妹「お兄ちゃん……」
男「おはよー」
妹「お兄ちゃん……」
男「何だよ?あ、牡牛座一位だ。やったね」
妹「私今日学校休む……」
男「ん?体調でも悪いのか?」
男「……なんでそんなにびしょ濡れなんだ」
妹「わかんない……朝起きたらこんなになってて……」
男「寝汗か?すごい量だな……」
男「まぁシャワー浴びて学校行けよ」
妹「駄目なの……拭いても拭いてもどんどん汗が出てくるの……」
男「そりゃ変だな……具合、悪いか?」
妹「ううん……でも、私こんな状態で外なんて歩けないっ……!」
男「うーん……」
男「……病院、行くか」
妹「! 絶対イヤ!!」
男「いやでもお前それは明らかに異常だろ……」
妹「こんな姿で外なんて絶対出歩きたくない!!」
男「これは内科でいいのかな?それとも皮膚科か?」
妹「イヤだって言ってるでしょ!私病院なんて行かないからねっ!!」
男「駄々こねるなよ……」
男「うーん……困ったな……」
妹「私、絶対行かないから!!」
男「そう言ってる間にも足元に水たまり出来てんぞ」
妹「うわっ!雑巾取ってくる!!」
男「待て、お前はそこから動くな!!被害が拡大する!俺が行くから!!」
妹「あ、う、うんそうだね」
男「しっかし半端じゃない量だな……」フキフキ
妹「そ、そんなジロジロ見んな!」
男「こうしてる間にもどんどん汗が吹き出してきてる……」
妹「うぅ……」
男「お前そろそろ足の爪切れよ」
妹「うっさい」
男「爪垢少し溜まってんぞ」
妹「死ね!!」
男「なぁ、病院行こうよ」
妹「ヤ」
男「今日は俺も学校休んでついてってやるから」
妹「ヤ」
男「どうして嫌なんだ?」
妹「みっともなくて恥ずかしいから」
男「そう言うけど今のお前、結構可愛いぞ?」
妹「そんなんで誤魔化されるか!」
男「いや本当だって。男は皆水浸しの女の子が好きなもんだ」
妹「それはシチュエーションありきの話でしょ!!雨も降ってないのにびしょ濡れの女の子なんて絶対変!!」
男「男はそんなの気にしないって」
妹「そんな変な男に見られるなんて尚更イヤ!」
男「俺だってこんな扇情的な妹の姿を他の男に見せたくないんだぜ?」
妹「……え?」
男「でも何よりお前の身体が心配なんだ……」
男「わかってくれるか……?」
妹「う……」
妹「……そ、そんな言葉で言い包められると思ったら大間違いだよ!」
妹「と、とにかく!私は絶対汗が引くまで外には出ないからね!!」
男「うーん……」
男「じゃあこうしよう」
男「俺も今日は学校を休んで明日までお前の様子を見る。明日もまだ汗が引く兆しが無いようならそのときは無理矢理にでも病院へ連れて行く」
妹「うー……」
男「また、お前の体調に異変があったらそのときも無理矢理病院へ連れて行く」
妹「……で、でも」
男「これが最大の譲歩だ。それともすぐにでも無理矢理引っ張って行こうか?」
妹「う……」
妹「わ、わかったよ……」
男「よろしい」
妹「じゃあ私シャワー浴びてくるね」
男「既にシャワー浴びてるみたいな様相だけどな」
妹「ほっとけ」
男「その前に水分補給してけ。そんなに汗かいてちゃ脱水症状起こすぞ」
妹「あーそうだね」
男「ところでお前のその汗、しょっぱい?」
妹「は?」
男「ちょっと舐めていい?」
妹「い、いいわけあるか!」
男「いやその身体から出てるのが普通に汗ならやっぱりスポーツドリンクとかいるよなーと思ってさ」
妹「だからってなんでお兄ちゃんが舐めるのさ!自分で出来るよ!」
男「いや別に他意はないんだよ。ただどんな味かなーと思って」
妹「死ね変態!!」
男「で、どうなんだよ」
妹「ん……しょっぱい。やっぱり汗だこれ」ペロッ
男「そっか。じゃあお前がシャワー浴びてる間にポカリでも買ってくるよ」
妹「パナップの抹茶もお願い!」
男「はいはい」
━━
━━━
━━━━
男「ただいまー」
妹「おかえりー」
男「……ちゃんと身体拭いてから出てこいよ」
