佐天「バーサク能力かぁ」 (56)

幻想御手事件後

覚醒後佐天さんのスペック予定

・肉体強化Level1(上条さん位の筋力)

・脳の生命維持に必要な領域及び、以外の殆どを演算に回すことで、Level5相当の能力を発揮する。(単純パワーでアックアを圧倒、思考力低下により仕留めきれない。)

・能力しよう前の簡単な目的を行使する。例)~を守る、等々

・wiki見ながら書くから遅い。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406461453

ーーーーー7月27日


幻想御手事件により、昏睡状態になっていた私、佐天涙子は晴れて退院した。


今日、ようやく登校を再開したのだが、同級生たちは暖かく迎えてくれた。皆優しいなぁ。ズルした私を心配こそすれ、非難する人は誰もいなかったもの。


ーーー本当は叱ってもらいたかったのかもしれない。


初春は今日、また御坂さんたちと集まって、今回の事をしっかり話し合おうと言ってくれた。


勿論、今回の件について後ろ暗いところがある私は、触れて欲しくない話題だが、それ以上に私は救われたかった。だから、嬉しかった。







Levelは強さの序列ではないので、Level1の方が学園都市にとって都合が良ければ、Level5認定はされない。という解釈でお願いします。

初春に連れられ、私はファミリーレストランJoseph'sに来た。


まだ今日のパンツは確認していない。


佐天「やっほー」ヒラヒラ


本当はここから逃げ出したいけど、精一杯の空元気を見せてみる。助けてもらっておいて、ウジウジしてるのはなんか悔しいからだ。


初春「お待たせしました~」


私が奥に座り、初春が蓋をするように通路側に座る。そんなことしなくても、逃げないのに。考え過ぎだろうか。


向かい側には、正面に御坂さん、斜向かいに白井さんが座っている。いつにもまして、真剣な目だ。

それlevel5相当って表現が正しくないじゃん
馬力で表そうぜ

>>9

んじゃ
1.3×10^6馬力位で

長い沈黙の後。最初に口を開いたのは、御坂さんだった。

美琴「その…。まず、謝るべきことがあるわよね。」


佐天「うっ。ごめんなさい。」


美琴「違う違う。私が、佐天さんによ。私、佐天さんが能力のことで悩んでいるって知っていた。」


ああ、なんだそのことか。


美琴「それなのに、私は理解を示すふりをして、結局佐天さんのことを考えられていなかった。」


そうだ御坂さんはこういう人なんだ。優しくって、強くって、なんでも自分で背負おうとする。


美琴「私、佐天さんに酷いこと言っちゃった。だから、佐天さんはあんな白井「そこ迄ですの。」


白井「今回の件は、佐天さんの弱さが原因ですの。」


私もそう思う。分かっているからこんなに苦しいんだ。


初春「何もそこ迄言わなくても白井「いいえ、言わせて貰いますの!」


白井「佐天さんは強くならなければいけませんの。そもそも、佐天さんはどうして能力を欲したんですの?能力を手に入れてどうするつもりだったんですの?そこから、考えて行きましょう。私達が着いていますの!」


熱いなぁ。白井さんは。なんだか胸が熱くなって来た。


佐天「はいっ。…グスッ」


何泣いてるんだろ私。


初春「佐天さん。私もついています。」


美琴「私もよ。」


佐天「はい。…」ズズッ


皆、ありがとう。これが心の友ってやつなのかなぁ。なんだか、「頑張ろう」ってやる気が湧いてきたよ。何すればいいかわからないけど。


でも、自分の演説に酔いしれた白井さんがクドクドと説教をはじめ、いろんな感情がごちゃ混ぜになった私は泣きだしてしまった。


美琴「せっかく、いい感じだったのに。全部自分でぶち壊しちゃうのね。」


御坂さんは気を使って、白井さんを連れ出して、帰っていった。白井さんは申し訳なさそうに謝ったが、私はグズグズと泣き止まなかった。


初春「パフェ食べれば、佐天さんも元気が出ますよ。」


初春は優しいなぁ。うん。すぐに元気になったよ。


結局、初春と私はグダグダと最終下校時刻までパフェをつつきながら、駄弁っていた。外は、仄暗くなっている。急いで帰らないと。

これだよ…。


近道なんてするんじゃあなかった。


今回は、助けを待つのも望み薄だ。守護神が一緒に巻き込まれているのだから。


スキルアウトが出るわ出るわ。まあゾロゾロと。学園都市の治安も地に落ちたものだなぁ。


初春が短縮ダイアルで白井さんをコールする。でも状況からして、的確な場所を伝達できるとも思えない。あっこれ詰んだかな。


私の純潔は今夜散るのかしら。ごめんなさい。お父さんお母さん。


それだけならまだいい。けれども、私の命も散るかもしれない。


先頭のスキルアウトの手には、ナイフのようなものが光っている。


せめて初春だけは逃げて!

