【シュタゲSS】紅莉栖「誕生日にホテルでボッチだなんて……」 (125)




紅莉栖「こんなことはらアメリカにいればよかった……」





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ふぅ……


大学からの論文も一段落つきベッドに倒れ込む


二十歳になるということに特別な感慨があると思ったらそんな幻想はあっさり打ち砕かれた


たしかにこの時期に来日したのは誕生日を祝ってほしかったという下心がなかったわけではない


ラボメン全員に祝ってほしいなんて贅沢はいわない


豪華なプレゼントだってなくたっていい


大きなケーキだっていらない


ただたった一言……


『おめでとう』


その一言をあいつからもらいたかった

バカみたい……


部屋の隅にある冷蔵庫にあるワイン


二十歳になったら開けようと思って買っていたものだ


ママにはからかわれたけど……


おつまみは自分で用意すればいいと写真を色々見てきた


自分は料理が得意なのだから再現できるだろう


これならラボのあのキッチンでも十分だろう


褒めてもらえるかな?


褒められる言葉を想像して枕に顔を埋めて足をばたつかせたのは一度や二度ではない……

たしかに時期が悪かったのは事実だ


日本の大学はこの時期は期末テストやレポートに大忙しだ


ましてや卒業後のことも考えていかなければならないのだ


いざとなれば私が養ってもいいのに……


絶対拒否されるだろうが


変なところで真面目なあいつはレポートの手伝いすら拒否してラボにこもっている


たまに夜通りかかったときラボの電気が着いていたのでそういうことなのだろう


べ、別に入るのがこわかったわけじゃないからな!?


誰に対してかわからないツッコミを脳内で入れる


はぁ……


眠ろうにもなんだか寝付けそうにない


少し夜風に当たりに行こうかしら……


ラフなネグリジェを着替えあいつにもらった白衣に身を包んで夜の街へと歩き出した

やっぱり夜は風があって涼しいわね……


昼間はコンクリートジャングルのせいで暑いだけなのに、夜はそんなことはない


昼間の喧噪が信じられないくらい人通りもない


アメリカではこんな時間に一人で出歩くなんて絶対にありえないことだ


そんなことを思いつつ一人で歩く


そんなに土地勘のあるわけではない私の足が向かう先といえばそこしかなかった


年期の入ったそのビルの前にたどり着くと静かではあっても電気は着いていた


あいつがまだまだいるのだろう


せっかくだからなにか作ってあげようかしら……


そんな言い訳を自分にしつつ電話すらくれなかった文句でも言おうと思いラボの扉を開き中へと進んだ

「なんだ、遅かったではないか助手よ」


「……ふぇ?」


そこには偉そうに足を組んでソファーに座るあいつがいた


「おまえなら昨日のうちに来ると思ったのだがな」


「もしかしてずっと待ってたの……?」


「当然だろう」


当たり前だという殴りたくなるようなドヤ顔をしてこちらに歩み寄って来る


その顔のせいで色々と言ってやろうとおもっていた言葉はすべて消し飛んでしまった


そしてかわりに……」


「ずっと待ってたんだから……ばかぁ……」


とめどなく涙があふれてきたのだった

「落ち着いたか?」


「ご、ごめん……」


「いや、謝らなくてもいいぞ」


あいつに抱きついてひとしきり泣いたら妙にすっきりした


白衣に涙の痕がついちゃったわね……


……さすがに残らないわよね?


「とりあえずこのままの体勢は色々あれだから一旦離れないか?」


え?なんのこと?


自分を顧みてみると……抱きついていた……


「さ、さっさと離れなさいよ、バカ!!」


顔が真っ赤になっているのが自分でもわかる


あいつを突き飛ばした


なにか言っているようだが聞きたくないもん!

「まあいい……とりあえず座らないか?」


「そ、そうね……」


あいつが先にソファーに腰掛ける


いつもならその隣が私の定位置だ


だけどなんとなく仕返ししたくなって……


「どうした?座らないのか?」


「あ、足広げなさいよ」


「……は?」


「いいから!」


「お、おう……これでいいか?」


「ええ、いいわよ」


「ちょ、ちょ……」


有無を言わさずあいつの足の間に腰を下ろし体重をあいつに預けたのだった

「な、なぜここに……?」


「私を待たせた罰よ」


我ながら苦しい言い訳だと思う


「……そうか」


納得してくれたようだ


「なぁ、ケーキを出してきたいんだが……」


「もう少しこのままよ」


「そうか……」


自然に頭にあいつの手のひらが乗せられる


「いやか?」


「そんなことない……」


「そうか」


自然に頭を撫でられている


べ、別に嬉しくなんてないんだからね!?