妹「失礼な。ちゃんと拭いたし髪の毛も乾かしたよ!」
妹「お兄ちゃんが帰ってくるの遅いからこうなったんじゃない!」
男「シャワー浴びる意味あったのか……」
妹「朝シャンは乙女の嗜みですよ!」
男「はい、ポカリ。とりあえず二本あればいいかな」
妹「ありがとー!それじゃさっそく」ゴクゴク
男「おう」
妹「……」ゴクゴク
男「……」
妹「……」ゴクゴク
男「……」
妹「……」ゴクゴク
男「……まだ飲むのか」
妹「……」ゴクゴク
男「……」
妹「……」ゴクゴク
妹「……ぷはぁっ!ごちそうさまでした!」
男「……あとで5本ほど買い足してくるよ」
男「さて、そろそろ朝ご飯作ってくれよ」
妹「え?私が?」
男「なんだよ。毎朝のことじゃないか」
妹「でも……この状態の私がご飯を作るのは……」
男「?」
妹「……汚いでしょ?」
男「? なんで?」
妹「だ、だって少なからずご飯に私の汗が……」
男「なんだそんなことか。お前の汗くらい何とも思わないよ」
妹「そ、そう……?」
男「なんならお前の足でもしばらく水につけとけばいいスープが作れるんじゃない?」
妹「豚足でダシをとるってか!ほっとけ!!」ゲシッ
男「痛っ!!」
妹「……お兄ちゃーん」
男「何だ?」
妹「玄関から靴取ってきてよー……」
男「なんで?……ああ、キッチンがビシャビシャだ」
妹「裸足じゃ駄目だ」
男「家の中で靴履くことないだろ……足にタオルでも巻いとけ」
妹「えぇーせっかく家の中を土足で堂々と歩けるチャンスなのに」
男「それにこの調子じゃいくら靴があっても足りん」
妹「じゃあタオル取ってきて。あと雑巾も」
男「はいはい」
妹「はい、出来たよー」
男「お、美味そー」
妹「座るのにもタオル敷かなきゃいけないなんて……」
男「ま、こまめに洗濯すれば多分ローテーション出来るだろ」
男「では、いただきまーす!」
妹「召し上がれ」
男「なんか味噌汁しょっぱくね?足入れた?」
妹「入れてない!!クソ兄貴!!」
男「ごちそーさまでした!」
妹「お粗末さまでした」
男「美味しかったです」
妹「ありがとう。……お兄ちゃん、今日はお兄ちゃんが洗い物やってくれない?」
男「え、ヤダ」
妹「たまにはいいじゃん!今の私が洗ったって綺麗にならないんだもん!」
男「大丈夫大丈夫、汗くらい全然大丈夫だよ」
男「なんならお前の汗を洗剤代わりにして洗ったって俺は気にならない」
妹「うわぁ……気持ち悪い……」
男「とにかく俺は絶対に洗い物をしないっ!!」
妹「はぁ……わかったよ……」
男「ところで親父とお袋、いつ帰ってくるんだっけ?」
妹「明日の夜」
男「そっか……つまり今日は俺一人でお前の面倒みなきゃならないのか……」
妹「べ、別にお兄ちゃんに面倒みてもらわなくても自分のことくらい自分で出来るもん!!」
男「うわ!椅子の下に水たまり出来てるぞ!!」
妹「うわぁ!!私の汗の量がタオルのキャパを超えてる!!」
男「お前そこ動くな!!新しいタオル取ってくるから!!」
妹「よ、よろしくお兄ちゃんっ!!」
妹「……お手数かけます」
男「気にすんな。さっきのは冗談」
妹「ごめんね……」
男「気にすんなって。さあ、さっき買ってきたアイスでも食うか!」
妹「うん!」
男「ほい、パナップの抹茶」
妹「ありがとう」
男「俺はスーパーカップの抹茶。いただきまーす!」
妹「抹茶味は正義!」
男「本物の抹茶は?」
妹「飲めない!」
男「可愛い奴め」
男「さて……暇になったな……」
妹「トランプでもする?」
男「プラスチック製のやつあったっけ?」
妹「あー紙のじゃ駄目だよね……」
男「ま、使ったら捨てるつもりでやるか」
妹「スピードやろスピード」
男「じゃあ取ってくる」
男「10!11!12!!」
妹「くっ……汗で張り付いてカードが取れない……」
男「13!1!終わりっ!!」
妹「んああああ!!あっ!?破けた!!」
男「話にならんな……」
妹「くそォ……私の身体さえ万全ならッ……」
