凜、まゆ「「あーあ………」」(19)

短いかもです

凜「ここにいたんだ、まゆ」

まゆ「あらぁ………凜ちゃん、いいんですか抜け出して来ちゃって………?」

凜「ちょっと疲れちゃってさ。外の風、当たりたくなったんだ」

まゆ「そうですかぁ」

凜「まゆこそどうしたの?一人で屋上に体育座りなんて、キャラじゃないよ」

まゆ「ウフフ、辛辣ですねぇ。まゆもちょっと外にいたかったんです」

凜「そ。一緒だね」

まゆ「ええ、一緒ですねぇ………多分、理由も」

凜「………」

まゆ「………」

━━━P君、お姉ちゃんを幸せにしてよね!でないと噛みついちゃうから!

━━━Pさんと幸せになってね、美嘉ちゃん

━━━

━━

まゆ「美嘉さん、ですかぁ………」

凜「美嘉、ね………」

まゆ「女の子としてのスキルは誰にも負けない自信があるんですけど、ね」

凜「一緒に居た時間も密度も負けない自信、あったんだ」

まゆ「けれど………負けちゃいましたね」

凜「負けちゃったんだよね、私も、まゆも」

まゆ「Pさんが美嘉との御結婚を伝えた時、まゆの中で色々こみ上げて来たんです。でも、自分でも驚く程冷静でした………多分相手が美嘉さんだからでしょうねぇ」

凜「意外だったよ、まゆが暴れないんだもの………フッ、フフフ」

まゆ「笑わないで下さい~、凜ちゃんだって凄い目をしてましたよぉ?━━━でも私も意外だったんです、凜ちゃんが何も言わないんですから」

凜「美嘉だもん。彼女、見た目はギャルでも中身はほら………とってもさ、女の子だから。とてもいい子で、元気で、周りも良く見えてるし………正直かなわないんだ。
私からしたら、眩しくて。Pさんが選ぶのも納得かな、そう思った」

まゆ「私や凜ちゃんみたいなタイプとは違いますもんねぇ。」

凜「まゆは?」

まゆ「まゆも本当は悔しいですよ?悔しいし、とても苦しいです。とても正直にお話すると、今全てを投げ出してしまいたいまゆがいますねぇ………アイドルも、まゆとしての人生も全て」

凜「………嫌になるね、そこまで私と一緒なんて」

まゆ「会ってから火花をパチパチし続けてきましたものね、凜ちゃんとまゆってば」

凜「最後の最後で、こういう時に色々一致しちゃうなんて皮肉だよ、ホント。しかもPさんの事で」ムスッ

まゆ「フフ………そうですねぇ」

凜「まゆ………この後、どうするのか聞いてもいいかな?」

まゆ「そうですねぇ。投げ出してしまいたい、でもまゆはPさんを悲しませたくないですからアイドルを続けてみます。
気持ちの整理を付けてから、またPさんの望むまゆになりますよ………いいえ、なりたい、ですねぇ」

凜「そこも私と一緒って………」

まゆ「今度から真似っ子凜ちゃんって呼びますねぇ………ププッ」

凜「………イラッと来てムカッと来た。ウフフじゃなくてププッなのが起爆剤」

まゆ「あらあら………凜ちゃんもアイドルを?」

凜「続けるよ、アイドル活動、楽しいもの。まだ20だよ、まだまだこれからだもん。
それは、それは………もう、気持ち、スッゴくグチャグチャだよ?でも、辞めたくなるぐらい悲しいけど、辞めたくない私が抑えてる。
だからまだやれるよ………うん、やれる。多分。きっと………」

まゆ「凜ちゃんは強いですねぇ」

凜「強くなんてないよ、強くみせてるだけ。背伸びしてるんだ私は。強いならまゆの方がずっと強い。だってまゆは絶対に顔に出さないもん」

まゆ「三代目シンデレラガールの御墨付きなら、まゆも自信持てますねぇ」

凜「そこで『そんな事ないですよぉ~?』って言わないのがまゆだよね、言わなきゃ良かったよ」

まゆ「ウフフ、そこで気の利いた返しが出来ないと芸能界を渡るのに苦労しますから」

凜「うわイラッと来たよ。………けどさ、美嘉はそんな私達よりずっと素直なんだよね」

まゆ「素直さと、暖かさがあるからPさんの心にスルリと入れたんですねきっと。まゆに無い物を持って、それが決め手になって………悔しいけれど、Pさんや美嘉さんの幸せそうなお顔を見たらまゆは、もう、何も言えません」

