサイン会の場所決まった!」
みのり「おはようプロデューサー…あれ?皆居る。もしかして俺、また遅刻?」ガチャ
恭二「いや、今日は俺達が早かっただけだ」
ピエール「歌詞、書いてた!」
みのり「ああそっか、明日だよね」
恭二「みのりさんはどこまで書いた?」
みのり「書き直すかもしれないけど…一応全部書いたよ」
ピエール「みのり!すごーい!」
恭二(なのに漢字は分からないのか…?)
P「丁度良かった、みのりさんも聞いて下さい。サイン会の場所決まりましたよ!」
恭二「結局どこになったんだ?」
P「下北沢のCDショップだよ」
みのり「また下北沢になっちゃったね」
ピエール「ボクたち、下北沢のアイドル!」
P「今日のライブハウスの人が、声かけてくれて…それで。本当はアイドルのCDとかあんまり置いてないらしいんだけど」
みのり「人との繋がりが仕事を呼んだんだね」
ピエール「プロデューサーさん、いつも真面目にやってる。だから人が、それに応える」
P「…そうだと嬉しいんだけどね。あはは」
恭二「自信持てよ。それなりの事してると思うぜ」
prrr…prrrr……
P「あ、僕の携帯だ…はいもしもしPですが…はい、本日はよろしくお願いします!」
P「え?当日券ですか?そうですね、何人くらい入りますか?がんばって10人…」
P「じゃあ10人で、増えた場合抽選にしてください。はい、抽選は会場の一時間前とかにして。今来てる人には整理券配って」
P「はい、それでお願いします。ありがとうございます!はい、失礼します」ピッ
みのり「ライブハウスの人?何か言ってたかい?」
P「当日券、出す事になりそうだって。今も何人か来てるらしい」
恭二「まだ朝の10時なのに?」
P「うーん…ネット馬鹿に出来ないな…」
P「最悪、抽選になる可能性もある。だから見られない人の分もしっかりパフォーマンスしよう」
P「それにしても今回は完全にキャパを読み間違えたなあ…」
みのり「それは仕方ないよ。あの時は記事書いてくれる人も居なかった訳だし」
P「恭二、ピエール。歌詞はキリの良い所で上げて、そろそろ行こう。会場行ってリハーサルだ」
ピエール「わかった。…よし、書けた」
みのり「ピエール、書き終わったのかい?」
ピエール「うん!明日これでばっちり!」
恭二「俺はまだだな。でも明日までになんとかする」
みのり「今日のコンサートで気が変わっちゃう事もあるしね」
P「衣装確認して、ほつれたりしてない?」
恭二「この衣装、動き難いと思ってたけど案外動けるよな」
ピエール「恭二のダンスにも、耐えられる!ひゃくにんのっても、だいじょーぶ!」
みのり「それは厳しいかも…」
下北沢 ライブハウス前
P「…ん?あれってもしかしてライブハウス行く予定の娘かな?」
みのり「そうだと嬉しいけど…こっちに気付いたみたいだよ?」
恭二「…何か雰囲気おかしくないか?」
P「もしかして…入り待ち?あ、やばい目あった。それっぽい」
ピエール「入り待ち?」
みのり「アイドルが会場入りする時を待ってる人の事だよ。一目でも見たいんだろうね」
恭二「でもまさか、自分が出待ちされるとはな……」
みのり「こう言う時ってどうしたら良い?」
P(デリケートな問題だな…待つ事で会えると思われるとライブハウス側にも迷惑だし…)
P(何より今後人気が出たら、同じ対応を出来る自信がない)
P(無難に回り道か…それとも居るのは物好きな5、6人だ。来てくれた事に感謝してサービスすべきか…)
P「…よし、すぐ入れる所につけるから、少し手振ってすぐライブハウス入るようにして」
恭二「大丈夫なのか?」
P「大丈夫と大丈夫じゃないの境目を取ったんだよ。これで勘弁して」
ピエール「いっぱい触れ合う、だめ?」
P「うん、触れ合いすぎるとファンの中で平等不平等が出来ちゃうからね。今は良いけど、今後に響く」
みのり「アイドルは皆に平等でないとね」
ピエール「むむ…アイドル、難しい…」
P「じゃあ車入れて来るから、3人は先に入ってて」
ピエール「入ったら、すぐ着替える?」
P「うん、リハーサルすぐに入りたいし着替えて待ってて」
P「スタッフさんに礼儀正しくね」
ピエール「はーい!」
恭二「分かってるよ。あの人達も俺たちの為に頑張ってくれてる」
みのり「感謝の気持ちを態度で表すくらいしないと」
P「良い心がけだよ。じゃ、あとで」ブロロロ……
みのり「わ、こっち見た。本当に待ってたみたいだね…」ヒラヒラ
「手振った!」「こっち見てるー」「ピエールくんかわいい~」
恭二「ほらピエール、可愛いって言われてるぞ」ヒラヒラ
ピエール「えへへ、お姉さんたち、ありがとー!」ブンブン
みのり「それくらいにしてそろそろ行かないと」
みのり「おはようございます。本日はよろしくお願いします!」
「おはようございまーす。Beitの皆さん来ましたー」
「本日はよろしくお願いしますー」「がんばりましょう!」
恭二「よろしくお願いします。今プロデューサー車入れてるんで先に着替えてきます。来次第リハだそうです」
「オッケーです。鷹城くん、そんなかたくならなくて良いよ」
「ピエールくんも渡辺さんも、今日は楽しくやろうね」
三人「…! はい!」
P「遅くなりました。本日はよろしくお願いします!」
「おはようございますPさん、今日はよろしくお願いします」
P「Beitの3人は今着替えてますか?」
「はい。楽しくやろうね、って言ったら嬉しそうでした」
「良い子達ですね」
P「…はい、良い子達ですよ。とても。僕には勿体ないくらいだ」
「はは、べた惚れだなあ」
P「プロデューサーですからね!」
「…でも、Pさんも――」
ピエール「あ、プロデューサーさん来てる!ボク、上手に着替えた!」
P「ごめん遅くなって。3人とも着替えるの早くなったなあ」
みのり「そろそろ馴染んで来たかな?」
恭二「もう一度聞くけど、ほつれたりしてないか?」クル
P「恭二は激しいダンスあるから…うん大丈夫、破れてないよ」
P「じゃ、通しリハやってみようか」
(…真っ直ぐでぴったりだ。自分のアイドルをまっすぐ見てる)
開演前 幕裏
P「はー…お客さん入って来た。声聞こえる」
ピエール「プロデューサーさん、キンチョーしてる?」
P「アハハ…情けない事に……」
みのり「俺もしてるよ。やっぱり2回目じゃ慣れないよね」
ピエール「恭二、さっきから黙ってる。大丈夫?」
恭二「出来るだけ体力温存しておこうと思って…」
P「そう言えばMCって考えてます?多分みのりさんが中心に回すと思うんですけど」
みのり「うん。とりあえず挨拶して、ピエールには捌けてもらって……それから何するんだっけ?」
恭二「しっかりしてくれよみのりさん…お互いの印象の話とか、そんな感じだろ」
みのり「あはは、そうだった」
P「恭二、調子出て来たね」
恭二「結局こうなるんだな」
ピエール「お客さん、ちょっとここから見える。女の子がいっぱい!」
恭二「…本当だ、意外と居るな」
みのり「今までで一番人が多いね。この感じだと当日券も全部?」
P「抽選だったみたいだよ。見せられない人にも届く良いパフォーマンスしよう」
P「…お、スタッフさんが動画撮ってくれるみたい」
みのり「どれどれ……わ、ちょっと!恭二押さないで…!」
恭二「ちがっピエールおまっこっち寄って来るな…!」
ピエール「ごめんっボク滑っ……!!」
ズベシャッ
「きゃー!」「もう開演時間?」「転けて出て来ちゃったみたい」
みのり(う、うわ…やっちゃった…!)
恭二(どうすんだよこれ…)
ピエール「あ、あはは…」 キャーカワイイー
P「……3人共、すごく……重い……」
みのり(プロデューサー!)
ピエール(わ、どど、どうしよう…)
恭二(…スタッフさん、一回照明落としてくれ…気付け!)