男「言い訳とは見苦しいッ!!キサマの負けだ妹よッ!!!」
妹「くそッ……くそォッ!!」
妹「ご飯炊いとこうか」
男「うんよろしくー」
妹「お兄ちゃんが炊いてよ」
男「ヤダ」
妹「さすがにこの手でお米炊くのは……」
男「駄目なの?」
妹「塩味ついちゃうよ?」
男「別にいいよ」
妹「……いいもん。研がずに炊くから!お兄ちゃんのバーカ!」
男「お願いしまーす!」
━━
━━━
━━━━
ピピー
妹「あ、炊けた」
男「ウノ!!」
妹「スキップ……じゃなくてご飯にしようよ」
男「あとちょっとであがれるのに……ま、いっか」
妹「何食べたい?」
男「おにぎり!」
妹「別の!」
男「ハンバーグ!」
妹「手で調理するのは駄目!……もう勝手に作るからね!」
男「あぁちょっと待って!ごめんごめん!オムライス作って!!」
妹「……はいはい」
妹「あ、ちょっとちょっと!!お兄ちゃん来て!!」
男「どーした?」
妹「黄身が二つ出た!!」
男「おお、ラッキーじゃん」
妹「初めて見た……」
男「まぁボウルに四つ黄身がある状態で見せられても何の感動も無いんだけど」
妹「かき混ぜちゃうのもったいないなー……目玉焼きにしない?」
男「いいや、オムライス!」
妹「できたよー」
男「待ってました!」
妹「ではいただきます」
男「いただきまーす!妹、ケチャップで文字書いてよ」
妹「は?」
男「メイド喫茶でそういうサービスやってるじゃん」
妹「ここ自宅だけど」
男「まーいいじゃん!書いてよ!」
妹「はぁ……何て書くの?」
男「汗」
妹「…………かしこまりました」ニュルニュル
男「ごちそーさまでした!」
妹「お粗末さまでした」
男「さて……午後は何をしようか」
妹「何しよう?」
男「読書でもしようか」
妹「私今本駄目にしちゃうから駄目!」
男「朗読してやろうか」
妹「何読んでくれるの?」
男「あ、昨日買ってきたジャンプとかどう?」
妹「漫画を朗読とかやめてよ鬱陶しい」
男「まぁ普通に二人で楽しめることがいいよな」
妹「うん」
男「パン焼こうか?」
妹「無理!」
男「絵でも描こうか?」
妹「だから出来ないって!」
男「童心に帰って折り紙やろうか!」
妹「もおおおおお!!」
妹「あ、じゃあお兄ちゃんゲームやりなよ!」
男「お、じゃあゲームするか。何やりたい?」
妹「私はコントローラー壊しそうだからやらないよ。お兄ちゃん好きなのしなよ」
男「? それじゃお前つまんないだろ」
妹「私お兄ちゃんがゲームやってるの横で見てるの好きなの。好きなのやりなよ」
男「そっか。じゃあ久しぶりにバイオ4でもやろっかな」
妹「! ……それ怖いやつ?」
男「まぁ一応ホラーゲーム」
妹「…………っ」ゴクッ
男「喰らえっ!」バンッ
妹「わああ!何で近づくの!!そのまま撃ち続けてよ!!」
男「蹴ったら弾節約出来るんだよ」
妹「は……はぁ……倒せた……」
男「お前が倒したわけじゃないけどな」
妹「! そ、外にもいるの!?」
男「これからもっともっと出てくるぞ」
妹「ヤダ、出ないで!!窓から撃ってよぉ!!」
男「こら引っ付くな!!」
妹「あ、ごめん!気持ち悪いよね……」
男「気持ち悪くはないけど操作しにくいだろ……」
妹「あ、倒した……よかった……」
男「まだまだ。これからガンガン襲われるぞ!」
妹「えっ…………」
妹「……そ、そうだ!生クリームあったし私アイスでも作ってくるね!!」
男「見てるんじゃなかったのか」
妹「う、うるさい!」
男「期待してるねー」
妹「……」
男「もうアイスできたのか」
妹「……あとは冷やすだけ」
男「そうか。もうすぐ初のボス戦だぞー」
妹「……!」
妹「……そ、そうだ!私ホットケーキ焼いてくるね」
男「お、いいねー」
妹「き、期待しててね!」
妹「……はい、出来たよ」
男「うわーたくさん焼いたなー……」
妹「お、お兄ちゃん男の子なんだからたくさん食べないと!」
