真「雪歩、愛してる!」
雪歩「ええっ、突然告られちゃった!?」
真「さぁ、姫。誓いのキスを…」スッ
雪歩「真ちゃん…」ドキドキ
貴音「お待ちなさい!」バッ
雪歩「し、四条さん!?」
真「貴音、一体何の用!? ボクと雪歩の邪魔をしないでくれ!」
貴音「そうはいきません」
真「どうしてだよ! 理由を言うんだ!」
貴音「何故なら私も雪歩を愛しているからです」
雪歩「えっ、えーっ!?」
真「なんてことだ…やっぱり貴音も雪歩のことが好きだったのか」
貴音「真…まさか、このような行動に出るとは思いもよりませんでした」
雪歩(真ちゃんだけじゃなくて、四条さんも私のことを!?)
真「雪歩! 雪歩はボクの方が好きだよね!?」
雪歩(真ちゃんと…)
貴音「雪歩、貴女は私を選んでくれると信じております」
雪歩(四条さん…)
真・貴音「「雪歩!!」」
雪歩(どっちを選べばいいの~!?)
………
……
…
ジリリリリリ…
雪歩「はっ! 夢か…」
~765プロ~
雪歩(なんだか、素敵な夢だったなぁ)
雪歩(真ちゃんと四条さんが私を取り合って…フヒッ)
雪歩(でも、ちゃんとどっちかに決めないとダメだよね…二股なんてよくないし)
雪歩(もし本当に夢みたいになったら、私、どっちを選べばいいんだろ…)
真「みんな、おはよう!」
雪歩(あっ、真ちゃん)
雪歩(今日は真ちゃん、仕事ないみたいだし…レッスン一緒に行こうって誘っちゃえ)
雪歩「真ちゃ…」
美希「真ク~ン!」ガバッ
真「うわっと」グラッ
雪歩「!」
美希「ねぇ、この後レッスン? ミキも一緒に行ってもいいかな!」
雪歩(美希ちゃん…ま、真ちゃんにあんなにくっついて…)
真「美希、今日はやる気だね!」
美希「ミキは、真クンと一緒ならいつでもやる気なの!」
チラ…
雪歩(あれ? こっち見た?)
美希「ふふん」ドヤァ
雪歩「…っ!」
雪歩(い、今…美希ちゃん、私の方見て笑った…)
美希「あ、真クン。ちょっと待って」
ツカツカ
雪歩(え、何? こっちに来る…)
美希「雪歩!」
雪歩「…っ…な、何、美希ちゃん?」
美希「雪歩も、一緒に来る? なんか来たそーな顔してるケド」
雪歩「なっ…!」
真「おっ、雪歩もやるかい?」
雪歩「えっ、その…私は…」
美希「雪歩、一緒にレッスンしよっ♪」ニコッ
雪歩「………」ムッ
雪歩(美希ちゃん、何なの? こんなことして…)
雪歩(当てつけのつもり? 信じられない!)
真「雪歩?」
雪歩(美希ちゃんの馬鹿…!)
雪歩「いいよ! 二人で行って来ればいいでしょ!」プイッ
スタスタ
真「ど、どうしたんだろ、雪歩」
美希「………」
スタスタ…
雪歩「………」ピタ…
雪歩「ああ…やっちゃった」ドヨン
雪歩「二人にあんな態度とっちゃって…変に思われてるよね、絶対…うぅぅ」
雪歩「でも…やっぱり、美希ちゃんは許せない」
雪歩「それに、真ちゃんも真ちゃんだよ、あんなデレデレしちゃって!」(※してません)
雪歩「…あれ?」
貴音「………」
雪歩(四条さんだ。ちょうど一人でいるのかな?)
雪歩(…真ちゃんは美希ちゃんと一緒だし、四条さんを誘っちゃおう)
雪歩「しじょ…」
響「たかねー!」ダキッ
貴音「おや、響。どうしました?」
響「えへへっ、なんでもないぞー!」
雪歩「あ、あうぅ…」
ジョニィ「やっ・・・やった!」
マウンテン・ティム「命中した!」
ジャイロ「・・・い」
ジャイロ「いや・・・」
…ギシ
ギシギシギシギシ キシキシキシ
ウェカピポ「」ビシビシビシ ガギ ビシ ガギッ
鉄球「」ポロ…
ドスン
誤爆スマソ
ワイワイ
雪歩(四条さんと響ちゃん…すっごい仲よさそう…)
雪歩(真ちゃんに続いて、四条さんまで…)
雪歩(別に真ちゃんの代わりにとか…そう考えてたわけじゃないのに)
雪歩(でも、神様はそうは思ってくれなかったのかな)クル…
トボトボ
春香「あれ、どしたの雪歩?」ヒョコ
雪歩(最近、美希ちゃんのアピールも激しくなってきたし)
春香「ふふーん…その顔、何か悩み事かな?」
雪歩(響ちゃんも、四条さんにあんなにベタベタして…)
春香「よーし、この春香さんになんでも話してみなさい!」バンッ
雪歩「たぶん、春香ちゃんにはわからないことだから」
春香「そう…」シュン
雪歩(もしかしたら、どっちを選ぼう、なんて状況じゃないのかも…)
雪歩(できればどっちも、って言いたいけど…)
雪歩(きっと、そんないけないこと考えてるから罰が当たっちゃったんだ)
雪歩(どっちかに決めなきゃ!)
雪歩(でも、真ちゃんには美希ちゃんが…四条さんには響ちゃんがくっついてるし…どうすれば…)
亜美「うわー、このボス強すぎ! 倒せないよー!!」
真美「くっそー、これで10連敗!」
律子「あら? そのゲーム、やったことあるけど…」
真美「およ、りっちゃん先生ご存知ですか!?」
亜美「ごキョージュ願います!」
律子「これは周りにいる敵から倒すのよ。頭を取るのなら、まず周りから」
亜美「あー、なんかそれ聞いたことある!」
真美「あれだよね、確か…『将射ん矢の如し』ってやつだよね」
雪歩(『将を射んと欲すればまず馬を射よ』…)
雪歩(『光陰矢の如し』と混ざって全然違うのになってるよ、真美ちゃん)
雪歩(でも…馬を射よ、かぁ。もしかしたら、何か参考になるかも)
雪歩(私の場合、これは美希ちゃんや響ちゃんと仲良くなれ…ってことだよね)
雪歩(最近、真ちゃんも四条さんもいつもあの二人と一緒だし)
雪歩(そうだよ、私も二人と仲良くなれば真ちゃんや四条さんともっと一緒になれるかも!)