「な、なあ……そろそろいいだろう……?」


「そうね……そろそろ許してあげるわ」


「はいはい、それはどうも……」


名残惜しく思いつつも膝から立ち上がる


「まったく……せっかく用意したのに……」


「え……?もしかして手作り……?」


「るか子とフェイリスが焼いたスポンジにみんなでデコレーションしただけだがな」


たしかに所々でクリームの塗り方なんかに差がある


「もしかしてこれってあんたの字……?」


「ラボのリーダーたる俺以外に書くのにふさわしい人間はいないだろう?」


「……助手じゃないんだが」


『Happy Birthday 俺の助手よ!』


所々曲がっていたがそう書いてあった


『俺の』ってなによ……

「さて、ローソクに灯をともすか」


「そうね」


「なんだったら自分でやってみるか?」


「いえ、お願いするわ」


昔はパパが火をつけてくれてたのよね……


「さて、電気を消したからいつでも吹き消していいぞ?」


「あんたはこっちにこないの?」


「すぐに電気をつけねばならんだろう?」


「いいからこっちに来なさい」


「……わかった」


ひとりぼっちで真っ暗なラボなんて寂しいじゃない……

「またそこに座るのか……」


「いやなの?」


「いや」


「ならいいじゃない」


「そうだな……」


「ローソク綺麗ね……」


「たまにはいいかもな」


「ええ、たまには……ね」


「そろそろ消さないとロウが垂れるぞ?」


「それは困るわね……」


顔を前に傾けて一息で吹き消した


「誕生日おめでとう、紅莉栖」


ようやく聞きたかった一言を聞くことができた……

「なんで抱きついてるんだ……」


「……気のせいよ」


「おまえ……もしかして泣いてるのか?」


「あ、汗よ」


「たしかに暑いもんな」


間違いなくバレているだろう


しかしそれを笑うようなことはしなかった


その代わりにまた私の頭を撫でてくれていた


二十歳になったはずなのに泣いてばかりだな私……

ダル「それでそのままラボでにゃんにゃんしてたと……」


岡部「ち、違うぞ!?」


ダル「牧瀬氏の乱れた白衣と大量に消費されたティッシュの言い訳があればきくお?」


紅莉栖「そ、それは……そう、ドクペをこぼしちゃったの!」


ダル「ほう?」


紅莉栖「それでしかたなくティッシュで……」


ダル「室内にこもったこの臭いは?」


紅莉栖「ら、ラボでスルメを焼いたのよ!」


ダル「ふーん……どうでもいいけど避妊はちゃんとしたほうがいいと思うお」


紅莉栖「死ねHENTAI!」


ダル「フヒヒサーセン」


岡部「それより由季さんとの約束はいいのか?」


ダル「おっと、そろそろ行くお」


岡部「気をつけて行って来いよ?」


ダル「オカリンも事故には気を付けてね」


岡部「余計なお世話だ……」


ダル「じゃあねー」

あのあとラボで色々あった……


我慢できなくなった私が押し倒して……


散々否定していたけど実際やってみると自分はHENTAIなのかと勘ぐってしまった


で、でも最終的にお互い同意の上だったわけだし……


それにもしもできちゃってたらそのまま結婚して……


ってこんなこと考えてるからHENTAIっていわれちゃうのよ!


「ねぇ……」


「なんだ……?」


「もしもできちゃってたらさ……責任取ってくれる……?」


「……あぁ」


「自分でいうのもなんだけど私結構めんどくさい女よ?」


「知ってる」


「面と向かって言われると腹が立つわね……」


「まあそのときはそのときさ」


「そうね……」


でも……あのまま寝ることにならなくてよかったのは事実ね……



終わり

寝落ちたり書き溜めが消えたりでgdってすいませんでした

読んでくださったりレスくれださったりしたみなさんありがとうございました

昨日のうちにスレ建てできたのでセーフということで……


普段は鈴羽ばかりですが紅莉栖も好きです

オカクリも大好きです


なにか思いついたら書くかもです

失礼します

レスくださった方ありがとうございます
さすがにせっかくの誕生日スレがこれだけではさみしいのでなにか書いていきます
シチュエーションなどのリクエストがあれば拾うかもです

綯ちゃんが出るとうれしいかもしれない


紅莉栖の誕生日を祝いたかったのに
日本へ帰っちゃって落ち込む真帆さんが見えた

「やっぱり暑いしやめないか?」


「せっかくのおやすみなんだしデートしないともったいないじゃない」


「レポートや試験が……」


「私とのデートとどっちが大事なのかしら?」


「デート……です……」


「よろしい」


私たちは休日で人の多い秋葉原から電車で脱出して適当にブラブラしていた


といっても人が多いのはかわらないんだけど……


で、でも満員電車の中で岡部が他の人から守ってくれたり匂いを心行くまで堪能できたのはよかったわね……

「なあ、どこか入らないか?」


「それもそうね……」


朝のニュースでは今年一番の暑さになるって言ってたわね……


その証拠にコンクリートジャングルの中を歩く私たちは太陽からの直射日光とコンクリートからの放射熱に容赦なくさらされた


「ほう……珍しいものがあるな……」


「あれって……」


「移動お化け屋敷だな」


「へぇ……そういうのもあるのね……」


移動するものといえばサーカスくらいしか知らない私にはちょっとしたカルチャーショックだ


「入ってみたいのか?」


「……え?」


どうやら思った以上に見入っていたらしい

「せっかくだし入ってみるか」


「……いいの?」


「どの店に入ろうにも客が多いしな」


「そうね……」


喫茶店やショッピングモールはお客さんでいっぱいだ


一方のお化け屋敷はというとたしかに並んでいる人はいるがあれならそんなに時間はかからないだろう


「学生2枚で」


「ちょ、ちょっと!」


「なんだ?入らないのか?」


「入るけどさ……」


「だったらなんの問題もないだろう?」


「それもそうだけどさ……」


なんでさりげなくチケット奢ってくれちゃうのよ……

「そういえばお化け屋敷に入ったことはあるのか?」


待っている間にそんな質問が来る


そういえば来た事がないような……


「今日が初めてよ?」


「ほう……恐がりすぎて立てなくなるようなことはやめてくれよ?」


「所詮作り物でしょ、怖いわけないじゃない」


「ほう……いったな……?」


「な、なによ……?」


「いや……出た時の助手の反応が楽しみだと思ってな」


「助手ってゆーな!」


「ほら、俺たちの番みたいだぞ?」


「はいはい……ほら、行くわよ」


「ああ、そうだな」


このときの岡部のにやけた顔ほど殴りたい顔もないだろう……

「ね、ねぇ……暗くないかしら?」


「お化け屋敷なんてこんなもんだぞ?」


「ふ、ふーん……」


手渡された懐中電灯をもって進む


電池が切れかかっているのか点滅していて今にも切れそうだ


まったく……ちゃんとメンテナンスしておきなさいよね


アメリカなら訴えられちゃうわよ?


「……なんで袖を掴んでるんだ?」


「あ、あんたが迷わないようにしてあげてるのよ!」


「ふーん……」


暗くて見えないがバカにしたような笑みを浮かべているだろう


殴りたいけど一人で進むのは心細いし……


べ、別にこわいわけじゃねーからな!?

「ちょっと岡部、肩叩かないでよ」


「そんなことしとらんぞ?」


「え、でも現に私の左肩に手が……」


「お前の右側にいるうえに左手の袖を掴まれた俺がそこに手を置く事ができると思うか?」


「た、たしかに……」


岡部の言葉に納得して振り向いた瞬間……


「きゃー!?」


な、なによこいつ!?


なんで人体模型が私の肩に手を置いてるのよ!