スキルアウトA「お嬢さんこんなところで何してんの?…へえ、結構マブいじゃん。」


いったいいつの人だろう。下品だ。吐き気がする。


スキルアウトB「ちょっと、俺らに付き合えよ。」


スキルアウトC「俺らはしがないヤクの売人だけど、悪いようにはしないよ。一旦、シャブ(ピー)を味わったら病み付きになるぜ。」


初春「ひっ。わわ私ジャッジメントです。こんなこと許されません!」


虚勢はっちゃって。初春は可愛いなぁ。


スキルアウトA「どう許さないって?」


スキルアウトのナイフが光る。


佐天「初春逃げてぇ!」


スキルアウトの腕に全身で掴みかかる。ああ、私、初春のために死ねる位、初春が好きだったんだなぁ。これが純愛ってやつかな?本当にいい友達を持ったなぁ。ありがとう。初春。


スキルアウトA「クソッ離せ!このアマ!」グサッ


お腹刺されちゃったよ、初春。こんなに痛いんだね。…寒いよ。どうか、初春は無事でいてね。


初春「佐天さーんっ!」

スキルアウトB「どうすんだよ。刺しちまって。俺、死姦の趣味はねえぞ。」


スキルアウトC「俺もだ。」


スキルアウトA「仕方ねえ。ちとガキっぽいが、そっちの風紀委員を回すか。」


初春「いやっ。来ないでください。白井さん。白井さん、早く来て!」


初春の上半身がドラム缶の上に押さえつけられている。尻を突き出す形で。やめろ。


初春は普段、私がスカートをめくっても絶対にあげないような悲鳴を上げる。汚らわしい手が初春の身体に伸びていく。やめろ。やめろ!


やめろっ!

寝る。更新は明日。

ーーーーー


「もういいです。佐天さん!やめてください。」


初春の声で目が覚める。なんでそんな辛そうな声なんだろう。


急に腕が重くなり、持っていた何かを落とす。なんだろう。首がないマネキンみたいだ。


初春が脚にすがりついている。スカートが剥げていて、パンツが丸見えだ。水玉か。今日も可愛いなぁ。これでこそ弄りがいがあるってものだ。


初春「佐天さん。もうやめて…」


佐天「なんで泣いてるの?初春。」


初春「だって…だって…グスッ」


初春が目で指す方を見やる。血溜まりの中に、元が何の動物かもわからない肉塊が転がっている。


ああ、だんだん何が起こったのかが分かって来た。


佐天「泣かないで。初春。」


初春の涙を手で拭ってやる。初春の頬に血糊がべっとりと付いた。汚いなぁ。白いレースのハンカチをポケットから取り出し初春の頬の血を拭き取る。


初春「佐天さん。」ポロポロ


白井「ジャッジメントですの!」


来るのが遅いよ、白井さん。




白井「佐天さん。申し訳ありませんが、拘束させて貰いますの。」


私は抵抗せず、両手を差し出す。学園都市製の怪しい、オモチャみたいな手錠をかけられる。ちょっと痛いな。


佐天「大丈夫だよ、初春」


まだグスッてる初春にでき得る限りの笑顔を見せる。


白井「何やってるんですの初春。風紀委員としての務めを果たしなさい。」


佐天「被害者は労ってあげようよ、白井さん。」


白井「うっ。とにかく、下に何か履きなさいな」


自分の格好に今更気づいた初春が、あたふたと恥ずかしがっている。


黄泉川「お前はこっちにくるじゃんよ。」


アンチスキルの黄泉川さんに引っ張られて、護送車に押し込まれる。


私を車に乗せると、黄泉川さんは車外に出て行った。


黄泉川さんと白井さん達が外で何か話しているようだが、よく聞こえない。


私、どうなるんだろう。能力に目覚めたせいか、それとも初春が無事だったせいかはわからないが、急に気が大きくなったらしい。逮捕されたにも関わらず、意外と不安は感じていなかった。