雪歩(となれば、さっそく行動…頑張れ私!)
雪歩「えーと…」
美希「真クンと二人でレッスンレッスン♪」チラッチラッ
雪歩「………」プイッ
美希「むー…」
真「美希? どうしたのさ、行こうよ」
美希「はいなの、今行くー」トテテテ
雪歩(真ちゃんと四条さんは、どっちかなんてまだ決められないけど)
雪歩(美希ちゃんよりは響ちゃん…かなぁ。それに、今出て行っちゃったし)
響「ん~」グーッ
雪歩(響ちゃん、四条さんと別れて今は一人みたい。ソファで背伸びしてる)
雪歩(…いきなり話しかけても大丈夫かな? 響ちゃんって、なんとなく犬っぽくて苦手なんだよね…)
雪歩(だ、大丈夫だよ…事務所の仲間だもん、いきなり話しかけても変じゃない変じゃない)
雪歩「あ、あの…響ちゃん」
響「ん?」クルッ
響「なんだ、雪歩か。どうしたの?」
雪歩「え? えっと…」
響「自分に何か用?」
雪歩(ああっ、何話すか考えてない! どうしよう!?)
雪歩「その…喉、渇かない?」
響「喉? そうだなぁ、ちょっと渇いてるかも」
雪歩「よかった! 私、お茶入れてくるね!」
響「う、うん?」
雪歩「はい、お茶」コトッ
響「うん、ありがとう」ヒョイッ
ゴクッ
雪歩「どうかな?」
響「いい香りだなぁ、雪歩の淹れるお茶は美味しいね!」
雪歩(えーと、えーと…次は何を話せば…)
雪歩「お、お茶は喉に悪いって言われてるけど…」
雪歩「お茶に含まれてるカテキンには殺菌作用があるし、適度な温度と濃度ならむしろ喉には優しいんだよ」
響「そうなんだ、雪歩は物知りだね」
雪歩(喉…あ、そうだ!)
雪歩「あ、あの響ちゃん、私この後ボイストレーニングしに行こうと思ってるんだけど。一緒に行かない?」
響「ボイトレ? うーん…うん、いいよ! 今日は特に予定も入ってないし」
雪歩「よ、よかったぁ…断られたらどうしようかと思っちゃった」
響「あはは、大げさだなぁ雪歩は」
雪歩(ちゃんとできてるよね…? 私…)
そして…
雪歩「ひ、響ちゃん凄いね…」
響「まぁな! ふふん、自分完璧だから!」
雪歩(響ちゃんは肺活量があるから大きな声も出るんだよね…私も、もっともっと体力つけなきゃ)
響「さ、もう暗くなっちゃったし帰ろっか」
雪歩「また誘ってもいいかな?」
響「もちろん! 大歓迎だぞ」
雪歩「よかった…」
雪歩(もう、仲良くなれたよね? 単なる事務所の仲間、ってわけじゃないよね)
雪歩(一応、確認しておかないと)
雪歩「ねぇ、響ちゃん。私達、友達だよね?」
響「え?」
雪歩「えっ…だ、だよね?」
響「う、うんっ! そうだね! 雪歩と自分は友達だ!」
雪歩「び、びっくりしたぁ…」
響「友達かぁ…えへへ…」
雪歩(響ちゃん、凄く嬉しそうだなぁ)
雪歩(こんなことでこんなに嬉しそうな顔されると、こっちまで嬉しくなっちゃう)
雪歩(四条さんは、響ちゃんのこういうところが可愛くて一緒にいるのかな…)ナデナデ
響「え、雪歩…? な、なんで頭撫でてるの…?」
雪歩「あっ! ご、ごめんなさい…! 嫌だった?」
響「べ、別に、嫌じゃないけど…どうしたの、雪歩?」
雪歩「響ちゃん、なんか可愛いなーって…つい…」
響「へ…」ボッ
響「そ、そっかー? まぁ、自分、完璧だからな! あはは!」
雪歩「あっ、私こっちだから…それじゃ、また明日ね。響ちゃん」
響「う、うん! また明日!」
次の日…
響「おはよう、雪歩!」
雪歩「あ、おはよう。響ちゃん」
雪歩(事務所に来たら、響ちゃんに声をかけられた。その横には…)
貴音「雪歩。おはようございます」
雪歩「四条さん! おはようございます!」
貴音「響。雪歩と随分仲良くなっているみたいですが、何かあったのですか?」
響「雪歩とは、昨日二人っきりでレッスンしたんだ。ね?」
雪歩「うん、そうだよ。ね?」
雪歩(二人の中に、自然に入り込める…)
貴音「そうなのですか。ふふ、なんだか妬けてしまいますね」
雪歩「えっ!?」
貴音「今度は私も一緒に混ざってもよろしいでしょうか?」
雪歩「は、はいっ! 大歓迎ですぅ!」
雪歩(四条さんとも自然に話せる…やっぱり、勇気を出して踏み出してみてよかった!)
数日後…
雪歩「~♪」
雪歩(ここの所、毎日が楽しいなぁ)
雪歩(四条さんといっぱいお喋りできるし、響ちゃんも見てて楽しいし)
美希「鼻歌なんてしちゃってゴキゲンだね、雪歩」
雪歩「! …美希、ちゃん」
美希「雪歩ってば、最近真クンにあんまり話しかけてこないね」
雪歩「…そうかもね」
美希「真クンのこと、好きじゃなかったの? 諦めちゃった?」
雪歩「別に、諦めたとかそんなんじゃないよ…」
美希「だったら、なんで貴音とばっかり話してるの?」
雪歩「別に、私が四条さんと話しても悪いことなんてないでしょ」
美希「フーン、じゃあ雪歩が貴音と仲良くしてるうちに、真クンはミキがペロっといただいちゃうの☆」
スタスタ…
雪歩(やっぱり、美希ちゃんとはあんまり仲良くなれそうにないなぁ…)
そして…
雪歩「ただいま…」
小鳥「お帰りなさい、雪歩ちゃん。今日のお仕事はおしまいかしら?」
雪歩「はい…」
雪歩(今日は美希ちゃんの言葉が気になって、あんまり集中できなかった)
雪歩(真ちゃんか…確かに、最近あんまり話せてないなぁ)
雪歩(会ったらちゃんと挨拶はしてるけど、それっきりで…)
雪歩(もう、こんなこと考えてるからダメダメなんだよ! 今は四条さんと仲良くできてるんだから、四条さんの方を選ぶべきだよ!)