恭二(上指差してるだろ!…くそっこうなったら、)
恭二「……あともう少し待ってて、楽しみにしててくれよ」 ニコッ
キャー! フッ
恭二「よし、皆早く起きろ」
みのり「恭二、大胆なファンサービスだね…」
恭二「あそこでそそくさ戻ったらかっこわるいからな」
ピエール「プロデューサーさん、大丈夫!?」
P「大丈夫、ちょっと肘打っただけ」
ピエール「ケガした?ボクこう言う時の、おまじない知ってる。チチンプイプ~イ!いたいの痛いの、飛んでけー!」
ピエール「…痛いの、なくなった?」
P「……ピエール、絶対将来大物になるよ…」
ピエール「?」
P「えーっと、まあ、軽い失敗もあったけど…そろそろだよ。水とタオルここに置いてあるから。僕もここに居るし」
みのり「一回前出ちゃったからかな。さっきよりは緊張してないみたいだ」
恭二「お客さんには笑われたけどな…」
ピエール「皆が笑顔、いいこと!」
恭二「…まあ、そう言う捉え方もあるか。でも、歌とダンスはきっちりやってやるよ」
P「……うん。行っておいで!」
雰囲気いいなあ
>>238
Beitは本当に雰囲気の良いアイドルだと思うわ
それを少しでもダイマ出来てたら嬉しい
♪InaZuma☆Venus
P(…始まった。心臓、前以上にバクバク言ってる。…自分が出てる訳じゃないのに)
P(でも皆は軽いハプニングもあったけど、あがってないみたいだ)
P(うん、右左右…ダンス揃ってる)
P(楽しそうにやってる。照明のせいもあるかもしれないけど…きらきらしてる)
P(お客さんにも、そう言う風に見えてるのかな?)
P(きっと、僕だけじゃないよね)
みのり「みなさん、こんばんは!Beitです」 キャー
ピエール「来てくれて、アリガトー!」
恭二「楽しんで行ってくれよ」
みのり「…恭二、それさっきも言ってなかったかい?」
恭二「いや、さっきは急にピエールが倒れて来るから」
ピエール「ごめんってボク、謝った~」
恭二「…そろそろ自己紹介するか。Beitの鷹城恭二です。よろしくお願いします」
ピエール「!! 恭二、話そらした!ボク、ピエール!今日は皆の事、いっぱい笑顔にする!」
みのり「Beitの渡辺みのりです。今日が皆の良い思い出になってくれたら嬉しいな」
恭二「…と、ここでピエールには一回はけてもらって」
みのり「ソロの準備だね、いってらっしゃい」
ピエール「うん!……お姉さんたち、またねっ♪」 キャー!!
恭二「……恐ろしいなあいつ」
みのり「俺たちじゃ出来ないね…」
P「ピエール、1曲目良かった!はい、水」
ピエール「ありがと!ねえ、ボクかっこよかった?」
P「うん、かっこよかった。すっかり王子様だよピエールは」
ピエール「本当?!うれしい!」
P「この調子でソロも頑張ろう。お腹から声出すの、忘れないで」
ピエール「もちろん!」
みのり「…じゃあそろそろピエールのソロに行こうか。俺たちのソロもあるから、楽しみにしててね」
恭二「折角だから俺たちもやっておくか」
恭二「…お姉さんたち」
みのり「……またねっ」 キャー!!
ピエール(よーし、いってきまーす!)
♪この星で生まれて
I miss you tonight
How long can I wait for you ?
君と僕とは同じこの星で生まれて
奇跡のようなそんな出会いを繰り返し 生きてる
この前の話の続きをしようよ
曖昧な君の仕草で 夜も眠れない
ずっと気になってた やっと言えた気持ち
二度と言えない言葉 わざと聞き返して
ピエール(この歌、人との出会いを大切に思う歌)
ピエール(それで、恋する曲)
ピエール(…ボク、恋はまだした事ないな)
ピエール(恋ってよく分からないけど、ドキドキしてわくわくして…きらきらしてる?)
ピエール(…今のこの感じに、似てるかも)
P「MC楽しそうだったね、二人ともタオルと水どうぞ」
みのり「大勢の前で喋るのって緊張するね…花屋で働いてる時は大勢は相手にしなかったし」
恭二「少し喋るだけで喉カラカラだ」
みのり「ピエール、調子良いみたいだね」
P「ピエールが恥ずかしい事言えちゃう王子キャラ的な感じになってきたなあ」
みのり「手越祐也くんみたいな?」
P「ラブホリ先輩みたいな?」
恭二「ああやるとテンションあがるんだろ」
恭二「さて、そろそろ俺か…行って来る」
P「うん、いってらっしゃい」
みのり「俺も準備するよ。あ、ピエール戻って来た。おつかれ、ピエール」
♪Turn up the music
Turn up the music, cause this song just came on
Turn up the music, if they try to turn us down
Turn up the music, can I hear it til the speakers blow
Turn up the music, fill your cup and drink it down
If you sexy and you know it, put your hands up in the air
Put your hands up in the air, girl, put your hands up ….
恭二(別にダンスは得意な方じゃない)
恭二(でもあの人が、プロデューサーが俺なら出来るって言ってくれた)
恭二(お客さん、照明で見えないけど…雰囲気で分かる)
恭二(びっくりしてんだろ。俺、踊れるんだぜ。Beitで一番踊れるようになった)
恭二(歌ったり踊ったり、自分の為にしてる事を)
恭二(…誰かに喜んでもらえるって、嬉しい)
みのり(恭二もピエールも、最初の頃より歌ったり踊ったりするのが楽しそうになった)
みのり(俺は二人が何を思ってアイドルを目指してるのかは、よく分からないけど)
みのり(今の二人、とっても素敵だよ)
みのり(…それは、プロデューサーもかな?)
みのり「俺は…どうかな」
みのり「…そろそろ行かなくちゃ」
♪僕らの街で
この小さな街で この時を生きて
僕らは 出会った あのまぶしい 夏の日
僕らはいつも 明日を見ていた
ほんの少し 背伸びするようにして
みのり(…あ、握手会で話した女の子、来てるみたい)
みのり(俺、あの時よりアイドルらしくなれてるかな?)
みのり(また、感想聞きたいな)
淡い後悔を 誰かの涙を
いつの日か 振り返る時が来るんだろう
見えない未来に 息をひそめて
それでも僕らは 今を生きている
みのり(プロデューサーは、どんな風に俺たちが見えてるんだろう)
みのり(多分、彼にも色々あって。俺たちにも色々ある)
みのり(それを知らないまま、誰かが俺の事をこうやって、見てくれてる。応援してくれる)
みのり(……アイドルって…こう言う事なんだろうなあ)
みのり(…歌うと時間って、あっと言う間だ。あと2曲、MCも精いっぱいやらなくちゃね)
いつか 夢の近くまで行けるのかな
でもそれはまだ ずっと先のことみたいだ
初めて君を 見つけたあの日
突き抜ける 青い空が ただ続いていた
ピエール「みんな!楽しんでるー?!」 キャー!!
みのり「ピエールが一番楽しそうだよ」
ピエール「えへへ、うん、たのしー!」
恭二「みのりさんは?」
みのり「すっ……っっごくたのしい!やっぱりアイドルって素敵だよ!」
恭二「それは良かった」
ピエール「恭二も楽しい?」
恭二「当たり前だろ」
みのり「でも、楽しい時間ってあっという間だよね。次で最後の曲だ」 エー
ピエール「悲しい顔、しないで。すぐまた会える!」 ホントー?