「お、落ち着け助手よ!」


岡部の制止を振り切って袖を持って一目散に駆け出した

「まったく……急に走り出したら危ないだろう……」


「ごめんなさい……」


人体模型から逃れた私たちがたどり着いた先……


「ここって……」


「手術室……みたいね……」


いかにも手術室といったその部屋はまさにイメージ通りだ


順路にもなっているようで部屋の中心を突っ切ってあちら側に見える出口から出なければならないらしい


しかし一つ大きな問題が……


「なんでベッドの上に膨らんだ布団があるのよ……」


あからさまに怪しいベッドの脇を通らなければならないのだ

すいません

眠いので今夜はここまでにさせてください


おやすみなさい

「さて、そろそろ行かないか?」


「えぇ、そうね……」


「そんなに強く掴まれると歩きにくいのだが……」


「あ、あんたが足がすくんでも進めるようにしてるの!」


「そ、そうか……」


「そ、そもそも幽霊やお化けなんて非科学的なのよ!」


「紅莉栖?」


「だ、だからまったく怖くなんてないんだからね!?」


ぶつり……


「な、なんで私の懐中電灯が切れるのよ……」


先ほどから切れそうだった懐中電灯の電池の寿命が来たらしい


「と、とにかくさっさと行くわよ!」


「お、おう……」


いつまでもこんな場所にいられるわけないじゃない……

「ほら、さっさと行きなさいよ……」


「おまえにしがみつかれて歩きにくいんだが」


「なにか文句ある!?」


「言ったら離れてくれるのか?」


「岡部は私の抱きつかれるのはいや……?」


「ああ」


「ふぇ……?」


「だからさっさと離れてくれないか?」


「そ、そんな……」


ヤバい……泣きそう……


「なーんてな、冗談だ」


「ふざけんな!」


「な、小突く必要はないじゃないか!」


「あんたが悪い!」


私がどれだけ悲しかったと思ってるのよ、バーカ!

「ほら、さっさと行くわよ!」


「お、おい……引っ張るな!」


「いいからきびきび歩く!」


岡部の手を引いて歩き出す


懐中電灯がないせいでかなり暗いが今はそんなこと知った事じゃない


一刻も早くここから脱出しないと……


私の頭はそのことだけでいっぱいだった


がばっ


完全に意識の外にあった布団から全身包帯まみれの人間?が現れた


「こ、こわくなんかないもん……」


膝に力が入らずへたり込んでしまった……

「大丈夫か、紅莉栖?」


「う、うん……」


立ち上がろうにも膝が笑ってうまくいかない


「ほら、立たせてやるから手を出せ」


「あ、ありがとう……」


こいつこんなに力あったんだ……


「じゃあこの部屋から出るぞ?」


「でも……」


「俺の腕に捕まって俺だけを見てろ、わかったな?」


「……うん」


「じゃあ行くぞ?」


私にあわせてくれたのかいつもよりゆったりしたペースで岡部が歩き出す


普段からその真剣な顔でいなさいよ……バカ

「ふぅ……ようやく出れたわね……」


「そろそろ離れてもいいんじゃないか?」


「まだちゃんと歩けないからダメよ」


「はいはい……」


あのあとも色々あった


だけどその度に岡部が守ってくれて……


別にかっこいいとか思ってないし……!


「そういえば幽霊なんて非科学的で怖くないんじゃなかったのか?」


「怖いものは怖いわよ!」


「ほう……」


「そ、それよりお腹空いたからなにか食べに行きましょうよ」


「そうだな……」


「そうと決まれば出発よ!」


「お、おい引っ張るな……!」


だって……この温かみが嬉しいんだからしかたないじゃない……



終わり

以上です

こんな感じで100レスくらい投下したらHTML化依頼を出して終わろうと思っています

読んでくださった方ありがとうございました

失礼します

「ねぇ、今日は土用の丑の日なんでしょ?」


ラボで何気なく言ったこの一言が全ての原因だったように思う


「ら、らしいな……」


いつもの尊大な態度は消え失せてあからさまに挙動不審だった


私がなにか話しかけようとしてもあからさまに逃げられる


挙げ句の果てには


「じゃあ俺は試験があるから……」


とレポートで楽だったと言っていたはずの講義の試験に向かう始末だ


つくならもっとマシな嘘をつきなさいよ……


でもそんなところが……


べ、別に好きなわけじゃねーし!

何気なくすることもないのでラボのテレビをつけてみる


店長さんのご好意でブラウン管なのにまだ見られるらしい


ホテルのテレビとは違うけどこれはこれで好きだ


これを見たいという希望もなくチャンネルを回していると土用の丑の日の特集をしていた


そしてなぜ岡部の歯切れが悪くなったのかもわかった


たしかにこの値段は学生にはキツいわよね……


変に責任感のあるところがあいつのいいところであり悪いところよね……


でもそんなところが……


べ、別に好きじゃないって言ってるでしょ!


何気なく聞いていたらいいことも聞く事ができた


岡部のためにも準備してあげようかしら


そしたら褒めてくれるわよね……?


そうと決まれば早速でかけなくちゃ!

ふぅ……


スーパーの買い物袋を片手に提げてラボに戻る


それにしてもこんなに暑いなんて……


これからすべきことを思うと思わず気が滅入ってしまう


でもせっかくやるからには拘りたいし……


ラボにたどり着くなりPCに電源を入れる


いつもなら開くであろう巨大掲示板ではない


というかそもそも私ねらーじゃないし……


でもこれがあいつのためじゃなければ安価を取って……


ってこれってまるっきりねらーの発想じゃない!


だめよ、今日はあいつに食べてもらうんだから!