雪歩(うん、決めた! これからは四条さん一本で行く! そうする!)
雪歩(今日は、四条さんと一緒に帰ろう、四条さん…)キョロキョロ
雪歩(…は、どこ…?)
響「雪歩! おかえり!」
雪歩「あ、響ちゃん」
響「雪歩、今日は終わり?」
雪歩「えっと…うん。それで四条さんを探してるんだけど…知らない?」
響「貴音? 貴音なら、今日はもう帰ったんじゃない?」
雪歩「そっか…」
雪歩(うぅ、決心したばかりなのに…幸先悪いなぁ…)
響「あ、あのさ雪歩…」
雪歩「?」
響「終わりだったらさ、その…自分でよければ一緒に帰らない?」
雪歩「響ちゃんと?」
雪歩(うーん、四条さんもいないみたいだし)
雪歩「うん、いいよ。一緒に帰ろう」
響「えへへ、よかった。断られたらどうしようかと思ったぞ」
雪歩「ふふ、ちょっと大げさじゃない響ちゃん?」
響(最近、貴音にべったりだったかもしれないし…)
響(この機会に、雪歩とももっと仲良くなりたいぞ!)
~帰り道~
響「それでさ、その時美希が…」
雪歩「美希…ちゃん…」
響「あ、あれ? なんかまずかったか?」
雪歩「う、ううん。大丈夫だよ。続けて?」
響「そっか? それで、美希がさ~」
雪歩(なんで美希ちゃんはいっつもあんなことを言いにくるんだろ…)
雪歩(関係ない、関係ない…美希ちゃんが何を言ってきても、私は…)
犬「バウッ!!」
雪歩「ひっ!?」
響「雪歩!?」
雪歩「のっ、のっのっのっのっ野良犬…!?」
響「雪歩、大丈夫だよ噛まれたりしないって」
雪歩「噛まれ…いや、来ないで…」プルプル
響(雪歩が怖がってる…! ここは自分がなんとかしないと!)
響「こら、おまえっ!」
犬「グルルルル…」
響「うー…わうっ!」
雪歩「へっ!? 響ちゃん…?」
犬「ウォゥ!? バウ! ワウワウ!」
響「わふっ! どぅるるるる!」
犬「グワゥ! フゥーッ!!」
雪歩(い、犬と会話してる…)
響「がうがう!?」
犬「グルルル…」
響「う? きゃんっ」
犬「キュー…」
響「わうん」
犬「クゥーン…」スタスタ
響「ふぅ…行ったぞ、雪歩」
雪歩「あ、あの…一体…」
響「ちょっとガンコそうだったけど、話せばわかってくれる奴だったぞ」
雪歩「犬と話せるなんて…ちょっと変わってるね」
響「う、そういうこと言われるとちょっとショックだぞ…」
雪歩「ご、ごめん…うん、そうだね」
雪歩(助けてもらったんだから、こういう時は、ちゃんとお礼言わないと)
響「ま、いっか。雪歩に何もなくてよかったぞ」
雪歩「あ、待って!」
響「ん?」
雪歩「その…」
雪歩「助けてくれてありがとう。響ちゃん」ニコッ
響「~っ!?」ドッキーン
雪歩「あれ、響ちゃん? どうしたの?」
響「な、なんでもない!」
響(な、なんだこれ!? なんで自分今、雪歩にドキっとしたんだ!?)
響(おかしいぞ、自分!)
雪歩「ひ、響ちゃん…?」
響「あっ!」
雪歩「えっ?」
響「じ、自分こっちだから! そ、それじゃ! また明日!」
雪歩「あ…」
雪歩(もしかして私、響ちゃんに嫌われちゃったのかな…)
雪歩(普通に「すごい」って言えばよかったのに、なんで「変わってる」なんて言っちゃたんだろ)
雪歩(それに、犬が苦手なんて、動物大好きな響ちゃんからすれば信じられないよね)
雪歩(うう、どこかに埋まりたいよぉ…)
次の日…
雪歩「あ…」
貴音「面妖な」ペチャペチャ
響「だぞー」クチャクチャ
雪歩(響ちゃん…)
雪歩(昨日はちょっと気まずいまま別れちゃったけど…)
雪歩(でも、遠慮する必要なんて、ないよね?)
雪歩「おはようございます、四条さん」
響「~っっ!」ビクッ
貴音「おや。おはようございます、雪歩」
雪歩「響ちゃんも、おはよう」
響「………」ソワソワ
雪歩「響ちゃん?」
響「ご、ごめん雪歩! 自分…えーと、あれだ! エサやらないとだから!」ダッ
雪歩「え…? あの…」
雪歩(四条さんと二人きりになれたのはいいけど…)
雪歩(私、響ちゃんに避けられてる…?)
雪歩(やっぱり、昨日のことが原因なのかな…)
貴音「雪歩」
雪歩「はっ、はい!? なんですか四条さん!」
貴音「響と何かあったのですか?」
雪歩「ちょ、ちょっとしたことです! 四条さんにご迷惑はかけません!」
貴音「そういうわけにはいきません。雪歩も響も私の大切な友人」
貴音「その二人の仲が気まずくなっているとあれば、私にとって無関係ではありません」
貴音「私に出来ることがありましたら、遠慮なく言ってほしいです」
雪歩(四条さん、優しい…)
雪歩「それなら、話します。実は昨日、響ちゃんと一緒に帰ったんですけど…」
貴音「ふむ」
………
貴音「なるほど…そういうことですか」
雪歩「四条さん、私、響ちゃんに嫌われてるんでしょうか」
貴音「そうでしょうか? 私にはそうは思えませんが」
雪歩「え…? で、でも…」
貴音「大丈夫ですよ、雪歩。響は貴女のことを嫌ってなどおりません」
雪歩「嫌ってない…? どうしてわかるんですか?」
貴音「今は、そう…少し時間が必要なのです」
雪歩「は、はぁ…」
雪歩(よくわからないけど…四条さんがそう言うのなら…そうなのかな?)
雪歩(だけど、響ちゃんはどうして私のことを避けたりするんだろう?)