ガララッと護送車の扉が開く。


黄泉川「お前はやっぱり、初春と救急車にのるじゃん。」


ーーーーー


刺された傷はいつの間にか塞がっていた。でも、うっすらと傷跡が残っている。


冥土返し「私にできる処置は何もないね。」


冥土「一応、検査入院ということで一泊してもらうよ」


ということらしい。病室は初春と相部屋にしてもらえた。


今日は疲れたなぁ。おやすみ、初春。

8月10日


ようやく諸々の手続きがすんで、釈放された私は、また4人で集まっている。


3人も殺したのに、正当防衛が成立して、裁判なしで釈放とは。道理で学園都市の治安が悪いわけだ。


それとも、何かの圧力が働いたのだろうか。黄泉川さんがいくら弁護したところで、こうも簡単にことが進むとは思えない。


私の能力測定は、次回の学校での検査が近いことから、その時でいいことになった。


ところで今、私が昨日御坂さんを見かけた話をしたところで、何やら地雷を踏んでしまったのか、御坂さんは黙り込んでしまった。


そんなことよりも、今はマネーカードの話だ!


佐天さん「あの!マネーカードの都市伝説って知っていますか?」


行きなり現金な話題にすり替えて場を和ませる。これも私のコミュ力の成せる技だ。


白井「んまー佐天さん。また、そんな都市伝説に飛びついて。幻想御手で散々痛い目を見たんじゃないんですの!?」


佐天「まあまあ、じ・つ・は、私もう3枚も拾っちゃいました」


私が拾ったカードを見せびらかすと、御坂さんはプッと吹き出した。やっと、笑ってくれた。


何か困っていることがあるなら、話してくれればいいのに。私が言えることじゃないけど。今なら、あの時の皆の気持ちがわかる気がする。


8月11日


今日もカフェのテラスでお茶だ。優雅だなぁ。


御坂さんは今日はご機嫌だ。ハイってやつかな。昨日の心配は杞憂だったようだ。


白井さんはまだ気になるのか、御坂さんの顔色をチラチラと伺っている。考えすぎだと思うけどな。


ご機嫌ついでにクレープを奢ってもらった。これがLevel5の財力かぁ。今度、何かお返ししなきゃ。ガチャのゲコ太でいいかな。


8月16日


今日は初春が風紀委員で忙しいらしい。御坂さんに頼み事をされたらしい。後ろからPCを覗き込むが全くわからん。


佐天「なーにやってるのかなー?初春ぅ。」


初春「あわわ。人のPC覗かないでください!マナー違反ですよ。」


佐天「大丈夫大丈夫。私見てもわかんないから。」


初春「でも、覗かれてると集中できません。」


佐天「もー。恥づかしがっちゃって。可愛いなぁ」


初春「茶化さないでください。」


初春が貧乏ゆすりを始めたので、ちょっかいを出すのもこの辺にしておこう。


お茶でもついでご機嫌とりだ。

初春は最終下校時刻まで詰所に残るらしい。


邪険にされて居心地の悪くなった私はここいらで帰るとしよう。


表でブラブラと時間を潰そうかな。


ん?


アレは御坂さん?何かゴーグルしている。一緒に歩いている白い男はだれだろう。

>>24

訂正


8月15日

ははーん。この佐天涙子分かってしまいました。そういうことですね。


天下の超電磁砲、御坂美琴も乙女だったということですか。


ならば、邪魔者はクールに去るとしますか。


これを聞いたら白井さん発狂するぞぉ。にしししし

8月20日


ようやく、能力測定が終わった。3日間、地下の研究所に拉致監禁されたのに、結局Level1の肉体強化らしい。空力使いじゃねえのかよ!


研究員に激しくツッコミを入れてやった。研究員達ってつまらない人ばかりだ。軽く受け流されてしまった。


幻想御手は多数の脳を並列接続することで、演算能力を底上げするから、無能力者はどんな能力が出てもおかしくないかららしい。


ただ、脳の大部分を演算に回し、能力を暴走させることで、Level5にも引けを取らない力が出せるらしい。それってLevel5ってことじゃないの?私って凄くない?