自分でもできそうなサイトを見つけて準備に取りかかった

「よ、よう……」


「あら、お早いお帰りね」


「緊急事態なら俺が来ないわけにはいかんだろうが……」


「それもそうね」


【緊急事態】お願い、助けて……


たったこれだけのメールを送ったのはほんの15分ほど前だ


汗や呼吸の様子を見るに相当急いできたのだろう事がうかがえる


「それで緊急事態とはなんだ?」


「もう少しでできあがるから座ってなさい」


「でも……」


「いいから!」


「はい……」


ソファーで縮こまった岡部を尻目に最期の仕上げだ


ここまで頑張ったんだから台無しにするわけにはいかないしね

「ほら、おまちどおさま」


「これは……」


「見ての通りのうどんよ?」


「なぜうどんなのだ……?」


「今日は何の日かしら?」


「アマチュア無線の日だな」


「……は?」


「1952年のこの日に世界大戦のせいで禁止されていたアマチュア無線が解禁されたんだ」


「へぇ……ってそうじゃくて!」


「では漬け物メーカーに制定された福神漬の日だな」


「そうなんだ……」


思わず感心しちゃったじゃない……

「朝の出来事を思い出せないようなら海馬に電極を刺して二度と忘れられないようにしましょうか?」


「土用の丑の日です」


「最初から素直に答えなさいよまったく……」


「しかしそれとこのうどんがどう関係するのだ?」


「あんたが歯切れが悪かったのってうなぎが原因でしょ?」


「ああ……」


「別にあんたにそんなの期待してないわよ」


「期待されなくても叶えたいじゃないか……」


「まったく……」


「セレセブの期待に応えられなくてすまん……」


「一言多いのよ!」


「すまん……」

「いいから伸びちゃう前に食べましょ?」


「しかし……」


「何よその顔は……?」


「カレーの悪夢が……」


「あれは忘れなさい」


「でも……」


「いいから!」


「はい……」


「それに今回はちゃんと味見したわよ」


「そ、そうか……」


「ほら、食べるわよ?」


「あぁ……」


「「いただきます」」

そこからの岡部は終始無言だった


ずるずると音を立てて啜るのもお行儀が悪いといえるけど思わずまねをしてしまったくらい……


そのせいで盛大にむせたんだけど……


だけど我ながら美味しく出来たと思う


現に私は美味しいと思ってるわけだし……


でもあいつは食べてる間はなにも言わなかった


マズいとは言われなかった


だけど美味しいとは言ってくれなかったんだけど……


ただ静かなラボにあいつがうどんを啜る小気味よい音が響くだけだった……

「ど、どうだった……?」


丁寧に出汁まで飲み干し箸を置いた岡部に問いかける


「美味かったぞ」


よしッ!


心の中でガッツポーズをして飛び上がりそうになるのをこらえた


だけど冷静に戻って一つの疑問がわいてきた


「なんで無言で食べてたの?」


「のびる前に食べろと言ったのはおまえじゃないか」


「そ、そちゃそうだけど……」


でも美味しいぐらい言ってもいいじゃない!


「それよりおまえも食べないとのびるぞ?」


「た、食べるわよ!」


半ば自棄気味にうどんをすする


盛大にむせて岡部に背中をさすられちゃったんだけど……


にやけた顔を見られてないわよね……?

「「ごちそうさまでした」」


なんとかうどんを食べ終えて一息ついて箸を置いた


「なんで食べてる途中に美味しいって言わなかったの?」


「俺は料理をせんからな」


「それとこれとはどう関係があるの?」


「だって……美味い意外に褒める言葉を知らんのだからしかたないじゃないか……」


「……え?」


「俺はグルメレポーターじゃないからな……」


ばつの悪そうに頭をかく岡部


なんだか子供みたいでかわいいじゃない……

「それで……グルメレポーターじゃない岡部倫太郎さんはどんな感想を持ったのかしら?」


「ものすごく美味かったぞ」


「そう……」


「……顔がにやけてるぞ」


「見るなバカ!」


食べ終えた食器を持ってあわてて台所へと向かった


「片付けなら俺が……」


「そ、そう……」


隅に縮こまった私の後ろで岡部が食器を洗っているのだろう水音が聞こえる


「そういえばなんでうどんだったんだ?」


「土用の丑の日は鰻に限らず頭に『う』のつくものを食べればいいのよ」


「なるほど……」


「といってもテレビの受け売りなんだけどね」


「なぁ、紅莉栖」


「ふぇ!?な、なに!?」


「またうどんを作ってくれないか?」


「か、考えてあげてもいいわよ」


「ああ、よろしく頼む」


食器を洗い終えたらしくラボへ戻る岡部


この赤くにやけた顔が戻るまで戻れないじゃない……


バカ……

こんばんは

土用の丑の日なので書きました

今日はここまでです


おやすみなさい

Mr.ブラウン「岡部、いるか?」


岡部「我がラボに何かご用か、Mr.ブラウン?」


Mr.ブラウン「天王寺さんと呼べと言ってるだろうが……」


Mr.ブラウン「まあいい、今夜ヒマか?」


岡部「いえ、今夜は紅莉栖と……」


Mr.ブラウン「もしかして花火大会か?」


岡部「ええ」


Mr.ブラウン「綯も連れて行ってもらえねーか?」


岡部「シスターブラウンも?」


Mr.ブラウン「デートの邪魔をするのは悪いんだけどよ……」


岡部「でも花火大会ならあなたが連れて行けばいいのでは?」


Mr.ブラウン「それが今夜はどうしても外せない用事があってよぅ……」


岡部「そうですか……」


Mr.ブラウン「せっかくの夏休みに家で一人で過ごさせるのは忍びねーんだ」


Mr.ブラウン「なんとか頼めねーか?」


岡部「……わかりました」


Mr.ブラウン「じゃあ夜綯を連れて来るから頼むな?」


岡部「わかりました」


Mr.ブラウン「怪我でもさせたらただじゃおかねーからな?」


岡部「わ、わかりました……」

「それでそこに綯ちゃんがいると……」


「すまん……」


「ごめんなさい……」


「な、綯ちゃんは悪くないわよ!?」


待ち合わせ場所に来た岡部は浴衣姿の女の子と一緒だった


あまりにもその子がおどおどしてたから誘拐かと思ったじゃないの


でもこんな日にまで白衣ってどうなのよ……


まあヘタにお洒落されて幻滅するよりはいいけどさ……


「そ、それより私のこの格好を見てなにかいうことはないのかしら!?」


「馬子にも衣装って本当なのだな」


「ちょっと、それどういう意味よ!」


「お姉ちゃんすごく綺麗だよ!」


「ありがとう、綯ちゃん」


ひねくれ者のこいつと違って素直な綯ちゃんはとてもキュートだ


頭をなでてあげるとくすぐったそうに目を細めるのがたまらない


べ、別にロリコンじゃないけどな!