貴音「仲良きことは素晴らしきことです」
雪歩「…? ??」
………
響「はぁー…」
響(なんだろ、雪歩に話しかけられた瞬間…つい逃げちゃった)ボーッ
伊織「あら? 響じゃない。何黄昏れてんのよアンタ」
響(雪歩に変に思われたかも…)ズキン
響(うぅ…それはなんか、すっごく嫌だ…)
伊織「ちょっと、この伊織ちゃんを無視するだなんていい度胸ね」
やよい「響さん! おはよ…」ポン
響「うわっ!?」ビクッ
やよい「はわっ!?」
伊織「ちょっ!?」
響「あ、ああ…やよい…と伊織か」
伊織「伊織か…じゃないわよ!」
やよい「ちょっと、びっくりしちゃいました」
やよい「響さん、おはようございまーす!」ガルウィーン
響「………」
やよい「響さん?」
響「あ、うん、おはようやよい」
やよい「もう、ぼーっとしてちゃ駄目ですよ響さん! しゃきっとしないと!」
響「そ、そうだな。しゃきっとしないと!」
伊織「…?」
やよい「そうだ響さん。これからお昼ごはん食べに行くんですけど、一緒にどうですか?」
響「えっと…いや、自分はいいや」
やよい「響さん、ごはん食べれば元気もりもりーですよ!」
響「今、そういう気分じゃないんだ」
やよい「もう、響さん。駄目ですよ、そんな…」
伊織「やよい、そっとしておきましょ」
やよい「伊織ちゃん?」
伊織「響。私達は行くけど、本当にいいのね?」
響「うん。ありがと、伊織。せっかく誘ってくれたのに、ごめんなやよい」
伊織「さ、行きましょやよい」
スタスタ…
やよい「響さん、ちょっとヘンだったかも」
千早「そうなの?」
伊織「そうね。心ここに在らずって感じだったわ」
やよい「何かあったんでしょうか」
千早「何かって?」
やよい「それはわからないですけど…」
千早「そう…高槻さんでもわからないのね」
伊織「…………千早、アンタいつからここにいたの」
千早「私はいつでも現れるわ。高槻さんがそこにいるならば」
やよい「響さんはどうしちゃったんでしょう?」
千早「思春期特有の症状じゃないかしら」
伊織「アンタの口からそんな言葉を聞く日が来るとは思わなかったわ」
千早「けれど、あながち間違いとは言えないのでは?」
伊織「まさかあの響が…って言いたいけど、あの様子を見ると確かに否定はできないわね…」
千早「我那覇さん、もしかして高槻さんのことを本気で好きになったとか…」
やよい「私、響さんのこと好きですよ?」
伊織「うーん…でも、さっきの態度はやよいに対してって感じじゃなかったわ」
千早「じゃ、じゃあもしかして私…かしら…? こ、困るわ…私には高槻さんが」
伊織「千早、アンタ病院行った方がいいわよ」
やよい「へっ!? ち、千早さん、びょーきなんですか…?」
千早「ええ、これはきっと高槻さんに対する恋の…」
伊織「頭のよ。いつからこうなったのかしら」
その夜…
雪歩「ふぅ、今日も頑張ったなぁ」
雪歩(結局…あの後、私は響ちゃんと顔を会わせることはなかった)
雪歩(最近仲良くなってきたし、ちょっとは気になるけど)
貴音「雪歩、お疲れ様です」
雪歩「はっ、はい!」
雪歩(まぁ、いいよね。それより、四条さんともっと仲良くしないと!)
貴音「それでは御機嫌よう」
雪歩「ちょ、ちょっと四条さん!?」
貴音「はい? なんでしょうか雪歩」
雪歩「今日、これから何か予定はありますか?」
貴音「本日は外に夕食をと思っておりますが」
雪歩「そうなんですか。それ、私もご一緒してもいいですか?」
貴音「折角の申し出ですが、雪歩を…いえ何人たりとも私の食事に付き合わせるわけにはいきません」
雪歩「えっ?」
雪歩「四条さん、何かあったんですか?」
貴音「…以前、仕事の帰りに事務所の皆で軽く夕食をと…居酒屋へ行く機会があったのです」
雪歩「居酒屋…」
貴音「個室の四人掛けのテーブルに座り、プロデューサーは酒を注文すると同時、我々にこう言いました」
貴音「『今日は奢りだ。好きなだけ注文していいぞ』と」
貴音「おでんに焼き鳥に雑炊、沢山の料理が運ばれてきて…」
貴音「そして私が気づいた頃には…そこには何も残ってはいませんでした」
雪歩「そ、それは…」
貴音「周りには引いた目で私を見る者! うんざりした顔で私を見つめる者…!」
雪歩「し、四条さん、そんなこと気にする必要ないですよ!」
貴音「普段ならば気にしません、しかし親しいと思っていた者にまであのような顔をされるのは…堪えます」
貴音「それ以来、私は悟ったのです…食事は孤独であると! 独り静かで豊かであるべきだと!」
貴音「ですので、雪歩。申し訳ありませんがご一緒してもらうわけには」
雪歩「待ってください四条さん! 私は変な顔なんて、しません!」
貴音「しかし」
雪歩「私は四条さんと一緒にお食事がしたいんです!」
貴音「雪歩…」
雪歩「駄目ですか?」
貴音「…私は誰かにそう言ってもらえるのを待っていたのかも…しれません」
雪歩「四条さん」
貴音「そこまで言うのであれば、断る理由はありませんね。よろしくお願いします、雪歩」ニコッ
雪歩「は…はいっ!」
雪歩(やった! 四条さんと一緒にお食事…)
雪歩(それに、四条さんのこの笑顔、これって結構好感触!?)
雪歩「どこに行くんですか?」
貴音「最近見つけたらぁめん屋なのですが…雪歩はらぁめんは嫌いではないですか?」
雪歩「大丈夫ですぅ。私、こってりしたのは結構好きですから」
貴音「そうなのですか、それならちょうどいいですね」
雪歩「それじゃ、行きましょう!」
雪歩(えへへ…四条さんと、二人きり♪)
ガチャ
雪歩「ひゃぅぅ!?」ビクッ
?「あ!? ご、ごめん! 急に開いたから…脅かしちゃった?」
貴音「おや」
雪歩「ま、真ちゃん…」
真「あ…雪歩。大丈夫? 怪我はない?」
雪歩(四条さんと一緒のところ、真ちゃんに見られちゃった)
雪歩(ううん、別にいい…んだけど…いいはずなんだけど、やっぱりなんか嫌な感じ…)
雪歩(こ、これは…四条さんと真ちゃんと、三人でお食事!?)