恭二「本当だよ。その証拠に……」チラ
みのり「……」チラ
ピエール「……せーのっ」チラッ
三人「Beit、CDデビューする事になりました!」
「きゃー!すごーい!」「おめでとー!」
「絶対買うねー!」
みのり「これからまた皆に会える時が来ると思うから、楽しみにしててね」
恭二「今日ここに来られなかった人とか、Beitの事を知らない人にも教えて欲しい」
ピエール「CD発売日、サイン会する!皆、遊びに来て!」
みのり「また会えるのを楽しみにしてるよ。嬉しい発表もした所で…そろそろ最後の曲に行こうか!」
恭二「最後の曲は――きらめきの彼方へ!」
恭二「……あっと言う間だったな」
みのり「1時間って、こんなに短いんだね」
P「よく言うよ、アンコール2回も出ておいて」
ピエール「だってお客さん、いっぱい喜んでくれた。嬉しかったから、伝えたかった」
P「…お疲れ、3人とも。楽しかった?」
みのり「うん、とっても」
恭二「このままもっと、大きな舞台に立ちたいと思った」
ピエール「色んな人笑顔できた。嬉しかった!胸がぎゅーっとあつくなって、幸せだった!」
P「うん、凄い輝いてたよ。まるで…」
ピエール「王子様みたい?」
P「はは、その通り!」
一週間後 事務室
P「え、歌詞の提出?もう良いの?あと一週間くらいあるんじゃ…」
恭二「良い。これで完成した」
ピエール「ボクたち、自信作!」
みのり「最後にプロデューサーに確認して欲しいんだけど…どうかな?」
P「やった、ずっと見たかったんだよね。誰も見せてくれないから」
恭二「完成してないもの見せる訳にはいかないだろ」
P「……」ペラ
ピエール「プロデューサーさん、…どう?変じゃない?」
P「夢が詰まってるなあ。聴く側も歌う側も前向きに…か。良いと思うよ」
P「今の3人の気持ちが全部詰まってる」
ピエール「…えへへ」
P「アダムとイヴがそうだったように…って凄い歌詞だな」
みのり「それ書いたの恭二だよ」
恭二「そう言う事は言わなくて良い!」
恭二「…じゃあそれ、新しいの印刷して送っておいてくれ。そこのPC借りたから、データは入ってる」
P「了解。多分明後日くらいに返事来るよ」
P「そしたら曲も来るだろうからレコーディングとレッスンだな」
P「とりあえず、今日はジャケットの撮影やるから、撮影スタジオ行こうか」
撮影スタジオ
みのり「ミニライブの時もだったけど、照明って暑いよね」
恭二「ああ…しかもこの格好だからな。長袖に手袋」
ピエール「ボク、手袋してない…けど、首、ちくちくする」
恭二「そのファー殺人的だよな…よく耐えてると思う」
ピエール「恭二、ボクの事、褒めてる?」
恭二「ジャケット撮影上手く行ったら褒めてやるよ」
「3人ともカメラ見て、ピエールくん真ん中で―…」
「鷹城くん、表情硬いなー」
恭二(元からこう言う顔だって)ムス
P「どう?調子の方は」
ピエール「写真撮る、すごく楽しい!」
P(流石ビジュアル特化だなあ…本人には自覚ないけど)
みのり「こんな風に撮られる事、今まで初めてだから…ほら、そこにも別のアイドル居るし…凄いなあ」
P(みのりさんは別の意味で楽しそうだ)
恭二「…元からこんな顔なのに、表情硬いって言われた時はどうしたら良いんだ?」
P「それは…この前のライブの時みたいににこっと笑ってみたら?」
恭二「あれはそんな連発出来るものじゃない」
P「アイドルなんだから連発して欲しい所なんだけど…」
「あれー?!Beitじゃないっすか?!」
P「! その声…伊瀬谷くんか」
四季「Beitのプロデューサーちゃんじゃん、元気?」
P「元気だよ。ああ…今日はバンドの皆も一緒みたいだね」
四季「全員で今度雑誌に出るから、その撮影!アイドル雑誌じゃなくてバンド雑誌!」
みのり「そっか、High☆Jokerはアイドルって言うかバンドに近いんだ」
四季「ジュンっちがそう言うチャラチャラしたの好きじゃないっす。オレはアイドルも良いと思うっすけど…」
四季「でもやっぱりロックが一番っす!今はライブ中心に活動してるっすよ」
ピエール「四季の歌、また聞きたい!」
四季「今度是非来てほしいっす!ワンドリンクくらいならサービスするし」
恭二「315プロなのにチケット代は取るのかよ」
四季「Beitは調子どうっすか?」
みのり「CDデビューが決まったから、今日はジャケットの撮影だよ」
四季「マジっすか?!マジメガMAXやばいじゃん?!」
四季「オレたちも負けてらんないっす!あっ皆が呼んでる…じゃあもう行くっす。また一緒のステージで歌いたいっすね!」
P「元気な子だなあ…」
みのり「いつも楽しそうだよね」
恭二「…黒髪の奴に怒られてるな」
P「でもあのバンド、ロックっていうかもうちょっと可愛い系だよなあ…皆若いし」
みのり「チェッカーズみたいになったら良いね」
P「あー、今の衣装もどことなくそんな感じかも…ありだなあ」
ピエール「恭二、チェッカーズ分かる?」
恭二「いや…俺まだ多分生まれてない時だし」
ピエール「なみだーの、リクエースト♪」
みのり「ふふ、ピエール上手いうまい」
恭二「ピエールがどんどんあっち側になっていく気がする」
P「恭二も勉強する?」
恭二「…必要になったら」
恭二「…結局表情硬いって言われたままだった……」
P「気にする事ないよ、にこにこ顔はピエールとみのりさんの方が上手いし」
みのり「凛々しいアイドルも需要あるよ」
ピエール「恭二、いつか出来る。ドンマイ」
P「そうそう。クールなアイドル鷹城恭二がふとした時ににこっと笑う…って需要ありそうだよ」
恭二「そう言うもんか?」
みのり「そういうものだよ!」
恭二「何でみのりさんがそんなノリノリなんスか」
P「あ、衣装脱いだら貸して。クリーニング出すから」
みのり「今はこれ一着だけど、いつか別の衣装も着てみたいね」
ピエール「涼しいやつ!」
恭二「黒いのとか良いな」
P「考えておくけど、シングル1曲目まではもうこれで撮ってるし、しばらくこれだろうなあ…」
P「アイス買うから許して」
ピエール「ハーゲンダッツ、食べたい!クッキーアンドクリーム!」
P「よしきた!勿論オッケーだよ!」
恭二「そうか、もうすぐ月末か…あんたこの時期財布厳しいんじゃないのか?」
P「Beitが頑張ってるお陰でお金はそれなりにあるんですよこれが」
P「恭二とみのりさん、あとピエールの口座にも月末給料振り込まれるから。多分まだそんなに多くないけど」
恭二「!!」
みのり「ああそっか…アイドルだもんね。この間のチケット代も一応有料だったし…」
P「何でそんなぼーっとしてるんですか?」
恭二「楽しくて夢中だったから…働いてるって気持ちじゃなかった」
みのり「むしろ俺が楽しませて貰ってるのにって思って」
P「…それがアイドルだよ」
恭二「…そっか」
みのり「なんだかこそぐったいね」
ピエール「ボク、お給料で新しいカエル買う!カエールのともだち!」
P「ちゃんとご家族に使って良いか聞いてからだよ」
ピエール「……家族…」
P「ああそっか、ピエールはご家族が海外に居るんだったね」
ピエール「ウン…そう、なんだけど」
P(……おや?)
P「ピエール、アイス美味しい?」
ピエール「うん、クッキーアンドクリーム、一番美味しい」
みのり「ピエール、一口貰っても良い?」
ピエール「みのり、あーん」
みのり「…あ、髪の毛にアイス付いちゃった」
P「ティッシュ後ろにあるんで使って下さい」
恭二「はいティッシュ。みのりさん髪の毛長いっスよね」
みのり「男で髪長いの、変かな?」
恭二「似合ってるから良いんじゃないっスか」
ピエール「みのり、そこじゃない。ボクとってあげる」
みのり「ありがとうピエール、綺麗になったみたい」
P「…こうやって見てると家族みたいですよね、3人って」
P「みのりさんは優しいからお母さんで、ピエールは子供、恭二はパパ…って言いたい所だけどどっちかって言うと兄っぽいよなあ」
恭二「……」
ピエール「……」
みのり「…家族、かあ……」
P(えっ…あれっ、僕なんか変な事言った?!)