男「ま、じゃあそれテーブルに置いといてよ。今ゲーム消してそっち行くから」
妹「! もうゲームやめちゃうのっ?」
男「これ以上ホットケーキ焼かれてもたまらんからな……」
妹「う……ごめんね……」
男「まぁお前が怖いの苦手なの知っててわざとホラーゲームやりだした俺も悪いんだから気にすんなって」
妹「……! このクソ兄貴っ!!」
男「……ん、美味い」モグモグ
妹「本当?」
男「うん、よーく火が通ってる。時間をかけてきっちり作ったってのがよくわかるよ」
妹「……うん」
男「ホットケーキってこんなにフワフワになるもんなんだなぁ」モグモグ
妹「……どうも」
男「ハチミツとって」
妹「はい」
男「ふぅー食った食った!ごちそうさま!」
妹「お粗末さま」
男「それにしても汗だくだなー。もしかして暑い?」
妹「ううん。むしろちょっと寒い」
男「寒い?ああそうかそんだけ汗かいてれば身体は冷えるよな……」
男「暖房つける?」
妹「い、いいよ!そこまで寒いわけじゃないから!!暖房なんかつけたらお兄ちゃんが暑いでしょう!」
男「そう?でもあんまり身体冷やすのも良くないし……上に何か羽織る?」
妹「今あんまりたくさん服着たくないの……身体に張り付いて不快だから」
男「そう?じゃあ暖房効かせて裸になるっていう手もあるよ?」
妹「嫌」
男「そっか……まぁそれは冗談としても寒かったらいつでも言えよ?暖房つけるから。ちょっと暑いのくらい我慢出来るからな?」
妹「……うん。ありがとう」
男「暇だな……」
妹「暇だね……」
男「……」
妹「……」
男「……庭出よう庭!庭くらい出られるだろ?」
妹「まぁ……うちの塀割りと高いし」
男「じゃあちょっと待ってろ。秘密兵器取ってくるから!」
妹「秘密兵器?」
男「……出来た!」
妹「おー!素敵!」
男「ビニールシートとタープ!今日は天気も良いししばらくここでのんびりしよう!」
妹「いいねぇいいねぇ!」
男「いやースペースギリギリ!」
妹「寝てみていい?寝てみていい?」
男「おう!ビニールシートだから好きなだけ濡らせ!」
妹「うひゃー!」
妹「気持ちいいー……」
男「そのまま寝ちゃう?」
妹「あー……」
男「一時間くらいしたら起こしてやるよ」
妹「うん……」
妹「……」スー…スー…
男「寝てる間にローションまみれにしたらバレるかなー。バレるだろうなー」
━━
━━━
━━━━
妹「ん……」
妹「……私を起こすって言っといて自分も寝てるじゃん」
妹「おにーちゃーん、おーきーてー」
男「zzz……」
妹「うりゃ。汗垂らしたろか」ピチャッ
男「う……」
妹「服絞ってかけちゃえ」ビチャビチャビチャ
男「ぶわっ!!な、何すんだっ!」
妹「おはよう!」
男「あーもー酷いことするな……しょっぱい」
妹「舐めるな!」
妹「今何時?」
男「えーと……6時」
妹「うわ二時間以上寝ちゃった」
男「腹減った」
妹「じゃーご飯にしよっか。何食べたい?」
男「餃子!」
妹「別の」
男「春巻き!」
妹「もう!勝手に作っちゃうからね!」
男「ごめん!鶏の唐揚げ作って!!」
妹「……まぁなんとかなるかな。りょーかい」
男「お願いしまーす!」
妹「うわあああっ!!」
男「どうしたっ!?」
妹「汗が油の中に入って跳ねたあ!!」
男「なんだそんなことか……」
妹「お兄ちゃん手伝ってよ」
男「ヤダ」
妹「だってこれじゃ火傷するかもしれないし……」
男「……しゃーねーなぁ。菜箸貸せ」
妹「え?手伝ってくれるの?」
男「仕方ないだろ」
妹「珍しい……ありがとう……」
男「どういたしまして」
男「では、いただきまーす!」
妹「いただきます」
男「おいしー」
妹「うん!ちょっと焦げてるけど」
男「焦げてない」
妹「じゃあなんでちょっと黒いのさ」
男「それはあれだ、恋焦がれてるんだ」
妹「恋する心が黒いなんて嫌だ」
男「そんなもんだよ」
妹「私のはもっと綺麗だよ」
男「恋してんの?」
妹「してないけど」