凜「相手が卯月や美央、奈緒や加蓮だったら私はどうしてたんだろう?そう考えるのが怖いんだ」

まゆ「みんな凜ちゃんと近い人達ばかりですねぇ。考えない方がいいですよ、お友達と険悪になりたくはないでしょう?」

凜「うん」

まゆ「ふぅ………何だかお喋りしてたら疲れちゃいました。凜ちゃんのせいです」

凜「冤罪だね。抗議するよ」

まゆ「弁護士を呼びますかぁ?」

凜「留美さん呼ぶ」

まゆ「留美さんなら早苗さんや礼さん、瑞樹さんと二次会で思い切り泣いて飲み倒す予定らしいです」

凜「ごめんまゆ、すごーくリアルにその光景が頭に浮かぶんだけどどうしようか?」

まゆ「知りません」

凜「ハァ………」

まゆ「フゥ………」

凜「………」

まゆ「………」

凜「まゆ。雨降ってないよ?何で目元から雫垂れるの?」

まゆ「凜ちゃんこそ。今日は目にゴミが入る日ですかぁ?お目々、真っ赤ですよ」

凜「うん、そうなんだ………ゴミがね、しつこくて。嫌だね、本当に」

まゆ「………目にだけ降る雨なんて、変わってます、よね」

凜「━━━グスッ

………Pさんの、バカぁ………ずっと一緒に居たのは私なのに。事務所が小さかった頃から、ずっと支え合って来たのは。私、なのに………!」

まゆ「ヒック………いつだって期待に応えて来たのに………貴方の望むまゆになったのに………誰よりも貴方を愛してるのはまゆなんですよぉ………!」

凜「まゆ………」

まゆ「凜ちゃん………」

凜、まゆ「「………━━━━!!━━……!」」

凜「━━━あー………泣いた。人前でこんなに泣くなんて、いつ以来なんだろう」

まゆ「まゆもですよぉ、しかも凜ちゃんと抱き合ってだなんて………」フキフキ、シュッシュッ

凜「ちょっと。抱き合ってた部分を拭いてしかもファブるとか失礼だよね?失礼通り過ぎてるよね?」

まゆ「あらぁ?ごめんなさいねぇ、Pさんに抱かれる時に凜ちゃんの匂いが移ってると、Pさんに失礼ですから」

凜「ちょっと待った。え?まゆ、諦めてないの?」

まゆ「確かにお話した通りまゆはとても悲しいですよぉ、『妻』の立場を攫われて」

凜「………え?」

まゆ「けれど踏ん切りがつきました、妻の立場は美嘉さんにお譲りします。まゆは一歩引いて愛人としてPさんの愛を受け入れます。
ほら、Pさんに愛されてさえいればいいでしょう?」

凜「や、ちょっと。待ちなよ節操無しのノーブレーキ娘………あの、愛人って………ダメだよそれは色々問題あるでしょ」

まゆ「Pさんなら甲斐性ありますから大丈夫ですよぉ」

凜「大丈夫じゃないから!」

まゆ「じゃあまゆは戻りますねぇクスクス」

凜「ち、ちちちちょっと待ったぁ!それなら私も愛人になるから!わ、私まゆより先の第一愛人ね、これ決定だから!」

まゆ「………はぁ?寝言はトーク多めのバラエティー番組でアドリブ質問に詰まらず答えられるようになってから言ってくれませんかぁ?第一も第二もありませんよ、愛人の座はまゆだけの物ですからぁ」

凜「んぐっ!そ、それ言う?あれは空気読まないで賑やかししか出来ないお笑い芸人が悪いの、私が悪いんじゃないの。
それなら視聴者から『目が怖い』とかレギュラーしてる料理番組で『使ってるケチャップが人の血みたいなイメージある』って言われてるまゆじゃPさんが困るよ、怖がるよ」

まゆ「風評被害もいいところですねぇ?そもそも愛人とそれは関係ありませんから!」

凜「関係あるよ?私知ってるもん奈緒から借りたアニメにまゆみたいな女の子に刺されて終わる主人公のお話とかさ」

まゆ「それこそイメージの押し付けですねぇ、あ。でも。アニメでイメージ固まっちゃう浅はかな凜ちゃんですし、ますますPさんの
お傍に近寄らせてはいけませんね。だって………ねぇ?」

凜「哀れむような視線やめてよ」

凜「決めた。Pさんの愛人は私、はい決定!シンデレラガールの愛人だよ、最高でしょう!?」

まゆ「愛人とは現実から逃れたい男性が作るモノですよぉ?求められるのは、非日常。堅物な凜ちゃんには臨機応変に求められるシチュエーションに対応出来ません。
その点まゆならPさんが望むなら何でも出来ます、やれますから。ほら凜ちゃんは不要ですねぇ」

凜「まゆ………やっぱりあんたとはこの先もライバルだね」

まゆ「ライバル?ライバルとは対等で拮抗した力関係の事です、凜ちゃんとは対等じゃないですまゆが上です、この先ずっと………ねぇ?」

凜「アッタマ来た。受けて立つよ正愛人の座争奪戦!」

まゆ「望む所です………!」

凜、まゆ「「絶対に負け(ません)(ないんだから!)」」

以上です。急に投下したくなって、やっちゃいました。
稚拙な物にお付き合い頂けてありがとうございました

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