雪歩(真ちゃんのことはちょっと諦めかけてたけど、こんな素敵なイベントが来るなんて!)
雪歩「あ…その前に、ちょっと」
真「ん? どうしたの雪歩?」
雪歩「えっと…お手洗いに…」
貴音「ええ、どうぞ」
雪歩「失礼しますぅ!」
雪歩(フヒッ、ハーレムですぅ…)
雪歩(お手洗い? そんな場合じゃないよ、この感動を詩にしなきゃ!)
ドンッ!
?「わっ!?」
雪歩「いたっ…ご、ごめんなさ…」
美希「…雪歩」
雪歩「あ…美希ちゃん」
雪歩「ご、ごめんなさいぃ…わたし、ちょっと急いでて」
美希「フーン…それって、これから三人でデートだから?」
雪歩「ふぁっ! な、なんでそれを」
美希「さっきから見てたの! 真クンだけじゃなくて貴音まで…雪歩の節操なし!」
雪歩「せ、節操なしって…そんなんじゃないって」
美希「嘘だよ! 雪歩、すっごく嬉しそうな顔してたモン!」
雪歩「だ…だとしても、美希ちゃんには関係ないでしょ!」
美希「関係あるもん! だって…」
雪歩「だって?」
美希「あれ…? なんでだろ?」
雪歩「…美希ちゃん?」
美希「うーん…」
雪歩(よくわからないけど、今のうちに)コソコソ
~らぁめん屋~
雪歩「うわ…」
貴音「雪歩はこのような所に来るのは初めてですか?」
雪歩「えっと、初めてではないですけど…あまり来ないですね」
店主「ラッシャェ! チューモンドウシェス?」
真「貴音さん、何かオススメってあります?」
貴音「特製葱味噌叉焼めん特盛で」
真「じゃ、ボクもそれで」
雪歩「わ、私もそれでお願いしますぅ」
店主「ヘイ! トクセイネギミソチャートクモリサン!」
貴音「結構な量なのですが…大丈夫ですか?」
真「お腹空いてるし、大丈夫ですよ」
雪歩「わ、私も…」
雪歩(勢いで言っちゃったけど…なんかすごそうだし、やめとけばよかったかも…)
そして…
店主「トクセイネギミソチャースオマタセシャシァ!」トンッ
コンモリ
真「うわっ、すごいな…スタミナつきそうだ」
雪歩「こ、これどこから食べればいいんですかぁ?」
貴音「箸の赴くまま…自由に食すといいでしょう。誰も咎めはしません」パクパク
雪歩(箸の赴くままって言われても…)
雪歩「えーと、じゃ、じゃあ上に乗ってるネギから…」シャキ
真「辛っ! このネギ辛い!」
雪歩(そんなに辛いかなぁ)シャギシャギ
貴音「スープを飲むといいですよ。味噌の風味が辛みを和らげてくれます」
真「なるほど」ズズッ
真「あちちっ」
雪歩「わっ、真ちゃん大丈夫!?」
真「うん、大丈夫。辛いもの食べた後って熱いのが舌にしみるんだよね」
ズズ
真「はぁ…」プハ
真「白髪ネギって言うんでしたっけ? 赤いけど。このピリ辛風味、味噌のスープに合いますね」
貴音「ここの葱は何にでも合いますよ」
真「味噌ラーメンってチャーシュー入ってる印象あんまりないんですけど…」
真「ここのはいいですね。1枚で出すんじゃなく一口サイズに切ってあるし、これもまたネギと合う」
貴音「葱もよろしいですが、やはりこの店の特筆すべき点は麺ですね」
真「うんうん、この太いちぢれ麺にスープが絡み付いて…」ズルルッ
真「あーっ、暑い! 上着脱いでいいかな!」ズリッ
パサッ
雪歩「………」ポエー
貴音「雪歩、どうしたのですか? 箸が止まっておりますが」
雪歩「え? あ、はいっ! そうですね!」ズルズル
………
真「ふぅ…ごちそうさま!」
貴音「ふむ、まだ足りませんね…もう少し、替え玉をお願いできますか」
真「あれ、そんなのあるんだ? じゃあボクも替え玉貰おうかな」
貴音「食べられるのですか、真? 一般的にはかなりの量だと思われますが」
真「今日は腹ぺこなんですよ。だからもう一玉くらいは…」
雪歩「う…うぅ…」プルプル
真「って、雪歩? 大丈夫? 少し食べようか」
貴音「雪歩、あまり無理はなさらずに」
雪歩「は、はいぃ…」ウップ
雪歩(食べきれなかった…流石に、二人と同じ量は無理があったみたい)
雪歩(私が残した分は二人が食べてくれたけど、四条さんや真ちゃんに心配かけて…)
雪歩(うぅ…穴掘って埋まりたい…)
そして…
真「大丈夫、雪歩?」サスサス
雪歩「うん、ありがとう真ちゃん。大分楽になったよ…」
貴音「申し訳ありません。このようなことになるとは」
雪歩「し、四条さんは気にする事ありませんよ。私が無理に合わせようとしたのが悪かったんです」
雪歩(次はちゃんと自分に合った量にしよ…)
貴音「真は私と同じくらいの量を食べていましたよね」
真「同じじゃないない。ボクもあれを2杯は流石に無理だよ」
雪歩(四条さんは、あの後同じものをもう1杯頼んでいました)
雪歩「四条さんはいつものことだけど、真ちゃんも凄いね」
真「うっ、ま、まぁね…お腹空いてたし…ついつい食べ過ぎちゃったよ」
真「…はぁ」
雪歩「? どうしたの、真ちゃん」
真「いや…普通の女の子は、こんなガツガツ食べたりしないよね…って思って」
貴音「…そう、なのでしょうか」
真「あ、いや! 貴音さんはなんか、そういう部分も親しみやすいとか、魅力の一部って言うか…プラスになるんだけどさ」
真「でも、ボクがいっぱい食べると…男っぽいとか、そういう方向に行っちゃうのかなって思ってさ」
雪歩「ちょっと、わかる気がするかも…」
真「だよね…はぁ~っ、ボクってずっとこうなのかな…」
雪歩「だ、大丈夫だよ! 真ちゃんは今のままでいいよ!」
真「今のままでいいって…」
雪歩「真ちゃんには、真ちゃんだけの魅力的な部分、いっぱいあるよ!」
真「…た、例えば?」
雪歩「え? えっと、王子様みたいな見た目とか…キュンキュンするようなハスキーボイスとか…ダイナミックなダンスとか…」
真「わぁぁっ、全部男らしいことじゃないかぁっ!」
雪歩「あう…」
雪歩(そうじゃなくて、なんていうか真ちゃんは…うぅ、言葉が出てこないよ~!)
