妹「なにが食べたいですか兄さん?」(64)

男「いや、とくには」

妹「何でもいいんですよ?今日は兄さんの誕生日ですし」

男「その前になんで裸エプロンなんだ?」

妹「・・・何でもいいんですよ?」チラッチラッ

男「じゃあサバの味噌煮」

妹「何でもいいって言ったのに・・・」

男「だからサバの味噌煮」

妹「生モノってすぐに悪くなっちゃうんですよね」チラッチラッ

男「味噌煮は生モノじゃないだろ」

妹「若いときに食べるっていうのも一つの手だと思うんですよね」

男「・・・」

妹「腐りかけが一番うまいなんて言いますけどそれもどうかと思いますよ、ね?兄さん?」

男「同意を求められてもなぁ」

妹「その反応は・・・兄さんは熟れた果実がお好きなんですか!?」

男「そうでもないけど・・・てか何の話だよこれ」

妹「・・・まぁいいです。この話は一旦置いておきましょう」

男「ていうか今日俺の誕生日だったんだな。すっかり忘れてた」

妹「今日で18歳ですね」

男「うん」

妹「私は今16歳なんですよね」

男「・・・何が言いたい?」

妹「・・・これ、私からのプレゼントです」

男「・・・なんだこれ」

妹「私が書ける部分は書いておきましたから、あとは印鑑をお願いします」ポッ

男「押さねーよ。てか勝手に俺の名前書くなよ!」

妹「朱肉をどうぞ兄さん」

男「だから押さないって言ってんだろ」

妹「あ」

男「ん?」

妹「よくよく考えたら私たち同じ苗字じゃないですか、だったら印鑑も私ので大丈夫ですねペタッと」

男「ペタッとじゃない!何押してんだ!」

妹「・・・兄さんはそんなに私が嫌いですか?」

男「好き嫌い以前に法律で決まってんの、兄妹は結婚できないの」

妹「兄妹じゃなければいいと?」

男「いやそうとは言ってないだろ」

妹「私兄さんと一緒になれるなら今すぐにでもこの家と縁を切る覚悟はありますよ?」

男「お前の本気が怖い」

妹「兄さんは妹のことが好きで好きでたまらないけれど法律の壁があるから素直になれないと」

男「いや、そこまでは言ってない。ていうか縁が切れたところで結婚なんかできないだろ」

妹「・・・!!なぜですか!」

男「いや、俺ら血つながってるし」

妹「たとえ話ですけど・・・自分と同じ血液型の血と自分の血を入れ替えたら血のつながりは・・・」

男「無くならない」

妹「うーん・・・一ついいですか?」

男「ん?」

妹「嘘っていうのはついた本人が黙っていれば明るみに出ることはありませんよね?」

男「まぁそうだな」

妹「じゃあ、私と兄さんがそういう関係でも黙っていればいいってわけですよね?」

男「そういう関係ってなんだおい」

妹「つまり、外では仲の良い兄妹、家では仲の良すぎる兄妹(夫婦)を演じればいいのです」

男「仲の良すぎる兄妹(夫婦)ってなんだよ」

妹「子供ができても想像妊娠したといえば辻褄はあいます」

男「あわねぇよ!想像妊娠で子供ができたら人類初の単性生殖だよ!」

妹「事実婚も結婚の内ですよ兄さん。法律に勝るとも劣らない立派な結婚です」

男「頭が痛くなってきた・・・」

妹「幸い父も母もこの家にはいません。私すごい幸せです!」

男「家族がそろわないことを幸せて・・・」

妹「この家に加わってもいいのは私たちの子供とペットのゴールデンレトリバーだけです」

男「どんな将来設計だよ・・・」

妹「さぁ兄さん、若い男女が一つ屋根の下にいたら・・・もうわかりますね?」

男「わかるけどわからない!」

妹「ご飯(妹)にしますか?お風呂(妹)にしますか?それとも私(妹)?」

男「ご飯(妹)と風呂(妹)ってなんだおい!」

妹「ご飯(妹)は私がご飯を食べさせてあげます。お風呂(妹)は一緒にお風呂に入ります」

男「あぁ・・・なるほど」

妹「ちなみに最後の選択肢は・・・これ以上は言えません。ここから先は兄さん自身の目で確かめてください」

男「いや、別に確かめなくていい」

妹「さぁ兄さん、どれになさいますか?」

男「どれも遠慮します」

妹「・・・」

男「・・・」

妹「ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも私(妹)?」

男「いや、なんで最後の選択肢だけあきらめてないんだよ」

妹「そこだけは妥協できません。さぁ選んでください」

男「じゃあご飯」

妹「ご飯(妹)ですね、わかりました」

男「いやちょっとまて!さっきまで(妹)なかっただろ!あきらめたんじゃなかったのかよ!」