「そ、それより行かないか?」


「ええ、そうね」


会場へと向かう人の流れができてきている


いつまでも泊まったままでは迷惑だ


「ちゃんと俺に掴まっておけよ?」


「は、はい……」


おずおずと岡部の腕にしがみつく綯ちゃん


羨ましいなんて思ってないもん……


「どうしたんだ、助手よ?」


「あんたの鈍感さを治すのはシュタインズゲート到達より難しい気がするわ……」


首を傾げる岡部


本当になんとかなればいいのに……


岡部から離れないように河川敷へと歩いていった

「やっぱり人が多いな……」


「ええ、そうね」


全国ニュースでも報道されるくらい規模の大きな花火大会なのだ


これだけの人がいるのも納得ではあるのだが……


「それよりなにか食べないか?奢るぞ?」


「え、いいの?」


「ああ、大丈夫だ」


「そうねぇ……綯ちゃんはなにが食べたい?」


「りんご飴が食べたいです」


「よし、さっそく買いに行くか」


「はい!」


そういって歩き出す二人


綯ちゃんが歩きやすいように岡部の歩幅はいつもより小さめだ


私だけじゃなかったんだ……


でもやっぱり岡部って優しいのね……


「ほら、さっさと行くぞ、助手よ」


「待ちなさいよ!」


二人を追って屋台が並ぶ通りへと向かった

「おじさん、あれやってみたい!」


「あれか……」


「ただの金魚すくいじゃない」


「まあそうなんだが……」


「ダメ……?」


「まあいいか……」


そういって一人分の代金を払う


水槽の前にしゃがみ込んで金魚にあたりをつける


見守る岡部の表情は渋いままだ


「あ……」


瞬く間に紙が破れて破れてすくっていた金魚が水槽に落ちてしまった


「やはりな……」


岡部は深刻そうな表情で頷いていた

「どういうことよ?」


「こういうのは破れやすいようになっているのだ」


「そうなんだ……」


残念そうにうなだれる綯ちゃん


無理もないわよね……


そんなとき綯ちゃんの隣から歓声が上がった


その歓声の正体に目をやると軽快な手つきで金魚をすくっていたのだ


「できるみたいだけど?」


「そ、そうだな……」


「あんたもあれくらいできるわよね?」


「いや、その……」


「科学者なら万の仮説より一の実践の方が大切ってわかるわよね?」


「はい……」


「やれ」


「わかりました……」


綯ちゃんと二人で並んで始める


なんとか一匹すくうことのできた綯ちゃんとは対照的に岡部は一匹もすくうことができなかった

「ほら、これでも飲んで元気を出しなさい」


「あ、あぁ……」


空いた手に金魚の入った袋をぶら下げて満足げな綯ちゃんと対照的に岡部はうなだれている


キンキンに冷えたラムネの瓶を頬に当ててやると少しは元気を取り戻したようだ


「ほら、行きましょう?」


塞がっていない岡部の腕を掴んで引っ張っていく


屋台の通りを抜けたところにもまばらながらも人の姿はあった


それでも先ほどよりもずっとマシなのだが


来たときにはまだ明るかった西の空も完全に暗くなり、雲一つなく月明かりも弱い花火には絶好の空模様だ

突如明るくなった空に人々のざわめきがおさまった


少し来て遅れて届いたお腹に響くような大きな音に小さな歓声が上がる


そこからさらに大きな音が何発も……


そこにいた誰もが空に見入っていた


「どうだ、小動物?」


「周りの人でよく見えない……」


私たちに比べて小さな綯ちゃんは満足に見えないだろう


「ふむ……」


あたりを見渡す岡部


「これなら問題ないな……」


そういってしゃがみ込む


「ほら、肩に乗れ」


「いいの?」


「ああ、その代わりしっかり掴まってろよ?」


「うん」


一見岡部は研究ばかりのもやしみたいな体つきだ


しかし筋肉があることは直接見た私は知っている


「どうだ?」


「よく見えるよ!」


「そうか、はしゃぎすぎて落ちないように注意しろよ?」


「うん!」


軽々肩車された綯ちゃんは本当に楽しそうだった

「あっという間だったわね……」


「あぁ……」


打ち上げの終わった花火の後でしばらくそこに立ち尽くしていたらしい


黒山の人だかりもみんな帰宅の途についたようで人通りはまばらになっていた


「俺たちも帰るか?」


「ええ、そうね」


花火が終わった後で疲れてしまったのか綯ちゃんは岡部におんぶされている


色々と話したい事はあったはずなのになぜか言葉を発する事はできなかった


ただ、岡部の腕に抱きついていたがそれを嫌がられる事はなかった


昔パパにつないでもらったのとはまた違った腕の感触に安心感と満足感をえながら人通りのまばらな河川敷を歩いた

「ああ、その……なんだ……」


「何?」


「今日のおまえ、すごくかわいいぞ?」


「ふぇ!?」


「胸がない方が浴衣は似合うというのは本当だな」


「それどういう意味よ!」


「こら、大声を出して綯が起きたらどうするんだ」


「ご、ごめんなさい……」


「別にいいじゃないか」


「え?」


「俺はそういうところも含めておまえが好きになったんだからな」


「卑怯者……」


「俺はマッドサイエンティストだからな」


「ばか……」


岡部にしがみついたままラボへと帰った


なんとなく私たちに子供ができたらこんな感じなのかな?


だったらその子にはこんな幸せをいつまでもあじあわせてあげたいわね……


その日の夜はいつも以上に気持ちよく眠る事ができた……

こんにちは

>>24さんにいただいていた通り綯ちゃんを出してみました

どこかで見た事があるようなシチュエーションだとしても気のせいです


おつきあいいただきありがとうございました

失礼します

真帆「ねえ」


岡部「なんだ、ロリッ子よ」


真帆「ロリッ子言うな!」


岡部「つまらん用事なら切るぞ?」


真帆「つまらない話をしてるのはどっちよ!」


岡部「はぁ……それで何の用だ?」


真帆「紅莉栖が誕生日にいなかった」


岡部「ほう……それがどうした?」


真帆「日本に帰国してたのはわかってるのよ」


岡部「いまいち話が見えんが……」


真帆「あんたに会いに行ってたんでしょ?」


岡部「ああ、『俺に』会いにきてたな」


真帆「画面越しのドヤ顔を殴ってやりたいわ……」


岡部「羨ましいならそういったらどうだ、ロリッ子よ」


真帆「羨ましくなんてねーし!それにロリッ子言うな!」


岡部「画面越しに真っ赤な顔が見えるぞ?」


真帆「うっさい!」



紅莉栖(岡部はパソコンに向かってなにを真剣に打ち込んでるのかしら?)