恭二「…そしたら父親はプロデューサーだな。車運転出来るし」
P「みのりさんだって出来るじゃん」
みのり「しっかり俺達の面倒見てくれるし、それっぽいよプロデューサーは」
P「ええ…そうかなあ。そうだと嬉しいんだけど」
ピエール「…ボク、皆が家族、だったら……良かった」
P「ピエール…」
P「…じゃあお父さん、頑張ったピエールにご褒美あげちゃうぞ~!ドライブだ!」
ピエール「! ドライブ、する!」
P「よっしゃ、じゃあ海でも行くか…二人は何かリクエストある?」
恭二「海なんて全然行ってないな…」
みのり「俺もだ。折角だし行こうよ。もうすぐ夏も終わるし」
P「8月ももうすぐ終わるんですよね。…全然暑さは終わりそうな気配ないけど」
ピエール「海行ったら遊んでも良い?」
P「うーん、クラゲとか居たら危ないけど…良いよ。ちょっとだけなら」
ピエール「プロデューサーさん、だいすき!」
P「やった~!それじゃあ出発しますよ、っと」ブロロロ……
数日後 事務室
山村「…それで地雷を踏んでしまった、と…」
P「はい……色々あるみたいです」
P(皆家族って言葉に過剰反応してたなあ…)
P(これがワケありってやつかあ…あああ~)
P(皆僕の事聞かないで、一生懸命頑張ってくれてるのに…ああああ……)ゴロゴロ
山村「色々あるって、やっぱり315プロはワケあり……」
P「や、そう言うんじゃないです!!」
P(3人の秘密は僕の中だけに留めておかないと…)
P「…さ!今日はレコーディングだし!そんなうじうじ悩んでる暇ないって」
山村「バイタルゼリーいります?」
P「あ、お願いします」ヂュー
恭二「おはようございま…10秒チャージ、2時間キープ?」
P「イエス」ヂュー…
P「今日レコーディングだけど、調子どう?」
恭二「今、下でピエールとみのりさんと歌って来た。多分大丈夫だ」
P「二人は?」
恭二「もうすぐあがって来る」
P「って言うか僕にも聞かせて欲しいんだけど…」
恭二「だめだ。今回はあんたの事をびっくりさせる事にした」
P「また僕だけ仲間はずれか…」
恭二「そう言うんじゃない。多分その内分かる。…っていうか普段のレッスンではあんたも見てるだろ。ただの朝練だよ」
P「まあそうだけど…皆の自主性に感謝するべきか…」
恭二「そう言う事だ」
ピエール「おはようございまーす!」ガチャ
P「おはようピエール」ヂュー
みのり「おはよう。プロデューサー、そのゼリー好きだね」
P「これですか?10秒チャージ2時間キープですよ」ヂュー
ピエール「それおいしい?」
P「うーん、山村さんこれ味どうにかならないんですか?レッドブル的な効果はあるんだろうけど」
山村「いや、この事務所で推奨されてるゼリーなんでちょっとそこまでは…」
ほのぼのする……
P「さっきまで下で練習してたんだって?」
ピエール「うん、圭と会った!圭やっぱり歌上手」
ピエール「でも上手くなったって、褒められた!」
P「Altessimoの二人は確か…フィリアホールでコンサートするんだっけ?」
みのり「そうなんだ。でもあの感じだと合ってるかも…水嶋さんの所は今度限定カフェするって言ってたっけ」
P「あそこのユニットも面白いですよね。ああそうだ恭二、硲さんたちのユニットは朝の子供番組に出るらしいよ」
恭二「あー…元々教師らしいしな。似合うんじゃないか?」
恭二「俺たちも負けてられないな」
みのり「…そうだね」
ピエール「今日のレコーディング、がんばる!」
P「やる気だなあ。良い事だ!今日は衣装いらないんだったな。行こう」
みのり「たまには俺運転しようか?」
P「え、良いですよそんな」
みのり「そしたら、ガソリンスタンドの横を右に曲がって、突き当たりで左に行くと早く行けるよ」
P「ええ…本当ですか?」
P「本当だった!」
恭二「今までのは何だったんだよ」
P「いやあ、大通りを使ってたら…」
ピエール「みのり、すごい!」
みのり「車で花を配達する事もあったからね。土地勘はある方だと思うけど…」
恭二(それを普段の抜けてる所に活かせればな…)
みのり「どうかした?」
恭二「いや、別に」
P「初めてのレコーディングだし、何回失敗しても多分怒られたりしないから」
P「どんなに良くても歌い直す事も結構あるし」
ピエール「そうなの?」
P「うん、基本テイク重ねて良いものを繋げて行くものだから」
P「だからこそCDで良くてもライブでは…って事がたまにあるんだけどさ」
恭二「俺たちはそんな風になったりしない」
みのり「CD音源よりライブの方が良いって思われたいよね」
Beit好きだから嬉しい
みのりさんってギャップも魅力的だよね
初めて見た時儚げな都築さんタイプだと思ってた
>>259
Beitはほのぼのが似合う(確信)
>>262
Beitは本当に良いものだよね
今回のイベントでもっともっと好きな人が増えたら嬉しい
>>263
みのりさんは見た目のギャップと色んな属性があって魅力的だね
尚このssではドルオタと抜けてる所が推されている模様
レコーディングルーム
「じゃあ次BメロとCメロ続けて2回ずついきまーす」
みのり「はい!お願いします」
P「みのりさん、輝いてるなあ…」
恭二「その辺のアイドルと同じ事やってる訳だしな」
ピエール「ボクも早く、歌いたい~!」ウズウズ
P「もうすぐもうすぐ」
恭二「でもああやって良い音で聞いて、歌えるって凄い事だよな」
P「そうだよなあ。僕もアイドルの時はわくわくしたもんだよ」
ピエール「プロデューサーさん、アイドルの時、CD出してた?」
P「うん、1枚だけだどね」
P「……あ、みのりさん終わったみたい。よしピエール、思いっきり歌っておいで」
ピエール「任せて!ボク、頑張る!」
恭二「…あんた、やっぱりそれなりにアイドルしてたんだな」
P「まあね。色んな事させてもらったよ」
恭二「何か持ってないのか?そういうの」
P「うん、自分では全部捨てちゃったから」
恭二(…傷は深い、か?)
