春香「神は言っている、ここで死ぬ定めではないと」 (21)












神は言っている、ここで死ぬ定めではないと













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何かが聞こえた気がした



春香「………」



倒れていた体を起こし、周りを見渡す

……………。

…………………………。

足元には路線

周りには私を見下ろしている人達がいる

焦って私の元に降りて来ようとする人も

ダメだ、もう間に合わない

男性の大きな声が辺りに響いている

前を見ると、そこには私に向かって走ってくる電車があった

クラッシュを鳴らしながら私に向かってくる


ああ、死ぬのか
私のドジでこけて路線に落ちて

こんなことで私は最後を迎えてしまうのか


そう思いながら、止まるはずもない電車を途方もない目で見つめる

電車はどんどん私に近づいてくる

それと同時に周りの騒ぎも大きくなる

私は軽く深呼吸をした

とても落ち着いている

こういう場面に直面した時は、恐怖でパニックになるものだと、昔からそう思っていた

実際に体験してみて分かったことだけれども、今更そんなことはどうでもいい


もう時期私は死ぬのだ


周りには私に必死に呼びかける人や、顔を背けている人、いろんな人が居た

そのことが私の状況をより鮮明に教えてくれる

この後、電車はそのまま私に近づいて私を跳ねるだろう

無駄な抵抗は辞めよう

私は少し先の情景を思い描いて、目を瞑ろうとした

春香「………」

が、その時

人ごみの中に奇妙な物が映った

私に向かって笑いながら手を振っている人がいたのだ

私はとっさに前に手をかざした

まだ死ぬわけにはいかない

そんな思いが不意に頭を過ぎった

…………………………



電車は私の目の前で止まった

深呼吸をする

辺りを見回す

春香「………」

さっきまで私に向かって手を振っていた人が居たところには、大勢の人が群がっていた

…見失った

私は路線から1発で段差を上がる

「ちょっと君、大丈夫なのかい?」

春香「はい、なんとなく電車が止まるような気がしましたし」

私は心配そうに話しかけてくる人に笑顔を向けると、そのまま事務所へと足を運んだ

春香「………」

何かがおかしい

事務所に向かう途中、道に置いてあるダンボールが目にとまる

春香「捨て猫?」

拾ってくださいという文字に加えて、大人しそうに猫が箱の中に座っていた

春香「……」

春香「この後大雨が降ってそれは夕方まで降り続ける…」

私はバッグに入れていた折りたたみ傘をダンボールの屋根代わりに引っ掛けて外れないようにすると、事務所へとまた歩き始めた

………………………

数分後のこと

私は事務所から少し離れたスーパーの入り口に雨宿りしていた

そう、自分の傘が無かったのだ

春香「もうすこし降り出すのに時間がかかると思ったんだけどね」

私は空を見上げながら浮かない顔をする

春香「これじゃあ事務所に間に合わないかなぁ」

私は道路を走りゆく車を見ながらため息をつく

春香「遅れるわけにはいかないよね、いざとなったらずぶ濡れも覚悟で…」

春香「ってそれも嫌だなぁ」

止みそうにない雨のなか、店から出てくる人の傘が目に映る

春香「あ、そうか…買っちゃえばいいんだ」

ここはスーパー、傘くらいなら余るほど売ってあるはず

「雨だー!」

店の入り口から走りながら出てくる、おそらく幼稚園児であろう小さな子を華麗によけると、私もウキウキ気分で店の中に足を踏み入れた

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