真帆「まあ私の方が尊敬されてるのは事実よ」


岡部「なに……?」


真帆「紅莉栖は私を『先輩』って読んでるのよ?」


真帆「尊敬もしてない目上の人間をそう呼ぶかしら?」


岡部「ぐぬぬ……」


真帆「わかったら紅莉栖をさっさと解放してアメリカに返しなさい」


岡部「断る」


真帆「は?」


岡部「俺とあいつはすでにただの男女の仲ではないからな」


真帆「それってもしかして……」


岡部「何を想像したのだ?」


真帆「う、うるさいわよ!」


岡部「ほーぅ」


真帆「と、とにかく紅莉栖を思うのならさっさと帰らせなさい!」


岡部「だから断ると言っておるだろうが!」


真帆「ぐぬぬ」
岡部「ぐぬぬ」



紅莉栖(ますます熱くなってるみたいだけど……)

真帆「そもそも私の方が紅莉栖のかわいさを知ってるんだからね!」


岡部「ほう……」


真帆「あの子がネコを見て優しく撫でてたなんて知らないでしょ!?」


岡部「意外に子供好きだぞ」


真帆「大きなクマのぬいぐるみを抱いて寝てるのよ」


岡部「寂しがりやでよく抱きついてくるぞ?」


真帆「一緒に遊びに行った時は手をつないでくれるもん!」


岡部「お化け屋敷に言った時は俺にしがみついて離さなかったぞ」


真帆「まだあるもん!」


岡部「俺だって!」





岡部「そしてこれがそのときのチャットのログだ」


紅莉栖「どんな公開処刑よバカ!!」


紅莉栖(言うなら面と向かって言いなさいよ!!)

こんにちは

>>25さんに真帆さんを出すように言われたので出してみました


エピクロフは特典CDを聞いただけで書籍の読み込みが甘いため口調がおかしかったらすいません

この機会に読み直すので許してください


他になにかリクエストがないようでしたら二~三日以内にHTML化申請をして終わろうと思います

なにかあればどうぞ


失礼します

おつおつ
鈴羽もかわいいけど紅莉栖もかわいい
ということで鈴羽のスタイルに見とれてしまったオカリンに嫉妬する紅莉栖とかどうですかね?

「そういえば紅莉栖」


「なに?」


「今夜ヒマか?」


「ええ特に用事はないけど……」


「だったら今夜星を見に行かないか?」


「たまにはいいこと言うのね」


「たまにはとはなんだ、たまにはとは……」


「私以上にまともに議論できるのかしら?」


「そ、それは……」


「ほら、言い返せないでしょ?」


「そ、それより今夜星を見に行かないか!?」


「はいはい、行ってあげてもいいわよ」


岡部にしては気の利いた提案じゃない

「ところで急に星だなんてどういう風の吹き回し?」


「今夜がペルセウス座流星群のピークらしいからどうかと思ってな」


「へぇ……」


「一応夏とはいえ肌寒いかもしれないからなにか一枚羽織れるものがあったほうがいいぞ?」


「たしかにそうね」


岡部にしてはちゃんと考えてるみたいね……


「も、もちろん二人きり……よね……?」


「誰か誘った方がよければ誘うが……」


「あんたにはデリカシーってものがないの!?」


「す、すまん……」


「ちゃんとエスコートしなさいよ?」


「あ、ああ……」


これは期待してもいいわよね?


暗がりで二人きりで……


「下品な妄想はそれぐらいにしておけよ、HENTAI非処女よ?」


「へ、へんな妄想なんてしてにぇーし!」

すいません

天文台に誘われたので行ってきます

続きは早いうちに書きますので……

失礼します

「おまえ……その格好で寒くないのか?」


「平気よ」


「ならいいが……」


着飾ろうとした私が選択したのは結局いつもの改造制服だった


ホテルのクローゼットを見てもまともなものがなかったし急に買いに行く勇気もなかったし……


「ほら、さっさと行くぞ?」


「う、うん」


ラボを出た私たちは見慣れた秋葉原の町並みを外れて川沿いを歩いていた


「月が綺麗ね……」


「ああ、そうだな」


期待通りの返答が来なかった事にちょっとむくれちゃう


日本人なら常識じゃないの?


「どうかしたか?」


「べーつに」


「ならいいが……」


どうやら岡部の鈍感はわかっていたつもりだがそれ以上のもののようだ

「ほら、手を出せ」


「ふぇ?」


「いくら月明かりがあるとはいえ暗がりを歩きにくそうだから手を貸そうと思うのだが?」


「じゃ、じゃあ借りてあげてもいいわよ」


「はいはい……」


せっかくなので甘えてやる


「しがみつかれると歩きにくいのだが……」


「この方があんたも嬉しいんじゃないの?」


しがみつかれた私の胸の感触を特別に堪能させてあげるわ!


「………………」


無言になる岡部


もう、あんなことをしたのに恥ずかしがっちゃって……


ま、まあそういうところがかわいいんだけどね!

「ほら、ここだ」


「ここって……」


川沿いに歩いていたがついたのは河原だ


およそ流星群を観察するのに適したものは見当たらない


「ほんとにここであってるの?」


「ああ、こうして見るとよく見えるぞ」


こともなげに横になる岡部


私は思わずそうすることを躊躇してしまう


「そ、そのまま横になったら頭が汚れちゃうでしょ!?」


私の精一杯の言い訳だ


どうせ岡部には論破できないでしょうけど……


「まったく……わがままなやつだな」


岡部が腕を自分の隣へと伸ばす


「これなら寝転がれるだろう?」


「そ、そうね……」


観念したように岡部の腕に頭を乗せる


べ、別に腕枕に憧れたわけじゃないからな!?


「お、重くない……?」


「ああ、大丈夫だ」


「そ、そう……」


なんとなくお互いに無言になってしまった

「お、流れたぞ」


「うそ、どこ!?」


「まったく……余計な事ばかり考えているから見逃すのだ」


「うっさい……」


地球に最接近していた月が少々離れたとはいえまだまだ月明かりは強い


ましてやここ最近の悪天候がウソのように晴れ渡っていたのだ


現に隣の岡部の顔は暗がりでもはっきり確認できて……


べ、別に岡部の顔ばかり見てたせいで星を見逃したわけじゃないし!


でも暗くてもやっぱりかっこいいわね……


ってなに考えてるのよ!