貴音「よいではありませんか。そういう部分も、紛れもない真の魅力の内なのですから」
真「それは…ちぇ。どうせボクは女の子らしくありませんよ」
貴音「おや。真が女の子らしくないなど、誰も言っておりませんが」
雪歩「そ、そうだよ」
真「お世辞なんて、いらないやい」ツンッ
貴音「真は自分で思っているよりも可愛いところ、沢山ありますよ」
真「え…そ、そう…?」テレッ
貴音「ふふっ…」
真「!」
貴音「失礼…」
真「もう、笑ったりして、ボクをからかってるんですか!」プンスカ
貴音「真は感情豊かですね」
真「へ?」
貴音「次々と表情を変える様はとても可愛らしいですよ」
真「え、あ、はい? え?」
貴音「それと、真は可愛いものが好きでしょう?」
真「それは…衣装とかは可愛いの着てみたいと思う事もあるけど…でも似合わないし」
真「それに、フリフリ自体が好きって言うか、女の子っぽいものに対する憧れって言うか…」
貴音「それでいいではありませんか」
真「へ?」
貴音「女の子ならば、可愛らしいものに憧れるのは当然でしょう。そして…」
貴音「それらに目を輝かせる真の姿は…とても女の子らしく、可愛らしいですよ」
真「そ、そうかな? へへ…」ニコニコ
雪歩「そうだよ」
雪歩(真ちゃん、嬉しそう…四条さんはやっぱり凄い! 憧れちゃうなぁ)
雪歩(でも、嬉しそうにしてる真ちゃんもいつもと違う一面って感じでかわいいし…)
雪歩(うぅ、やっぱりどっちか一人なんて決められないよぉ~!)
雪歩(それから…)
雪歩(そんな幸せだった日から、数日が経ちました)
雪歩(あの後から、事務所全体が忙しくなってきて、学校に通いながらも空いた時間は朝から晩まで仕事やレッスンが入る日々です)
雪歩(四条さんと真ちゃんの二人とは、時間が合わずなかなか会えません。代わりに…)
響「ゆ、雪歩! あの…レッスン、一緒にしない? 自分のダンス、見てもらいたいぞ!」
雪歩(なんだかぎこちない響ちゃんに…)
美希「雪歩は最近ダラダラしすぎだって思うな!」
雪歩(前よりもさらに突っかかってくるようになった美希ちゃん…)
美希「雪歩! どこ見てるの、ミキが手本みせてあげるから!」
雪歩(この二人と一緒になる日々が続くのでした)
雪歩(四条さんも、真ちゃんも、どうしてるんだろ)
~765プロ~
真「うひー疲れたぁ…ただいまー」
貴音「おや、真。おかえりなさい」
真「あ、貴音さん。奇遇ですね」
貴音「私も先程帰ってきたばかりでして。今、帰り支度をしている途中です」
クゥークルルルルー
貴音「失礼」
真(す、凄いお腹の音だなぁ…)
貴音「今晩はあの店のらぁめんにしましょうか…」
真「ラーメンか…」
真(この前食べたラーメンは美味しかったなぁ)
真(あのスープの味、シャキっとした辛味ネギ…)
真「………」ゴクッ
真(あー、駄目だ。頭がラーメンになってきちゃった)
真「あの、貴音さん」
貴音「貴音さん…ですか」
真「え? 何か、変ですか?」
貴音「真。我々は同じ店で同じらぁめんを食べた仲…いわば麺友ではありませんか」
真「め、めんゆう!?」
貴音「貴音『さん』などと…余所余所しい呼び方をされるのは少々寂しいです」
真「そ、そう? えーと、じゃあ…貴音」
貴音「はい、真」ニコッ
真「なんか、変な感じです…だね」
貴音「いいえ、とても自然です。女の子らしいですよ」ニコニコ
真「…もしかして、からかってる?」
貴音「申し訳ございません。真が可愛いので、ついからかいたくなるのです」
真「かわっ…や、やっぱりからかってるでしょ」
貴音「それで、私に何か御用でしょうか?」
真「あ、そうだった」
真「えっと…貴音。晩ご飯食べに行くんだよね。ボクも一緒に行っていい?」
貴音「おや。よろしいのですか、私と一緒で?」
真「せっかく会ったんだ。別々に食べに行くなんて、水臭いよ」
貴音「そう、ですね。それは…確かに」
真「待ってて、ボクもすぐ帰り支度するから」
貴音「ふふ…」
真「ん? どうしたの?」
スッ
貴音「二人きり、でございますね」クスッ
真「!」ドキッ
真「う、うん…そうだね」
真(な、なんでドキッとしたんだよ、ボクは…)
真(でも貴音って、不思議な魅力あるんだよなぁ…あの口に人差し指当てる動作とか、なんていうんだろう。色っぽいって言うか…)
雪歩「………あれ?」
真『~~~』
貴音『~~~』
雪歩「あそこで並んで歩いてるのって…」
美希「雪歩、何余所見してるの?」
雪歩「えっ、あの…外に…」
美希「そんなことより、料理来たよ」
雪歩(私達はレッスンの後、なぜか二人でファミレスにいました)
雪歩「美希ちゃん、そんなだらけきって…レッスンの時はあんなやる気だったのに」
美希「頑張りすぎて疲れたの。雪歩、食べさせてー」
雪歩「え? 食べさせてって…」
美希「あーん」
雪歩「もう、しょうがないなぁ…はい」スッ
美希「あはっ♪」パクッ
雪歩(そして…)
雪歩(次に私が真ちゃんに会ったのは、それから3日ほど後のことでした)
真「あ、雪歩! おはよう!」
雪歩「真ちゃん、おはよう。って…」
真「?」フリフリ
雪歩「なんか、真ちゃんの服装…いつもと違った感じだね」
真「あ、やっぱりわかっちゃう?」ニヨニヨ
雪歩(フリフリだけど全体的に落ち着いた色で…でもちょっと派手にアクセントもあって…)
雪歩(普通に、可愛い女の子みたい!)