男「うん。お前はそのまま綺麗な心を保って生きてくれ」
妹「お兄ちゃんはもう手遅れだからねー」
男「ごちそーさまでした!」
妹「ごちそうさまでした」
男「あ……雨降ってら」
妹「ホントだ……」
男「タープ片付けるのは明日にすっかー……」
妹「……お兄ちゃん新しいタオル用意しといてっ!」
男「は?あ、ちょっ!!」
妹「うひゃー!!」
男「何してんだ風邪ひくぞ!」
妹「楽しー!あはははは!!」
妹「せっかくびしょ濡れなんだからこういうときしか出来ないことをしないと!」
男「何をっ!それくらいいつでも出来るんだぞ!!」
妹「あ、ちょっと!お兄ちゃんまで出てきたら誰がタオル用意すんのさ!!」
男「雨気持ちいいーっ!!」
妹「気持ちいいーっ!!」
男「はっはっはっはっ!!」
妹「あはははははは!!」
━━
━━━
━━━━
男「はぁー楽しかった!」
妹「じゃ、どっちが先シャワー浴びるかじゃんけんしよう!」
男「お前先でいいよ。俺床拭いとくから」
妹「そう?優しーなぁ!じゃあなるべく早く上がるね!」
男「おーう」
妹「あ、覗くなよ!」
男「はいはい」
妹「上がったよー」
男「ちゃんと身体拭いて出てこいよ」
妹「失礼な!ちゃんと拭いたし髪の毛も乾かしたよ!後から後から汗が出てくるんだよ!」
男「じゃ、俺も入ってくるか」
妹「うん。出たら昼間作ったアイス食べよ!」
男「お、いーねー」
妹「早く出てきてねー!」
男「あ、覗かないでね!」
妹「覗くか!」
男「アイス!アイス!」
妹「ちょっと!!ちゃんと身体拭いてから出てきてよ!!」
男「すぐ乾く!!」
妹「あと服を着て!」
男「タオル巻いてるだろ!」
妹「もー……」
男「身体乾いたら服着るよ。それよりアイス!アイス!」
妹「はいはい……」
男「おいしー!」モグモグ
妹「でしょー」モグモグ
男「お前は本当に料理上手だなぁ」モグモグ
妹「まぁね!」モグモグ
男「良いお嫁さんになれるよ」モグモグ
妹「お兄ちゃん貰ってくれる?」モグモグ
男「俺にゃーもったいないよ」モグモグ
妹「そんなことないよー?」モグモグ
男「おかわり!」
妹「はーい」
男「ごちそうさまでした!」
妹「お粗末さまー」
男「ふぅー……」
妹「はぁー……」
男「……なんかこうやって二人で過ごすの久しぶりだよなー」
妹「あー……そーだねー……」
男「……よし!オセロやろう!」
妹「いきなり何なのさ」
男「今日はとことんまで遊ぶぜー!」
妹「お、おー!」
男「くそっ!負けた!!」
妹「ふふん、負ける気がしないね!」
男「よ、よーし!次は将棋だ!」
妹「どんとこい!」
男「くそぉ負けた!次はチェスだ!!」
妹「ふっ……かかって来なさい……」
男「んああ!次は囲碁だ!!」
妹「何のゲームでも同じこと……あなたは私には勝てない」
男「ま、まさか全敗とは……」
妹「お兄ちゃん弱っ!」
男「悔しい……でも感じちゃうっ……!」
妹「何アホなこと言ってんの。それよりお兄ちゃん罰ゲームねっ!」
男「え?」
妹「ここまで惨敗したんだから罰ゲームの一つくらい甘んじて受けなさい!」
男「くっ……な、何だ?俺に何をさせる気だっ!?」
妹「そーだなー……」
妹「私に抱きついてもらおっかな!」
男「……は?」
妹「せっかくの風呂上がりにこの汗だくの私の身体に思いっきり抱きつきなさい!」
男「はい」ギュッ
妹「えあっ!?」
男「うりゃうりゃ」スリスリ
妹「うああああっ!!離れろぉっ!!」ドンッ
男「なんだよお前が抱きつけって言ったんじゃないか」
妹「躊躇うと思ったの!嫌がると思ったの!!」
男「? なんで嫌がるのさ。こんなの罰ゲームになんないよ」
妹「お、お兄ちゃん気持ち悪くないのっ!!?」
男「気持ち悪くないって朝からずっと言ってきたじゃないか」
妹「あ、あれは冗談だと……」
男「……あのな」
男「俺はお前が汚物に塗れてたって何の躊躇いもなく抱きつけるぞ」
妹「……はぁ?」