と、とにかく今は星を見ないと……

「お、また流れたぞ」


「ええ、今度はバッチリよ」


いつの間にかつきには雲がかかっていて星を見るにはベストコンディションになっていた


隣の岡部の顔ははっきり見えないけど……


でも岡部の顔も気にならないほどの流星群が降り注いでいた


たしかに岡部がおすすめするのも納得できたけどね


流星群を眺めつつあることが頭によぎる


『流れ星に三回願い事をすると叶う』


そんな考えなんて以前の私なら非科学的と一蹴していただろう


しかし自分の常識は隣で一緒に星を眺めているこの男に覆されたのだ



だったら願い事くらいしてもいいわよね……?


そう思って願い事を心の中で三回唱えたのだった……

「そろそろ帰るか……?」


「ええ、そうね……」


あれほど降り注いでいた流星群は今はほとんど見えなくなっていた


月がまた出てきたからなんだけど……


だけど岡部と一緒にあれだけの流れ星を見る事ができたのは素直に嬉しかった


願い事も言えたしね


「今日は素敵な場所を教えてくれてありがとう」


「ほう?お前でも礼を言うことがあるのだな」


「私をなんだと思っているのよ……」


「ツンデレHENTAI実験大好き非処女」


「どんなイメージよ……」


あまりのイメージに突っ込む気力さえなくなってしまった

「さっさと頭をどけてくれないと俺が起きられないのだが……」


「そ、そうね……」


体を起こそうと岡部の向く


「なんだ……?」


「な、なんでもないわ……」


月明かりに照らされた岡部の顔はあの日と同じ表情を浮かべていた


そう


私たちが初めて体を重ねたあの日と……


「く、紅莉栖……」


「なにかしら……?」


「か、顔が恐いぞ……?」


「気のせいよ」


私は岡部に覆い被さっていた……

「早く降りてくれないか?」


「いやだったら振り払ってもいいわよ?」


「そんなことできるわけないだろうが……」


「だったら同意したと見なすわね」


「そ、それは…………むぐ!?」


反論しようとする岡部の口を強引に自分の口で塞ぐ


岡部に振り払われる事はないのは百も承知だ


たしかにそれに乗じるのはずるいと思うけど……


あの日以来手を出さないで私を我慢させている岡部も悪いんだからおあいこよね?


体が疼いちゃってしかたないし……

「まったく……あんな場所でしなくてもいいだろうに……」


「ご、ごめんなさい……」


お互いに服を整える


おなかの違和感はあるけどそれ以上に満足感で満たされていた


岡部はたくさん出してくれたのよね


「ほら、誰かに見られる前に帰るぞ」


「そ、そうね……」


余韻に浸る間もなく私たちはその場を離れた


たしかに誰かに見られても気まずいしね……


前を歩く岡部は怒っているのか何も言わない


暗くて表情もよく見えないし……


くしゅん……


汗が引いてきたせいか体が冷えてきたみたい


あれほど腰の上で激しく動いたから無理もないのだけど……


「だからなにか羽織るものを用意しろといったのだ……」


「まさかこんなに冷えるなんて思わなかったのよ……」


「ほら、これでも羽織ってろ」


「あ、ありがとう」


岡部が着ている白衣を私に羽織らせる


汗の臭いがするが落ち着かせるような匂いだ


やだ、また体が疼いて……


で、でもしばらくはこの白衣のおかげでぐっすり眠れそうね……


さて、どう言い訳しようかしら……

こんにちは

昨夜は失礼しました

友人の急な誘いだったのと天文台に行きたかったから中断しました

月明かりと雲のせいでほとんど満足な観測はできませんでしたが……



ちなみに>>1にエロは書けません

もう一度言います

>>1にエロは書けません



おつきあいいただきありがとうございました

失礼します

「ふわぁ……」


今まで必死に噛み殺していたあくびを抑えるのも限界のようだ


「なんだ、眠いのか?」


「ええ、向こうの論文の執筆に思った以上に時間がかかってね」


「普段の素振りからはそうは見えないが……」


「どうしても資料は大学に比べると少ないからね」


「だったら向こうに……」


「あんたは私に戻ってほしいの?」


「いや、おまえにここにいてほしい」


「よろしい」


嬉しいこといってくれるじゃない……


でもおまえって呼んだのは減点だからな!

「そんなに眠いなら仮眠でも取ったらどうだ?」


「ええ、そうするわ……」


ソファーに横になろうとする


「そこに座られていると横になれないんだけど?」


「枕はいらないのか?」


「え?それって……」


膝をポンポンと叩いている岡部


「膝枕……してくれるの……?」


「男の膝なんて固くていやかもしれんがないよりマシだろう?」


「せ、せっかくだから使ってあげるわよ!」


内心嬉しさのあまり叫びたくなる衝動を必死でこらえる


「顔がにやけてるぞ?」


「あ、あんたの見間違いでしょ!」


「まあかわいいからいいがな」


「う、うっさい!」


私をキュン死させる気かこのバカ!!

「どうだ?」


「わ、悪くはないわね……」


「そうか」


自然に私の頭を撫でる岡部


限界突破していたと思っていた好感度がまだまだ上がってくじゃない……!


ヤバい、今私かなりにやけてる……


「息が荒いようだが大丈夫か?」


「な、なんでもないわよ……」


「ならいいが……」


あんたがその原因よ!!


ま、まあ幸せだからいいんだけど……

「紅莉栖」


「な、なによ……?」


「耳垢溜ってるぞ?」


「…………は?」


「忙しいとは思うがたまには綺麗にしたほうがいいぞ」


「………………」


「紅莉栖?」


「な、なんでもないわよバカ!!」


せっかくのいい雰囲気をぶちこわすなんてさっきまでの好感度も台無しよ!


やっぱり岡部に期待した私がバカだったみたいね……

「な、なにか気に障るようなことをしたなら謝るが……」


「……別にいいわよ」


言ってもどうせ鈍感なあんたにはわからないでしょうしね


「そ、そうか……」


あからさまに気落ちしている


私はそれ以上に期待を裏切られたんだからな!


なんとかして復讐してやりたい……


考えるのよ牧瀬紅莉栖


私の頭脳に不可能なんてないでしょ?


そんな私の頭脳は素晴らしい方法を思いついた


「だ、だったらアンタが耳掃除してくれたら許してあげるわよ!」


「え?」


「できないのかしら?」


「いや、それぐらいならお安いご用だが……」


「だったらさっさとしなさいよ!」


「あ、ああ……」


本来なら私がしたかったけど逆でもこれはこれでいいわよね?