真「どうかな…?」
雪歩「うん、とっても可愛いと思うよ!」
真「えっへへ…そっか…」
ガチャ
伊織「あら、なんか見慣れないヤツがいるわね」
真「何さ、伊織」
伊織「なんでもいいじゃない。どうしたの、真? 今日はちゃんと女の子に見えるわよ」
雪歩「い、伊織ちゃん。そんな言い方…」
真「ふふん、そうでしょ? 自分でもかわいいなぁって思ってるんだ」
雪歩(って、真ちゃんご機嫌だ。全然気にしてないみたい)
伊織「だから、アンタはそういう格好の方が似合ってるって、前から言ってるじゃない」
真「え、そうだっけ?」
伊織「アンタはピンクにこだわりすぎだったのよ。やっと自分にどういうのが似合うかわかってきたのね」
真「あ、うん…これ、貴音に選んでもらったんだ」
伊織「貴音が?」
真「この前、一緒に買い物に行ったんだけど、その時に見てもらったんだよ」
伊織「ふーん…」
雪歩(この服、四条さんが選んだんだ…やっぱり、四条さんは凄いなぁ)
………
真「貴音!」
貴音「おや、真」
真「貴音が選んでくれた服、凄く評判いいよ!」
貴音「真は元がいいですからね。合った服を選べばそうなるでしょう」
真「みんな、ボクのこと可愛い可愛いって…なんか、夢みたいだ」
貴音「ふむ…少し惜しい事をしてしまった気がしますね」
真「え? 惜しいことって…なんで?」
貴音「真の可愛い姿を知っているのが私だけではなくなってしまいましたから」
真「えっ!」ドキ
貴音「ふふ、冗談です」
真「な、なんだ。冗談かぁ」
真(そうだよね。冗談に決まってるよね)
真(………)
その夜…
雪歩「ただいま…」ガチャ
真「………」ス…
雪歩「あれ?」
フラフラ
雪歩(真ちゃん? 私の声、聞こえなかったのかな。横を通って行っちゃった)
雪歩(何か様子がおかしかったなぁ…何かあったのかな)
雪歩(…真ちゃん、理由はわからないけど落ち込んでるのかもしれない。荷物置いたら、すぐ追いかけよう)
響「ゆ、雪歩!」
雪歩「あれ、響ちゃん。ただいま」
響「うん、おかえり!」
響「あ、あのさ。ちょっと、雪歩に話したいことがあるんだけど…」
雪歩「話したいこと? ごめんなさい、今ちょっと急いでて」
雪歩(真ちゃんを追いかけないと…)
響「お願い!」
雪歩「でも…」
響「そ、その…大事なことだから!」
雪歩「う、うん。わかったよ」
雪歩(うぅ、断れない私…)
雪歩「それで、大事なことってなに?」
響「それは…えっと…」
雪歩「………」
響「あのさ!」
雪歩「は、はい」
響「ゆ、雪歩は…自分のこと…好き?」
雪歩「好き?」
雪歩(うーん…まぁ、最近は響ちゃんとは結構仲いいと思うし…)
雪歩「うん、響ちゃんのことは好きだよ」
響「!!」
響「そ、そっか…えへへ…嬉しいな…」
響「自分も、雪歩のこと大好きだよ!」
雪歩「そうなんだ、ありがとう」
響「これから…いや、これからも、よろしくね!」
雪歩「? うん」
雪歩「それで、あの…そろそろ、行ってもいいかな…?」
響「えっ? あ、ああ、うん! ごめんね」
雪歩(真ちゃん、どこに行ったんだろ…)
ガチャ
~公園~
真「はぁ…」
真「やっぱり、ボク…おかしいのかな」
貴音「何がでしょうか?」
真「わ!?」
貴音「真、こんなところにいたのですね」
真「た、貴音…どうしてここに」
貴音「ふふ、さて…どうしてでしょう」
真「………」
貴音「真、何やら浮かない顔をしておりますが。悩みがあるのなら相談に乗りますよ」
真「…悩みなんてないよ」
貴音「それは嘘…ですね」
真「嘘じゃない。なんでそう思うのさ」
貴音「最近、真の顔ばかり見ていましたから。それくらいはわかりますよ」
真「っ…」
貴音「何を抱えているのか、聞かせてほしいのですが」
真「話したくない」
貴音「なぜ」
真「ボクが悩んでるのは、自分が変になっちゃったかもしれないってことでさ」
貴音「変?」
真「ある女の人の仕草に見とれたり、ドキっとしたり」
真「いつも一緒にいたいって考えるようになったり」
真「自分を独り占めしたいって言葉を冗談だって言われて…ショックを受けてる自分に気づいたり」
貴音「…それは」
真「女同士なのにそんなの変だって、何度も否定した」
真「そんな風に考えてるうちに、頭の中がその人のことでいっぱいになって」
貴音「………」
真「それで…やっぱり、自分の心には、嘘はつけなくて。わかっちゃったんだ」
貴音「真…」
真「ボクは…」
雪歩「あ、いた…」
雪歩「真ちゃ…」
真「ボクは貴音が好きなんだ!」
雪歩「」
貴音「真…」
真「気持ち悪いかもしれない…変に思うかもしれない…」ブルッ
真「でも、これがボクの本心だ…!」
雪歩「」
貴音「真…」グッ
貴音「私も…」
真「え?」
貴音「私もあなたのことを、お慕い申し上げております」
雪歩「」
真「へ…うそ…」
貴音「嘘ではありません。私も、貴女と同じ気持ちです」
貴音「貴女は共に食事の喜びを分かち合える人だと思いました」
貴音「貴女の他の表情を、もっと見てみたいと思っていました」
貴音「この想いはずっと胸に秘めておくべきだと…そう、思っておりました」
真「…信じられない」
貴音「なら…これでどうでしょうか」
ガバッ
雪歩「」
貴音「聞こえるでしょう? 私の心の音が…」
真「…わかんないよ。自分の心臓の音しか聞こえない」
雪歩「」
真「貴音…」ギュ
貴音「真…」ギュッ
ス…
チュ…
雪歩「」
ズドン
エンダァァァー イヤァー
ウィールオールウェイズラァビュユー ウーゥーァー
ウィラールゥーイズラァビュユー アー
ィウィラァァル ェーイズ ラーァビュゥー ウーゥゥァー
ウィラァァァール ウェェーイズラッ ァビュユゥー ゥーゥゥーァーィ
ウィルォルゥェイズ ラァゥユゥー ウーゥゥァーィ
アイウィルオール ェイズラァァ… ユゥゥー…
雪歩(そうして、口づけを交わす真ちゃんと四条さんは…)
雪歩(まるで、外国の物語に出てくる、王子様とお姫様みたいで…)
雪歩(月明かりが恋の始まりを祝福するかのように、二人を照らし、重なり合う影を映し出していた)
雪歩(なんでこうなるの~!?)
