憧「テニヌ……学園？聞いたことないわね」

宥「私もテニスは温かいからよく観てるけど、聞いたことないなぁ」

晴絵「とにかく、準決勝までにそこを徹底的に研究するよ！いいね？」

穏乃「はい！」


―――――――――



跡部「高校最強ってのも大したことなかったじゃねぇか」ｱｰﾝ

跡部「もっと歯応えある連中かと思ってたが期待外れもいいトコだぜ」

仁王「所詮人間じゃけぇのぉ」

手塚「安心するのはまだ早い。準決勝も油断せずに行こう」

幸村「所で手塚………越前はどこに行った？」

手塚「む？さっきまでいたはずだが？」

憧「私立テニヌ学園……どんな奴らなんだろ……」

穏乃「山のようにデカくて眼が三つあるような奴らかもなー」

宥「ひええ……」

玄「大丈夫！どんな相手がこようが私におまかせあれなのです！」

憧「玄がそう言うと心配ねー……ん？」

灼「どうしたの憧？」

憧「いや、なんか前から歩いてくる人………」


リョーマ「…………」


晴絵「！？」ｿﾞｸｯ

穏乃「っ！！」

穏乃(な、なんだこの人……怖い……すっごく怖いぞ)

リョーマ「………」ｽﾀｽﾀ


晴絵「……！あいつ！」

灼「どうしたのハルちゃん？」

晴絵「あの帽子被った小さい子、アレテニヌの大将だよ」

玄「え！？」

憧「あんなちっこいのが白糸台負かしたトコの大将！？」

晴絵「白糸台の大星、新道寺の鶴田を圧倒して1位抜けした奴だ」

晴絵「確か、名前なんていったっけ……」

穏乃「越前……リョーマ」

晴絵「ああ、そうそう！よく知ってたねしず」

穏乃「私の……倒すべき相手だ！！」

恒子『ついにやってきた準決勝ー！！ベスト4を賭けた戦いが今、始まる！！』

恒子『そんじゃ対戦校の紹介いっちゃう？』

健夜『いかない手はないよね……』

恒子『それではまず、阿知賀女子！！初出場同様準決勝まで駒を進めてきました！！』

恒子『新道寺女子！！北部九州最強の高校、今年も見参！！』

恒子『千里山女子！！昨年のインハイでは4位でしたが春大会で全国2位に！！』

恒子『そしてそしてーー！！なんと言っても！！！』


跡部「あーん、他の高校女ばっかじゃねーか」

仁王「男子はほぼ1回戦で落ちたナリヨ」

幸村「まぁ、女性の方が麻雀強い世の中だしね」

手塚「相手が女性だとしても油断せずに行こう」

リョーマ「部長そればっかッスね……」


恒子『テニヌ学園！！あの白糸台を飛ばして堂々の1位通過を決めた超新星ダークホースだーー！！！』

玄「それでは、いってまいります！！」ﾋﾞｼｯ

憧「玄ガンバ！！」

宥「玄ちゃんふぁいとー」

玄「おまかせあれ！！」



手塚「跡部」

跡部「あーん？」

手塚「宮永を下したお前なら心配はないと思うが……かといって手加減はするな」

跡部「テメーに言われるまでもねーよ」

跡部「先鋒戦だけでケリつけてきてやるよ」

対局室


玄(テニヌ学園の人、まだ来ないのかな……)

怜(チャンピオンを倒したほどの男や……どれほどのモノか)

ｶﾞﾁｬ

玄「！」

跡部「なんだ、もう面子揃ってんのか」

煌「はい、みなさんもうお揃いですよ」

玄(この人がテニヌの先鋒……うわ、睫毛長いなぁ)

怜「…………」

怜(この人の眼、なんか嫌な感じや……すべてを見透かされてるような)

恒子『さぁ、4人のプレイヤーが卓に着きました！それでは全国大会準決勝第1試合……』

恒子『スタートですっっ！！』


怜(さぁ、お手並み拝見やテニヌ学園……)

玄(よかった、ちゃんとドラは来てる！)

煌(2回戦では跡部さん宮永さんとノーガードで打ちあってましたからね、打ち筋は覚えましたよ！)

跡部「…………」


――――――


怜「立直」

玄(きた！)

煌(すばら！)

跡部「それだ」

怜「っ！？」

跡部「ロン、8000」

怜「ダマテンしてたんかいな……油断しとったわ」

跡部「次からはもうちょっと気をつけて立直するこった」

玄(この人すごい……私なんか2回戦でやられぱなしだったのに……)