男「ましてやお前がお前から分泌されたものに塗れてたからってそんなの気持ち悪くもなんともない」
妹「お、お兄ちゃん……気持ち悪い……」
男「だからな、少なくとも俺の前では自分が汗だくだなんてことを気にする必要は全く無いんだぞ?」
妹「……」
男「さ、わかったらそろそろ寝よーか」
妹「……お兄ちゃん」
男「うん?」
妹「今言ったこと嘘じゃない?」
男「もちろん」
妹「じゃあ今日は私と一緒に寝よう!」
男「……は?」
妹「いいよね?久しぶりに一緒に寝よう!」
男「だ、駄目だ!第一お前の部屋にも俺の部屋にももう一つ布団を敷くスペースなんて無いだろ!」
妹「だから一つの布団で寝るの!」
男「はぁ!?」
妹「じゃあどっちの部屋で寝る?」
男「勝手に話進めんな!駄目だ!」
妹「夜中の内に私が脱水症状で死んだらどうするの?」
男「そ、そんなことにはならないだろ……」
妹「絶対?言い切れる?」
男「う……」
妹「私も怖いんだよ?こんなこと初めてだもん……」
男「くっ……」
妹「だから今日は一緒に寝よ?」
男「……」
男「……あーもーわかったよ」
妹「決まりっ!じゃあ枕だけ持って私の部屋に来てね!」
男「はいはい……」
男「じゃ、電気消すぞー」
妹「はーい」
男「……」
妹「……」
男「……最後にこうやって一緒に寝たのっていつだっけ?」
妹「私が中一のとき」
男「マジで!?そんなに大きくなってから一緒に寝たっけ!?」
妹「あのときは私がインフルで、今日みたいに駄々こねたんだよ……」
男「そんなことあったっけ……」
妹「バッチリ感染っちゃって……つくづく妹に甘い兄貴だよね」
男「ほっとけ」
妹「……お兄ちゃんって彼女いるの?」
男「いると思うか?」
妹「……どうだろう」
男「いないに決まってるだろ。俺なんかに惹かれる子なんてこの先現れるのかねぇ……」
妹「……私一人だけ知ってるよ」
男「!? マジで!!?」
妹「……うん」
男「誰!?俺の知ってる子!!?」
妹「……うん」
男「誰なんだ!?教えろよ!!」
妹「……教えなーい」
男「なんでだ!意地悪するなよ!!」
妹「……その子が打ち明けてないのに私が勝手に喋るなんてこと出来ないよ」
男「ま、まぁそうか……」
妹「……まぁいずれその子の口から聞けるまで、気長に待ってなよ」
男「……そうだな」
男「ところで、お前の方こそどうなんだよ?彼氏とかいるの?」
妹「……いないよ」
男「そう?今までに彼氏がいたこととかは?」
妹「……無い」
男「ふーん、お前結構可愛いのに意外だな」
妹「……」
男「ま、俺としては嬉しいことだけどな!」
妹「……なんで?」
男「そりゃー可愛い妹が俺の知らない男とイチャついてるのなんて想像したくないさ」
妹「は、恥ずかしいことを言うね……」
男「いつかはお前も嫁ぐんだろうけどなー……切ないよなー……」
妹「……」
男「……今がずっと続けばいいのになー」
妹「! そ、そう思う?」
男「まぁね……」
妹「そっか……」
男「じゃ俺寝るわ。おやすみー」
妹「おやすみー……」
妹「……前途多難だなぁ」
妹「……ま、頑張るしかないよね。私も寝よっ」
妹「おやすみ……お兄ちゃん……」
━━
━━━
━━━━
妹「おはようお兄ちゃん!」
男「ん……おはよー……」
男「……おぉ、見事に布団がぐっしょりだ」
妹「見て!汗ひいたの!!」
男「あぁ本当だ……よかったな……」
妹「んー!早くシャワー浴びたい!久しぶりにすっきりしたい!」
男「今日は俺もシャワー浴びなきゃな……」
男「じゃ、先お前浴びてこいよ」
妹「お兄ちゃん」
男「? 何?」
妹「一緒に入ろっか!」
男「冗談はいいからはよ入ってこい」
妹「……つれないなぁ。じゃ、先行ってくるね」
男「おう」
妹「……覗いてもいいんだよ?」
男「気が向いたらな」
妹「……お兄ちゃんのバーカ!」
fin
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