みのり「はあっ…凄く楽しかった。何度でもやりたいくらいだよ」
P「セカンドシングルも出しましょう。絶対に」
恭二「ピエールの方は…気持ち良さそうだな。あ、音外した」
P「楽しそうだから良いんじゃない?撮り直しはよくある事だし」
みのり「ふふ、身体が揺れてる。今にも踊り出しそうだね」
P「そう言えば二人とも、ピエールに誘われて315プロに来たんだよね?」
みのり「うん」
恭二「そうだな」
P「ピエールは色んな人を笑顔にしたいってよく言ってるけど、何でかは…」
みのり「そう言えば知らないね」
恭二「まあ、あいつの自身の事だしな」
P「そうだよなあ…うーん…」
beitかわいいよね、もともと木星Pだった俺がこのイベントでbitePになるほどの可愛さ
恭二「何だよ、なんか引っかかるのか?」
P「いや、ピエールって今家族と離ればなれだし、両親の了承取ってるのかな?って思って」
P「好きにさせてるんだったら、良いんだろうけど」
P「でもただのプロデューサーがそこまで踏み入った事を聞くのもなあと思って。事務所に居る時点でそこはもう…」
みのり「…聞いてみたら?今のプロデューサーなら、ピエールも答えてくれるかも」
P「今のって?」
恭二「出会った時よりは信用してるって事だ。ピエールもな」
P「……」
恭二「…何だよ」
P「いや、ごめん…ちょっと嬉しかった」
みのり「ふふ、これからも信頼してるよプロデューサー」
P「じゃあごめん、今日はピエールと二人にしてもらっても良いかな?聞いてみるよ」
恭二「教えろとは言わないから、しっかりやれよ」
みのり「頑張ってね。じゃあ俺達はご飯でも食べる?」
恭二「みのりさんのおごりならいいっスよ」
みのり「恭二この前給料もらったよね?」
P「ピエール、お疲れ。凄く良かった!」
ピエール「プロデューサーさんに褒められる、ボク、嬉しい!」
P「そう言われると僕も嬉しくなっちゃうなあ。…ピエール、これからちょっと時間ある?」
ピエール「今日は夜の7時に、お迎え来る。それまでなら、平気」
P「じゃあ事務所でお話しよっか。二人だけでミーティングだ」
ピエール「? ボクなにかした?」
P「いや、レコーディング早めに終わったし、ただの時間つぶしだと思えば」
ピエール「じゃあプロデューサーさんと、お話する!」
「チェック終了ですー!これでレコーディング終了となります。お疲れさまでした」
P「お疲れさまです!ありがとうございました!」
「2週間後にはサンプル届くと思いますのでよろしくお願いします。楽しみにしててください!」
P「はい、お願いします!これからもよろしくお願いします!」
みのり「ありがとうございました」
恭二「お世話になりました」
ピエール「お兄さんたち、またね!」ヒラヒラ
「またねー」「お疲れさまでーす」 バタン
事務室
P「ピエール、最近アイドルの仕事は楽しい?」
ピエール「楽しい!デビューが決まった、もっと楽しくなった!」
P「そっか、良かった」
P「ところで両親には、ちゃんと連絡してる?」
ピエール「……え、えっと」
P「遠く離れてて連絡するのも大変だと思うけど…」
ピエール「ボクの家族、ボクの事…どうでも良い。だから大丈夫」
P「ど、どうでも良いって…」
ピエール「皆、自分の事しか考えてない。だから、ボクがなにしても、構わない」
P「ピエール?」
ピエール「皆がいがみ合って、苦しそうなパパの心配もしてない…」
P「ごめんピエール、日本語じゃないと分からな…」
ピエール「会いたくない、話せない。今の僕には皆さえ居れば良いよ」
ピエール「ボクが大人になるまでは、まだ会えない。ボクが沢山の、どんな人の笑顔でも、作れるようになるまでは…!!」
ピエール「…! ご、ごめんなさい。プロデューサーさん…日本語、難しい…」
P「…ピエール……」
ピエール「とにかく大丈夫!ボク、ひとりで暮らしてる訳じゃない。二人、ボクの事、分かってくれる」
ピエール「だから………、うん。あはは…」
P「…そんな顔しないで。ピエールが元気無いと、皆悲しい」
P「少なくとも、恭二やみのりさん、それにピエールと今一緒に暮らしてる二人は悲しいよ。勿論僕だって悲しい」
イベントがんばって1000位以内に入ろうと思った
P「それにほら、ファンの子達も悲しむ」
ピエール「ファン…?」
P「明日渡そうと思ってたけど…ほら、ファンレター。皆ピエールやBeitの事を応援してる」
P「ピエールの楽しそうに歌ったり踊ったりしてる姿が素敵だって、皆言ってるよ」
P「だからどうでも良いとか言わないでさ、ピエールはピエールのものだけじゃないんだから」
ピエール「…ボクがボクの、ものだけじゃない?」
P「そうだよ、恭二やみのりさんのものでもある。応援してくれるファンのものでもある」
P「誰かのものって事は、一人じゃないって事だよ。カエールだって悲しむ。ほら…けろけーろ!」
ピエール「……ふふ」
P「あっちょっと、恥を忍んでやったんだから笑うなよお…」
ピエール「いつかボクの家族、みんな…ひとりじゃなくなって、ボクの事わかってくれる?」
P「うん、きっとね。ピエールは正しい事をしてるって、詳しい事知らない僕だって分かるよ」
ピエール「…ありがとう、プロデューサーさん」
ピエール「ボクも、ボクの家族…皆のものに、なれるかな?」
P「なれるさ」
P(ピエールの家族の問題、根深いみたいだな…留学と何か関係あるのかも)
P(…一応いつものSPの人に聞いてみるか)
ピエール「…プロデューサーさん、ボクの兄弟だったら、良かったのに」
P「少なくともここに居る間はそれで良いよ。恭二やみのりさんだって居るんだし」
ピエール「カエールも、きっと喜ぶ!ボク、プロデューサーサントイッショ、ウレシイ!ほらね!」
P「はは、元気になって良かった」
P「ピエール、お迎えの人来たよ、準備して」
ピエール「はーい!ファンレター、持って帰る、良い?」
P「良いよ、お家の人に読んでもらいな」
「いつもお疲れさまです」
P「いえいえこちらこそ…あ、あの、ピエールくんの活動についてなんですが…ご両親に了解は、取ってるんでしょうか?」
「…日本でのピエール様の事に関しては、私等で一任させて頂いてます」
P「と、言う事は両親は知らない、と…」
「はい。特にお父様は現在病に伏せっておりまして…」
P「なるほど…分かりました。お二人がアイドルの活動について理解を示しているなら構いません、大丈夫です」
P「ユニットのメンバーとは歳が離れていますが、上手くやれてます。ピエールくんは素直で明るい子です。僕達もそれに助けられています」
「…私達は、ピエール様の優しく明るい姿こそ、世界を変えられる――本気でそう、信じています」
「貴方がたの話はピエール様からよく聞いています。自分の夢を一緒に叶えてくれる人だと」
「貴方が優しい人で良かった。ピエール様をこれからも、支えて頂きたい」
P「精いっぱい、やらせて頂きます」
P「でも、僕にも分からない事情は沢山あるので…ご家庭の事はそちらで支えてあげてください」
「聞く事は、しないんですか?」
P「言いたくもないのに、聞く訳にはいきませんよ」
ピエール「プロデューサーさん、何お話してる?」
P「ううん、ちょっとね」
ピエール「見て!ファンレター!いっぱいもらった!あとで読んで!」
「分かりました。さあ行きましょうピエール様。いつまでもこうしていては…」
ピエール「うん、…プロデューサーさん、ありがと。また明日!」
P「お疲れさま、また明日」 バタン
「…彼に、何も言わなくて良かったのですか?」
ピエール「うん、良いんだ。言わなくても彼は僕を支えてくれる」
ピエール「それにボクは、一人じゃない。恭二やみのりが居る。君たちだって…それに、彼だって居る」
ピエール「ボクにしか出来ない方法で、笑顔で平和を作るよ。ボクだけではなく、皆と」
「ピエール様、少し逞しくなられましたね」
ピエール「そうかな?」
「我々は、応援してますよ。ピエール様の事。そしてBeitの事を」
ピエール「…ありがとう」
>>267
Jupiterも魅力的だけどBeitもイイゾ!
一緒にBeitPとして頑張ろうじゃないか!