妹「・・・隠しメニューです。親しい方だけに特別にお出しします」

男「どっちにしろ逃げられないのかよ」

妹「逃げる必要なんてありません。私を受け入れてくれればいいんですよ」

男「それから逃げる術はないのか・・・」

~食事~

妹「兄さん、あーん」

男「こうやって食べないとだめなのか?」

妹「ご飯(妹)ですから、あーん」

男「あー・・・ん」モグモグ

妹「美味しいですか?」

男「うん・・・まぁ」

男「・・・ここにあるの全部おまえのあーんだけで食うのか?」

妹「あとだいたい200回くらいあーんしたら食べ終わりますね」

男「勘弁してくれ・・・」

妹「・・・」バッ

男「・・・なんだこの紙」

妹「それにサインしてくれたら普通に食べていただいて結構ですよ」

男「なに」

男「サインって言われると恐ろしいものしか感じないぞ・・・」

紙「妹にプリンを買ってくること」

妹「・・・」ニヘラニヘラ

男(・・・簡単すぎる。それにあの笑顔・・・)

妹「どうなされました?サインしないんですか?」

男「・・・よく見るとここに何か書いてあるな、すっごく小さい字で」

妹「・・・私にはよく見えませんが」

男「妹、ちょっと虫眼鏡持ってこい」

妹「・・・兄さんがそういうなら。少しお待ちください」パタパタパタ

男「・・・」

妹「お待たせしましたあー手が滑りましたー」ガシャアアアン

男「・・・」

妹「ご期待にそえずすみません兄さん。それで・・・どうしますか?」

男「お前どう考えてもわざとだろコレ!」

妹「なんでサインしてくださらないんですか・・・あーん」

男「あむ・・・そんなの裏があるからに決まってるだろ」モグモグ

妹「・・・まぁいいです。あと150回位あーんが残ってますから」

男「なぁ、もう済んだことだから聞くけど、さっきの紙にはなんて書いてあったんだ?」

妹「・・・サインしてくれたら教えます」

男「やっぱりなんか書いてあったのかよ」

妹「わかりませんよ?もしかしたら本当にプリンを買ってくるだけだったかもしれませんよ?」

男「それは嘘だ。絶対嘘だ」

妹「兄さんは私のことを信用してくれてないんですね・・・悲しいです」

男「だったらなんて書いてあったか教えてくれよ」

妹「嫌です。あ~ん」

男「・・・」モグモグ

妹「お野菜も食べないといけませんね」

妹「野菜スティックですよ兄さん、あ~ん」

男「んっ・・・ん?」

妹「・・・」ポリポリポリポリポリ・・・

男「何反対側から食ってるんだよ!」

妹「いえ私もおなかが減っちゃって」

男「しかも尋常じゃない速さだったぞ・・・」

妹「兄さんもこのくらいのことで恥ずかしがっていたら後々合同コンパで困りますよ。行かせませんけど」

妹「ほら、結局兄さん全然お野菜食べてないじゃないですか。もう一回です」

男「いや、普通にサラダとか作ってくれればいいのに・・・」

妹「今度は私が咥えてますから。はい、どうぞ」

男「どうぞじゃねーよ」

妹「好き嫌いはいけませんよ兄さん。嫌いって言ったら泣いちゃいますけど」

男「何に関しての好き嫌いだよ!」

妹「んー・・・」

男「・・・・・・」

妹「・・・サインしますか?」

男「しない!」

妹「じゃあ早く食べてください。んー」

男「・・・」ポキッ

妹「・・・」

男「・・・」モシャモシャ

妹「兄さんの反則負けです。無条件でサインしてください」

男「なんでそうなるんだよ!」

妹「それが嫌なら残りの部分も食べてください」

男「いや、だってお前・・・」

妹「今更キスの一回や二回どうってことありません。子供のころには何十回もしたじゃないですか」

男「もうキスする気まんまんじゃねーか!だから兄妹ってのを忘れるな!子供の時とは違うんだよ!」

妹「兄さんは世間の目を気にしすぎです。いまはこの家の中が世界です」

男「どんな解釈だよ」

妹「仲の良すぎる兄妹(夫婦)ですからキス位全然普通のことです」

男「その設定まだ生きてたのかよ!」

妹「さぁどうぞ、んー・・・」

男「・・・ほんとに食べないとだめか?」

妹「・・・そんなに私がお嫌いですか?」

男「な、泣くな泣くな!食べる、食べるから!」

妹「さすが兄さんです。さぁどうぞ」

男「泣き真似かよ!」

妹「んー・・・」

男「なんだってこんなことに・・・あー」

妹(口をあけた・・・今です)チュポンッ

グイッ!

男「んむっ!?」

妹「んむー・・・」

男(し、舌が!?)