でも、大人の事情でLevel5にはならないらしい。検査を見に来た統括理事の人間が、これ以上Level5を増やすことができない現状を説明してくれた。


うーん。小難しい説明は私バカだからよくわかんないや。なんか、体良く利用されてる気がする。


まあいいか。


Level5相当のおこずかい…じゃなくて奨学金がもらえるらしいから。


私って軽い女なのかな…否!大金を目の前にちらつかせられたら大抵の中学生は首を縦に振るだろう。


佐天「チッ。今回はこの金で手を引いてやるぜ!」


研究員「」


研究員「ああ、そう。」

今、初春と白井さんと一緒に出かけている。


変な自販機の公園の近くに差し掛かると、何やら警報が聞こえた。


これから、セブンスミストにいくところだったのに。不幸だ。風紀委員の仕事ができてしまったようだ。

白井さんが類人猿がどうのこうのと暴走し始めたから、私は初春を置いて帰ることにした。


佐天「バイバイ、初春。頑張って!」


お金には困ってないけど、またマネーカードでも探そうかな。

8月21日


本屋の前に御坂さん?がいる。足下にわ黒猫。


御坂さんは何やら周囲を警戒すると、路地裏に白い男と向かっていく。逢引かな。


こんな時間に何するんだろ。気になる。


この位離れていれば平気かな。なんだかドキドキして来た。


と思っていると、やおら戦闘が始まった。


御坂さんがライフルで攻撃するも全く、白い男には効かない。悪夢を見ているようだった。


逃げなきゃ


でも、恐怖のあまり、動けなかった。


御坂さんは死んだ。


ーーーーー


気がつくと、自室のベッドの中だ。あれから5分位しか立っていない。能力が発動したのだろう。なんてヘタレなんだ私は。


初春を守った時の勇気はどこに行ったのだ。


御坂さんにメールをしてみる。返信が来るわけもないのに。


「無事なら連絡ください。」

「どうしたの佐天さん。私は大丈夫よ。」


来るはずのないメールが来た。


どういうことだろう。


アレは御坂さんじゃない……


ーーーーー


気がついた時には常盤台の寮に来ていた。


ロビーにツンツン頭の男がいる。高校生くらいかな。女子寮に男…


まあいいか。そんなことよりも御坂さんだ。モニターで御坂さんの部屋を呼び出す。


上条「君って、御坂の友達か?」


その言葉だけでわかった。この人も御坂さんの異変に気付き、駆けつけた人間なのだと。


佐天「貴方も、御坂さんが心配で来たんですね。」


上条「あ…ああ。」


上条「えらく、察しがいいな。やっぱり、友達から見ても変だったのか?…」


佐天「見たんです…」


上条「……そうか」


(白井)「はいxx号室の白井ですの。ゲッ類人猿…と佐天さん。」


(白井)「…」


(白井)「二人とも、入ってくださいですの。」





白井さんはベッドにうつ伏せに寝ている。


白井「二人とも、そちらのベッドにお掛けになってくださいまし。」


上条「これ、御坂のベッドだろ?いいのか。」


白井「こちらがお姉様のベッドですの。」


上条「えっ?」


佐天「白井さん、御坂さんが何をしているか知っていますか?」


上条「直球すぎだろ」


白井「お姉様が何か問題に巻き込まれているのは分かっているんですの。」


白井「でも、お姉様が話してくれるまで待つしかないんですの。誰しも触れて欲しくないことがあるんですの。」


佐天「御坂さんが死んでも、後悔しないんですか?それでも、そっとしておいたのが正解だって思えるんですか!?」


あの情景を思い出す。暑くないはずなのに汗が吹き出す。


白井「死ぬってどういうことですの!?」


佐天「見たんです。御坂さんそっくりの人が、能力者に殺されるのを!」


佐天「Level5クローンの都市伝説!あれって本当のことなんじゃないんですか!?白井さん何か知っているんでしょう?教えてください!」


スタスタスタスタ廊下から何者かの足音が聞こえる。


白井「寮監ですの!」


白井「女子寮に殿方がいるのはまずいんですの。類人猿、隠れてください!」

ツンツン頭をベッドの下に押し込む。ええと誰だっけ?名前聞いてないや。


寮監「うるさいぞ!白井!…と誰だ?」


佐天「柵川中の佐天涙子です。」

この辺で休憩。

寮監「その制服……常盤台の生徒ではないな。」


あー、それって柵川中なんて底辺をいちいち覚えて無いってことかな。


寮監「もう、最終下校時刻は過ぎているぞ。」


寮監はギロリと、白井さんを睨む。


寮監「どうせ、御坂は無断外泊なのだろう?ベッドが一つ空いている。お前は泊まっていけ。私が許可する。」


白井「私達のときと違って、変に寛容ですの。」


寮監「他校の生徒に懲罰は加えられんだろう。」