>>272
1もこのss終わったらイベントに専念するから一緒に頑張ろう
1枚は欲しい所だよね。…2枚…できるかなあ……
2週間後 事務室
山村「プロデューサーさん、荷物来てましたよ」
P「!!」ガタタッ
山村「わ、なんですかそんなびっくりするじゃないですか」
P「と、届いた……」
山村「通販ですか?」
P「違います!!BeitのCDのサンプルです!!」
山村「ああ、なるほど…シングルが出るまであと1週間ですもんね」
P「はい…で、でも開けるのが…こわい……」
山村「何言ってるんですか。しっかりして下さいよ」
P「だ、だって…皆の頑張りがこう…ひとつの形になったと思うと…」
恭二「プロデューサー、午後からのレッスンだけど…」ガチャ
P「きょ、恭二!!ど、どうしよう!」
恭二「なんだよ気色悪いな」
ピエール「プロデューサーさん、何してる?」
みのり「随分慌ててるけど…」
P「デビューシングルのサンプル届いた!!」
恭二「!!」
ピエール「! 本当?!」
P「こわくて開けられなくて……」
みのり「じゃあ一緒に開けよう。とりあえず確認しない事には…」
P「そ、そうですよね。はは…」
P「…よし、開けよう」
恭二「早くしろよ」
ピエール「プロデューサーさん、手震えてる」
P「だ、だってさ…」
みのり「プロデューサー、頑張って」
P「は、はい…!……オラッ!!」バリッ
恭二「…CDだな……」
ピエール「写真、ボクたち写ってる」
みのり「…俺たちBeitの、デビューシングルだね」
P「と、とりあえず取り込んでPCで聴こう…」 ウィーン キュルキュル……
P「………早く取り込め!」 キュルキュル…ヴ-ン…
恭二「この時間がこんなにじれったいの、初めてかもしれない」
みのり「今度CDプレーヤー、買っておこうか」
ピエール「はやく!はやく!!」
♪LUCKY STAR
http://youtu.be/7Rq8B11cOFs
みのり「……すごいね」
恭二「歌になってる…」
ピエール「皆の歌、とっても上手」
P「……」
恭二「何か喋れよ」
P「いやなんか…ちょっと、感動しちゃって…」
P「本当に、CDデビューするんだなあって思ったらさ…何か」
みのり「そんな事言って、これからだよ?」
ピエール「これからもっと頑張る!」
恭二「あんたがしっかりしないと調子狂うだろ。しゃんとしろよ」
P「うん…皆、凄く良い曲で良い歌詞で、良い歌だよ。デビューに相応しいと思う」
みのり「…これが、CDショップに並ぶんだよね」
P「はい、並びます!」
恭二「いつかCDショップに315プロのコーナーとか出来るかもしれないしな」
ピエール「そしたら四季も、圭の歌も、いっぱい並ぶ?」
恭二「並ぶだろうな。…俺たちの歌も。これだけじゃなくて2枚3枚…もっと並ぶぜ」
P「楽しみだね。…そうだ、HPも試聴始めて良いってオッケー出さなきゃ!」
ピエール「ボク、もっかい聞きたい!」
みのり「俺も。聞きながらサインの練習しようか?」
恭二「ところでサインって普通に漢字で名前書くんじゃ駄目なのか?」
P「サインって一度決まったら変えられないから…考えてるうちが楽しいって」
P「じゃあ僕は社長にこれ提出して、SEさんに試聴の指示出して来る」 バタン
P「~~~~~ッッ!!」
P「やったーーー!!!」
みのり「…廊下からプロデューサーの声、聞こえるね」
恭二「この場で喜べば良いのにな」
ピエール「でもそれ、ボクたちも一緒」
みのり「……」チラ
恭二「……」チラ
ピエール「……」ウズウズ
三人「っ…やったーーーー!!!」
一週間後
Beit、デビューシングル発売日
…
………
……………
すぐに、夢を見ていると分かった。
少し古いビルの一角で―…若い頃の僕が妙にはしゃいでいたから。
「本当に?!僕デビューさせてもらえるんですか?!」
無理も無い。アイドルとして活動を始めて約2ヶ月――とうとうCDデビューする事になったのだ。
アイドルと言う仕事は、自分に向いていると思っていた。
だからバラエティも演技もダンスもライブも何でもやった。何でもやりたかった。
「ああ、お前がずっとやりたかった事だよ」
だけど、僕は歌をうたうのが一番好きだった。
歌をうたうと誰かが喜んでくれる。褒めてくれる。それだけで十分だった。
「演技もライブもダンスも、なんでもやりたかったけど…やっぱり歌が一番楽しい!」
僕の隣に居る人は優しく笑った。冴えない大人だと思っていたけど、今となってはたった一人の僕の相棒だ。
「ありがとうプロデューサー!」
その人は、僕のプロデューサーだった。
「…嬉しいよ、お前がそう言ってくれて」
「だって僕にはたったひとりの…プロデューサーだから!」
僕はチームではなく、たったひとりのアイドルだった。ユニットで活動しているアイドルが台頭している中、そして女性優位の世界の中で、僕は異質な存在だった。
それでも彼は、やりたい事を何でもやらせてくれた。
それが僕にとって一番幸せだろうから、と優しく眼鏡の奥で彼が笑った。
でもそれがいけなかったのだと思う。
僕は色んな事をやりすぎた。どんな仕事でも正直良かった。アイドルとしてその場に立つ事が出来れば――
逆にそれは、アイドルになった先の希望がないと言う事だった。
僕はアイドルと言う言葉に甘えていたのだと思う。
その甘えはゆっくりと僕を、そして彼を蝕んで行った。
「お前はやりたい事はないのか?」
「プロデューサーの取る仕事なら、なんでもやりたいです」
僕のその言葉は彼を緩やかに絶望させていった。
丁度その頃、事務所は経営が傾いて行った。その事務所にアイドルは、僕しか居ない。
「お前が何がやりたいのか、俺には分からないよ」
「それは…」
「お前はいつもそうだ、技術があってもその先がない。その場しのぎをしてるだけだ」
言葉が出なかった。本当は実際、やりたい事など無かったのだろう。
ただ、アイドルになっただけで良かった――それ以上を望まなかった。
歌う事が好き。踊る事が好き。人前に立つ事が好き。それだけでアイドルになった。
「夢がないやつに、夢を与える資格なんてない」
そんな僕に、それ以上の夢は無かった。
「正直、お前には付き合いきれない」
「なっ……何でですか?!どうして…」
「だってそうだろう?いくらセンスがあったって、目先の事しか考えてないお前を支えてやる事は出来ない」
経営が傾いてしばらく、いよいよ僕の居る事務所は危うくなっていた。
僕は相変わらず彼に甘えていた。
だがそんな僕を彼は許さなかった。彼は少しずつ、人が変わって行った。
気付いていながら僕は何もしてやれなかった。何もしなかったのだ――僕の所為だと言うのは分かっていたから。
「お前が潰したんだよ、この事務所を」
「遊び半分で仕事して、事務所ごと振り回しやがって!!」
僕をよく褒めてくれた、やりたい事をやってほしいと優しく笑ったその瞳が、今度は僕を突き刺した。
全て彼の本心で、そして事実だった。
彼は…僕のプロデューサーは、敵を見るような目で僕を見ている。
たった一人のアイドル、たったひとりのプロデューサー。たったひとりの寂しい事務所。
「そんな、僕は…そんなつもりは――…」
僕は、居場所を無くした。
夢だと分かった。
夢だと分かっているのに僕は逃げ出している。大人になっても。
くん、と腕を引かれる。温かいような気がして、僕は思わず立ち止まる。
逃げ出した僕を誰かが捕まえる―…
振り返ると、そこには僕がプロデュースしているアイドル達が立っていた。
――笑顔で。
pppppp……… チュン チュンチュン チュン…
P「……夢、だなあ」
P「今までで一番長い夢見た気がする…」
P(……歌う事が好きだった。踊る事も演技するのも人と触れ合うのも)
P(それだけじゃ、僕はアイドルになれなかった)
P(でもきっと、あの3人なら…Beitは、アイドルの先を見てるんだろう)
P「…理由は分からないけどさ」
P「うわ、めっちゃ涙の跡ついてる」
事務室
P「おはようございます」ガチャ
P「…あれ?何で皆居るの?」
恭二「おはよう」
ピエール「おはよーっ」
みのり「おはようプロデューサー。大事なCD発売日だからね。……実はその、早起きしちゃって」
P「そろいも揃って?」
恭二「でもそれはプロデューサー、あんたもだろ。まだ山村さんも来てないぞ」
ピエール「皆早起き!三文の徳!」
P「お、ピエール日本語覚えたなあ」
P「…そう言えば今日、夢に皆が出て来たよ」
ピエール「どんな夢?」
P「えっと…皆に助けられる夢、かな?」
恭二「なんだそれ」
P「それだけ今日が楽しみだったって事で」
P「3人共、サイン書けるようになった?」
恭二「こんなもんで良いだろ。もうこれ以外思いつかないから勘弁してくれ」