煌(流石ですね、すばらっ！)


――――――――


跡部「………」ｼﾞｰｯ

怜(跡部の牌を見る視線……なんか気になるな)

怜(まるでどの牌がどこにあるか分かるかのように眼を動かして……)

玄(園城寺さんを跡部さんが抑えてくれるなら、私も2回戦よりは)

跡部「ロン、4000だ」

玄「ひゃうっ！？」

玄「あ……は、はい！」

怜(まだダマテンかいな……)

跡部「まさかテメー、自分は安心できるとか思ってねーだろーな？」ｱｰﾝ

玄「」ﾄﾞｷｯ

玄(うう……完全に読まれてるよ)

前半戦オーラス


恒子『すごい！これはすごいぞ！！』

恒子『跡部選手、この全国大会準決勝という舞台で前半戦を完全試合で達成しようとしているぞー！！』

健夜『もしそうなったら宮永選手以来の快挙となりますね』



玄(まだ一度も和了できてないよぉ……またみんなに迷惑かけちゃうのかなぁ……)

怜(あかんわ……コイツまさかとは思ったがこう考えるほかあらへん)

煌(す、すばら……)

跡部「俺様の美技に良いな」

怜(跡部景吾には牌が透けて見えている――――！！)

跡部「破滅への論舞曲」

恒子『国士無双炸裂ーーー！！そしてここで前半戦終了ーーー！！』

跡部「チッ、これじゃまだ2回戦の女の方が出応えあったぜ」ｱｰﾝ

玄(うう……結局一度も和了できなかった)

怜(牌全部見えてるとか冗談キツいわ……てかこんなんが後4人おるとかしんどいわ)

煌(ピンチ……いくら私がトバないと言っても、流石に跡部さんはキツイ)



健夜「一つ思ったんですけど……跡部くんは牌がまるで全て見えてるかのような打ち方をしますね」

恒子「マジっすか！？それってかなーりヤバくてすごいんじゃないの？」

健夜「すごいよ……えっと、トランプで言うと相手だけ手札全部公開してる感じだね」

恒子「え？もうそれゲームバランス崩壊しちゃうくない？」

健夜「あ、いや、仮にの話だからね！もし本当にそんな人がいるなら目隠しして打ってもらうしかないからね」ｱﾊﾊ

恒子『現在テニヌ学園が2位の千里山に80000点差を付け大きくリード！！』

恒子『果たしてこの怪物校を止められる高校はでてくるのか！？』

恒子『後半戦スターート！！！』


怜(牌が見透かされてるってことは騙しが効かんっちゅーことや)

怜(それをなんとか逆手に取れば……)

玄(なんとか、なんとか和了して、ちょっとでも差を詰めてお姉ちゃんに繋がないと！)

跡部「テメーらが何企んでるか知らねーが、無駄だ」

跡部「この準決勝は先鋒戦で終わる」

怜「そんなこと……させへん」ｽｯ

跡部「あーん？いいのか？その九萬切って？」

怜「……なんやて？」

跡部「感謝するぜ、本日二回目だ」

怜「なっ！？ウソやろ！」

恒子『またもや国士無双ー！しかも今度は十三面待ちだー！！』

恒子『役満直撃で一気に千里山は最下位だー！！』

怜「…………」

跡部「ダブル役満アリなら飛んでんぜテメー」

玄(園城寺さん……)

煌(もしこのまま千里山が飛んだらウチとテニヌが決勝へ行けるけど……)

煌(2回もやられっぱなしなのはすばらくないですね！)



怜(やるしかないんか……アレを……)

怜(いや、ここでやらんでいつやるんや！！)

怜(……ごめんな竜華、約束破るわ)

跡部「」ﾋﾟｸｯ

怜(ダブル……2つ先へ！！)ｷｨｨｨﾝ

煌(覚悟は決まったようですね……)

煌(協力しますよ千里山さん)

怜(すまんな新道寺……でも、これならいける！)

跡部(千里山のプレイングが変わっただと？)ｱｰﾝ

跡部(さっきまでは聴牌速度がただ早いだけだったが……今度はその2倍の速さになってやがる)

怜「ツモ！2300-4200！」

恒子『ここに来てついにテニヌの猛攻を食い止めたーー！！！』

煌「すばらっ！」

玄「園城寺さん！！」

怜「はぁ……はぁ……」ﾌﾗｯ

怜(どや、見たかテニヌ……人間を舐めん方がええで)