妹「ご馳走様でした」

男「ご馳走様じゃねーよ!何やってんだ!」

妹「兄さん、結局残りの野菜を食べませんでしたね?」

男「そんなん食える状況じゃなかっただろうが!」

妹「私の口の中を探せば食べられましたよ?」

男「んな器用なことができるか!」

妹「兄さんも舌を入れれば簡単に見つかったはずですよ?」

男「そんなことでき・・・」

男「お前顔が赤いぞ?」

妹「・・・そんなことないです」ゴシゴシ

男「いやだって・・・」

妹「ほら、全然普通です」

男「いや、赤いけど」

妹「・・・」

男「もしかして恥ずかしかった?」

妹「・・・」

妹「・・・次はお風呂(妹)ですね」

男「なに話をすり替えてるんだ!しかも風呂っておい!」

妹「子供のころはずっと一緒に入ってたじゃないですか」

男「なんでそっぽ向いてんの?」

妹「・・・特に深い理由はないです」

男「・・・」チラッ

妹「あ」

男「やっぱ恥ずかしかったんじゃん」

妹「・・・兄さんは意地悪です」

男「だって仕掛けてきた本人がここまで恥ずかしがるとは思わないだろ」

妹「ものすごい辱めを受けました。もう兄さんのところにしかお嫁にいけません」

男「それとは話が違う」

妹「お嫁にもらってくれないならいいです」

男「なんだ、珍しく引いたな・・・」

妹「かわりに兄さんをお婿さんにもらいますから」

男「結局同じことだろ!」

妹「もうこの話は決着がついたので次に行きましょう」

男「いやついてないだろ!どっちにしろ結婚する流れになってるだろ!」

妹「次はお風呂(妹)ですね。さぁお風呂に行きましょう」

男「いや、まて・・・いや風呂の話もだけど結婚の話もおかしいだろ!」

妹「大人のキスもできたんです、大人のお風呂も大丈夫です」

男「大人の風呂ってなんだおい!」

妹「早く行きましょう兄さん」ズルズルズル

男「引っ張るな!さすがに風呂はまずいだろ!」

妹「大丈夫です。兄さんがその気にならなければ問題は起きませんから」

男「いやそんなこといったって・・・」

妹「大丈夫です。きっとその気にさせて見せます」

男「なおさら大丈夫じゃねーだろ!」

~風呂~

男「・・・結局一緒に入るはめになってしまった」

男(着替えてくるとか言ってたけどそれでもまずいよな・・・これは)

カラカラカラ・・・

男「・・・っ!」ビクッ

妹「失礼しますね兄さん」

男「ってなんで裸なんだよ!着替えてくるんじゃなかったのかよ!」

妹「服を脱ぐのも着替えですよ兄さん」

妹「お背中お流ししますから、湯船から出てください」

男「い、いや、もう洗ったからいい」

妹「・・・そうですか」

男(なんだ!?あっさり引いたぞ!?)

妹「それじゃあ私も失礼しますね」チャプ

男「!?」

妹「やっぱり二人だと少し手狭ですね」

男「なんで俺の上に重なって入ってくるんだよ!?」

妹「お風呂が小さいからです」

男「だ、だからってお前・・・こ、この図はまずいだろ」

妹「ナニガマズインデスカ?」

男「お前分かってて言ってるだろ!」

妹「それにしても、兄さんと一緒にお風呂なんて小さい時以来ですね」

男「お前中2くらいまで無理やり風呂に乱入してきてたよな?」

妹「それは違います。私がお風呂に入ろうとしたらたまたま兄さんが先に入っていただけです」

男「ほぼ毎日だったが?」

妹「予想以上にたまたまが連発しただけです」

男「そんなのをたまたまっていうか!」

妹「ふぅー・・・いいお湯ですね兄さん?」ピトッ

男「あ、あんまりくっつくなよ」

妹「お風呂が小さいからしょうがないんです」

男「しょうがないって言ったってお前これは・・・」

妹「兄妹でお風呂に入るくらい普通です。友達の友ちゃんだって今でも姉妹でお風呂に入ってます」

男「そりゃ性別が同じだからだろ!」

妹「兄さんの手って大きいんですね」サワサワ

男「そ、そうか?」

妹「・・・えい」モニュ

男「!?何すんだ!?」

妹「やっぱり兄さんは最初からその気だったんですね。私うれしいです」

男「いくらなんでも無理やりすぎるだろ!」

妹「私の胸を触ったのって・・・そういうことですよね?」

男「どういうことだよ!」

妹「兄さんは私を妹ではなく一人の女の子として見て・・・」

男「見ていません!」

妹「・・・そこまで否定しなくても・・・」

男「だ、だから泣くなって!見てる!女の子として見てるから!」

妹「私も男さんのことを一人の男性として見てますから」

男「また嘘泣きかよ!それとさりげなく名前で呼ぶな!」

妹「兄さん?私のお尻に何か固いものがあたって」

男「嘘を言うのはやめろ。てかケツを押し付けてくるなよ!」

妹「押し付けてなんていません。お風呂が狭いんです」グリグリ

男「嘘つけ!どう見ても故意にやってるだろ!こっちだってすごく恥ずかしいんだぞ!」

妹「その恥ずかしさを体で示してください」

男「示せるかアホ!」

男「実の妹に欲情なんてしたら人として終るわ!」

妹「人じゃなくなったら血縁関係なしに結婚できますね」

男「そういうことじゃないだろ!」

妹「私は血縁関係ありの結婚でも全然かまいません。兄さんとなら」グリグリ

男「さりげなく押し付けるな!」

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