P「良いんじゃない?恭二っぽいよ」
ピエール「見てプロデューサーさん!ボク、サイン早く書ける!」キュキュ
P「これは…カエールか。可愛いサインだ。そう言えばピエール、文字書くの上手くなったよなあ」
ピエール「えへへ、けろけ~ろ!」
P(ピエールじゃなくてピエルになってるけど…とはこの笑顔を前に言えない)
P(誰も突っ込んでないと言う事は…)チラ
恭二「……」プイ
みのり「……」プイ
P(二人も言えなかったんだな…)
みのり「俺のサイン、変じゃないかな。どんなサインがあるか色々見てたら分からなくなっちゃって」
P「スパイラルじゃないですかそれ!全然変じゃないですよ。良いと思います」
みのり「ほっ…良かった。自分で考えようと思って、聞くのが遅くなってごめんよ」
P「サンプルもいくつか届いてるし…よし、ちょっとCDにも書いてみて。CDの中のブックレットに書くんだよ。ケースに書いたら取れるから」
ピエール「~~♪よし、カエール!」キュキュ
恭二「マッキーって書き難いよな」キュキュ
みのり「わ…恭二の顔に被っちゃった。ごめんよ」キュッ
P「…じゃあ僕もついでに」キュキュ
恭二「あんたのはいらないだろ」
P「良いじゃん、一応元アイドルのサインだよ。取っておくくらいは」
P「それに僕も、Beitの一員なんだろ?」
ピエール「…うん、プロデューサーさん、ボクたちの事、ここまで連れて来てくれた」
P「とんでもない。来てくれたのは3人だよ」
ピエール「わあ、やっぱりプロデューサーさんのサイン、アイドルみたい!」
P「だからアイドルだったんだって」
P「……でも、今は僕、3人のプロデューサーなんだ」キュキュ
みのり「"Beitのプロデューサー"…ふふ、その通りだね」
P「さ、これは事務室に飾っておこうか。この辺に立てかけて…よし!」
恭二「こうやって見ると壮観だな」
山村「おはようございま…いくらなんでも早すぎじゃないですか?!」ガチャ
P「いやあ、なんかはしゃいじゃって……」
下北沢 CDショップ
P「着替えた?――うん、クリーニング出して良かった。やっぱりぱりっとしてる」
恭二「そう言えば、サイン会ってサイン書いてる最中何か話すんだよな?」
P「またその心配ばっかり…この前の握手会で何ともなかったじゃん」
恭二「念には念を入れておくべきだろ」
みのり「替えのペンってあるかい?」
P「この机の隙間に入れておいて下さい。いっぱいあるんで大丈夫です」
「こんにちは、今日はよろしくお願いします」
P「初めまして!この度はお話受けて下さってありがとうございました。よろしくお願いします!」
「早速で申し訳ないんですが、折角だしうちの店にも色紙書いてもらっていいですかね?練習だと思って」
みのり「もちろんですよ!」
恭二「おいピエール、場所取り過ぎだ」キュキュ
ピエール「大丈夫!恭二、なんとかしてくれる」キュッ
恭二「油性で書いたらなんともならないだろ…」
みのり「ほら、喧嘩しないで」キュキュ
「まさかうちの店でアイドルのサイン会すると思いませんでした」
P「あそこのライブハウスのスタッフさんと皆さんのお陰です。ありがとうございます」
「あの人からさあ、アイドルも良いかもって思っちゃったよ、なんて言われて」
「映像見せてもらったら、凄くきらきらしてて…世界が違いました」
P「…そんな事ないですよ。彼等だってこの前まで、普通の男の子で、普通の男性でした」
P「でも夢を叶える為に、アイドルになりました。…多分ただ、それだけなんですよ」
P「でもそれだけの一歩がすごく、凄く大きいんですよね。夢の為に、一歩を踏み出すって言うのが」
「あの子達は、しっかりそれを歩み出したんですね…貴方のお陰で」
P「――! はい!」
「本日はお集り頂き誠にありがとうございます!こちらBeitのサイン会待機列最後尾になります!」
「時間はあるので、押さないでください!」
恭二「……多くないか?」
みのり「100人来るかな、くらいのイメージだったんだけど…全然多いね?」
ピエール「文字、たくさん書く…」
P「ちょっと社長、どう言う事ですか?!え?また記事を書いてもらった?!今度はアイドル誌?!何で僕に一言くれないんですか?!ちょっ…」プツッ…ツーツー……
P「……ま、まあ嬉しい悲鳴だから…がんばって」
恭二「プロデューサー…これからは社長の動きも把握してくれ…」
P(…とか言ったけど、なんだかんだ上手くやれてるみたいだ)
「ピエールくんってどこの国から来たの?」
ピエール「う、うみのむこう!」キュキュッ
「それじゃ答えになってないよー、ふふ、カエルさん可愛いね」
ピエール「これ、カエール!ボクのともだち!」
P(ピエールは何でも可愛いで済まされるんだなあ…)
「休日は何してるんですか?」
恭二「寝てるか家事してます」サラサラ
「その目ってカラコンですか?」
恭二「地です」
恭二(前も聞かれたけど…そんなに目の事気になるのか?)
「この前のライブ、行きました。恭二クンってあんなにダンス出来るんですね」
恭二「ああ、練習死ぬ程したんで。…そう言われると嬉しいです。ありがとうございます」
P(恭二もっと頑張れ!あ、でもちょっと笑った。女の子、凄い嬉しそう)
「へえ、みのりさんってお花に詳しいんですね」
みのり「うん。この前誕生花についての本を読んでたんだけど、それが面白くて…」
P(みのりさん、うしろ!後ろ詰まってます!!)シュシュ
みのり「! ごめん、長く話しすぎたみたいだ。また話そうね」ニコ
「~っ! はい!」
P(ライブではピエールが持って行くけど、リップサービスが上手いのはみのりさんなのかな…)
P(皆と出会って2ヶ月くらい…歌って踊ってレッスンして)
P(少しずつアイドルになっていったんだよなあ…)
P(今お客さんの前で話したり、笑ったりしてる3人は紛れも無く、アイドルそのものだよ)
P(皆、良い顔してる)
P(僕は…どうだろう。昔の自分と決別は、正直出来てないけど―…)
P(こうやって少し後ろから3人を眺めてるのが、凄く心地好いよ)
ピエール(…プロデューサーさん?)クルッ
P(! …こら、ピエール前向かないと次の人来るよ)
みのり「ピエール、どうかした?」
ピエール「プロデューサーさん、笑ってた」
恭二「プロデューサーも、浮かれてるんだな」
みのり「それは恭二もだろ?さっきから、心なしか笑ってる」
恭二「…そうかもな」
恭二「あー…おわった………もうしばらく右手動きそうにないな…」
ピエール「両手で書いた。両方、ぷるぷる。動かない…」
みのり「サイン会って結構体力勝負だね…」
P「はい、湿布貼って。明日肩凝るだろうから頑張れ」
みのり「サイン会終わった瞬間に湿布くさくなるアイドルか…リアルだね」
P「でもみのりさん達が頑張った分、沢山の女の子が喜んでくれましたよ」
「いやあ~若い女の子の勢いって凄いですね。圧倒されちゃいました」
P「すいません状況を把握しきれてなくてご迷惑をおかけして…」
「いえいえ、うちもCDの売り上げになりましたし、問題ないですよ!」
P「本日はお世話になりました。これからも頑張りますので、見かけたらよろしくお願いします」
「勿論です。Beitの3人も、これからの活動頑張って!」
みのり「はい!ありがとうございます」
ピエール「これからも頑張る!お兄さんも聞いて!」
恭二「はい。これからが本番なんで」
P「はー…終わった…お疲れ皆。シングルも出したし、僕はこれから新たな仕事を探すか…」
ピエール「今度のお仕事、なにする?」
P「…3人は何がしたい?」
みのり「そうだなあ…ライブして握手会して…次は何だろう?テレビ番組出るのとかはまだ早いかな?」
P「いや、JupiterだけじゃなくてDRAMATIC STARSもAltessimoも…あとS.E.Mもレギュラー番組ありますからね。あともふもふえんもか…」
P「取ろうと思えばゲストくらいなら出来るかも。やってみます」
恭二「あんた、よくそれ聞くよな。何やりたいかってやつ」
P「ん?ああー…うん、昔アイドルの時、僕のプロデューサーさんがよく聞いてくれたんだよね」
恭二「プロデューサーは何て答えてたんだ?やっぱり歌か?ああ、でもあんたダンスも結構…」
P「"なんでもいい"」
恭二「え?」
P「プロデューサーが取って来るものだったら何でも良いって、そう言ってた」
みのり「…プロデューサーさんは、そのプロデューサーさんの事を信頼してたんだね」
P「はい…その時の僕はそれを信頼の証だと思ってたました。けど、違った」
P「僕はアイドルになりたかったけど、ただそれだけで…他の夢なんてひとつも無かった」