「で、では始めるぞ?」


「ええ、さっさとしなさいよ」


「あ、ああ……」


ラボになかった耳かき棒を岡部が買って帰って来ると再び膝枕の体勢になる


ほんの数分程度でもやっぱりこの体勢は落ち着くものだ


中毒になったらどうしよう……


そうなったらそうなったで適当な口実で岡部に膝枕をさせましょう


岡部だって私を膝枕して頭を撫でられるんだからWin-Winよね!


それにしても耳かきか……


誰かにしてもらうなんていつ以来だろう?


ママにしてもらったことはあるけど異性にされるのは初めてよね?


つまり岡部が私の『はじめて』ってこと?


耳かきの『はじめて』も岡部がもらってくれるなんて……


べ、別に変態的思考じゃにぇーし!!

「じゃあいれるぞ?」


「ええ、いいわよ」


岡部の棒が私の狭い穴へと入れられる


「痛くないか?」


「大丈夫だからさっさと動きなさいよ」


「わ、わかった」


岡部のモノが私の壁をコリコリと擦っていく


「……んッ」


「だ、大丈夫か?」


「と、突然のことにビックリしただけよ」


「ならいいが……」


まさか擦られるのがあんなに気持ちいいなんて思わなかったから思わず変な声出ちゃったじゃない……

「……ん……くっ」


「ほ、本当に大丈夫か?」


「い、いいからさっさと続けなさいよ!」


「あ、ああ……」


コリコリという音とともに私の中が擦られていく


必死に声を押し殺しているが限界も近い


本当は我慢しなければいいんだろうけどそれは私のプライドが許さない


でも気持ちいいのは本当だし……


「よし終わりだな」


「そ、そう……」


無事に終わったようだ


なんとか耐え抜いてみせたわよ……!


「じゃあ今度は頭をこっちに向けてくれるか?」


「ふぇ?」


「片方だけではなく両方しないと意味ないだろ?」


無理無理無理無理!


ただでさえ敏感なのにもう片方もされたら我慢できるわけないじゃない!


「ほら、さっさとしろ」


「わ、わかったわよ……」


そもそも耳かきなんかに負けるわけないじゃない!

「だ、大丈夫か……?」


「む、むりぃ……」


耳かきの快感には耐えられず思わず声を出してしまった


幸い岡部以外に聞かれてないみたいだからいいけど……


「相変わらずすごい声だな……」


「う、うっさい!」


たしかに自分でもすごい声だったとは思う


それこそあのとき以上の……


「ほら、終わったからさっさと起きろ」


「ま、まだ無理よ……」


呼吸を整えようとしてあることに気付いた


「ねえ岡部、これって……」


「な、なんでもないぞ?」


私の目の前にある岡部の股間はズボンの上からでもはっきり確認できるくらい膨らんでいた


「も、もしかして私のせい……?」


「あ、あんな声や顔をされたら誰だってこうなってしまうじゃないか……」


「そっか……」


「い、いいからさっさと起きろ」


「だったら私が責任取らないとね」


「く、紅莉栖!?」


おもむろにズボンのチャックを下ろす


私に恥ずかしい思いをさせた責任は体で取ってもらうんだからね!!

こんにちは

リアルの事情やネタ切れ等で更新が遅くなってしまいすいませんでした

書こう書こうと思っていたらこんなに遅くなってしまいました

まだまだ紅莉栖ちゃんへの愛が足りませんね


次回は>>85さんのネタを書いて書けそうだったらエロを書いて今月中にHTML化申請をして終了の予定です

おつきあいいただきありがとうございました

失礼します

「さてと……そろそろお昼にしましょうか」


「カップ麺の買い置きならそこの棚だぞ」


「そう……」


塩、醤油、豚骨に味噌か


今日は醤油の気分ね


お湯もちょうど沸いてるみたいだし


3分ってことは2分40秒くらいがベストね


あとはマイフォークを用意して……


「いつも持ち歩いてるのか?」


「ええ、使い慣れた道具の方が食べやすいし美味しく感じるのよ」


「そういうものか?」


「そういうものよ」


それにこのフォークはあんたからのプレゼントだしね

「しかし毎日カップラーメンばかりで飽きないか?」


「あらそう?」


「少なくとも俺は勘弁だな」


「あんたはドクペに飽きることあるかしら?」


「いや、ドクペはもはやそのような次元を超越している!」


「……え?」


「もはやドクペは我が血液といっても過言ではぬぁいのだッ!!」


「糖尿病乙」


「うるさい!」


「図星をつかれて逆切れなんてかっこわるいわよ」


「だがどちらかというと糖尿病のリスクは貴様の方が高いぞ?」


「そ、それは……」


「それにそんな生活だと成長も阻害されるしな!」


「う、うるさい!」


「ほう……図星をつかれて逆切れか助手よ……?」


「だ、黙りなさい!」


岡部のくせに生意気よ!

「やっぱり岡部も胸が大きい方がいいの?」


「なんだ、薮から棒に」


「マジメに答えなさい」


「まあどちらかといえば……」


「やっぱりペニスを挟んでほしいから?」


「い、いきなりなにをいいだすんだおまえは!」


「橋田のやっていたゲームにそんなシーンがあったから……」


「まったく……好きでもない女とあんなことをすると思うか?」


「それは……」


「胸の大きさとか関係なく俺はおまえが好きになったんだ」


「じゃあ私にあんなことされたのも……」


「いやだったら力づくで振り払うさ」


「そっか……」


岡部のくせに嬉しいこと言ってくれるじゃない


「だがいつまでも一緒にいたいから少しは健康的な食生活を心がけてほしいがな!」


「じゃあ私が何か作るわね!」


「それだけはやめてくれ……」


「どういう意味よ!」


まったくもう!

こんばんは

昨日はカップラーメンの日だったそうですね

とりあえず今日はここまでです

エロはどんなシチュエーションがいいんですかね?

やっぱりラボでのがいいんですかね?

アイディアをくれると採用するかもです


今夜の更新はここまです

おつきあいいただきありがとうございました

おやすみなさい

こんにちは

このスレでエロを書くつもりでしたがやめます

このトリップをかえずに、きちんと【R-18】をスレタイに入れて立て直します

なのでもしも期待してくださったかたがおられたらそちらでお願いします

また、このスレはこれで終了し、HTML化しようと思います

読んでくださったみなさんありがとうございました

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