意外と優しい人なのかな…


寮監「白井…お前は便所掃除だ。明日の点呼迄に済ませておけ。」


寮監はそう言い残すと部屋から出て行った。嵐のようだったなぁ。

白井「ふぅっ。助かりましたの。流石に他校の生徒の前だと、体罰は免除されますのね。」


白井「類人猿さん。もう出て来て宜しいですの。」


ツンツン頭が御坂さんのベッドの下からノソノソと出てくる。何やら深刻そうな顔だ。


上条「おれはもう帰るよ。」


白井「それがイイですの。寮監はロビーのソファーで寝てることが多いので、窓から出てってくださいまし。」


佐天「私も、帰ります。」


白井「佐天さん。今日はわざわざありがとうですの。今度こそお姉様に話して貰いますの。」


佐天「頑張ってくださいね。それじゃ、さよなら白井さん。」白井「さよなら…ですの」

寮の窓から出た私は、あのツンツン頭の人を追いかける。


佐天「待って下さいよぉ~」


上条「上条さんはこれから用事があるんですのことよ。佐天さんは早くお家に帰った方がいい。」


上条さんっていうのか。


私はここで引き下がるわけにはいかない。御坂さんに何かあったら、初春も…白井さんも泣くだろう。


それに私は、何もできなかった、いや、何もしなかった自分を呪うだろう。


それじゃ、無能力者じゃなくて、


ただの無能だ。


佐天「上条さん。何か見つけたんでしょう?態度でバレバレですよ。」


上条「うっ。上条さんのポーカーフェイスはだてだったのですね。」


ポーカーフェイスとはどの口が言うのだろう。

私が、何を言われても見つけたブツを見せてもらう迄、絶対に退かないと観念したのか、上条さんはポケットから紙切れを差し出してきた。


佐天「これは…」


上条「悪いな、俺はもう行かないと行けないんだ。」


走り出した上条を追いかけながら、紙切れに目を通す。


能力のせいか、身体がいつもより少し軽い。上条さんを追いかけながらでも余裕が少しある。


「絶対能力者計画」「Level6」「妹達」


私には今迄、縁もゆかりも無かった世界がそこにはあった。


御坂さんはこんなことに巻き込まれていたのか。


自分の能力で一喜一憂していた私が恥ずかしい。


今度は、私が救う番だ!


佐天さんスペック追記

・アックアを圧倒できるパワーを発揮する際、第一宇宙速度を決して超えることが無いように、佐天さん自身の質量も増します。これにより、自分より巨大なものを振り回すことが可能になります。

・今のところ覚醒中の記憶はありません。3人殺しておいて、気にもとめていないのは、殺した実感がないからです。

佐天「で、何処へ向かうんですか?」


橋の上で上条さんが不意に立ち止まる。風も無いのに、風力発電機が回っている。


佐天「なるほど、そういうことですか。上条さんあったまい~!」


上条「はぁっはぁっ。それは皮肉でせうか。」


佐天「いいから、走りましょう。」


この回る風車の先に、必ず御坂さんはいる。

上条「何やってんだ、お前。」


ーーーーー割愛


上条「一人で解決できないって分かったら、他の誰かに助けを求めりゃいいだけしゃねえか!」


佐天「そうです。御坂さん。私だって御坂さんを助けたい!」


ーーーーー割愛


上条「お前、死のうとしてるんだな。」


御坂「ええ」


私は御坂さんの頬を思い切りうつ。


御坂さんはキッとこちらを睨んでいる。


佐天「御坂さん。御坂さん言ったじゃないですか。私についていてくれるって。言ったじゃないですか。死ぬなんて言わないで下さいよ!」


佐天「私も御坂さんについて行きます。」


御坂「あんたは一方通行の強さが分かってないから、そんなことが言えるのよ!」


御坂「私は、今迄10000人もの人を殺しているのよ。助けてなんて今更言えるわけないじゃない!私一人が死んで皆が助かるなら…


上条さん説教長ぇ

上条「俺がやる」


御坂「はぁ!?」


上条「学園都市最強とうたわれている一方通行が何てことない喧嘩で負けたら」


上条「学園都市最強が学園都市最弱のLevel0に負けたら、一方通行の絶対能力者計画も前提から覆る。」


美琴「無理よ。一方通行の強さは、一方的に虐殺するってことなのよ!」


上条「お前はもともと、一方通行の所に行こうとしていたんだよな。」


上条「教えろ。」


佐天「あの~、私もいますよ。」


上条「佐天さんは御坂と見ていてくれ。」


操車場へと走り出した上条を追って、私達二人も走り出す。


ーーーーー


ようやく上条さんに追いついた。


廃材の山の中に座り込む上条さんに、一方通行がにじり寄ってくる。


それが私には、上条さんの死のカウントダウンに見えた。

ーーーーー


俺が一方通行の手に触れた瞬間!