~次の日~
真「雪歩、おはようっ!」
雪歩「あ、真ちゃん。おはよう、なんか幸せそうだね」
真「え!? そ、そんなことないと思うよ?」
真「あ、そういえば昨日、すれ違ったのに無視しちゃったみたいで…ごめん、ちょっと考え事しててさ」
雪歩「ううん、いいよ別に」
貴音「おや…」ガチャ
真「あ、貴音! おはよう!」パァッ
貴音「…おはようございます、真」ポッ
雪歩「…二人とも、昨日何かあったんですか?」
雪歩(知ってるけど…)
真「え!? べ、別になんでもないよ? ねぇ、貴音」
貴音「ふふっ、そうですね。何もありませんよね…真?」
イチャイチャ
雪歩(端から見てると丸わかりだよ二人とも…)
雪歩「はぁ…」
美希「あ! おはよ、雪歩。どしたの? 暗いカオしちゃって」
雪歩「どしたの? じゃないよ、美希ちゃん。見てないの? 真ちゃんが…」
美希「真クンがどうかしたの?」
雪歩「四条さんとくっついちゃったんだよ!」
美希「あ、そうなんだ」
雪歩「そうなんだって、そんな適当な…」
美希「だって」
雪歩「美希ちゃん、真ちゃんのことが好きだったんだよね!?」
美希「うーん…」
雪歩「…美希ちゃん?」
美希「ミキ…真クンのことは好きだったケド、あんまり好きじゃなかったの」
雪歩「え?」
美希「貴音とくっついたって聞いても、あんまりショックじゃないってゆーか…」
美希「ジブンではもうちょっとショック受けるって思ってたけど、全然そうじゃなかったってカンジ」
雪歩「そ、そうなの…?」
美希「それでミキ、わかったんだ」
雪歩「わ、わかったって…何が?」
美希「すーっ、はーっ…」
美希「よしっ」キッ
雪歩「み、美希ちゃん…?」
美希「わかったの。ミキが本当に好きなのは…」
美希「雪歩なんだって」
雪歩「え」
雪歩「………」
雪歩「ええええええええっ!?」
美希「雪歩! ミキと付き合ってほしいの!」
雪歩「じょっ、冗談だよね!?」
美希「本気だよ!」
雪歩「ちょ、ちょっと待って…!? おかしいよそれ…!?」
美希「全然おかしくないもん!」
雪歩「だ、だって…真ちゃんにあんなにベタベタして…」
美希「最初は、真クンの方が好きだったのかもしれないケド…」
美希「真クンのそばにはいっつも雪歩がいて、雪歩と争ったりしてるうちに、真クンより雪歩のことを考えてる時間が多くなって…」
雪歩「ええ…!?」
美希「真クンにくっついてれば、雪歩はミキの方を見てくれるから、それで…」
雪歩「いやいやいやいやいやいやいやいや」
美希「雪歩、駄目なの!?」
雪歩「駄目と言うか、突然すぎて心の準備が」
美希「じゃあ、準備できたらいいの!?」
雪歩「だ、だから…」
美希「どっちにしても、ミキは諦めないよ!」
雪歩「えぇ…」
響「待て、美希!」
美希「響!?」
雪歩「響ちゃん!? よかった、助け…」
響「雪歩に近付きすぎだ! 離れてよ!」
雪歩「あれ…?」
美希「ミキが雪歩に近付いてもいいじゃん! 響はカンケーないでしょ!」
響「関係ある!」
美希「なんで!」
響「それは、もちろん…」
響「自分だって…自分も、雪歩が好きだから!」
雪歩「ええええええええええええええええ!?」
響「今の雪歩は悲しそうだ…自分、雪歩が悲しそうな顔してるのは嫌だぞ!」
雪歩「あっ、あのっ…」
美希「ミキだってそうなの! 雪歩には、ニコニコしててほしいって思うな!」
雪歩「え、えーと…」
美希「あ、でも悲しそうな雪歩をギューってしてあげるのもそれはそれでアリかな」
響「なるほど…よし! ほら雪歩、自分の胸に飛び込んでくるさ!」
美希「ミキの方が先に思いついたんだから、真似するのはダメなの!」
響「そんなルールないでしょ!」
美希「むむむむむ…」
響「ぐぬぬぬぬ…」
雪歩(何…なんでこんなことになってるの!?)
美希「大体、響は後から来てヒキョーだよ! ミキの方が先に雪歩に好きって言ったの!」
響「美希は好きってわかったのはさっきなんでしょ!? それなら、自分の方が早いぞ!」
雪歩「へ!?」
響「雪歩、自分昨日雪歩に好きって言ったよね!?」
雪歩「えっ、あれってそういう意味だったの!?」
美希「ほら、雪歩だってあんまりわかってなかったじゃん!」
響「うぐ…で、でも、言ったことには変わりないよ!」
美希「大体、先とか後とか、そんなことカンケーない! 好きなら、それでいいって思うな!」
響「自分で言い出したくせにー!!」
雪歩「あ、あの…」オロオロ
響「自分、雪歩がす、好きって気持ちは美希には負けないから!」
美希「ありえないの、ミキが勝つに決まってるから!」
雪歩「ふ、二人とも…」
響「そうだ、雪歩に決めてもらえばはっきりするぞ!」クルッ
雪歩「へっ!?」
美希「響にしてはいいアイデアだね、望むところなの!」
雪歩「え、えーと…」
美希「雪歩! 返事を聞かせてほしいの! 雪歩は、ミキの方が好きだよね!」ズイッ
雪歩(美希ちゃんと…)
響「雪歩! 自分の方を選んでくれるよね!?」グイッ
雪歩(響ちゃん…)
美希・響「「雪歩!!」」
雪歩(どっちを選べばいいの~!?)
完!
乙
たかまことか、キャラの関係性とか好みだった
以前に書いているSSがあればkwsk
>>76
やよい「かに…かに…」
千早「高槻さんの…体操服…?」
春香「千早ちゃんがPADつけて事務所にきたwwwwwww」
千早「なんだか胸が張るわ…」
春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」
春香「千早ちゃんがマグロだった…」
とか
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