跡部「フフフフフフ……」

怜「？」

跡部「ファーッハッハッハッハッ！！」

玄「ひっ！」

怜「……何がそんなにおかしんや」

跡部「全然おもしれーじゃねーか、そうこなくっちゃ面白くねぇからな」

怜(どれだけ余裕かましてんねん……今に見とき、そっから)

跡部「まさかテメー等、今まで俺のこと『牌が見えてる奴』だなんて思っちゃいなかっただろーな？」

怜「っ？！」

煌(まさかここにきて、そうではなかったとでも言うつもりですか……)

跡部「あーん、図星だろ？」

玄「へっ？へっ？」

怜「ハッタリや……」

怜「じゃあ今までの打ち筋はなんやったんや？」

跡部「ハッ、ウソかどうかは今からテメーで試してみろ」

煌(こ、これはすばらくないかもしれないですね)

玄(えええ、話についてけないよぉ)


怜(ダブル……！)ｷｨｨｨﾝ

怜「うっ！」ﾌﾗｯ

跡部「………」ﾆﾔ

跡部「俺様が和了する未来は見えたか？」

怜(まず……！)

跡部「スケスケだぜ！！！」

跡部「跡部王国」


恒子『建国祭の花火が上がる！！』

恒子『このインハイで新しい国が生まれた……！』

恒子『目覚めた王の宣戦布告！！！』

恒子『完全無欠の戴冠式！！』

恒子『チャンピオンを破った跡部王国、ここに建国ーーーーっ！！』

健夜『ええー！？何その煽り分』


怜(こんなアホな……ダブルでもダメなんか……)

煌(これは確か宮永さんを下した王国……！すばらっ！！)

玄(こんなのどうすればいいか分かんないよぉ、お姉ちゃぁん……)

幸村「跡部王国……今回は出さずとも勝てたんじゃないかな」

仁王「何にせよ、これで準決勝は終わったぜよ」

リョーマ「今日は出番なしッスか……まぁいいけど」

手塚「いや……安心するのはまだ早い」

仁王「んー？いやもう決まったじゃろ？」

手塚「人という生き物は逆境にいればいる程予想を超えてくる、彼女らも例外ではない」

リョーマ「ふーん」

手塚(油断するな、跡部)

恒子『後半戦南一局、2位との差は170000点！！』

恒子『これはもしや先鋒戦で準決勝が終了してしまうのかーー！！？」』

健夜『地区大会の強豪と弱小校との先鋒戦では珍しくありませんが』

健夜『このインターハイ、しかも準決勝でそんなことが起こりうるなら』

健夜『……そうなればインターハイ史上最大の選手として歴史に名を刻むことになりますね』

恒子『すこやんでも無理だったもんね』

健夜『わ、私は先鋒じゃなかったから！』


怜「………」ｾﾞｪｾﾞｪ

怜(あかん……もう一巡先も見えんくなってきとるわ)

跡部「テメーが何巡か先を読んで打ってるのは分かってるが」

怜(やっぱバレとったか……)

跡部「その程度、素手でできんだよ！」ﾘｰﾁ

怜(立直！？なんで今更？)

恒子『跡部選手、まさかのここで初めての立直！！』

跡部「ツモ！！」

怜「……っ！」

恒子『なんとなんとーー！！園城寺選手のお株を奪う立直一発！！』

怜「何モンやホンマ……」ｾﾞｰｾﾞｰ

跡部「俺様を本気で止めたいなら、このぐらい、素でやってみせろ」ｱｰﾝ

怜(無茶言うなや)


――――――――――――
―――――――
――――


恒子『先鋒戦、終了ーーーーーー！！！』

跡部「…………」

怜「………なんでや」

跡部「あーん？」

怜「何でウチを飛ばさんやったんや？」

怜「五巡先までも見られてもうたんなら、邪魔なウチを飛ばせたはずや」

跡部「飛ばせたに決まってんだろ、この試合(ゲーム)は完全に俺様が支配してたんだぞ？」

怜「じゃあ尚更なんでや……？」

跡部「全然足んねーんだよ」

怜「はい？」

跡部「テメーはまだ人間の域から出ちゃいねぇ」

怜「…………」

跡部「無我でも使えるようになったらまた来い」

跡部「そん時は本気で相手してやるよ、なぁ樺地？」

樺地「ウス」