何かが横槍から飛んできた。


…佐天さん?


一方通行がスパイクされたバレーボールのように弾き飛ばされて、コンテナにめり込んだ。


俺の目の前には、佐天さんが正拳突きのようなポーズで立っている。


上条「佐天さんが殴ったのか?」


佐天さんには聞こえてないようだ。獣のように唸っている。


一方通行「ぐはっ。反射が効かねえ!?だと!?」


一方通行がベクトル操作で、足元の瓦礫を佐天さんへ飛ばす。


大砲のような威力にも関わらず、佐天さんはその場所から身じろぎもせず、受け止める。


当然無傷ではない。足元には、血溜まりができている。


そのとき、突然の咆哮に俺は意識を刈り取られそうになった。佐天さんのものだ。


佐天「くぁwせdrftgyふじこlp」


佐天さんが弾丸のように、一方通行に突っ込んで行く。これが佐天さんの能力か…Level1と言っていたけれど、そんなもんじゃねえ。


佐天さんのストレートが一方通行の頬に突き刺さる。さっきの佐天さんの攻撃で、肋でも折れたのだろう、よける暇さえなかった。


しかし、佐天さんの拳は右腕ごと爆裂四散した。


一方通行「くかきけこかかきくけききこくけきこきかかかーーー。やっぱり、さっきのはなんかの間違ィだ。三下がァ。てめェらは狩られる家畜なンだよ。」


上条「佐天!」


佐天さんは痛みすら感じていないのか、臨戦態勢を崩さない。即座に飛び退き、暫しの膠着状態が生まれた。


もう一度、一方通行に触れれば、一瞬の隙さえできれば、一方通行を倒せる。俺は確信した。チャンスは一度きりだ。

上条「今だ!」


上条は後ろから一方通行を羽交い締めにする。


一方通行「なにぃ!?」


なンだ?なンですか。なンなンですかァ!?どうして、俺に触れられる?


はっ!?さっき、このビッチにぶっ飛ばされた時も、こィつがオレに触ってィた。


一方通行「ちくしょゥ!!やめろ!くそ!」


佐天さんの腕が再生して行く。どっかのナメクジ星人みたいだ。腕が真っ黒なのは、戦闘に必要な組織だけ再生したのだろう、皮を剥いたゴリラみたいだなと思った。


ーーーーー
ーーー


佐天「The primal fear is terminated. 」


瓦礫の山の中で意識を取り戻した私は、見たばかりの映画の台詞をいって見た。心の無いロボットが敵も味方も守るべきもの達をも殺し尽くした後に放った言葉だ。その映画はこの台詞をもって終幕となる。中二だなぁ。人に聞かれたら、赤面必至だ。


御坂さんが上条さんにすがりつき、すすり泣いている。


御坂「息…してないの。」


橋の上で見せた、その何十倍も悲愴な顔だ。


上条「げふっまだしてるぜ…勝手にころすな」


ああ、よかった


一方通行「ぐごー、かひゅーぐごー」


それよりも変なイビキをしている一方通行を病院へ運ばないと。


御坂妹「私も手伝います、とミサカは甲斐甲斐しく一方通行を解放します。恩人を殺人者にするわけにはいきません。」


複雑だ。取り敢えず笑っておこう。


佐天「ありがとう。」




結果を言うと、一方通行の絶対能力者計画は頓挫した。私の右腕は、本来ならば皮膚移植が必要だったが、私の能力は回復能力も底上げされるのだ。3日の入院で済んだ。


上条さんとは連絡が取れていない。学園都市の外に飛ばされたらしい。一方私は…


呼び出された通りに来てやった。地下シェルターのような空間に、私は立っている。


土御門「佐天涙子。お前には、暗部で働いてもらう。」


アロハ金髪は私に手を差し出す。私はそれを握るしかない。


土御門「俺は土御門元春。舞夏の兄だにゃー。」


土御門兄妹か。


土御門「今回の騒動。その尻拭いだにゃー。佐天ちゃんには気の毒だが、断ることはできないにゃー。初春飾利…大事なんだろう?」


ポーカーフェイスだ表情を変えてはいけない。今の私はブチャラティといえども、舐めなければ私の真意を見抜けない。


私は彼の手を握った。


土御門「グループへようこそ。」


佐天「ああ。」


私が初春を守ろう、全ての悪を私が背負うんだ。


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