P「アイドルになってやりたい事なんて、全然考えられなかった。…だから、プロデューサーに甘えちゃったんだよ」
P「そんな僕しか居ない小さい事務所と、主体性のないアイドルと…女性アイドルばかりの世界の中で、僕の事務所は耐えられなかった」
P「シングル1枚出してしばらく経った頃、僕は逃げるようにアイドルを引退した」
P「僕が事務所を潰した。プロデューサーさんは、最後にそう言ってた」
P「もっと、僕にやりたい事があったら……そうはなってなかったかもしれないって、今でも思う」
P「だからアイドルから背を向けて、逃げて、普通に高校行って、大学にも行った」
P「でもどんな仕事に就きたい?って考えた時、やっぱりアイドルが頭を過った」
P「男のアイドルは今でもJupiterくらいしか爆発的に流行ってるグループは居ない。どうせだったら女の子のアイドルを…って思ったけど」
P「結局、僕の事を拾ってくれたのは315プロだけだった」
P「そうやって…皆と、Beitと出会った」
P「…これが僕のワケあってプロデューサー…の理由、かな?」
みのり「…そうだったんだ」
恭二「…何で話した?」
P「何か、話しても良いかなって気になって…ただそれだけだよ」
P「だってもう、僕はプロデューサーだからさ」
ピエール「…うん。プロデューサーさん、ボクたちのプロデューサー。いつも頑張って、ボクたちを見てくれる」
みのり「そうだね。プロデューサーは、プロデューサーだもんね。前は探ろうとしちゃったけど、こうやって話してくれて良かった」
P「はは、別に大した事なーんもないですよ」
P「今はBeitのプロデューサーだよ。昔の事は良いかなって、そう思える」
P「でも話したくなったのは多分、良い思い出になれそうだったからかな」
恭二「どう言う事だ?」
P「3人が活動してるの見て、自分って歌う事とか踊る事が好きだったんだって思い出した」
P「ずっと逃げた事ばっかり頭にあったけど、アイドルって楽しいものだったなって」
P「楽しくアイドルやれてたんだよ、こんな僕でも」
ピエール「ボクたち、プロデューサーさんの事、笑顔に出来た?」
P「うん。楽しい気持ちを思い出させてくれた。笑顔になれた」
P「ありがとう、3人とも」
P「Beitにはこれからも頑張って欲しい。3人にはそれぞれ、やりたい事があるんだから」
P「それがあれば、きっと大丈夫。僕も支えるからさ」
みのり「先輩アイドルの言葉か…胸に留めておくよ」
P「そう言う事です!」
P「また、アイス買って帰ろうか」
恭二「またアイスかよ」
P「良いじゃない、願掛けみたいなもんだよ。次も上手く行きますようにって」
みのり「そしたら前食べてたあずきバー以外食べられなくなっちゃうね。いい加減他のにしようと思ったけど」
P「良いですよ何でも。形式が一緒なら大丈夫でしょう」
ピエール「ボク、クッキーアンドクリームが良い」
P「もちろん同じのでも良いよ」
コンビニ
P「お会計お願いします」
「! あ……」
P「? 何か?」
「その、Beit…ですよね?今日デビューした…」
恭二「ああはい、そうです」
「本物だ…!私、恭二くんのファンで…あ、あの、握手してもらっても良いですか?」
恭二「ありがとうございます。勿論良いですよ」
P(対応が大分スマートになってきたな)ヒソ
みのり(今日の後半くらいから要領得て来たみたいだね)ヒソヒソ
ピエール(恭二、たらし?)ヒソ
P(アイドルは全員女たらしだよ。ピエールだってライブで…)ヒソヒソ
恭二「…おい、何話してるんだ?」
P「イエ、別に」
「ありがとうございます!これからも頑張って下さい」
恭二「こちらこそ」
ピエール「みのりとボクの事もよろしく!」
P「あ、こらあんまり大声出すと…」
みのり「あはは、すいません失礼します」
P「びっくりした。CDデビューって凄いなあ…恭二、大丈夫?」
恭二「いい加減慣れないと、だろ」
P「良い心がけだよ」
ピエール「プロデューサーさん、アイス!溶けちゃう!」
P「ああ、ごめんごめん。袋から取って」
ピエール「いただきまーす!」
みのり「いただきます。…あ、これ初めて食べたけど、結構美味しい」
P「それあれですよね、アイスなのにあっためてもらうやつ」
ピエール「みのり、一口ちょーだい!」
みのり「いいよ」
恭二「…流石に夜になると涼しくなって来たな」
P「もう9月も中頃だからなあ…恭二何食べてんの?」
恭二「10秒チャージ、2時間キープ」ヂュー
P「クーリッシュじゃん」
みのり「俺たち、プロデューサーと出会って2ヶ月くらいでここまで来て…なんか色々、嘘みたいだね」
ピエール「嘘じゃない!本当、ボクたち、アイドルになった」
恭二「アイス食ってるのは変わりないけどな」
P「まあそう言わないでさ…また夕食でも食べに行こうよ。今度はお好み焼き屋とかさ」
ピエール「! 行きたい!コナモノたべる!」
恭二「ピエールは大阪行ったら楽しいだろうな」
P「大阪か~…そう言う仕事、いつか取りたいなあ」
みのり「プロデューサー、仕事の時の顔してるよ」
P「はは、ついうっかり」
P「…皆、アイドル楽しい?」
恭二「自分の力とピエールと、みのりさん。…あとあんたの力が一緒になって、形になってく」
恭二「今までこう言う事、何もした事なかった。楽しいよ、アイドル」
ピエール「ボク、歌う事、踊る事だいすき!」
ピエール「でも、恭二とみのり、プロデューサーさんの事、もーっとすき!」
ピエール「一緒に居ると楽しい!一緒に皆の事、笑顔にしたい。そしたら皆、幸せ!世界平和になる!」
みのり「自分が好きなものになってみて…びっくりした事もあったけど…」
みのり「凄く、良い経験をさせてもらってる。アイドルが何なのかはまだ…よく分かってないかもしれないけど」
みのり「今の自分がこうして、誰かに支えられて作られて行くのは、凄く楽しいし、幸せな事だよね」
P「……僕も、皆をプロデュースするの、凄い楽しい。皆のプロデューサーになって良かった」
P「これからも、一緒に頑張ろう」
P「Beitはこれからなんだから!」
翌日 事務室
P「……緊張する」
山村「どうしましたPさん、パソコンとにらめっこして…」
P「オリコンのデイリーランキングの更新が12時なんですけど…待機を…」
カチッ
P「!! 12時だ!」 prrrr…prrr…
P「なんだよこんな大事な時に電話って!!」
P「もしもし…あ!社長!お疲れさまです。あのですね社長、前々から気になっていた事が…」
P「そんな事は良いからって、良くないですよ!記事をライターさんに書いて頂くなら一応僕に話を通して―…」
P「え?!…それってBeitの…そうですよね、はいわかりまっ…!……切れた」
恭二「プロデューサー!オリコン見たか?!」バターン!!
P「………」
みのり「どうしかしたのかいプロデューサー?そんなに目丸くして…」
ピエール「プロデューサーさんも、オリコン見た?」
P「いや…ごめんまだ見てないんだけどさ…」
P「Beitの写真集発売が、決まった……!」
下北沢の営業活動を完了しました。
次の営業をはじめよう!
【下北沢】 → 【渋谷】
おしまい
乙!
Biteのゲームのネタが凄く拾われてて読んでてにやにやした
あとポケルス山村で爆笑した
>>307
ありがとう。ssスレ立てるの初めてだから、307を始め
色んな人にリアルタイムで反応貰えるのはドキドキだったよ
モバマスのトレーナーさんは凄くカード的に納得いくけど、
どうして村山さんがレッスンすると効果が大きいのかはちょっと謎だよね…これってポケルスだよね…
>>1乙
事務員が一番特訓効果が強いのはミリマスの小鳥さんも同様だから気にしない!
お疲れさまでした。
Beitがほっこりファミリーきらきら王子様アイドルすぎて
彼等と営業をなぞったら楽しいだろうなと思いました
あと315プロのアイドルは皆ワケありなので、プロデューサーもワケありだったら面白いかなと思いました
何はともあれイベントも楽しんでBeitが楽しい夏です
これを機に少しでもsideMのss、特にBeitのssとか…増えたら嬉しいなと思います
皆もイベント頑張れよ!このスレやってて割と順位やばいけどこれから1も頑張るからな!
最後に、このssに出て来た曲名や歌は個人的にとても好きなのと、
アイドル映えもばっちりだと思うので、是非聴いてみて下さい。ちなみに1は「とんでもない アイドルは大好きだよ!」です
じゃあここまで読んで下さってありがとうございました。
html化依頼出してきますね
>>310
事務員って強いんだな…
このSSまとめへのコメント
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